以下に、本発明の実施の形態にかかる引出形遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる引出形遮断器の外観図であり、図2は、実施の形態1にかかる引出形遮断器において遮断器本体が引出枠内から引き出された状態を示す外観図である。なお、図1および図2を含む図面において、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きが正方向であるZ軸と、実施の形態1にかかる引出形遮断器100の前方を正方向とするX軸と、引出形遮断器100の右方向を正方向とするY軸とを含む3次元の直交座標系を図示している。
図1に示すように、実施の形態1にかかる引出形遮断器100は、3相回路の電路の開閉を行う遮断器本体1と、遮断器本体1に接続される端子装置2と、端子装置2が配設され且つ遮断器本体1を引き出し可能に収納する引出枠3とを備える。さらに、引出形遮断器100は、図2に示すように、遮断器本体1と引出枠3とを連結する引出レール4を備える。かかる引出レール4によって、遮断器本体1が引出枠3内から引き出し可能となる。なお、引出形遮断器100は、例えば、不図示の閉鎖配電盤の筐体内に遮断器本体1を引出可能に収納される。
遮断器本体1は、3相回路の電路の開動作および閉動作を行う周知の構成を有する。開動作は、3相回路におけるR相、S相、およびT相の各々の電路を遮断する動作であり、閉動作は、3相回路におけるR相、S相、およびT相の各々の電路を接続する動作である。
遮断器本体1は、不図示の固定接点、可動接点、開閉機構、および引外し機構を内蔵する筐体10と、筐体10の後方へ突出する遮断器側導体11−1,11−2,11−3,12−1,12−2,12−3とを備える。固定接点および可動接点は、相毎に設けられる。なお、遮断器側導体11−1,11−2,11−3の各々を個別に区別せずに遮断器側導体11と記載し、遮断器側導体12−1,12−2,12−3の各々を個別に区別せずに遮断器側導体12と記載する場合がある。
筐体10の前面部10aには不図示の操作ボタンが設けられており、かかる操作ボタンが操作されることで、相単位で可動接点が固定接点へ接触する閉動作および相単位で可動接点が固定接点から乖離する開動作が行われる。相単位で可動接点が固定接点へ接触することで3相回路の電路が接続されて遮断器本体1が通電状態になる。また、相単位で可動接点が固定接点から乖離することで3相回路の電路が遮断されて遮断器本体1が非通電状態になる。また、筐体10内に設けられた引外し機構は、3相回路に過電流が流れたとき、相単位で可動接点を固定接点から自動的に乖離させて3相回路の電路を遮断する構成を有している。
遮断器側導体11は、筐体10内に設けられた固定接点に接続され、端子装置2を介して不図示の電源側導体に電気的に接続される導体である。遮断器側導体12は、筐体10内に設けられた可動接点に接続され、端子装置2を介して不図示の負荷側導体に電気的に接続される導体である。遮断器側導体11−1,12−1は、R相の電路を形成する導体であり、遮断器側導体11−2,12−2は、S相の電路を形成する導体であり、遮断器側導体11−3,12−3は、T相の電路を形成する導体である。なお、図2に示す例では、遮断器側導体11が遮断器側導体12よりも上方に位置しているが、遮断器側導体11が遮断器側導体12よりも下方に位置していてもよい。
端子装置2は、複数の絶縁ベース21と、かかる複数の絶縁ベース21に後方が突出した状態で収納される引出枠側導体22−1,22−2,22−3,23−1,23−2,23−3とを備える。引出枠側導体22−1,23−1は、R相の電路を形成する導体であり、引出枠側導体22−2,23−2は、S相の電路を形成する導体であり、引出枠側導体22−3,23−3は、T相の電路を形成する導体である。なお、引出枠側導体22−1,22−2,22−3の各々を個別に区別せずに示す場合、引出枠側導体22と記載し、引出枠側導体23−1,23−2,23−3の各々を個別に区別せずに示す場合、引出枠側導体23と記載する。
引出枠側導体22は、絶縁ベース21から突出した一端部が不図示の電源側導体に接続され、遮断器本体1が引出枠3内に収納された場合に他端部が遮断器側導体11に接続される。また、引出枠側導体23は、絶縁ベース21から突出した一端部が不図示の負荷側導体に接続され、遮断器本体1が引出枠3内に収納された場合に他端部が遮断器側導体12に接続される。なお、電源側導体は、電源装置と引出形遮断器100とを接続する導体である。また、負荷側導体は、電源装置から電力が供給される負荷と引出形遮断器100とを接続する導体である。負荷は、例えば、電源装置からの電力で動作する電気機器である。端子装置2の構成については後で詳述する。
引出枠3は、左右の側板31,32を備える。図1に示すように、遮断器本体1は、左右の側板31,32で囲まれる領域である引出枠3内に引き出し可能に収納される。また、端子装置2は、引出枠3内に着脱可能に配設される。図1に示す例では、引出枠3内への遮断器本体1の収納は、遮断器本体1の前面部10aが露出した状態で行われ、引出枠3内への端子装置2の配設は、引出枠側導体22,23が後方に突出した状態で行われる。なお、引出枠3は、図1および図2に示す構成に限定されず、また、引出枠3内への遮断器本体1の収納位置および引出枠3内への端子装置2の配設位置も図1および図2に示す例に限定されない。
引出レール4は、遮断器本体1を引出枠3内から引き出し可能に遮断器本体1と引出枠3とを連結する引出レールであり、前後方向に引出レール4の長さが伸縮可能になるように連結された複数のレール部材41,42から構成される。なお、引出レール4は、遮断器本体1を引出枠3内から引き出し可能に遮断器本体1と引出枠3とを連結する構成であればよく、図2に示す構成に限定されない。また、引出レール4に代えて、遮断器本体1を引出枠3内から引き出し可能に遮断器本体1と引出枠3とを連結する1以上の部材を引出形遮断器100に設けてもよい。
遮断器本体1は、例えば、不図示の引出ハンドルおよび引出機構を備えており、引出ハンドルを引出機構に係合させて回転させることで、引出機構によって引出レール4を前後方向に伸縮させることができる。引出レール4が前後方向に伸びることで引出枠3内から遮断器本体1が引き出される。また、引出レール4が前後方向で縮むことで引出枠3内に遮断器本体1が収納され、遮断器本体1の遮断器側導体11,12と端子装置2の引出枠側導体22,23とが接続される。
次に、端子装置2の具体的な構成について説明する。図3は、実施の形態1にかかる端子装置を構成する複数の端子ユニットを引出枠内に配置する様子を示す背面図である。図3に示すように、端子装置2は、3つの端子ユニット20−1,20−2,20−3を備える。
図3に示す例では、端子ユニット20−1,20−2,20−3が引出枠3内に配置される際の様子を示している。図3に示す双方向の矢印は、端子ユニット20−1,20−2の移動方向を示す。端子ユニット20−1,20−2,20−3は、引出枠3の上方から下方に移動させることで引出枠3内に配置することができ、また、上方へ移動させることで引出枠3から取り外すことが可能である。
端子ユニット20−1,20−2,20−3の下端部は、引出枠3を構成する保持板33の不図示の開口に挿入されて保持板33で保持される。また、端子ユニット20−1,20−2,20−3の上端部は、図2に示すように、引出枠3を構成する保持板34の不図示の開口に挿入されて保持板34で保持される。これにより、端子装置2が引出枠3に固定される。保持板33,34は、側板31,32に固定されており、側板31,32から保持板33を取り外すことで、端子ユニット20−1,20−2,20−3を引出枠3内から取り外すことができる。このように、端子装置2は、引出枠3内に着脱可能に配置される。
端子ユニット20−1は、引出枠側導体22−1,23−1を備える。また、端子ユニット20−2は、引出枠側導体22−2,23−2を備える。端子ユニット20−3は、引出枠側導体22−3,23−3を備える。端子ユニット20−1,20−2,20−3は互いに同じ構成である。端子ユニット20−1,20−2,20−3の各々を個別に区別せずに示す場合、端子ユニット20と記載する。
図4は、実施の形態1にかかる端子ユニットの分解斜視図であり、図5は、実施の形態1にかかる引出枠側導体の構成例を示す平面図である。図4に示すように、端子ユニット20は、絶縁ベース21と、引出枠側導体22,23とを備える。絶縁ベース21は、引出枠側導体22が挿入される端子収納部215と、引出枠側導体23が挿入される端子収納部216と、後述する2つのシャッター駆動ユニット53が各々挿入される2つのユニット収納部217とを備える。
引出枠側導体22は、端子導体221と、中継端子導体222と、コネクター223とを備える。また、引出枠側導体23は、端子導体231と、中継端子導体232と、コネクター233とを備える。引出枠側導体22,23は互いに同じ構成であるため、以下においては、引出枠側導体22の構成を例に挙げて説明する。
引出枠側導体22の端子導体221は、第1の鉛直面であるZ−Y平面に沿って広がる底部221aと、底部221aから後方へ延伸し且つ水平面であるX−Y平面に平行に配置される端子部221bとを備える。端子導体221の端子部221bに不図示の電源側導体が接続される。なお、端子導体231の端子部には不図示の負荷側導体が接続される。図4に示す例では、底部221aは、正面視において4辺の長さが等しい正方形形状を有しており、直方体状に形成されている。また、端子部221bは、底部221aの上下方向で対向する辺で挟まれた領域の中間部分から底部221aに垂直に後方へ延伸する形状に形成されている。底部221aの底面は、平坦面である。なお、端子部221bは、側面視でT字状に形成されるが、図4に示す形状に限定されない。
中継端子導体222は、第1の鉛直面であるZ−Y平面に沿って広がる底部222aと、底部222aから前方へ第1の鉛直面に直交する第2の鉛直面であるX−Z平面に沿って延伸し且つ平面視でY字状に形成された先端部222bとを備える。中継端子導体222は、端子収納部215に挿入され、中継端子導体222の底部222aが複数のネジ25によって固定される。なお、ネジ25は、絶縁ベース21に設けられたネジ穴219を通じて中継端子導体222に取り付けられる。
図5に示すように、中継端子導体222の底部222aは、端子導体221の底部221aと複数のボルト24によって連結される。これにより、中継端子導体222と端子導体221とが電気的に接続される。なお、図4および図5に示す例では、中継端子導体222と端子導体221とは、4本のボルト24で固定されるが、ボルト24の数は4本に限定されない。また、中継端子導体222と端子導体221とは、ボルト24以外の締結具で固定されてもよい。
図5に示すように、引出枠側導体22のコネクター223は、中継端子導体222と接続される。かかるコネクター223は、遮断器本体1が引出枠3内に収納された状態において、遮断器本体1の遮断器側導体11に接続される。コネクター223は、中継端子導体222と係合する溝部223aと、遮断器側導体11と係合する溝部223bとを備える。
コネクター223と中継端子導体222との接続は、コネクター223の溝部223aに中継端子導体222の先端部222bを挿入することにより行われる。溝部223aを構成する部材と先端部222bを構成する部材は、弾性を有しており、先端部222bが溝部223aに係合すると、先端部222bの外面と溝部223aの内壁面とが互いに押し合う。そのため、先端部222bと溝部223aとの係合を強固なものとすることができ、遮断器側導体11を引出枠側導体22から引き抜く際に、中継端子導体222とコネクター223とが外れることを防止することができる。このように、先端部222bと溝部223aとの係合は、ストッパーの役割も果たす。
また、コネクター223と遮断器側導体11との接続は、コネクター223の溝部223bに遮断器側導体11の先端部を挿入することによって行われる。遮断器側導体11の先端部がコネクター223の溝部223bに挿入される際に、コネクター223は、首振り動作を行うことができる。先端部222bと溝部223aとの係合部分がコネクター223の首振り動作の支点になる。なお、コネクター223は、首振り動作を行わない構成であってもよい。また、中継端子導体222と端子導体221とは一体成形によって構成されてもよく、端子導体221と中継端子導体222とコネクター223とは、一体成形によって構成されてもよい。
次に、端子ユニット20に取り付けられるシャッター装置5について説明する。図6は、実施の形態1にかかる端子装置にシャッター装置を取り付ける様子を示す外観斜視図であり、図7は、実施の形態1にかかる端子装置にシャッター装置を取り付けた状態を示す外観斜視図である。
図6および図7に示すように、シャッター装置5は、端子装置2の前面を覆う固定シャッター部51と、固定シャッター部51と端子装置2との間に配設された可動シャッター部52と、2つのシャッター駆動ユニット53とを備える。固定シャッター部51は、第1の固定シャッター511と、2つの第2の固定シャッター512を備える。可動シャッター部52は、2つの可動シャッター521を備える。2つの可動シャッター521のうち上側の可動シャッター521は、電源側用の可動シャッターであり、下側の可動シャッター521は、負荷側用の可動シャッターである。
シャッター駆動ユニット53は、図4に示す絶縁ベース21に形成されたユニット収納部217に挿入される。シャッター駆動ユニット53がユニット収納部217に挿入された後、2つの可動シャッター521が端子ユニット20−1,20−2,20−3の絶縁ベース21に取り付けられる。その後、固定シャッター部51が、端子ユニット20−1,20−2,20−3の絶縁ベース21に取り付けられる。第1の固定シャッター511は、端子ユニット20−2と対向する位置に配置される。2つの第2の固定シャッター512のうちの一方は、端子ユニット20−1と対向する位置に配置され、他方は、端子ユニット20−3と対向する位置に配置される。
まず、可動シャッター521の構成、シャッター駆動ユニット53の構成、および可動シャッター521とシャッター駆動ユニット53との関係について説明する。図8は、実施の形態1にかかる可動シャッターの構成例を示す図である。
図8に示すように、可動シャッター521は、閉塞板部521a,521b,521cと、閉塞板部521a,521b,521cの一端部同士を連結する連結部521dと、閉塞板部521a,521b,521cの他端部同士を連結する連結部521eと、連結部521eから外方に突出する凸部521fとを備える。凸部521fには開口521gが形成される。
可動シャッター521は、絶縁ベース21に摺動可能に取り付けられる。図6に示すように、各絶縁ベース21には、摺動面211a,212aが形成されている。そして、各可動シャッター521は、摺動面211aまたは摺動面212aに摺動可能に取り付けられる。各可動シャッター521は、摺動面211aまたは摺動面212aを左右方向に摺動して、閉塞位置と開放位置とに選択的に移動することができる。
閉塞位置は、閉塞板部521a,521b,521cで固定シャッター部51の開口511a,512aまたは開口511b,512bを閉塞する位置である。また、開放位置は、閉塞板部521a,521b,521cで開口511a,512aまたは開口511b,512bを閉塞しない位置である。
図9は、実施の形態1にかかるシャッター駆動ユニットの一例を示す外観斜視図であり、図10は、実施の形態1にかかるシャッター駆動ユニットの分解斜視図である。図9および図10に示すように、シャッター駆動ユニット53は、筐体部530と、筐体部530に一端が固定される圧縮ばね533と、圧縮ばね533の他端に基端が付勢されるロッド534とを備える。また、シャッター駆動ユニット53は、筐体部530に回転可能に保持され筐体部530に一端が係止されたコイルばね535と、コイルばね535の他端によって付勢され、可動シャッター521に係合されるリンク536とを備える。
筐体部530は、ロッド534が摺動する摺動溝531aと、リンク536を回転可能に支持する円柱状の軸部531bとが形成されるユニットベース531と、ユニットベース531に上方から取り付けられるユニットカバー532とを備える。ユニットカバー532には、右方向または左方向に突出する複数の凸部532a,532bが形成される。ユニットベース531とユニットカバー532とにより形成される空間に、圧縮ばね533と、コイルばね535と、リンク536と、ロッド534の一部とが配置される。
ロッド534は、前後方向に延伸する延伸部534aと、延伸部534aの後端に連続し、圧縮ばね533の他端に固定される基端部534bと、基端部534bから圧縮ばね533に沿って後方に突出し且つリンク536と左右方向で対向する面が弧状に形成された係合部534cと、遮断器本体1に接触して遮断器本体1から押される接触部534dとを有する。図9および図10に示す状態では、ロッド534は、圧縮ばね533によって基端部534bが前方に付勢された状態で基端部534bが筐体部530に係止されている。遮断器本体1が引出枠3内に収納される場合に、圧縮ばね533の押し戻す力に抗して、ロッド534の接触部534dが遮断器本体1によって後方へ押され、ロッド534が後方に移動する。
リンク536は、L字状に形成されており、角部がユニットベース531の軸部531bによって回転可能に支持される。リンク536は、軸部531bが挿入される開口536aと、コイルばね535の他端によって付勢され、ロッド534の係合部534cを前方に付勢する第1のアーム部536bと、先端536dが筐体部530の開口530aから突出して可動シャッター521の開口521gに挿入される第2のアーム部536cとを有する。
ロッド534が遮断器本体1によって後方へ移動された場合、第1のアーム部536bの先端がロッド534の係合部534cによって後方へ押される。係合部534cが後方へ移動すると、第1のアーム部536bが平面視で時計回りに回転する。そのため、第2のアーム部536cが軸部531bを回転中心として平面視で時計回りに回転し、第2のアーム部536cの先端536dが左から右へ移動する。第2のアーム部536cの先端536dは、可動シャッター521の開口521gと係合している。そのため、先端536dの右方向への移動に伴って、可動シャッター521が開放位置へ移動する。
シャッター駆動ユニット53は、図9および図10に示す構成に限定されず、可動シャッター521が解放位置にある状態でロッドを保持する構成を有していてもよい。図11は、実施の形態1にかかるシャッター駆動ユニットの他の例を示す底面図である。図12は、図11に示すシャッター駆動ユニットのロッドの外観斜視図である。図13および図14は、図11に示すユニットベースにロッドおよびリンクを取り付けた状態のシャッター駆動ユニットの平面図である。図15は、図11に示すXV-XV線に沿った断面図である。
図11に示すシャッター駆動ユニット53は、ユニットベース531の一部の形状、およびロッド534の形状の一部が、図9に示すシャッター駆動ユニット53と異なる。ロッド534は、図12に示すように、基端部534bの下部から下方に突出する突起部534eを有している。そして、ユニットベース531は、図11および図13に示すように、ロッド534に設けられた突起部534eの前後方向の移動をガイドするガイド溝531cと、左方向でガイド溝531cに連続する凹部531dを有する。凹部531dは、後方へのロッド534の移動に伴い突起部534eをガイド溝531cにガイドする傾斜部531eを有する。
遮断器本体1が引出枠3内から引き出されている場合、図13に示すように、ロッド534の延伸部534aは、不図示の圧縮ばね533による付勢によって前方へ引き出されている。図13に示す状態から遮断器本体1を引出枠3へ向けて移動すると、ロッド534は、突起部534eがガイド溝531cにガイドされながら後方へ移動し、図14に示す状態になる。これにより、可動シャッター521は遮断位置から解放位置に移動される。
また、遮断器本体1が引出枠3内から引き出されている状態から、ロッド534を後方へ移動させて、突起部534eが凹部531dと対向する位置になったときにロッド534を回転させると、突起部534eが凹部531dに進入する。この状態において、ロッド534を後方に押す力をなくすと、突起部534eが凹部531dによって係止される。突起部534eが凹部531dと対向する位置になるまでに、可動シャッター521は遮断位置から解放位置に移動されることから、可動シャッター521を解放位置で保持することができる。
したがって、保守点検時に電源側の可動シャッター521と負荷側の可動シャッター521とを個別または同時に解放位置にすることができ、これにより、端子装置2内の電源側の回路と負荷側の回路を個別にまたは同時に点検することができる。なお、ロッド534の基端部534bは延伸部534aを軸中心として円弧状に形成されている。そのため、ロッド534を回転させてもロッド534の基端部534bは第1のアーム部536bとの距離が実質的に変化せず、これにより、ロッド534からリンク536へ加わる力が大きくなりすぎてリンク536が座屈するといった事態を回避することができる。
また、突起部534eが凹部531dによって係止された状態で、遮断器本体1を引出枠3へ向けて移動すると、遮断器本体1によってロッド534が後方に移動される。このとき、凹部531dへ移動させた突起部534eは、凹部531dの傾斜部531eを摺動しながら後方に移動する際に回転するため、遮断器本体1が引出枠3に収納された状態になるまでに、回転させたロッド534の姿勢が元に戻り、突起部534eと凹部531dとの係合が解除される。したがって、その後に遮断器本体1が引出枠3から引き出される場合、ロッド534が圧縮ばね533によって移動される。このとき、突起部534eはガイド溝531cに戻った状態であるため、ガイド溝531cに沿って移動していき、突起部534eが凹部531dよりも前方に移動する。そのため、可動シャッター521の位置が解放位置のままにならない。
図16は、実施の形態1にかかる遮断器本体が引出枠内に収納された状態の引出形遮断器の一部断面図であり、図17は、実施の形態1にかかる遮断器本体が引出枠内から引き出された状態の引出形遮断器の一部断面図である。なお、図16および図17では、引出枠3および引出レール4は省略されている。
図16に示すように、遮断器本体1が引出枠3内に収納された状態では、遮断器側導体11−1が第2の固定シャッター512の開口512aを介して端子装置2の端子収納部215に挿入されている。端子収納部215において、遮断器側導体11−1は、引出枠側導体22−1のコネクター223に接続される。同様に、遮断器側導体11−2は、第1の固定シャッター511の開口511aを介して端子装置2の端子収納部215に挿入され、引出枠側導体22−2のコネクター223に接続される。遮断器側導体11−3は、第2の固定シャッター512の開口512aを介して端子装置2の端子収納部215に挿入され、引出枠側導体22−3のコネクター223に接続される。遮断器本体1が引出枠3内に収納された状態では、ロッド534は、シャッター駆動ユニット53に押込まれている。
図17に示すように、引出形遮断器100は、図16に示す状態から遮断器本体1が引出枠3内から前方に引き出されると、遮断器本体1のユニット収納部217に押込まれていたロッド534が図10に示す圧縮ばね533の伸張力によって前方に押される。そのため、遮断器側導体11−1,11−2,11−3が開口511a,512aを通過した後に、シャッター駆動ユニット53の第2のアーム部536cの先端536dが可動シャッター521を閉塞位置へ移動させる。これにより、開口511a,512aが閉塞板部521a,521b,521cによって閉塞される。
次に、絶縁ベース21の構成、固定シャッター部51の構成、および絶縁ベース21と固定シャッター部51との関係について説明する。まず、絶縁ベース21の構成について具体的に説明する。図18は、実施の形態1にかかる絶縁ベースの一例を示す正面図であり、図19は、実施の形態1にかかる絶縁ベースの一例を示す外観斜視図である。
図18および図19に示すように、絶縁ベース21は、左右対称に形成される。かかる絶縁ベース21は、上壁部である壁部211と、底壁部である壁部212と、左の側壁部である壁部213と、右の側壁部である壁部214とを有する。壁部211,212,213,214で囲われた空間に、端子収納部215,216と、2つのユニット収納部217が形成される。2つのユニット収納部217の各々は、上述したシャッター駆動ユニット53が収納される空間であり、端子収納部215と端子収納部216との間に形成される。
壁部211は、可動シャッター521が摺動する摺動面211aと、摺動面211aの前方に配置され下方に突出するガイド部211bとを有する。ガイド部211bによって、可動シャッター521が摺動面211aから脱落することが抑制される。
壁部212は、可動シャッター521が摺動する摺動面212aと、摺動面212aの前方に配置され上方に突出するガイド部212bとを有する。ガイド部212bによって、可動シャッター521が摺動面212aから脱落することが抑制される。
壁部213,214は、摺動溝213a,214aと、ストッパー部213b,214bとを有する。図10に示すシャッター駆動ユニット53の複数の凸部532aは、シャッター駆動ユニット53がユニット収納部217に挿入される際に、摺動溝213a,214aを摺動する。そして、図10に示すシャッター駆動ユニット53の複数の凸部532bがストッパー部213b,214bに当たることで、シャッター駆動ユニット53の後方への移動が規制される。
また、壁部213,214は、摺動面213c,214cを有している。上述した摺動面211a,212aと摺動面213c,214cとを2つの可動シャッター521が摺動することで、2つの可動シャッター521の左右方向への移動が可能である。
また、壁部213,214は、摺動面213c,214cよりも前方に各々突出した第1の突出部213d,214d、第2の突出部213e,214e、および係合部213f,214fが形成される。第2の突出部213e,214eは、第1の突出部213d,214dよりも前方に突出しており、係合部213f,214fは、第2の突出部213e、214eよりも前方に突出している。第1の突出部213d,214dの前面は、第1の固定シャッター511の背面が接触する第1のシャッター取付面であり、第2の突出部213e,214eの前面は、第2の固定シャッター512の背面が接触する第2のシャッター取付面である。第1の突出部213d,214dの前面と摺動面213c,214cとの前後方向の間隔は、可動シャッター521の前後方向の厚みよりも大きい。
係合部213fは、L字状に形成されており、前方へ延伸する第1の延伸部213f1と、第1の延伸部213f1の先端から左方向に向けて延伸する第2の延伸部213f2とを有する。係合部214fは、前方へ延伸する第1の延伸部214f1と、第1の延伸部214f1の先端から右方向に向けて延伸する第2の延伸部214f2とを有する。
このように、係合部213f,214fは、先端が左右方向であって且つ遮断器本体1の外方に向かう方向、すなわち先端が互いに離れる方向に延伸している。したがって、係合部213f,214fは、前後方向において対向する他の部位がない位置に容易に配置することができ、モールド成形によって絶縁ベース21を一体形成することができる。
図20は、実施の形態1にかかる第1の固定シャッターの構成例を示す図である。図20に示すように、第1の固定シャッター511は、遮断器側導体11が挿入される開口511aと、遮断器側導体12が挿入される開口511bと、ロッド534が挿入される開口511cとを有する。また、第1の固定シャッター511は、第2のアーム部536cの先端536dが挿入される開口511dと、第2の突出部213eが挿入される複数の開口511e,511hと、係合部213f,214fが挿入される複数の開口511f,511iと、複数のガイド部211b,212bと係合する2つの凹部511gとを有する。なお、複数の凹部511gは、複数のガイド部211b,212bと嵌め合うことができる形状に形成されているが、係合できる形状であればよく、図20に示す形状に限定されない。
図21は、実施の形態1にかかる第2の固定シャッターの構成例を示す図である。図21に示すように、第2の固定シャッター512は、遮断器側導体11が挿入される開口512aと、遮断器側導体12が挿入される開口512bと、下方に突出し、係合部213f,214fと係合する凸状の複数の係合部512c,512dと、複数のガイド部211b,212bと係合する複数の凹部512eとを有する。なお、複数の凹部512eは、複数のガイド部211b,212bと係合できる形状であればよく、図21に示す形状に限定されない。
また、第2の固定シャッター512は、第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一つが挿入される複数の切欠部512f,512g,512hを有している。切欠部512fは、左方に向けて切り欠かれており、切欠部512g,512hは、右方に向けて切り欠かれている。切欠部512fは上述した係合部512cに隣接して配置され、切欠部512gは上述した512dに隣接して配置される。切欠部512hは、切欠部512gの下方に配置される。
次に、絶縁ベース21への固定シャッター部51および可動シャッター部52の取り付け方法について説明する。図22は、実施の形態1にかかる絶縁ベースへシャッター駆動ユニットが取り付けられた様子を示す図である。図23は、実施の形態1にかかる絶縁ベースへ可動シャッター部を取り付ける様子を示す図である。図24は、実施の形態1にかかる絶縁ベースへ第1の固定シャッターを取り付ける様子を示す図である。図25は、実施の形態1にかかる絶縁ベースへ第2の固定シャッターを取り付ける様子を示す図である。図26は、実施の形態1にかかるシャッター装置が装着された端子装置の正面図である。図27は、図26に示すXXII-XXII線に沿った断面図である。なお、図22、図23、図24、図25、図26、および図27では、説明の便宜上、絶縁ベース21には、引出枠側導体22および引出枠側導体23は図示していない。
まず、図22に示すように、3つの端子ユニット20−1,20−2,20−3が左右方向に隣接して配置される。次に、3つの端子ユニット20−1,20−2,20−3のうち真ん中の端子ユニット20−2の絶縁ベース21に形成された2つのユニット収納部217に、2つのシャッター駆動ユニット53が挿入される。なお、2つのシャッター駆動ユニット53は、互いに上下左右が反転した状態で2つのユニット収納部217に挿入される。
つづいて、図23に示すように、2つの可動シャッター521が端子ユニット20−1,20−2,20−3に取り付けられる。具体的には、2つの可動シャッター521の一方は、上側の摺動面211a,213c,214cに摺動可能に配置され、開口521gが上側のシャッター駆動ユニット53における第2のアーム部536cの先端536dに挿入される。また、他方の可動シャッター521は、下側の摺動面212a,213c,214cに摺動可能に配置され、開口521gが下側のシャッター駆動ユニット53における第2のアーム部536cの先端536dに挿入される。
なお、一方の可動シャッター521は、摺動面211aとガイド部211bとの間に配置されることで、端子ユニット20からの脱落が防止される。また、他方の可動シャッター521は、摺動面212aとガイド部212bとの間に配置されることで、端子ユニット20からの脱落が防止される。
つづいて、図24に示すように、端子ユニット20−2の絶縁ベース21に第1の固定シャッター511が取り付けられる。図24に示す状態において、第1の固定シャッター511の上下の凹部511gは、端子ユニット20−2の絶縁ベース21のガイド部211b,212bに嵌め込まれる。
さらに、第1の固定シャッター511の開口511hに、端子ユニット20−1の第2の突出部213eと端子ユニット20−2の第2の突出部214eとが嵌め込まれる。第1の固定シャッター511の開口511eに、端子ユニット20−2の第2の突出部213eと端子ユニット20−3の第2の突出部214eとが嵌め込まれる。第1の固定シャッター511の開口511iに、端子ユニット20−1の係合部213fと端子ユニット20−2の係合部214fとが嵌め込まれ、第1の固定シャッター511の開口511fに、端子ユニット20−2の係合部213fと端子ユニット20−3の係合部214fとが嵌め込まれる。
このように、第1の固定シャッター511が端子ユニット20−1,20−2,20−3に嵌め合わされる。そのため、第1の固定シャッター511を端子ユニット20−2に取り付けつつ、第1の固定シャッター511により3つの端子ユニット20−1,20−2,20−3を連結することができる。なお、図24に示す状態では、2つのシャッター駆動ユニット53の上述したロッド534は、第1の固定シャッター511の上述した開口511bから突出した状態である。
つづいて、図25および図27に示すように、第1の固定シャッター511が取り付けられた状態の各端子ユニット20−1,20−3に第2の固定シャッター512が取り付けられる。図25および図27に示す状態において、第2の固定シャッター512の各係合部512cは、隣接する2つの端子ユニット20の係合部213f,214fに係合し、第2の固定シャッター512の係合部512dは、端子ユニット20の係合部213f,214fのいずれかに係合している。
具体的には、第2の固定シャッター512の係合部512cは、隣接する2つの端子ユニット20の係合部213f,214fと第1の固定シャッター511の前面との間に挿入される。そのため、第2の固定シャッター512の係合部512cは、係合部213f,214fの第2の延伸部213f2,214f2の背面と第1の固定シャッター511の前面とで挟持される。
また、第2の固定シャッター512の係合部512dは、第2の突出部213eの前面を含む平面と係合部213fの第2の延伸部213f2の背面との間に形成される空間、または第2の突出部214eの前面を含む平面と係合部214fの第2の延伸部214f2の背面との間に形成される空間に挿入される。これにより、第2の固定シャッター512の係合部512dは、係合部213f,214fのいずれかと係合する。
また、第2の固定シャッター512の切欠部512f,512gには、第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一つが挿入され係合部213f,214fの少なくとも一つと係合する。切欠部512fは、係合部512cの左右および下方を含む領域に形成されている。切欠部512fのうち係合部512cの下方に位置する領域に第1の延伸部213f1,214f1を挿入され、かつ、切欠部512gに第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一方が挿入される。その後、第2の固定シャッター512を下方に移動させることで、係合部213f,214fの少なくとも一つが切欠部512f,512gに挿入された状態で、係合部213f,214fの少なくとも一つが切欠部512f,512gと係合し、かつ係合部512c,512dが係合部213f,214fと係合する。同様に、第2の固定シャッター512の切欠部512hには、第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一つが挿入され係合部213f,214fの少なくとも一つと係合する。
第1の固定シャッター511の板厚は、第1の突出部213d,214dの前面と第2の突出部213e,214eの前面との間の距離と実質的に同一である。そのため、第2の固定シャッター512の背面は、第1の固定シャッター511の前面と第2の突出部213eの前面とに押し当てられる。また、第2の固定シャッター512の係合部512dは、係合部213fの第2の延伸部213f2の背面または係合部214fの第2の延伸部214f2の背面に押し当てられる。
このように、2つの第2の固定シャッター512は、一部が第1の固定シャッター511の一部と重なり合った状態で、第1の固定シャッター511が取り付けられた端子ユニット20に取り付けられる。そのため、第1の固定シャッター511は、端子ユニット20と第2の固定シャッター512との間に配置され、端子ユニット20から脱落することが防止される。
上述した例では、遮断器本体1において、絶縁ベース21に第2の突出部213e,214eを設けたが、遮断器本体1は、絶縁ベース21に第2の突出部213e,214eを設けない構成であってもよい。この場合、固定シャッター部51の構成も一部異なる。図28は、実施の形態1にかかる絶縁ベースの他の例を示す外観斜視図である。図29は、実施の形態1にかかる固定シャッター部の他の例を示す正面図である。図30は、図28に示す絶縁ベースへ図29に示す固定シャッター部を取り付けた状態を示す正面図である。
図28に示す絶縁ベース21には、図18に示す第2の突出部213e,214eが設けられていない。また、第1の突出部213d,214dの前面を含む平面と係合部213f,214fの第2の延伸部213f2,214f2の裏面との間隔は、第1の固定シャッター511および第2の固定シャッター512の各々の板厚と実質的に同一である。
図29に示す第1の固定シャッター511は、図20に示す開口511e,511f,511h,511iに代えて、下方に突出する凸状の係合部511kを有する。また、図29に示す第2の固定シャッター512は、図21に示す係合部512cに代えて、下方に突出する凸状の係合部512iを有する。係合部511k,512iは、係合部213f,214fの第1の延伸部213f1,214f1が挿入される切欠部に隣接して配置される。係合部512iの幅は、係合部512cの幅よりも小さい。また、第1の固定シャッター511および第2の固定シャッター512の各々の幅は、絶縁ベース21の幅と実質的に同一である。なお、ここでの「幅」は、左右方向の長さを意味する。
図30に示すように、端子ユニット20−2の絶縁ベース21に設けられた係合部213f,214fと図29に示す第1の固定シャッター511の複数の係合部511kとが係合する。また、端子ユニット20−1の絶縁ベース21に設けられた係合部213fと図29に示す第2の固定シャッター512の係合部512iとが係合する。また、端子ユニット20−3の絶縁ベース21に設けられた係合部214fと図29に示す第2の固定シャッター512の係合部512iとが係合する。このように、遮断器本体1は、絶縁ベース21に第2の突出部213e,214eを設けない構成であってもよい。なお、遮断器本体1は、一つの端子ユニット20を有し、単相回路の電路の開動作および閉動作を行う構成であってもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる引出形遮断器100は、遮断器本体1と、端子装置2と、引出枠3と、シャッター装置5とを備える。端子装置2は、電源側導体および負荷側導体に接続される複数の引出枠側導体22,23と、複数の引出枠側導体22,23が挿入される絶縁ベース21とを含む端子ユニット20を複数有し、引出枠3内に配設される。遮断器本体1は、引出枠3内に収納された状態で複数の引出枠側導体22,23と接続される複数の遮断器側導体11,12を有し、引出枠3内からの引き出しが可能である。シャッター装置5は、第1の固定シャッター511と、第2の固定シャッター512と、可動シャッター521とを有する。第1の固定シャッター511は、遮断器本体1の引出枠3内への収納時に複数の遮断器側導体11,12が挿入される複数の開口511a,511bを有する。第2の固定シャッター512は、遮断器本体1の引出枠3内への収納時に複数の遮断器側導体11,12が挿入される複数の開口512a,512bを有する。可動シャッター521は、遮断器本体1が引出枠3内から引き出された場合に複数の開口511a,512aまたは複数の開口511b,512bを塞ぐ。複数の絶縁ベース21は、遮断器本体1が引き出される方向である引き出し方向と直交する方向に配列される。複数の絶縁ベース21の各々は、引き出し方向と直交する方向で対向する一対の壁部213,214を備える。一対の壁部213,214の各々は、第1の固定シャッター511および第2の固定シャッター512のうち少なくとも一つと係合する係合部213f,214fを備える。係合部213f,214fの各々は、引き出し方向へ延伸する第1の延伸部213f1,214f1と、第1の延伸部213f1,214f1の先端から、引き出し方向と直交する方向に向けて延伸する第2の延伸部213f2,214f2とを有する。一対の壁部213,214の一方の第2の延伸部213f2と他方の第2の延伸部214f2とは、互いに離れる方向に延伸する。係合部213f,214fは、先端が互いに向き合う方向とは逆方向に延伸するため、係合部213f,214fを前後方向において対向する他の部位がない位置に容易に配置することができ、モールド成形によって絶縁ベース21を一体形成することができる。
また、第1の固定シャッター511は、第1の延伸部213f1,214f1が挿入される開口511f,511iを有する。開口511f,511iは、第1の開口の一例である。第2の固定シャッター512は、第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一つが挿入される切欠部512f,512gと、下方に突出し、第1の固定シャッター511の開口511f,511iが第1の延伸部213f1,214f1が挿入された状態の係合部213f,214fの第2の延伸部213f2,214f2と係合する係合部512c,512dを備える。これにより、第2の固定シャッター512は、一部が第1の固定シャッター511の一部と重なり合った状態で、第1の固定シャッター511が取り付けられた端子装置2に取り付けられる。そのため、第1の固定シャッター511は、端子装置2と第2の固定シャッター512との間に配置され、端子装置2から第1の固定シャッター511が脱落することが防止される。係合部512c,512dは、シャッター側係合部の一例である。
また、一対の壁部213,214の各々は、引き出し方向へ延伸する第2の突出部213e,214eを有する。第1の固定シャッター511は、第2の突出部213e,214eが挿入される開口511eを有する。開口511eは、第2の開口の一例である。第2の固定シャッター512は、遮断器本体1と対向する面と逆の面で第2の突出部213e,214eの前面に当接する。これにより、第2の突出部213e,214eに第1の固定シャッター511と係合させつつ、第2の突出部213e,214eの前面に第2の固定シャッター512を押し当てた状態で第2の固定シャッター512を保持することができる。そのため、第1の固定シャッター511および第2の固定シャッター512をより安定した状態で端子装置2に取り付けることができる。
また、開口511eには、複数の絶縁ベース21のうち互いに隣接する2つの絶縁ベース21の各々の第2の突出部213eが挿入される。これにより、第1の固定シャッター511を複数の絶縁ベース21に跨って取り付けることができるため、例えば、複数の絶縁ベース21間の位置ずれを防止することができる。
また、第1の固定シャッター511とは第2の固定シャッター512は、互いの一部がオーバラップした状態で端子装置2に取り付けられる。これにより、第1の固定シャッター511および第2の固定シャッター512をより安定した状態で端子装置2に取り付けることができる。
また、シャッター装置5は、遮断器本体1の引出枠3からの引き出しに連動して可動シャッター521を移動するシャッター駆動ユニット53を備える。シャッター駆動ユニット53は、複数の絶縁ベース21のうち一つの絶縁ベース21の内部における複数の引出枠側導体22,23間に配置される。複数の引出枠側導体22,23間にシャッター駆動ユニット53が配置されるため、絶縁ベース21の幅および引出形遮断器100の幅が大きくなることを抑制することができる。また、絶縁ベース21における上下方向の中央にシャッター駆動ユニット53が配置される。そのため、遮断器本体1が捩れて引出枠3に収納される場合であっても、引出枠側導体22の上方と引出枠側導体23の下方とに各々シャッター駆動ユニット53が配置される場合に比べ、可動シャッター521を精度よく移動させることができる。また、例えば、シャッター駆動ユニット53が端子ユニット20−1,20−3に配置された場合、シャッター駆動ユニット53が左右に離れて配置されることになり、遮断器本体1が左右に捩れて挿入されると、一方のシャッター駆動ユニット53は早く駆動され、他方のシャッター駆動ユニット53は遅れて駆動されることとなり、遅れて駆動される可動シャッター521が遮断器側導体11または遮断器側導体12とがぶつかる可能性がある。そこで、シャッター駆動ユニット53を複数の絶縁ベース21のうち中央の絶縁ベース21に配置することで、引出形遮断器100が左右に捩れた状態で引出枠3に収納される場合であっても、可動シャッター521を精度よく移動させることができる。
また、シャッター駆動ユニット53は、引き出し方向に付勢されたロッド534と、リンク536とを有する。リンク536は、引き出し方向と逆方向へのロッド534の移動に伴って回転し可動シャッター521を複数の開口511a,511b,512a,512bを塞ぐ遮断位置から複数の開口511a,511b,512a,512bを露出させる解放位置に移動させる。これにより、シャッター駆動ユニット53は、比較的小さな力で可動シャッター521を移動させることができる。
また、シャッター駆動ユニット53は、リンク536を回転可能に保持し、引き出し方向とは逆方向へのロッド534の移動に伴ってロッド534が挿入されるユニットベース531を備える。ユニットベース531は、可動シャッター521が解放位置にある状態でロッド534を保持可能である。これにより、保守点検時に電源側の回路と負荷側の回路を個別にまたは同時に可動シャッター521を解放位置にして端子装置2内を点検することができる。
また、ロッド534は、引き出し方向と直交する方向である下方に突出する突起部534eを備える。シャッター駆動ユニット53は、突起部534eをガイドするガイド溝531cと、引き出し方向と直交する方向でガイド溝531cに連続し、突起部534eを係止する凹部531dとを有する。これにより、容易に可動シャッター521を解放位置に維持することができる。
また、凹部531dは、引き出し方向と逆方向へのロッド534の移動に伴い突起部534eをガイド溝531cへ進入させる傾斜部531eを有する。これにより、遮断器本体1を引出枠3へ収納することによって、突起部534eをガイド溝531cに戻すことができ、可動シャッター521の位置が解放位置で維持されることを容易に回避することができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる引出形遮断器は、実施の形態1にかかる引出形遮断器100と、端子ユニット20の数と固定シャッター部の構成が異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の引出形遮断器100と異なる点を中心に説明する。
図31は、実施の形態2にかかる端子装置の正面図であり、図32は、実施の形態2にかかる端子装置にシャッター装置を取り付ける様子を示す外観斜視図である。図31および図32に示すように、実施の形態2にかかる端子装置2Aは、互いに同一構成を有する4つの端子ユニット20−1,20−2,20−3,20−4を備える。また、シャッター装置5Aは、固定シャッター部51Aと、可動シャッター部52Aと、2つのシャッター駆動ユニット53とを備える。
可動シャッター部52Aは、2つの可動シャッター521Aを有している。可動シャッター521Aは、閉塞板部が4つある点で、3つの閉塞板部521a,521b,521cを有する可動シャッター521と異なる。
固定シャッター部51Aは、第1の固定シャッター511と、第2の固定シャッター512と、第3の固定シャッター513と、補助パネル514とを備える。第1の固定シャッター511は、端子ユニット20−2に取り付けられる。第2の固定シャッター512は、端子ユニット20−1に取り付けられる。第3の固定シャッター513は、2つの端子ユニット20−3,20−4に取り付けられる。また、補助パネル514は、端子ユニット20−3の壁部213と端子ユニット20−4の壁部214とに取り付けられる。
図33は、実施の形態2にかかる第3の固定シャッターの外観斜視図であり、図34は、実施の形態2にかかる補助パネルの外観斜視図である。図33に示すように、第3の固定シャッター513は、遮断器側導体11が挿入される開口513aと、遮断器側導体12が挿入される開口513bと、下方に突出し、係合部213f,214fの少なくとも一つと係合する凸状の複数の係合部513c,513d,513iと、複数のガイド部211b,212bと係合する複数の凹部513eとを有する。
また、第3の固定シャッター513は、第1の延伸部213f1,214f1の少なくとも一つが挿入される複数の切欠部513f,513g,513hと第1の延伸部213f1,214f1が挿入される開口513jとを有している。切欠部513f,513g,513hは、上述した切欠部512f,512g,512hと同様の構成である。開口513jは係合部513iに隣接して配置される。第3の固定シャッター513の取り付け工程では、開口513jのうち係合部513iの下方に位置する領域に第1の延伸部213f1,214f1を挿入し、その後、第3の固定シャッター513を下方に移動させる。これにより、係合部213f,214fが開口513jに挿入された状態で、係合部213f,214fが開口513jおよび係合部513iと係合する。
第3の固定シャッター513の係合部513c,513d,513iは、第2の固定シャッター512の係合部512c,512dと同様に機能する。また、第3の固定シャッター513の凹部513eは、第2の固定シャッター512の凹部512eと同様に機能する。したがって、第3の固定シャッター513は、一部が第1の固定シャッター511の一部と重なり合った状態で、第1の固定シャッター511が取り付けられた端子ユニット20−2,20−3,20−4に取り付けられる。
図34に示すように、補助パネル514は、複数の開口514aと、複数の開口514bとを有する。複数の開口514aには、端子ユニット20−3の第2の突出部213eと端子ユニット20−4の第2の突出部214eとが挿入される。また、複数の開口514bには、端子ユニット20−3の係合部213fと端子ユニット20−4の係合部213fとが挿入される。補助パネル514は、第3の固定シャッター513と端子ユニット20−3,20−4との間に配置される。したがって、第3の固定シャッター513の背面は、第2の突出部213eの前面に加え、補助パネル514の前面に接触するため、第3の固定シャッター513を安定的に端子装置2Aに取り付けることができる。なお、シャッター装置5Aは、補助パネル514を設けない構成であってもよい。
このように、極数が増加して4極以上になった場合であっても、実施の形態1にかかる引出形遮断器100と同様の原理で、固定シャッター部51Aを端子装置2Aに取り付けることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。