JP6842305B2 - 道路防音壁用パネル - Google Patents

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Description

本発明は、道路の路側に沿って配されている道路防音壁用パネルに関するものである。
交通騒音等を低減させるため、道路の路側には道路防音壁用パネルが配されている。防音性もさることながら、運転者に対して運転中の開放感を与えるため、このパネルとしては透光性があることが好ましい。これにより、運転者への圧迫感をなくし、近隣住民への日照を確保することができる。このような透光性及び防音性を有する道路防音壁用パネルには、種々の開発がなされている(例えば特許文献1、特許文献2参照)
特許第5869794号公報 特許第5921103号公報
しかしながら、交通事故等は道路内で起こり得るため、道路側からの衝撃や火災等を道路の外側(民地側)に影響を与えないようにすることが望ましい。すなわち、道路外側には近隣住民の住居等がある場合が多いため、このような民地側にパネルの一部が落下したり、あるいはパネル自体がなくなってしまうことは避けるべきである。
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、道路側からの衝撃や火炎の影響を民地側に直接的に及ぼすことを抑制し、少なくともパネルとしての形状を維持することができる道路防音壁用パネルを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明では、道路の路側に沿って配されるべき道路防音壁用パネルであって、道路側に配されて化学強化ガラスからなる略板形状の道路側板体と、道路側とは反対側の民地側に配されて前記道路側板体と間隔を存して配される化学強化ガラスからなる略板形状の民地側板体と、前記道路側板体と前記民地側板体との間に介装されている略板形状のスペーサーガラス板体とを備えていることを特徴とする道路防音壁用パネルを提供する。
好ましくは、前記スペーサーガラス板体は、フロートガラス又は網入りガラスからなる。
好ましくは、前記スペーサーガラス板体は、前記民地側板体の厚みに対して1.25倍以上の厚みを有している。
本発明によれば、道路側板体と民地側板体との間にスペーサーガラス板体が介装されているので、民地側板体に燃え抜けが発生することを抑制することができる。すなわちスペーサーガラス板体があることで、パネルとしての耐火性能を向上させることができる。このスペーサーガラス板体として、フロートガラス又は網入りガラスを用いることで、このようなフロートガラス又は網入りガラスは板厚が厚いガラスを用いる場合が多く熱容量が大きいので、道路側からの火炎による熱が民地側に伝わるまでの時間を稼ぐことができる。また、スペーサーガラス板体をフロートガラス又は網入りガラスとすることで、安価に製造できる。特に、スペーサーガラス板体の厚みを民地側板体の厚みの1.25倍以上とすることで、十分な耐火性能を得ることができることを実験により確認している。
このような構造により、道路側からの火災等による熱は十分な厚みを有して耐火時間を稼ぐことができるスペーサーガラス板体にて防ぐことができる。結果として道路側からの火災の影響が民地側板体に直接的に及ぼされることを抑制し、少なくともパネルとしての形状を維持することができ、民地側の安全性を向上できる。
一方で、道路側板体と民地側板体とはこのスペーサーガラス板体を介して間隔を存して配設されているため、パネル全体としての剛性が高まり、衝撃に対する強度を向上させることもできる。スペーサーガラス板体としてフロートガラス又は網入りガラスを利用すれば、これらは許容応力が小さく、割れる際もその破片は比較的大きい。したがって大きな衝撃を伴わないで割れるので、その割れによる衝撃が道路側板体や民地側板体に影響を与えることはない。すなわち、スペーサーガラス板体の割れとともに道路側板体又は民地側板体がともに割れてしまうことを防止できる。
本発明に係る道路防音壁用パネルのパネル体概略図である。 パネル体を金属枠に嵌め込んだときの概略断面図である。 パネル体を金属枠に嵌め込んだときの概略断面図である。 金属枠をH鋼に取り付けた際の概略断面図である。 金属枠をH鋼に取り付けた際の概略断面図である。 道路防音壁用パネルを道路に設置したときの概略図である。 ガラスの種類に応じた許容応力を示すデータである。 耐火試験に用いたそれぞれのパネルの構成である。 耐火試験の実験データである。
本発明に係る道路防音壁用パネル1は、道路の路側に沿って配されるものである。すなわち道路防音壁用パネル1は、道路側と、この道路側とは反対側の民地側に面した部分を有している。道路側には、略板形状の道路側板体2が配されている。民地側には略板形状の民地側板体3が配され、この民地側板体3は道路側板体2と間隔を存して配されている。道路側板体2と民地側板体3とを離間させて配するために、道路側板体2と民地側板体3との間には略板形状のスペーサーガラス板体4が介装されている。すなわち、スペーサーガラス板体4は道路側板体2と民地側板体3とで挟持されている。これら道路側板体2とスペーサーガラス板体4、及びスペーサーガラス板体4と民地側板体3とはそれぞれの間に介装されている中間膜5にて互いに接着されている。これら道路側板体2、民地側板体3、スペーサーガラス板体4及び中間膜5にてパネル体6が形成される。すなわち、中間膜5を介して道路側板体2、スペーサーガラス板体4、民地側板体3が貼り合わされてパネル体6が形成されている。なお、図の例では道路側板体2と民地側板体3との間に1枚のスペーサーガラス板体4を挟持した例を示しているが、スペーサーガラス板体4の枚数については特に限定されるものではない。
道路側板体2及び民地側板体3は、化学強化ガラス(CT)で形成されている。化学強化ガラスとは溶融したカリウム塩(硝酸カリウム、硫酸カリウム、重硫酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、塩化カリウム等)に対してフロートガラスを浸漬させ、ガラス表面のイオン半径の小さなナトリウムイオンをより半径の大きいカリウムイオンに置換し、ガラス表面に圧縮応力層を形成したものである。この化学強化ガラスはフロートガラスに比して耐熱性、耐衝撃性に優れ、一般的な風冷強化ガラスに比しては外力が加わっていない状態で不意にガラスが割れてしまう自然破損が生じにくい。また化学強化ガラスは中央部分での衝撃強度(面強度)が他のガラス(フロートガラス(FL)、網入りガラス(PHW)、倍強度ガラス(HS)、風冷強化ガラス(PT))に比して抜群に優れている。
一方で、スペーサーガラス板体4はガラスにて形成されている。好ましくは、スペーサーガラス板体4はフロートガラス又は網入りガラスで形成されている。フロートガラスは通常のソーダライムシリケートガラス(あるいはホウケイ酸ガラス等)を板状にしたものである。網入り強化ガラスはガラス内にワイヤーが配されたものである。このワイヤーにより、ガラスが割れた際にガラスが飛散することが防止される。
本発明に係る道路防音壁用パネル1は、道路で生じる交通事故等の火災や衝撃による影響を民地側に及ぼさないことが目的とされている。そのため、可能な限り民地側板体3の形状が保持されるか、あるいは民地側板体3が割れたとしてもその破片を小さくするようにしている。
上述したように、パネル1は道路側板体2と民地側板体3との間にスペーサーガラス板体4が介装されているので、民地側板体3に燃え抜けが発生することを抑制することができる。すなわちスペーサーガラス板体4があることで、パネルとしての耐火性能を向上させることができる。スペーサーガラス板体4としてフロートガラス又は網入りガラスを用いれば、これらは板厚が厚いガラスを用いる場合が多く熱容量が大きいので、道路側からの火炎による熱が民地側に伝わるまでの時間を稼ぐことができる。例えば道路側で火災が発生したとしても、その熱が民地側に伝わるまでには相当の時間を稼ぐことができる。
ここで、例えばスペーサーガラス板体4の厚みは3mm〜19mmが好ましい。特に、3mm〜10mmの範囲内の厚みであれば、十分に本発明が適用される道路での火災による熱の影響が民地側板体3に到達しにくいことを実験により確認している。また、スペーサーガラス板体4をフロートガラス又は網入りガラスとすることで、安価に製造できる。
また、道路側板体2と民地側板体3とがスペーサーガラス板体4を介して間隔を存して配設されているため、パネル体6(道路防音壁用パネル1)全体としての剛性を高めることができている。このため、道路側からの衝撃に対する強度を向上させることができる。そして、道路側板体2と民地側板体3との間に介装されるスペーサーガラス板体4として、フロートガラス又は網入りガラスを利用しているため、これらは許容応力が小さく、割れる際もその破片は比較的大きい。したがって大きな衝撃を伴わないで割れるので、その割れによる衝撃が道路側板体2や民地側板体3に影響を与えることはない。すなわち、スペーサーガラス板体4の割れとともに道路側板体2又は民地側板体3がともに割れてしまうことを防止できる。このように、スペーサーガラス板体4としては細かく割れるような特性を有するガラスは好ましくないためフロートガラス又は網入りガラスを採用することが好ましい。
また、道路側板体2及び民地側板体3には化学強化ガラスを利用しているので、耐衝撃力が高まる。特に道路側板体2に耐衝撃性能の高い化学強化ガラスを配することで、道路側からの衝撃による影響を受け止め、道路防音壁用パネル1全体としての耐衝撃性を高めることができている。ここで、道路側板体2は1.5mm〜8.0mmの厚みを有し、民地側板体3は1.5mm〜5.0mmの厚みを有している。道路側板体2の厚みの方が民地側板体3よりも多く設定できるようにしているのは、本発明が適用される道路では道路側からの衝撃をまずは受け止める必要があるからである。この観点からすると、道路側板体2の厚みは民地側板体3の厚みよりも厚いことが好ましい。また、民地側板体3の厚みを1.5mm〜5.0mmとすることで、万が一民地側板体3が割れた際に破片が大きくなってしまうことを防止できる。すなわち、民地側に及ぼされる破片の影響を最小限とすることができる。また、化学強化ガラスを用いることで、風冷強化ガラスで発生するような自然破損が生じない。
このような構造により、道路側からの火災等による熱は十分な厚みを有して耐火時間を稼ぐことができ、道路側からの衝撃は十分な厚みを有して耐衝撃性の高い化学強化ガラスからなる道路側板体2にて防ぐことができる。結果として道路側からの熱や衝撃の影響が民地側板体3に直接的に及ぼされることを抑制し、少なくとも道路防音壁用パネル1としての形状を維持することができ、民地側の安全性を向上できる。本発明に係る道路防音壁用パネル1の構造は、図7に示すようなガラスのエッジ部分での許容応力と、ガラスの中心部分である面内許容応力におけるそれぞれのガラスの特性に着目して採用されたものである。また道路防音壁用パネル1はガラスを基本として構成されているので、透光性に優れ、視認性を妨げることはない。道路に適用されることから、運転者に優れた景観を与えることができる。またポリカーボネート等の樹脂を板体として適用することに比べ、耐久性に優れ、透明性が遥かに高く、美観性も高い。
なお、中間膜5はポリビニルブチラールやアイオノマー樹脂等が用いられる。一般的な熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を利用可能であり、ビニル系ポリマー、エチレン−ビニル系モノマー共重合体、スチレン系共重合体、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂を含んでいることが好ましい。
パネル体6が道路に設置される際は、金属枠7に嵌め込まれる。具体的には、図2及び図3に示すように、パネル体6の全周縁は金属枠7により覆われるように嵌め込まれる。なお、図2は側方から、図3は上方から視たときの断面図を示している。金属枠7は略矩形の枠形状であり、それぞれ上横枠8a、下横枠8b、縦枠8cを有している。それぞれの枠8a〜8cは、民地側板体3の周縁側を覆うように民地側板体3の内側方向に突出した民地側覆い部9を有している。すなわち、民地側覆い部9は民地側板体3の外周縁を覆っている金属枠7の部分といえる。一方で、道路側板体2の周縁側は金属枠7の部分である押縁11にて覆われている。具体的には、押縁11はタッピングビス12にて各枠8a〜8cに固定されている。道路側板体2と押縁11との間、及び民地側板体3と民地側覆い部9との間にはシール材13が配され、金属枠7内への浸水が防止されている。そして、民地側覆い部9の頂面(内側の面)10は、押縁11の頂面14と同一面上に配されている。これにより、ガラスを通して金属枠7が視認されることはなく、優れた美観を得ることができる。
金属枠7に嵌め込まれたパネル体6は複数並べられて道路に設置される。このとき、さらに強度の向上が図られる。図4(側方からの断面図)及び図5(上方からの断面図)に示すように、複数の金属枠7は互いにその枠8a〜8cにて突き合わされ、端部はH鋼15に嵌め込まれる。これにより剛性を高められている。このとき、H鋼15の一方のフランジ16aに対して金属枠7の道路側が接するように取り付けられる。なお、上下方向におけるH鋼15の他方のフランジ16bと金属枠7との間には、金属枠7を固定するための付勢具18が介されている。このようにして図6に示すように、道路防音壁用パネル1は道路19の路側に沿って立設される。図6を参照すれば明らかなように、H鋼15は支柱としての役割を果たしている。なお、本発明に係る道路防音壁用パネル1は上記まで説明した内容の構成に限定されない。パネル体6は上述した以外の構成を有する道路防音壁用パネルに適用可能である。また、金属枠7についても上述した構造に限定されるものではない。パネル体は種々の構造を有する金属枠に対して適用可能である。
ここで、本発明に係る道路防音壁用パネル1について耐火試験を行った。試験体として用いたパネルは図8に示すように、比較例となるパネルを4つ(比較例1〜4)、実施例となるパネルを7つとした(実施例1〜7)。比較例はいずれもスペーサーガラス板体4がなく、道路側板体2と民地側板体3との2枚で構成されている。比較例も実施例も、道路側板体2と民地側板体3は全て化学強化ガラスにて形成されている。具体的には、比較例1は厚さ3mmの化学強化ガラスの合わせガラス、比較例2は厚さ4mmの化学強化ガラスの合わせガラス、比較例3は厚さ5mmの化学強化ガラスの合わせガラス、比較例4は厚さ6mmの化学強化ガラスの合わせガラスを用いた。
実施例のスペーサーガラス板体4は実施例7を除いて全てフロートガラス(FL)にて形成されている。実施例7ではスペーサーガラス板体4として網入りガラス(PHW)を使用した。具体的には、実施例1は道路側板体2及び民地側板体3として厚さ4mmの化学強化ガラスに厚さ4mmのフロートガラスが介装されている3枚の合わせガラス、実施例2は道路側板体2として厚さ5mm、民地側板体3として厚さ3mmの化学強化ガラスに厚さ4mmのフロートガラスが介装されている3枚の合わせガラスをパネル1として用いた。実施例3〜6については道路側板体2及び民地側板体3として全て厚さ4mmの化学強化ガラスを用いている。実施例3は厚さ5mm、実施例4は厚さ6mm、実施例5は厚さ8mm、実施例6は厚さ10mmのフロートガラスが介装されている3枚の合わせガラスをパネル1として用いた。実施例7は、道路側板体2及び民地側板体3として厚さ4mmの化学強化ガラスに厚さ6.8mmの網入りガラスが介装されている3枚の合わせガラスをパネル1として用いた。
耐火試験はそれぞれのパネル1を耐火炉にて道路側板体2側から火炎を当てて所定時間熱することで燃え抜け(民地側板体3が落下)の有無を調べた。試験体となるパネル1は4辺にアルミ枠を有する高さ1m×幅2mのものを用いた。加熱は、標準加熱時間温度曲線「ISO834−1」の条件で行った。なお、耐火試験は4通り行い、耐火試験1は4分、耐火試験2は5分、耐火試験3は8分、耐火試験4は10分上記耐火炉にて加熱した。
図9で示した実験結果から明らかなように、比較例においては1〜4の全てが耐火試験1にて燃え抜けが発生した。具体的には、1分〜2分で道路側板体2に大きくひびが入り、3分経過して落下した。一方で3分〜4分で民地側板体3にひびが入り、このひびから燃え抜けが発生した。このように全ての比較例1〜4に燃え抜けが発生したことから、比較例1〜4では化学強化ガラスの厚みを徐々に厚くなるようにしているが、単純に板厚を上げるだけでは耐火性能に変化はみられていないことが分かる。
一方で、実施例1〜7のいずれにおいても、耐火試験1で燃え抜けが発生することはなかった。このことから、フロートガラス又は網入りガラスからなるスペーサーガラス板体4を化学強化ガラスに介装することで、従来(比較例1〜4)の2枚の合わせガラスよりも耐火性能が向上していることが分かる。特に実施例1及び2を参照すると、比較例3及び4と総厚としてはそれほど変わっていないが(比較例3は総厚10mm、比較例4は総厚12mm、実施例1は総厚12mm、実施例2は総厚11mm)、スペーサーガラス板体4の有無の違いで耐火性能の向上がみられていることが分かる。すなわち、化学強化ガラスのみにて単純に総厚を上げてパネルを構成するよりも、フロートガラス又は網入りガラスにてスペーサーガラス板体4が介装されたパネル1とする方が、耐火性能が向上することが分かる。
このことは、コスト的にも効果がある。比較例3及び4のようにパネル1の全て化学強化ガラスにて形成するよりも、実施例1及び2のようにフロートガラスを一部含むことで化学強化ガラスの使用量を減少させることができる。化学強化ガラスは非常に高価であるため、これの使用量を極力抑えて耐火性能を向上できていることは好ましい結果といえる。
さらに耐火試験2を実施例1〜7に対して行った。ここでも、全ての実施例について燃え抜けは発生しなかった。ただし、実施例1及び2と実施例3〜7については若干結果に違いが見られた。実施例1及び2では、道路側板体2及びスペーサーガラス板体4が落下し、民地側板体3が落下しなかった。加熱停止後、民地側板体3も落下した。具体的には、実施例1及び2の道路側板体2は加熱後1分〜2分でひびが入り、3分経過後に落下した。スペーサーガラス板体4は加熱後にすぐひびが入り、4分〜5分で落下した。民地側板体3は加熱停止後の5分以降にひびが入り、落下した。
一方で実施例3〜7については、耐火試験2による加熱停止後も民地側板体3が落下することはなかった。落下したのは道路側板体2のみであった。このような落下枚数の違いは、図9にて民地側板体3の1枚のみが残って加熱停止後に落下したものを一重丸、スペーサーガラス板体4及び民地側板体3の2枚が残ったものを二重丸にて示している。以上を勘案すると、スペーサーガラス板体4の厚みを民地側板体3の厚みに対して1.25倍以上とすることで、1倍である実施例1よりも耐火性能が向上していることがいえる。
続いて耐火試験3を行った。この結果、実施例1〜3では燃え抜けが発生した。実施例4(スペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みの1.5倍)では民地側板体3の1枚のみが残り、加熱停止後に民地側板体3も落下した。実施例5〜7についてはスペーサーガラス板体4及び民地側板体3のいずれも落下しなかった。さらに、耐火試験4では、実施例4に燃え抜けが発生し、実施例5(スペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みの2倍)では民地側板体3の1枚のみが残り、加熱停止後に民地側板体3も落下した。実施例6(スペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みの2.5倍)及び実施例7についてはスペーサーガラス板体4及び民地側板体3のいずれも落下しなかった。
ここで、実施例3〜6についてはスペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みに対して1.25倍以上であり、且つスペーサーガラス板体4がフロートガラスである点において共通している。そして、スペーサーガラス板体4は実施例3〜6の順に徐々に厚くなっている。
耐火試験3及び4の結果を参照すると、スペーサーガラス板体4の厚みが薄い実施例から順番に「燃え抜け」、「民地側板体3の1枚のみ残り(1枚残り)」、「スペーサーガラス板体4及び民地側板体3の2枚残り(2枚残り)」が発生するというような段階的な結果となっている。具体的には、耐火試験3では実施例3が燃え抜け、実施例4が1枚残り、実施例5が2枚残りであり、耐火試験4では実施例4が燃え抜け、実施例5が1枚残り、実施例6が2枚残りとなった。つまり加熱時間を延ばせばスペーサーガラス板体4の厚みが厚い方が耐火性能が高くなっているといえる。
このことは、スペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みに対して1.25倍以上であるとき、耐火性能が関連性を持って向上していることを示している(スペーサーガラス板体4が厚くなるほど民地側板体3は落下しにくくなる)。したがってこの1.25倍以上という数値は、このような指標を示す上でも重要といえる。
実施例3〜6の耐火試験について詳述すると、いずれも道路側板体2は1分〜2分でひびが入り、3分経過後に落下した。スペーサーガラス板体4はフロートガラスなので加熱後にすぐひびが入った。実施例3〜6ではスペーサーガラス板体4の厚みが厚くなればなるほど、スペーサーガラス板体4と民地側板体3との間の中間膜が溶けにくく接着力がキープされ、スペーサーガラス板体4が落下しにくくなって燃え抜けが発生しにくい結果となった。スペーサーガラス板体4としてフロートガラスを用いたものでは、実施例6が加熱時間の最も長い耐火試験4に耐えたので、スペーサーガラス板体4の厚みが民地側板体3の厚みに対して2.5倍以上であれば、十分民地側を安全に保つことができるパネル1を提供できるといえる。
実施例7は、耐火試験1〜4のいずれでも燃え抜けは発生しなかった。実施例7の耐火試験では、道路側板体2は1分〜2分でひびが入り、3分経過後に落下した。スペーサーガラス板体4は加熱後にすぐひびが入ったが、スペーサーガラス板体4及び民地側板体3が崩れ落ちることはなかった。加熱時間が最長である耐火試験4の加熱時間後であっても、民地側板体3が落下することはなかった。このようにスペーサーガラス板体4として網入りガラスを用いれば、フロートガラスを用いるよりも厚さを薄くして同等以上の耐火性能を発揮できることが確認された(実施例4の総厚14mm、実施例5の総厚16mm、実施例6の総厚18mmに対して実施例7の総厚12.8mm)。
以上より、スペーサーガラス板体4を化学強化ガラスに介装することで、燃え抜け発生までの時間を長くできることが確認された。さらに、比較例4と実施例1とでは、パネル1としての厚さ(総厚)は12mmで同じであるが、燃え抜け発生までは実施例1の方が長時間を要していることが分かった。また、比較例2〜4と実施例1とでは、使用する化学強化ガラスの厚みは実施例1の方が薄いが燃え抜け発生までは実施例1の方が長時間を要していることが分かった。実施例1と実施例3〜6とを比べると、使用する化学強化ガラスの厚みは同じであるがスペーサーガラス板体4の厚みに応じて燃え抜け発生までの時間が長くなることを確認できた。
1:道路防音壁用パネル、2:道路側板体、3:民地側板体、4:スペーサーガラス板体、5:中間膜、6:パネル体、7:金属枠、8a:上横枠、8b:下横枠、8c:縦枠、9:民地側覆い部、10:民地側覆い部の頂面、11:押縁、12:タッピングビス、13:シール材、14:押縁の頂面、15:H鋼、16a:フランジ、16b:フランジ、18:付勢具、19:道路

Claims (3)

  1. 道路の路側に沿って配されるべき道路防音壁用パネルであって、
    道路側に配されて化学強化ガラスからなる略板形状の道路側板体と、
    道路側とは反対側の民地側に配されて前記道路側板体と間隔を存して配される化学強化ガラスからなる略板形状の民地側板体と、
    前記道路側板体と前記民地側板体との間に介装されている略板形状のスペーサーガラス板体とを備え
    前記スペーサーガラス板体の厚みは、燃え抜けを防止するために前記民地側板体の厚み以上であることを特徴とする道路防音壁用パネル。
  2. 前記スペーサーガラス板体は、フロートガラス又は網入りガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の道路防音壁用パネル。
  3. 前記スペーサーガラス板体は、前記民地側板体の厚みに対して1.25倍以上の厚みを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路防音壁用パネル。
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