JP6430246B2 - 微小管重合阻害剤 - Google Patents

微小管重合阻害剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6430246B2
JP6430246B2 JP2014267073A JP2014267073A JP6430246B2 JP 6430246 B2 JP6430246 B2 JP 6430246B2 JP 2014267073 A JP2014267073 A JP 2014267073A JP 2014267073 A JP2014267073 A JP 2014267073A JP 6430246 B2 JP6430246 B2 JP 6430246B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
acid
pharmaceutically acceptable
acceptable salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014267073A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016124829A (ja
Inventor
臼井 健郎
健郎 臼井
英夫 木越
英夫 木越
一郎 早川
一郎 早川
拓実 知念
拓実 知念
秀也 塩田
秀也 塩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tsukuba NUC
Original Assignee
University of Tsukuba NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Tsukuba NUC filed Critical University of Tsukuba NUC
Priority to JP2014267073A priority Critical patent/JP6430246B2/ja
Publication of JP2016124829A publication Critical patent/JP2016124829A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6430246B2 publication Critical patent/JP6430246B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、微小管(チューブリン)重合阻害活性を有する新規な化合物及び当該化合物を含む医薬組成物に関する。
微小管は真核細胞内で物質輸送や細胞運動、細胞分裂などの多様な生命活動に関わる細胞内小器官の一つであり、特に細胞分裂においては紡錘体の主要構成成分であることから、微小管機能を阻害する薬剤は細胞分裂を阻害することが知られている。そのため、いくつかの微小管阻害剤は癌の治療に用いられている。
既存の微小管阻害剤は、微小管上に大きく3つ結合部位に結合することが知られており、それぞれコルヒチン部位、ビンカアルカロイド部位、タキソイド部位と呼ばれる。これまで癌の治療に用いられている微小管阻害剤はそのうちビンカアルカロイド部位、タキソイド部位に結合するものがほとんどであり、コルヒチン部位に結合するものは開発中ではあるものの、実際に臨床では用いられていない。
最近、微小管を強く重合・脱重合させる既存の多くの微小管阻害剤と異なり、微小管の伸長・短縮を阻害する微小管ダイナミクス阻害剤が注目されている(非特許文献1)。微小管ダイナミクス阻害剤は副作用の少ない抗癌剤として期待されており、今後ますます開発が進められると期待される。中でもイソフラボンの一種であるglaziovianin Aはコルヒチン部位に結合する薬剤であり、微小管ダイナミクスを阻害することが明らかとなり、構造も単純なことから合成展開が期待されている(非特許文献2)。
"Eribulin for advanced breast cancer: a drug evaluation."Shablak A, J Breast Cancer, 16, 12-15 (2013) "Glaziovianin A Prevents Endosome Maturation via Inhibiting Microtubule Dynamics." Chinen T, Kazami S, Nagumo Y, Hayakawa I, Ikedo A, Takagi M, Yokosuka A, Imamoto N, Mimaki Y, Kigoshi H, Osada H, and Usui T. ACS Chem Biol., 8, 884-889 (2013)
本発明は、微小管重合阻害活性を有し、抗癌剤として有望な新規化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、より高い微小管重合阻害活性を有する化合物を探索したところ、glaziovianin AのA環のベンゼン環6位のメトキシ基に代えて、特定の環構造を有する基を導入することにより、非常に高い微小管重合阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
[1]以下の式(I):
Figure 0006430246


(式中、
Figure 0006430246


は、
シクロアルキル基、アリール基又はヘテロシクリル基を表し、
は、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基又はアリールアルキル基を表し、
mは、1〜8の整数を表す。)
で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
[2]
Figure 0006430246


が、
Figure 0006430246


で表される、[1]に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
(式(1)〜(4)において、
、R、R、及びRは、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表し、
Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、
Yは、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
[3][1]又は[2]に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む微小管重合阻害剤。
[4][1]又は[2]に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、癌を治療又は予防するための医薬組成物。
を、提供するものである。
本発明の化合物は、非常に高い微小管重合阻害活性を有していることから、有望な抗がん剤を提供することが可能である。
化合物AのH NMR及び13C NMRのスペクトルのチャート 化合物A、及びGlaziovianin A(AG1)を用いた動物細胞紡錘体に対する作用の評価結果 化合物A(1.5μM、3μM)、AG1(10μM)、DMSO(コントロール)について微小管重合に対する作用を調べた結果
本発明の1つの態様は、以下の式(I):
Figure 0006430246


で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩である。
式Iにおいて、
Figure 0006430246


は、
シクロアルキル基、アリール基又はヘテロシクリル基を表す。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アリール基は、単環式又は縮合多環式の芳香族炭化水素基であり、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−インデニル基、2−インデニル基、2,3−ジヒドロインデン−1−イル基、2,3−ジヒドロインデン−2−イル基、2−アンスリル基、インダゾリル基等が挙げられる。
ヘテロシクリル基は、環構成原子としてヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子などを1個以上含む飽和又は不飽和の複素環である。飽和ヘテロシクリル基としては、ピロリジニル基、オキソリル基、チオリル基、アジニル基、オキシル基、チアニル基、モルホニリル基等が挙げられる。
不飽和のヘテロシクリル基としては、環構成原子としてヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子などを1個以上含む芳香族複素環(ヘテロアリール基ともいう)であることが好ましい。
ヘテロアリール基としては、チエニル基(2−又は3−チエニル基)、ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、2−ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリダジニル基、3−イソチアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基又は1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基、キノリル基、イソキノリル基、1,2−ジヒドロイソキノリル基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾフラニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−1−イル基、2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル基、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−1−イル基、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−2−イル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、フルオレニル基又はチオキサンテニル基等が挙げられる。
アリール基及びヘテロシクリル基が単環および縮合環のいずれである場合も、すべての可能な位置で結合しうる。
本発明においては、式(I)の
Figure 0006430246


は、
アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましい。
シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基はその環上に任意の置換基を1個以上有していてもよく、置換基を有さなくてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基などを挙げることができる。2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が含まれる。
1〜8アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐鎖状であるのが好ましい。C1〜8アルキル基には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が含まれる。
アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせである飽和アルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロブトキシ基、シクロプロピルメトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロプロピルエチルオキシ基、シクロブチルメチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルプロピルオキシ基、シクロブチルエチルオキシ基又はシクロペンチルメチルオキシ基等が好適な例として挙げられる。
式Iにおいて、Rは、C1〜8アルキル基(好ましくはC1〜3アルキル基)、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基又はアリールアルキル基である。
1〜8アルキル基は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐鎖状であるのが好ましい。C1〜8アルキル基には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が含まれる。
2〜8アルケニル基には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタンジエニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基及び1,4−ヘキサンジエニル基が含まれる。二重結合についてシス配置またはトランス配置のいずれであってもよい。
2〜8アルキニル基には、例えば、アセチニル基、プロパルギル基等が含まれる。
アリールアルキル基としては、アリール基で置換されたC1〜8アルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、m−クロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基,p−tert−ブチル−ベンジル基等が挙げられる。
これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリールアルキル基は任意の置換基を1個以上有していてもよい。該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、モノ若しくはジ置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、芳香環又は置換芳香環(置換基はアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、モノ若しくはジ置換アミノ基、置換シリル基、又はアシル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。芳香環が2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリールアルキル基が2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
mは、1〜8の整数を表し、好ましくは、mは、1〜3の整数である。
本発明の1つの態様においては、
Figure 0006430246


は、
Figure 0006430246


で表される。
式(1)〜(4)において、R、R、R、及びRは、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表す。
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が含まれる。
1〜8アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐鎖状であるのが好ましい。C1〜8アルキル基には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が含まれる。
アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状、環状又はそれらの組み合わせである飽和アルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロブトキシ基、シクロプロピルメトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロプロピルエチルオキシ基、シクロブチルメチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプロピルプロピルオキシ基、シクロブチルエチルオキシ基又はシクロペンチルメチルオキシ基等が好適な例として挙げられる。
式(1)におけるRとしては、C1〜8アルキル基又は存在しない(即ち、式(1)はフェニル基)ことが好ましい。
式(2)〜(4)において、Xは、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(3)において、Yは、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。式(3)において、XとYは同一でも異なっていてもよい。
式(1)〜(4)で表される基は、すべての可能な位置で結合することができる。
本発明の好ましい態様においては、式(1)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006430246

本発明の好ましい態様においては、式(2)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006430246

本発明の好ましい態様においては、式(3)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006430246

本発明の好ましい態様においては、式(4)で表される基としては以下が挙げられる。
Figure 0006430246

式(I)で表される化合物の非限定的な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
6−(ベンジルオキシ)−3−(4,7−ジメトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−4H−クロメン−4−オン(化合物A)
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む微小管重合阻害剤である。
本発明の微小管重合阻害剤は、式(I)で表される化合物のみならず、その塩又はそれらの溶媒和物若しくは水和物を含むものであってもよい。塩としては、医薬的に許容される塩であれば特に限定されないが、例えば、塩基付加塩、酸付加塩、アミノ酸塩などを挙げることができる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩などの有機アミン塩を挙げることができ、酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸などの有機酸塩を挙げることができる。アミノ酸塩としてはグリシン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などを例示することができる。また、アルミニウム塩等の金属塩であってもよい。
溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノールなどの溶媒を例示することができる。
また、式(I)で表される化合物は、特に断らない限り、その互変異性体、幾何異性体(例えば、E体、Z体など)、鏡像異性体等の立体異性体も含まれる。すなわち、式(I)で表される化合物中に、1個又は2個以上の不斉炭素が含まれる場合、不斉炭素の立体化学については、それぞれ独立して(R)体又は(S)体のいずれかをとることができ、該誘導体の鏡像異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することがある。従って、本発明の微小管重合阻害剤の有効成分としては、純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いることが可能であり、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明のもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む医薬組成物である。
本発明の好ましい1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、悪性リンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、頭頸部癌等の癌を治療又は予防するための医薬組成物にも関する(以下「本発明の抗癌剤」ともいう)。
本発明の好ましいもう1つの態様は、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、真菌による感染の治療又は予防のための医薬組成物にも関する(以下「本発明の抗真菌剤」ともいう)。
本発明の抗真菌剤により治療又は予防され得る病原性の真菌感染としては、特に、アスペルギルス症(侵入性肺アスペルギルス症を含む)、ブラストミセス症(顕著な又は急速進行性の感染及び中枢神経系におけるブラストミセス症を含む)、カンジダ症(例えば腎臓結石、尿路閉塞、腎移植又は抑制の乏しい真性糖尿病の患者における尿路の逆行性カンジダ症を含む)、コクシジオイデス症(他の化学療法に十分に応答しない慢性疾患を含む)、クリプトコックス症、ヒストプラスマ症、ムコール菌症(例えば、頭蓋顔面ムコール菌症及びムコール肺炎を含む)、パラコクシジオイデス症及びスポロトリクム症が挙げられる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物自体を投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。医薬組成物におけるような用語「組成物」は、活性成分と、担体を構成する不活性成分(医薬的に許容される賦形剤)とを含む生成物ばかりでなく、任意の2つ以上の成分の会合、複合体化もしくは凝集の結果として、または1つ以上の成分の解離の結果として、または1つ以上の成分の別のタイプの反応もしくは相互作用の結果として、直接もしくは間接的に生ずる任意の生成物も包含する。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の有効成分としては、上記化合物の2種以上を組み合わせて用いることができ、或いは、微小管重合阻害活性を有する他の既知の有効成分を配合することも可能である。
また、本発明の抗癌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物と、既存の抗癌剤と併用した組み合わせ医薬とすることも可能である。既存の抗癌剤としては、当該技術分野において公知のものを用いることができるが、例えば、メトトレキサート、ドキソルビシン、シスプラチン等を挙げることができる。
また、本発明の抗真菌剤は、有効成分である式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物と、既存の抗真菌剤と併用した組み合わせ医薬とすることも可能である。既存の抗真菌剤としては、当該技術分野において公知のものを用いることができるが、例えば、アムホテリシンB、ミコナゾール、フルコナゾール、ミカファンギン等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の種類は特に限定されず、剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。経口投与用又は非経口投与用の任意の製剤形態で提供される。例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は液剤等の形態の経口投与用医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。また、高分子などで被覆した徐放製剤を脳内に直接投与することも可能である。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の割合、又は医薬組成物の製造方法は、組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機又は有機物質あるいは固体又は液体の物質を用いることができ、一般的には、有効成分重量に対して1重量%から90重量%の間で配合することができる。具体的には、その様な物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
本発明の医薬組成物、抗癌剤又は抗真菌剤の投与量及び投与回数は特に限定されず、治療対象疾患の悪化・進展の防止及び/又は治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、医師の判断により適宜選択することが可能である。一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01〜1000mg(有効成分重量)程度であり、一日1回又は数回に分けて、或いは数日ごとに投与することができる。注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001〜100mg(有効成分重量)を連続投与又は間欠投与することが望ましい。
式(I)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、式(I)に包含される化合物のうち代表的化合物についての合成方法を本明細書の実施例に具体的に示した。当業者は本明細書の実施例及び下記のスキームを参照しつつ、必要に応じて出発原料、反応試薬、反応条件などを適宜改変ないし修飾することにより、式(I)に包含される化合物を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
以下の合成スキーム1に従って、本発明の化合物(1)6−(ベンジルオキシ)−3−(4,7−ジメトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−7−メトキシ−4H−クロメン−4−オン(化合物A)を合成した。
合成スキーム1
Figure 0006430246

(1)化合物1の合成
Figure 0006430246

市販の1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタン−1−オン502mg(3.02mmol)を1.45M水酸化ナトリウム水溶液15.0mL(21.8mmol、7.2eq.)、ピリジン15mLに溶解させる。この溶液に0.16Mペルオキソ二硫酸カリウム水溶液36mL(5.8mmol、1.9eq.)を0℃で加える。この溶液を室温で12時間撹拌する。反応終了後、反応溶液を0℃に冷却し、濃塩酸を用いてpH=1にする。この溶液に塩化ナトリウム10gを加え、エチルエーテル60mLで5回抽出する。有機層を合わせ,溶媒を減圧下留去する。残渣に濃塩酸20mLを加え、100℃で45分間加熱還流する。室温まで冷却した後、水30mLを加え、酢酸エチル60mLで5回抽出する。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1→5:1)で精製し、1−(2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタン−1−オン15.3mgを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.48 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.44 (s, 1H), 5.23 (br s, 1H), 3.93 (s, 3H), 2.52 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.6, 158.9, 153.7, 138.0, 114.0, 112.5, 99.7, 56.2, 26.5
(2)化合物2の合成
Figure 0006430246

窒素雰囲気下、1−(2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタン−1−オン50mg(0.28mmol)を無水アセトニトリル1.0mLに溶解させる。この溶液に炭酸カリウム95mg(0.69mmol、2.5eq.)、ベンジルクロリド40μL(0.35mmol、1.3eq.)、テトラブチルアンモニウムヨージド152mg(412μmol、1.5eq.)を室温で加える。この溶液を室温で5時間撹拌する。反応終了後、反応溶液をセライトを用いてろ過した後、溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、1−(5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタン−1−オン45mgを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 12.58 (s, 1H), 7.44-7.30 (m, 5H), 7.10 (s, 1H), 6.45 (s, 1H), 5.13 (s, 2H), 3.91 (s, 3H), 2.43 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 202.1, 160.5, 157.9, 140.5, 136.9, 128.6 (2C), 128.1, 127.7 (2C), 116.5, 111.8, 100.7, 72.7, 56.1, 26.3
(3)化合物3の合成
Figure 0006430246


窒素雰囲気下、1−(5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)エタン−1−オン6.5mg(24μmol)にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.10mL(0.75mmol、31eq.)を室温で加える。この溶液を95℃で2時間撹拌する。反応終了後、この溶液を減圧下留去し、粗(E)−1−(5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オン10mgを得た。得られた粗(E)−1−(5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オンは精製せずに次の反応に用いた。
(4)化合物4の合成
Figure 0006430246

窒素雰囲気下、粗(E)−1−(5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エン−1−オン10mgをクロロホルム0.40mLに溶解させる。この溶液を0℃に冷却し、ピリジン4.0μL(50μmol、2.1eq.)、ヨウ素9.5mg(37μmol、1.5eq.)を加える。この溶液を、遮光条件下室温で15時間撹拌する。反応終了後、反応溶液を0℃に冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液1mLとクロロホルム3mLを加え、抽出する。水層をさらにクロロホルム3mLで3回抽出する。有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により取り除いた後に溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、6−(ベンジルオキシ)−3−ヨード−7−メトキシ−4H−クロメン−4−オン8.4mgを得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.21 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.47 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.39-7.28 (m, 3H), 6.86 (s, 1H), 5.21 (s, 2H), 3.96 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 172.4, 156.9, 155.3, 152.4, 147.2, 136.0, 128.7 (2C), 128.2, 127.7 (2C), 115.1, 107.0, 99.6, 86.6, 71.2, 56.5
(5)化合物Aの合成
Figure 0006430246

窒素雰囲気下、6−(ベンジルオキシ)−3−ヨード−7−メトキシ−4H−クロメン−4−オン8.0mg(20μmol)、2−(4,7−ジメトキシベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン8.4mg(24μmol、1.2eq.)、PdCl(dppf)・CHCl3.5mg(4.3μmol、0.21eq.)の混合物に凍結脱気した1,4−ジオキサン0.45mlと1M炭酸ナトリウム水溶液0.15mlを加える。この溶液を窒素気流下,室温で20時間撹拌する。反応終了後、この溶液に水1mLとクロロホルム3mLを加え、抽出する。水層をさらにクロロホルム3mLで3回抽出する。有機層を合わせ,飽和食塩水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾過により除いた後に溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製する。得られた化合物A7.4mgをクロロホルムに溶解させる。この溶液にPdスカベンジャ(SiliaMetsS(登録商標)Thiourea)10mgを加え、12時間、室温で撹拌する。Pdスカベンジャーを濾過により除いた後に溶媒を減圧下留去する。残渣をゲル濾過リサイクルHPLC(クロロホルム)により精製し、化合物A(6.3mg)を得た。化合物AのNMRスペクトルのチャートを図1に示す。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.01 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.48 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.40-7.28 (m, 3H), 6.89 (s, 1H), 6.52 (s, 1H), 6.01 (s, 2H), 5.22 (s, 2H), 3.98 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 3.85 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 175.4, 154.9, 153.5, 152.5, 146.8, 139.2, 139.0, 137.1, 136.8, 136.2, 128.7 (2C), 128.2, 127.7 (2C), 121.7, 118.1, 117.8, 110.2, 107.0, 101.9, 99.8, 71.1, 60.2, 56.9, 56.4
[実施例2]
生物活性の評価
(1)チューブリン重合阻害活性
チューブリン重合阻害活性測定は、豚脳から精製したチューブリンをRB緩衝液(100mM MES、1mM EGTA、0.5mM MgCl、pH6.8)に1mg/mlになるように希釈し、薬剤を加えて氷上に5分置いた後、1mMのGTPと1MのGlutamateを加え、37℃に加温することで重合反応を開始した。チューブリン重合は350nmの吸光度で判定した。
(2)K値の算出
αβ-チューブリンに対する親和性(K値)は、トリプトファン蛍光法により判定した。豚脳から精製したチューブリンを1mMのGTPを含むRB緩衝液(100mM MES、1mM EGTA、0.5mM MgCl、pH6.8)に1mg/mlになるように希釈し、薬剤を加えて室温で30分置いた後、蛍光分光器によりトリプトファン蛍光を定量した(励起295nm、蛍光310〜450nm)。蛍光の減少からK値を算出した。
(3)殺細胞活性の評価
殺細胞活性は、ヒト子宮頸がん細胞、HeLa細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO下で培養したHeLa細胞を、各穴3x10cells/ml、100μlずつ96穴プレートに播いた後、18時間後に薬剤を添加した。薬剤添加後48時間後にWST−8試薬を用いて生細胞数を定量した。
(4)動物細胞紡錘体に対する作用
動物細胞紡錘体に対する作用は、ヒト子宮頸がん細胞、HeLa細胞を用いて評価した。10%の牛胎児血清を含むDMEM培地で継代し、37℃、5%CO下で培養したHeLa細胞を、予めカバーグラスを置いた24穴プレートに各穴3×10cells/ml、1mlずつ、播いた後18時間後に薬剤を添加した。薬剤添加後6時間後に3.7%ホルマリンを用いて細胞を固定し、抗チューブリン抗体とヘキスト33258を用いて染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
化合物A、比較例として従来技術の化合物であるGlaziovianin A及びColchicineを用いて、チューブリン重合阻害作用、殺細胞活性及びαβ-チューブリン対するK値を測定した結果を表1に示す。
Figure 0006430246

表1から、本発明の化合物Aは、チューブリン重合阻害作用、殺細胞活性及びαβ-チューブリン対するK値のいずれにおいても従来技術の化合物に比べて強い微小管重合阻害活性を示すことが分かる。特にαβ-チューブリン対するK値(結合の親和性)については、Glaziovianin Aの80倍の値を示した。
図2に、化合物A、比較例として従来技術の化合物であるGlaziovianin A(AG1)を用いて、動物細胞紡錘体に対する作用を評価した結果を示す。化合物Aは、AG1より低濃度で紡錘体微小管を破壊したことを示している。また、その濃度域はビンカアルカロイド類と同程度であった。
図3に、化合物A(1.5μM(■)、3μM(▲))、AG1(10μM(○))、DMSO(コントロール(●))について、微小管重合に対する作用を調べた結果を示す。AG1では、ゆっくりではあるが微小管重合が進行していくのに対して、本発明の化合物Aを用いると、特に3μMでは微小管重合が完全に阻害されることが示されている。
本発明の化合物Aの微小管重合の阻害パターン及び阻害活性は、現在臨床で用いられているビンカアルカロイド類と同等であることから抗がん剤としての利用が可能であると考えられる。

Claims (4)

  1. 以下の式(I):
    Figure 0006430246
    (式中、
    Figure 0006430246
    は、
    リール基を表し、
    は、C1〜8アルキル基、C2〜8アルケニル基、C2〜8アルキニル基又はアリールアルキル基を表し、
    mは、1〜8の整数を表す。)
    で表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
  2. Figure 0006430246
    が、
    Figure 0006430246
    で表される、請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
    (式(1)において、
    、存在する場合は、夫々独立して、ハロゲン原子、C1〜8アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基を表す。)
  3. 請求項1又は2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む微小管重合阻害剤。
  4. 請求項1又は2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む、癌を治療又は予防するための医薬組成物。
JP2014267073A 2014-12-29 2014-12-29 微小管重合阻害剤 Expired - Fee Related JP6430246B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014267073A JP6430246B2 (ja) 2014-12-29 2014-12-29 微小管重合阻害剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014267073A JP6430246B2 (ja) 2014-12-29 2014-12-29 微小管重合阻害剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016124829A JP2016124829A (ja) 2016-07-11
JP6430246B2 true JP6430246B2 (ja) 2018-11-28

Family

ID=56358994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014267073A Expired - Fee Related JP6430246B2 (ja) 2014-12-29 2014-12-29 微小管重合阻害剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6430246B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016124829A (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9242977B2 (en) Trk-inhibiting compound
JP3778207B2 (ja) 2−シアノ−4−フルオロピロリジン誘導体又はその塩
JP2020500207A (ja) カルパインモジュレーター及びそれらの治療上の使用
EP2178870B1 (en) Indole and indazole compounds as an inhibitor of cellular necrosis
JP6884707B2 (ja) イソオキサゾリル置換イミダゾピリジン類
CN110337295A (zh) 化合物以及它们的使用方法
WO2010092962A1 (ja) へテロ環誘導体
US20130165464A1 (en) Heteroaryls and uses thereof
JP2017095366A (ja) 新規ビアリールアミド誘導体
TW201038566A (en) Hydroxy-methyl isoxazole derivatives
CN105263924B (zh) Cxcr7受体调节剂
JP2021521178A (ja) Pi3キナーゼおよびオートファジー経路の調節因子としての三置換アリールおよびヘテロアリール誘導体
KR101819639B1 (ko) 신규한 아릴에텐 유도체 및 이를 유효성분으로 함유하는 약제학적 조성물
JP6100755B2 (ja) (2−ヘテロアリールアミノ)コハク酸誘導体
WO2020020374A1 (zh) 多取代苯环化合物、制备方法及其用途
CN108026069A (zh) 2,3,4,5-四氢吡啶-6-胺衍生物
JP6430246B2 (ja) 微小管重合阻害剤
TW202304882A (zh) 雜環衍生物、醫藥組成物及彼等於治療或改善癌症之用途
WO2015122504A1 (ja) キナーゼ阻害剤
JP6419085B2 (ja) 肺高血圧症治療剤
JP6849229B2 (ja) γ−チューブリン阻害剤
KR101835133B1 (ko) 신규한 아릴에텐 유도체 및 이를 유효성분으로 함유하는 약제학적 조성물
US10772858B2 (en) Benzhydrol derivatives for the management of conditions related to hypoxia inducible factors
JP6569678B2 (ja) 2−アミノチアゾール誘導体またはその塩
KR20210156400A (ko) Cdk 저해제 화합물 및 이의 의약 용도

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180814

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6430246

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees