JP2021158532A - 水晶振動子 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献2は、具体的な周波数及び大きさのATカット水晶振動子に関する適正構造の言及は、必ずしも満足のゆくものではなかった。
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従って、この出願の目的は、一様な厚みの第1励振電極と、外周付近に傾斜部を持つ第2励振電極と、を有したATカット水晶振動子において、個別の周波数において好ましい具体的な構造を提供することにある。
前記水晶片は、水晶のX軸方向を長辺とし、水晶のZ′方向を短辺とし、発振周波数が基本波で38MHzの水晶片であり、
前記第1励振電極及び第2励振電極の質量/水晶の質量の比を4.6%とし、前記第1励振電極及び第2励振電極による、前記水晶片の水晶Z′軸方向の閉じ込め係数を、4.4〜6.0としてあり、
前記傾斜部の幅を、前記水晶片で生じる屈曲モードの振動の波長λに対し1〜2.5λの寸法としてあり、
前記第1励振電極及び第2励振電極各々は、前記水晶片の長辺方向を長軸、前記水晶片の短辺方向を短軸とする楕円形状としてあり、かつ、長軸長さ/短軸長さ=1.265±10%としてあること
を特徴とする。
また、前記水晶片の発振周波数が基本波で38MHzとは、例えば、38MHz、38.88MHzなどの良く使用される周波数を含む、例えば、38MHz±3MHzの周波数帯のことである。
また、上記の閉じ込め係数とは、n(We/βz・tq)√Δで決まる値である。ここで、nは水晶振動子の振動次数(例えば基本波であれば1)、Weは励振電極の水晶結晶軸のZ′方向の寸法、βzは水晶結晶軸のZ′方向の異方性係数1.538、tqは水晶片の厚みある。また、Δは、励振電極の質量/水晶の質量の比で決まる値であり、具体的には、(2ρe・te/ρq・tq)で求まる値である。ここで、ρqは水晶の密度、tqは水晶の厚み、ρeは励振電極の密度、teは励振電極の厚みである。
また、上記の各発明を実施するに当たり、パッケージとしては、外形寸法でいって長辺が6mm、短辺が3.5mmのセラミック製のパッケージ、いわゆる6035サイズのセラミックパッケージが好ましい。ただし、長辺、短辺いずれもパッケージの一般的な公差である±0.2mmは許容される。
また、第1励振電極及び第2励振電極の質量/水晶の質量の比を示した上記値は、それぞれの値に対し±0.1%は、本発明に含まれる。
また、本発明の水晶振動子によれば、周波数が38MHz付近で、かつ、一様な厚みの第1励振電極と、外周付近に傾斜部を持つ第2励振電極とを有した水晶振動子において、不要振動を抑えることができると共に周波数調整の際の振動エネルギーの損失を防ぐことができる。
先ず、図1(A)及び(B)を参照して実施形態の水晶振動子10の構造について説明する。
実施形態の水晶振動子10は、パッケージ11、ATカット水晶片13、第1励振電極15及び第2励振電極17を備えている。
パッケージ11は、この例の場合、セラミック製のパッケージであって、AT水晶片を実装する凹部11aを有したものである。凹部11aの周囲は土手部11bとなっている。このセラミック製パッケージ11では、蓋部材(図示を省略)を土手11b部に、シーム封止、ガラス封止、金錫封止等の任意好適な方法によって接合することによって、水晶片11を封止できる。なお、後述するシミュレーションで用いた水晶片13の大きさを考慮すると、パッケージ11の外形寸法は、長辺L0が約6mm、短辺W0が約3.5mmの、いわゆる6035サイズが良い。
AT水晶片13は、平板かつ平面形状が矩形のもので、周波数に応じた厚みを有したものである。なお、ATカット水晶片自体は公知のものなので、その説明を省略する。
このATカット水晶片11の一方の主面に、第1励振電極15を設けてあり。他方の主面に、第2励振電極17を設けてある。これら電極15,17は例えばクロム膜と金膜との積層膜で構成できる。
第1励振電極15は、厚さが一様となっている。第2励振電極17は、図1(B)に示したように、外周付近が、水晶片の中央側から縁に向かって厚さが減じている傾斜部17aとなっていて、傾斜部17a以外は一様な厚みの主圧部17bとなっている。第2励振電極17の主厚部17bの厚みは、第1励振電極15の厚みより厚くなっている。
そして、この実施形態の水晶振動子10は、水晶片13の周波数に応じて、以下のような構造となっている。
また、第1励振電極15及び第2励振電極17の質量/水晶片の質量の比を4.6%とし、第1励振電極15及び第2励振電極17による、水晶片の水晶Z′軸方向の閉じ込め係数を、4.4〜6.0としてある。
さらに、傾斜部17の幅Wk(図2(A)参照)を、水晶片13で生じる屈曲モードの振動の波長λに対し1〜2.5λの寸法としてある。
さらに、第1励振電極15及び第2励振電極17各々は、水晶片13の長辺方向を長軸、水晶片13の短辺方向を短軸とする楕円形状としてあり、かつ、長軸長さLa/短軸長さWa=1.265±10%としてある。
ここで、長軸長さLa、短軸長さWaは、傾斜部17の中間点同士を結んだ長さと定義している(図2(B)参照)。
なお、閉じ込め係数と、長軸長さLa/短軸長さWa=1.265±10%とについては、上記の「課題を解決するための手段の項」にて説明したものである。
上記の実施形態の水晶振動子10について、以下示す実施例の条件による有限要素法によるシミュレーションを行った。なお、このシミュレーションでは、図2(A)に示したように、傾斜部17aが、第1部分17aa、第2部分17ab及び第3部分17acの階段状の3つの部分からなる傾斜部を持つモデルを用いた。
また、傾斜部17aの幅Wkを69μmとした。この69μmとは、38MHzの水晶片で生じる屈曲モードの不要信号の波長λの1倍に相当する寸法である。
第1部分17aaの厚さt1、第2部分17abの厚さt2及び第3部分17acの厚さt3(それぞれ図2(A)参照)は、それぞれ、主厚部17bの厚さtの4分の1とした。第2励振電極17の主厚部17bの厚さを130nmとした。第1励振電極15の厚さは、第2励振電極17の主厚部17bの厚さより30nm薄くした。第1励振電極の膜厚及び第2励振用電極の膜厚を上記の値としたのは、電極の質量/水晶片の質量の比を、本願でいう4.6%にするためである。なお、第1励振電極の膜厚を第2励振用電極の膜厚より30nm薄くしたが、これは一例であり、薄くする程度はこれに限られない。第1励振電極が膜として成立する範囲までさらに薄くしても良い。ただし、周波数調整ができなくなる程度まで薄い場合は、本発明の範囲外である。
図3、表1から、周波数が50MHzの場合で、励振電極の質量/水晶片の質量の比を4.1%とした場合、短軸長W2を1.111〜1.506mmすなわち閉じ込め係数を4.6〜6.2とすると、第1励振電極15の膜厚を周波数調整によって減じても、損失は小さく抑えられることが分かる。
また、シミュレーションによる実施例として、周波数が38MHz帯で長辺寸法L1が3.226mm、短辺寸法W1が1.576mmの水晶片の例を挙げたが、パッケージ寸法がいわゆる6035サイズに収納できる対応として、長辺寸法L1が3〜4mm、短辺寸法W1が1.4〜2mmまでの範囲の水晶片においても同様の効果を確認している。
13:ATカット水晶片 15:第1励振電極
17:第2励振電極 17a:傾斜部
17aa:第1部分 17ab:第2部分
17ac:第3部分 17b:主圧部
Claims (2)
- パッケージと、該パッケージに内蔵されていて平板かつ平面形状が矩形のATカットの水晶片と、該水晶片の主面の一方の面に設けられ厚さが一様な第1励振電極と、前記主面の他方の面に設けられ外周付近が傾斜部となっていて該傾斜部以外は一様な厚みの主圧部となっている第2励振電極と、を備え、前記主厚部の厚みが前記第1励振電極の厚みより厚い水晶振動子において、
前記水晶片は、水晶のX軸方向を長辺とし、水晶のZ′方向を短辺とし、発振周波数が基本波で38MHzの水晶片であり、
前記第1励振電極及び第2励振電極の質量/水晶の質量を4.6%とし、前記第1励振電極及び第2励振電極による、前記水晶片の水晶Z′軸方向の閉じ込め係数を、4.4〜6.0としてあり、
前記傾斜部の幅を、前記水晶片で生じる屈曲モードの振動の波長λに対し1〜2.5λの寸法としてあり、
前記第1励振電極及び第2励振電極各々は、前記水晶片の長辺方向を長軸、前記水晶片の短辺方向を短軸とする楕円形状としてあり、かつ、長軸長さ/短軸長さ=1.265±10%としてあること
を特徴とする水晶振動子。 - 前記水晶片は、長辺寸法が3〜4mm、短辺寸法が1.4〜2mmから選ばれる大きさであり、前記パッケージは外形の長辺寸法が6±0.2mm及び短辺寸法が3.5±0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。
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