JP6849229B2 - γ−チューブリン阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、微小管(チューブリン)重合阻害活性を有する新規な化合物及び当該化合物を含む医薬組成物に関する。
微小管は真核細胞内で物質輸送や細胞運動、細胞分裂などの多様な生命活動に関わる細胞内小器官の一つであり、特に細胞分裂においては紡錘体の主要構成成分であることから、微小管機能を阻害する薬剤は細胞分裂を阻害することが知られている。
がん細胞は無秩序な細胞分裂を繰り返す為、細胞分裂に必須な細胞内小器官である微小管は以前より抗がん剤の標的とされており、paclitaxelやvinblastine等の微小管阻害剤が抗がん剤として臨床で用いられている。しかしながら、微小管阻害剤は分裂していない間期細胞の微小管構造(微小管ネットワーク)も破壊し、時として末梢神経痛をはじめとする重篤な副作用を引き起こす。そのため、分裂期特異的な微小管や微小管関連因子を標的とした抗がん剤が求められている(非特許文献1)。
高等真核生物における微小管形成には、中心小体周辺物質であるγ−tubulin、及びGCP2〜6から構成されるγ−tubulin ring complex(γ−TuRC)が必須である。γ−TuRCは分裂期にplk1の働きにより中心体上にリクルートされ、微小管を形成する足場として機能する(図1参照)(非特許文献2)。
この微小管核形成に重要な足場であるγ−tubulinやγ−TuRCを阻害すれば分裂期特異的な微小管伸長・紡錘体形成が阻害されると考えられることから、γ−tubulinは副作用の少ない、新たな抗がん剤の標的となる可能性があると考えられる。
Dumontet C, Jordan MA. Microtubule-binding agents: a dynamic field of cancer therapeutics. Nat Rev Drug Discov 2010; 9: 790-803. doi:10.1038/nrd3253 Kollman JM, Merdes A, Mourey L, Agard DA. Microtubule nucleation by γ-tubulin complexes. Nat Rev Mol Cell Biol 2011; 12: 709-21. doi:10.1038/nrm3209
本発明は、微小管重合阻害活性を有し、抗癌剤として有望な新規化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、より高い微小管重合阻害活性を有する化合物を探索したところ、glaziovianin AのA環のベンゼン環の6位及び7位に特定の置換基を導入することにより、非常に高い微小管重合阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
[1] 以下の式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
Figure 0006849229
(式中、
は、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基又はヘテロシクリル基から選択され;
は、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択され;
mは、1〜8の整数であり:
nは、1〜8の整数である。)
[2] Rが、
Figure 0006849229
で表される、[1]に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
(式(1)〜(4)において、
、R、R、及びRは、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択され、
Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、
Yは、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。
[3]Rが、C2〜8のアルキニル基である、[1]に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む微小管重合阻害剤。
[5][1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、癌を治療又は予防するための医薬組成物。
本発明の化合物は、強い細胞毒性、特にγ−チューブリンの阻害活性を有していることから、有望な抗がん剤を提供することが可能である。
高等真核生物における微小管形成の模式図。 化合物AのNMRスペクトルを示す。 化合物BのNMRスペクトルを示す。 化合物A及び化合物Bの動物細胞の間期微小管形態の評価結果。 化合物A及び化合物Bのin vitroチューブリン重合阻害活性の評価結果。 化合物A及び化合物Bについての動物細胞の分裂期紡錘体形態の評価結果。 化合物A及び化合物Bについての動物細胞中心体からの微小管核形成活性の評価結果。
本発明の1つの態様は、以下の式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩である。
Figure 0006849229
式(I)において、Rは、C2〜8のアルケニル基、C2〜8のアルキニル基、置換又は無置換のアリール基又はヘテロシクリル基から選択される。
2〜8アルケニル基には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタンジエニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基及び1,4−ヘキサンジエニル基が含まれる。二重結合についてシス配置またはトランス配置のいずれであってもよい。
2〜8アルキニル基には、例えば、アセチニル基、プロパルギル基等が含まれ、好ましくはアセチニル基である。
上記のC2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基は任意の置換基を1個以上有していてもよい。該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、モノ若しくはジ置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、芳香環又は置換芳香環(置換基はアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、モノ若しくはジ置換アミノ基、置換シリル基、又はアシル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。芳香環が2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。アルケニル基、アルキニル基が2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
のアリール基は、単環式又は縮合多環式の芳香族炭化水素基であり、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−インデニル基、2−インデニル基、2,3−ジヒドロインデン−1−イル基、2,3−ジヒドロインデン−2−イル基、2−アンスリル基、インダゾリル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
のヘテロシクリル基は、環構成原子としてヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子などを1個以上含む飽和又は不飽和の複素環である。飽和ヘテロシクリル基としては、ピロリジニル基、オキソリル基、チオリル基、アジニル基、オキシル基、チアニル基、モルホニリル基等が挙げられる。
不飽和のヘテロシクリル基としては、環構成原子としてヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子などを1個以上含む芳香族複素環(ヘテロアリール基ともいう)であることが好ましい。
ヘテロアリール基としては、チエニル基(2−又は3−チエニル基)、ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、2−ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリダジニル基、3−イソチアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基又は1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、キノリル基、イソキノリル基、1,2−ジヒドロイソキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾフラニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−1−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル基、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−1−イル基、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、フルオレニル基又はチオキサンテニル基等が挙げられる。
アリール基及びヘテロシクリル基が単環および縮合環のいずれである場合も、すべての可能な位置で結合しうる。
アリール基、ヘテロシクリル基はその環上に任意の置換基を1個以上有していてもよく、置換基を有さなくてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基などを挙げることができる。2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が含まれる。
1〜8アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐鎖状であるのが好ましい。C1〜8アルキル基には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が含まれる。
アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせである飽和アルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロブトキシ基、シクロプロピルメトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロプロピルエチルオキシ基、シクロブチルメチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルプロピルオキシ基、シクロブチルエチルオキシ基又はシクロペンチルメチルオキシ基等が好適な例として挙げられる。
式(I)において、Rは、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択される。
ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基については、Rに関して上記で例示したものが含まれる。
カルボキシル基には、アルキル基の末端にカルボキシル基を有するもの、アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボキシル基が置換したものも含まれる。
本発明の好ましい態様においては、Rの置換基は存在せず、無置換のベンゼン環である。
式(I)において、mは、1〜8の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
式(I)において、nは、1〜8の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
本発明の1つの態様においては、Rは以下の(1)〜(4)の式で表される。
Figure 0006849229
式(1)〜(4)において、R、R、R、及びRは、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択される。
ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基については、Rに関して上記で例示したものが含まれる。
カルボキシル基には、アルキル基の末端にカルボキシル基を有するもの、アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボキシル基が置換したものも含まれる。
式(2)〜(4)において、Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(3)において、Yは、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。式(3)において、XとYは同一でも異なっていてもよい。
式(1)〜(4)で表される基は、すべての可能な位置で結合することができる。
本発明の好ましい態様においては、式(1)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006849229
本発明の好ましい態様においては、式(2)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006849229
本発明の好ましい態様においては、式(3)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006849229
本発明の好ましい態様においては、式(4)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006849229
本発明の1つの好ましい側面において、式(I)におけるRはC2〜8のアルキニル基である。
本発明の1つの好ましい側面において、式(I)におけるRは置換又は無置換のフェニル基である。
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む微小管重合阻害剤である。
本発明の微小管重合阻害剤は、式(I)で表される化合物のみならず、その塩又はそれらの溶媒和物若しくは水和物を含むものであってもよい。塩としては、医薬的に許容される塩であれば特に限定されないが、例えば、塩基付加塩、酸付加塩、アミノ酸塩などを挙げることができる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩などの有機アミン塩を挙げることができ、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸などの有機酸塩を挙げることができる。アミノ酸塩としてはグリシン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などを例示することができる。また、アルミニウム塩等の金属塩であってもよい。
溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノールなどの溶媒を例示することができる。
また、式(I)で表される化合物は、特に断らない限り、その互変異性体、幾何異性体(例えば、E体、Z体など)、鏡像異性体等の立体異性体も含まれる。すなわち、式(I)で表される化合物中に、1個又は2個以上の不斉炭素が含まれる場合、不斉炭素の立体化学については、それぞれ独立して(R)体又は(S)体のいずれかをとることができ、該誘導体の鏡像異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することがある。従って、本発明の微小管重合阻害剤の有効成分としては、純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いることが可能であり、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む医薬組成物である。
本発明の好ましい1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、悪性リンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、頭頸部癌等の癌を治療又は予防するための医薬組成物にも関する(以下「本発明の抗癌剤」ともいう)。
本発明の好ましいもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、真菌による感染の治療又は予防のための医薬組成物にも関する(以下「本発明の抗真菌剤」ともいう)。
本発明の抗真菌剤により治療又は予防され得る病原性の真菌感染としては、特に、アスペルギルス症(侵入性肺アスペルギルス症を含む)、ブラストミセス症(顕著な又は急速進行性の感染及び中枢神経系におけるブラストミセス症を含む)、カンジダ症(例えば腎臓結石、尿路閉塞、腎移植又は抑制の乏しい真性糖尿病の患者における尿路の逆行性カンジダ症を含む)、コクシジオイデス症(他の化学療法に十分に応答しない慢性疾患を含む)、クリプトコックス症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症(例えば、頭蓋顔面ムコール菌症及びムコール肺炎を含む)、パラコクシジオイデス症及びスポロトリクム症が挙げられる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物自体を投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。医薬組成物におけるような用語「組成物」は、活性成分と、担体を構成する不活性成分(医薬的に許容される賦形剤)とを含む生成物ばかりでなく、任意の2つ以上の成分の会合、複合体化もしくは凝集の結果として、または1つ以上の成分の解離の結果として、または1つ以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用の結果として、直接もしくは間接的に生ずる任意の生成物も包含する。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の有効成分としては、上記化合物の2種以上を組み合わせて用いることができ、或いは、微小管重合阻害活性を有する他の既知の有効成分を配合することも可能である。
また、本発明の抗癌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物と、既存の抗癌剤と併用した組み合わせ医薬とすることも可能である。既存の抗癌剤としては、当該技術分野において公知のものを用いることができるが、例えば、メトトレキサート、ドキソルビシン、シスプラチン等を挙げることができる。
また、本発明の抗真菌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物と、既存の抗真菌剤と併用した組み合わせ医薬とすることも可能である。既存の抗真菌剤としては、当該技術分野において公知のものを用いることができるが、例えば、アムホテリシンB、ミコナゾール、フルコナゾール、ミカファンギン等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の種類は特に限定されず、剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。経口投与用又は非経口投与用の任意の製剤形態で提供される。例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は液剤等の形態の経口投与用医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。また、高分子などで被覆した徐放製剤を脳内に直接投与することも可能である。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の割合、又は医薬組成物の製造方法は、組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機又は有機物質あるいは固体又は液体の物質を用いることができ、一般的には、有効成分重量に対して1重量%から90重量%の間で配合することができる。具体的には、その様な物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の投与量及び投与回数は特に限定されず、治療対象疾患の悪化・進展の防止及び/又は治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、医師の判断により適宜選択することが可能である。一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01〜1000mg(有効成分重量)程度であり、一日1回又は数回に分けて、或いは数日ごとに投与することができる。注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001〜100mg(有効成分重量)を連続投与又は間欠投与することが望ましい。
式(I)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、式(I)に包含される化合物のうち代表的化合物についての合成方法を本明細書の実施例に具体的に示した。当業者は本明細書の実施例及び下記のスキームを参照しつつ、必要に応じて出発原料、反応試薬、反応条件などを適宜改変ないし修飾することにより、式(I)に包含される化合物を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[合成実施例1]
化合物A(7−(ベンジルオキシ)−3−(4,7−ジメトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−6−(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)−4H−クロメン−4−オン)の合成
以下の手順により本発明の化合物Aを合成した。
(1) 化合物2の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下,文献1(“Practical synthesis of glaziovianin A, a cytotoxic isoflavone, and its O7-propargyl analogue”Ichiro Hayakawa,* Shuya Shioda, Akiyuki Ikedo, Hideo Kigoshi*Bull. Chem. Soc. Jpn. 2014, 87(4), 544-549.)を参考に合成した化合物1 12.3g(67.3mmol)を無水アセトニトリル300mLに溶解させた。この溶液に炭酸カリウム18.6g(135mmol)、ベンジルクロリド7.80mL(67.8mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド30.0g(81.2mmol)を室温で加えた。この溶液を室温で22時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mLを加え、酢酸エチル400mLで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水600mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1→6:1→5:1→3:1)で精製し、化合物2を16.4g得た。
mp : 124-126 °C
IR (neat) 3020, 1631, 1506, 1265, 1215, 1063 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.59 (s, 1H), 7.44-7.33 (m, 5H), 7.09 (s, 1H), 6.49 (s, 1H), 5.18 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 2.56 (s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.1, 159.8, 155.9, 142.1, 135.6, 128.7 (2C), 128.1, 127.2 (2C), 112.4, 111.9, 101.9, 70.7, 56.9, 26.3.
HRMS (ESI) m/z 273.1125, calcd for C16H17O4 [M+H]+ 273.1127.
(2) 化合物3の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下、化合物2 204mg(749μmol)をアセトニトリル6.0mLに溶解させた。この溶液にL−(+)−アスコルビン酸(158mg、899μmol)を加えた。この溶液を0 °Cに冷却し、硝酸アンモニウムセリウムの1M水溶液1.50mL(1.50mmol)を加え、1時間撹拌した。反応溶液にL−(+)−アスコルビン酸199mg(1.13mmol)、クロロホルム25mL、及び水25mlを加え、有機層と水層に分けた。水層をさらにクロロホルム30mLで2回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をジクロロメタン5mLに溶解させた。この溶液に飽和Na水溶液5mLを室温で加え、1時間撹拌した。反応溶液を有機層と水層に分け、水層をクロロホルム6.0mLで2回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=35:1→10:1→5:1)により精製し、化合物3を118mg得た。
mp : 159-161 °C
IR (neat) 3566, 3020, 2974, 1699, 1635, 1506, 1458, 1219 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.46 (s, 1H), 7.43-7.40 (m, 5H), 7.24 (s, 1H), 6.53 (s, 1H), 5.14 (s, 2H), 2.54 (s, 3H).
*1つのヒドロキシ基のプロトンのシグナルは観測されなかった。
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.7, 158.6, 152.7, 138.0, 134.9, 128.9 (2C), 128.8, 128.0 (2C), 114.1, 112.6, 100.8, 71.2, 26.5.
HRMS (ESI) m/z [M+H]+ 259.0967, calcd for C15H15O4 [M+H]+ 259.0970.
(3) 化合物4の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下、化合物3 1.40g(5.43mmol)をジクロロメタン85.0mLに溶解させた。この溶液を0 °C に冷却し、ジヒドロピラン2.00mL(22.1mmol)と(+)−10−カンファースルホン酸64.0mg(273μmol)を加え、2時間撹拌した。反応溶液にトリエチルアミン150μL(1.08mmol)を加えて10分間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLを加え、有機層と水層に分けた。水層をさらに酢酸エチル120mLで2回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=30:1→20:1→15:1→8:1)により精製し,化合物4を1.74g得た。
mp : 102-105 °C
IR (neat) 3566, 3020, 2976, 1635, 1508, 1373, 1329, 1254, 1217 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.60 (s, 1H), 7.43-7.32 (m, 6H), 6.50 (s, 1H), 5.26 (t, J = 3.2, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.05 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.00-1.81 (m, 3H), 1.69-1.60 (m, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.3, 160.7, 157.3, 138.6, 135.8, 128.5 (2C), 128.0, 127.0 (2C), 120.8, 112.3, 101.8, 99.0, 70.3, 62.2, 30.2, 26.2, 25.2, 18.6.
HRMS (ESI) m/z 343.1546, calcd for C20H23O5 [M+H]+ 343.1546.
(4) 化合物5の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下、化合物4 1.00g(2.93mmol)にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール10.0mL(75.3mmol)を室温で加えた。この溶液を90°C で5時間撹拌した。反応終了後、この溶液を減圧下留去し、粗化合物5を1.21g得た。得られた粗化合物5は精製せずに次の反応に用いた。
(5)化合物6の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下,粗化合物5 205mgをクロロホルム12.0mLに溶解させた。この溶液を0°C に冷却し,ピリジン400μL(4.97mmol)、ヨウ素261mg(2.07mmol)を加えた。この溶液を、遮光条件下室温で23時間撹拌した。反応終了後、反応溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液15mLを加え、クロロホルム20mLで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水50mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=12:1→10:1→8:1→4:1)により精製し、化合物6を223mg得た。
mp : 166-170 °C
IR (neat) 3020, 2976, 1647, 1616, 1496, 1456, 1367, 1215 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.46-7.34 (m, 5H), 6.90 (s, 1H), 5.54 (t, J = 3.0 Hz, 1H), 5.21 (s, 2H), 3.96 (m, 1H), 3.62 (m, 1H), 2.01-1.88 (m, 3H), 1.72-1.62 (m, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.3, 156.8, 155.0, 152.8, 145.4, 135.6, 128.7 (2C), 128.2, 127.0 (2C), 115.5, 112.5, 101.4, 97.7, 86.6, 70.9, 62.2, 30.1, 25.1, 18.6.
HRMS (ESI) m/z 479.0351, calcd for C21H19IO5 [M+H]+ 479.0355.
(5) 化合物8の合成
Figure 0006849229
アルゴン雰囲気下、化合物6 129mg(270μmol)、文献1を参考に合成した化合物7 100mg、(325μmol)、PdCl(dppf)・CHCl 11.5mg(14.1μmol)の混合物に凍結脱気した1,4−ジオキサン 6.0mlと1M炭酸ナトリウム水溶液1.90ml(1.90mmol)を加えた。この溶液をアルゴン気流下、室温で15.5時間撹拌した。反応終了後、この溶液に水10mLを加え、酢酸エチル12mLで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水30mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1→6:1→3:1)で精製した。得られた化合物8 142mgを酢酸エチルに溶解させた。この溶液にPdスカベンジャー(SiliaMetsS(登録商標) Thiourea)714mgを加え、1時間、室温で撹拌した。Pdスカベンジャーを濾過により除いた後に溶媒を減圧下留去し、化合物8を141mg得た。
mp : 88-92 °C
IR (neat) 3020, 2978, 1646, 1607, 1522, 1468, 1423, 1352, 1295 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.91 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.47-7.32 (m, 5H), 6.93 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 6.00 (s, 2H), 5.57 (t, J = 3.0 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.01 (s, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 3.62 (m, 1H), 2.05-1.88 (m, 3H), 1.71-1.58 (m, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.3, 154.6, 153.4, 152.8, 144.8, 139.0, 138.9, 136.9, 136.7, 135.8, 128.6 (2C), 128.1, 126.9 (2C), 121.5, 118.1, 118.0, 112.7, 110.0, 101.7, 101.7, 97.7, 70.8, 62.1, 60.1, 56.8, 30.1, 25.1, 18.6.
HRMS (ESI) m/z 533.1806, calcd for C30H28O9 [M+H]+ 533.1812.
(6) 化合物9の合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下、化合物8 17.1mg(32.1μmol)をクロロホルム/メタノール2:1混合溶媒(10.5mL)に溶解させた。この溶液に、室温でp−トルエンスルホン酸一水和物1.20mg(6.31μmol)を加えた。この溶液を、室温で1.5時間撹拌した。反応溶液にトリエチルアミン20.0μL(143μmol)、水3mLを加え、抽出した。水層をさらにクロロホルム5mLで2回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→1:1)により精製し、化合物9を10.8mg得た。
mp : 224-226 °C
IR (neat) 3608, 3020, 2976, 1647, 1558, 1541, 1219 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.88 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.46-7.45 (m, 5H), 6.96 (s, 1H), 6.52 (s, 1H), 6.02 (s, 2H), 5.23 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 3.84 (s, 3H).
*1つのヒドロキシ基のプロトンのシグナルは観測されなかった。
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.5, 153.6, 151.5, 150.8, 144.1, 139.1, 139.0, 137.0, 136.7, 134.8, 128.9 (2C), 128.9, 127.9 (2C), 121.5, 118.9, 118.0, 110.0, 109.0, 101.8, 100.3, 71.6, 60.2, 56.9.
HRMS (ESI) m/z 449.1233, calcd for C25H20O8 [M+H]+ 449.1236.
(7) 化合物Aの合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下,化合物9 15.2mg(33.9μmol)をアセトン(6.0mL)に溶解させた。この溶液に、室温で炭酸カリウム10.8mg(78.1μmol)と臭化プロパルギル3.90μL(51.8μmol)を加えた。この溶液を、5時間加熱還流した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、クロロホルム12mLで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水30mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1→1:1)により精製し、化合物Aを16.0mg得た。化合物AのNMRスペクトルチャートを図2に示す。
mp : 174-176 °C
IR (neat) 3307, 3020, 2976, 1635, 1608, 1506, 1456, 1419, 1295, 1261, 1215, 1097 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.87 (s, 1H), 7.78 (s, 1H) 7.48-7.33 (m, 5H), 6.92 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.01 (s, 2H), 5.26 (s, 2H), 4.87 (d, J = 2.2 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 2.54 (t, J = 2.2 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.3, 153.7, 153.5, 152.6, 145.7, 139.1, 138.9, 137.0, 136.7, 135.5, 128.8 (2C), 128.3, 127.2 (2C), 121.7, 117.9, 117.9, 110.0, 108.1, 101.8, 101.7, 77.8, 76.3, 71.1, 60.2, 57.0, 56.8.
HRMS (ESI) m/z 487.1385, calcd for C28H22O8 [M+H]+ 487.1393.
[合成実施例2]
化合物B(6,7−ビス(ベンジルオキシ)−3−(4,7−ジメトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)−4H−クロメン−4−オン)の合成
以下の手順により本発明の化合物Bを合成した。
(1) 化合物Bの合成
Figure 0006849229
窒素雰囲気下,化合物9 15.2mg(33.9μmol)をアセトン(6.0mL)に溶解させた。この溶液に、室温で炭酸カリウム10.5mg(76.0μmol)と臭化ベンジル6.10μL(51.4μmol)を加えた。この溶液を、6.5時間加熱還流した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、クロロホルム12mLで3回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水30mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1→1:1)により精製し、化合物Bを16.7mg得た。化合物BのNMRスペクトルチャートを図3に示す。
mp : 154-158 °C
IR (neat) 3020, 2976, 1608, 1456, 1296, 1245, 1153, 1037 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.87 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.51-7.32 (m, 10H), 6.92 (s, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.01 (s, 2H), 5.27 (s, 2H), 5.25 (s, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.84 (s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.4, 153.8, 153.4, 152.2, 147.1, 139.1, 138.9, 137.0, 136.7, 136.4, 135.8, 128.7 (2C), 128.5 (2C), 128.2, 128.0, 127.4 (2C), 127.0 (2C), 121.6, 118.0, 118.0, 110.0, 107.5, 101.8, 101.7, 71.0, 71.0, 60.2, 56.8.
HRMS (ESI) m/z 539.1709, calcd for C32H26O8 [M+H]+ 539.1706.
[実施例1]
殺細胞活性の評価
殺細胞活性はHeLa細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO下で培養したそれぞれの細胞を、各穴3x10cells/ml、100μlずつ96穴プレートに播いた後、18時間後に各薬剤を添加した。薬剤添加48時間後にWST-8試薬を用いて生細胞数を定量した。
表1に示すとおり、化合物A及び化合物Bは、Gatastatin以上の強い殺細胞活性を示した。
Figure 0006849229
[実施例2]
動物細胞の間期微小管形態、及びin vitroチューブリン重合阻害活性の評価
動物細胞間期の微小管形態に与える影響を、HeLa細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO下で培養したそれぞれの細胞を、各穴3x10cells/ml、100μlずつ96穴プレートに播いた後、18時間後に各薬剤を添加した。12時間後、細胞を固定し、α−tubulin、中心体構成因子であるpericentrin、染色体を蛍光染色し、観察した(図4)。
また、試験管内チューブリン重合阻害活性測定は、豚脳から精製したチューブリンをRB緩衝液(100mM MES、1mM EGTA、0.5mM MgCl、pH6.8)に1mg/mlになるように希釈し、薬剤を加えて氷上に5分置いた後、1mMのGTPと1MのGlutamateを加え、37℃に加温することで重合反応を開始した。30分間微小管重合を行った後、75,000rpmで超遠心を行い、上清 (α/β-tubulin) と沈殿(微小管)に分けサンプルを調整した。各サンプルはSDS−PAGEにより確認した後、画像解析ソフトImage Jを用いてバンドの濃さを定量し、上清と沈殿に含まれるα/β-tubulin(Total) に対する沈殿の割合、すなわち、微小管が重合した割合を算出した(図5)。
図4及び5に示す通り、化合物A(図4でOK12と表記)及び化合物B(図4でOK13と表記)は、間期細胞の微小管骨格形態に影響を与えず、またin vitroでチューブリン重合阻害作用を示さないことが確認された。
[実施例3]
動物細胞の分裂期紡錘体形態の評価
動物細胞分裂期の紡錘体形態に与える影響を、HeLa細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO2下で培養したそれぞれの細胞を、各穴3x10cells/ml、100μlずつ96穴プレートに播いた後、18時間後に各薬剤を添加した。12時間後、細胞を固定し、α-tubulinを蛍光染色し、観察した(図6、表2)。
図6に示す通り、化合物A(OK12と表記)及び化合物B(OK13と表記)は、gatastatin同様、多極紡錘体を誘導した。多極紡錘体形成に必要な濃度を検討したところ、gatastatinは30μMが必要であったのに対し、化合物A及びBは3μM以上の濃度で多極紡錘体を誘導した。
Figure 0006849229
[実施例4]
動物細胞中心体からの微小管核形成活性の評価
微小管核形成アッセイにより、中心体からの核形成活性への影響を検討した。単極紡錘体を誘導するSTLC(S-Trityl−L-Cysteine)を20μM、6時間処理して単極紡錘体を形成させた後、氷上で1時間静置することで微小管を脱重合した。各薬剤を15分処理後、30℃で3分加温することで微小管核形成を行い、その後細胞を固定した。α-Tubulin抗体を用いて微小管を蛍光染色した後、画像解析ソフトImage Jを用いて微小管が伸長した面積を定量した。
図7に示すように、Gatastatinが30μMで微小管核形成を強く阻害したのに対し、化合物A及び化合物Bはより低濃度の3μMで微小管核形成を阻害した(図7)。
実施例1〜4の結果は、化合物A、Bが微小管重合を直接阻害することなく、細胞内中心体からの微小管伸長を阻害し、異常な紡錘体形成及び腫瘍細胞の増殖阻害を引き起こしていることを示している。微小管の重合・脱重合を阻害する既存の抗がん剤は、間期微小管機能を阻害することによる副作用が問題となっているが、化合物A、Bは、細胞分裂期にリクルートされて活性化するγ-Tubulinを阻害することから、副作用の少ない抗がん剤として使用し得る。

Claims (5)

  1. 以下の式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
    Figure 0006849229
    (式中、
    、C 2〜8のアルキニル基、又は、置換又は無置換のアリール基から選択され;
    は、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択され;
    mは、1〜8の整数であり:
    nは、1〜8の整数である。)
  2. が、
    Figure 0006849229
    で表される、請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
    (式(1)において、
    、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8のアルキル基、C1〜8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基又はカルボキシル基から選択され
  3. が、C2〜8のアルキニル基である、請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、γ−チューブリンを特異的に阻害する微小管重合阻害剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、癌を治療又は予防するための医薬組成物。
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