以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する本発明の実施形態に係る可撓管保持具は、洗浄装置、食品加工装置、各種分析機器、医療機器、化学装置等の様々な装置において液体を輸送する可撓管を保持するために使用される。また、本発明の実施形態に係る可撓管保持具は、液体だけでなく、気体を輸送する可撓管の保持に使用することもできる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る可撓管保持具10、可撓管1、キャップ2及び直管部材3の外観図である。図2は、可撓管保持具10単体の外観図である。図1(a)と図1(b)、図2(a)と図2(b)は、それぞれ同じ状態を異なる視点から見た図である。本実施形態の可撓管保持具10は、容器(不図示)のキャップ2に取り付けられ、容器内に挿入された可撓管1の一部を保持するために使用される。可撓管保持具10は、例えば樹脂で形成されている。可撓管1は、例えばゴムや塩化ビニル等の合成樹脂等で形成されたホースである。
図1に示すように、キャップ2は、可撓管保持具10と直管部材3に挟み込まれている。可撓管保持具10はキャップ2の上側に配置され、直管部材3はキャップ2の下側に配置されている。可撓管保持具10内には、後述するように、内部に略90度に曲がった曲管が形成されている。キャップ2の、可撓管保持具10と直管部材3によって挟まれた位置には穴が空けられており、可撓管保持具10の曲管は、キャップ2の穴を介して直管部材3の中空部3Aと連通している。可撓管1は、可撓管保持具10と直管部材3の中空部3Aに通された状態で保持される。このとき、可撓管1は、キャップ2よりも下側では、直管部材3によって上下方向に延びた状態で保持され、キャップ2よりも上側では、可撓管保持具10によって曲げられた状態で保持される。なお、可撓管保持具10による可撓管1の保持についての詳細は後述する。
以下の説明において、直管部材3の長手方向を上下方向と呼ぶ。また、キャップ2に対し、可撓管保持具10が配置されている側を上側、直管部材3が配置されている側を下側と呼ぶ。また、キャップ2よりも上側において可撓管保持具10から可撓管1が突出している方向を前方向と呼び、その反対方向を後方向と呼ぶ。上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。なお、可撓管保持具10を使用する際には、可撓管保持具10をどのような方向に向けて配置してもよい。
図3は、可撓管保持具10の側面図である。可撓管保持具10は、ベース部材20と、ベース部材20に回転可能に連結された回転部材30を有している。図3(a)〜図3(c)は、ベース部材20に対する回転部材30の回転角度又は位置が互いに異なる状態を示している。
ベース部材20は、直管部21、平板部22、一対の壁部23を有する。直管部21は、軸方向が上下方向と平行な筒状を有している。平板部22は、直管部21の上方から前方に延びた板状を有している。一対の壁部23は、平板部22の左右方向における両端に、互いに対向するように設けられている。平板部22と一対の壁部23は、前方から見たときに、上方に開いたコの字状(或いは、U字状)を形成している。平板部22と一対の壁部23で囲われた領域に、回転部材30が収容される。一対の壁部23の間隔は、回転部材30の左右方向における幅よりも僅かに大きい。そのため、回転部材30が平板部22と一対の壁部23で囲われた領域に収容されると、回転部材30の左右方向への移動が一対の壁部23によって規制される。なお、ベース部材20はキャップ2と一体に形成されていてもよい。
回転部材30は、筒状を有している。回転部材30の、左右方向における両側面にはそれぞれ、回転軸部31が設けられている。各回転軸部31は、左右方向に突出する円柱形状を有しており、2つの回転軸部31の軸方向は略一致している。2つの回転軸部31はそれぞれ、ベース部材20の一対の壁部23に設けられた軸受24に嵌め込まれる。そのため、回転部材30は、回転軸部31を中心に、左右方向に直交する面内において回転移動可能である。回転軸部31は、回転部材30の回転軸が回転部材30の中空部30Aの中心軸と略直交するように設けられている。
軸受24は、回転軸部31が前後方向にスライド可能なように、前後方向に長尺な長穴を有している。この長穴は、前後方向に並んだ2つの円形の穴24A、24Bが繋がった形状を有している。穴24Aは後方、穴24Bは前方に設けられている。また、穴24Aは、穴24Aの中心軸が、ベース部材20(直管部21)の中空部20Aの中心軸を略直交するように配置されている。2つの円形の穴24A、24Bが繋がった箇所の幅(上下方向における長さ)は、回転軸部31の外径よりも小さい。そのため、回転軸部31を2つの穴24A、24Bの間で移動させるためには、2つの穴24A、24Bが繋がった箇所の幅が広がるように壁部23を弾性変形させる必要がある。
軸受24の穴24Bは、上方側が切り欠かれている。そのため、可撓管保持具10を組み立てる際には、回転軸部31を穴24Bの切り欠かれた部分に通すことにより、回転部材30をベース部材20に連結可能である。なお、穴24Bの切り欠かれた部分の幅は、回転軸部31の外径よりも小さい。そのため、回転軸部31を切り欠かれた部分と穴24Bとの間で移動させるためには、穴24Bの切り欠かれた部分の幅が広がるように壁部23を弾性変形させる必要がある。そのため、一旦、回転軸部31が軸受24に嵌め込まれると、壁部23を弾性変形させる力が働かない限り、回転軸部31が、切り欠かれた部分を通って軸受24から取り外されてしまうことはない。また、回転部材30の左右方向への移動は一対の壁部23によって規制されているため、回転軸部31が軸受24に嵌め込まれている状態では、回転部材30がベース部材20から取り外されてしまうことはない。
図3(a)に示す状態では、ベース部材20(直管部21)の中空部20Aの中心軸と回転部材30の中空部30Aの中心軸が略一致しており、ベース部材20と回転部材30は、上下方向に延びる直管を形成している。また、図3(b)に示す状態では、ベース部材20の中空部20Aと回転部材30の中空部30Aは、互いの中心軸が略直交した状態で繋がっており、L字状の曲管を形成している。また、回転部材30は、図3(b)に示す回転位置において、前方にスライド可能である。回転部材30が、図3(b)に示す状態から前方にスライドされると、可撓管保持具10は図3(c)に示す状態となる。なお、図3(a)及び図3(b)に示す状態では、回転部材30の回転軸部31は、軸受24の穴24Aに嵌合している。また、図3(c)に示す状態では、回転軸部31は、軸受24の穴24Bに嵌合している。
以下では、可撓管保持具10の図3(a)に示す状態を直管状態と呼び、図3(b)及び図3(c)に示す状態を曲管状態と呼ぶ。また、可撓管保持具10が図3(a)に示す状態にある場合の回転部材30の位置を直立位置と呼び、可撓管保持具10が図3(b)に示す状態にある場合の回転部材30の位置を屈曲位置と呼び、可撓管保持具10が図3(c)に示す状態にある場合の回転部材30の位置を固定位置と呼ぶ。後述するように、回転部材30が固定位置にあるとき、回転部材30は、その位置がベース部材20に対して固定されている。
図4は、可撓管保持具10の上面図である。図4(a)〜図4(c)はそれぞれ、回転部材30が直立位置、屈曲位置、固定位置にある場合を示す。図5は、可撓管保持具10、可撓管1、キャップ2及び直管部材3の断面図である。図5(a)〜図5(c)はそれぞれ、回転部材30が直立位置、屈曲位置、固定位置にある場合を示す。
可撓管保持具10は、可撓管保持具10を直管状態に保持する(言い換えると、回転部材30を直立位置に保持する)保持部40を有している。
保持部40は、図4(a)及び図5(a)に示すように、ベース部材20の上面に形成されている。本実施形態では、保持部40は、ベース部材20の上面から上方に突出し、左右方向に延びた凸条である。なお、保持部40は、凸条ではなく、一つの突起、或いは、左右方向に並んで配置された複数の突起であってもよい。
回転部材30を屈曲位置から直立位置に向かって回転移動させると(言い換えると、可撓管保持具10を図5(b)に示す状態から図5(a)に示す状態に変化させると)、回転部材30の下方側且つ後方側の角が保持部40に上後方から当接する。この状態で回転部材30が直立位置に向かって強く押されると、保持部40又は回転部材30が弾性変形して回転部材30の下方且つ後方側の角が保持部40の上方を通過する。これにより、回転部材30が直立位置にある場合において、回転部材30の後方側の面が保持部40と当接する状態となる。このとき、回転部材30の屈曲位置へ向かう方向への回転移動は、回転部材30が保持部40に当接することによって規制され、その反対方向への回転移動は、回転部材30がベース部材20(平板部22)の上面に当接することによって規制される。そのため、回転部材30は、屈曲位置へ向かう方向への強い力が加えられない限り、直立位置に保持される。
可撓管保持具10は、可撓管保持具10を曲管状態に保持する固定部50を有している。本実施形態において、固定部50は、回転部材30に設けられた係合爪51と、ベース部材20に設けられた係合部52とを有している。
係合爪51は、図3(b)に示すように、回転部材30が屈曲位置にある場合において、回転部材30の下側の面から下方に延びる椀部51Aと、椀部51Aから前方に突出する突起51Bとを有している。係合部52は、平板部22の一部である。平板部22のうち、直管部21よりも前方の部分には、上下方向に貫通する開口部22Aが設けられている。係合部52は、この開口部22Aの前方側の縁部である。
回転部材30が直立位置から屈曲位置に向かって回転移動されると、図3(b)に示すように、係合爪51が開口部22A内に挿入され、係合部52よりも後方に配置される。この状態で回転部材30が前方に向かって押されると、回転部材130が固定位置までスライドし、図3(c)に示すように、係合爪51と係合部52が係合する。この状態において、回転部材30の直立位置へ向かう方向への回転移動は突起51Bが係合部52の下面に当接することによって規制され、反対方向への回転は回転部材30が係合部52(平板部22)の上面に当接することによって規制される。このとき、回転軸部31は、軸受24の穴24Bに嵌め込まれている。そのため、回転部材30は、壁部23が、軸受24の上下方向における幅、或いは、穴24Bの切り欠かれた部分の幅が広がるように弾性変形しない限り、固定位置に配置された状態で固定される。これにより、可撓管保持具10が曲管状態で保持される。
また、可撓管保持具10は、可撓管保持具10を曲管状態に保持するもう一つの固定部60(以下、「補助固定部」と呼ぶ。)を有している。補助固定部60は、回転部材30の左右方向における両側面に設けられた突起61と、一対の壁部23に設けられた開口部62を有している。
各突起61は、左右方向に突出して形成されている。また、各突起61は、図3(a)に示すように、回転部材30が直立位置にある場合に、一対の壁部23で挟まれた領域よりも上方に配置されている。一対の突起61の先端同士の左右方向における長さは、一対の壁部23の左右方向における間隔よりも僅かに大きい。そのため、回転部材30を直立位置から屈曲位置に向かって回転移動させると、各突起61は壁部23の上端部に当接する。この状態で回転部材30が屈曲位置に向かって押し込まれると、各壁部23が、突起61によって押されて、壁部23の左右方向における間隔が広がるように弾性変形する。これにより、各突起61は、一対の壁部23で挟まれた領域内に入り込む。
一対の開口部62はそれぞれ、回転部材30が屈曲位置にある場合の突起61の位置に対応する位置に設けられている。開口部62の大きさは、突起61の大きさよりも僅かに大きい。そのため、回転部材30が屈曲位置まで移動すると、各突起61が対応する開口部62に入り込み、弾性変形していた壁部23が自然状態に戻る。また、各開口部62は、前後方向に長尺な開口を有している。そのため、各突起61は、対応する開口部62内において前後方向に移動可能である。また、回転部材30が屈曲位置と固定位置の間でスライドした際に、各突起61はそれぞれ、対応する開口部62に入り込んだ状態が維持される。そのため、壁部23が一対の壁部23の間隔が広がるように弾性変形しない限り、回転部材30は屈曲位置又は固定位置に配置された状態で維持される。これにより、可撓管保持具10が曲管状態で保持される。
図5(a)に示すように、可撓管保持具10が直管状態にある場合、ベース部材20と回転部材30は、軸方向が上下方向と略平行な直管を形成する。また、キャップ2を挟んで、可撓管保持具10とは反対の側には直管部材3が配置される。キャップ2には上下方向に貫通する穴が設けられており、直管部材3の上端部はキャップ2の穴を介してベース部材20の中空部20Aに嵌入される。これにより、直管部材3は、可撓管保持具10及びキャップ2に固定される。このとき、可撓管保持具10の中空部20A、30A及び直管部材3の中空部3Aは、上下方向において繋がっている。また、可撓管保持具10の中空部20A、30Aの内径及び直管部材3の中空部3Aの内径は、可撓管1の外径よりも大きい。そのため、可撓管保持具10が直管状態にある場合、可撓管1を上下方向に沿って可撓管保持具10の中空部20A、30A及び直管部材3の中空部3Aに挿入して通すことができる。
図5(a)に示す状態において、回転部材30の前方側且つ下方側の部分には、切欠き部32が設けられている。回転部材30の中空部30Aは、前後方向において、切欠き部32の開口を介して回転部材30の外部と繋がっている。切欠き部32の開口の左右方向における長さは、可撓管1の外径よりも大きい。また、切欠き部32の開口は、中空部30Aの下側の開口と繋がっている。切欠き部32は、回転部材30が図5(a)に示す直立位置から図5(b)に示す屈曲位置まで回転移動されると、ベース部材20の中空部20Aの上側の開口の直上まで移動する。そのため、図5(b)に示す状態では、中空部20Aと中空部30Aは、切欠き部32を介して繋がり、ベース部材20と回転部材30はL字状の曲管を形成する。
次に、可撓管保持具10による可撓管1の保持について説明する。
可撓管保持具10によって可撓管1を保持させる際には、まず、可撓管保持具10が直管状態にされる。そして、図5(a)に示すように、可撓管1が、上下方向に沿って可撓管保持具10の中空部20A、30A及び直管部材3の中空部3Aに挿入して通される。その後、回転部材30が直立位置から屈曲位置に向かって回転移動される。回転部材30が直立位置にある場合の回転部材30の内壁面のうち後側の内壁面30A1は、回転部材30が屈曲位置に向かって回転移動するにしたがい、ベース部材20の上方において中空部20Aの中心軸を横切るように移動する。そのため、回転部材30が直立位置から屈曲位置に向かって回転移動されると、可撓管1のうちベース部材20から上方に突出した部分が、内壁面30A1によって回転方向に押される。そして、回転部材30が屈曲位置に向かって回転移動されるにしたがい、可撓管1は前方に押し曲げられる。回転部材30が屈曲位置まで回転移動されると、可撓管1のうち中空部30Aに挿入されている部分は、内壁面30A1により上方から押さえられ、その長手方向が前後方向と略平行な状態となる。これにより、図5(b)に示すように、可撓管1のうち、中空部20Aに挿入された部分と中空部30Aに挿入された部分との間に、略90度に曲げられた湾曲部1Aが形成される。
また、回転部材30が直立位置から屈曲位置に向かって回転移動されると、回転部材30が直立位置にあったときの中空部30Aの下側の開口は後方に向かって回転し、回転部材30が直立位置にあったときに回転部材30の前方に配置されていた切欠き部32は下方に向かって回転する。そして、回転部材30が屈曲位置まで回転されると、切欠き部32は、中空部20Aの上側の開口の直上まで移動する。そのため、回転部材30が屈曲位置に向かって回転するにしたがい、可撓管1のうち、中空部20Aから上方に向かって突出している部分は、中空部30Aの下側の開口に通された状態から、切欠き部32の開口に通された状態に変化する。
なお、回転部材30が直立位置から屈曲位置に向かって回転されると、回転部材30のうち、回転軸部31より下側の部分は後方に向かって移動する。そのため、仮に、回転部材30に切欠き部32が設けられていない場合、回転部材30が屈曲位置に向かって回転されるにしたがい、可撓管1は、中空部30Aの内壁面のうち前方且つ回転軸部31よりも下方の部分によって後方に押される。このとき、可撓管1は、中空部30Aの内壁面の前側の面と中空部20Aの内壁面の後側の面との間に挟まれた状態となる。そのため、切欠き部32が設けられていない場合、回転部材30を屈曲位置まで回転できなくなる、或いは、可撓管1が押し潰されてしまい、内部に液体を通すことができなくなるという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態では、回転部材30に切欠き部32が設けられているため、可撓管1が中空部30Aの内壁面の前側の面と中空部20Aの内壁面の後側の面との間に挟まれた状態が発生せず、回転部材30を回転できなくなるという問題、或いは、可撓管1が押し潰されてしまうという問題の発生を防止可能である。
可撓管保持具10が図5(b)に示す状態になった後、回転部材30が屈曲位置から固定位置にスライド移動され、可撓管保持具10は、図5(c)に示された状態となる。図5(c)に示す状態において、可撓管保持具10は、固定部50及び補助固定部60によって曲管状態で固定される。これにより、可撓管1は、湾曲部1Aにおいて略90度に曲げられた状態で固定される。
また、可撓管保持具10は、曲管状態において、可撓管1の側面に食い込み、可撓管1が長手方向に移動することを防止する突出部33を有している。本実施形態において、突出部33は、平板部22の上面のうち、中空部20Aよりも前方且つ開口部22Aよりも後方に設けられている。突出部33は、平板部22の上面から上方に向かって突出している。可撓管保持具10が曲管状態にある場合、突出部33は、回転部材30の内壁面のうち下側の内壁面30A2よりも上側に突出している。突出部33の高さは、突出部33の上端部と回転部材30の内壁面のうち上側の内壁面30A1との間隔が、可撓管1の外径よりも小さくなるように設計されている。そのため、回転部材30が直立位置から屈曲位置まで回転移動されると、突出部33が、可撓管1のうち湾曲部1Aの内周側の側面に食い込む。また、回転部材30が屈曲位置から固定位置に移動されると、突出部33が可撓管1の側面に食い込んだ状態で固定される。そのため、可撓管保持具10が図5(c)に示す状態にある場合、可撓管1に対して長手方向に沿った外力が加えられると、可撓管1には突出部33から外力に対する抗力が働き、可撓管1の長手方向への移動が抑制される。これにより、可撓管1が可撓管保持具10から取り外されてしまうことが防止される。
なお、本実施形態では、突出部33の先端は丸みを帯びている。そのため、突出部33が可撓管1の側面に食い込んだときに、可撓管1が損傷を受けることが防止される。また、突出部33の上下方向の高さは、突出部33が可撓管1に食い込んだときに、可撓管1が押し潰されてしまわないように調整されている。突出部33の高さは、例えば、可撓管保持具10が曲管状態にある場合に、突出部33の上側の先端部が、中空部30Aの中心軸よりも下側に配置されるように設計されている。これにより、突出部33が可撓管1に食い込むことによって可撓管1に液体を通すことができなくなってしまうという問題の発生が防止される。
また、本実施形態では、図5(a)に示すように、可撓管保持具10が直管状態である場合に、突出部33は可撓管1よりも前方に配置される。そのため、直管状態の可撓管保持具10に可撓管1を挿入する際に、可撓管1が突出部33に当接することがなく、可撓管1を可撓管保持具10内にスムーズに挿入して通すことができる。
また、本実施形態の可撓管保持具10は、可撓管保持具10を直管状態に保持する(言い換えると、回転部材30を直立位置に保持する)保持部40を有している。そのため、直管状態の可撓管保持具10に可撓管1を通す際に、回転部材30が直立位置から回転してしまうことが防止され、可撓管1を通す作業が容易となる。
また、本実施形態では、回転部材30を直立位置から屈曲位置に向かって回転移動させることにより、可撓管1が回転部材30の内壁面30A1に押されて曲げられる。また、回転部材30は、屈曲位置まで回転されると固定部50によって固定される。これにより、可撓管1は曲げられた状態で固定される。このように、本実施形態では、回転部材30を屈曲位置まで回転させるという簡便な動作により、可撓管1を曲げて、その状態を維持することが可能となる。従って、作業者は、可撓管1を曲げる作業や、可撓管1を曲げた状態も維持しながら回転部材30を固定する作業を行う必要がない。
また、本実施形態では、可撓管保持具10に可撓管1を保持させるためには、回転部材30をベース部材20に対して回転させればよく、回転部材30をベース部材20から取り外す必要がない。そのため、作業者が、可撓管1を可撓管保持具10に挿入する作業を行っている途中で、可撓管保持具10を構成する部品を紛失してしまうことを防止可能である。
また、本実施形態では、回転部材30は、固定部50に加え、補助固定部60によって屈曲位置に固定される。これにより、可撓管1が曲げられた状態を、より強固に維持可能である。
また、本実施形態では、可撓管保持具10が曲管状態である場合に、突出部33が可撓管1の側面に食い込む。そのため、可撓管1に対して長手方向に沿った外力が加えられた場合に、可撓管1には突出部33から外力への抗力が働き、可撓管1の長手方向への移動が抑制される。これにより、可撓管1が可撓管保持具10から取り外されてしまうことが防止される。
また、本実施形態では、回転部材30の外形は、図2に示すように円柱状であるが、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、回転部材30の外形は、直方体状や、多角柱状であってもよい。
また、本実施形態では、回転部材30の中空部30A及びベース部材20の中空部20Aは、内径が可撓管1の外形よりも僅かに大きい円柱状を有している。これにより、可撓管1と中空部20A、30Aの内壁面との隙間が小さくなり、可撓管保持具10に保持された可撓管1にガタツキが生じることが防止される。可撓管1にガタツキが生じなくなることにより、可撓管保持具10が曲管状態にある場合に、突出部33を確実に可撓管1に食い込ませることができる。なお、回転部材30の中空部30A及びベース部材20の中空部20Aは、円柱状に限定されず、多角柱状であってもよい。
また、本実施形態では、回転部材30の回転軸部31が、ベース部材20の軸受24に嵌め込まれることにより、回転部材30がベース部材20に対して回転可能に連結されるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、ベース部材20の壁部23に回転軸部が設けられ、回転部材30に軸受が設けられていてもよい。或いは、可撓管保持具10は、ベース部材20に対し、回転部材30を回転可能に連結するヒンジを有していてもよい。
また、本実施形態では、可撓管保持具10は、可撓管1を略90度に曲げた状態で保持するが、可撓管1の曲げ角度は略90度に限定されない。可撓管保持具10は、その用途に合わせて、可撓管1を90度よりも小さい角度、或いは、90度よりも大きい角度に曲げて保持するものであってもよい。詳しくは、可撓管保持具10が曲管状態である場合に、ベース部材20の中空部20Aと回転部材30の中空部30Aは、互いの中心軸が交差していればよく、直交していなくてもよい。
また、本実施形態の突出部33が設けられている位置は、図5に示す位置に限定されない。突出部33は、可撓管保持具10が直管状態の場合には可撓管1の側面に食い込まず、可撓管保持具10が曲管状態の場合には可撓管1の側面に食い込むように構成されていればよい。例えば、突出部33は、図5に示す位置よりも後方に配置され、湾曲部1Aの内周側の側面に食い込むものであってもよい。
また、本実施形態の突出部33は、図4(a)に示すように、平板部22の上面に1つだけ設けられているが、突出部33の数は一つに限定されない。例えば、平板部22には、複数個の突出部33が設けられていてもよい。また、本実施形態の突出部33は、図4(a)及び図5に示すように、左右方向に延びる凸条を有しているが、突出部33の形状は凸条に限定されない。例えば、突出部33は、上方に向かって突出した突起であってもよい。また、突出部33は、上後方又は上前方、或いは、上左方又は上右方など、上下方向に対して傾いた方向に突出していてもよい。
また、本実施形態では、突出部33は、ベース部材20の平板部22に設けられているが、本実施形態はこの構成に限定されない。突出部33は、回転部材30に設けられていてもよい。或いは、突出部33は、ベース部材20と回転部材30の両方に設けられていてもよい。
(第1実施形態の変形例)
以下では、第1実施形態の変形例について説明する。本変形例では、第1実施形態とは異なり、突出部が回転部材に設けられている。
図6は、本実施形態の変形例に係る可撓管保持具110、可撓管1、キャップ2及び直管部材3の断面図である。可撓管保持具110は、ベース部材120とベース部材120に回転可能に連結された回転部材130を有している。図6(a)は、可撓管保持具110が直管状態にある場合を示し、図6(b)は、可撓管保持具10が曲管状態にある場合を示す。また、可撓管保持具10が直管状態にある場合の回転部材130の位置を直立位置と呼び、可撓管保持具10が曲管状態にある場合の回転部材130の位置を屈曲位置と呼ぶ。
ベース部材120は、直管部121、平板部122、一対の壁部123を有する。直管部121は、軸方向が上下方向と平行な筒状を有している。平板部122は、直管部121の上方から前方に延びた板状を有している。一対の壁部123は、平板部122の左右方向における両端に、互いに対向するように設けられている。平板部122と一対の壁部123は、前方から見たときに、上方に開いたコの字状(或いは、U字状)を形成している。平板部122と一対の壁部123で囲われた領域に、回転部材130が収容される。
回転部材130は、筒状を有している。回転部材130の、左右方向の側面には回転軸部(図6では不図示)が設けられている。また、ベース部材120の各壁部123には、回転部材130の回転軸部が嵌め込まれる軸受(図6では不図示)が設けられている。回転部材130は、回転軸部を中心に回転移動可能である。回転部材130は、固定部150によって屈曲位置にある状態で固定可能である。なお、本変形例の回転部材130は、第1実施形態の回転部材30とは異なり、前後方向へのスライドはできない。図6(a)に示す状態において、回転部材130の前方側且つ下方側の部分には、切欠き部132が設けられている。
本変形例では、可撓管保持具110を曲管状態に保持する固定部150の形状が、第1実施形態の固定部50とは異なっている。本変形例の固定部150は、回転部材30に設けられた係合爪151と、ベース部材120に設けられた係合部152とを有している。
係合爪151は、回転部材130が屈曲位置にある場合において、回転部材130の下側の面から下方に延びる椀部151Aと、椀部151Aから後方に突出する突起151Bとを有している。係合部152は、ベース部材120のうち、平板部122の前方の端部である。
回転部材130が直立位置から屈曲位置に向かって回転移動されると、突起151Bが、係合部152に上方から当接する。この状態で回転部材30が屈曲位置に向かって強く押されると、係合部152によって突起151Bが前方に向かって押されて、椀部151Aが前方に撓むように弾性変形する。これにより、突起151Bが係合部152を通過して、回転部材130が屈曲位置まで移動する。回転部材130が屈曲位置まで移動すると、椀部151Aが自然状態に戻り、突起151Bが係合部152の下方に配置される。この状態において、回転部材130の直立位置へ向かう方向への回転移動は突起151Bが係合部152の下面に当接することによって規制され、反対方向への回転は回転部材130が係合部152の上面に当接することによって規制される。そのため、回転部材130は、係合爪151の椀部151Aを弾性変形させない限り、屈曲位置に配置された状態で固定される。
また、本変形例では、突出部133の設けられている位置が、第1実施形態の突出部33が設けられている位置とは異なっている。本変形例の突出部133は、切欠き部132の開口の前方の縁である。可撓管保持具110に可撓管1が挿入された状態で、回転部材130が直立位置から屈曲位置まで回転移動されると、可撓管1のうちベース部材120から上方に突出した部分が、回転部材130の中空部130Aの後ろ側の内壁面によって前方に押し曲げられる。これにより、可撓管1には、略90度に曲げられた湾曲部1Aが形成される。回転部材130が屈曲位置に向かって回転移動するにしたがって、湾曲部1Aが突出部133に向かって移動する。このとき、突出部133の上後方の角が、湾曲部1Aに向かって突出するように配置される。回転部材130が屈曲位置まで回転移動されると、突出部133が湾曲部1Aの内周側の側面に食い込む。そのため、可撓管1に対して長手方向に沿った外力が加えられた場合に、可撓管1には突出部133から外力への抗力が働き、可撓管1の長手方向への移動が抑制される。これにより、可撓管1が可撓管保持具10から取り外されてしまうことが防止される。
また、図6(a)に示すように、可撓管保持具10が直管状態である場合に、突出部133は、回転部材130の中空部130Aの内壁面から内側に向かって突出していない。そのため、直管状態の可撓管保持具10に可撓管1を挿入する際に、可撓管1が突出部133に当接することが抑制される。これにより、可撓管1を可撓管保持具10にスムーズに挿入して通すことができる。
また、本変形例では、突出部133は、切欠き部132の開口の縁であるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。突出部133は、可撓管1が回転部材130によって曲げられたときに、湾曲部1Aの内周側の側面に食い込むものであればよい。例えば、突出部133は、可撓管保持具110が曲管状態である場合に、切欠き部132の開口の前方の縁から後方に向かって突出した突起であってもよい。
また、本変形例の固定部150は、回転部材130に設けられた係合爪151と、ベース部材120に設けられた係合部152とを有しているが、本発明の実施形態の固定部150はこの構成に限定されない。固定部150は、回転部材130をベース部材120に固定可能であればよく、例えば、ベース部材120に係合爪が設けられ、回転部材130に係合爪と係合する係合部が設けられていてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る可撓管保持具210、可撓管1、キャップ202及び直管部材203の外観図である。図8は、可撓管保持具210単体の外観図である。図7(a)と図7(b)、図8(a)と図8(b)は、それぞれ同じ状態を異なる視点から見た図である。本実施形態の可撓管保持具210は、容器(不図示)のキャップ202に取り付けられ、一部が容器内に挿入された可撓管1の一部を保持するために使用される。可撓管保持具210は、例えば樹脂で形成されている。
図7に示すように、キャップ202は可撓管保持具210と直管部材203に挟み込まれている。可撓管保持具110はキャップ202の上側に配置され、直管部材3はキャップ202の下側に配置されている。可撓管保持具210内には、後述するように、略90度に曲がった曲管が形成されている。キャップ202の、可撓管保持具210と直管部材203が取り付けられた位置には穴が空けられており、可撓管保持具210の曲管は、キャップ202の穴を介して直管部材203の中空部203Aと連通している。可撓管1は、可撓管保持具210と直管部材203の中空部203Aに通された状態で保持される。このとき、可撓管1は、キャップ202よりも下側では、直管部材203によって上下方向に延びた状態で保持され、キャップ202よりも上側では、可撓管保持具210によって曲げられた状態で保持される。なお、可撓管保持具210による可撓管1の保持についての詳細は後述する。
以下の説明において、直管部材203の長手方向を上下方向と呼ぶ。また、キャップ202に対し、可撓管保持具210が配置されている側を上側、直管部材203が配置されている側を下側と呼ぶ。また、キャップ202よりも上側において可撓管保持具210から可撓管1が突出している方向を前方向と呼び、その反対方向を後方向と呼ぶ。上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。なお、可撓管保持具210を使用する際には、可撓管保持具210をどのような方向に向けて配置してもよい。
図9及び図10はそれぞれ、可撓管保持具210の側面図及び上面図である。可撓管保持具210は、ベース部材220とベース部材220に回転可能に連結された回転部材230を有している。図9(a)と図9(b)、図10(a)と図10(b)は、それぞれベース部材220に対する回転部材230の回転角度が互いに異なる状態を示している。以下では、図9(a)及び図10(a)に示されるような、ベース部材220の上部が開放された状態の回転部材230の位置を開位置と呼ぶ。また、図9(b)及び図10(b)に示されるような、ベース部材220の上部が回転部材230によって閉じられている状態の回転部材230の位置を閉位置と呼ぶ。
ベース部材220は、直管部221、収容部222及び半円筒部223を有する。直管部221は、軸方向が上下方向と平行な筒状を有している。収容部222は、直管部221の上部に配置されている。収容部222のうち、直管部221の中空部221Aの開口に対応する位置には穴が空けられており、直管部221及び収容部222は、上下方向に貫通している。半円筒部223は、直管部221よりも前方に設けられている。半円筒部223の上面には、前後方向に延びた半円筒状の溝223Aが形成されている。溝223Aは、収容部222を介して、直管部221の中空部221Aと繋がっている。
回転部材230は、板状部231と一対の壁部232を有する。一対の壁部232は、回転部材230が開位置にある状態において、板状部231の上部に設けられている。また、一対の壁部232は、板状部231の左右方向における両端に、互いに対向するように設けられている。回転部材230が閉位置にある場合、ベース部材220の収容部222及び半円筒部223が、板状部231と一対の壁部232で囲われた領域に収容される。
回転部材230は、ヒンジ240を介してベース部材220に回転移動可能に連結されている。ヒンジ240の回転軸は、左右方向と平行である。本実施形態のヒンジ240は、ベース部材220及び回転部材230と一体に成形されたリビングヒンジである。なお、ヒンジ240には、リビングヒンジの代わりに蝶番が使用されてもよい。ヒンジ240は、収容部222の上後方に設けられており、回転部材230は、図9(a)に示すベース部材220よりも後方の位置と、図9(b)に示すベース部材220の上方の位置との間で回転移動可能である。
図9(a)及び図10(a)に示される状態において、回転部材230の上面には前後方向に延びた半円筒状の溝230Aが形成されている。回転部材230が回転移動し、可撓管保持具210が図9(b)及び図10(b)に示される状態になると、ベース部材220の上部が回転部材230によって覆われる。このとき、回転部材230の溝230Aが設けられた箇所は、ベース部材220の上部において、直管部221の中心軸を横切るように回転移動し、溝223Aの上部まで移動する。そして、半円筒部223の溝223Aと回転部材230の溝230Aとが上下方向において合わさり、前後方向に延びた円柱状の中空部210Aが形成される。中空部210Aと直管部221の中空部221Aとは、ベース部材220内で繋がっており、L字状の曲管を形成している。なお、中空部221Aの内径及び中空部210Aの内径は、可撓管1の外径よりも僅かに大きい。
中空部210A(溝223A及び溝230A)の内周面には、内側に向かって突出した突出部233が形成されている。突出部233は、中空部210Aの内周面の周方向沿った環状を有している。環状の突出部233の内径は、可撓管1の外径よりも僅かに小さい。
可撓管保持具210は、回転部材230を閉位置に固定する固定部250を有している。本実施形態において、固定部250は、ベース部材220に設けられた一対の突起252A及び一対の突起252Bを有している。また、固定部250は、回転部材230に設けられた一対の開口251A及び一対の開口251Bを有している。
各突起252Aは、半円筒部223の左右方向における両側面に形成されている。右側面に形成された突起252Aは右方向に突出し、左側面に形成された突起252Aは左方向に突出している。各突起252Bは、収容部222の左右方向における両側面に形成されている。右側面に形成された突起252Bは右方向に突出し、左側面に形成された突起252Bは左方向に突出している。
また、一対の突起252Aの先端同士の左右方向における長さは、一対の壁部232のうち、開口251Aが設けられている箇所の左右方向における間隔よりも僅かに大きい。一対の突起252Bの先端同士の左右方向における長さは、一対の壁部232のうち、開口251Bが設けられている箇所の左右方向における間隔よりも僅かに大きい。そのため、回転部材230が開位置から閉位置に向かって回転移動されると、壁部232の下端部が、各突起252A、252Bに上側から当接する。この状態で回転部材230が閉位置に向かって押し込まれると、各壁部232が、突起252A、252Bによって押されて、壁部232の左右方向における間隔が広がるように弾性変形する。これにより、各突起252A、252Bは、一対の壁部232で挟まれた領域内に入り込む。
各開口251Aはそれぞれ、壁部232のうち、回転部材230が閉位置にある場合の各突起252Aの位置に対応する位置に設けられている。また、各開口251Bはそれぞれ、壁部232のうち、回転部材230が閉位置にある場合の各突起252Bの位置に対応する位置に設けられている。各開口251A、251Bの大きさは、対応する突起252A、252Bの大きさよりも僅かに大きい。そのため、回転部材230が閉位置まで移動すると、各突起252A、252Bが対応する開口251A、251Bに入り込み、弾性変形していた壁部232が自然状態に戻る。これにより、各突起252はそれぞれ、対応する開口251A、251Bに入り込んだ状態が維持される。そのため、壁部232が一対の壁部232の間隔が広がるように弾性変形しない限り、回転部材30は屈曲位置又は固定位置に配置された状態で維持される。これにより、可撓管保持具210が曲管状態で固定される。
次に、可撓管保持具210による可撓管1の保持について説明する。
図11は、可撓管保持具210、可撓管1、キャップ202及び直管部材203の断面図である。図11(a)は、回転部材230が開位置にある場合を示し、図11(b)は、回転部材230が閉位置にある場合を示す。
図11(a)に示す状態では、ベース部材220(直管部221)の上下方向に貫通する中空部221Aと直管部材203の中空部203Aが繋がっており、且つ、ベース部材220の上方は回転部材230によって覆われていない。また、ベース部材220の中空部221Aの内径と直管部材203の中空部203Aの内径は、可撓管1の外径よりも僅かに大きい。そのため、図11(a)に示す状態では、可撓管1を上下方向に沿ってベース部材220の中空部221A及び直管部材203の中空部203Aに通すことができる。
可撓管1がベース部材220の中空部221A及び直管部材203の中空部203Aに通された後、回転部材230が開位置から閉位置に向かって回転される。これにより、可撓管1のうち、中空部221Aから上方に突出した部分が回転部材230によって押される。そして、回転部材230が閉位置に向かって回転されるにしたがい、可撓管1は前方に押し曲げられる。回転部材230が、図11(b)に示される閉位置まで回転されると、可撓管1のうち中空部221Aから上方に突出した部分は、回転部材230により上方から押さえられ、長手方向が前後方向と略平行な状態となる。これにより、可撓管1は、湾曲部1Aにおいて略90度に曲げられた状態となる。
また、回転部材230が閉位置にある場合、可撓管1のうち、回転部材230と半円筒部223で挟まれた部分は、環状の突出部233の内側に配置される。突出部233の内径は、可撓管1の外径よりも小さいため、突出部233は、可撓管1の外側の側面に食い込む。また、回転部材230が閉位置まで回転されると、固定部250により回転部材230は閉位置にある状態で固定される。
可撓管保持具210が図11(b)に示す状態にある場合、回転部材230は、固定部250によってベース部材220に固定されているため、可撓管1は曲げられた状態で維持される。また、可撓管1の側面には、突出部233が食い込んでいるため、可撓管1に対して長手方向に沿った外力が加えられた場合に、可撓管1には突出部233から外力に対する抗力が働く。これにより、可撓管1が可撓管保持具210から取り外されてしまうことが防止される。
また、本実施形態では、回転部材230を閉位置まで回転させるという簡便な動作により、可撓管1を曲げて、その状態を維持することが可能となる。そのため、作業者は、可撓管1を操作して曲げる作業や、可撓管1を曲げた状態を維持しながら可撓管1を固定する作業を行う必要がない。なお、可撓管1を固定する作業者は、可撓管1がベース部材220と回転部材230の、溝223A、230Aが設けられていない位置に配置されてしまうことを防止するために、可撓管1を溝223A又は溝230A内に配置されるように保持しながら、回転部材230を回転させてもよい。
また、本実施形態では、可撓管保持具210に可撓管1を保持させるためには、回転部材230をベース部材220に対して回転させればよく、回転部材230をベース部材220から取り外す必要がない。そのため、作業者が、可撓管1を可撓管保持具210に挿入して固定する作業を行っている途中で、可撓管保持具210を構成する部材を紛失してしまうことを防止可能である。
また、本実施形態では、ベース部材220と回転部材230は、ヒンジ240と共に一体に成形されている。そのため、作業者は、可撓管保持具210自体を組み立てる必要がない。
また、本実施形態では、回転部材230は、固定部250によりベース部材220に対して固定可能である。そのため、仮に、ヒンジ240が破損し、回転部材230とベース部材220との連結が外れた場合であっても、可撓管1を中空部221Aに通した状態で回転部材230をベース部材220に固定することにより、可撓管保持具210に可撓管1を保持可能である。
なお、本実施形態では、中空部210Aの内周面に環状の突出部233が形成されているが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、突出部233は、溝223Aと溝230Aの何れか一方の内周面にのみ設けられていてもよい。また、突出部233は、環状ではなく、溝223A又は溝230Aの内周面に形成された一つ又は複数の突起であってもよい。
なお、本実施形態では、可撓管1は、突出部233が可撓管1の側面に食い込むことによって固定されるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、中空部210Aの内周面には突出部233が設けられていなくてもよい。この場合、中空部210Aの内径は、可撓管1の外径よりも僅かに小さく設計されている。そのため、回転部材230が閉位置にある場合、可撓管1は、溝223Aの内壁面と溝230Aの内壁面によって僅かに潰された状態で挟持される。この状態で可撓管1に対して長手方向に沿った外力が加えられると、可撓管1と各内壁面との間に摩擦力が働く。これにより、これにより、可撓管1の長手方向への移動が規制され、可撓管1が可撓管保持具210から取り外されてしまうことが防止される。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。