JP6848920B2 - マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法 - Google Patents

マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法 Download PDF

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Description

本発明は、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法に関する。
近年の自動車等の車体の軽量化ニーズに伴い、ハイテン材と呼ばれる高張力鋼板の需要が高まっている。このようなハイテン材では、マンガン(Mn)などの金属を添加することで高い引張強度を持たせることが一般的である。
マンガン原料として主に用いられるものとして、マンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物やフェロマンガン、金属マンガンなどが挙げられる。マンガン純分あたりのコスト(単価)は、マンガン鉱石、フェロマンガン、金属マンガンの順に低くなる。このため、マンガン原料としてマンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物を選択することで、コスト低減を図ることができる。
しかし、一般的に安価なマンガン原料であるマンガン鉱石やフェロマンガンは、炭素(C)やりん(P)に代表される不純物を多く含んでおり、特にPが0.02mass%〜0.2mass%程度含まれている。このため、安価なマンガン原料を用いてマンガン含有溶銑もしくは溶鋼(合わせて「溶鉄」ともいう。)を溶製する場合、これらのマンガン原料に含まれるPがマンガン含有溶鉄へと移るため、マンガン含有溶鉄に脱りん処理を施す必要が生じる。
マンガンの含有濃度の高い溶鉄に対して、脱りん処理を施す方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。
特開平7−034114号公報
特許文献1に記載の方法では、BaOやBaCO、Ba(OH)、BaSO、BaCl、BaF等のBaを含有するフラックスを使用する。しかしながら、生成するBaOは日本国内では劇物に指定されており、取り扱いについては法律により規制がある。そのため、Baを含有するフラックスを用いる特許文献1の方法では、スラグ処理などに大きな課題が残る。
マンガン含有溶鉄を製造する際のマンガン酸化物含有物及びフェロマンガンといった安価なマンガン原料の使用可能量は、製品のP規格(Pの上限濃度)により支配されている。従って、マンガン含有量が3mass%以上と高い、高マンガン鋼を溶製する場合、マンガン原料としてはP濃度が低く高コストな金属マンガンを用いる割合を高くせざるを得なく、溶製に掛かるコストが非常に高くなることが問題であった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、マンガン酸化物含有物から不純物濃度の低いマンガン原料を回収することで、マンガン含有溶鉄の溶製コストを低減することができる、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、マンガン、カルシウム、シリコン及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、上記マンガン酸化物含有物を粉砕することで、粉砕マンガン酸化物含有物を生成する粉砕工程と、上記粉砕マンガン酸化物含有物を水中に分散させ、上記粉砕マンガン酸化物含有物を含む液体に対し、磁場を印加することで磁着物と非磁着物とに分離する水中磁選工程と、上記水中磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程と、を備えることを特徴とするマンガン原料の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、マンガン含有鋼の溶製方法であって、上記のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、上記溶銑または上記溶鋼のマンガン濃度を調整することを特徴とするマンガン含有鋼の溶製方法が提供される。
本発明によれば、マンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物から不純物濃度の低いマンガン原料を回収することで、マンガン含有溶鉄の溶製コストを低減することができる、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法が提供される。
本発明の一実施形態に係るマンガン原料の製造方法を示すフローチャートである。 実施例1における、超音波による解砕処理前後の粉砕マンガン鉱石の粒度分布の測定結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示すグラフである。
マンガン酸化物含有物の一つであるマンガン鉱石はマンガン以外の成分として主に、Ca,Si(シリコン),Mg(マグネシウム),Al(アルミニウム),Fe(鉄)並びにPの酸化物及び硫化物を含有している。ここで、マンガン酸化物とは、マンガン化合物が元素として少なくとも酸素を含有しているという意味であり、MnSiO12に代表されるケイ酸塩や、MnFeに代表されるスピネル化合物を含む。なお、マンガン鉱石に含まれる酸化物としては、ケイ酸塩及びスピネル化合物の少なくとも一方が含まれていればよい。
発明者らは、発明に先立ち、マンガン鉱石の鉱物相をXRD(X‐ray diffraction)及びEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用いて調査した。その結果、Mn含有相は、非磁性体であるMnO、MnFeに代表される強磁性体のスピネル化合物(以下、「スピネル相」ともいう。)、及びMnSiO12に代表される弱磁性体のケイ酸塩(以下、「ケイ酸塩相」ともいう。)として存在することが確認された。ここで、強磁性体、弱磁性体、非磁性体とは、透磁率の大きさにより分類したものであり、ある一定の磁場強度による磁選を行った場合に磁着しやすいものから順に強磁性体、弱磁性体、非磁性体とする。一方、P含有相は、非磁性体のnCaO・Pの化合物相(以下、「nCaO・P相」ともいう。)を主成分とすることが確認された。また、P含有相は、鉱物により異なるものの大きさが最小で1μm程度であり、Mn含有相とは別の相に存在していることが確認された。
発明者らは、上述の知見から、Mn含有相およびP含有相の磁気特性が異なることに着目し、鋭意検討した結果、粉砕と磁気分離によりマンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物から効果的に不純物を分離できる方法を見出した。
なお、以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<マンガン原料の製造方法>
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係るマンガン原料の製造方法について説明する。本実施形態において、用いられるマンガン酸化物含有物は、マンガン鉱石に代表されるように、マンガン、カルシウム、シリコン及び燐を少なくとも含む。また、マンガン、カルシウム、シリコン及び燐の大部分は、酸化物としてマンガン酸化物含有物に含まれる。
まず、図1に示すように、原料であるマンガン酸化物含有物を粉砕する粉砕工程を行う(S100)。粉砕工程では、粉砕後のマンガン酸化物含有物(以下、「粉砕マンガン物酸物化含有物」ともいう。)が、90%体積累積径が2mm以下となるように、マンガン酸化物含有物の粉砕が行われることが好ましい。また、粉砕工程における粉砕方法は、マンガン酸化物含有物を上述の大きさに粉砕可能な方法であれば制限されない。例えば、粉砕方法としては、振動ミルやカッターミル、ボールミル等を用いた粉砕方法が用いられてもよい。さらに、粉砕工程では、粉砕マンガン酸化物含有物の90%体積累積径を2mm以下とすることで、水中磁選工程において、粉砕マンガン酸化物含有物の表面積が大きくなることから、後述する解砕効果を高めることができる。
次いで、粉砕マンガン酸化物含有物を、水中で磁気分離する水中磁選工程を行う(S102)。
ステップS102では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に投入することで、水中に粉砕マンガン酸化物含有物を分散させる。これにより、Mn含有相の一部が水酸化物であるMn(OH)を形成し始める。このとき、もとのマンガン鉱石中のMn含有相であるマンガンケイ酸塩やスピネル化合物等の体積変化を伴う反応が粉砕マンガン酸化物含有物内で起こるため、内部で発生する応力によって、粉砕マンガン酸化物含有物が解砕する。この解砕では、水酸化物生成時の体積変化による破壊が主であるため、相の境目での分離が促進される。よって、nCaO・P相は、MnFeに代表される強磁性体のスピネル化合物やMnSiO12に代表される弱磁性体のケイ酸塩と分離される。この反応を用いずに粉砕を行おうとする場合、nCaO・P相をMn含有相と引き離すためには、粉砕マンガン酸化物含有物を数μm程度の大きさにまで粉砕する必要があり、非常に粉砕負荷の大きい処理となる。しかし、水酸化物の形成による解砕を用いた方法では、nCaO・P相とMn含有相とを容易に分離することができる。
そして、ステップS102では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に投入した後、粉砕マンガン酸化物含有物を分散させた液体を、磁場を印加した網目状の金属製の枠(以下、単に「網」ともいう。)に通すことで、磁着物と非磁着物とに分離する。この際、磁着物は網側、非磁着物は液体と同じく網下へとそれぞれ移行する。網に磁力印加をする際には、電磁力を使用することで、磁場強度を調整することができる。磁場強度としては、網にMnFeに代表される強磁性体のスピネル化合物及びMnSiO12に代表される弱磁性体のケイ酸塩を磁着させるためには、500G以上とすることが好ましい。また、磁場強度はが大きすぎると、非磁性体を抱き込むことによって、不純物濃度が増加するため、磁場強度を10000G以下とすることが好ましい。なお、現実的に実現できる一般的な設備条件からは、磁場強度を1000G以上、5000G以下とすることがより好ましい。
さらに、水中磁選工程では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に投入し、粉砕マンガン酸化物含有物を解砕する際に、水中に撹拌を印加することが好ましい。水中に撹拌を印加する方法としては、水中にガスを吹き付けるバブリング法や、液体を棒や羽を用いて物理的にかき混ぜる方法等が挙げられる。これにより、粉砕マンガン酸化物含有物の解砕を促進させることができる。撹拌の印加強度は特に限定されないが、印加強度を大きくすることで、解砕をより促進させることができる。
さらに、水中磁選工程では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に投入し、粉砕マンガン酸化物含有物を解砕する際に、水中に超音波を印加することが好ましい。これにより、粉砕マンガン酸化物含有物の表面近傍での撹拌力が増加すると共に、粉砕マンガン酸化物含有物の表面近傍での微小気泡の破裂も起こるため、解砕効果がさらに高められる。超音波を印加する際には、市販の超音波発生機を用いることができる。
このように、水中磁選工程において、撹拌もしくは超音波を印加し、粉砕マンガン酸化物含有物の解砕を促進させる処理を、解砕処理ともいう。水中磁選工程において、解砕処理をさらに行うことにより、解砕効果が高まり、不純物の除去効率を向上させることができる。なお、解砕処理では、撹拌の印加と超音波の印加とを同時に行わってもよい。
ステップS102の後、磁選工程で分離した分離物のうち磁着物をマンガン原料として回収する(S104)。上述のように、磁選工程で分離した磁着物には、MnFeに代表される強磁性体のスピネル化合物やMnSiO12に代表される弱磁性体のケイ酸塩が多く含まれる。このため、ステップS104で回収されたマンガン原料は、回収前のマンガン酸化物含有物に比べ、P濃度が低く、Mn濃度が高いものとなる。
一方、ステップS102の後、磁選工程で分離した分離物のうち非磁着物を不純物として回収する(S106)。ステップS106で回収される非磁着物は、非磁性体のnCaO・Pの化合物を多く含むものであり、回収前のマンガン酸化物含有物に比べ、P濃度が高く、Mn濃度が低いものとなる。
以上の工程を経ることで、マンガン酸化物含有物からP濃度の低いマンガン原料を回収することができる。ステップS104で回収されたマンガン原料は、その後、マンガン含有鋼の溶製に用いられる。例えば、転炉型精錬炉等による脱炭処理が施される前の溶銑に、回収されたマンガン原料を添加することで、マンガン濃度の高い溶銑を溶製することができる。また、転炉型精錬炉等での精錬処理時、転炉型精錬炉等からの出湯時、または真空脱ガス装置や取鍋精錬装置といった2次精錬設備での溶製時において、溶鉄に回収されたマンガン原料を添加することで、マンガン濃度の高い溶鉄を溶製することができる。回収されたマンガン原料は、粉砕前のマンガン酸化物含有物に比べてP濃度が低いため、P濃度が低く高価な他のマンガン原料の少なくとも一部の代替として用いることができるようになり、溶製コストを大幅に低減することができるようになる。
この効果は、ハイテン材のようにMn濃度が高い高マンガン鋼の溶製においては、特に顕著なものとなる。また、Mnを含有する鋼種であれば、効果に違いはあるものの、高マンガン鋼に限らず適用することで溶製コストを低減することができる。特に、2次精錬設備で溶製をする際には、当該の溶製工程を含むそれ以降の工程において、脱りん処理を行うことが難しいため、回収されたマンガン原料を使用することによる効果が大きくなる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に投入し、粉砕マンガン酸化物含有物を解砕する際に、撹拌もしくは超音波を印加する解砕処理を行ってもよいとしたが本発明はかかる例に限定されない。解砕処理は、粉砕マンガン酸化物含有物を分散させた液体を、磁場を印加した網に通す際、つまり磁選をする際に行われてもよい。この際、設備の構成を簡易にする観点からは、水中に超音波を印加することが好ましい。
また、上記実施形態では、粉砕マンガン酸化物含有物を分散させた液体を、磁場を印加した網に通すことで磁選を行うとしたが、本発明はかかる例に限定されない。磁選工程では、粉砕マンガン酸化物含有物を分散させた液体中の磁性体を磁着可能な構成であれば、他の磁選方法や装置を用いてもよい。
さらに、マンガン酸化物含有物は、マンガン鉱石に限らず、MnSiO12、CaMnSiO12、Mn及びMnFeの少なくとも一つを鉱物相として有していればよい。なお、マンガン酸化物含有物は、これらの鉱物相を、合計で50mass%以上含んでいることが好ましい。また、マンガン鉱石においても、上記実施形態に限らず、マンガン酸化物の鉱物相として、MnSiO12、CaMnSiO12、Mn及びMnFeの少なくとも一つを有していればよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係るマンガン原料の製造方法は、マンガン、カルシウム、シリコン及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、マンガン酸化物含有物を粉砕することで、粉砕マンガン酸化物含有物を生成する粉砕工程(S100)と、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に分散させ、粉砕マンガン酸化物含有物を含む液体に対し、磁場を印加することで磁着物と非磁着物とに分離する水中磁選工程(S102)と、水中磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程(S104)と、を備える。
上記(1)の構成によれば、水中磁選工程では、Mn含有相の一部が水酸化物を形成することで、粉砕マンガン酸化物含有物が解砕し、nCaO・P相が強磁性体のスピネル化合物や弱磁性体のケイ酸塩と分離される。そして、この分離した強磁性体のスピネル化合物や弱磁性体のケイ酸塩を、水中磁選工程で分離することで、P濃度が低くMn濃度が低い、マンガン原料が回収される。このマンガン原料は、粉砕前のマンガン酸化物含有物に比べてP濃度が低いため、マンガン含有鋼の溶製に用いることで、フェロマンガンや金属マンガンといった高価なマンガン原料の使用量を低減させることができ、溶製に掛かるコストを低減することができる。
また、上記(1)の構成によれば、マンガン酸化物含有物を用いた場合において、溶製する溶鉄を脱りん処理する必要がなくなる。このため、BaOに代表される劇物を使用することなく、マンガン鋼を溶製することができるようになる。
さらに、上記(1)の構成によれば、粉砕工程にてマンガン酸化物含有物を粉砕することで、粉砕マンガン酸化物含有物の表面積を大きくすることができ、上記の解砕を促進させることができる。
(2)上記(1)の構成において、マンガン酸化物含有物は、MnSiO12、CaMnSiO12、Mn及びMnFeの少なくとも一つの鉱物相として有する。
上記(2)の構成によれば、磁性がある鉱物相を分離・回収することができるようになる。
上記(2)の構成とすることで、磁着側のマンガン濃度を高位に保つことができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、粉砕工程では、粉砕マンガン酸化物含有物の90%体積累積径が2mm以下となるまで粉砕する。
上記(3)の構成によれば、粉砕マンガン酸化物含有物の表面積を十分に大きくすることができ、上記の解砕がより促進される。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つの構成において、水中磁選工程では、粉砕マンガン酸化物含有物を水中に分散させた後、粉砕マンガン酸化物含有物を含む液体に、撹拌及び超音波の少なくともいずれか一方を印加し、磁力による分離を行う。
上記(4)の構成によれば、水中の粉砕マンガン酸化物含有物の解砕が促進されることから、よりP濃度が低くMn濃度が高いマンガン原料を回収することができる。なお、上記(4)の構成において、撹拌及び超音波の少なくともいずれか一方を印加する解砕処理は、磁力による分離の前に行われてもよく、磁力による分離と同時に行われてもよい。
(5)本発明の一態様に係るマンガン含有鋼の溶製方法は、マンガン含有鋼の溶製方法であって、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、溶銑または溶鋼のマンガン濃度を調整する。
上記(5)の構成によれば、上記(1)〜(4)と同様な効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例1について説明する。実施例1では、はじめに、マンガン酸化物含有物の一つとして、組成成分の異なる2種類のマンガン鉱石について、成分組成の分析と、XRDによる鉱物相の調査を行った。次に、この2種類のマンガン鉱石を異なる粉砕方法または粉砕条件で粉砕し、水中で磁選を行い、磁着物及び非磁着物の成分組成をそれぞれ調査した。
表1には、条件1及び条件2とした成分組成の異なるマンガン鉱石の成分組成の分析結果を示す。また、表2には、条件1及び条件2のマンガン鉱石のXRDによる鉱物相の分析結果を示す。さらに、表3には、実施例1で用いた各種の粉砕方法と、粉砕条件(90%体積累積径及び20%体積累積径)とを示す。実施例1では、粉砕水準1がカッターミル、粉砕水準2,3が粉砕条件を変えたジェットミルとした。なお、以下では、粉砕工程により粉砕されたマンガン鉱石を、粉砕マンガン鉱石ともいう。
Figure 0006848920
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表4には、粉砕条件1〜3でそれぞれ粉砕した条件1のマンガン鉱石を、ステップS102と同様に水中で磁気分離し、分離した磁着物及び非磁着物を分析した成分組成の分析結果を示す。また、表5には、粉砕条件1〜3でそれぞれ粉砕した条件2のマンガン鉱石を水中で磁気分離し、分離した磁着物及び非磁着物を分析した成分組成の分析結果を示す。なお、本試験において、磁気分離する際の磁場強度は、5000Gとした。また、表4,5の左側の列に記載の「磁選分離無し」の条件は、粉砕マンガン鉱石の成分を示している。
Figure 0006848920
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表4に示すように、条件1のマンガン鉱石の場合、いずれの粉砕方法及び粉砕条件においても、磁着物及び非磁着物として処理前の条件1のマンガン鉱石と異なる成分組成の粉砕マンガン鉱石が得られることが確認できた。特に、磁着物については、処理前の条件1のマンガン鉱石に対して、PやCaOといった不純物の濃度が低くなり、Mn濃度が高くなることが確認できた。一方、非磁着物については、処理前の条件1のマンガン鉱石に対して、Mn濃度が低くなり、不純物の濃度が高くなることが確認できた。
条件2のマンガン鉱石の場合においても、粉砕条件3では、磁選分離無しのものと比較して、非磁着物のP濃度が低下しており、不純物の効果があることが確認できた。しかしながら、粉砕条件1,2では、分析に十分な量の磁着物が採取できなかった。これは、磁性を持つMn含有相が少なかったためであると考えられる。これらの粉砕条件で粉砕したマンガン鉱石に対して、10000Gで磁選分離を行ったところ,少量ではあるが、磁気分離前の粉砕マンガン鉱石よりもP濃度の低いマンガン原料を得られることを確認している。
また、実施例1では、条件1のマンガン鉱石について、ステップS100,S102の処理を行い、ステップS102の水中磁選工程において、粉砕マンガン鉱石をミキサーを用いて水中で1分間撹拌した後、磁気分離を行う条件でマンガン原料の回収の試験を行った。また、この試験では、磁場強度を、1000G、2000G、5000Gまたは10000Gと変えた。なお、上記以外の条件については、表4に示す粉砕条件2と同じとした。
表6に、撹拌を印加した磁場強度が異なる条件での、磁着物及び非磁着物の成分組成の分析結果を示す。表6に示すように、水中での撹拌処理により、得られたマンガン原料の不純物濃度が低下し、品位が向上することが確認できた。これは、撹拌により解砕が促進され、不純物の単体分離効果が向上したためであると考えられる。また、磁場強度を大きくすると、マンガン原料の回収率は向上することが確認できた。しかし、磁場強度の増加に伴い、不純物濃度もゆるやかに増加するため、目標の品位に合わせて磁場強度を調整する必要があることが確認できた。
Figure 0006848920
さらに、実施例1では、解砕処理として超音波を印加することによる、マンガン酸化物含有物の水中での解砕促進効果についての、原理確認の試験を行った。この試験では、粉砕水準2で粉砕された条件1のマンガン鉱石を水中に投入し、この液体に超音波を15秒間印加した。さらに、超音波による解砕処理前後の粉砕マンガン鉱石の粒度分布をそれぞれ測定した。図2には、解砕処理前後の粉砕マンガン鉱石の粒度分布の測定結果を示す。図2に示すように、超音波を印加することで、粉砕マンガン鉱石の解砕を進み、粒径が小さくなることが確認できた。つまり、解砕処理において、超音波を印加することで、容易かつ高速に粉砕マンガン鉱石を解砕できることが確認された。
さらに、実施例1では、条件1のマンガン鉱石について、ステップS100,S102の処理を行い、ステップS102の水中磁選工程において、超音波を印加しながら磁気分離を行う条件でマンガン原料の回収の試験を行った。また、この試験では、粉砕水準1〜3の粉砕方法または粉砕条件を変えた複数の条件とした。さらに、水中磁選工程における磁場強度は5000Gとした。
表7に、粉砕水準の異なる粉砕マンガン鉱石について超音波を印加した条件での、磁着物及び非磁着物の成分組成の分析結果を示す。表7に示すように、超音波を印加し、解砕がさらに進行することで、単体分離効果がさらに向上することが確認できた。また、この方法によれば、撹拌を印加するよりも短い時間で、粉砕マンガン鉱石の解砕を行うことができることが確認できた。
Figure 0006848920
以上の実施例1の結果から、磁気特性の違いを利用してマンガン鉱石から不純物を取り除くため、粉砕後に水中へ投入することでマンガン含有相と不純物相とを分離し、その後磁力による分離処理を行うことで,不純物相の少ないマンガン含有相を得られることが実証された。また、撹拌や超音波を印加することで単体分離効果が向上することが確認できた。
次に、本発明者らが行った実施例2について説明する。実施例2では、実施例1における条件1のマンガン鉱石について、上記実施形態と同様にマンガン原料の回収を行い、回収したマンガン原料のMn濃度及びP濃度を分析した。また、実施例2では、粉砕前のマンガン鉱石に含まれるマンガン量に対する、回収されたマンガン原料のマンガン量を示す、マンガン原料の回収歩留りを調べた。
実施例2における条件を表8に示す。表8に示すように、実施例2では、条件の異なる実施例2−1〜2−4の4条件でマンガン原料の回収を行った。また、比較として、比較例2−1〜2−4の4条件でもマンガン原料の回収を行った。
実施例2の粉砕工程では、実施例2−1〜2−3及び比較例2−3でカッターミル、実施例2−4でジェットミル、比較例2−4でボールミルをそれぞれ用いてマンガン鉱石を粉砕した。また、粉砕工程では、粉砕後の90%体積累積径を、実施例2−1及び比較例2−3で2mm、実施例2−3,2−4で1mm、実施例2−4及び比較例2−4で50μmとした。なお、比較例2−1,2−2では、粉砕工程を行わず、90%体積累積径を40mmとした。
さらに、実施例2−1では、解砕処理を行わずに水中磁選工程を行い、磁場強度の条件を2000Gとした。実施例2−2では、水中磁選工程にて、解砕処理としてミキサーを用いて撹拌を印加した後に、2000Gの磁場強度で磁選分離を行った。実施例2−3,2−4では、水中磁選工程にて、解砕処理として超音波を印加した後に、5000Gの磁場強度で磁選分離を行った。また、比較例2−1では、水中磁選工程を行わなかった。比較例2−2では、解砕処理を行わずに水中磁選工程を行い、磁場強度の条件を2500Gとした。比較例2−3では、水中磁選工程の代わりに、粉砕したマンガン鉱石をそのまま磁選する、乾式の磁選を、2500Gの磁場強度で行った。
Figure 0006848920
実施例2の結果を表9に示す。ここで、回収歩留は下記(1)式で表される計算式をもって算出した。
回収歩留(%)=(S104で回収されたマンガン原料の重量)
÷粉砕前のマンガン含有酸化物全体の重量×100 ・・・(1)
また、回収されるマンガン原料のP濃度の目標は、粉砕前のマンガン含有酸化物の90%である、0.036mass%以下とし、回収歩留の目標は、60%として評価を行った。
表9に示すように、実施例2−1では、比較例2−1,2−3,2−4に対して、P濃度の低いマンガン原料を得ることができており、水中で磁選することによる優位性が確認できた。また、実施例2−1では、比較例2−2よりもマンガン原料のP濃度を低くすることができており、90%体積累積径を2mm以下とすることによる粉砕促進効果があることが確認できた。実施例2−2では、ミキサーによる解砕処理を追加しているが、これにより実施例2−1よりもP濃度の低いマンガン原料が得られることが確認できた。また、超音波印加による粉砕マンガン酸化物含有物の解砕促進を図った実施例2−3,2−4では、実施例2−2よりもさらにP濃度の低いマンガン原料が得られることが確認できた。以上の結果から、本発明によれば、磁気特性の違いを利用して不純物相の少ないマンガン原料を得ることができることが確認された。
Figure 0006848920
次に、本発明者らが行った実施例3について説明する。実施例3では、実施例2−4で回収されたマンガン原料を用いて、マンガン含有鋼の溶製を行った。実施例3では、350tの転炉型精錬炉に溶銑を装入し、底吹き撹拌と共に上吹きランスからOガスを炉内の溶銑に噴射することで脱炭吹錬を行い、この脱炭吹錬の際に、Mn源として実施例2−4で回収されたマンガン原料を上添加した。また、比較例3として、比較例2−1のマンガン原料であるマンガン酸化物含有物を優先的に用いて、マンガン含有鋼の溶製を行った。比較例3では、マンガン原料以外の条件を実施例3と同様な条件とした。また、比較例3では、Pの上限濃度から、マンガン酸化物含有物が利用できない場合には、P濃度が低い金属マンガンを用いた。
図3に、実施例3及び比較例3における、マンガン鉱石(実施例3の場合にはマンガン鉱石から回収されたマンガン原料)の使用量を示す。なお、図3に示す例は、マンガン含有鋼のPの上限濃度に対する、要求されるMn濃度の比が、1000程度の鋼種における、溶製時のマンガン鉱石の使用量を示す。また、図3の縦軸は、比較例3をマンガン鉱石の使用量を1とした指標である。図3に示すように、実施例3では、比較例3に比べてマンガン鉱石の使用量が飛躍的に増加することが確認できた。これにより、マンガン含有鋼の溶製時の溶製コスト(特に、合金コスト)を低減できることが確認できた。

Claims (3)

  1. マンガン、カルシウム、シリコン及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、前記マンガン酸化物含有物を粉砕することで、粉砕マンガン酸化物含有物を生成する粉砕工程と、
    前記粉砕マンガン酸化物含有物を水中に分散させ、前記粉砕マンガン酸化物含有物を含む液体に対し、磁場強度が10000G以上の磁場を印加することで磁着物と非磁着物とに分離する水中磁選工程と、
    前記水中磁選工程で分離された磁着物を回収し、マンガン原料とする工程と、
    を備え
    前記マンガン酸化物含有物は、Mn SiO 12 、CaMn SiO 12 、Mn 及びMnFe の少なくとも一つの鉱物相として有し、
    前記粉砕工程では、前記粉砕マンガン酸化物含有物の90%体積累積径が2mm以下となるまで粉砕することを特徴とするマンガン原料の製造方法。
  2. 前記水中磁選工程では、前記粉砕マンガン酸化物含有物を水中に分散させた後、前記粉砕マンガン酸化物含有物を含む液体に、撹拌及び超音波の少なくともいずれか一方を印加し、磁力による分離を行うことを特徴とする請求項1に記載のマンガン原料の製造方法。
  3. マンガン含有鋼の溶製方法であって、請求項1または2に記載のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、前記溶銑または前記溶鋼のマンガン濃度を調整することを特徴とするマンガン含有鋼の溶製方法。
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