JP6841678B2 - 水晶振動子 - Google Patents
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Description
この出願はこのような点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、厚みすべりモードで振動する水晶振動子の特性改善を図ることが可能な新規な励振用電極構造を有した水晶振動子を提供することにある。
一方の面の励振用電極のエッジにおける変位分布が、他方の面の励振用電極のエッジにおける変位分布と同じになる位置関係に、これら励振用電極を水晶片の表裏に設けてあることを特徴とする。
(1) 第1励振用電極を水晶のX′軸に沿ってプラスX′方向にT・tanαで与えられる距離dxだけ移動し(図1参照)、
(2) 第1励振用電極を水晶のZ′軸に沿ってマイナスZ′方向にT・tanβで与えられる距離dyだけ移動し(図1参照)、
(3) 上記(1)、(2)で移動した状態を、マイナスY′面に投影した位置。
なお、この発明を実施するに当たり、励振電極の平面形状は任意とできる。しかし、好ましくは、励振電極の平面形状は楕円形状とするのが良い。しかも、水晶片のカット種別に応じて、楕円電極の楕円比率を所定範囲とし、かつ、楕円電極を水晶片に対し所定範囲で面内回転させて設けるのが良い。ただし、この好適例でいう楕円とは、一平面上の二定点からの距離の和が一定である真の楕円は勿論のこと、真の楕円から多少変形している形状であっても本発明と同等の効果を示す略楕円も含む。例えば、真の楕円から多少変形していても長軸、短軸が定義可能なものは、この発明でいう楕円に含まれる。
また、この発明を実施するに当たり、水晶片の表裏に設ける励振用電極の少なくとも一方の縁部に、当該励振用電極の端に向かって当該励振用電極の厚さが減じ、かつ、所定寸法(傾斜幅)の傾斜部を設けることが出来る。
1−1.第1の実施形態の水晶振動子の構造
図1(A)〜(C)は、第1の実施形態の水晶振動子の、特に水晶片11に着目した説明図である。詳細には、図1(A)は水晶片11の平面図、図1(B)は図1(A)中のP−P線に沿った水晶片11の断面図、図1(C)は図1(A)中のQ−Q線に沿った水晶片11の断面図である。
水晶片11は、厚みすべりモードで振動する各種水晶片である。具体的には、ATカット水晶片、いわゆる2回回転振動子と称されるSCカット水晶片、M−SCカット水晶片、ITカット水晶片を挙げることができる。以下の説明中の詳細なシミュレーション等はM−SCカット水晶片によって行っている。M−SCカットとは、水晶原石を水晶のZ軸を回転軸として24°±1°の範囲の所定角度φで回転し、さらに、ここで生じたX′軸を回転軸として34°±1°の範囲の所定角度θで回転して切り出される水晶片である。従って、この水晶片11は、水晶のY′軸方向を厚さとし、水晶のX′−Z′面を主面とする水晶片の一種である。
(1) 第1励振用電極13aを水晶のX′軸に沿ってプラスX′方向にT・tanαで与えられる距離dxだけ移動し(図1(B)参照)、
(2) 第1励振用電極13aを水晶のZ′軸に沿ってマイナスZ′方向にT・tanβで与えられる距離dyだけ移動し(図1(C)参照)、
(3) 上記(1)、(2)で移動した状態を、マイナスY′面に投影した位置(図1(A)参照)。
したがって、図1(A)に示したように、第1励振用電極13aから見た第2励振用電極13bは、第1励振用電極13aに対して、水晶片11の裏面のプラスX′方向かつマイナスZ′方向に所定距離ずれた位置に設けられている。
表1では所定角度α、βとそれらの許容範囲について示した。そこで、次に、角度α、βが所定範囲であるのが良い点に関するシミュレーション例を説明する。水晶は異方性材料であることから、厚みすべりモードで振動する水晶振動子では、媒質内の弾性波の位相速度の方向とエネルギー速度の方向(パワーフロー方向)とは異なることが知られている。従って、水晶振動子が振動した際の水晶片表裏の振動変位は表裏面で同じ位置にはならないと考えられる。このような状態の水晶片に、同一形状、同一サイズの励振用電極を水晶片の表裏面で正対向させることは好ましくない、とこの出願に係る発明者は考えた。
また、図6は、図3、図4、図5の結果の要点をまとめた図である。具体的には、角度αを違えた上記の6種類のシミュレーション各々について、第1励振電極のエッジでの変位分布と、第2励振電極のエッジでの変位分布との違いを、エッジの同位置での変位の差をエッジ全部に渡り積算した積算値で示したものである。従って、この積算値が小さいほど、表裏の励振電極のエッジでの変位分布の一致具合が高いことを示している。
第1の実施形態では、表裏の励振用電極を上述の(1)〜(3)に示した所定の位置関係でずらすことにより、表裏の励振用電極のエッジでの変位分布を同じか又は近いものにできた。しかし、発明者のさらなる検討によれば、表裏の励振用電極を所定の位置関係でずらすとともに、励振電極の平面形状を楕円形状とし、かつ、水晶片のカット種別に応じて、楕円電極の楕円比率を所定範囲とし、かつ、楕円電極を水晶片に対し所定範囲で面内回転させて設けるのが良いことが判明した。こうすると、詳細は後述するが、励振用電極のエッジでの変位がエッジの各所で同じか近い値になり易いことが判明した。すなわち、励振用電極のエッジでの変位分布が平坦になり易いことが判明した。この第2実施形態はその例である。
ここで、楕円比率や面内回転角度は、以下のように定義する。楕円形状の励振電極の水晶片のX′軸に沿う寸法をa、Z′軸に沿う寸法をbとし(図7(A))、楕円比率をa/bと定義する。また、楕円形状の励振電極の水晶片に対する面内回転角度は、水晶片のX′軸に対する角度δと定義する(図7(B))。ただし、この角度δは、図7(B)に示したように、プラスY′面において、Y′軸を回転軸として、反時計方向への回転をプラス、時計方向への回転をマイナスと定義する。
このように定義した楕円比率a/b、面内回転角δを種々に変更したモデルを設定して、有限要素法を用いて第1及び第2励振用電極13a、13bのエッジでの変位分布を以下のように検討した。
先ず、励振用電極の楕円比率の好ましい範囲を以下のように検討した。なお、シミュレーションは、水晶片をM−SCカットとし、振動モードをCモードの基本波モードとし、第1励振用電極13aと第2励振用電極13bとの位置関係を決めている角度α、βをα=25.5°、β=0.2°とし、励振用電極の水晶片に対する面内回転角δをδ=−9°とし、楕円比率を種々に変更して行った。なお、シミュレーションした楕円比率は、1.584、1.518、1.452、1.386、1.32、1.254、1.188、1.122、1.056であり、楕円比率1.32を基準に考えた場合、各楕円比率は、20%増、15%増、10%増、5%増、5%減、10%減、15%減、20%減のものに相当する。
また、図11は、図8、図9、図10の結果の要点をまとめた図である。具体的には、楕円比率を違えた上記の9種類のシミュレーション各々について、第1励振用電極のエッジでの変位分布と、第2励振用電極のエッジでの変位分布との違いを、表裏にかかわらず全部の変位の中の最大値と最小値との差で示したものである。この差が小さいほど、表裏の励振電極のエッジでの変位分布は平坦であることを示している。
次に、楕円形状の励振用電極の水晶片に対する面内回転角度δの適正範囲について説明する。
先ず、水晶片をM−SCカットとし、振動モードをCモードの基本波モードとし、第1励振用電極13aと第2励振用電極13bとの位置関係を決めている角度α、βをα=25.5°、β=0.2°とし、楕円比率を1.32とした条件で、シミュレーションした結果は下記の通りであった。なお、シミュレーションの際の角度δは、1°、−1.5°、−4°、−6.5°、−9°、−11.5°、−14°、−16.5°、−19°である。ここで、角度δの向きは、図7(B)に示した通り、Y′軸を回転軸として、水晶片11のプラスY′面において反時計回りをプラス、時計周りをマイナスと定義している。
また、図15は、図12、図13、図14の結果の要点をまとめた図である。具体的には、面内回転角度δを違えた上記の9種類のシミュレーション各々について、第1励振用電極のエッジでの変位分布と、第2励振用電極のエッジでの変位分布との違いを、表裏にかかわらず全部の変位の中の最大値と最小値との差で示したものである。この差が小さいほど、表裏の励振電極のエッジでの変位分布は平坦であることを示している。
上記した実施形態の水晶振動子の実際の構造例について説明する。図16(A),(B)はその説明図である。
図16(A)に示した構造例は、リード型の水晶振動子20に本発明を適用した例であり、水晶振動子20を側面から見た概略図である。この水晶振動子20は、ベース21と、このベースに設けたリード23と、リードの先端に設けたクリップ端子25とを具える。そして、クリップ端子25に水晶片11を固定した構造となっている。詳細には、水晶片11の表裏には励振用電極13a、13bから引き出されている引出電極15を設けてあり、水晶片11は引出電極15の末端付近でクリップ端子25に導電性接着剤27で固定してある。そして、実際は、水晶片11を密閉するため図示しないキャップがベースに接合されている。
図16(B)に示した構造例は、表面実装型の水晶振動子30に本発明を適用した例であり、水晶振動子30を上面から見た概略図である。この水晶振動子30は、セラミックベース31と、このベースに設けた支持パッド33とを具える。そして、支持パッド33に水晶片11を固定した構造となっている。詳細には、水晶片11の表裏には励振用電極13a、13bから引き出されている引出電極15を設けてあり、水晶片11は引出電極15の末端付近で支持パッド33に導電性接着剤35で固定してある。そして、実際は、水晶片11を密閉するため図示しない蓋部材がベースに接合されている。また、セラミックベース外側底面に、実装端子(図示せず)を具えていて、この実装端子は支持パッドに電気的に接続してある。
もちろん、これら構造例はこの発明の好適例であり、他の構造であっても良い。
上述した第1、第2の実施形態では、励振用電極は、その厚さが全域にわたって実質的に同じ構成であった。しかし、励振用電極の縁部に傾斜部を設けると、不要モードの抑制に対しさらに好ましい。この第3の実施形態はその例である。
図17は、この第3の実施形態の水晶振動子の説明図である。特に、第3の実施形態の水晶振動子に具わる水晶片41に着目した図であり、(A)図は水晶片41の平面図、(B)図は水晶片40のR−R線に沿った部分的断面図である。なお、図17(B)では、励振用電極13a,13bの傾斜部13ab、13bbの理解を深めるために励振用電極の厚みを実際より拡大して示してある。
傾斜部13abは、この例の場合は、4段の段差で構成してある。そして、主厚部13aa側から励振用電極13aの最外周までの幅すなわち傾斜幅がXAに形成されており、各段差間の幅がXBに形成されている。すなわち、この例の場合は、幅XAは幅XBの3倍の長さに形成されている。主厚部13aaの厚さはYAに形成されている。また、傾斜部13abの各段差の高さはYBに形成されている。そのため、厚さYAは高さYBの4倍の厚さとなっている。
水晶振動子では、主振動(例えばCモード)と共に主振動とは異なり設計上意図されない振動である不要振動が生じる。ATカット、M−SCカット等の水晶材料により形成され厚みすべり振動で振動する水晶振動子では、不要振動として特に屈曲振動によるものの影響が大きい。図18のグラフの横軸には、この屈曲振動の波長である屈曲波長λで規格化された傾斜幅を示してある。そのため、図18のグラフに示した傾斜幅は、同一の目盛でも水晶片がATカットかM−SCカットかで傾斜部13ab、13bbの傾斜幅の寸法が異なる。例えば、26MHzの振動周波数による振動を主振動とした場合では、ATカット水晶片での屈曲波長λは約100μmとなり、M−SCカット水晶片での屈曲波長λは約110μmとなる。このとき図18のグラフにおいて「1」で示される傾斜幅の実際の寸法は1×λであり、ATカット水晶片の場合は傾斜幅が1×λ=約100μmとなり、M−SCカット水晶片の場合は傾斜幅が1×λ=約110μmとなる。
図18から分かるように、両モデルともに、屈曲波長λで規格化された傾斜幅が約「0.5」から「3」となる範囲で振動エネルギーの損失を示す1/Qが3.0×10−6(図18では「3.0E−6」と表記)以下と低くなっている。すなわち、傾斜幅が屈曲波長λの0.5倍以上3倍以下の長さに形成される場合に振動エネルギーの損失が抑えられていることが分かる。特に、両モデルともに、屈曲波長λで規格化された傾斜幅が「1」から「2.5」の範囲において1/Qの大きさが低く、さらにその変動も少なくなっている。すなわち、傾斜幅が屈曲波長の1倍から2.5倍の長さである場合には、さらに安定して振動エネルギーの損失が低くなることが分かる。
上述した第3の実施形態では、表裏の励振用電極各々の縁部に傾斜部を設ける構造を説明した。しかし、水晶振動子を製造する場合、振動周波数を調整するためにアルゴンのイオンビーム等により励振用電極をトリミングすることが行われる。このトリミング工程において、傾斜部が消失し、これによって振動エネルギーの損失が大きくなる場合がある。これを回避するため、水晶片の周波数調整面の励振用電極には傾斜部は設けず、周波数調整面とは反対面の励振用電極のみに傾斜部を設けても良い。この第4の実施形態はその例である。
図20は、シミュレーションモデルとして、以下の3種類のシミュレーションモデルを用意し、各モデルでの主振動エネルギーの損失(1/Q)を有限要素法により解析した結果を示したものである。3種類のうちの1つ目は第4の実施形態の水晶片51に当たるモデル、すなわち水晶片の片面の励振用電極のみに傾斜部を設けたモデルである。2つ目は第3の実施形態の水晶片41に当たるモデル、すなわち水晶片の両面の励振用電極に傾斜部を設けたモデルである。3つ目は第1の実施形態の水晶片11に当たるモデル、すなわち水晶片の励振用電極に傾斜部を設けないモデルである。
なお、厚さYA1と厚さYA2との合計が常に280nmとなる条件でシミュレーションする理由は、水晶振動子において、いわゆるエネルギー閉じ込めを確保するためである。すなわち、エネルギー閉じ込めを確保した前提で、本発明の効果を確認したいためである。ただし、280nmという値は、実施形態の水晶片の大きさ、形状、周波数に応じた一つの例である。
この第4の実施形態の水晶振動子であって、励振用電極の膜厚YA1、YA2がともに140nmの場合は、励振用電極13bに傾斜部13bbが形成されているものの、励振用電極13aには傾斜部が形成されていないので、屈曲振動の主振動に対する影響が十分に抑えられていないため、損失は傾斜部を設けないモデルと同等となり大きい。しかし、第4の実施形態に係る水晶振動子では、傾斜部を設けていない励振用電極13aの厚さYA1が薄くなるに従って1/Qが低下し、厚さYA1が60nmである場合に損失は、両面の励振用電極に傾斜部を設けたモデルに近くなる。これは傾斜部を設けていない励振用電極の厚さYA1が薄くなることにより、電極端部の段差の影響が軽減されるので、屈曲振動の発生が抑えられるためと考えられる。従って、第4の実施形態の場合は、傾斜部を設けていない励振用電極13bの厚さYA1は、励振用電極13bの端部で不要モードの誘発を抑制できかつ電極本来の導電膜としての機能が得られることを前提に極力薄い方が好ましい。薄膜技術において膜として成立し得る下限の範囲が60nmから100nmの厚さであることが知られており、これを考慮すると傾斜部を設けていない励振用電極の機能を発揮させるためには、厚さYA1は、60nm〜100nm、好ましくは60nmから80nmの範囲にあることが好ましい。
この第4の実地形態の場合は、表裏の励振用電極を所定関係でずらすという第1、第2の実施形態で例示した本発明の効果が得られるとともに、励振用電極に傾斜部を設ける効果と、この傾斜部が周波数調整時に損傷することを回避できるという効果が得られる。
上述した第3の実施形態、第4の実施形態では、傾斜部の長さである傾斜幅XAについて、基本波に関する適正値を説明した。一方、水晶振動子の用途の1つとして、1つの水晶振動子から2つの周波数の信号を同時出力する用途がある。例えば、国際公開第2015/133472号には、基本波と高調波とを1つの水晶片から取り出すことが記載されている。このようなものでは、一方の周波数を出力信号とし、他方の周波数を温度補償のセンサ用信号として使用することができ、然も、2つの周波数を1つの水晶振動子で得られるので、水晶片の個体差の影響を軽減できる等、好ましい。この第5の実施形態は、上述した第1〜第4の実施形態において、さらに、基本波と高調波とを考慮した設計に関するものである。
この第5の実施形態の水晶片は、第1の実施形態〜第4の実施形態の種々の形態において、励振用電極に傾斜部を設ける場合の傾斜幅を、厚みすべり振動の基本波での屈曲振動の波長である第1屈曲波長の0.84倍以上1.37倍以下であり、厚みすべり振動の3倍波での屈曲振動の波長である第2屈曲波長の2.29倍以上3.71倍以下の長さとすることを特徴とする。
上述においては、この発明の水晶振動子の実施形態を説明したが、この発明は上述の実施形態に限られない。例えば、上述の例では、水晶片として長方形状の水晶片の例を示したが、水晶片の平面形状は、四角形状も丸形状でも楕円形状でも良い。また、各実施例ではX′方向を長辺、Z′方向を短辺とする長方形状の水晶片を示してあるが、長辺、短辺はこの逆でも良い。また、第1実施形態の場合では、電極形状は平面視で四角形状、丸形状でも良い。また、既に説明したが、水晶片はプラノコンベックス型のものでも良い。また、励振用電極に設ける傾斜部として、4段構成の例を示したが、傾斜部の構成はこれに限られない。傾斜部は、例えば、段数が例示したものとは異なる場合、または、段構造ではなく斜面を有する構成等、他の任意の構成とできる。なお、これら傾斜部は例えば以下の方法で形成することができる。すなわち、メッキ枠を用いた公知の金属膜の成膜方法により各段の膜を形成する方法、成膜した金属膜をフォトリソ技術でパターニングすることを各段の膜形成に適用する方法、製膜した金属膜上に傾斜部となる部分の膜厚が薄くされたレジストパタンを形成してこのパタンをマスクとしてドライエッチング法で金属膜の一部を傾斜状に加工する方法等である。
13b:励振用電極(第2励振用電極)、 13aa、13ba:主厚部、
13ab、13bb:傾斜部、 XA:傾斜幅(傾斜部の幅)、
15:引出電極
20:リード型の水晶振動子、 21:ベース、 23:リード、
25:クリップ端子、 27:導電性接着剤
30:表面実装型の水晶振動子、 31:セラミックベース、
33:支持パッド、 35:導電性接着剤
41:第3の実施形態の水晶片、 51:第4の実施形態の水晶片
Claims (17)
- 水晶原石を水晶のZ軸を回転軸として24±1°の範囲の所定角度φで回転し、さらに、ここで生じたX′軸を回転軸として34±1°の範囲の所定角度θで回転して切り出され、水晶のY′軸方向を厚さとし、水晶のX′―Z′面を主面とする水晶片(M−SCカット水晶片)と、
前記水晶片のプラスY′面に設けた第1励振用電極と、
前記水晶片のマイナスY′面に設けられ、前記第1励振用電極に対し平面形状が同じで大きさが同じである第2励振用電極と、を備え、Cモードで振動する水晶振動子において、
前記第2励振用電極は、前記第1励振用電極に対し、以下の関係を満たす位置に設けてあることを特徴とする水晶振動子。
(1) 第1励振用電極を水晶のX′軸に沿ってプラスX′方向にT・tanαで与えられる距離dxだけ移動し、
(2) 第1励振用電極を水晶のZ′軸に沿ってマイナスZ′方向T・tanβで与えられる距離dyだけ移動し、
(3) 上記(1)、(2)で移動した状態を、マイナスY′面に投影した位置。
ここで、Tは当該水晶片の厚みであり、αはプラスZ′面での回転角度であってα=25±5°であり、βはプラスX′面での回転角度であってβ=0±5°である。 - 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が1.32±10%であり、かつ、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−9±5°で配置してあることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.91±10%であり、かつ、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−15±5°で配置してあることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.93±10%であり、かつ、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−10±5°で配置してあることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
- 水晶原石を水晶のZ軸を回転軸として22±1°の範囲の所定角度φで回転し、さらに、ここで生じたX′軸を回転軸として34±1°の範囲の所定角度θで回転して切り出され、水晶のY′軸方向を厚さとし、水晶のX′―Z′面を主面とする水晶片(SCカット水晶片)と、
前記水晶片のプラスY′面に設けた第1励振用電極と、
前記水晶片のマイナスY′面に設けられ、前記第1励振用電極に対し平面形状が同じで大きさが同じである第2励振用電極と、を備え、Cモードで振動する水晶振動子において、
前記第2励振用電極は、前記第1励振用電極に対し、以下の関係を満たす位置に設けてあることを特徴とする水晶振動子。
(1) 第1励振用電極を水晶のX′軸に沿ってプラスX′方向にT・tanαで与えられる距離dxだけ移動し、
(2) 第1励振用電極を水晶のZ′軸に沿ってマイナスZ′方向にT・tanβで与えられる距離dyだけ移動し、
(3) 上記(1)、(2)で移動した状態を、マイナスY′面に投影した位置。
ここで、Tは当該水晶片の厚みであり、αはプラスZ′面での回転角度であってα=25±5°であり、βはプラスX′面での回転角度であってβ=1±5°である。 - 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が1.32±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−7±5°で配置してあることを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.93±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−17±5°で配置してあることを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.95±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−12±5°で配置してあることを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子。
- 水晶原石を水晶のZ軸を回転軸として19±1°の範囲の所定角度φで回転し、さらに、ここで生じたX′軸を回転軸として34±1°の範囲の所定角度θで回転して切り出され、水晶のY′軸方向を厚さとし、水晶のX′―Z′面を主面とする水晶片(ITカット水晶片)と、
前記水晶片のプラスY′面に設けた第1励振用電極と、
前記水晶片のマイナスY′面に設けられ、前記第1励振用電極に対し平面形状が同じで大きさが同じである第2励振用電極と、を備え、Cモードで振動する水晶振動子において、
前記第2励振用電極は、前記第1励振用電極に対し、以下の関係を満たす位置に設けてあることを特徴とする水晶振動子。
(1) 第1励振用電極を水晶のX′軸に沿ってプラスX′方向にT・tanαで与えられる距離dxだけ移動し、
(2) 第1励振用電極を水晶のZ′軸に沿ってマイナスZ′方向にT・tanβで与えられる距離dyだけ移動し、
(3) 上記(1)、(2)で移動した状態を、マイナスY′面に投影した位置。
ここで、Tは当該水晶片の厚みであり、αはプラスZ′面での回転角度であってα=24±5°であり、βはプラスX′面での回転角度であってβ=2±5°である。 - 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が1.32±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−3±5°で配置してあることを特徴とする請求項9に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.95±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−38±5°で配置してあることを特徴とする請求項9に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、平面形状が楕円形状で、楕円比率が0.98±10%であり、前記水晶片に対し面内回転角度δ=−40±5°で配置してあることを特徴とする請求項9に記載の水晶振動子。
- 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、一定の厚さで形成される主厚部及び前記主厚部の周囲に形成され前記主厚部に接する部分から前記第1励振用及び第2励振用電極の最外周にかけて厚さが徐々に薄くなるように形成される傾斜部を有し、
前記傾斜部の幅である傾斜幅が、不要振動である屈曲振動の波長である屈曲波長の0.5倍以上3倍以下の長さであることを特徴とする請求項1、5又は9に記載の水晶振動子。 - 前記第1励振用電極及び第2励振用電極は、一定の厚さで形成される主厚部及び前記主厚部の周囲に形成され前記主厚部に接する部分から前記第1励振用及び第2励振用電極の最外周にかけて厚さが徐々に薄くなるように形成される傾斜部を有し、
前記傾斜部の幅である傾斜幅が、厚みすべり振動の基本波での屈曲振動の波長である第1屈曲波長の0.84倍以上1.37倍以下であり、厚みすべり振動の3倍波での屈曲振動の波長である第2屈曲波長の2.29倍以上3.71倍以下である長さであることを特徴とする請求項1、5又は9に記載の水晶振動子。 - 前記傾斜部は、前記第1励振用電極及び第2励振用電極のうちの当該水晶振動子の周波数調整面とは反対面の励振用電極のみに、設けてあることを特徴とする請求項13又は14に記載の水晶振動子。
- 当該水晶振動子の周波数調整面の励振用電極の厚さが、前記周波数調整面とは反対面の励振用電極の前記主厚部の厚さより薄くなっていることを特徴とする請求項15に記載の水晶振動子。
- 前記水晶片が平板状の水晶片であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の水晶振動子。
−以上−
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