JP2009001478A - 合わせガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】建造物等の構造材料として使用する場合に、1点集中の衝撃力に対しても高い耐貫通性を示し、しかも軽量で経済性のある防犯用途に好適な合わせガラス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の合わせガラス10は、無機物製の板ガラス20と接合層30とが交互に積層された板ガラス積層体であり、厚さ1mm未満の板ガラス20と厚さ1mm未満の接合層30とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラス20の合計厚さに対する接合層30の合計厚さの割合が0.2から5.0の範囲内にある。また本発明の合わせガラス10の製造方法は、ダウンドロー成形法により成形された板ガラス20を積層し、接合層30により互いに貼接することにより、上記の防犯用合わせガラス10を製造するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に建造物等の住宅用窓材や車載用途などに搭載される採光用透過窓材として使用される無機物製の板ガラスよりなる合わせガラスに関し、特に防犯用途に好適な耐貫通性を有する合わせガラスとその製造方法に関する。
耐貫通性を有する合わせガラスは、一般的に次のような使用目的で利用されている。例えばそれは、製造業や土木業等における作業者の安全確保(安全ガラス)、銃火器が使用される環境下における銃弾等からの身体の保護(防弾ガラス)、建造物や内容物のセキュリティの確保(防犯ガラス)、あるいは各種車両に搭乗する乗車員の安全性の確保(車載安全ガラス)である。一方、建造物に用いられる採光用の窓ガラスは、光学的性能や対費用効果等に問題がなければ、従来の性能に加えて耐貫通性という機械的性能が向上するのは有用である。むしろ、安全性を重視する傾向が強まってきた今日の社会では、高い耐貫通性を有する窓ガラスへの要望は強いものとなっている。従来の合わせガラスは、この耐貫通性を含めた多くの市場の要求にある程度応えてきたが、それでもより高度な様々な要求を満たすには至っていない。このため、構造材料として使用される板ガラスついては、その耐貫通性に関する課題を克服すべく、数々の発明がこれまでに行われている。
これまでに行われた発明として、例えば特許文献1では、透明硬質基体の一方の面に少なくとも1つの耐貫通性を有する軟質合成樹脂層を有する透明合成樹脂層をもつ積層安全ガラスにおいて、この透明樹脂層に含フッ素脂肪族環構造を有するポリマーからなる透明フッ素樹脂表面層が積層された構造を採用することによって、衝撃破壊時の受傷防止及び破片の飛散防止に優れ、かつ透明性、耐汚染性、耐薬品性、耐湿性等に優れ、自動車窓材、建築用、その他の窓材などとできるとする発明が開示されている。
また特許文献2には、フロート法で成形した板ガラスを積層する防弾ガラスにおいて、フロート法のトップ面を室外側としてボトム面を室内側とすることによって、従来以上に防弾性能を向上させることができるとする発明も開示されている。
また特許文献3では、複数枚の樹脂板と板ガラスとを積層する構成において、樹脂板と板ガラス間の接着膜が、樹脂板の線膨張係数と板ガラスの線膨張係数の間の線膨張係数が選ばれてなるものを使用することによって、温度上昇に伴う変形や部材の分離といった不具合を解消し、良好な防弾性能を維持することができるとする発明が開示されている。
特開平2−67131号公報 特開2002−154847号公報 特開2006−124255号公報
しかしながら、これまでの耐貫通性を有する合わせガラスの発明だけでは、板ガラスの用途をさらに一層拡大し、より多様な応用製品を生み出すには充分ではない。従来の耐貫通性を有する合わせガラスは、その透光面上に加えられる1回のみの衝撃には充分な性能を示しても、複数回の衝撃が表面の1点に集中して加えられる場合には、その衝撃力の緩和や吸収という点で十分な性能を有していないものが多い。反復的な衝撃に耐えるべくガラス板を厚くすると、その価格が高価になるとともに、一般の窓枠サッシ部材への組込みが困難になるという問題が生じる。また施工費用が高くなり、窓材全体も重くなり過剰な負荷が建造物に加わるという問題も生じる。これに加えて、合わせガラス自体が過度に重くなるため、可搬性、すなわちハンドリング性が低下するという問題も生じる。このようにこれまでに発明された合わせガラスは、充分な耐貫通性を有し、かつ軽量な構成を可能とする建材用途で利用可能な窓部材を実現するのは、困難であった。
また近年、社会環境や世相の変化に伴い、住宅居住内への不法侵入により発生する犯罪が増加してきた。これに伴い、集合型住宅や一般の住居等の建造物に使用される住宅用窓材についても、従来以上の堅牢性を有し、より高い防犯性や優れたセキュリティを有するものが求められるようになってきた。
本発明は、上述のような問題を改善し、建造物等の構造材料として使用する場合にガラス透光面の一点に集中して加えられる反復的な衝撃力に対しても高い耐貫通性を示すとともに、構造体に大きな荷重負担が掛からない程度に十分軽量であり、製造における経済性にも十分配慮し、防犯用途に好適な各種建造物や車両用途の窓用の衝撃吸収性能にも優れた合わせガラスを実現し、その製造方法を提供することを課題とする。
本発明の合わせガラスは、複数枚の無機物製板ガラスが接合層を介して積層された板ガラス積層体よりなる合わせガラスであって、前記板ガラス積層体は、1mm未満の単層厚さの板ガラスと1mm未満の単層厚さの接合層とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2〜5.0の範囲内にあることを特徴とする。
ここで、複数枚の無機物製板ガラスが接合層を介して積層された板ガラス積層体よりなる合わせガラスであって、前記板ガラス積層体は、1mm未満の単層厚さの板ガラスと1mm未満の単層厚さの接合層とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2〜5.0の範囲内にあるという点について以下に説明する。この合わせガラスでは、無機酸化物に換算した質量百分率でその組成を表せる板ガラスは、その厚み方向に対向する透光面で相互に重ね合わされている。そして各板ガラスによりなる単一の層の間には接合層が挟さまれ、板ガラスと密に接着された状態になっている。さらに板ガラス積層体を構成する板ガラスによる単一の層と単一の接合層のそれぞれの厚さは、いずれも1mmを超えない厚さである。さらに板ガラス層と接合層による積層構造は、それぞれを1層と数えて合計5層以上となる構成を有している。そして板ガラス層の合計厚さを分母にし、接合層の合計厚さを分子として表した厚さの比率は、0.2から5.0までの範囲内になる。そして本発明の合わせガラスについては、上述した全ての条件を満足することが必要である。
ちなみに本発明において、単層とは、1つの同じ成分配合比より表すことのできる重なった状態にあるものの1つ、すなわちその幾重にも重なった内の1つの部分を表すものである。よって単層は、ガラス、樹脂のいずれであってもよく、積層された状態での単一の部分のことを表している。そして前記したように、例えば合計5層以上となる構成となった場合に、この5層以上のまとまった層は、複数の単層から構成された複層に相当するものである。
本発明の合わせガラスは、上述した板ガラス積層体構造が合わせガラス中に含まれる構成であれば、他の積層部位については任意の構成としてよい。むろん上述した板ガラス積層構造体のみによって構成された合わせガラスであってもよく、用途によってはその方が厚さを薄くすることができるといった長所もある。
積層体を構成する板ガラスの単層厚さは、1mm未満で、かつ用途に応じた所望の性能を発揮できる限りは任意で設定できる。積層体の透光面の面積、透光面の形状は不問である。透光面の形状については、通常は略矩形だが、必要に応じて略円形や略楕円形、五角以上の略多角形などの形状、あるいはこれらを合体したような形状であってもよい。
無機物製板ガラスについては、積層で所望の性能を実現できる限り、任意のガラス材質を採用できる。例えば、無機物製板ガラスとしては硼珪酸ガラス、無アルカリガラス、アルミノシリケートガラス等を、要望に応じて適宜使い分けてよい。接合層については、板ガラスを確実に接合できる性状を有する限り、有機材料でも複合材料でも構わない。有機材料としては、各種の樹脂材を使用することができる。また複合材料としては、無機材料や有機材料のフィラー等を選択混合して構成したような材料も使用できる。
本発明で板ガラス積層体としては、板ガラスと接合層が合計で5層以上積層されていないと、構造体としての十分な弾性とガラス透光面の高い耐貫通性を両立させることが困難になる。そのため、無機板ガラスと接合層は、それぞれを1層と数えて合計5層以上の積層状態であることが必要である。
また板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2に満たないならば、ガラス透光面の一点に複数回の衝撃力が集中する際に、積層体全体で衝撃を吸収緩和する性能が低下する場合があるので好ましくない。この耐衝撃性について、より高い性能を実現するには、板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合としては、0.25以上が好ましく、さらに好ましくは0.28以上、一層好ましくは0.31以上とすることである。板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が5を超えると、積層体の骨格となる板ガラスの合計厚さが相対的に過小に薄くなり、衝撃に対する耐久性低下の虞があるため好ましくない。このような耐衝撃性能について、より高い性能を実現するには、板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合としては、3.5以下が好ましく、さらに好ましくは3.1以下、一層好ましくは2.5以下とすることである。以上より、板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合は、用途などに応じて、例えば0.20から3.5の範囲、0.20から3.1の範囲、0.20から2.5の範囲、0.25から3.5の範囲、0.25から3.1の範囲、0.25から2.5の範囲、0.28から3.5の範囲、0.28から3.1の範囲、あるいは0.31から2.5の範囲を選択することができる。
本発明の合わせガラスでは、厚さ1mm未満の板ガラスと接合層とが交互に積層されて合計5層以上とされていれば、何層であってもよい。ただし、経済性や製造時の積層容易性等を考慮すると、50層以下とするのが好ましく、より好ましくは30層以下とすることである。
本発明者らは、従来の合わせガラスの弱点を克服すべく研究を重ね、合わせガラスの透光面に繰返して衝撃力が一点に集中する様に印加されても、積層された板ガラスの透光面が容易に貫通されない、という高い耐衝撃性を実現する手段を見出した。このような過酷な環境要求性能を満足するには、合わせガラスの構造材料に注目する必要があった。またそれに加えて、板ガラスと接合層の単層厚さ、板ガラスと接合層による積層数、板ガラスと接合層の合計厚さの比率を所定範囲内の値に限定することで、優れた強度性能に加えて、ガラス透光面に連続的に加えられる一点集中の衝撃力に対して高い耐貫通性を実現できる、という合わせガラスを見出した。
ここで、一点集中の繰返し衝撃について、その評価方法を以下に示す。図2には、この試験に用いる試験装置の概念図を示す。図2において、100は合わせガラス、20は無機物製の板ガラス、30は接合層、Wはヘッド部、Aはヘッド部Wの振り下ろし開始位置、Bは振り下ろしたヘッド部の衝突位置、Fは防犯用合わせガラス100を固定する枠体、Hはヘッド部Wの振上げ高さ、Rはヘッド部Wを支持するワイヤ材、をそれぞれ表している。この図2で示すようにこの試験では、枠体Fに固定した矩形状の合わせガラス100は、ガラス透光面を地平に対して垂直に保持する。そしてヘッド部Wは、振り下ろしによって円弧状の軌跡にて枠体Fに固定された矩形状の合わせガラス100のガラス透光面上に衝突する。
合わせガラス100を固定する枠体Fには、コルク材等の柔らかい木材ではなく、樫材のような広葉樹の硬い木材を使用する。枠体Fと合わせガラス100が直接接触すると、その部分に応力が集中して割れが発生する虞があるため、粉体Fと合わせガラス100が接触する部位には、厚みが3mmのブチルゴム製シートVを挟む。これによって、枠体Fにおける衝撃の局所集中を防止できる。使用する枠体Fの外形寸法は、内寸570×570mm、外寸800×730mmである。この衝撃試験に使用する合わせガラス100は、枠体Fの内寸よりも大きいガラス透光面を有するものであればよい。またワイヤRには、長さ193cmのステンレス製を使用している。ヘッド部Wは、鋼鉄製であり、その質量は6.1kgである。またヘッド部Wの形状は、円柱形状分銅の円柱の一方側底面に、半径3mmに先端を加工した高さ450mmの鋼製円錐体の底面を付き合わせて配設した構成となっている。この円錐体は、円柱形状分銅の一方の底面にネジ構造にて取り付けられている。ヘッド部は、図2に記載したようにその一端を天井面の異なる2箇所に固定した2本のワイヤRで、合わせガラス100の上方に保持されている。2本のワイヤRを使用するのは、ヘッド部がガラス表面に衝突する際に、衝突位置に対する横方向の位置ズレを防ぐためである。衝突試験では、ヘッド部Wを振上げ高さHが700mmあるいは1400mmとなるように初期位置Aまで振上げ後、ヘッド部の保持を解除して降下させる。半径3mmのヘッド部Wの先端が、ガラス透光面へとアイゾット衝撃試験装置のハンマーやショットバッグ試験のバッグ(加撃体)のように、上方より弧を描きながら合わせガラス100の透光面上の一点に衝突位置Bで衝突する。このような操作を繰返し行うことで、同一点への繰返し衝撃に対する合わせガラスの耐久性を評価できる。
この衝撃試験において、ヘッド部の振上げ高さHとは、ガラス透光面に衝突する際のヘッド部Wの水平位置と、ワイヤが緊張した状態でガラス表面から遠ざけるように振上げたヘッド部Wの水平位置に対する高低差を示している。この試験では、この高低差を700mm、あるいは1400mmとしている。また、この試験では、一回の衝突でヘッド部Wが被試験体のガラス表面でバウンドして再度衝突するのを防止するため、再衝突防止機構(図示省略)が設けられている。この機構によって、この試験では衝突回数を正確に計測することができるようになっている。
このような極めて過酷な衝撃試験の評価方法により評価を行うと、既存の合わせガラスでは、尽く板ガラス透光面をヘッド部Wが容易に貫通する。一方、本発明の防犯用合わせガラス100は、容易にヘッド部Wが貫通することはない。このため、ガラス透光面の同じ箇所をハンマー等の工具等を使用し、何度も繰返し打撃を加えて合わせガラスを破壊しようとしても、従来のように容易に板ガラスが破壊されてガラス透光面が貫通されてしまうことがない。本発明の合わせガラスは、このような破壊防止効果を有するため、防犯に対して高い性能を発揮できる。
本発明の合わせガラスは、上述に加えて、合わせガラスの透光面の一点に集中する衝撃力ではなく、ある程度の面積をもつ物体による面衝撃がガラス透光面上の同じ箇所に繰返し加わっても、ガラス透光面の破壊、あるいは貫通が生じ難い、という性能を有している。
ここで、合わせガラスの透光面の一点に集中する衝撃力ではなく、ある程度の面積をもつ物体による面衝撃がガラス透光面上の同じ箇所に繰返し加える評価方法について以下に説明する。この評価方法の例としては、剛球落下試験がある。この試験では、矩形状の板ガラス積層体を、その透光面を水平となるように枠体で固定する。そして、その透光面の重心位置に対して、質量2kgの鋼球を透光面から4.8mの高さから10回連続的に自由落下させる。そしてこの試験の評価では、落下した鋼球が合わせガラスを貫通するか否かを確認する。
面衝撃による衝撃力評価を行う装置とその手順について、さらに詳細に述べる。図3は試験方法の概念図を示している。図3では、100は合わせガラス、20は無機物製の板ガラス、30は接合層、Mは鋼球、Eは防犯用合わせガラス100を固定する枠体、Gは鋼球Mの高さ、Vはブチルゴム製シート(厚み3mm)をそれぞれ示している。この評価は、JIS R3205(2005)の「合わせガラス」に記載の落球試験に準拠して行う。ただし、この面衝撃試験では、鋼球Mとして2kg質量の中実構造の緻密球体を使用する。鋼球Mについては、合わせガラス100のガラス透光面の重心位置に、高さGから自然落下させる。この評価では、この操作を10回繰返し、鋼球Mがガラス透光面を貫通するか否かを調べる。ガラス透光面を貫通しない場合は、鋼球落下で生じるガラス透光面の窪みの深さから、面衝撃の度合いの影響を評価できる。窪みの深さは、校正された定規などの計測器で正確に測定できる。
防犯用合わせガラス100を固定する枠体Eの大きさは、内寸570×570mmである。板ガラス積層体を固定するには、2つの枠体Eを用いて板ガラス積層体を挟むように固定する。この衝撃試験に使用する合わせガラス100には、枠体Eの内寸よりも大きいガラス透光面が必要で、600×600mm以上の大きさが必要である。
このような面衝撃力の試験を、点衝撃試験に加えて行うと、衝撃体の形状差による合わせガラスの挙動の違いを的確に把握できるとともに、過酷な衝撃に対する耐久性を多面的に評価できる。
また本発明の合わせガラスは、上述に加え、各板ガラスの単層厚さが0.3mm以上、かつ各接合層の単層厚さが0.2mm以上ならば、ガラス透光面へ加わる曲げ応力に対する耐久性や安定した接合強度を得られる。
ここで、各板ガラスの単層厚さが0.3mm以上、各接合層の単層厚さが0.2mm以上であることについて以下で説明する。これは、合わせガラスを構成する複数の板ガラス層についてその全ての層の厚さが0.3mm以上であり、板ガラスに接合している複数の接合層についてその全ての層の厚さが0.2mm以上であることを示す。合わせガラスの層の厚さ計測については、校正された計測機器、すなわち定規などの物差し、マイクロゲージやノギス、レーザー計測装置、顕微鏡等を利用してmm単位で少数点以下2桁まで正確に計り取ったものであればよい。
本発明に係る板ガラス積層体を構成する各板ガラスの単層厚さについては、上述のように、1mm未満であれば値は任意で設定できる。しかし、透光面に対する曲げ応力に対して構造材として充分な耐久性を得るには、0.3mm以上とするのが好ましい。0.3mm以上であれば、各板ガラス層の厚さは同一でも異なってもよい。例えば、厚さ0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.75mmなどの板ガラスを複数組み合わせてもよく、厚さ0.5mmや0.7mmなどの同じ厚さの板ガラスのみを複数枚使用してもよい。積層する板ガラスの材質については、同じでも異なっても支障はない。
各接合層の単層厚さについても、板ガラスと同様に1mm未満であれば値は任意で設定できる。しかし、隣接した板ガラス層を充分強固に接合する観点では、0.2mm以上とするのが好ましい。0.2mm以上であれば、各接合層の厚さは同一でも異なってもよい。例えば、厚さ0.8mm、0.76mm、0.6mm、0.55mm、0.5mm、0.38mm、0.35mm、0.25mmなどの接合層を複数組み合わせてもよく、厚さ0.25mm、0.38mm、0.76mmなどの同じ厚さの接合層のみを複数使用してもよい。
本発明の合わせガラスは、上述に加え、接合層が熱可塑性樹脂よりなるものであれば、防犯用合わせガラスを高い製造効率で製造し易く、安定した品位の板ガラス積層体を得られる。
接合層が熱可塑性樹脂よりなるとは、接合層を構成する主要な樹脂が、加熱時に軟化して冷却時に硬化するような熱可塑性樹脂を含むことを示す。
熱可塑性樹脂については、板ガラスと積層する際に欠陥等の生成し難い樹脂であって、ハンドリング性に優れていれば採用できる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテン(TPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリル−スチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォン(PASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用できる。この中でも、無機物製の板ガラスとの組合せで好ましいものとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)が挙げられる。
本発明の合わせガラスは、上述の樹脂に加え、可視光線を透過する添加物であれば、材料の機械的強度を調整する等の目的で、樹脂の全質量を100%として30質量%まで混入できる。混入可能な添加物としては、光学恒数である屈折率や分散等の値を使用する樹脂と適正に調整したガラスや結晶化ガラスなどがある。使用する添加物の形態については、粉末状、粒状、繊維状、薄片状などから単独あるいは複合的に適宜選択できる。
また、本発明の合わせガラスは、上述に加え、板ガラス積層体の厚さが4mmから10mmの範囲内にあれば、軽量で搬送や据付等の労力が軽減でき、しかも高い耐貫通性を示すため、様々な用途で使用できる。
ここで、板ガラス積層体の厚さが4mmから10mmの範囲内であるとは、合わせガラスを構成する板ガラスと接合層とが交互に積層された板ガラス積層体の部分について、最外層を構成する一方の無機板ガラスの最外表面から他方の無機板ガラスの最外表面までの距離が4mm以上かつ10mm以下、であることを示している。
板ガラス積層体の厚さが4mm未満であると、高い耐貫通性を得難いため、好ましくない。逆に、板ガラス積層体の厚さが10mmを超えると、一般的な窓枠への組込みが困難となる。重量が過大となって、適用できる場所が限定され、搬送性も低下する。さらに、製造費も高価となり、一般的な建築物への適用が困難となる。厚さが10mmを超えると、このような問題が生じるため、好ましくない。以上のような観点から、一般的な使用を許容し、高い耐貫通性を実現するには、板ガラス積層体の厚み寸法は、5mmから9mmの範囲とするのが好ましい。
本発明の合わせガラスが一般家庭の窓サッシへの適用される場合には、以下のような制約を受ける。一般家庭の窓材用の窓枠では、溝幅は6〜7mmであり、ここに施工される合わせガラスの厚さは、その幅に制限される。このため、この用途に適用する場合には、合わせガラスの全体の厚さは4.0mmから6.5mmの範囲内とするのが好ましい。だだし、合わせガラスのこの厚さ範囲では、高い耐衝撃性や耐貫通性がやや低くなる虞がある。よって、このような機械的な性能の低下を補正するため、板ガラスによる層の層数としては3層以上、板ガラスによる層の合計厚さとしては2.5mm以上、好ましくは3.5mm以上とすることが好ましい。そして、板ガラスによる層の合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合について、その好適な範囲は0.2以上かつ2.0以下であり、さらに好ましい範囲は0.2以上かつ1.0以下である。本発明品では、板ガラス層や樹脂層を単に厚くすることのみ、もしくは厚さの異なる板ガラス層や樹脂層を単に積層することのみでは得られない強度を、厚さの薄い層を所定条件で多層接着することで得ている。すなわち、本発明の合わせガラスの強度は、各層の厚さは薄くとも、それを多数集めて多数の接合面を形成することで強度は増加する、という技術思想に基づいて発現させている。つまり、本発明の合わせガラスでは、ガラス層と樹脂層の接着強度も、本発明の合わせガラスの耐衝撃性や耐貫通性の向上効果に利用している。ここで接合面とは、積層された状態での板ガラスと樹脂との接着された界面を意味している。この観点から、本発明の合わせガラスを、一般家庭の居所となる建造物に用いられる一般窓用の窓枠に適用する場合には、接合面は4面以上とするのが好ましく、構成する材料の総数としては5層以上とするのが好ましい。
一方、一般家庭用の建造物の窓枠であっても、合わせガラス用の一般的な窓枠については、溝枠として8〜12mm程度の溝幅を有する場合もある。よって、このような溝幅に対して、本発明の合わせガラスをこの窓サッシ用途に適用する場合には、防犯性として耐衝撃性や耐貫通性を優先して、合わせガラスの全体厚さを7mmから10mmにするのが好ましい。この場合、ガラス層の合計厚さに関しては4mm以上とするのが好ましい。板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合については、好適な範囲が0.2以上で2.0以下、さらに好ましい範囲は0.2以上でかつ1.0以下とすることである。接合面については6面以上(構成層で7層以上)とするのが好ましく、さらに好ましい範囲としては接合面で8面以上(構成層で9層以上)とすることである。
本発明の合わせガラスは、上述に加え、他の板ガラス透光面を防御する構造を併用できる。例えば、板ガラス表面に強度を補強するための被覆膜を施してもよく、接合層に樹脂製、金属製、ガラス製あるいはカーボン製の網材を挟んだ構造とすることで強度を増加させた構造にできる。
本発明の合わせガラスは、上述に加え、積層体の重量が、透光面の単位面積当たりの重量として20kg/m2以下であれば、各種の建造物に大きな負荷を掛けずに施工できる。
また、本発明の合わせガラスの製造方法は、ダウンドロー成形法によりガラス融液から板ガラスを成形する成形工程と、得られた板ガラスと接合層とを交互に積層して貼接させる積層工程とを有し、本発明の合わせガラスを製造するものである。
ここで、ダウンドロー成形法によりガラス融液から板ガラスを成形する成形工程と、得られた板ガラスと接合層とを交互に積層して貼接させる積層工程とを有し、本発明の合わせガラスを製造するとは、次のようなものである。複数枚の無機物製板ガラスが接合層を介して積層された板ガラス積層体よりなる合わせガラスであって、前記板ガラス積層体は、1mm未満の単層厚さの板ガラスと1mm未満の単層厚さの接合層とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2〜5.0の範囲内にある合わせガラスを構成する場合に、その板ガラスを高温の溶融ガラスからダウンドロー法に従って成形し、得られた板ガラスを接合層を介して貼接させて製造するものであることを意味している。
板ガラスの成形がダウンドロー法によるものであれば、板厚が1mm以下と薄くても、均一な厚さを有する板ガラスを効率よく製造することができ、その結果、合わせガラスを構成する際に安定した品位を実現することが容易となる。
ダウンドロー法については、溶融ガラスの成形において、鉛直方向に板ガラス透光面が平行となるように引き下ろして連続的に成形を行うものであれば、どのようなものであっても構わない。例えば、ロールアウト成形やスロット法(スリット法)、あるいはオーバーフロー法、さらにフロート法などの成形法と組み合わせて成形を行ってよい。
板ガラスを接合層を介して貼接する方法については、各種の既知方法を適宜使用できる。例えば、フィルム状の樹脂剤を使用して加熱圧着してもよく、予め所定間隙を設けた板ガラスの間隙に液状樹脂を注入してもよい。
また、本発明の合わせガラスの製造方法は、上述に加えダウンドロー成形方法が、オーバーフローダウンドロー成形方法であれば、板厚寸法の調整が精密に行えるため、高い寸法精度を有する防犯用に好適な板ガラス積層体を製造できる。
ここで、ダウンドロー成形方法が、オーバーフローダウンドロー成形方法であるとは、上部が開口した樋形状の溶融ガラス供給溝をオーバーフロー成形装置頂部に有し、このガラス供給溝の両側壁頂部をオーバーフローの堰とし、かつ両側壁の外面部の断面が略楔形となるように両側壁の外面同士を下方に向けて相互に接近させて下端で終結させた成形体を備え、溶融ガラスをガラス供給溝の一端から連続的に供給して両側壁頂部稜線からオーバーフローさせ、両側壁外面に沿って流下させて略楔形下端で合流させて板ガラスとすることのできる板ガラスの成形装置を使用し、板ガラスを成形する方法であることを意味している。
このような製造方法で製造された板ガラスであれば、ガラス溶融時の自由表面を維持してガラス表面が形成されるため、ガラス透光面に強度に影響するような傷等が製造時に形成され難い。そのため、高い形状品位の板ガラスを成形し易く、板ガラスの強度低下となる原因を低減できるため、好ましい。
(1)以上のように、本発明の合わせガラスは、複数枚の無機物製板ガラスが接合層を介して積層された板ガラス積層体よりなる合わせガラスであって、前記板ガラス積層体は、1mm未満の単層厚さの板ガラスと1mm未満の単層厚さの接合層とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2〜5.0の範囲内にある。このため、板ガラス積層体のガラス透光面の一点に強い衝撃力が集中的に加えられる場合でも、ガラス透光面が破壊貫通されずに高い耐貫通性を示す。建造物等の構造材料として採用する場合、特に防犯用途に好適である。
(2)本発明の合わせガラスは、各板ガラスの単層厚さが0.3mm以上、かつ各接合層の単層厚さが0.2mm以上であるならば、透光面の耐貫通性ばかりでなく、曲げや捻り等の機械的な応力に対しても充分に高い構造的強度を有する。
(3)本発明の合わせガラスは、接合層が熱可塑性樹脂よりなるものであれば、各種の樹脂を合わせガラスの防犯、安全等の用途や使用される板ガラスの種別に応じて使い分けが可能となり、最適な構成を採用できる。
(4)本発明の合わせガラスは、板ガラス積層体の厚さが4mmから10mmの範囲内であれば、板ガラス積層体の重量が過大とならず、施工箇所に大きな負荷を掛けることがなく、多くの建造物に使用することが可能となる。
(5)本発明の合わせガラスの製造方法は、ダウンドロー成形法によりガラス融液から板ガラスを成形する成形工程と、得られた板ガラスと接合層とを交互に積層して貼接させる積層工程とを有し、本発明の合わせガラスを製造するものであるため、高い寸法精度を有し、しかも均質度の高い板ガラスを使用することで、安定した品位の構造物を効率よく製造できる。
(6)また、本発明の合わせガラスの製造方法は、ダウンドロー成形方法が、オーバーフローダウンドロー成形方法であれば、うねり等の表面欠陥の少ない薄板ガラスを積層できる。そのため、精密さを要求され、しかも高い強度性能が必要となる用途において、信頼性の高い構造を形成し易い。
以下、本発明の防犯用などとして好適な合わせガラスと防犯用合わせガラスの製造方法について、その詳細を具体的に説明する。
図1に本発明の合わせガラスの部分断面図を示す。図1で10は合わせガラス、20は無機物製の板ガラス、30は接合層を示す。
この防犯用合わせガラス10では、板ガラス20の単層厚さは0.7mmである。板ガラス20の組成は、酸化物換算の質量百分率表示でSiO2 45〜75%、B23 2〜25%、RO 7〜30%(RO=MgO+CaO+ZnO+SrO+BaO)である。合わせガラスの積層構造としては、この無機板ガラス20を6層積層し、その5つの間隙にいずれもポリビニルブチラール(PVB)30を介在させている。ポリビニルブチラール(PVB)30によって構成される接合層30の厚み寸法は、いずれも0.76mmである。このため、この合わせガラス10は、その厚み寸法が8mmとなっている。板ガラス20の合計厚さは4.2mmで、接合層30の合計厚さは3.8mmである。板ガラス20の合計厚さに対する接合層30の合計厚さの割合は、0.91となり、0.4から5の範囲内の値となっている。
この防犯用の合わせガラス10は、公共建造物のはめ込み型採光用途の窓材として使用されるもので、その透光面は1000mm×2000mmの大きさを有している。公共建造物の金属製の枠体への嵌め込みは、枠体に施した溝へ積層体の端面部をゴム製シーリング剤により充填固定することで行う。また、昨今の住宅居住内への不法侵入等の犯罪を防止するため、住宅用の窓材としても使用できる。
このようにして構成された窓材は、高い耐貫通性を有しているため、公共建造物のセキュリティを向上させるという目的を満足する構造となっている。
次いで、本発明の合わせガラスについて、他の構成例を示す。これによって、本発明の合わせガラスの製造方法を明らかにするとともに、製造された防犯用合わせガラスの耐貫通性について実施した評価の結果を示す。また、従来の積層板ガラスに対する本発明の合わせガラスの優位性について、具体的に説明する。
まず、予め各種のガラス原料を調合し、所定の無アルカリガラス組成となるように混合した原料を準備する。この混合原料は、ガラス溶融炉にて泡や異物を除いて均質になるように溶解する。均質な状態となったガラス融液を、上部が開口した樋形状のガラス融液供給溝を有するオーバーフローダウンドロー成形装置内へと流入させる。そして、成形体の両側壁頂部稜線からオーバーフローさせ、オーバーフローダウンドロー成形装置の加熱条件や板引き速度等を適正に調整し、厚さ0.7mmの薄板ガラスを成形した。この薄板ガラスについて、その組成を化学分析等で確認すると、日本電気硝子株式会社製のOA−10の組成となっており、本発明に適用できる無アルカリガラス組成であると確認できた。
次いで、得られたこの無アルカリガラス組成の板ガラスを、評価に必要となる寸法に切断した。エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)あるいはポリビニルブチラール(PVB)を本発明の構成を満足するような厚さで使用し、必要枚数の板ガラス間に介在させる。板ガラスとの接合のため、フィルム状の樹脂材を挟んだ積層構造体を加熱圧着法によって成形する。ここでは、加熱圧着法を採用しているが、必要に応じて他の方法も適用できる。
こうして得られた合わせガラスを一点集中型の繰返し衝撃による評価を行うため、積層体の周囲の四辺を、樫の木製の枠体Fに固定する。枠体Fは、地平に対して垂直となるように保持する。そして、前記の図2で説明したように、2本のワイヤRで支持されたヘッド部Wを700mmあるいは1400mmまでの振り上げ高さに保持した後、ヘッド部の自重によって振り子のような弧を描かせて、合わせガラスのガラス透光面へと衝撃を加える。この操作を繰り返し行い、その都度、ガラス表面をヘッド部が貫通したか否かを目視にて観察する。以上のような手順により、本発明の合わせガラスを評価した。表1に、その結果を本発明の実施例として示す。表1には、従来から使用の合わせガラスの評価結果も、比較例として合わせて示した。
実施例の試料No.1は、前述のOA−10組成の無アルカリガラスを単層厚さ0.7mmにて6層積層したものである。接合層としては、単層厚さ0.76mmのPVB層を5層有している。すなわち試料No.1では、板ガラスと樹脂層の界面に相当する接合面の数は、10面になっている。そして、板ガラスの合計厚さは4.2mm、PVB層の合計厚さは3.8mmである。板ガラスの合計厚さに対する樹脂層の合計厚さの割合は、0.91となっている。透光面の単位面積当たりの重量は15kg/m2である。この試料No.1について、一点集中型の繰返し衝撃の評価では、振り上げ高さ700mmからの8回の衝撃では、ヘッド部が試料を貫通することはなかった。衝撃直後のヘッド部はガラス表面で跳ね返り、この板ガラス積層体が、極めて強固な構造体となっていることを印象付ける結果となった。そこで、この試験の再現性を確認するため、別ロットの板ガラスを積層化して再度同様の評価を実施したところ、今度は耐久性が低下し、4回の衝撃でヘッド部が貫通する結果となった。評価の1回目と2回目で耐久回数に差が見られた理由としては、試験体作成時の誤差、評価設備への試験体設置時の誤差、試験体表面の傷の影響などが考えられる。
実施例の試料No.2は、No.1と同様に板ガラスとしてOA−10組成の無アルカリガラスを用い、単層厚さ0.7mmにて8層積層したものである。接合層としては、単層厚さ0.25mmのEVA層を7層有している。すなわち試料No.2では、板ガラスと樹脂層の界面に相当する接合面の数は、14面になっている。そして、板ガラスの合計厚さは5.6mm、EVA層の合計厚さは1.75mmである。板ガラスの総厚に対する樹脂層の総厚寸法の割合は0.31で、本発明の合わせガラスとしての特徴を有している。透光面の単位面積当たりの重量は16kg/m2である。この試料No.2については、振り上げ高さ700mmでの1回目の評価では、板ガラス積層体は9回目の衝撃までは貫通されずに持ちこたえたが、10回目で貫通される結果となった。このため、別ロットを使用して再度同様の手順で評価したところ、何と25回に亘る衝撃にも耐えることできた。そこで、さらに過酷な条件での評価を行うため、ヘッド部の振り上げ高さを700mmの2倍の高さ、すなわち1400mmに設定して、一層強い衝撃が加わるような評価を行った。その結果、振り上げ高さ1400mmにおいても、15回の衝突まではヘッド部がガラス透光面を貫通せず、極めて優れた耐貫通性を有していることが判明した。16回目の衝撃では、小さい貫通孔が開いたものの、その周囲は依然として強固な構造を維持していた。この16回の衝撃試験後の試料No.2について、そのガラス透光面の状態を図4に示す。図4から判るように、ガラス透光面には細かいマイクロクラックが形成されているが、ガラスはその状態で維持されている。ガラス透光面中央の貫通孔は、写真では判別しがたい程小さいものである。
一方、比較例として同じ衝撃試験行った試料No.101は、通常の建造物などで使用される3.0mm厚のソーダ石灰ガラスを2枚積層し、その間に1.52mm厚のPVB層を介在させて接合した一般的な合わせガラスである。この試料No.101について、前述の実施例と同様の評価を行った。1回目の評価では、振り上げ高さ700mmにおいて3回目の衝撃までは持ちこたえたが、4回目の衝撃で貫通した。さらに別ロットで再評価したところ、1回目で貫通した。そして、実施例と同様に振り上げ高さ1400mmの過酷試験を実施したところ、1回目の衝撃で貫通孔が形成された。この振り上げ高さ1400mmにおける過酷試験について、1回衝撃後のガラス透光面の状態を図5に示す。図5から明らかなように、ガラス透光面には大きなクラックが放射線状に形成されている。
同様に比較例として試験を行った試料No.102は、試料No.101と同様、3.0mm厚のソーダ石灰ガラスを2枚積層したものである。ガラス板の間には、2.3mm厚のPVB層を介在させて接合させている。板ガラスの合計厚さに対する樹脂層の合計厚さは、0.38である。この試料No.102について、実施例と同様、一点集中の繰返し衝撃にて評価した。振り上げ高さ700mm条件での1回目の評価において、1回目の衝撃で貫通を確認した。2回目の評価では、2回の衝撃で貫通を確認した。また、過酷試験として振り上げ高さ1400mm条件で評価したところ、1回目の衝撃で大きな貫通孔が形成された。
試料No.103は、3.0mm厚のソーダ石灰ガラスを2枚重ねる間に、1.2mm厚のポリカーボネート層と0.5mm厚のEVA層を挟んだものである。この材料は、防犯積層ガラスとして市販されているものである。この試料No.103については、実施例と同様、一点集中の繰返し衝撃にて評価を行った。振り上げ高さ700mmの条件での1回目の評価において、2回目の衝撃で貫通を確認した。2回目の評価では、5回の衝撃で貫通を確認した。また、過酷試験として振り上げ高さ1400mm条件で評価すると、他の比較例と同様、1回目で貫通孔が形成された。
以上の評価によって、本発明の合わせガラスは、一点集中の繰返し衝撃が加えられる場合であっても、高い耐貫通性を有することが判明した。
次いで、面衝撃を加える評価として前述した図3の試験方法によって、本発明の合わせガラスと比較例を評価した。
評価に使用する本発明の合わせガラスを構成する板ガラスは、一点集中の繰返し衝撃の評価と同様、オーバーフローダウンドロー成形装置を使用してダウンドロー成形を行って得たものである。いずれもOA−10組成の無アルカリガラスであり、0.7mmの厚み寸法を有している。この板ガラスを前述と同様の手順で各種の樹脂と積層し、本発明の合わせガラスを構成した。
面衝撃を繰返し加える評価では、まず、板ガラス積層体のガラス透光面の四辺を、金属製枠体で挟みこむように保持した。板ガラス積層体と金属製枠体が接触する面には、厚さ3mmのブチルゴムシートを挟み、局所的な応力で破壊されたりしないように固定した。板ガラス積層体の透光面は、水平になるように保持した。板ガラス積層体の透光面の重心位置に対して、質量2kgの鋼球を透光面から4.8mの高さから自由落下させた。鋼球の落下は10回連続的に行い、その後、積層体のガラス透光面の変化を観察した。表2に、評価結果をまとめて示す。面衝撃の繰返し付与によって発生する透光面の凹みについては、落球1回毎に定規で計測した。図3に、この凹みの計測結果を示す。図では、落球繰り返し回数を横軸とし、凹みの深さを縦軸とした。
実施例の試料No.1は、10回の面衝撃を加えたが、微細なクラックは形成されるものの、貫通孔は形成されなかった。衝撃を受けた面が下方へ凹むこともなく、高い耐久性を示すものであった。
実施例の試料No.2は、試料No.1と同様、貫通孔や凹みは形成されず、高い衝撃耐久性を示す結果となった。
比較例の試料No.101は、4回の面衝撃を加えた時点で30mm以上の凹みが認められた。6回目の面衝撃では、貫通孔が形成された。
比較例の試料No.102は、10回の面衝撃では貫通孔は形成されなかった。しかし、面衝撃を受けた面で、30mmの凹みが確認された。
比較例の試料No.102は、10回の面衝撃では貫通孔は形成されなかった。しかし、面衝撃を受けた面で、10mm以上の凹みが確認された。
以上より、面衝撃が加えられる場合でも、本発明の合わせガラスは、高い耐久性を有していることが判明した。
このように、本発明の合わせガラスは、多様な衝撃に対して高い耐久性を有しており、建造物等の住宅用窓材や車載用途などに搭載される防犯用の採光窓材として優れた耐貫通性を有する構造材料であることが明瞭になった。
本発明の合わせガラスの部分断面図。 一点集中の繰返し衝撃の評価方法を示す説明図。 面衝撃試験の評価方法を示す説明図。 一点集中の繰返し衝撃試験を行った実施例の試料No.2についての試料画像で、振り上げ高さ140cmで16回目の衝撃を加えた直後のガラス透光面の状態。 一点集中の繰返し衝撃試験を行った比較例の試料No.101についての試料画像で、振り上げ高さ140cmで1回目の衝撃を加えた直後のガラス透光面の状態。 面衝撃試験でのガラス透光面の凹み深さと衝撃回数の関係を示すグラフ。
符号の説明
10、100 合わせガラス
20 無機物製の板ガラス
30 接合層
A 一点集中の繰返し衝撃の評価方法におけるヘッド部の初期位置
B 一点集中の繰返し衝撃の評価方法におけるヘッド部の衝突位置
M 鋼球
F、E 合わせガラスを固定する枠体
G 鋼球の高さ
H ヘッド部の振り上げ高さ
R ヘッド部を支持するワイヤ材
V ブチルゴムシート
W ヘッド部

Claims (6)

  1. 複数枚の無機物製板ガラスが接合層を介して積層された板ガラス積層体よりなる合わせガラスであって、
    前記板ガラス積層体は、1mm未満の単層厚さの板ガラスと1mm未満の単層厚さの接合層とが交互に5層以上積層されたものであり、かつ板ガラスの合計厚さに対する接合層の合計厚さの割合が0.2から5.0の範囲内にあることを特徴とする合わせガラス。
  2. 各板ガラスの単層厚さが0.3mm以上、かつ各接合層の単層厚さが0.2mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 接合層が熱可塑性樹脂よりなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合わせガラス。
  4. 板ガラス積層体の厚さが4mmから10mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の合わせガラス。
  5. ダウンドロー成形方法によりガラス融液から板ガラスを成形する成形工程と、得られた板ガラスと接合層とを交互に積層して貼接させる積層工程とを有し、請求項1から請求項4に記載の合わせガラスを製造することを特徴とする合わせガラスの製造方法。
  6. ダウンドロー成形方法が、オーバーフローダウンドロー成形方法であることを特徴とする請求項5に記載の合わせガラスの製造方法。
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