本発明の歯科用ミルブランクアセンブリは、歯科用ミルブランク部(X)と支持部(Y)とが接着性組成物(Z)で接着された歯科用ミルブランクアセンブリであって、前記接着性組成物(Z)が、2−シアノアクリル酸エステル(A)を70〜99重量%及び、下記一般式[I]
CH2=C(R1)−CO−X−R2 [I]
(式中、R1は、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、R2は、炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Xは、酸素原子、又は−N(R3)−を示し、R3は、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
で表される化合物(B)を1〜30重量%含むことを特徴とする。
なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
2−シアノアクリル酸エステル(A)としては、2−シアノアクリル酸エチル、2−シアノアクリル酸メチル、2−シアノアクリル酸プロピル、2−シアノアクリル酸ブチル、2−シアノアクリル酸エトキシエチル、2−シアノアクリル酸アリル、2−シアノアクリル酸アリロキシエチル等が挙げられる。このうち、汎用性や硬化速度の点で2−シアノアクリル酸エチル、2−シアノアクリル酸メチルがより好ましく、2−シアノアクリル酸エチルがさらに好ましい。上記2−シアノアクリル酸エステル(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、2−シアノアクリル酸エチルを主成分として含有する市販品の接着剤を使用することも可能である。
一般式[I]のR1としては、水素原子、又はメチル基が好ましい。R2の炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。R3の炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。前記R2及びR3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。前記R2及びR3のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
一般式[I]で表される化合物(B)は、特に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、N,N−ジメチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が好適に挙げられる。上記化合物(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着性組成物(Z)は、2−シアノアクリル酸エステル(A)及び一般式[I]で表される化合物(B)を含む。前記接着性組成物(Z)における2−シアノアクリル酸エステル(A)の含有量は、70〜99重量%であり、75〜98重量%が好ましい。前記接着性組成物(Z)における化合物(B)の含有量は、1〜30重量%であり、2〜25重量%が好ましい。2−シアノアクリル酸エステル(A)と化合物(B)を、攪拌子やメカニカルスターラー等の攪拌方法によって、混合することで得られる。2−シアノアクリル酸エステル(A)は水分と反応することから、前記混合は密閉下で行うことが望ましい。本発明の歯科用ミルブランクアセンブリの性能に影響を及ぼさなければ、その他の任意の化合物を添加することも可能である。接着性組成物(Z)は、実質的に、2−シアノアクリル酸エステル(A)及び一般式[I]で表される化合物(B)のみから構成されていてもよい。本明細書において、「実質的にある成分のみを含む」とは、当該成分以外の成分の含有量が、10質量%未満であり、好ましくは5.0質量%未満であり、より好ましくは1.0質量%未満であり、さらに好ましくは0.5質量%未満であることを意味する。
ミルブランク部(X)は、重合性単量体(C)の硬化物と無機粒子(D)とを含む。ミルブランク部(X)を構成する重合性単量体(C)の硬化物は、例えば、重合性単量体(C)と、重合開始剤(E)とを含む重合性単量体含有組成物を硬化させることによって得られる。
重合性単量体(C)について以下に説明する。重合性単量体(C)は、歯科用コンポジットレジンに用いられる公知の重合性単量体であればよく、特に、ラジカル重合によって重合することができる重合性単量体(以下、ラジカル重合性単量体という)であることが好ましい。ラジカル重合性単量体としては、例えば、α−シアノアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル、α−ハロゲン化アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、桂皮酸エステル、ソルビン酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等のエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体等のアミド類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;モノ−N−ビニル誘導体;スチレン誘導体等が挙げられる。特に、ラジカル重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」との表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体の例を以下に示す。
(i)単官能性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド誘導体
メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド、10−メルカプトデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ii)二官能性(メタ)アクリレート
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(2,2−ビス[4−〔3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(通称Bis−GMA))、ビスフェノールAジグリシジルアクリレート(2,2−ビス[4−〔3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(通称UDMA)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンチルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(iii)三官能性以上の(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキサ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキサヘプタン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1モルとグリセリンジメタクリレート2モルとの付加物等が挙げられる。
重合性単量体(C)としては、前記(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリルアミド誘導体のほかに、カチオン重合が可能であるオキシラン化合物又はオキセタン化合物が挙げられる。
重合性単量体(C)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、前記重合性単量体含有組成物に含まれる重合開始剤(E)について説明する。重合開始剤(E)としては、加熱重合開始剤、光重合開始剤、化学重合開始剤が挙げられる。これらは、1種単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
加熱重合開始剤としては、有機過酸化物類とアゾ化合物類等が挙げられる。
上記加熱重合開始剤として用いられる有機過酸化物類としては、例えば、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記加熱重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記加熱重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記加熱重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。上記加熱重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。上記加熱重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2一ビス(t一ブチルパーオキシ)オクタン、4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチル等が挙げられる。上記加熱重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、例えば、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド等が挙げられる。上記加熱重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドがより好ましく用いられる。
上記加熱重合開始剤として用いられるアゾ化合物類としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチラート)、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、α−ジケトン類、クマリン類等が挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルホスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフエニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩等が挙げられる。ビスアシルホスフィンオキサイド類としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフエニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、及びこれらの塩等が挙げられる。これら(ビス)アシルホスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩が好ましい。
上記光重合開始材として用いられるアルファジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、カンファーキノンが好適である。
上記光重合開始剤として用いられるクマリン類としては、例えば、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−チエノイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−メトキシクマリン、3−ベンゾイルクマリン、7−メトキシ−3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3−(p−ニトロベンゾイル)クマリン、3,5−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、3−カルボキシクマリン、3−カルボキシ−7−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−6−メトキシクマリン、3−エトキシカルボニル−8−メトキシクマリン、3−アセチルベンゾ[f]クマリン、3−ベンゾイル−6−ニトロクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ)クマリン、7−メトキシ−3(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−(4−ニトロベンゾイル)ベンゾ[f]クマリン、3−(4−エトキシシンナモイル)−7−メトキシクマリン、3−(4−ジメチルアミノシンナモイル)クマリン、3−(4−ジフェニルアミノシンナモイル)クマリン、3−[(3−ジメチルベンゾチアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3−[(1−メチルナフト[1,2−d]チアゾール−2−イリデン)アセチル]クマリン、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリン)、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾイル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3−アセチル−7−(ジメチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)、3,3’−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビス(ブトキシエチル)アミノクマリン、10−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11オン、10−(2−ベンゾチアゾイル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン等の特開平9−3109号公報、特開平10−245525号公報に記載されている化合物が挙げられる。
上述のクマリン化合物の中でも、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)及び3,3’−カルボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)が好適である。
これらの光重合開始剤の中でも、歯科用硬化性組成物に広く使われている(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、α−ジケトン類、及びクマリン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、かかる光重合開始剤は、必要に応じて、更に重合促進剤を配合することで、光重合をより短時間で効率的に行うことができる場合がある。
光重合開始剤に好適な重合促進剤としては、主として第3級アミン、アルデヒド類、チオール基を有する化合物、スルフィン酸及び/又はその塩等が挙げられる。
第3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2一ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジイソプロピルアニリン、N,N−ビス(2ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸ブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル等の第3級芳香族アミン;N−メチルジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチルジエタノールアミンジ(メタ)アクリレート、N−エチルジエタノールアミンジ(メタ)アクリレート、トリエタノールアミンモノ(メタ)アクリレート、トリエタノールアミンジ(メタ)アクリレート、トリエタノールアミントリ(メタ)アクリレート等の第3級脂肪族アミンが挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。チオール基を有する化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸等が挙げられる。
スルフィン酸及びその塩としては、例えば、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられる。
化学重合開始剤としては、有機過酸化物を単独で用いることもできるし、有機過酸化物と重合促進剤の組み合わせも好ましく用いられる。化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、前記加熱重合開始剤で例示した有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドがより好ましく用いられる。
化学重合開始剤に使用される重合促進剤は、一般工業界で使用されている重合促進剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合促進剤が好ましく用いられる。また、重合促進剤は、1種単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。具体的には、アミン類、スルフィン酸及びその塩、銅化合物、スズ化合物等が挙げられる。
化学重合開始剤の重合促進剤として用いられるアミン類としては、脂肪族アミン及び芳香族アミンを使用できる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;上記光重合開始剤の重合促進剤として例示した第3級脂肪族アミン等が挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましい。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジイソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸ブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、上記した光重合開始剤の重合促進剤として例示したものが挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが好ましい。
重合促進剤として用いられる銅化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、酢酸第2銅、オレイン酸銅、塩化第2銅、臭化第2銅等が好適に用いられる。
重合促進剤として用いられるスズ化合物としては、例えば、ジ−n−ブチル錫ジマレエート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート等が挙げられる。特に好適なスズ化合物は、ジ−n−オクチル錫ジラウレート及びジ−n−ブチル錫ジラウレートである。
これらのなかでも、重合開始剤(E)としては、光重合開始剤と加熱重合開始剤を併用することが好ましく、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類とジアシルパーオキサイドの組合せがより好ましい。
重合性単量体含有組成物に配合される重合開始剤(E)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(C)100重量部に対して、0.001〜30重量部が好ましい。重合開始剤(E)の配合量が重合性単量体(C)100重量部に対して0.001重量部以上の場合、重合が十分に進行して機械的強度の低下を招くおそれがなく、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合開始剤(E)の配合量が重合性単量体(C)100重量部に対して30重量部以下であると、重合開始剤自体の重合性能が低い場合にでも十分な機械的強度が得られ、さらには組成物からの析出を招くおそれがなく、より好適には20重量部以下である。
本発明で用いる重合性単量体含有組成物には、前記成分以外に、目的に応じて、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、着色剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、蛍光剤等の添加剤をさらに添加していてもよい。
重合性単量体含有組成物は、例えば、重合性単量体(C)、重合開始剤(E)、及び必要により他の成分を配合して混合することにより調製することができる。
次に、ミルブランク部に含まれる無機粒子(D)(無機充填材(D)ともいう。)について以下に説明する。無機粒子(D)は、特に限定されず、公知の無機粒子を用いることができる。具体的には、例えば、各種ガラス類(二酸化珪素(石英、石英ガラス、シリカゲル等)、又は珪素を主成分とし、各種重金属とともにホウ素及び/又はアルミニウムを含有するもの)、アルミナ、各種セラミック類、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、シリカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、二酸化チタン(チタニア)、ヒドロキシアパタイト等の従来公知の物が使用できる。また、無機粒子(D)は、前記無機粒子に重合性単量体を予め添加してペースト状にした後、重合硬化させ、粉砕して得られる有機無機複合粒子(有機無機複合フィラー)を含んでもよい。無機粒子(D)は、前記無機粒子又は前記有機無機複合粒子の1種又は2種以上を組み合わせたものであってもよい。ミルブランクの層が2種以上の層から構成される場合では、各々の層において使用される無機粒子(D)が異なっていてもよい。
また、歯冠修復材料に望まれる重要な物性としては、天然歯と同様の透明性とX線造影性が挙げられる。透明性は、ミルブランク部を構成する、無機粒子(D)と硬化後の重合性単量体の屈折率をできるだけ一致させることで達成される。また、X線造影性の付与のためには、ジルコニウム、バリウム、チタン、ランタン、ストロンチウム等の重金属元素を含む無機酸化物が用いられる。前記重金属元素を含む無機充填材の屈折率は通常高く、1.5〜1.6の範囲内にある。また、(メタ)アクリレート系単量体の硬化物の屈折率は通常、1.5〜1.6の範囲内に調整可能である。本発明において、例えば、前記重金属元素を含む無機充填材(D)と、重合性単量体(C)として(メタ)アクリレート系単量体とが混合された硬化性組成物は、無機充填材(D)と重合性単量体(C)との屈折率差を小さく調節することができるため、得られる歯科用ミルブランクは、X線造影性だけでなく高い透明性を得やすく有用である。
無機粒子(D)は、形態に特に制限が無く、例えば、破砕状、板状、鱗片状、繊維状(短繊維、長繊維)、針状、ウィスカー、球状等各種形状のものが用いられる。無機粒子(D)は、前記形状の一次粒子が凝集した形態でもよく、異なる形状の一次粒子が組み合わされたものでもよい。なお、本発明においては、前記形状を有するよう、無機粒子(D)が何らかの処理(例えば、粉砕)を施されたものであってもよい。
無機粒子(D)の平均粒子径は、歯科用コンポジットレジンの無機充填材として通常用いられる程度の大きさを有するのであればよく、例えば、平均粒子径が0.001〜10μmであるものが挙げられる。平均粒子径は、0.002〜5.0μmであることが好ましく、0.005〜3.0μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、無機粒子(D)の平均粒子径とは、無機粒子の一次粒子の粒子径(平均一次粒子径)を意味し、粒径範囲とは、無機粒子の一次粒子の95%以上が含まれる粒子径の範囲のことである。規定する粒径範囲に含まれない無機粒子がミルブランク部に意図せず含まれていても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限されない。
なお、本明細書において、無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法又は電子顕微鏡観察により求めることができる。具体的には、0.1μm以上の粒子径を有する無機粒子の粒子径測定にはレーザー回折散乱法が、0.1μm未満の粒子径を有する無機粒子(超微粒子)の粒子径測定には電子顕微鏡観察が簡便である。0.1μmはレーザー回折散乱法により測定した値である。
レーザー回折散乱法は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100、島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
電子顕微鏡観察による平均粒子径の測定は、例えば、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−800NA型)により、無機粒子の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子(200個以上)の粒子径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Macview(株式会社マウンテック))を用いて行うことができる。このとき、粒子の粒子径は、その粒子と同一の面積をもつ正円の直径として求められ、粒子数とそれぞれの粒子径より、平均一次粒子径が算出される。
本発明の製造方法では、異なった材質、粒度分布、形態を持つ2種以上の無機粒子を、混合又は組み合わせた無機粒子(D)を用いることもあり、また、本発明の効果を損なわない範囲内で、意図せずに、無機粒子(D)以外の粒子が不純物として含まれていてもよい。
本発明に用いる無機粒子(D)の配合量としては、特に限定されないが、ミルブランク部の全量(重合性単量体(C)、無機粒子(D)、重合開始剤(E)、添加剤(顔料、紫外線吸収剤等)等の合計量)に対して、50〜95質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%がさらに好ましい。
また、無機粒子(D)として、予め表面処理が施された無機粒子を用いることができる。無機粒子に表面処理を施すことで、重合性単量体との馴染みが向上して、無機粒子(D)と重合性単量体(C)とがペースト状になりやすくなる。
表面処理剤としては、公知の表面処理剤を用いることができ、例えば、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物;リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を少なくとも1個有する酸性基含有有機化合物を用いることができる。表面処理剤を2種以上使用する場合は、2種以上の表面処理剤の混合物を無機粒子(D)に適用してもよい。無機粒子(D)を表面処理する方法としては、特に制限なく公知の方法を用いることができる。
前記有機ケイ素化合物としては、R1 nSiX4-nで表される化合物が挙げられる(式中、R1は炭素数1〜12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nはO〜3の整数である。但し、複数のR1、Xは、互いに同じであっても異なっていてもよい。)。
前記有機ケイ素化合物は、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン〔(メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等〕、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン〔(メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等〕等が挙げられる。なお、本発明において「(メタ)アクリロキシ」との表記は、メタクリロキシ基とアクリロキシ基の両者を包含する意味で用いられる。
前記有機ケイ素化合物は、重合性単量体(C)と共重合し得る官能基を有するカップリング剤であることが好ましく、例えば、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン〔(メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12〕、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン〔(メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12〕、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が好ましい。
前記有機チタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられる。
前記有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウム有機酸塩キレート化合物等が挙げられる。
前記リン酸基を含有する酸性基含有有機化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシ−(1−ヒドロキシメチル)エチル〕ハイドロジェンホスフェート、及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、並びにアンモニウム塩等が挙げられる。
また、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を有する酸性基含有有機化合物としては、例えば、WO2012/042911号に記載のものを好適に用いることができる。
前記表面処理剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、無機粒子(D)と重合性単量体(C)との化学結合性を高めて歯科用ミルブランクの機械的強度を向上させるために、前記表面処理剤は、重合性単量体(C)と共重合し得る官能基を有する酸性基含有有機化合物がより好ましい。
表面処理剤の使用量は、特に限定されず、例えば、無機粒子(D)100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましい。
無機粒子(D)の透明性及び色調を変化させる方法としては、例えば、顔料(着色粒子)を無機粒子と混合し、分散させることが挙げられる。顔料は、歯科用コンポジットレジンに用いられる公知の顔料であってもよく、無機顔料、有機顔料のいずれでもよい。無機顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、カドミウムレッド等の硫化物;硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩;アンチモン白、亜鉛華、チタン白、ベンガラ、鉄黒、黄酸化鉄、酸化クロム等の酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;ケイ酸カルシウム、群青等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト等の炭素が挙げられる。有機顔料としては、例えば、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料;ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料;パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料;リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料;ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料が挙げられる。前記顔料は2種以上を併用してもよく、目的とする色調に応じて適宜選択される。特に、耐熱性及び耐光性等に優れることから、チタン白、ベンガラ、鉄黒及び黄酸化鉄を顔料として用いることが好ましい。チタン白としては、局方酸化チタン白が好ましい。
顔料の含有量は、特に限定されず、目的とする色調に応じて適宜調製すればよいが、無機粒子(D)100重量部に対して、0.000001重量部以上であることが好ましく、0.00001重量部以上であることがより好ましく、また、5重量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましい。特に、顔料の含有量は、無機粒子(D)100重量部に対して、0.000001〜5重量部であることが好ましく、0.00001〜1重量部であることがより好ましい。
本発明の歯科用ミルブランク部(X)のサイズは、市販の歯科用CAD/CAMシステムにセットできるような適当な大きさに加工されることが望ましい。望ましいサイズの例としては、例えば、一歯欠損ブリッジの作製に適当な40.0mm×20.0mm×15.0mm程度の直方体状;インレー、オンレーの作製に適当な17.0mm×10.0mm×10.0mm程度の直方体状;フルクラウンの作製に適当な、14.0mm×18.0mm×20.0mm、10.0mm×12.0mm×15.0mm若しくは14.5mm×14.5mm×18.0mm程度の直方体状等が挙げられるが、これらのサイズに限定されるものではない。
本発明の歯科用ミルブランク部(X)の色調は、特に限定されない。ミルブランク部全体が単色(同一色)であってもよいし、色調の異なる2種以上の層からなるミルブランクであってもよい。
重合性単量体(C)を重合する方法は、特に限定されず、加熱重合、光重合及び化学重合等の公知の方法を利用することができる。特に、より機械的強度の高いミルブランクを得る観点から、重合性単量体(C)は、光重合によって重合させた後に、加熱重合によって重合させることが好ましい。前記方法によって、重合率の高い重合体を得ることができる。加熱重合の加熱温度は、特に限定されないが、40〜150℃程度が好ましい。また、より機械的強度の高いミルブランクを得る観点から、重合性単量体(C)を2段階以上に分けて重合させることも好適である。加熱重合時間は、特に限定されないが、1〜70時間程度であってもよい。光重合に用いられる光は、可視光であってもよく、UV光であってもよい。光重合の時間は、特に限定されないが、1〜20分間程度であってもよい。また、窒素ガス等の不活性雰囲気下、又は、減圧環境下において重合性単量体を重合させることで、重合性単量体の重合率を高めることができ、これによって、得られる歯科用ミルブランクの機械的強度がより高まる。
本発明で得られるミルブランクアセンブリに用いられる支持部(Y)は、特に限定されないが、材質としては強度や耐久性、費用、成形性の観点から、アルミニウム、真鍮、樹脂等が用いられ、アルミニウム又は真鍮が好適に使用される。
本発明のミルブランクアセンブリは、ミルブランク部(X)と支持部(Y)とが接着性組成物(Z)で接着されている。接着性組成物(Z)の使用量は特に限定されないが、少なすぎると接着面が不足するために強度不足となり、逆に多すぎると、ミルブランク部(X)と支持部(Y)が接する部分からはみ出してしまい、審美的に好ましくないことから、0.1mg〜100mgが好ましく、1mg〜50mgがさらに好ましく、2mg〜20mgが特に好ましい。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
〔重合性単量体含有組成物の製造例1〕
[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(UDMA)70重量部及びトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)30重量部に、熱重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド1重量部を溶解させることによって、組成物(M−1)を調製した。
〔重合性単量体含有組成物の製造例2〕
2,2−ビス[4−〔3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン(Bis−GMA)50重量部及びヘキサンジオールジメタクリレート(HD)50重量部に、光重合開始剤である2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(TMDPO)0.5重量部、及び、熱重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド(BPO)1重量部を溶解させることによって、組成物(M−2)を調製した。
〔無機粒子(D)の製造例1〕
市販の無機超微粒子(日本アエロジル社製、アエロジルOX 50、平均粒子径:40nm、BET比表面積:50m2/g)100gを水500mLに分散し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン7gを加えて室温で2時間攪拌した。スプレードライヤー(ビュッヒ社製B290型)を用いて噴霧乾燥後、90℃で3時間乾燥することによって、表面処理された粉末状の無機粒子(D−1)を得た。
〔無機粒子(D)の製造例2〕
市販のバリウムボロアルミノシリケートガラス粉末(ショット社製GM27884、グレード:NF180、平均粒子径:0.18μm)200gをエタノール500mLに分散し、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8g及び水5gを加えて室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、さらに90℃で3時間乾燥することによって、表面処理された粉末状の無機粒子(D−2)を得た。
〔無機粒子(D)の製造例3〕
市販のシリカジルコニア球状充填材(Sukgyung社製、平均粒子径:0.20μm、粒径範囲:0.05〜0.40μm)100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6g及び水3gを用いて、無機粒子(D)の製造例2と同様の操作を行うことによって、表面処理された球状の無機粒子(D−3)を得た。
〔無機粒子(D)の製造例4〕
スプレードライヤー(ビュッヒ社製B290型)を用いて、市販のシリカゾル(日産化学社製、平均一次粒子径:10nm、BET比表面積:180m2/g)を噴霧乾燥することによって無機超微粒子が凝集し、粉末状の凝集粒子が得られた。該凝集粒子は、平均粒子径が5μmの球状粒子であり、粒径範囲が0.5μm〜15μmであった。前記凝集粒子を800℃で1時間焼成した後、該凝集粒子100gに対して、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20g及び水10gを用いて無機粒子(D)の製造例2と同様の操作を行うことによって、表面処理された無機粒子(D−4)を得た。
〔ミルブランク部(X)の製造例1〕
重合性単量体含有組成物(M−1)5.0gに対し、無機粒子(D−1)10.0gをガラス製の乳鉢に測量し、混合した。その混合したペーストの気泡を取り除くため、減圧条件にて脱泡を実施しペーストを得た。14.5mm×14.5mm×18mmのテフロン製の収納容器を用い、14.5mm×18mm面に対して、先に得たペーストを14.5mmの厚みまで充填した。得られた重合前のペーストを容器内で50℃24時間加熱重合させ、続いて110℃12時間加熱重合させた。重合工程終了後、容器から取り出して、目的とするミルブランク部(X−1)を得た。
〔ミルブランク部(X)の製造例2〜4〕
無機粒子(D−1)を、各々(D−2)、(D−3)、又は(D−4)に変えた以外は、上記ミルブランク部(X)の製造例1と同様の実験方法で各々のミルブランク部(X−2)、(X−3)、(X−4)を製造した。
〔ミルブランク部(X)の製造例5〕
重合性単量体含有組成物(M−1)を(M−2)に変えた以外は上記ミルブランク部(X)の製造例1と同様の実験方法でミルブランク部(X−5)を製造した。
〔接着性組成物(Z)の製造例1〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)90gとメチルメタクリレート(和光純薬社製)10gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z−1)を調製した。
〔接着性組成物(Z)の製造例2〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)98gとメチルアクリレート(和光純薬社製)2gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z−2)を調製した。
〔接着性組成物(Z)の製造例3〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)75gとn−ブチルメタクリレート(和光純薬社製)25gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z−3)を調製した。
〔接着性組成物(Z)の製造例4〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)90gとN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬社製)10gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z−4)を調製した。
〔接着性組成物(Z)の製造例5〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)90gとエチルメタクリレート(和光純薬社製)10gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z−5)を調製した。
〔接着性組成物(Z’)の製造例6〕
2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)60gとメチルメタクリレート40gとをガラス容器中、25℃で密閉下攪拌子を用いて10分間攪拌し、接着性組成物(Z’−6)を調製した。
〔ミルブランクアセンブリの実施例1〕
アルミニウム製の台座部(支持部)の接着材塗布部位に、接着性組成物(Z−1)を10mg塗布し、ミルブランク部(X−1)と接着させて1日間放置して、ミルブランクアセンブリ(F−1)を製造した。
〔ミルブランクアセンブリの実施例2〜10〕
ミルブランク部(X)の種類、接着性組成物(Z)の種類及びその塗布量を表1に記載されるように変えた以外は、ミルブランクアセンブリの実施例1と同様にして、ミルブランクアセンブリ(F−2)〜(F−10)を製造した。
〔ミルブランクアセンブリの実施例11〕
台座部(支持部)(Y)として、アルミニウム製の台座部に代えて真鍮製の台座部を用いたこと以外は、ミルブランクアセンブリの実施例10と同様にして、ミルブランクアセンブリ(F−11)を製造した。
〔ミルブランクアセンブリの比較例1〕
接着性組成物(Z−1)の代わりに、接着性組成物(Z’−6)を用いたこと以外は、ミルブランクアセンブリの実施例1と同様にして、ミルブランクアセンブリ(F−12)を製造した。
〔ミルブランクアセンブリの比較例2〕
接着性組成物(Z−1)の代わりに、2−シアノアクリル酸エチル(和光純薬社製)のみを用いたこと以外は、ミルブランクアセンブリの実施例1と同様にして、ミルブランクアセンブリ(F−13)を製造した。
試験1(シャルピー衝撃試験)
得られたミルブランクアセンブリの耐衝撃性評価をシャルピー衝撃試験機(株式会社ナビック製;アーム長105mm、アーム重量300g)を用いて、以下の方法により行った。試験機の成形品用台にミルブランクアセンブリを固定し、SUS製の振り子(先端部100g錘)を振り子の調整角度を30°に設定し、そのまま振り子をミルブランクアセンブリの台座部へ衝突させた。振り子の回転軸中心からミルブランクアセンブリの中心距離までは100mmであった。試験数は各5個とし、全試験数において、衝撃によって台座部が外れなかったものを合格とした。結果を表1に示す。
試験2(せん断接着試験)
得られたミルブランクアセンブリのせん断接着試験を(株式会社島津製作所、オートグラフAG−I 100kN)を用いて、試験速度1.0mm/分の条件によって行った。試験結果を下記表1に示す。せん断接着強さが1500N以上を合格とした。