JP6842692B2 - 亜リン酸アルミニウム、および難燃性樹脂組成物 - Google Patents
亜リン酸アルミニウム、および難燃性樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6842692B2 JP6842692B2 JP2017013071A JP2017013071A JP6842692B2 JP 6842692 B2 JP6842692 B2 JP 6842692B2 JP 2017013071 A JP2017013071 A JP 2017013071A JP 2017013071 A JP2017013071 A JP 2017013071A JP 6842692 B2 JP6842692 B2 JP 6842692B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- present
- aluminum
- particle size
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Fireproofing Substances (AREA)
Description
本発明の亜リン酸アルミニウムは、粒度分布におけるD50、D90、D100のいずれも小さく、嵩比重も小さい点で、特許文献1に記載の亜リン酸アルミニウム(以下、従来例と呼ぶ場合がある。)と相違する。更に本発明の亜リン酸アルミニウムは、樹脂と配合したときの分散性が従来例に比べて優れている。そのため、上記亜リン酸アルミニウムを含む樹脂組成物は、従来例に比べて流動性に優れ、且つ、機械的強度も高い。よって、本発明の亜リン酸アルミニウムを用いれば、塗料製造時における混和作業などの作業性の更なる向上、顔料などの添加剤の更なる高濃度配合化、塗料の塗布時における作業性の更なる向上、塗料の防火効果の更なる向上などの効果が得られる。更に本発明の亜リン酸アルミニウムを用いれば、フィルムや繊維などの薄膜材料への添加も可能となる。
本発明の亜リン酸アルミニウムにおける粒度分布は、D50=1.0〜5.0μm、D90=3.0〜15.0μm、D100=5.0〜30.0μmを満足する。D50について、好ましい下限は1.5μm、より好ましい下限は2.0μmであり、好ましい上限は4.5μm、より好ましい上限は4.0μmである。D90について、好ましい下限は3.5μm、より好ましい下限は5.0μmであり、好ましい上限は13.5μm、より好ましい上限は10.0μmである。D100について、好ましい下限は7.0μm、より好ましい下限は8.0μmであり、好ましい上限は25.0μm、より好ましい上限は20.0μm、更により好ましい上限は18.0μm、更により一層好ましい上限は15.0μmである。D50、D90、D100の各値は、体積基準の粒度分布曲線(積算%)において、累積50%、90%、100%となるときの粒径をそれぞれ意味する。このうちD50は亜リン酸アルミニウムの平均粒径(平均直径)を意味し、D100は亜リン酸アルミニウムの最大粒径を意味する。これらは、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)の商品名:マイクロトラックMT3000II)を用いて粒度分布を測定し、体積基準による累積分布を用いて粒度分布を評価したときの値である。
本発明の亜リン酸アルミニウムにおける嵩比重は、0.5〜0.7g/mLを満足する。好ましくは、0.55〜0.65g/mLである。嵩比重は、JIS R6126(1970)に記載の人造研磨材のかさ比重試験方法に基づいて測定した。これに対し、従来例の亜リン酸アルミニウムにおける嵩比重を上記と同様に測定したときの値は、0.7g/mL超、0.8g/mL以下と、本発明に比べて大きい。嵩比重が小さい程、粒径が小さいことを意味する。このように本発明の亜リン酸アルミニウムは、粒度分布だけでなく、嵩比重も小さく制御されているため、分散性、難燃性などが向上する点で極めて有用である。
本発明の亜リン酸アルミニウムは、従来例に比べて樹脂と配合したときの分散性に優れている。詳細には、熱可塑性樹脂100質量部に本発明の亜リン酸アルミニウムを20質量部添加し、二軸混練押出機を用いてコンパウンドペレットを作製したときの状態をSEMで観察し(観察倍率300倍または1000倍)、一視野(0.02mm2)当たりの個数密度を観察する。同様の操作を合計4視野で行ない、その平均を算出したとき、60000〜70000個/mm2であることが好ましい。より好ましくは65000〜70000個/mm2である。
更に本発明の亜リン酸アルミニウムは、従来例に比べて、より発泡性に優れている。「発泡性」とは、約300℃〜1350℃に加熱したときに発泡するものを意味し、本発明の亜リン酸アルミニウムは、約1200℃まで安定して発泡する。特に本発明の亜リン酸アルミニウムは粒径が非常に小さいため、粒子を細かく粉砕する必要がなく、粉砕処理に伴う発泡量の低下を抑えられるので工業的規模での使用に極めて有用である。すなわち、粒径が大きい場合、粉砕処理が必要となるが、乾式粉砕法や湿式粉砕法などの通常用いられる方法では摩擦などによって粉砕時に発泡する虞がある。また、粉砕処理により一次粒子が破壊されるため、加熱成形時に発泡量が低下してしまう。発泡量の低下を抑制するために振動ミルのような特殊な粉砕機を用いる方法も考えられるが、非常に高価であり、実用的でない。これに対し、本発明の亜リン酸アルミニウムを用いれば、粉砕を省略できるため、上記問題は生じない。
本発明の亜リン酸アルミニウムは、樹脂組成物用難燃剤として有用である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、樹脂、および上記の亜リン酸アルミニウムを含有する。
亜リン酸アルミニウムの詳細は前述したとおりである。亜リン酸アルミニウム添加による上記作用を有効に発揮させるため、樹脂組成物100質量部に対する亜リン酸アルミニウムの含有比率は、5〜40質量部であることが好ましい。上記比率を下回ると上記亜リン酸アルミニウムの添加効果が有効に発揮されず、難燃性が低下する。一方、上記比率を超えると混練作業が困難になる。上記含有比率は、より好ましくは11〜25質量部である。
本発明では、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィンオキシド樹脂、ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂がより好ましく用いられる。前述したように本発明は上記亜リン酸アルミニウムを用いた点に特徴があり、使用する熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない。例えば、特表2013−538926号公報に記載のポリアミドまたはポリエステルを用いることができる。
本実施例では、表1に記載の条件で種々の亜リン酸アルミニウムを製造したときの、粒子径および嵩比重を比較検討した。
60L容量の撹拌機に亜リン酸10kg、水酸化アルミニウム(粒子サイズ:平均直径1μm)7kg、水5.3kgを入れ、温度を60℃に維持しながら、反応生成物濃度が68質量%になるまで撹拌混合した。その後、温度を80℃に加温して3時間撹拌を続けて、得られた固形物を200℃で40時間乾燥して粉末を得た。
このようにして得られたNo.1の亜リン酸アルミニウムについて、前述した方法に基づいて粒度分布および嵩密度を測定した。これらの結果を表1に併記する。
前述したNo.1において、原料として使用した水酸化アルミニウムの平均直径、水の添加量、および反応生成物の濃度を表1のように変更したこと以外は上記No.1と同様にして、No.2〜9の亜リン酸アルミニウムを得た。これらについて、前述した方法に基づいて粒度分布および嵩密度を測定した。これらの結果を表1に併記する。
まずNo.7は水の添加量を多くして反応濃度を低くした例であり、D90、D100
がいずれも大きくなった。
No.8は原料である水酸化アルミニウムの平均直径が大きい例であり、やはりD90、D100が大きくなった。
No.9は平均直径が上記No.8よりも更に大きい水酸化アルミニウムを用い、且つ、上記No.7と同様に水の添加量を多くして反応温度を低くした例であり、D50、D90、D100が全て大きくなると共に嵩比重も大きくなった。
本実施例では、本発明の亜リン酸アルミニウムを用いれば、難燃効果を得るための量を減らせることを実証する。
(樹脂)
・PC(ポリカーボネート樹脂):三菱エンジニアリングプラスチック製のS―2000R
・PC/ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂):三菱エンジニアリングプラスチック製のPM1220
(亜リン酸アルミニウム)
・比較例:表1のNo.9
・本発明例:表1のNo.1
Claims (5)
- 体積基準における粒子の粒度分布が、D50=1.0〜5.0μm、D90=3.0〜15.0μm、D100=5.0〜30.0μmを満足し、且つ、
JIS R6126(1970)に記載の人造研磨材のかさ比重試験方法に基づいて測定される嵩比重が0.5〜0.7g/mLを満足することを特徴とする発泡性の亜リン酸アルミニウム。 - ポリアミド樹脂100質量部に対して亜リン酸アルミニウムを20質量部添加したときの平均個数密度が60000〜70000個/mm2である請求項1に記載の亜リン酸アルミニウム。
- 樹脂、および請求項1または2に記載の亜リン酸アルミニウムを含有することを特徴とする難燃性に優れた樹脂組成物。
- 前記樹脂は熱可塑性樹脂である請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂はポリアミドまたはポリエステルである請求項3または4に記載の樹脂組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016066955 | 2016-03-30 | ||
JP2016066955 | 2016-03-30 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017186224A JP2017186224A (ja) | 2017-10-12 |
JP6842692B2 true JP6842692B2 (ja) | 2021-03-17 |
Family
ID=60044492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017013071A Active JP6842692B2 (ja) | 2016-03-30 | 2017-01-27 | 亜リン酸アルミニウム、および難燃性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6842692B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111116987B (zh) * | 2018-10-31 | 2022-05-17 | 襄阳三沃航天薄膜材料有限公司 | 一种细粒度次磷酸铝复合阻燃剂合成的方法 |
CN113460984B (zh) * | 2020-10-22 | 2022-08-23 | 江苏利思德新材料有限公司 | 一种结晶型亚磷酸铝及其制备方法和应用 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2899916B2 (ja) * | 1990-07-30 | 1999-06-02 | 太平化学産業株式会社 | 球状亜リン酸アルミニウム結晶、その製造方法、及び、それを含有する塗料 |
JPH09255318A (ja) * | 1996-03-21 | 1997-09-30 | Nippon Chem Ind Co Ltd | リン酸アルミニウムセラミック粉体およびその製造方法 |
DE102011120191A1 (de) * | 2011-12-05 | 2013-06-06 | Clariant International Ltd. | Mischungen von Aluminiumphosphit mit schwerlöslichen Aluminiumsalzen und Fremdionen, Verfahren zu ihrer Herstellung sowie ihre Verwendung |
CN103101893B (zh) * | 2013-02-01 | 2015-03-04 | 河北联合大学 | 高分散亚磷酸铝晶体的制备方法 |
-
2017
- 2017-01-27 JP JP2017013071A patent/JP6842692B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017186224A (ja) | 2017-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6675386B2 (ja) | 難燃剤としての有機オキシイミド塩の使用、難燃性プラスチック材組成物、その製造方法、及び、成形品、塗料又はコーティング | |
JP7111736B2 (ja) | 難燃性ポリマー組成物 | |
AU2003228571B2 (en) | Novel boehmite particles and polymer materials incorporating same | |
DE10241374B3 (de) | Staubarme, pulverförmige Flammschutzmittelzusammensetzung, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung, sowie flammgeschützte Polymerformmassen | |
CN103649224B (zh) | 非卤化阻燃聚碳酸酯复合物 | |
MXPA04007120A (es) | Polvo de polimero con un agente de proteccion contra llamas a base de fosfonato, procedimiento para su obtencion y cuerpos moldeados producidos con dicho polvo de polimero. | |
JPWO2012050222A1 (ja) | 高アスペクト比水酸化マグネシウム | |
JP6842692B2 (ja) | 亜リン酸アルミニウム、および難燃性樹脂組成物 | |
JP6788967B2 (ja) | 難燃性樹脂組成物 | |
TW201923050A (zh) | 難燃劑組合物及包含該難燃劑組合物之難燃性熱塑性樹脂組合物 | |
JP3497369B2 (ja) | 難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物 | |
JP2020040859A (ja) | 水酸化マグネシウム粒子及びその製造方法 | |
JP6966801B2 (ja) | 亜リン酸アルミニウム、および亜リン酸アルミニウムを含む組成物 | |
WO2017094900A1 (ja) | ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法および成形体 | |
WO2015093450A1 (ja) | タルク粒子およびそれを含有する有機重合体組成物 | |
JP2011506748A (ja) | 難燃性組成物 | |
JP2012236867A (ja) | 樹脂用結晶核剤の製造方法 | |
JP6052094B2 (ja) | ポリテトラフルオロエチレンパウダー組成物の製造方法及びこれを含む樹脂組成物の製造方法 | |
JP2007270011A (ja) | 層状ケイ酸塩化合物および該層状ケイ酸塩化合物を含有する樹脂組成物 | |
US9394423B2 (en) | Fire retardant polypropylene | |
JP2016148059A (ja) | 亜リン酸アルミニウムまたはその水和物、および難燃性樹脂組成物 | |
JP5861838B2 (ja) | 結晶化促進方法及び成形物の製造方法 | |
WO2018010764A1 (en) | Compounded copolyamide powders | |
JP5650033B2 (ja) | 難燃性樹脂組成物、その製造方法、及び成形品 | |
JP6498143B2 (ja) | 再生熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20190108 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191107 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200805 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200811 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210126 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6842692 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |