以下、本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の記録媒体再生システムの主要部を示すブロック図である。図2は、図1に示す記録媒体再生システムで行なわれる各ステップを順に示す図(フローチャート)である。図3は、図1に示す記録媒体再生システムで製造される記録媒体の一例を示す平面図である。図4は、図3中のA−A線断面図である。図5は、図1に示す記録媒体再生システムが備える記録媒体再生装置の材料除去部を示す垂直断面図である。図6は、図5中の矢印B方向から見た図である。図7は、図1に示す記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の上流側を示す垂直断面側面図である。図8は、図1に示す記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の下流側を示す垂直断面側面図である。図9は、図8中の二点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大図である。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの座標軸、すなわち、x軸、y軸およびz軸が描かれた図面がある。この図面では、x軸とy軸を含むxy平面が水平方向となっており、z軸が鉛直方向となっている。また、x軸に平行な方向を「x軸方向(第1の方向)」とも言い、y軸に平行な方向を「y軸方向(第2の方向)」とも言い、z軸に平行な方向を「z軸方向(第3の方向)」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、座標軸が描かれた図面では、その上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。また、座標軸が描かれた図面では、その左側を「上流側」、右側を「下流側」と言うことがある。
記録媒体の再生方法は、情報が記録された第1面905(記録面)を有する記録媒体90から新たに記録媒体90を再生する方法であって、第1面905(記録面)に付与され、情報の記録に供された情報記録材料を第1面905(記録面)から除去する第1ステップと、情報記録材料が除去された第1面905(記録面)の少なくとも一部に、セルロース繊維を含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(繊維含有層)を形成する第2ステップと、を有する。
また、記録媒体再生装置1Aは、情報が記録された第1面905(記録面)を有する記録媒体90から新たに記録媒体90を再生する装置であって、第1面905(記録面)に付与され、情報の記録に供された情報記録材料を第1面905(記録面)から除去する材料除去部12と、情報記録材料が除去された記録面の少なくとも一部に、セルロース繊維を含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(繊維含有層)を形成するインク受容層形成部13(繊維含有層形成部)と、を備える。この記録媒体再生装置1Aは、記録媒体の再生方法を実行することができる装置となっている。
このような発明によれば、情報が記録され、不要となった記録媒体90’は、その情報が抹消され、さらに再度の情報の記録が可能な記録媒体90として再生される。また、この再生を繰り返し行なうことができる。
記録媒体の製造方法は、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(記録層)を基材901に形成する層形成ステップと、インク受容層902(記録層)の表面性状を整える処理を行なう処理ステップと、インク受容層902(記録層)を固化する固化ステップと、を有する。
また、記録媒体製造装置1Bは、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(記録層)を基材901に形成するインク受容層形成部13(記録層形成部)と、インク受容層902(記録層)の表面性状を整える処理を行なう表面性状処理部14(処理部)と、インク受容層902(記録層)を固化するインク受容層固化部15(固化部)と、を備える。この記録媒体製造装置1Bは、記録媒体の製造方法を実行することができる装置となっている。
また、記録媒体の再生方法は、情報の記録に供された情報記録材料を基材から除去する除去ステップと、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(記録層)を基材901に形成する層形成ステップと、インク受容層902(記録層)の表面性状を整える処理を行なう処理ステップと、インク受容層902(記録層)を固化する固化ステップと、有する。
また、記録媒体再生装置1Aは、情報の記録に供された情報記録材料を基材から除去する材料除去部12と、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料で構成されたインク受容層902(記録層)を基材901に形成するインク受容層形成部13(記録層形成部)と、インク受容層902(記録層)の表面性状を整える処理を行なう表面性状処理部14(処理部)と、表面性状処理部14(処理部)を固化するインク受容層固化部15(固化部)と、を備える。
このような発明によれば、後述するような記録媒体90を製造することができる。この記録媒体90は、インク受容層902が例えばインクジェット方式での印刷が良好に行なわれるものとなっている。また、インク受容層902に印刷が施された記録媒体90は、不要となる場合がある。この場合、印刷済みの記録媒体90’は、インク受容層902が除去され、その後新たなインク受容層902が形成される。このように、印刷済みの記録媒体90’は、再度印刷が可能な記録媒体90として再生される(製造される)。
図1に示す記録媒体再生システム100は、記録媒体再生装置1Aと、記録媒体製造装置1Bと、制御部11とを備えている。この記録媒体再生システム100を用いることにより、一例として、図3に示す記録媒体90を製造することができる。記録媒体90は、シート状の基材901と、基材901上に形成されたインク受容層902と、を有している。そして、未使用状態の記録媒体90のインク受容層902に印刷を施して使用することができる。この印刷により、インク受容層902には、各種情報が記録されることとなる。各種情報には、例えば、文字、記号、図形、模様、色彩またはこれらの組み合わせ等が含まれる。また、後述するマーキング部(シンボル)904も記録することができる。
また、印刷が施されて使用済みとなった記録媒体90(以下この記録媒体90を「記録媒体90’」と言う)が例えば不要となった場合には、記録媒体90’は、古紙として再利用される。この再利用にも記録媒体再生システム100を用いることができる。この場合、記録媒体90’からインク受容層902を除去して基材901を得る。そして、基材901上にインク受容層902を再度形成することにより、使用状態の記録媒体90が再生される。
なお、記録媒体90’は、本実施形態では使用済みとなった記録媒体90であるが、これに限定されず、例えば、一般的に市販されているPPC(Plain Paper Copier)用紙に直に印刷が施されて使用済みとなったものであってもよい。このような記録媒体90’を再利用するには、記録媒体再生システム100によって、少なくとも印刷された部分をPPC用紙から除去すれば、PPC用紙が基材901として得られる。なお、PPC用紙に対する印刷は、インクによるもの、トナーによるもの等、その態様は問わない。
記録媒体再生システム100では、使用済みの記録媒体90(記録媒体90’)を「1次記録媒体」と言い、1次記録媒体から得られた未使用の記録媒体90を「2次記録媒体」と言うことができる。
まず、記録媒体再生システム100の各部の構成について説明する前に、記録媒体90について説明する。
図3および図4に示すように、記録媒体90は、基材901と、インク受容層902と、を有している。
基材901は、例えば、PPC用紙である。なお、基材901は、古紙を解繊して製造されたリサイクルペーパーであってもよいし、OHP(Over Head Projector)に用いるOHPシート(トレンスペアレンシ)であってもよい。基材901は、このように可撓性を有するものであるが、これに限定されず、剛体であってもよい。また、図3に示す構成では、基材901の平面視での形状(基材901の厚さ方向からみた形状)は、長方形であるが、これに限定されない。基材901が平面視で長方形の場合、そのサイズとしては、特に限定されず、例えば、A判サイズであってもよいし、B判サイズであってもよい。
基材901は、平面視で、基材901の縁部の少なくとも一部に、インク受容層902が設けられていない余白部903を有している。図3に示す構成では、余白部903は、基材901の縁部の全周にわたって帯状に設けられている。このような余白部903が設けられていることにより、例えば記録媒体90を再利用する際に、インク受容層902を除去する場合、余白部903からインク受容層902を容易に除去することができる。
なお、余白部903の幅は、例えば、1mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上7mm以下がより好ましい。余白部903の幅が前記下限値以上であれば、余白部903からインク受容層902を容易に除去することができる。また、余白部903の幅が前記上限値以下であれば、基材901上でのインク受容層902の面積を、印刷可能な程度に十分に確保することができる。なお、余白部903は、基材901の縁部の全周にわたって設けられているが、これに限定されず、基材901の縁部の一部に設けられていてもよい。
基材901上には、インク受容層902が設けられている。インク受容層902は、図4に示す構成では基材901の一方側の面(図4中の上側の第1面905)に設けられているが、これに限定されず、基材901の他方側の面(図4中の下側の第2面906)にも設けられていてもよい。また、インク受容層902の平面視での形状は、長方形であるが、これに限定されない。
インク受容層902は、インクジェット方式によって(例えばインクジェットプリンターによって)印刷される部分であり、セルロース繊維と、セルロース繊維の少なくとも一部を被覆している疎水性材料とを含む複合体(繊維含有材料)で構成された繊維含有層である。このような繊維含有層がインクを受容するインク受容層902であることにより、インク受容層902は、インクジェットプリンターの印刷ヘッドから吐出されたインクを容易に受容し浸透させることができる。その結果、インク受容層902に印刷が施されることとなる。前述したように、インク受容層902には、印刷によって例えば文字等の各種情報が記録される。そして、インク受容層902の構成材料である複合体は、情報の記憶に供される材料であるため、「情報記録材料」と言うこともできる。
インク受容層902の厚さは、例えば、20μm以上100μm以下が好ましく、30μm以上70μm以下がより好ましい。インク受容層902の厚さが下限値以上であれば、インクジェットプリンターによって吐出されたインクがインク受容層902の下側の基材901にまで浸透することを抑制することができる。また、インク受容層902の厚さが前記上限値以下であれば、記録媒体90の製造コストを抑えることができる。なお、例えば、インク受容層902の厚さを50μmよりも厚くした場合には、インク受容層902でのインクの吸収性および保持性がより優れた記録媒体90を得ることができる。
図3に示すように、インク受容層902は、マーキング部(シンボル)904を含んでいる(有する)。このマーキング部904は、インク受容層902(繊維含有層)に関する情報を含んでいる。また、マーキング部904は、図3に示す構成では平面視で長方形をなすインク受容層902の1つの角部近傍に1つ設けられているが、配置箇所や配置数はこれに限定されない。
マーキング部904は、バーコード(1次元バーコード)であってもよいが、QRコード(2次元コード)(「QRコード」は登録商標)であるのがより好ましい。マーキング部904がQRコードである場合、マーキング部904は、比較的多くの情報を担持することができる。なお、マーキング部904は、バーコードやQRコードの他に、例えば、単純な図形、記号、文字、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。
インク受容層902に関する情報としては、特に限定されず、例えば、以下の情報が挙げられる。
・第1面905に対するインク受容層902の位置情報。
・第1面905に対するインク受容層902の面積情報。
・インク受容層902の厚さ情報。
・インク受容層902を形成する複合体の組成の情報(例えばセルロース繊維と樹脂との比)。
例えば前述したように基材901からインク受容層902を除去する際に、マーキング部904から、インク受容層902の厚さの情報や余白部903の位置と幅の情報を取得することにより、インク受容層902の除去を容易に行うことができる。また、インク受容層902に対してインクジェットプリンターによって印刷する際に、マーキング部904から、インク受容層902を形成する複合体の組成の情報を取得することにより、インク受容層902はどのような画像が印刷されるのに適しているか(例えば、写真の印刷に適しているのか、文字の印刷に適しているのか)を知ることができる。
インク受容層902は、セルロース繊維と、セルロース繊維の少なくとも一部を被覆している疎水性材料とを含む複合体(繊維含有材料)で構成されている。インク受容層902は、後述するように、電子写真方式に類する方式による静電塗布(静電力を利用した塗布)により、複合体を基材901に付着させて、加圧加熱されることにより形成される。
セルロース繊維は、セルロースによって構成されている繊維である。セルロース繊維は、天然繊維であってもよいし、再生繊維であってもよいし、半合成繊維であってもよい。言い換えると、セルロース繊維は、例えば、バージンパルプ由来のものであってもよいし、紙等(古紙、再生紙等を含む)のセルロース製品由来のものであってもよいし、上記のようなセルロースを含む材料に対し化学処理を施すことにより得られた半合成繊維であってもよい。疎水性材料がセルロース繊維を被覆する前の状態において、セルロース繊維は、粉体状の繊維であってもよい。
なお、本発明において、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。
インク受容層902に含まれるセルロース繊維の大きさは、例えば、平均(個数平均)で長さ(長径)が1μm以上100μm以下、幅(短径)が1μm以上30μm以下であるのが好ましく、長さが5μm以上30μm以下、幅が5μm以上20μm以下であるのがより好ましい。セルロース繊維の長さを前記下限値より小さくした場合には、セルロース繊維の製造コストが高くなってしまうが、上記の範囲であれば製造コストを抑えることができる。さらに、セルロース繊維の大きさが前記数値範囲内であれば、セルロース繊維の長さを乾式方式で調整することができる。セルロース繊維の長さが前記上限値以下であれば、セルロース繊維同士が絡み合うことを抑制することができる。これにより、インク受容層902を形成する複合体からなる粉体の帯電量の分布の均一性を向上させることができ、よって、複合体を基材901に均一に静電塗布することができる。
なお、セルロース繊維の大きさ(長さ、幅)は、例えば、マルバーン社(Malvern Instruments)製の粒子画像分析装置モフォロギG3(Morphologi G3)を用いて測定される。この装置は、自動乾式分散ユニットにより試料を均一に分散させ、該試料の静止画像を解析することにより、粒度および粒子形状を測定する装置である。
インク受容層902を構成する繊維含有材料には、疎水性材料が含まれており、その疎水性材料がセルロース繊維の少なくとも一部を被覆している。そして、このインク受容層902に含まれるセルロース繊維の平均アスペクト比は、3未満であるのが好ましく、2以下であるのがより好ましい。セルロース繊維の平均アスペクト比が3未満であれば、セルロース繊維同士が絡み合うことを抑制することができる。これにより、インク受容層902を形成する複合体からなる粉体の帯電量の分布の均一性を向上させることができ、よって、複合体を基材901に均一に静電塗布させることができる。また、セルロース繊維の平均アスペクト比を2以下とすることにより、インク受容層902を、印刷時にインクが浸透するのにより適した多孔質にすることができる。このように、特に、インク受容層902においてインクの吸収性を高くすることができる。なお、セルロース繊維の平均アスペクト比は、例えば、粒子画像分析装置モフォロギG3で測定されたセルロース繊維の平均長さを平均幅で割った値である。
なお、セルロース繊維の平均長さは、1μm以上100μm以下であるのが好ましい。これにより、記録媒体90では、乾式方式でセルロース繊維の長さを小さくすることができ、かつ、セルロース繊維同士が絡み合うことを抑制することができる。これにより、インク受容層902を形成する複合体からなる粉体の帯電量の分布の均一性を向上させることができ、よって、複合体を基材901に均一に静電塗布することができる。
疎水性材料は、例えば、加熱処理によりセルロース繊維に融着されて、複合体を形成する。疎水性材料は、セルロース繊維の表面の一部を被覆していてもよいし、セルロース繊維の表面全面を被覆していてもよい。なお、疎水性材料は、全体としてセルロースよりも疎水性の高いものであればよく、例えば、セルロースよりも疎水性の低い成分(親水性の高い成分)を含んでいてもよい。
疎水性材料は、セルロース繊維同士を結着させて、多孔質のインク受容層902を形成する。また、疎水性を有することにより、インク受容層902の疎水性、親水性のバランスを調整することができ、インク受容層902にインクを付与した際のインクの過度な濡れ広がりや弾き等を抑制し、インク受容層902におけるインクの吸収性を優れたものとすることができる。さらに、疎水性材料は、セルロース繊維を被覆することにより、複合体の帯電特性の安定性を優れたものとすることができる。これにより、静電塗布によりインク受容層902を好適に形成することができる。例えば、疎水性材料が被覆されていないセルロース繊維では、環境(具体的には湿度)によって帯電性が変化しやすく、静電塗布によりインク受容層902を形成することが困難な場合がある。また、疎水性材料が被覆されていないセルロース繊維では、インクとの親和性が高く、インクが滲んでしまう場合がある。疎水性材料をセルロースに被覆させることにより、セルロース繊維の帯電性を安定させることができ、インクの滲みを抑えることができる。
疎水性材料は、少なくとも樹脂を含む。樹脂は、セルロース繊維同士を結着させて、多孔質のインク受容層902を形成する。セルロース繊維を被覆する前の状態において、樹脂は、粉体状のものであってもよい。なお、インク受容層902中の樹脂の含有量は、10質量%以上40質量%未満であるのが好ましく、15質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。
疎水性材料は、セルロース繊維同士を結着させる機能を有するとともに、セルロース繊維を被覆することにより、複合体の帯電特性を安定化させる機能も有している。また、疎水性材料は、概ね後述するような樹脂で構成されている。この樹脂は、正帯電性のものであってもよいし、負帯電性のものであってもよいが、負帯電性のものであるのが好ましい。負帯電性の樹脂は、一般に、帯電特性の安定性が特に優れている。また、負帯電性の樹脂は、正帯電性の樹脂に加えて、種類が豊富で、樹脂の特性(例えば、融点、ガラス転移温度、セルロース繊維との接合強度、帯電量、疎水性の程度等)の調整を容易に行うことができるとともに、記録媒体90の製造コストの抑制等の観点からも有利である。
疎水性材料を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。特に、疎水性材料が熱可塑性樹脂を含むものであると、一般に、より安定した帯電特性(特に、負帯電性)が得られる。なお、疎水性材料が硬化性樹脂を含むものであると、記録媒体90の耐熱性、耐久性等を特に優れたものとすることができる。よって、疎水性材料としては、熱可塑性樹脂を単独で含むものの他、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂とを含むものでもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66等のポリアミド(ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、50℃以上200℃以下であるのが好ましく、55℃以上160℃以下であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が前記下限値以上であれば、摩擦程度の加熱でインク受容層902が剥がれることを抑制することができ、インク受容層902の強度が低下することを抑制することができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が前記上限値以下であれば、例えばインク受容層902となる複合体を加熱加圧して固着させる際に、記録媒体90を前記上限値よりも高い温度まで加熱する必要がなく、セルロース繊維が熱によりダメージを受けることを抑制することができる。また、前述したようにインク受容層902を剥離する場合にも、インク受容層902を加熱により軟化させることができ、その際、記録媒体90を前記上限値よりも高い温度まで加熱する必要がない。
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられ、より具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、アクリル樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク受容層902(繊維含有層)中の樹脂(熱可塑性樹脂)の含有量をWaとしたとき、Waは、10質量%以上40質量%未満であるのが好ましく、15質量%以上30質量%以下であるのがより好ましい。含有量Waが前記下限値以上であれば、セルロース繊維の結着力を確保することができ、セルロース繊維がインク受容層902から脱落することを抑制することができる。含有量Waが前記上限値未満であれば、インク受容層902の疎水性が高くなりすぎてインクを弾いてしまうことを抑制することができ、印刷品質を向上させることができる。複合体が基材901に付着される前の状態であっても、複合体が基材901に付着されてインク受容層902を形成している状態であっても、含有量Waは、前記数値範囲内であることが好ましい。
疎水性材料は、帯電制御剤(電荷制御剤)を含むものであってもよい。これにより、インク受容層902となる複合体は、安定した帯電性、より大きな帯電性を有することができる。なお、複合体が帯電制御剤を含んでいるか否かは、複合体の帯電量の変化の他、複合体の安息角の減少によっても確認することができる。帯電制御剤は、複合体が凝集することを抑制する凝集抑制剤としての機能を有していてもよい。疎水性材料中において、帯電制御剤は、通常、少なくともその一部が、前述した樹脂の表面に露出している。これにより、帯電制御剤を含むことによる効果がより効果的に発揮される。
帯電制御剤としては、例えば、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、帯電制御剤は、例えば、帯電特性の調整、疎水性の調整等を目的とする表面処理が施されたものであってもよい。帯電制御剤の表面処理には、例えば、シラン化合物を用いることができる。これにより、帯電制御剤に対して好適に疎水処理することができる。帯電制御剤の疎水処理に用いられるシラン化合物としては、例えば、トリメチルシラン、ジメチルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリイソブチルシラン等のアルキルシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
帯電制御剤の形態は、特に限定されないが、粒子状(微粒子状)をなすものであるのが好ましい。帯電制御剤の体積基準の平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、1nm以上100nm以下であるのが好ましく、5nm以上50nm以下であるのがより好ましい。帯電制御剤の粒子径が前記数値範囲内であれば、より良好な帯電効果を得ることができる。さらに、帯電制御剤の粒子径が前記数値範囲内であれば、樹脂の表面により良好にコーティングを行なうことができる。なお、帯電制御剤の体積平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法や、動的光散乱法等により求めることができる。
帯電制御剤の含有量は、セルロース繊維および樹脂の混合物100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上10質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上5質量部以下であるのがより好ましい。帯電制御剤の含有量の範囲が前記数値範囲内であれば、インク受容層902となる複合体は、より良好で安定した帯電性を発揮することができる。
疎水性材料は、白色顔料を含むものであってもよい。これにより、インク受容層902の白色度を好適に調整することができる。例えば、白色顔料によって、白色度が低い基材901に対しても、あるいは白色度の低いセルロース繊維を用いた場合でも、白色度の高いインク受容層902を形成することができ、印刷の見栄え(品質)を向上させることができる。
白色顔料の材料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、リトポン、酸化アルミニウム、酸化珪素、三酸化アンチモン、燐酸チタニウム、酸化亜鉛、鉛白、酸化ジルコニウム等の無機顔料やポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機微粉末等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、白色顔料としては、二酸化チタンや炭酸カルシウムを用いる。
白色顔料の配合量としては、例えば、樹脂90質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であるのが好ましく、3質量部以上20質量部以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体90の製造コストの上昇を抑制しつつ、インク受容層902の白色度をより好適に高めることができる。白色顔料は、樹脂の表面、内部のいずれに配されていてもよい。
例えば、ポリエステル90質量部に対して、白色顔料である炭酸カルシウムを10質量部だけホッパー内で混合した後、二軸混練押出機に投入し溶融混練して白色の樹脂ペレットを製造した場合、この樹脂ペレットから形成されるインク受容層902は、より白色度の高いものとなる。
疎水性材料は、上記以外の成分を含むものであってもよい。例えば、疎水性材料は、白色顔料以外の顔料や染料を含んでもよい。この場合、静電塗布により、色紙を簡単に低コストで得ることができる。
また、インク受容層902を形成する複合体の平均帯電量の絶対値は、3μC/g以上であるのが好ましい。複合体の平均帯電量の絶対値が高い方が、静電塗布により、容易に複合体を基材901に付着させてインク受容層902を形成することができる。なお、複合体の帯電量は、複合体同士を摩擦帯電させて測定することができる。帯電量の測定は、例えば、標準キャリアと称する粉体と複合体とを空気中で撹拌(混合)し、その粉体の帯電量を測定することにより行うことができる。標準キャリアとしては、例えば、日本画像学会から購入可能(正帯電極性または負帯電極性トナー用標準キャリア、「P−01またはN−01」として入手可能)な、フェライトコアを表面処理した球形キャリアで、正帯電極性トナー用または負帯電極性トナー用の標準キャリア、パウダーテック株式会社から入手可能なフェライトキャリア等を用いることができる。より具体的には、複合体の平均帯電量は、例えば、次のようにして求めることができる。上記キャリアを80質量%、および複合体を20質量%の混合粉体を、アクリル製の容器に投入し、60秒間100rpmで容器をボールミル架台に載せて容器を回転させ、キャリアと複合体(粉体)との混合を行う。混合を行った複合体とキャリアとの混合物について吸引式小型帯電量測定装置(例えば、トレック社製「Model210Hs-2」)により測定することで、平均帯電量の絶対値を求めることができる。
例えば、平均長さ(長径)が18μm、平均幅(短径)が9μmのセルロース繊維と、ポリエステル樹脂(ガラス転移温度:56℃、分子量:10000)で構成され、粒径が1μm〜40μmの粉体とを、2:8(重量比)で空気中で混合した後、加熱処理によってポリエステル樹脂をセルロース繊維に融着させて複合化した。次いで、この複合化したものに、表面が疎水化処理された二酸化珪素微粒子を重量比で1.5%になるように加えて、卓上ブレンダーに投入し、翼端速度30m/sで60秒間攪拌処理した。なお、疎水化処理した無機微粒子の効果は、安息角の減少および帯電量の変化により確認することができる。通常、セルロース繊維は、比較的正帯電し易い材料であるが、ポリエステル樹脂と複合化し、この複合体を無機微粒子でコーティングすることにより負帯電し易くなる。この場合、平均帯電量は、−6μC/gとなる。
次に、記録媒体再生システム100の各部の構成について説明する。前述したように、記録媒体再生システム100は、記録媒体再生装置1Aと、制御部11と、マーキング部形成部20と、を備えている(図1参照)。また、記録媒体再生装置1Aは、材料除去部12と、記録媒体製造装置1Bと、を有している。
図2に示すように、記録媒体再生システム100は、ステップS101〜ステップS104を順に実行することができる。ステップS101は、記録媒体90’からインク受容層902(インク受容層902を構成する材料)を除去して、基材901を得る材料除去ステップ(除去ステップ)である。ステップS102は、ステップS101で得られた基材901上に、未固化のインク受容層902を形成する層形成ステップである。ステップS103は、基材901上に形成された未固化のインク受容層902の表面性状を整える表面性状正常化処理(以下この処理を単に「表面性状処理」と言う)を行なう処理ステップである。ステップS104は、表面性状処理が施された未固化のインク受容層902を固化する固化ステップである。なお、記録媒体再生システム100では、ステップS101を「第1ステップ」と言い、その後のステップS102からステップS104まで、すなわち、基材901上に印刷が可能な程度のインク受容層902が形成されるまでを「第2ステップ」と言う。
記録媒体再生装置1Aは、使用済みの記録媒体90’から新たに記録媒体90を再生する装置である。
記録媒体製造装置1Bは、記録媒体90の再生において、記録媒体再生装置1Aによってインク受容層902が除去された基材901に対して、インク受容層902の再形成を主に担う装置である。
制御部11は、記録媒体再生装置1Aの各部やマーキング部形成部20の作動を制御する制御装置である。この制御部11は、CPU(中央演算処理部)111と、記憶部112とを有している。記憶部112には、前記作動を制御する制御プログラムや各種データー等が記憶されている。記録媒体再生システム100は、これらの制御プログラム等に基づいて、ステップS101〜ステップS104を順に実行することができる。
なお、図示はしないが、制御部11は、例えば、キーボードやタッチパネル等のような入力部と、LCDモニター等のような画像表示部とを有しているのが好ましい。後述する各部の作動条件は、制御プログラムに予め入力されていてもよいし、入力部を介してその都度入力されてもよい。また、この入力情報は、画像表示部を介して確認することもできる。また、制御部11には、入力部や画像表示部がそれぞれ接続される接続部が設けられていてもよい。
図1に示すように、記録媒体再生装置1Aは、材料除去部12を備えている。材料除去部12は、ステップS101を実行するものである。
ステップS101(第1ステップ)では、記録媒体90’からインク受容層902の構成材料である繊維含有材料(情報記録材料)の除去を切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの少なくとも1つで行なうのが好ましい。また、ステップS101(第1ステップ)では、繊維含有材料(情報記録材料)の除去に、除去部材として、バイト、スクレイパー、フラップブラシ、弾性グラインダーのうちの少なくとも1つを用いることができる。そして、本実施形態では、繊維含有材料の除去を切削で行ない、その切削にバイト122を用いる。これにより、切削に適した工具を用いることができ、よって、その切削を容易かつ迅速に行なうことができる。
図5に示すように、材料除去部12は、回転ドラム121と、バイト122と、ポンプ123とを有している。
回転ドラム121は、その駆動源であるモーター(図示せず)によって、y軸回りに矢印α121方向(時計回り)に回転することができる。回転ドラム121は、円筒体で構成され、その内腔部121aがポンプ123と気密的に接続されている。また、回転ドラム121の壁部には、内腔部121aと連通する貫通孔で構成された吸引孔121bが複数形成されている。これらの吸引孔121bは、回転ドラム121の周方向に沿って等間隔に配置されており、y軸方向に沿っても間隔を置いて配置されている。そして、ポンプ123を作動させることにより、各吸引孔121bに吸引力F121が生じる。この吸引力F121により、回転ドラム121の外周部に記録媒体90’を固定することができる。
なお、回転ドラム121は、吸引力F121によって記録媒体90’を固定するよう構成されているが、これに限定されず、例えば、静電気力によって記録媒体90’を固定するよう構成されていてもよい。このような構成としては、例えば、回転ドラム121の外表面に誘電体または電極を配置する構成等が挙げられる。
バイト122は、切削に用いられる工具である。このバイト122は、回転ドラム121に対してx軸方向正側に配置され、回転ドラム121の外周側から接近可能に支持されている。図5に示すように、記録媒体90’を固定した回転ドラム121が回転した状態でバイト122を回転ドラム121に接近させることにより、例えば記録媒体90’の余白部903からインク受容層902に対する切削を開始することができる。そして、この切削を継続することにより、インク受容層902を基材901から剥離することができる。これにより、例えばインク受容層902に機密情報が記録されている場合、この機密情報をその場で抹消することができる。また、インク受容層902が剥離された基材901は、回転ドラム121の回転停止後に、回転ドラム121から取り去られ、トレイ17(図7参照)に回収される。なお、この回収は、自動的に行なわれてもよいし、手動で行なわれてもよい。また、剥離されたインク受容層902は、別途回収されるのが好ましい。
なお、記録媒体90’の余白部903からインク受容層902に対する切削を開始するには、まず、回転ドラム121が回転する間に、回転ドラム121上の記録媒体90’の余白部903と、バイト122の刃先とを位置決めする。そして、この位置決め状態のまま回転ドラム121を回転させることにより、インク受容層902を余白部903から切削し始めることができる。この位置決め動作は、制御部11によって制御されている。
また、インク受容層902の剥離は、回転ドラム121が1回転する間に行なわれてもよいし、回転ドラム121が複数回転する間に行なわれてもよい。インク受容層902の剥離を回転ドラム121が複数回転する間に行なう場合、バイト122を回転ドラム121に対して徐々に接近させつつ、その剥離を行なう。これにより、インク受容層902が比較的厚いものであっても、無理なくその剥離を行なうことができる。
また、バイト122の刃先と回転ドラム121の外周面との最大接近距離を規制するストッパーが設けられているのが好ましい。このストッパーにより、バイト122による除去限界を規制する、すなわち、バイト122の刃先と回転ドラム121の外周面との距離が例えば基材901の厚さよりも小さくなるのを防止することができる。これにより、バイト122の刃先が基材901内に進入して過剰に切削してしまうのを防止することができる。
また、回転ドラム121を回転させるモーターの回転数を変更することにより、バイト122の切削速度を調整することができる。
モーターの回転数の変更は、モーターに印加する電圧を変更することにより可能である。
以上のような構成の材料除去部12は、回転ドラム121の回転、バイト122の移動、ポンプ123の作動等が制御部11によって制御されている。
図6に示すように、本実施形態では、材料除去部12は、バイト122を3つ有している。これらのバイト122は、y軸方向に沿って配置されており、連結部124を介して互いに転結されている。インク受容層902を切削、除去する際には、これらのバイト122を連結部124ごと一括して矢印α122方向(y軸方向)に往復動させる。これにより、インク受容層902の除去を迅速に行なうことができる。また、インク受容層902のy軸方向の幅の大小に応じて、バイト122の往復距離、すなわち、矢印α122方向の振れ幅を調整することもできる。
図7に示すように、記録媒体製造装置1Bは、搬送部16と、インク受容層形成部13と、を備えている。また、図8に示すように、記録媒体製造装置1Bは、これらの他に、表面性状処理部(処理部)14と、インク受容層固化部(固化部)15とをさらに備えている。
搬送部16は、インク受容層902が形成される以前の基材901、または、インク受容層902が形成された基材901(記録媒体90)を搬送するものである。搬送部16は、搬送ベルト161と、搬送ローラー162と、を有している。
搬送ベルト161は、例えば無端ベルトで構成されており、基材901を載置したままx軸方向正側に向かって搬送することができる。なお、搬送ベルト161の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料を用いるのが好ましい。また、金属材料の他にも、例えば、ポリイミド等のような耐熱性を有する樹脂材料を用いることもできる。また、搬送ベルト161は、基材901を単に載置したまま搬送するものであってもよいし、搬送ベルト161の表面が粘着性を有し、この粘着により基材901を保持して搬送するものであってもよい。
なお、搬送ベルト161に代えて、基材901を搬送するものとしては、例えば、基材901を負圧により吸着保持する構成のもの(プラテン)であってもよい。
また、図7に示すように、搬送ベルト161には、インク受容層902が形成される以前の基材901が、トレイ17から供給される。この供給は、自動的に行なわれてもよいし、手動で行なわれてもよい。また、搬送ベルト161には、基材901を1枚ごとに(毎葉に)供給するのが好ましい。また、インク受容層902が形成された基材901は、その搬送方向下流側で搬送ベルト161から別途回収される。この回収も、自動的に行なわれてもよいし、手動で行なわれてもよい。
搬送ベルト161は、基材901の搬送に耐え得る程度の十分な強度を有し、無端ベルトとして機能する程度の十分な柔軟性を有するのが好ましい。また、特に、搬送ベルト161は、後述する転写ニップ135を通過するときに感光体131と転写部134との電位差を十分に保持し得るものが好ましい。
搬送ローラー162は、2つの搬送ローラー162が搬送ベルト161を介して上下で1組となって、搬送ベルト161の延在方向に沿って間隔を置いて配置されている。そして、各搬送ローラー162がそれぞれ矢印α162方向に回転することにより、搬送ベルト161上に載置された基材901を搬送することができる。なお、搬送部16は、基材901を搬送する搬送速度を変更可能に構成されている。この変更方法としては、特に限定されず、例えば、主動ローラーとなっている搬送ローラー162に接続されるモーターに対して印加する電圧を調整する方法、主動ローラーとモーターとの間に減速機を設ける方法等が挙げられる。また、主動ローラーとしては、搬送ベルト161の上側に位置する搬送ローラー162よりも、搬送ベルト161の下側に位置する搬送ローラー162とするのが好ましい。
図7に示すように、基材901の搬送方向の途中には、インク受容層形成部13が配置されている。インク受容層形成部13は、ステップS102を実行する、すなわち、繊維含有材料(インク受容層902となる複合体)でインク受容層902(記録層)を基材901に形成する層形成ステップを実行する記録層形成部である。インク受容層形成部13は、感光体131と、帯電部132と、露光部133と、転写部134と、材料供給部2と、を有し、静電塗布により、基材901にインク受容層902を形成する装置である。
感光体131は、搬送ベルト161の上側に配置され、その外周面131aに繊維含有材料を担持して、この繊維含有材料を基材901に転写させる担持体である。このような担持体としての感光体131は、回転体である、すなわち、円筒状をなすもので構成されている。また、感光体131は、モーターに接続され、矢印α131方向(反時計回り)に回転することができる。これにより、感光体131は、基材901の搬送に伴って矢印α131方向に回転しつつ、基材901に繊維含有材料を安定して転写することができる。なお、感光体131は、その回転速度を変更可能に構成されている。この変更方法としては、特に限定されず、例えば、感光体131に接続されるモーターに印加する電圧を変更することにより可能である。また、感光体131の外周面131aは、例えば、有機感光体によって形成されているのが好ましい。感光体131の回転は、制御部11によって制御されている。
感光体131の外周側には、感光体131の矢印α131に沿って、帯電部132、露光部133、材料供給部2、および転写部134がこの順に配列されている。
帯電部132は、感光体131の回転に伴って矢印α132方向(時計回り)に回転しつつ、感光体131の外周面131aを一様に帯電させるローラーである。本実施形態では、帯電部132は、感光体131の外周面131aを、例えば負電位に帯電させることができる。なお、帯電部132としては、例えば、オゾンを照射するコロナ帯電器、帯電ブラシ、帯電フィルム等で構成することができる。また、この帯電部132の作動は、制御部11によって制御されている。
露光部133は、感光体131の外周面131aを露光し、感光体131の外周面131aの電位を調整する。本実施形態では、露光部133は、感光体131の外周面131aにレーザー光LB133を照射し、繊維含有材料が感光体131の外周面131aに移動付着するような電位に調整することができる。なお、電位の調整は、例えば、前記一様に帯電した感光体131の外周面131aの一部を徐電することにより可能である。また、この露光部133の作動は、制御部11によって制御されている。
材料供給部2は、繊維含有材料を感光体131の外周面131aに移動付着させる。材料供給部2は、貯留部21と、攪拌機(アジテーター)22と、供給ローラー23と、層形成ローラー24と、ブレード25と、を有している。また、この材料供給部2の作動も、制御部11によって制御されている。
貯留部21は、粉体状の繊維含有材料を内部に貯留している。
攪拌機22は、貯留部21内で矢印α22方向(反時計回り)に回転することができる。これにより、貯留部21内で繊維含有材料を攪拌し、帯電させることができる。この繊維含有材料は、矢印α23方向(時計回り)に回転する供給ローラー23を介して、層形成ローラー24に供給される。
層形成ローラー24は、供給ローラー23を介して供給された繊維含有材料との間に電位差を有し、矢印α24方向(時計回り)に回転しつつ、繊維含有材料が静電付着する。
ブレード25は、層形成ローラー24上に付着した繊維含有材料の厚さ(付着量)を調整して薄膜化し、摩擦帯電させる。
また、層形成ローラー24上の繊維含有材料は、感光体131と層形成ローラー24との間の電位差により、感光体131の外周面131aに移動付着する。なお、感光体131と層形成ローラー24との電位は、適宜設定される。また、この電位の設定は、制御部11によって制御されている。
転写部134は、搬送ベルト161に対して感光体131と反対側(図7中の下側)に配置され、感光体131との間で基材901を搬送ベルト161ごと挟持することができる。これにより、感光体131の外周面131aに付着された繊維含有材料を基材901に転写することができる。この転写部134は、矢印α134方向(時計回り)に回転するアイドルローラーであり、感光体131との間で、空間である転写ニップ135を形成している。また、転写部134の外周面134aは、所定の電位を有している。これにより、転写ニップ135では、感光体131と転写部134との間に電位差が生じ、よって、感光体131上の繊維含有材料が転写部134側に静電的に移動して、基材901に転写される。そして、転写された繊維含有材料は、基材901の移動に伴って層状に形成されて、インク受容層902となる。なお、転写部134は、搬送部16の搬送ローラー162とともに搬送ベルト161を移動させる搬送ローラーとしての機能を有している。
このように転写部134は、感光体131との間の電位差で生じる静電気力によって繊維含有材料を転写するものである。すなわち、第2ステップ(層形成ステップ)では、インク受容層902(繊維含有層(記録層))の形成を静電塗布により行なう。本実施形態では、静電気力を用いる(静電塗布)という簡単な方法で、繊維含有材料を基材901に容易かつ適正に付着させることができる。
また、図7に示すように、転写部134は、感光体131(担持体)との間で基材901を搬送ベルト161ごと挟持して、繊維含有材料の転写を行なうよう構成されている。これにより、基材901への繊維含有材料の塗布を安定して行なうことができる。なお、転写部134上(転写ニップ135)では、感光体131による繊維含有材料の搬送方向CD131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とは同じとなっている。
インク受容層形成部13に対して、基材901の搬送方向下流側、すなわち、x軸方向正側には、表面性状処理部14が配置されている。表面性状処理部14は、ステップS103を実行するものである。
ところで、インク受容層形成部13で形成された直後のインク受容層902は、例えば筋ムラ等の各種のムラやうねり等(以下「筋ムラ」を代表する)が生じた状態となっている。このような状態は、その程度にもよるが、例えば、インク受容層902でのインクの受容を多少なりとも阻害する場合がある。そこで、ムラが生じたインク受容層902に対して表面性状を整える処理を行なう必要があり、この表面性状処理を表面性状処理部14で行なう。本実施形態では、表面性状処理として、インク受容層902の表面902aを均す均し処理と、インク受容層902を加圧する加圧処理と、インク受容層902の表面902aを半固化する半固化処理とが含まれる。なお、インク受容層902にムラが生じる原因としては、例えば、インク受容層形成部13を構成する部品同士の組み立て誤差(例えば層形成時や転写時の駆動歯車ピッチの誤差)によるもの、転写時の放電によるもの、転写後の搬送振動でインク受容層902が崩れたことによるもの等が挙げられる。
図8に示すように、表面性状処理部14は、均し処理部3と、加圧処理部4と、半固化処理部5と、を有している。また、均し処理部3と、加圧処理部4と、半固化処理部5とは、基材901の搬送方向に沿ってこの順に配置されている。
前述したように、表面性状処理(処理)は、インク受容層902(記録層)の表面902aを均して平坦化する、すなわち、平滑化する均し処理(平坦化処理)を含む。均し処理により、インク受容層902の表面902aを平滑な状態とすることができる。
表面性状処理部14では、均し処理を均し処理部3で行なう。図8、図9に示すように、均し処理部3は、均しローラー31と、支持ローラー32とを有している。
均しローラー31は、搬送ベルト161の上側に配置されている。この均しローラー31は、その駆動源であるモーター(図示せず)によって、y軸回りに矢印α31方向(反時計回り)に回転することができる。また、均しローラー31は、インク受容層902の表面902aに接することができる。そして、図9に示すように、均しローラー31は、表面902aとの接点での接線方向の速度をV31としたとき、V31<V16なる関係を満足するよう回転が調整されている。これにより、インク受容層902の表面902aは、x軸方向正側に移動するのに従って、筋ムラを形成する微小な凹凸等が潰されるとともに、繊維含有材料が搬送方向CD16の上流側に押し戻される。これにより、インク受容層902の表面902aは、うねりや凹凸等が均されて減少し、平滑化(平坦化)される。なお、インク受容層902が平滑化されているときには、基材901は、搬送ベルト161に対して、例えば前述した粘着や、その他摩擦係合によって位置ズレが防止されている。また、インク受容層902から押し戻された材料は、別途回収されて、破棄されてもよいし、再利用されてもよい。また、均しローラー31の回転は、制御部11によって制御されている。
なお、均しローラー31の外周面は、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料で構成されているのが好ましい。また、均しローラー31の外周面の表面粗さ(中心線平均粗さRa)は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上100μm以下であるのが好ましい。
また、インク受容層902には、均しローラー31との摩擦によって生じた静電気が帯びる。そこで、図8に示すように、均しローラー31は、アース線33を介して接地されている。これにより、均しローラー31を除電することができ、よって、インク受容層902を構成する繊維含有材料の粉体が均しローラー31に付着するのを防止することができる。このように表面性状処理部14では、ステップS103(処理ステップ)中に、インク受容層902(記録層)に対して除電を行なうことができる。なお、インク受容層902(記録層)に対する除電は、ステップS103(処理ステップ)中に行なわれるのに限定されず、ステップS103(処理ステップ)とステップS104(固化ステップ)との間に行なわれてもよい。
支持ローラー32は、搬送ベルト161に対して均しローラー31と反対側に配置されている。この支持ローラー32は、y軸回りに矢印α32方向(時計回り)に回転するアイドルローラーである。これにより、支持ローラー32は、インク受容層902が形成された基材901を搬送ベルト161ごと下方から支持することができ、よって、インク受容層902の表面902aに対する均し処理(平坦化処理)を十分に行なうことができる。なお、支持ローラー32は、搬送部16の搬送ローラー162とともに搬送ベルト161を移動させる搬送ローラーとしての機能を有している。
このように、表面性状処理(処理)は、インク受容層902(記録層)の表面902aを均して平坦化する均し処理(平坦化処理)と、インク受容層902(記録層)を加圧する加圧処理、インク受容層902(記録層)の表面902aを半固化する半固化処理とを含んでいる。そして、ステップS103(処理ステップ)では、均し処理(平坦化処理)、加圧処理、半固化処理の順に表面性状処理(処理)を行なっている。特に、ステップS103の途中に加圧処理を含んでいることにより、インク受容層902に対する高密度化を好適に行なうことができる。
表面性状処理部14では、加圧処理を加圧処理部4で行なう。図8に示すように、加圧処理部4は、外周部411がステンレス鋼等のような金属材料で構成された2つの加圧ローラー41を有するカレンダー機である。これら2つの加圧ローラー41は、搬送ベルト161を介して上下に配置されており、矢印α41方向に回転するアイドルローラーである。そして、2つの加圧ローラー41の間をインク受容層902が通過する際に、インク受容層902に対して層厚が減少する方向に加圧することができる。これにより、加圧処理が施され、よって、インク受容層902内で繊維含有材料同士が結合する。また、加圧されたインク受容層902内では、繊維含有材料の密度が増加するとともに、その密度も均一化される。なお、2つの加圧ローラー41がインク受容層902を加圧する力は、例えば、好ましくは10kg以上2000kg以下であり、より好ましくは400kg以上800kg以下である強加圧となっている。なお、インク受容層902に対する加圧は、本実施形態では1回であるが、これに限定されず、例えば複数回にわたって段階的に行なわれてもよい。また、2つの加圧ローラー41のうちの下側の加圧ローラー41は、搬送部16の搬送ローラー162とともに搬送ベルト161を移動させる搬送ローラーとしての機能を有している。また、2つの加圧ローラー41は、中心間距離が可変に構成されていてもよい。これにより、加圧力を調整することができる。この調整も、制御部11によって制御される。
前述したように、表面性状処理(処理)は、インク受容層902(記録層)の表面902aを均して平坦化する均し処理(平坦化処理)と、インク受容層902を加圧する加圧処理と、さらに、インク受容層902(記録層)の表面902aを半固化する半固化処理を含む。ステップS103(処理ステップ)では、均し処理(平坦化処理)、加圧処理、半固化処理の順に処理を行なう。このように半固化処理は、ステップS103の最後に行なわれ、インク受容層902の構成材料である繊維含有材料の飛散防止やインク受容層902の形状維持等に寄与する。また、半固化処理は、インク受容層固化部15での本固化に先立って、インク受容層902を仮固化する処理ともいうことができる。この仮固化により、インク受容層902の固化を促進することができる。
表面性状処理部14では、半固化処理を半固化処理部5で行なう。図8に示すように、半固化処理部5は、チャンバー51と、ヒーター52とを有している。
チャンバー51は、断熱材で構成された断熱壁511を有している。また、チャンバー51は、入口512と、出口513とを有している。これにより、搬送ベルト161上の基材901がインク受容層902とともにチャンバー51内を通過することができる。
ヒーター52は、チャンバー51内で搬送ベルト161の上側に配置されている。ヒーター52は、通電により発熱する発熱体で構成されているのが好ましいが、その他、電磁波を発するもので構成されていてもよい。発熱体としては、特に限定されず、例えば、ニクロム線のような電熱線やハロゲンランプ等を用いることができる。これにより、インク受容層902は、チャンバー51内を通過する間に上側から非接触で加熱される。この加熱より、インク受容層902の表面902a側では、熱可塑性樹脂が一旦溶融される。そして、インク受容層902がチャンバー51内から出ると、前記溶融した熱可塑性樹脂は、例えば自然に冷却されて、結着し、固化する。この固化により、表面902aには、インク受容層902の層厚に対して薄い膜が形成される。この膜化により、例えば、表面性状処理部14の次に配置されたインク受容層固化部15との接触で生じる静電気でインク受容層902から繊維含有材料が飛び散ったり、搬送による振動でインク受容層902の形状が崩れてしまったりするのを防止することができる。
なお、半固化処理部5での加熱温度は、例えば、熱可塑性樹脂の前記ガラス転移温度以上であり、熱可塑性樹脂の好ましくは融点以上である。この加熱温度は、制御部11によって制御される。また、半固化処理部5での加熱時間は、例えば、チャンバー51内をインク受容層902が移動する距離と、速度V16との関係で求められる。
また、半固化処理の前に、インク受容層902は、平坦化され、厚さが一定の状態となっている。これにより、半固化処理で表面902aに形成される前記薄い膜も、平坦化された状態が維持される。
図8に示すように、表面性状処理部14に対して、基材901の搬送方向下流側、すなわち、x軸方向正側には、インク受容層固化部15が配置されている。インク受容層固化部15は、ステップS104を実行するものである。インク受容層固化部15は、2つの固化ローラー151を有している。これら2つの固化ローラー151は、搬送ベルト161を介して上下に配置されており、矢印α151方向に回転する。また、各固化ローラー151には、それぞれ、ヒーター152が内蔵されている。ヒーター152は、通電により発熱する発熱体で構成されているのが好ましい。この発熱体としては、特に限定されず、例えば、ニクロム線のような電熱線等を用いることができる。そして、2つの固化ローラー151の間をインク受容層902が通過する際に、インク受容層902を加熱しつつ、インク受容層902に対して層厚が減少する方向に加圧することができる。これにより、インク受容層902内の熱可塑性樹脂を全体的に十分に溶融することができる。そして、インク受容層902が2つの固化ローラー151の間を通過した後は、前記溶融した熱可塑性樹脂は、例えば自然に冷却されて、結着し、固化する。これにより、過不足なく固化したインク受容層902が形成され、よって、インク受容層902を基材901に固着することができる。なお、2つの固化ローラー151がインク受容層902を加圧する力は、例えば、好ましくは10kg以上2000kg以下であり、より好ましくは400kg以上800kg以下である。また、インク受容層902を加熱する温度は、好ましくは100℃以上250℃以下であり、より好ましくは150℃以上180℃以下である。なお、インク受容層902を加熱する温度は、前記数値範囲に限定されず、熱可塑性樹脂の種類に応じて、変更することもできる。この場合、熱可塑性樹脂が軟化または溶融するまで加熱するのが好ましい。
また、2つの固化ローラー151のうちの上側の固化ローラー151による加熱温度と、下側の固化ローラー151による加熱温度とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、下側の固化ローラー151は、ヒーター152が省略されたものであってもよい。下側の固化ローラー151は、搬送部16の搬送ローラー162とともに搬送ベルト161を移動させる搬送ローラーとしての機能を有している。また、2つの固化ローラー151は、中心間距離が可変に構成されていてもよい。これにより、加圧力を調整することができる。この調整も、制御部11によって制御される。
また、前述したように、インク受容層902は、平坦化された状態となっている。これにより、インク受容層902が2つの固化ローラー151の間を通過する際、固化ローラー151からインク受容層902への熱伝導が良好となる。よって、インク受容層902は、その厚さ方向にわたって均一に加熱されることとなる。
例えば、インク受容層902を加圧する力を400kg、インク受容層902を加熱する温度を150℃とした場合、得られるインク受容層902の厚さは、50μmとなる。そして、このインク受容層902にインクジェットプリンター(例えば、エプソン社製「PX-M5041F」)を用いてカラー印刷を施したところ、インク受容層902には、鮮明な画像が形成される。
また、インク受容層固化を多段階で行なってもよい。この場合、2つの固化ローラー151を、x軸方向に沿って複数組設置することができる。そして、各組での加熱温度をx軸方向正側に向かって下げてもよいし、上げてもよい。また、各組での加圧力を、x軸方向正側に向かって下げてもよいし、上げてもよい。さらに、これらの条件を適宜組み合わせてもよい。
このようにインク受容層固化部15を用いたステップS104(固化ステップ)は、インク受容層902(記録層)の固化を加熱および加圧により行なうステップとなっている。これにより、インク受容層902が基材901に固着した記録媒体90が得られる。そして、この記録媒体90は、インク受容層902に印刷が可能なものとなって記録媒体再生システム100(記録媒体製造装置1B)から排出される。
また、前述したように、記録媒体90は、マーキング部904が形成されている。マーキング部904は、インク受容層902(繊維含有層(記録層))に関する情報を含むシンボルである。そして、記録媒体再生システム100では、マーキング部904(繊維含有層(記録層)に関する情報を含むシンボル)を形成するステップがあり(を有し)、そのステップをマーキング部形成部20で実行することができる。マーキング部904が形成されることにより、前述したインク受容層902に関する情報を必要に応じて確認(取得)することができる。
本実施形態では、マーキング部904は、インク受容層902上に形成され、その形成をマーキング部形成部20が担う。マーキング部形成部20は、インク受容層固化部15よりも下流側に配置されている。
なお、マーキング部形成部20は、例えば、インクジェットプリンターで構成されたものであってもよい。この場合、蛍光(不可視)インク(可視光照射時には、肉眼では見えないが、紫外線照射時には、肉眼で確認することができるインク)等のような特殊なインクを用いてマーキング部904を形成することができる。これにより、マーキング部904を通常は目立たないものとすることができ、記録媒体90の使用上好ましい。また、マーキング部形成部20は、インクジェットプリンターの他に、繊維含有材料でマーキング部904を静電塗布方式で形成するよう構成されたものであってもよい。
また、マーキング部904がインク受容層902上に形成されていることにより、インク受容層902を除去することによって、そのインク受容層902ごとマーキング部904も除去することができる。これにより、マーキング部904の除去、再生も同時に可能となり、インク受容層902と、インク受容層902に関する情報を担持したマーキング部904との対応関係を適正化することができる。
なお、マーキング部形成部20は、本実施形態ではインク受容層固化部15よりも下流側に配置されているが、これに限定されず、基材901の搬送途中であればその配置位置は問わない。例えば、マーキング部形成部20がインク受容層形成部13よりも上流側に配置されている場合、マーキング部904は、基材901の表裏のいずれに形成されてもよい。また、基材901とインク受容層902の間に配置されても良いし、或いはインク受容層902の内部に配置されていても良い。
以上のような構成の記録媒体再生システム100により、記録媒体90を製造することができる。この記録媒体90は、例えばインクジェット方式で印刷が良好に行なわれる。また、記録媒体90は、トナーを用いるレーザープリンターやコピー機でも印刷が良好に行なわれる。また、記録媒体90は、手書きでも良好に用いられる。手書きの場合、例えば、油性インクや水性インクのペン、鉛筆等を用いることができる。
また、インク受容層902に印刷が施されて使用済みとなった記録媒体90は、不要となる場合がある。この場合、使用済みの記録媒体90は、記録媒体再生システム100によってインク受容層902が除去され、その後新たなインク受容層902が形成される。このように、使用済みの記録媒体90は、再度印刷が可能な記録媒体90として再生される(製造される)。また、この再生は、記録媒体再生システム100によって繰り返し行なうことができる。従って、記録媒体再生システム100は、経済性に優れ、環境性にも優れたものとなっている。
また、記録媒体再生システム100は、例えば、オフィス、工場、家庭やスーパー、コンビニエンスストア等のような店舗、学校、病院、駅、公民館等のような公共機関等、いかなる場所にも設置することができる。
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体再生装置の材料除去部を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
前記第1実施形態でも述べたように、ステップS101(第1ステップ)では、記録媒体90’からインク受容層902の構成材料である繊維含有材料(情報記録材料)の除去を切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの少なくとも1つで行なうのが好ましい。また、ステップS101(第1ステップ)では、繊維含有材料(情報記録材料)の除去に、除去部材として、バイト、スクレイパー、フラップブラシ、弾性グラインダーのうちの少なくとも1つを用いることができる。そして、本実施形態では、繊維含有材料の除去を研磨で行ない、その研磨にフラップブラシ125を用いる。これにより、研磨に適した工具を用いることができ、よって、その研磨を容易かつ迅速に行なうことができる。
図10に示すように、材料除去部12は、回転ドラム121と、ポンプ123と、フラップブラシ125とを有している。
フラップブラシ125は、回転ドラム121に対してx軸方向正側に配置され、回転ドラム121の外周側から接近可能に支持されている。このフラップブラシ125は、円筒体の外周部に不織布125aが巻回、固定されたものである。また、フラップブラシ125は、その駆動源であるモーター(図示せず)によって、回転ドラム121の回転方向と同様に、y軸回りに矢印α125方向(時計回り)に回転することができる。
図10に示すように、材料除去部12では、記録媒体90’を固定した回転ドラム121が矢印α121方向に回転した状態で、フラップブラシ125を矢印α125方向に回転させつつ回転ドラム121に接近させることができる。これにより、フラップブラシ125でインク受容層902を研磨することができ、よって、インク受容層902を基材901から過不足なく除去することができる。また、研磨時に基材901にカッターマークが形成されるのを防止することができる。
なお、フラップブラシ125は、本実施形態ではインク受容層902を研磨するときには時計回りに回転しているが、これに限定されず、反時計回りに回転してもよい。フラップブラシ125が反時計回りに回転する場合、フラップブラシ125と回転ドラム121との間に周速差を設けることとなる。
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体再生装置の材料除去部を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
前記第1実施形態でも述べたように、ステップS101(第1ステップ)では、記録媒体90’からインク受容層902の構成材料である繊維含有材料(情報記録材料)の除去を切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの少なくとも1つで行なうのが好ましい。また、ステップS101(第1ステップ)では、繊維含有材料(情報記録材料)の除去に、除去部材として、バイト、スクレイパー、フラップブラシ、弾性グラインダーのうちの少なくとも1つを用いることができる。そして、本実施形態では、繊維含有材料の除去をスクレイプで行ない、スクレイパー126を用いる。
図11に示すように、材料除去部12は、回転ドラム121と、スクレイパー126とを有している。
スクレイパー126は、ステンレス鋼等のような金属材料で構成された板部材であり、その長手方向がy軸方向と平行に配置されている。なお、スクレイパー126の全長は、基材901のy軸方向の長さよりも長いのが好ましい。また、スクレイパー126は、回転ドラム121に対してx軸方向正側に配置され、回転ドラム121の外周側から接近可能に支持されている。そして、記録媒体90’を固定した回転ドラム121が回転した状態でスクレイパー126を回転ドラム121に接近させることにより、スクレイパー126でインク受容層902をスクレイプすることができる。これにより、インク受容層902を基材901から除去することができる。
また、前記第1実施形態でも述べたように、インク受容層902を構成する繊維含有材料(情報記録材料)は、セルロース繊維と、セルロース繊維の少なくとも一部を被覆する疎水性材料とを含む複合体であり、疎水性材料は熱可塑樹脂を含む。このため、ステップS101(第1ステップ)では、繊維含有材料(情報記録材料)を加熱しつつ、繊維含有材料(情報記録材料)の除去を行なうのが好ましい。これにより、インク受容層902が軟化し、よって、インク受容層902の除去を容易に行なうことができる。
なお、本実施形態では、繊維含有材料の除去に際し、繊維含有材料を加熱する構成として、スクレイパー126がヒーター126aを内蔵したものとなっている。ヒーター126aは、通電により発熱する発熱体で構成されているのが好ましい。この発熱体としては、特に限定されず、例えば、ニクロム線のような電熱線等を用いることができる。これにより、スクレイパー126が加熱されて熱を帯び、その熱でインク受容層902を軟化させることができる。また、スクレイパーでなくドラム側に発熱体を配置し、加熱しながらインク受容層を軟化させ、除去しても良い。
また、スクレイパー126には、インク受容層902のスクレイプによって除去されたもの(以下これを「付着物」と言う)が付着することがある。そこで、材料除去部12は、スクレイパー126から付着物を除去するクリーニング部を有するのが好ましい。これにより、繊維含有材料の除去を開始するたびに、付着物が除去されたスクレイパー126を用いることができる。
<第4実施形態>
図12および図13は、それぞれ、第4実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体再生装置の材料除去部の作動状態を順に示す垂直断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
前記第1実施形態でも述べたように、ステップS101(第1ステップ)では、記録媒体90’からインク受容層902の構成材料である繊維含有材料(情報記録材料)の除去を切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの少なくとも1つで行なうのが好ましい。また、ステップS101(第1ステップ)では、繊維含有材料(情報記録材料)の除去に、除去部材として、バイト、スクレイパー、フラップブラシ、弾性グラインダーのうちの少なくとも1つを用いることができる。そして、本実施形態では、繊維含有材料の除去を研削で行ない、その研削に弾性グラインダー6を用いる。これにより、研削に適した工具を用いることができ、よって、その研削を容易かつ迅速に行なうことができる。
図12、図13に示すように、本実施形態では、材料除去部12は、搬送部7と、弾性グラインダー6(除去部材)と、支持ローラー(プラテンローラー)8と、を有する。これにより、基材901(記録媒体90’)にx軸方向正側に向かって引張り力を付与しながら、弾性グラインダー6(除去部材)でインク受容層902(情報記録材料)を除去することができる。
弾性グラインダー6は、円筒体の外周部に弾性膜61が巻回、固定されたものである。弾性膜61には、研削用の砥粒が均一に混入されている。この弾性グラインダー6は、その駆動源であるモーター(図示せず)によって、y軸回りに矢印α6方向(反時計回り)に回転することができる。これにより、弾性グラインダー6(除去部材)は、矢印α6方向に回転することにより、基材901上の印刷済みのインク受容層902、すなわち、繊維含有材料(情報記録材料)を除去することができる。
搬送部7は、印刷済みのインク受容層902が形成された第1面905(記録面)を有する基材901(記録媒体90’)を搬送するものである。この搬送部7は、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)と、2つの第2搬送ローラー73(一対の第2ローラー)と、を有する。
2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)は、弾性グラインダー6(除去部材)に対して基材901(記録媒体90’)の搬送方向上流側に配置されている。これら2つの第1搬送ローラー72は、上下に配置されており、それぞれ矢印α72方向に回転することができる。これにより、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)は、基材901(記録媒体90’)を挟持しつつ回転して、基材901を搬送することができる。
2つの第2搬送ローラー73(一対の第2ローラー)は、弾性グラインダー6(除去部材)に対して基材901の搬送方向下流側に配置されている。これら2つの第2搬送ローラー73は、第1搬送ローラー72と同様に上下に配置されており、それぞれ矢印α73方向に回転することができる。これにより、2つの第2搬送ローラー73(一対の第2ローラー)は、基材901(記録媒体90’)を挟持しつつ回転して、基材901を搬送することができる。
なお、第1搬送ローラー72や第2搬送ローラー73では、基材901を搬送する搬送速度を変更可能に構成されている。この変更方法としては、特に限定されず、例えば、2つの第1搬送ローラー72のうち、主動ローラーとなっている第1搬送ローラー72と、この第1搬送ローラー72に接続されるモーターとの間に減速機を設ける方法等が挙げられる(第2搬送ローラー73についても同様)。
また、第1搬送ローラー72や第2搬送ローラー73では、基材901を挟持する挟持力(グリップ力)も変更可能に構成されている。ここで、「挟持力」とは、2つの第1搬送ローラー72で基材901を挟持した状態とし、この挟持状態から基材901を引き抜くのに要する力のことを言う(第2搬送ローラー73についても同様)。挟持力の変更方法としては、特に限定されず、例えば、前記減速機にカム機構を設けて、カムの切り換えによって変更する方法等が挙げられる。
支持ローラー8は、弾性グラインダー6の下側に配置されている。この支持ローラー8は、弾性グラインダー6を下方から支持するものである。また、支持ローラー8は、基材901の搬送に伴って、y軸回りに矢印α8方向(時計回り)に回転することができる。
以上のような構成の材料除去部12では、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)の速度を第1速度V72(Va)、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)の挟持力を第1挟持力F72(Fa)、2つの第2搬送ローラー73(一対の第2ローラー)の速度を第2速度V73(Vb)、2つの第2搬送ローラー73(一対の第2ローラー)の挟持力を第2挟持力F73(Fb)、弾性グラインダー6(除去部材)の速度を第3速度V6(Vc)、弾性グラインダー6(除去部材)の研削力を研削力F6(Fc)としたとき、基材901の位置に応じて下記式を満足するのが好ましい。
図12に示すように、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)が基材901(記録媒体90’)を挟持している場合には、V72(Va)<V6(Vc)、かつ、F72(Fa)>F6(Fc)を満足する。
また、図13に示すように、2つの第1搬送ローラー72(一対の第1ローラー)による基材901(記録媒体90’)の挟持が解除された場合には、V6(Vc)<V73(Vb)、かつ、F6(Fc)<F73(Fb)を満足する。
以上のような式を満足することにより、インク受容層902を除去する際、基材901を搬送方向下流側、すなわち、X軸方向正側に向かって引張った状態とすることができる。これにより、インク受容層902の除去を1回の搬送(ワンパス)で安定して行なうことができる。
また、本実施形態では、繊維含有材料の除去を多段階の研削で行なってもよい。この場合、弾性グラインダー6と支持ローラー8との組をx軸方向に沿って複数配置することができる。そして、この場合、各弾性グラインダー6の弾性膜61内の砥粒を段階的に細かくするのが好ましい。これにより、繊維含有材料が除去された第1面905をより平滑に良好にすることができる。
<第5実施形態>
図14は、第5実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の表面性状処理部を示す平面図である。図15は、図14中のD−D断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態では、表面性状処理部14の均し処理部3は、スクレイパー(スキージー)34を有している。スクレイパー34は、長尺状をなす板部材で構成されている。このスクレイパー34は、搬送ベルト161の上側で、x軸方向、すなわち、記録媒体90の搬送方向CD16に対して傾斜して配置されている。また、スクレイパー34の両端部は、それぞれ、台座35に支持されている。これにより、スクレイパー34は、両持ち支持された状態となり、安定して搬送ベルト161上で載置される。このように配置されたスクレイパー34は、インク受容層902の表面902aがx軸方向正側に移動するのに従って、表面902aの筋ムラを形成する微小な凹凸等が搬送方向CD16の上流側に押し戻される。また、押し戻された余分な部分は、スクレイパー34の傾斜方向に沿って矢印α34方向に移動して行き、その移動先で回収される。
なお、スクレイパー34は、搬送方向CD16に対する傾斜角度を変更可能に構成されていてもよい。
また、図15に示すように、均し処理部3は、3つの支持ローラー32も有している。これら3つの支持ローラー32は、x軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。また、図14に示すように、3つの支持ローラー32は、いずれも、平面視でスクレイパー34と交差している、すなわち、一部が重なって配置されているのが好ましい。これにより、前記微小な凹凸の解消を過不足なく安定して行なうことができる。
なお、スクレイパー34と各支持ローラー32とのz軸方向の距離を変更可能になっていてもよい。
<第6実施形態>
図16は、第6実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の表面性状処理部を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図16に示すように、本実施形態では、表面性状処理部14の均し処理部3は、均しローラー36と、支持ローラー32とを有している。
均しローラー36は、搬送ベルト161の上側に配置され、回転支持部37に回転可能に支持されている。この均しローラー36は、その駆動源であるモーター(図示せず)によって、インク受容層902の表面902aに接しつつ回転することができる。また、均しローラー36の外周部には、螺旋状の溝361が形成されている。この溝361により、インク受容層902の表面902aは、x軸方向正側に移動するのに従って、筋ムラを形成する微小な凹凸等が削ぎ取られて解消される。また、削ぎ取られた余分な材料は、溝361に沿って回転支持部37側に向かって移動して行き、その移動先で回収される。
<第7実施形態>
図17は、第7実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の表面性状処理部を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図17に示すように、本実施形態では、表面性状処理部14の半固化処理部5は、チャンバー51と、ヒーター53とを有している。
ヒーター53は、チャンバー51内で搬送ベルト161の下側に配置されている。ヒーター53は、通電により発熱する発熱体で構成されている。この発熱体としては、特に限定されず、例えば、ニクロム線のような電熱線等を用いることができる。これにより、インク受容層902は、チャンバー51内を通過する間にヒーター53からの熱が搬送ベルト161を介して伝わって、表面902aに薄膜が形成される。この薄膜化により、インク受容層902の構成材料である繊維含有材料の飛散防止やインク受容層902の形状維持等を図ることができる。
また、本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、チャンバー51内で搬送ベルト161の下側にヒーター52が配置されていてもよい。この場合、ヒーター52とヒーター53との加熱条件(加熱時間等)を異ならせてもよい。
<第8実施形態>
図18は、第8実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置のインク受容層形成部を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態では、転写部136は、コロトロンまたはスコロトロンで構成されている。この転写部136は、搬送ベルト161に対して感光体131と反対側に配置されている。また、転写部136は、基材901上で感光体131(担持体)を、基材901に転写される繊維含有材料のインク受容層902(層)の厚さよりも大きく離間させて、繊維含有材料の転写を行なう。このような転写部136により、転写を非接触で行なうことができ、よって、例えば転写時の振動や騒音を抑制することができる。また、非接触での転写により、転写時の目詰まりを防止することができ、よって、インク受容層902での筋ムラ等の発生を防止すことができる。また、振動が抑制されているため、繊維含有材料が乱れて転写されるのを防止することができる。
<第9実施形態>
図19は、第9実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置のインク受容層形成部を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第9実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図19に示すように、本実施形態では、繊維含有材料を担持する担持体18は、y軸回りに矢印α18(反時計回り)に回転する回転体である。この担持体18(回転体)は、アルミニウム等のような導電性材料で構成されたコア181と、コア181の外周部に形成され、樹脂材料等のような誘電体(絶縁性材料)で構成された誘電体層182と、を有する。なお、誘電体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のようなポリエステル、ポリカーボネート、四フッ化エチレン樹脂等の各種樹脂材料を用いることができる。
また、担持体18には、層形成ローラー19が接触している。層形成ローラー19は、y軸回りに矢印α19(時計回り)に回転することができる。これにより、層形成ローラー19は、誘電体層182に接触して、誘電体層182から基材901上に静電気力で繊維含有材料を移動させることができる。
このような担持体18を用いることにより、インク受容層形成部13の構成を、例えば前記第1実施形態中のインク受容層形成部13に比べて、簡単なものとすることができる。
<第10実施形態>
図20は、第10実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の上流側を示す垂直断面側面図である。図21は、第10実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の下流側を示す垂直断面側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第10実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。また、本実施形態では、前記第1実施形態から前記第11実施形態までの構成を適用することができる。
記録媒体製造装置1Bは、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料を担持しつつ、第1速度V1で搬送する担持体である感光体131と、基材901を第2速度V2で搬送する搬送部16と、繊維含有材料を感光体131(担持体)から基材901に転写する転写部134と、を備え、転写部134では、感光体131(担持体)による繊維含有材料の搬送方向CD131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とは、平行(同じ)であり、V1>V2なる関係を満足する。
また、記録媒体の製造方法は、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料を第1速度V1で搬送するとともに、基材901を第2速度V2で搬送して、繊維含有材料を基材901に転写するステップを有し、このステップでは、|V1|>|V2|なる関係を満足する。
このような発明によれば、第1速度V1と第2速度V2の間に大小をつけるという簡単な構成で、繊維含有材料を基材901に比較的多く留まらせることができる。これにより、繊維含有材料で構成されるインク受容層902をできる限り厚く(例えば10μm以上)形成することができる。
図20、図21に示すように、本実施形態では、搬送部16は、搬送ローラー163を有している。この搬送ローラー163は、2つの搬送ローラー163が上下で1組となって、これらの間で基材901を挟持しつつ搬送するよう構成されている。また、各組の搬送ローラー163は、x軸方向に沿って間隔を置いて配置されている。なお、x軸方向に隣り合う各組の搬送ローラー163同士の間隔は、前記第1実施形態でx軸方向に隣り合う各組の搬送ローラー162同士の間隔よりも小さいのが好ましい。例えば、x軸方向に隣り合う各組の搬送ローラー163同士の間隔としては、基材901のx方向の長さよりも小さいのが好ましい。
そして、各搬送ローラー163がそれぞれ矢印α163方向に回転することによって基材901を搬送することができる。なお、本実施形態では、搬送部16は、全ての搬送ローラー163がモーターに接続された駆動ローラーである必要はなく、基材901の搬送が可能であれば、どの搬送ローラー163が駆動ローラーであるかについては任意である。また、搬送部16は、基材901を搬送する搬送速度を変更可能に構成されている。この変更方法としては、特に限定されず、例えば、搬送ローラー163に接続されるモーターに対して印加する電圧を調整する方法等が挙げられる。
また、図20に示すように、転写ニップ135(転写部134上)では、感光体131(担持体)による繊維含有材料の搬送方向CD131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とは同じとなっている。そして、転写ニップ135での、感光体131が繊維含有材料を担持しつつ、搬送する速度をV131(第1速度V1)、搬送部16が基材901を搬送する速度をV16(第2速度V2)としたとき、V131>V16(すなわち第1速度V1>第2速度V2)なる関係を満足するのが好ましい。このような大小関係により、繊維含有材料は、感光体131から基材901に転写される際、転写ニップ135で一旦(一時的に)x軸方向負側に向かって寄せて集められて溜まることとなる。そして、転写ニップ135での繊維含有材料の溜まりが限界に達すると、この繊維含有材料は、基材901とともに搬送されて、層状となる。このような現象は、速度V131と速度V16との間に大小をつけるという簡単な構成で発現可能であり、当該現象により、インク受容層902をできる限り厚く形成することができる。なお、この現象によって形成されるインク受容層902の厚さとしては、例えば、10μm以上が可能であり、好ましくは10μm以上100μm以下が可能である。また、速度V131と速度V16との大小関係を満足させるのは、前述したように、感光体131の回転速度や搬送部16の搬送速度を調整することにより可能である。また、各速度調整は、制御部11によって制御されている。
また、速度V131と速度V16との大小関係は、次の2つの条件(2式)のうちの少なくとも一方を満足するのが好ましい。
1つ目の条件は、|V131|/|V16|>1.2(すなわち、|第1速度V1|/|第2速度V2|>1.2)なる関係を満足することである。
2つ目の条件は、|V131|/|V16|<15(すなわち|第1速度V1|/|第2速度V2|<15)なる関係を満足することである。
このような条件を満足することにより、できる限り厚いインク受容層902の形成を安定して迅速に行なうことができる。
<第11実施形態>
図22は、第11実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の上流側を示す垂直断面側面図である。図23は、第11実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の下流側を示す垂直断面側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第11実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態では、記録媒体製造装置1Bは、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料を担持しつつ搬送する担持体である感光体131と、基材901を搬送する搬送部16と、繊維含有材料を感光体131(担持体)から基材901に転写する転写部134と、を備え、転写部134では、感光体131(担持体)による繊維含有材料の搬送方向CD131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とは反対方向である。
このような発明によれば、感光体131による繊維含有材料の感光体131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とを反対方向とするという簡単な構成で、繊維含有材料を基材901に比較的多く留まらせることができる。これにより、繊維含有材料で構成されるインク受容層902をできる限り厚く(例えば10μm以上)形成することができる。
図22に示すように、本実施形態では、基材901は、x軸方向正側から供給され、搬送部16によってx方向負側に向かって搬送される。そして、その搬送途中で、インク受容層形成部13によって基材901にインク受容層902が形成される。また、インク受容層902の形成後、図23に示すように、基材901上のインク受容層902は、表面性状処理部14によって表面性状処理が施され、インク受容層固化部15によって固化される。
以下、各部について説明する。
図22に示すように、搬送部16では、各搬送ローラー163は、それぞれ、第1実施形態での矢印α163方向と反対の矢印β163方向に回転する。これにより、基材901をx方向負側に向かって搬送することができる。
インク受容層形成部13では、転写部134は、第1実施形態での矢印α134方向と反対の矢印β134方向(反時計回り)に回転する。そして、転写ニップ135(転写部134上)では、感光体131(担持体)による繊維含有材料の搬送方向CD131と、搬送部16による基材901の搬送方向CD16とは反対方向である。これにより、転写ニップ135では、繊維含有材料は、感光体131にほとんど残らずに、ほぼ全てが基材901上に移動することができる。その結果、インク受容層902は、できる限り厚い層となって形成されることとなる。なお、このインク受容層902の厚さとしては、例えば、10μm以上が可能であり、好ましくは10μm以上100μm以下が可能である。また、インク受容層902での筋ムラ等の発生を抑制または防止することができる。さらに、繊維含有材料の無駄も防止することができる。
そして、転写ニップ135での、感光体131(担持体)による繊維含有材料の搬送速度をV131(第1速度V1)、搬送部16による基材901の搬送速度をV16(第2速度V2)としたとき、|V1|>|V2|なる関係を満足するのが好ましい。
また、速度V131と速度V16との大小関係は、次の2つの条件(2式)のうちの少なくとも一方を満足するのが好ましい。
1つ目の条件は、|V131|/|V16|>1.2(すなわち、|第1速度V1|/|第2速度V2|>1.2)なる関係を満足することである。
2つ目の条件は、|V131|/|V16|<15(すなわち|第1速度V1|/|第2速度V2|<15)なる関係を満足することである。
このような条件を満足することにより、できる限り厚いインク受容層902の形成を安定して迅速に行なうことができる。
図23に示すように、均し処理部3では、均しローラー31は、第1実施形態での矢印α31方向と反対の矢印β31方向(時計回り)に回転する。また、支持ローラー32は、第1実施形態での矢印α32方向と反対のβ32方向(反時計回り)に回転する。このような均し処理部3により、均し処理を行なうことができる。
加圧処理部4では、各加圧ローラー41は、それぞれ、第1実施形態での矢印α41方向と反対方向の矢印β41方向に回転する。このような加圧処理部4により、加圧処理を行なうことができる。
インク受容層固化部15では、各固化ローラー151は、それぞれ、第1実施形態での矢印α151方向と反対方向の矢印β151方向に回転する。このようなインク受容層固化部15により、インク受容層902の固化を行なうことができる。
また、図示はしないが、本実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、マーキング部形成部20が例えばインク受容層固化部15よりも下流側に配置されている。
<第12実施形態>
図24は、第12実施形態の記録媒体再生システムが備える記録媒体製造装置の上流側を示す垂直断面側面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の記録媒体の製造方法、記録媒体製造装置、記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置の第12実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
記録媒体製造装置1Bは、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料を担持しつつ搬送する担持体である感光体131と、基材901を搬送する搬送部16と、繊維含有材料を感光体131(担持体)から基材901に転写する転写部134と、を備え、感光体131(担持体)に担持されている繊維含有材料の単位面積当たりの重量をW1、基材901に転写された繊維含有材料の単位面積当たりの重量をW2としたとき、W2/W1>1.0なる関係を満足する。
また、記録媒体の製造方法は、セルロース繊維と疎水性材料とを含む繊維含有材料を担持体である感光体131を介して担持して、繊維含有材料を感光体131(担持体)から基材901に転写する転写ステップを有し、感光体131(担持体)に担持されている繊維含有材料の単位面積当たりの重量をW1、基材901に転写された繊維含有材料の単位面積当たりの重量をW2としたとき、W2/W1>1.0なる関係を満足する。
このような発明によれば、重量W1と重量W2との間に大小をつけるという簡単な構成で、繊維含有材料を感光体131から基材901に比較的多く転写することができる。これにより、繊維含有材料で構成されるインク受容層902をできる限り厚く(例えば10μm以上)形成することができる。
図24に示すように、感光体131(担持体)に担持されている繊維含有材料の単位面積当たりの重量、すなわち、目付量(単位:g/cm2)をW1、基材901に転写された繊維含有材料の単位面積当たりの重量、すなわち、目付量(単位:g/cm2)をW2としたとき、W2/W1>1.0なる関係を満足するのが好ましい。これにより、繊維含有材料を感光体131から基材901に比較的多く転写することができ、よって、インク受容層902をできる限り厚く形成することができる。なお、重量W1と重量W2との大小関係を満足させるには、例えば、感光体131での電位や転写部134での電位を調整することにより可能である。その他、速度V131、速度V16の調整等によっても可能である。そして、このような電位調整や速度調整は、制御部11によって制御されている。
さらに、W2/W1<15なる関係を満足するのが好ましい。これにより、できる限り厚いインク受容層902の形成を安定して迅速に行なうことができる。
なお、インク受容層形成部13では、重量W1と重量W2との大小関係の条件と、前述した速度V131と速度V16との大小関係の条件との双方を満足することもできる。
以上、本発明の記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、記録媒体再生装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の記録媒体の再生方法および記録媒体再生装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、インク受容層の構成材料の一部である熱可塑性樹脂としては、前記第1実施形態ではガラス転移温度が50℃以上200℃以下のものを用いているが、これに限定されず、例えば、融点が50℃以上200℃以下のものを用いてもよい。
また、インク受容層は、前記第1実施形態では基材の第1面に対して余白部を残して形成されている、すなわち、基材の第1面の一部に形成されているが、これに限定されず、基材の第1面の全面に形成されていてもよい。
また、インク受容層は、単層であるのに限定されず、例えば、積層体であってもよい。
また、記録媒体は、基材とインク受容層との間に下地層が設けられたものであってもよい。
また、ステップS101(材料除去ステップ(第1ステップ))では、記録媒体から複合体(情報記録材料)の除去をする際に、切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの1つを用いているが、これに限定されず、例えば、切削、スクレイプ、研削および研磨のうちの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。そして、この組み合わせに応じて、バイト、スクレイパー、フラップブラシ、弾性グラインダーのうちの少なくとも1つを適宜選択して用いるのが好ましい。
また、前記第1実施形態では、ステップS101でバイトを用いていたが、これに限定されず、例えば、研削砥粒を焼結させた回転砥石や、エンドミル等のような回転切削刃物等を用いてもよい。
また、ステップS102(層形成ステップ)では、基材への繊維含有材料の塗布を静電塗布により行なっているが、これに限定されない。
また、ステップS103(表面性状処理)は、前記第1実施形態では均し処理、加圧処理、半固化処理の3つの処理を含んでいるが、これに限定されず、例えば、これら3つの処理のうちの1つの処理でもよいし、2つの処理を組み合わせてもよい。
また、前記第1実施形態では、ステップS102以降は、例えば公知の技術を用いることもできる。
また、材料除去部は、超音波カッターを有するものであってもよい。
また、インク受容層の形成は、前記第1実施形態では基材の第1面および第2面のうちの第1面に対して行なっているが、これに限定されず、例えば、第2面に対しても行なってもよい。この場合の第2面へのインク受容層の形成は、例えば、インク受容層を第1面に形成した後に、基材を表裏反転させて、第1面へのインク受容層の形成と同じ工程を経ることにより可能となる。
また、インク受容層が基材の第1面および第2面の双方に形成されている場合、各インク受容層を除去するには、例えば、まず、第1面からインク受容層を除去した後に、基材を表裏反転させる。次いで、第2面からインク受容層を除去するに際し、第1面からのインク受容層の除去と同じ工程を経ることにより、その除去が可能となる。その他、第2面からインク受容層を除去するに際し、第1面からのインク受容層の除去と同時に、その除去を行なってもよい。