以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
また、以下に開示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、電池セル2の厚さ方向に沿い、Y方向は、電池セル2の幅方向に沿い、Z方向は、電池セル2の高さ方向に沿う。X方向は、第二の方向の一例であり、Y方向は、第三の方向の一例であり、Z方向は、第一の方向の一例である。
<第1実施形態>
図1は、電池モジュール1の断面図であって、図2におけるI−I断面図であり、図2は、図1のII−II断面図である。図1,2に示されるように、電池モジュール1は、例えば、複数の電池セル2と、筐体3と、ガイド部材4〜6と、熱吸収部材8(図2参照)と、弾性部材9と、を備えている。電池モジュール1は、電池ユニットや、組電池等とも称され、電池セル2は、単電池や、電池等とも称されうる。また、ガイド部材4〜6は、通路構成部材や、覆部材、ダクト、フレーム等とも称されうる。なお、ガイド部材4〜6は、筐体3とは別体で構成されてもよいし、筐体3と一体、すなわち筐体3の一部として構成されてもよい。
電池モジュール1は、種々の装置や、機械、設備等に設置され、それら種々の装置や、機械、設備の電源として使用される。例えば、電池モジュール1は、自動車の電源等、移動型の電源としても使用される他、例えば、POS(Point Of Sales)システム用の電源等、定置型の電源としても使用されうる。なお、電池モジュール1に含まれる電池セル2の数や配置等は、本実施形態で開示されるものには限定されない。
電池セル2は、例えば、リチウムイオン二次電池等で構成されうる。なお、電池セル2は、ニッケル水素電池や、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池等、他の二次電池であってもよい。リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種であり、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。正極材料としては、例えば、リチウムマンガン複合酸化物や、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物等が用いられ、負極材料としては、例えば、チタン酸リチウム(LTO)等の酸化物系材料や、ニオブ複合酸化物等の酸化物材料等が用いられる。また、電解質(例えば、電解液)としては、フッ素系錯塩(例えばLiBF4、LiPF6)等のリチウム塩が配合された、例えば、炭酸エチレンや、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジメチル等の有機溶媒等が単独であるいは複数混合されて用いられる。
図3は、電池セル2の斜視図である。図3に示されるように、電池セル2は、セル筐体20と、正極端子23と、負極端子24と、を有する。セル筐体20は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。電池セル2は、所謂角型缶タイプのものであり、缶セル等とも称されうる。正極端子23および負極端子24は、電極部の一例である。また、セル筐体20は、第二の筐体とも称され、筐体3は、第一の筐体とも称される。
セル筐体20は、例えば、セルケース21と、蓋22と、を有する。セルケース21は、一端側(上端側)が開放された直方体状の箱型に構成されている。蓋22は、長方形状の板状に構成され、セルケース21の開放された部分を塞いでいる。セルケース21と蓋22とは、例えば、溶接等によって互いに結合され、結合された部分から液体や気体等が漏れるのが抑制されている。セルケース21は、第一筐体部材や、下ケース等とも称され、蓋22は、第二筐体部材や、上ケース、カバー等とも称されうる。
また、セル筐体20の内部には、例えば、電極体や、電解液等が収容されている。電極体は、例えば、正極シートと、負極シートと、絶縁層(セパレータ)と、を有する。電極体は、正極シート、負極シート、および絶縁層が巻回されて、扁平形状に構成されうる。電極体は、電極群であって発電要素として機能する。
正極端子23は、セル筐体20内で電極体の正極シートと電気的に接続され、負極端子24は、セル筐体20内で電極体の負極シートと電気的に接続されている。なお、蓋22の正極端子23と負極端子24との間には、弁部が設けられうる。弁部は、セル筐体20内の圧力が閾値よりも高くなった場合に開放され、当該セル筐体20内の圧力を低下させる。
また、セル筐体20は、互いに別の方向を向いた複数の面20a〜20f(外面)を有する。面20aは、セル筐体20のうち蓋22に設けられ、Z方向を向いている。面20aには、正極端子23および負極端子24が露出している。面20aは、端子面や上面等と称される。面20aは、第一の面の一例である。
面20bは、セル筐体20のうちセルケース21に設けられ、Z方向の反対方向、すなわち面20aとは反対側を向いている。面20bは、底面や下面等と称される。面20bは、第三の面の一例である。面20bおよび面20aは、Z方向の視線では、Y方向に長い長方形状に構成されている。
面20c〜20fは、セル筐体20のセルケース21と蓋22とに亘って設けられている。面20e,20cは、X方向およびその反対方向を向き、面20d,20fは、Y方向およびその反対方向を向いている。面20c〜20fは、面20a,20bと交差した面であり、側面等と称されうる。また、面20c,20eは、長側面等とも称され、面20d,20fは、短側面等とも称されうる。面20c,20eは、第二の面の一例である。
図1,2に示されるように、複数の電池セル2は、筐体3内において、例えば、三列に並べられている。具体的には、筐体3には、X方向に並ぶ四つの電池セル2を有した列L1と、列L1のY方向に位置されX方向に並ぶ四つの電池セル2を有した列L2と、列L2のY方向に位置されX方向に並ぶ四つの電池セル2を有した列L3と、が設けられている。複数の電池セル2は、それぞれの面20a(端子面)が同じ方向(Z方向)を向き、かつそれぞれの面20aの長手方向が同じ方向(Y方向)に沿うように配置されている。列L1は、第一の列の一例であり、列L2は、第二の列の一例であり、列L3は、第三の列の一例である。
筐体3は、例えば、Y方向に横長の直方体状の箱型に構成されている。図1,2に示されるように、筐体3は、底壁部3aや、天壁部3b、側壁部3c,3e、端壁部3d,3f、中間壁部3g等の複数の壁部を有している。
底壁部3aは、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びるとともに、Y方向に長い長方形状の板状に構成されている。底壁部3aは、電池セル2の面20b(底面)を覆っている。また、底壁部3aには、後述する複数の貫通孔3sが部分的に設けられている。底壁部3aは、第一の壁部の一例である。
側壁部3c,3e(図1参照)は、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。側壁部3c,3eは、底壁部3aの短手方向、すなわちX方向の両端部と接続されている。側壁部3c,3eは、電池セル2の面20c,20e(長側面)を覆っている。
端壁部3d,3fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。端壁部3d,3fは、底壁部3aの長手方向、すなわちY方向の両端部と接続されている。また、端壁部3d,3fは、側壁部3c,3eのそれぞれと接続されている。端壁部3d,3fは、電池セル2の面20d,20f(短側面)を覆っている。また、端壁部3d,3fには、後述する複数の貫通孔3tが部分的に設けられている。端壁部3d,3fは、第三の壁部の一例である。
天壁部3b(図2参照)は、底壁部3aに沿って延びた長方形状の板状に構成されている。天壁部3bは、側壁部3c,3eおよび端壁部3d,3fの、底壁部3aとは反対側の端部と接続されている。
中間壁部3gは、天壁部3bと同様に、底壁部3aに沿って延びた長方形状の板状に構成されている。中間壁部3gは、底壁部3aと天壁部3bとの間に位置され、側壁部3cと側壁部3eとの間、および端壁部3dと端壁部3fとの間に架け渡されている。中間壁部3gは、電池セル2の面20a(端子面)を覆っている。また、中間壁部3gには、電池セル2の正極端子23および負極端子24が貫通する開口部が設けられうる。中間壁部3gは、隔壁部や、分離壁、仕切壁等とも称されうる。中間壁部3gは、第二の壁部の一例である。
また、中間壁部3gと天壁部3bとの間の空間部には、発熱部品7が収容されている。発熱部品7は、例えば、電池セル2の電圧や温度を監視するための監視基板や、電池制御のための制御基板等である。なお、発熱部品7は、この例には限定されず、例えば、複数の電池セル2を直列や並列に電気的に接続するための導電部材(バスバー)等を含む。
筐体3は、例えば、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)や、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の絶縁性を有した合成樹脂材料で構成されている。また、筐体3の合成樹脂材料としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、PEや、PP、PMP等のオレフィン樹脂、PETや、PBT、PEN等のポリエステル系樹脂、POM樹脂、PA6、PA66、PA12等のポリアミド系樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂等の結晶性樹脂およびそれらのアロイ樹脂、あるいは、PSや、PC、PC/ABS、ABS、AS、変性PPE、PES、PEI、PSF等の非結晶性樹脂およびそれらのアロイ樹脂を、用いることができる。
また、筐体3は、複数の部品(分割体)が組み合わせられて構成されている。具体的には、筐体3は、例えば、ケース31と、カバー32と、を有する。ケース31は、少なくとも、底壁部3aと、側壁部3c,3eおよび端壁部3d,3fの一部(下側部分)と、を有する。カバー32は、少なくとも、中間壁部3gと、側壁部3c,3eおよび端壁部3d,3fの一部(上側部分)と、天壁部3bと、を有する。また、カバー32は、例えば、天壁部3bを含むトップカバーと、中間壁部3gと側壁部3c,3eおよび端壁部3d,3fの一部(上側部分)とを含むミドルカバーと、に分割可能である。
カバー32は、ケース31における電池セル2の収容部分を塞ぎ、ケース31と一体化される。ケース31とカバー32とは、例えば、結合具や、溶接、接着剤等によって互いに結合されうる。ケース31は、第一筐体部材や、下ケース等とも称され、カバー32は、第二筐体部材や、上ケース、蓋等とも称されうる。
図4は、図1のIV−IV断面図である。図1,4に示されるように、複数の電池セル2は、互いにX方向に隙間S1をあけた状態で、筐体3に支持されている。隙間S1は、電池セル2の面20c,20e(長側面)に沿って、すなわちY方向およびZ方向に沿って、広がっている。
また、各列L1〜L3の、X方向の端部の電池セル2と側壁部3eとの間、およびX方向の反対方向の端部の電池セル2と側壁部3cとの間には、それぞれ隙間S2が設けられている。隙間S2は、電池セル2の面20c,20eおよび側壁部3c,3eに沿って、すなわちY方向およびZ方向に沿って、広がっている。隙間S1,S2は、冷却通路の一例である。
また、本実施形態では、例えば、底壁部3aや中間壁部3g等の隙間S1,S2と対向する部分には、Z方向の中央側に向かって僅かに突出する不図示のリブ等が設けられうる。筐体3は、このリブによって隙間S1,S2を保持した状態で、複数の電池セル2を支持することができる。図1に示されるように、隙間S1のX方向に沿った幅と、隙間S2のX方向に沿った幅とは、略同じである。なお、隙間S1,S2は、この例には限定されず、例えば、二つの電池セル2に臨む隙間S1を隙間S2よりも大きくしてもよい。
また、底壁部3aには、複数の貫通孔3sが設けられている。貫通孔3sは、隙間S1,S2に臨んでおり、貫通孔3sと隙間S1,S2とは、Z方向に並んでいる。複数の貫通孔3sは、X方向およびY方向に互いに間隔をあけて設けられている。なお、図4に示されるように、底壁部3aの電池セル2の面20b(底面)とZ方向に重なる部分には、貫通孔3sは設けられていない。すなわち、電池セル2の面20bは、底壁部3aによって覆われている。
また、図1に示されるように、端壁部3d,3fには、複数の貫通孔3tが設けられている。貫通孔3tは、隙間S1,S2に臨んでおり、貫通孔3tと隙間S1,S2とは、Y方向に並んでいる。複数の貫通孔3tは、X方向に互いに間隔をあけて設けられている。貫通孔3tは、例えば、Z方向に沿って細長く延びるスリット状に構成されうる。なお、端壁部3d,3fの電池セル2の面20d,20f(短側面)とY方向に重なる部分には、貫通孔3tは設けられていない。すなわち、電池セル2の面20d,20fは、端壁部3d,3fによって覆われている。
よって、隙間S1,S2には、図2に示されるように、貫通孔3sが設けられた底壁部3aと、開口部が設けられない閉じられたZ方向の中間壁部3gとが臨んでおり、隙間S1,S2のY方向およびその反対方向は開放されている。したがって、ガイド部材4内に導入された空気流は、貫通孔3sを介して隙間S1,S2内に流れ、隙間S1,S2内でZ方向からY方向およびその反対方向に向けて曲がり、隙間S1,S2内から貫通孔3tを介してガイド部材5,6内に流れる。貫通孔3sは、導入孔の一例であり、貫通孔3tは、排出孔の一例である。
図2に示されるように、ガイド部材4は、底壁部3aの電池セル2とは反対側、すなわちZ方向の反対方向から底壁部3aを覆っている。ガイド部材4は、例えば、複数の壁部4a〜4dを有する。壁部4aは、底壁部3a(XY平面)に沿って延びており、底壁部3aのZ方向の反対方向に間隔をあけて設けられている。また、壁部4bは、端壁部3f(XZ平面)に沿って延びており、壁部4aのY方向の反対方向の端部と端壁部3fとの間に渡っている。壁部4bは、端壁部3fの一部を構成しうる。
図4に示されるように、壁部4cおよび壁部4dは、いずれも、側壁部3c,3e(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部4cは、壁部4aのX方向の反対方向の端部と側壁部3cとの間に渡り、壁部4dは、壁部4aのX方向の端部と側壁部3eとの間に渡っている。壁部4c,4dは、側壁部3c,3eの一部を構成しうる。
よって、ガイド部材4には、図2,4に示されるように、壁部4a〜4dおよび底壁部3aによって囲まれ、Y方向に向けて開放された導入通路P1が設けられている。換言すると、底壁部3aは、壁部4b〜4dによって、壁部4aとの間に導入通路P1が設けられた状態で支持されている。また、導入通路P1は、貫通孔3sに臨んでおり、導入通路P1と貫通孔3sとは、Z方向に並んでいる。よって、ガイド部材4内に導入された空気流(冷却風)は、導入通路P1を経由して、貫通孔3sから隙間S1,S2内に流れ出ることができる。
図2に示されるように、ガイド部材5は、端壁部3dの電池セル2とは反対側、すなわちY方向から端壁部3dを覆っている。ガイド部材5は、例えば、複数の壁部5a〜5eを有する。壁部5aは、端壁部3d(XZ平面)に沿って延びており、端壁部3dのY方向に間隔をあけて設けられている。
壁部5bおよび壁部5cは、いずれも、底壁部3a(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部5bは、壁部5aのZ方向の反対方向の端部と底壁部3aとの間に渡っている。壁部5bは、例えば、ガイド部材4の壁部4c,4d上に支持されうる。
また、壁部5cは、天壁部3bのZ方向に間隔をあけて設けられており、壁部5aのZ方向の端部と接続されている。壁部5cのY方向に沿った幅は、壁部5bおよび天壁部3bのY方向に沿った幅の合計と、略同じである。
また、壁部5dおよび壁部5eは、いずれも、側壁部3c,3e(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部5d,5eは、X方向(図2)の視線では、略L字の帯板状に構成されている。そして、壁部5d,5eは、それぞれ、壁部5aと端壁部3dとの間、および壁部5cと天壁部3bとの間に渡っている。壁部5d,5eは、側壁部3c,3eの一部を構成し、壁部5bは、底壁部3aの一部を構成しうる。
よって、ガイド部材5には、図2に示されるように、壁部5a〜5e、端壁部3d、および天壁部3bによって囲まれ、Y方向の反対方向に向けて開放された略L字状の排出通路P2が設けられている。すなわち、排出通路P2には、端壁部3dに沿って延びる第一の通路P21と、第一の通路P21と繋がるとともに天壁部3bに沿って延びる第二の通路P22と、が含まれている。
第一の通路P21は、貫通孔3tに臨んでおり、第一の通路P21と貫通孔3tとは、Y方向に並んでいる。よって、貫通孔3tを介して隙間S1,S2からガイド部材5内に導入された空気は、第一の通路P21および第二の通路P22を経由して、ガイド部材5外に流れ出ることができる。このように、本実施形態では、排出通路P2に第二の通路P22が設けられているため、第二の通路P22を流れる空気と天壁部3bとの熱交換によって、天壁部3bひいてはカバー32内に収容される発熱部品7を冷却することができるという利点がある。
ガイド部材6は、端壁部3fの電池セル2とは反対側、すなわちY方向の反対方向から端壁部3fを覆っている。ガイド部材6は、例えば、複数の壁部6a〜6dを有する。壁部6aは、端壁部3f(XZ平面)に沿って延びており、端壁部3fのY方向の反対方向に間隔をあけて設けられている。また、壁部6bは、底壁部3a(XY平面)に沿って延びており、壁部6aのZ方向の反対方向の端部と底壁部3aとの間に渡っている。壁部6bは、例えば、ガイド部材4の壁部4bから張り出したフランジ等によって支持されうる。
図1に示されるように、壁部6cおよび壁部6dは、いずれも、側壁部3c,3e(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部6cは、壁部6aのX方向の反対方向の端部と側壁部3cとの間に渡り、壁部6dは、壁部6aのX方向の端部と側壁部3eとの間に渡っている。壁部6c,6dは、側壁部3c,3eの一部を構成し、壁部6bは、底壁部3aの一部を構成しうる。
よって、ガイド部材6には、図2に示されるように、壁部6a〜6dおよび端壁部3fによって囲まれ、Z方向に向けて開放された排出通路P2が設けられている。排出通路P2は、貫通孔3tに臨んでおり、排出通路P2と貫通孔3tとは、Y方向に並んでいる。よって、貫通孔3tを介して隙間S1,S2からガイド部材6内に導入された空気は、排出通路P2を経由して、ガイド部材6外に流れ出ることができる。なお、本実施形態では、ガイド部材5,6の排出通路P2の出口は、共用されている。
ガイド部材4〜6と筐体3とは、例えば、結合具や、溶接、接着剤等によって互いに結合されうる。ガイド部材4は、第一のガイド部材の一例であり、ガイド部材5は、第二のガイド部材の一例であり、ガイド部材6は、第三のガイド部材の一例である。ガイド部材4〜6は、例えば、金属材料や、合成樹脂材料等によって構成されうる。
図2,4に示されるように、熱吸収部材8は、例えば、電池セル2の面20b(底面)に沿って延びた直方体のブロック状に構成されている。本実施形態では、電池セル2のそれぞれに対応して、複数の熱吸収部材8が各電池セル2の面20bと底壁部3aとの間に設けられている。
熱吸収部材8は、例えば、Z方向(上方)を向き面20bと熱的に接続可能な面8aと、X方向またはその反対方向を向き隙間S1,S2と面する面8bと、を有している。面8aの大きさは、面20bの大きさと略同じである。本実施形態では、熱吸収部材8が電池セル2から面20b,8aを経て伝わった熱を吸収するとともに、隙間S1,S2を流れる空気流と面8bとの熱交換によって、熱吸収部材8ひいては電池セル2の冷却性が高められている。面8aは、上面や、吸熱面、接続面等とも称され、面8bは、側面や、放熱面等とも称される。
また、図4に示されるように、熱吸収部材8のZ方向に沿った厚さは、底壁部3aのZ方向に沿った厚さよりも厚い。さらに、熱吸収部材8は、例えば、銅等の底壁部3a(筐体3)よりも熱伝導率が高い材料によって構成されている。このような構成により、本実施形態では、熱吸収部材8の面20bとZ方向に重なる領域での熱容量が、底壁部3aのうち面20bとZ方向に重なる領域での熱容量よりも大きくなるよう設定されている。なお、熱吸収部材8は、この例には限定されず、例えば、熱伝導性フィラー(金属材料)が含有された合成樹脂材料等で構成されてもよい。
また、熱吸収部材8と底壁部3aとの間には、それぞれ、弾性部材9が設けられている。弾性部材9は、例えば、板バネや、皿バネ、波バネ等であり、弾性力(反力)によって熱吸収部材8を面20bに押し付けている。これにより、熱吸収部材8と面20bとの密着性が高まるため、熱吸収部材8と電池セル2との間の熱伝導性が向上し、ひいては電池セル2の冷却性を高めることができる。なお、弾性部材9は、この例には限定されず、エラストマや発泡性の合成樹脂材料(例えば、発泡ウレタン等)で構成されてもよい。
図5は、電池モジュール1の一定時間通電時の電池セル2の最大温度上昇比と無次元付加熱容量の関係が示された図である。無次元付加熱容量は、電池セル2の熱容量に対する付加した熱吸収部材8の熱容量の比を示す。セル最大温度上昇比は、付加熱量の無い従来の最大温度上昇値を1とした場合の、各付加熱容量における最大上昇値の比を示している。図5に示される結果から、熱吸収部材8の熱容量(比熱×質量)は、例えば、電池セル2の熱容量に対して0.2以上0.7以下に設定するのが好ましく、さらに好ましくは、0.3以上0.6以下に設定するのが好ましいことが理解できよう。このような設定により、電池セル2の温度上昇を抑制しながら、熱吸収部材8ひいては電池モジュール1の大型化を抑制することができる。
以上のように、本実施形態では、例えば、電池モジュール1は、電池セル2の面20b(第三の面)と熱的に接続された状態に設けられ、底壁部3a(第一の壁部)のうち面20bとZ方向に重なる領域での熱容量よりも大きい熱容量を有した熱吸収部材8を備える。このような構成によれば、例えば、熱吸収部材8が電池セル2の面20d,20f等と熱的に接続された場合と比べて、電池モジュール1が側方(X方向およびY方向)に大型化するのを抑制することができる。また、面20c,20eの隙間S1,S2(冷却通路)を通る冷媒による冷却との組み合わせにより、熱吸収部材8が面20c,20e等と熱的に接続された場合と比べて、電池セル2の冷却性をより高めることができる。
また、本実施形態では、例えば、電池モジュール1は、熱吸収部材8を面20bに押し付ける弾性部材9を備えている。このような構成によれば、例えば、弾性部材9によって、熱吸収部材8と面20bとの密着性が高まるため、熱吸収部材8と電池セル2との間の熱伝導性が向上し、ひいては電池セル2の冷却性がより高まりやすい。
また、本実施形態では、例えば、電池モジュール1は、X方向に隙間S1,S2をあけて並んだ複数の電池セル2を含む列L1と、列L1のY方向に位置され、X方向に隙間S1,S2をあけて並んだ複数の電池セル2を含む列L2とを備え、底壁部3aには、隙間S1,S2に臨む貫通孔3s(導入孔)が設けられている。このような構成によれば、例えば、貫通孔3s(導入孔)が列L1,L2のY方向またはその反対方向に設けられた場合と比べて、隙間S1,S2を流れる空気流による熱吸収部材8および電池セル2の冷却効果のばらつきが抑制されやすい。よって、例えば、場所による電池セル2の温度のばらつきが抑制されやすく、ひいては電池モジュール1の寿命が長くなりやすい。
また、本実施形態では、例えば、筐体3は、列L2のY方向または列L1のY方向の反対方向に位置され、隙間S1,S2に臨む貫通孔3t(排出孔)が設けられた端壁部3d,3f(第三の壁部)を有する。このような構成によれば、例えば、隙間S1,S2内で熱交換を行った空気流を、貫通孔3tから筐体3の外側に排出することができる。
また、本実施形態では、例えば、筐体3は、底壁部3aとZ方向に離間して位置され、隙間S1,S2の底壁部3aとは反対側を閉じた中間壁部3g(第二の壁部)を有する。このような構成によれば、例えば、中間壁部3gによって、貫通孔3sから隙間S1,S2内に入った空気は、中間壁部3gに沿って流れる。これにより、例えば、中間壁部3gひいては中間壁部3gと天壁部3bとの間に収容される発熱部品7の冷却性を高めることができる。
なお、本実施形態では、複数の熱吸収部材8の熱容量が一定である場合が例示されたが、これには限定されず、例えば、図6に示される変形例のように、熱吸収部材8よりも熱容量の小さな熱吸収部材8Aが設けられてもよい。図6の電池モジュール1Aでは、例えば、熱吸収部材8Aは、電池セル2の列L3に対応して設けられている。熱吸収部材8AのX方向に沿った幅は、電池セル2の列L1(L2)に対応した熱吸収部材(例えば、図4の熱吸収部材8)のX方向に沿った幅よりも小さい。このような構成によれば、例えば、導入通路P1を流れる空気流が上流側(図2の左側、列L3側)の熱吸収部材8Aや底壁部3aに触れて暖められること等によって生じる下流側(図2の右側、列L1側)の熱吸収部材8および電池セル2の冷却性の低下が、抑制されうる。よって、例えば、場所による電池セル2の温度のばらつきが抑制されやすく、ひいては電池モジュール1Aとしての寿命が長くなりやすい。
<第2実施形態>
図7,8に示される実施形態の電池モジュール1Bは、上記第1実施形態の電池モジュール1と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
ただし、本実施形態では、例えば、図7,8に示されるように、底壁部3a1が熱吸収部材の機能を有している点が、上記第1実施形態と相違している。具体的には、本実施形態では、底壁部3a1のZ方向に沿った厚さ(図8参照)が、中間壁部3gのZ方向に沿った厚さよりも厚く設定されている。これにより、底壁部3a1のうち面20bとZ方向に重なる領域での熱容量が、中間壁部3gのうち面20bとZ方向に重なる領域での熱容量よりも大きくなっている。よって、本実施形態によっても、例えば、電池モジュール1Bが側方(X方向およびY方向)に大型化するのを抑制できるとともに、面20c,20eの隙間S1,S2(冷却通路)を通る冷媒による冷却との組み合わせにより、電池セル2の冷却性をより高めることができる。
また、図7,8に示されるように、本実施形態では、底壁部3a1と面20bとが、熱伝導性を有した接着剤26を介して互いに結合されている。このような構成によれば、例えば、接着剤26によって、底壁部3a1と面20bとの間の熱伝導性が向上し、ひいては電池セル2の冷却性がより高まりやすい。
なお、底壁部3a1には、例えば、図9に示される変形例のように、幅狭部3a2が設けられていてもよい。幅狭部3a2は、低熱容量部等とも称されうる。図9の電池モジュール1Cでは、例えば、幅狭部3a2は、電池セル2の列L3に対応して設けられている。換言すると、底壁部3a1のうち電池セル2の列L1(L2)に対応した部分の熱容量は、底壁部3a1のうち電池セル2の列L3に対応した部分(幅狭部3a2)の熱容量よりも大きい。このような構成によれば、例えば、導入通路P1の上流側(図7の左側)よりも電池セル2の温度が高くなりやすい導入通路P1の下流側(図7の右側)において、底壁部3a1の熱吸収による電池セル2の冷却性を高めることができる。よって、例えば、場所による電池セル2の温度のばらつきが抑制されやすく、ひいては電池モジュール1Cとしての寿命が長くなりやすい。
<第3実施形態>
図10,11に示される実施形態の電池モジュール1Dは、上記第1実施形態の電池モジュール1と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
ただし、本実施形態では、例えば、図10,11に示されるように、複数の電池セル2が筐体3内において二列に並べられている点が、上記第1実施形態と相違している。さらに、本実施形態では、底壁部3aのY方向の中央位置Cよりも導入通路P1の下流側(図10,11の右側)となる底壁部3aの下流側領域における貫通孔3sの第一の開口率が、中央位置Cよりも導入通路P1の上流側(図10,11の左側)となる底壁部3aの上流側領域における貫通孔3sの第二の開口率よりも大きくなっている。ここで、開口率とは、底壁部3aの面積に対する貫通孔3s(開口部)の面積の比率である。すなわち、第一の開口率は、下流側領域の長さに対する当該下流側領域に設けられた全ての貫通孔3sのY方向に沿った幅の合計値の比率に略等しく、第二の開口率は、上流側領域の長さに対する当該上流側領域に設けられた全ての貫通孔3sのY方向に沿った幅の合計値の比率に略等しい。なお、下流側領域は、底壁部3aの中央位置CとY方向の反対方向の端部(端壁部3f)との間の領域であり、上流側領域は、底壁部3aの中央位置CとY方向の端部(端壁部3d)との間の領域である。
上述した構成により、図10,11に示されるように、隙間S1,S2のうち底壁部3aの下流側領域に臨んだ領域での空気流量が、隙間S1,S2のうち底壁部3aの上流側領域に臨んだ領域での空気流量よりも多くなる。したがって、本実施形態によれば、例えば、導入通路P1を流れる空気流が上流側領域の熱吸収部材8や底壁部3aに触れて暖められること等によって生じる下流側領域の熱吸収部材8および電池セル2の冷却性の低下が、抑制されうる。よって、例えば、上流側領域よりも電池セル2の温度が高くなりやすい下流側領域において、空気流による熱吸収部材8および電池セル2の冷却性が高まりやすい。よって、例えば、場所による電池セル2の温度のばらつきが抑制されやすく、ひいては電池モジュール1Dの寿命が長くなりやすい。
なお、本実施形態では、複数の電池セル2が、4行2列で配置された場合が例示されたが、これには限られず、例えば、1〜3行でも5行以上でもよいし、1〜2列でも4列以上でもよい。図12,13に示す変形例には、複数の電池セル2が4行4列で配置された電池モジュール1Eが示されている。この電池モジュール1Eにおいても、底壁部3aのY方向の中央位置Cよりも導入通路P1の下流側(図12,13の右側)となる底壁部3aの下流側領域における貫通孔3sの第一の開口率が、中央位置Cよりも導入通路P1の上流側(図12,13の左側)となる底壁部3aの上流側領域における貫通孔3sの第二の開口率よりも大きくなるよう設定されている。
<第4実施形態>
図14に示される実施形態の電池モジュール1Fは、上記第1実施形態の電池モジュール1と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
ただし、本実施形態では、例えば、図14に示されるように、筐体3のY方向の反対方向の端部にガイド部材6が設けられていない点が、上記第1実施形態と相違している。さらに、本実施形態では、複数の電池モジュール1Fが互いに積層されて電池装置10が構成されている。電池装置10は、蓄電池装置や、組電池装置、電池ラック等とも称されうる。
電池装置10は、例えば、複数の電池モジュール1Fと、ガイド11と、ファン12と、を備えている。なお、本実施形態では、複数の電池モジュール1FがZ方向(鉛直方向)に並べられた場合が例示されるが、これには限定されず、例えば、X方向(水平方向)に並べられてもよい。また、電池モジュール1Fの数は、3つには限定されず、2つあるいは4つ以上でもよい。
ガイド11は、複数の電池モジュール1FのY方向に位置されている。ガイド11は、例えば、壁部11a,11bを有する。壁部11aは、Z方向の視線では、電池モジュール1F側に向けて開放された略U字状に構成されている。壁部11bは、ガイド部材4の壁部4a(XY平面)に沿って延びており、壁部11aのZ方向の反対方向の端部を閉じている。よって、ガイド11には、壁部11a,11bおよび電池モジュール1Fによって囲まれ、Z方向に向けて開放された分配通路P3が設けられている。分配通路P3は、導入通路P1のそれぞれに臨んでおり、分配通路P3と導入通路P1とは、Y方向に並んでいる。よって、ガイド11内に導入された空気流(冷却風)は、分配通路P3を経由して、導入通路P1に流れ出ることができる。
ファン12は、ガイド11のZ方向の端部、すなわち分配通路P3の上流側の端部に位置されている。ファン12は、ガイド11の外側の空気(外気)を分配通路P3内に吸入する吸気ファンである。よって、本実施形態によれば、ファン12およびガイド11によって、空気流による複数の電池モジュール1Fの冷却性が高まりやすい。
なお、ガイド11およびファン12の配置は、この例には限定されず、例えば、図15に示される第1変形例の電池装置10Aように、複数の電池モジュール1FのY方向の反対方向、すなわち排出通路P2の下流側に位置されてもよい。この場合、ガイド11内には、排出通路P2のそれぞれに臨む集約通路P4が設けられるとともに、ファン12は、集約通路P4内の空気をガイド11の外側に排出する排気ファンとして構成されうる。
また、複数の電池モジュール1Fは、例えば、図16に示される第2変形例のように、ガイド11に取付可能なフランジ部5x,4xを有していてもよい。フランジ部5x,4xは、ガイド部材5,4のY方向の反対方向の端部から、Z方向およびその反対方向に張り出している。ガイド11の壁部11aは、Z方向の視線では、矩形の枠状に構成されており、電池モジュール1Fと対応する部分には、排出通路P2および貫通孔3tに臨む開口部11cが設けられている。フランジ部5x,4xとガイド11とは、例えば、ねじ等の結合具によって互いに結合されうる。結合具によるフランジ部5x,4xとガイド11との締結によって、電池モジュール1Fとガイド11との間、すなわち集約通路P4に隙間が生じるのが抑制されやすい。
また、フランジ部5x(4x)とガイド11とは、例えば、図17に示される第3変形例のように、中間部材としての壁部10aを介して、互いに結合されてもよい。壁部10aは、例えば、複数の電池モジュール1Fが収容される筐体(ラック)の後壁部等である。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本発明は、上記実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成(技術的特徴)によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。