JP2008114583A - 多層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3枚以上の透光性を有する基材フィルム1が、複数の樹脂スペーサ2を挟んで各々対向した構造を有する多層構造体であって、前記樹脂スペーサ2は、前記基材フィルム1を挟んで、前記基材フィルム1の積層方向に重ねて配置されている多層構造体。スペーサ用樹脂組成物を厚さ2mmのシート状に成形したシートのJIS K 7105に準拠した方法により測定した全光線透過率の下限は70%であり、スペーサ用樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形したシートのJIS K 7127に準拠した方法により測定した引張強度の下限は0.5MPaである。
【選択図】図1
Description
建築物の住環境等を考える場合に、採光は極めて重要である。現在の建築物においては、採光部にはガラス窓を設置するのが一般的であるが、壁材等に比べて高い断熱効果を発揮させるのは難しかった。「省エネルギー技術戦略報告書」(平成14年6月12日、経済産業省)によれば、全消費エネルギーの45%が窓等の採光部から損失しているといわれている。
以下に本発明を詳述する。
本発明の多層構造体において、上記樹脂スペーサは、上記基材フィルムを挟んで、上記基材フィルムの積層方向に重ねて配置されている。本発明の多層構造体は、このような構造を有することから、樹脂スペーサによる透明性の減少を最小限に抑え、高い強度、耐衝撃性及び透明性を有し、高い防犯性と安全性とを発揮することができる。
上記樹脂フィルムとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、アクリル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、トリ酢酸セルロース等からなるものが挙げられる。
なかでも、自消性であって建築材として適合性がよいことから、ポリカーボネート、塩化ビニルが好適である。
図2に示した多層構造体は、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムと、2枚のポリカーボネートフィルムとを、各々の基材フィルム間に空気層を挟んでポリカーボネートフィルムが最外層となるように積層した構造を有する。ポリカーボネートフィルムは、強度と耐候性とに優れることから、これ最外層とすることにより防犯性や耐候性を発揮させることができる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度に優れる。
上記アクリル樹脂組成物としては特に限定されないが、例えば、強度確保の観点から、メタクリル酸メチルを主単量体として、メタクリル酸又はアクリル酸のアルキルエステルと共重合して得られる共重合体からなるものが好ましい。
上記アクリル酸のアルキルエステルのアルキル基が有する炭素数としては、要求される柔軟性や樹脂スペーサ形成時の流動性等の観点から適宜決定されるが、好ましい下限が2、好ましい上限が10である。10を超えると、得られる共重合体の透明性の確保が困難となることがある。
これらは単独で用いてもよいが、物性や樹脂スペーサ形成時の流動性を確保する目的でこれらの混合物を用いてもよい。
熱貫通率は空気層の厚さに関係するが、空気層の厚さが0のときには基材フィルム自身の熱貫通率に等しく、空気層が充分に厚くなると空気自身の熱貫通率(理論値)に近くなる。ところが、本発明者らが詳細に検討したところ、熱貫通率は、一定の空気層厚のときに極小値を示すことが判った。即ち、空気層の厚さの下限を100μm、上限を3mmとした場合に、特に高い断熱効果が得られることが判った。より好ましい下限は200μm、より好ましい上限は2mmである。
また、このことは、厚い空気層をただ一つだけ有するものよりも、一定の厚さの空気層を複数有するもののほうが断熱効果が高いことを意味している。
0.001MPa未満であると、多層構造体をガラスに対して貼付又は設置して使用した場合に、外部から衝撃が与えられると、多層構造体が大きく変形してしまうことがある。特に、室内側において人体が衝突した場合に、人体の安全性が充分に確保できないことがある。これは、貫通孔が生じなくても、ガラスに対して与えられた衝撃が衝撃を与えた物や人体に直接伝わるためと考えられる。100MPa以上であると、非常に剛性が高くなるため、多層構造体をガラスに対して貼付又は設置して使用した場合に、外部から衝撃が与えられても、衝撃が緩和されないため、安全性を確保することができないことがある。
上記スペーサ同士の間隔が上記範囲内である場合、圧子の下に1本以上のスペーサが存在するように、サンプル(多層構造体)をカットし、圧縮試験を行えばよい。
上記範囲内とすることによって、耐衝撃性が向上し、防犯性及び安全性を高くすることが可能となる。
0.01未満であると、多層構造体の強度が不足し、例えば、多層構造体をガラスに対して貼付又は設置して使用した場合に、表面清掃等の局部的な力でも変形が生じることから、通常の使用に耐えないことがある。100MPa以上であると、非常に剛性が高くなるため、多層構造体をガラスに対して貼付又は設置して使用した場合に、外部から衝撃が与えられても、衝撃が緩和されないため、安全性を確保することができないことがある。
上記スペーサ同士の間隔が上記範囲内である場合、圧子の下に1本以上のスペーサが存在するように、サンプル(多層構造体)をカットし、圧縮試験を行えばよい。
上記スペーサ同士の間隔が上記範囲内である場合、圧子の下に1本以上のスペーサが存在するように、サンプル(多層構造体)をカットし、圧縮試験を行えばよい。
上記スペーサ同士の間隔が上記範囲内である場合、圧子の下に1本以上のスペーサが存在するように、サンプル(多層構造体)をカットし、圧縮試験を行えばよい。
図3に記載した製造装置4は、ロール状に巻き取った基材フィルムのロールから基材フィルムを送り出す基材フィルム送り出し部5、ロール状に巻き取ったロールからスペーサを送り出すスペーサ送り出し部6、基材フィルムとスペーサとを積層する貼り合せ部7とからなる。また、図3に記載した製造装置は、更に、スペーサ送り出し部6から送り出したスペーサの両面にホットメルト接着剤を塗布する接着剤加工部8を有する。
なお、基材フィルムとスペーサとは、積層する前に、50〜130℃程度の予熱を行うことが好ましい。予熱により基材フィルムやスペーサの歪をとることができ、積層後に収縮等が発生するのを防止することができる。
例えば、上記スペーサ同士の間隔が上記範囲内であって、かつ、サンプル(多層構造体)を大きさ30×30cmとした場合、鋼球落下試験において、鋼球は、サンプル(多層構造体)上のいずれの位置に落下させてもよい。
本発明の多層構造体は、また、例えばビニールハウス等の農業用フィルムとしても好適である。
すなわち、上記接着剤等の接着性を利用する方法としては、例えば、本発明の多層構造体と、ガラスとは、接着性を有するスペーサを用いて貼付してもよいし、別途両面テープや、水貼り用の水性糊材を塗工して貼付してもよい。
(1)アクリル樹脂組成物の作製
メタクリル酸メチルとアクリル酸nブチルを共重合することによりアクリル樹脂組成物を作製した。
得られたアクリル樹脂組成物をスペーサ用樹脂組成物として用いて外径1mmの透明ストランドを作製し、大きさ30×30cmで、10×10cmの採光部を9つ有する格子状体を形成して、これを樹脂スペーサとした。
この樹脂スペーサを各々挟持するようにして11枚の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを(PETフィルム)アクリル系粘接着剤を用いて貼り合わせて多層構造体を作製し、これをサンプルとした。得られた多層構造体の総厚さは約10mmであった。
図4は得られた多層構造体の正面図、図5は図4のA−A断面図である。
図5において、91はアクリル樹脂組成物からなる透明ストランド、92はポリエチレンテレフタレートフィルム、93はアクリル系粘着剤、94は空気層である。
スペーサ用樹脂組成物としてアクリル樹脂組成物を使用した代わりに、SBS系ホットメルト接着剤(ME110E、日本エヌエスシー社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により、多層構造体を作製し、これをサンプルとした。
厚さ38μmの市販のPETフィルム(東洋紡社製)1枚をサンプルとした。
実施例1、2で得られたスペーサ用樹脂組成物、及び、実施例1、2、比較例1で得られたサンプル(多層構造体又はPETフィルム)について、以下の方法により評価を行った。
結果は表1及び表2に示した。
使用したスペーサ用樹脂組成物を厚さ2mmのシート状に成形した成形体について、ヘイズメーター(TC−HIIIDPK、東京電色社製)を用いてJIS K 7105に準拠した方法により全光線透過率を測定した。
得られた全光線透過率について、以下の基準で評価を行った。
○:全光線透過率が70%以上
×:全光線透過率が70%未満
使用したスペーサ用樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形した成形体について、テンシロン(UCT−500、ORIENTEC社製)を用いてJIS K 7127に準拠した方法により引張強度を測定した。
得られた引張強度について、以下の基準で評価を行った。
○:引張強度が0.5MPa以上
×:引張強度が0.5MPa未満
使用したスペーサ用樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形した成形体について、テンシロン(UCT−500、ORIENTEC社製)を用いてJIS K 7127に準拠した方法により引張弾性率を測定した。
得られた引張弾性率について、以下の基準で評価を行った。
○:引張弾性率が0.05MPa以上
×:引張弾性率が0.05MPa未満
使用したスペーサ用樹脂組成物を用いて、厚さ1μm、大きさ1cm角のシートを成形した。成形したシートを、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、表2に示す温度、圧力の条件で、それぞれ3秒間熱圧着し、圧着体を得た。得られた圧着体について、加温時粘着力測定機(FCL009型、フジコビアン社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムから、樹脂スペーサを、0.49mm/秒の速度で引き剥がしたときの剥離強度を測定した。
得られた剥離強度について、以下の基準で評価を行った。
○:剥離強度が1N/cm2以上
×:剥離強度が1N/cm2未満
(5−1)直径100mmの圧子を使用した場合
得られたサンプルについて、JIS K 7220に準拠して、直径100mmの圧子を用いて、速度1mm/minで圧縮試験を実施し、圧縮弾性率(MPa)及び降伏点荷重(N)を測定した。なお、サンプルとして多層構造体を用いた場合には、基材フィルム面に対し垂直方向から、圧子の中心が樹脂スペーサ上に位置するように設置し、圧縮試験を実施した。
<圧縮弾性率(MPa)>
○:圧縮弾性率が0.001以上、100MPa未満
×:圧縮弾性率がこれ以外の範囲
<降伏点荷重(N)>
○:降伏点荷重が20N以上
×:降伏点荷重が20N未満
直径100mmの圧子を用いた代わりに、直径30mmの圧子を用いた以外は、(5−1)と同様の方法により、圧縮弾性率(MPa)及び降伏点荷重(N)を測定した。
<圧縮弾性率(MPa)>
○:圧縮弾性率が0.01以上、100MPa未満
×:圧縮弾性率がこれ以外の範囲
<降伏点荷重(N)>
○:降伏点荷重が10N以上
×:降伏点荷重が10N未満
得られた大きさ30cm×30cmのサンプル(多層構造体又はPETフィルム)と、厚さ5mmのガラス板とを使用し、以下のように、各構成1、2及び3を有する鋼球落下試験用サンプルを作製した。
各構成1、2及び3を有する鋼球落下試験用サンプルについて、ガラス板側を上にして設置し、ガラス板側と鋼球とを衝突させた場合、又は、多層構造体側又はPETフィルム側を上にして設置し、多層構造体側又はPETフィルム側と鋼球とを衝突させた場合における、鋼球落下後の貫通の有無、及び、多層構造体又はPETフィルムの変形の有無を目視で判断し、以下の基準で評価を行った。
<貫通の有無>
○:貫通がなかった。
×:貫通があった。
<変形の有無>
○:変形がなかった。
×:変形があった。
11’ ポリカーボネートフィルム
12’ ポリエチレンテレフタレートフィルム
13’ ポリエチレンテレフタレートフィルム
14’ ポリカーボネートフィルム
2 樹脂スペーサ
3 空気層
4 製造装置
5 基材フィルム送り出し部
6 スペーサ送り出し部
7 貼り合せ部
8 接着剤加工部
91 アクリル樹脂組成物からなる透明ストランド
92 ポリエチレンテレフタレートフィルム
93 アクリル系粘着剤
94 空気層
Claims (7)
- 3枚以上の透光性を有する基材フィルムが、スペーサ用樹脂組成物からなる複数の樹脂スペーサを挟んで各々対向した構造を有する多層構造体であって、
前記樹脂スペーサは、前記基材フィルムを挟んで、前記基材フィルムの積層方向に重ねて配置されていることを特徴とする多層構造体。 - スペーサ用樹脂組成物を厚さ2mmのシート状に成形したシートのJIS K 7105に準拠した方法により測定した全光線透過率の下限が70%であることを特徴とする請求項1記載の多層構造体。
- スペーサ用樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形したシートのJIS K 7127に準拠した方法により測定した引張強度の下限が0.5MPaであることを特徴とする請求項1又は2記載の多層構造体。
- スペーサ用樹脂組成物を厚さ1mmのシート状に成形したシートのJIS K 7127に準拠した方法により測定した引張弾性率の下限が0.05MPaであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の多層構造体。
- 樹脂スペーサと基材フィルムとの剥離強度は、JIS L 1096に準拠した方法により測定した場合、下限が1N/cmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の多層構造体。
- 基材フィルム面に対し垂直方向から、直径100mmの圧子の中心を樹脂スペーサ上に位置するように設置し、圧縮速度1mm/minの条件で、JIS K 7220に準拠した方法により圧縮試験を行い測定した圧縮弾性率が0.001〜100MPa、降伏点強度が20N以上であり、かつ、
基材フィルム面に対し垂直方向から、直径30mmの圧子の中心を樹脂スペーサ上に位置するように設置し、圧縮速度1mm/minの条件で、JIS K 7220に準拠した方法により圧縮試験を行い測定した圧縮弾性率が0.01〜100MPa、降伏点強度が10N以上である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の多層構造体。 - 採光部のガラスに対して貼付又は設置することによって、高い防犯性及び安全性を発揮することができることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の多層構造体。
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