JP6841490B2 - ダイ、ダイパック、単結晶育成装置、及び単結晶育成方法 - Google Patents

ダイ、ダイパック、単結晶育成装置、及び単結晶育成方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダイ、ダイパック、単結晶育成装置、及び単結晶育成方法に関する。
従来、単結晶を育成する方法として、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法、熱交換法(HEM:Heat Exchanger Method)、ベルヌイ法、エッジデファインド・フィルムフェッド・グロース(EFG:Edge-defined Film-fed Growth)法などが挙げられる。
この内、平板形状の単結晶を育成する方法としては、EFG法が唯一の方法である。EFG法は、所定の結晶方位を有する単結晶を育成する場合に利用され、平板形状の単結晶が育成される。従ってEFG法に依れば、単結晶から基板加工への工数を減らせることが出来る。
EFG法を用いた単結晶の育成方法として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1記載の単結晶育成方法では、原料融液の液面の長手方向に対して垂直な方向に種結晶を配置し、その種結晶を引き上げることで平板状の複数のサファイア単結晶を育成する。更に複数のサファイア単結晶を一括製造できるので、量産性を向上させることが可能となる。
特許第4465481号公報
しかしながら、特許文献1記載の製造方法によりサファイア単結晶を育成し検証したところ、育成するサファイア単結晶の厚みの増加に伴い、サファイア単結晶に結晶粒界やリシード(recede:結晶幅の不足)又はベンド(bend:結晶厚み方向の曲がり)が発生し、サファイア単結晶の歩留りが低下すると云う事態が発生した。
歩留り低下の原因を本出願人が検証した結果、育成されるサファイア単結晶の厚みの増加につれて、ダイ先端の開口角度と歩留りが関連することが判明した。
ダイ先端の開口角度が鋭角の一定角度で、且つ育成される単結晶の厚みが増すほど、育成された単結晶の厚みの中央部と表面部の温度差が大きくなり、歩留りが低下することが分かった。
一方、ダイ先端の開口角度が鈍角でも、育成された単結晶の厚みの中央部と表面部に同様に温度差が発生することを、本出願人は見出した。単結晶内部の温度差が大きくなると歪の原因となり、前記結晶粒界やリシード又はベンドが発生してしまう。
従って、ダイの先端に一定の開口角度を設けても、育成される単結晶の厚みの増大に伴い歩留りの低下を招いてしまう事が分かった。よって、育成される単結晶の厚みの増加に伴い、その厚みに対してダイの開口角度を最適に設定する必要があることを、本出願人は検証により見出した。併せてその最適化の為には、ダイの開口角度の検証回数に3〜10回ほど掛かることも判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、育成される単結晶の厚みに対して開口角度が容易且つ最適に設定可能なダイ、ダイパック、単結晶育成装置、単結晶育成方法の提供を目的とする。
前記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、
(1)本発明のダイは、スリットを有しEFG法に用いられるダイであって、ダイの先端が開口角度y1(但しy1<180°)で形成されており、更に開口角度y1が、ダイの厚みxmmの一次関数式y=ax+b(但し、y<180°、x>0mm、a>0、b>0°)で関連付けられた角度で形成されており、厚みxが3.3mm以上6.5mm以下であり、aが7.75以上7.80以下であり、開口角度y1が、一次関数式yの±5%内の角度であることを特徴とする。
(2)本発明のダイの一実施形態は、bが47.0°以上47.39°以下であることが好ましい。
)本発明のダイパックは、前記何れかに記載のダイを2つ以上備えており、各々の前記スリットの長手方向が平行に配置されて構成されることを特徴とする。
)本発明の単結晶育成装置は、前記何れかに記載のダイ又は前記ダイパックを備えることを特徴とする。
)本発明の単結晶育成方法は、前記何れかに記載のダイ又は前記ダイパックを坩堝に収容し、坩堝に単結晶の原料を投入して加熱し、原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、スリットを介してスリットの上部に融液溜りを形成し、そのスリットの上部の融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する単結晶を育成することを特徴とする。
以上のような本発明の前記(1)、()、()の構成、又は前記()の方法に依れば、育成される単結晶の厚みに対して開口角度が容易且つ最適に設定可能なダイ、ダイパック、単結晶育成装置、又は単結晶育成方法を実現することが可能となる。更に、最も育成する可能性が高い厚みxの範囲(3.3mm以上6.5mm以下)に対して、より正確な一次関数式yを形成することが可能となる。従って、3.3mm以上6.5mm以下の範囲内での各々の厚みxに対して、開口角度y1をより正確に設定する事が出来る。更に、一次関数式yの計算結果に対して開口角度y1を一定の範囲内である5%以内に納めることが可能となる。更に、一次関数式yに対して開口角度y1を納めるべき数値範囲(5%以内)が設定されることで、所望の厚みの単結晶を育成する為に用意すべきダイ先端の開口角度y1の検証回数を低減する事が出来る。
更に育成される単結晶の厚みに対して、最適な開口角度でダイの先端を形成する事が出来るので、育成された単結晶の結晶粒界やリシード又はベントが解消可能となり、
結晶品質と歩留りの向上が図れる。
更に、目安となるダイの先端の開口角度y1を一次関数式yで関連付ける事が出来るので、開口角度y1の最適化の検証回数を減少させることが可能となる。その結果、単結晶の結晶品質の改善スピードを向上させることが可能となり、単結晶の歩留りを速やかに向上させることが出来る。
更に前記(2)の構成に依れば、育成する単結晶の厚みの範囲に限定されること無く、育成する単結晶のあらゆる厚みに対して最適な開口角度y1を、容易且つ速やかに設定することが可能となる。
本発明の実施形態に係るEFG法による単結晶育成装置の一例を示す概略構成図である。 図1の単結晶育成装置に備えられているダイパックの概略斜視図である。 図2の円A部分を拡大した、ダイの先端における開口角度y1を模式的に示す説明図である。 本発明の実施例に係る、ダイ先端の開口角度と、育成した単結晶の厚みと、関連付けた一次関数式yとの相関関係を示すグラフである。
本実施の形態の第一の特徴は、スリットを有しEFG法に用いられるダイであって、ダイの先端が開口角度y1(但しy1<180°)で形成されており、更に開口角度y1が、ダイの厚みxmmの一次関数式y=ax+b(但し、y<180°、x>0mm、a>0、b>0°)で関連付けられた角度で形成されている点である。
第二の特徴は、前記ダイを2つ以上備えており、各々のスリットの長手方向が平行に配置されて構成されるダイパックとした点である。
第三の特徴は、前記ダイ又は前記ダイパックを備える単結晶育成装置とした点である。
第四の特徴は、前記ダイ又は前記ダイパックを坩堝に収容し、坩堝に単結晶の原料を投入して加熱し、原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、前記スリットを介して前記スリットの上部に融液溜りを形成し、その前記スリットの上部の融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する単結晶を育成する単結晶育成方法とした点である。
これらの構成又は方法に依れば、育成される単結晶の厚みに対して開口角度が容易且つ最適に設定可能なダイ、ダイパック、単結晶育成装置、又は単結晶育成方法を実現することが可能となる。
更に育成される単結晶の厚みに対して、最適な開口角度でダイの先端を形成する事が出来るので、育成される単結晶の結晶粒界やリシード又はベントが解消可能となり、
結晶品質と歩留りの向上が図れる。
更に、目安となるダイの先端の開口角度y1を一次関数式yで関連付ける事が出来るので、開口角度y1の最適化の検証回数を減少させることが可能となる。その結果、単結晶の結晶品質の改善スピードを向上させることが可能となり、単結晶の歩留りを速やかに向上させることが出来る。
なお本発明において、開口角度y1が一次関数式y=ax+bで関連付けられるとは、ダイの先端に実際に形成される開口角度y1が、一次関数式yの計算結果に基づいて設定されるということである。
第五の特徴は、bが47.0°以上47.39°以下の点である。
この構成に依れば、育成する単結晶の厚みの範囲に限定されること無く、育成する単結晶のあらゆる厚みに対して最適な開口角度y1を、容易且つ速やかに設定することが可能となる。
第六の特徴は、厚みxが3.3mm以上6.5mm以下であり、aが7.75以上7.80以下の点である。
この構成に依れば、最も育成する可能性が高い厚みxの範囲(3.3mm以上6.5mm以下)に対して、より正確な一次関数式yを形成することが可能となる。従って、3.3mm以上6.5mm以下の範囲内での各々の厚みxに対して、開口角度y1をより正確に設定する事が出来る。
第七の特徴は、開口角度y1が、一次関数式の計算結果yの±5%内の角度の点である。
この構成に依れば、一次関数式yの計算結果に対して開口角度y1を一定の範囲内である5%以内に納めることが可能となる。更に、一次関数式yに対して開口角度y1を納めるべき数値範囲(5%以内)が設定されることで、所望の厚みの単結晶を育成する為に用意すべきダイ先端の開口角度y1の検証回数を低減する事が出来る。
以下に、本発明の実施形態に係るダイ、ダイパック、単結晶育成装置及び単結晶育成方法について、図1から図3を参照しながら説明する。
図1に、本実施形態に係るEFG法による単結晶育成装置の一例を示す。図1に示すように単結晶育成装置1は、単結晶2を育成する育成容器3と、育成した単結晶2を引き上げる引き上げ容器4とから構成され、EFG法により単結晶2を育成成長する。
育成容器3は、坩堝5、坩堝駆動部6、ヒータ7、電極8、ダイパック21、及び断熱材10を備える。坩堝5はモリブデン製であり、単結晶の原料を溶融する。坩堝駆動部6は、坩堝5をその垂直方向を軸として回転させる。ヒータ7は坩堝5を加熱する。また、電極8はヒータ7を通電する。ダイパック21は坩堝5内に収納されて設置され、単結晶2を引き上げる際の原料融液(以下、必要に応じて単に「融液」と表記)の液面形状を決定する。また断熱材10は、坩堝5とヒータ7とダイパック21を取り囲んでいる。
更に育成容器3は、雰囲気ガス導入口11と排気口12を備える。雰囲気ガス導入口11は、雰囲気ガスとして例えばアルゴンガスを育成容器3内に導入するための導入口であり、坩堝5やヒータ7、及びダイパック21の酸化消耗を防止する。一方、排気口12は育成容器3内を排気するために備えられる。
引き上げ容器4は、シャフト13、シャフト駆動部14、ゲートバルブ15、及び基板出入口16を備え、種結晶17から育成成長した複数の平板形状の単結晶2を引き上げる。シャフト13は種結晶17を保持する。またシャフト駆動部14は、シャフト13を坩堝5に向けて昇降させると共に、その昇降方向を軸としてシャフト13を回転させる。ゲートバルブ15は育成容器3と引き上げ容器4とを仕切る。また基板出入口16は、種結晶17を出し入れする。
なお単結晶育成装置1は図示されない制御部も有しており、この制御部により坩堝駆動部6及びシャフト駆動部14の回転を制御する。
次に、ダイパック21について説明する。ダイパック21はモリブデン製であり、図2に示すように多数の仕切り板18を有する。図2ではダイパックの一例として、仕切り板18が16枚であり、各々のダイ9が15個形成されて構成されているダイパック21を示している。
仕切り板18は平板形状を有し、微小間隙(スリット)19を形成するように互いに平行に配置されて、1つのダイ9を形成している。スリット19は、各ダイ9のほぼ全幅に亘って15箇所設けられる。また複数のダイ9は同一形状を有すると共に、その長手方向が互いに平行となるように所定の間隔で並列に配置されている。従って、ダイパック21は2つ以上のダイ9を備えると共に、複数のスリット19が設け、各々のスリット19の長手方向が平行に配置されている。
図2及び図3に示すように、各仕切り板18の上部(即ち、各ダイ9の先端)は斜面22が形成されており、互いの斜面22が向かい合わせで配置される事で、開口角度y1で開口部20が形成されている。またスリット19は融液を毛細管現象によって、各ダイ9の下端から開口部20に上昇させる役割を有している。
坩堝5内に投入される原料は、坩堝5の温度上昇に基づいて溶融(原料メルト)し、融液となる。この融液の一部は、ダイパック21のスリット19に侵入し、前記のように毛細管現象によってスリット19内を上昇し開口部20から露出して、開口部20で原料の融液溜り(以下、必要に応じて「融液溜り」と表記)が形成される。
EFG法では、融液溜りで形成される融液面の形状に従って、単結晶2が成長する。図2に示したダイ9では、融液面の形状は細長い長方形となるので、平板形状の単結晶2が製造される。なお本発明では、融液溜りを確実に形成する為、開口角度y1は180°未満(y1<180°)に設定する。
更に図3に示すように各ダイ9の厚みをxmmとすると、開口角度y1はダイの厚みxmmの一次関数式y=ax+bで導出された値に関連付けられた角度で形成される。前記の通り開口角度y1は180°未満(y1<180°)に設定するので、y<180°と設定する。又、x>0mm、a>0、b>0°とする。
なお、開口角度y1が一次関数式y=ax+bで関連付けられるとは、図3に示すように各ダイ9の先端に実際に形成される開口角度y1が、一次関数式yの計算結果に基づいて設定されるということである。
一次関数式yの導出根拠を説明する。本出願人がEFG法での単結晶育成に於いて、結晶粒界やリシード又はベントが解消される所望の単結晶の厚みに対するダイ先端の開口角度の相関関係を検証しプロットしたところ、最小二乗法によりa>0の傾きを有する前記一次関数式y=ax+bが導出された。この検証に於いて育成された単結晶の内部を観察したところ、単結晶の厚み方向の温度差が抑制されて中央部と表面部で均熱化が図られ、結晶粒界やリシード、又はベントが解消されていることが観察された。
従ってy=ax+bの一次関数式は、縦軸が各々のダイ9先端の開口角度y1の計算値yで与えられると共に、横軸xが育成される単結晶2の厚みxmmの、x−y座標における一次関数式として示される。単結晶2の厚みの最大値は、ダイ9の厚みxを超えることは無い。従って、理想的には単結晶2の厚みとダイ9の厚みxは等しくなる(以下、必要に応じて、単結晶2の厚みもxmmと表記する)。
bは、x=0mm時の計算値yの切片に相当する開口角度y1の計算値°である。但し、あくまでx−y座標における一次関数式のy軸上の切片として正の角度(b>0°)を与えるための想定である。実際にx=0mm時とは単結晶2が存在しない(即ち、ダイ9も存在しない)ことになるので、実際のx=0mm時を想定している訳では無い。よって、x>0mm及びb>0°と設定する。
切片であるbを47.0°以上47.39°以下と設定することにより、育成しようとする所望の単結晶の厚みに対して、一次関数式yをy軸方向に平行移動させることが可能となる。更に、所望の厚みx値に対して最小二乗法で与えられた一次関数式yの誤差範囲(即ち、所望の厚みx値と、そのx値から一次関数式yに基づいて導出されたyとの誤差範囲)を網羅することが可能となり、確実に最適なy値を導出することが出来る。bに47.0°以上47.39°以下の数値範囲を与えても、一次関数式yがy軸方向に平行移動するだけである。従って、育成する単結晶の厚みxの範囲に限定されること無く、育成する単結晶のあらゆる厚みxに対して最適な開口角度y1を、容易且つ速やかに一次関数式yから設定することが可能となる。
なお、bを47.0°以上47.39°以下の数値範囲外に設定すると、所望の単結晶の厚みxに対して一次関数式yの平行移動の幅が大きくなり過ぎてしまう。従って、前記最小二乗法に基づく誤差範囲外まで一次関数式yが移動してしまい、最適な開口角度y1の値が導出できなくなることを、本出願人は検証の上見出した。
更に、aを7.75以上7.80以下に設定することで、切片bを基点として一次関数式yの傾きを変えることが可能となる。但し、単結晶の厚みxが厚くなるほど、傾きに伴うyの計算値の誤差(所望の厚みx値と、そのx値から一次関数式yに基づいて導出されたyとの誤差)が大きくなってしまう。従ってaに数値範囲を与える際は、単結晶の厚みxを最も育成する可能性が高い厚みの範囲に限定し、その厚みの範囲に亘って誤差が前記最小二乗法で与えられる誤差範囲内に収まる様に、aの数値範囲を設定する。
本出願人が検証した結果、育成された単結晶からの基板の加工代や、育成された単結晶の自立性やハンドリング性を考慮した結果、単結晶の厚みxとして3.3mm以上6.5mm以下が最も育成する可能性の高い厚み範囲であると、導出された。更に、単結晶の厚みxの数値範囲を定めた上で、その厚みの範囲に亘って誤差が前記最小二乗法で与えられる誤差範囲内に収まる様に、aの数値範囲を設定したところ、7.75以上7.80以下の範囲が導出された。従って、最も育成する可能性が高い厚みxの範囲(3.3mm以上6.5mm以下)に対して、より正確な傾きで一次関数式yを形成することが可能となる。従って、3.3mm以上6.5mm以下の範囲内での各々の厚みxに対して、開口角度y1をより正確に設定する事が出来る。
aを7.75以上7.80以下の数値範囲外に設定すると、所望の単結晶の厚みxに対して一次関数式yの傾き量が大きくなり過ぎてしまう。従って、前記最小二乗法に基づく誤差範囲外まで一次関数式yが傾いてしまい、最適な開口角度y1の値が導出できなくなることを、本出願人は検証の上見出した。
次に、単結晶育成装置1を使用した単結晶2の育成方法を説明する。本実施形態では単結晶2の一例として、サファイア単結晶を挙げて説明を行う(以下、必要に応じてサファイア単結晶2と表記する)。最初にサファイア単結晶の原料である、造粒された酸化アルミニウム原料粉末(99.99%酸化アルミニウム)をダイパック21が収容された坩堝5に所定量投入して充填する。酸化アルミニウム原料粉末には、製造しようとするサファイア単結晶の純度又は組成に応じて、酸化アルミニウム以外の化合物や元素が含まれていても良い。
続いて、坩堝5やヒータ7若しくはダイパック21を酸化消耗させないために、育成容器3内をアルゴンガスで置換し、酸素濃度を所定値以下とする。
次に、ヒータ7で加熱して坩堝5を所定の温度とし、酸化アルミニウム原料粉末を溶融する。酸化アルミニウムの融点は2050℃〜2072℃程度なので、坩堝5の加熱温度はその融点以上の温度(例えば2100℃)に設定する。加熱後しばらくすると原料粉末が溶融して、酸化アルミニウム融液が用意される。更に融液の一部はダイパック21のスリット19を毛細管現象により上昇してダイパック21の先端に達し、スリット19上部に融液溜りが形成される。
次に、スリット19上部の融液溜りの長手方向に対して垂直な角度に種結晶17を保持しつつ降下させ、種結晶17を融液溜りの融液面に接触させる。なお、種結晶17は、予め基板出入口16から引き上げ容器4内に導入しておく。
種結晶17を融液面に接触させる際に、種結晶17の下部を仕切り板18の上部に接触させて溶融しても良い。種結晶17の一部を溶融することで、種結晶17と融液との温度差を速やかに解消ことができ、サファイア単結晶2での結晶欠陥の発生を低減することが可能となる。
続いて基板保持具を所定の上昇速度で引き上げて、種結晶17の引き上げを開始し、ネックを形成する。具体的には、まずシャフト13により基板保持具を高速で上昇させながら細いネックを作製(ネッキング)する。以降ではこの工程をネッキング工程と称する。ネックは、種結晶17の厚み若しくは融液溜りの幅程度の細い径を有する結晶部分である。
ネッキング工程を経た後、ヒータ7を制御して坩堝5の温度を降下させると共に、基板保持具の上昇速度を所定の速度に設定し、種結晶17を中心にサファイア単結晶2を各ダイ9の長手方向に拡幅するように結晶成長させる(スプレディング)。サファイア単結晶2が、各ダイ9の全幅(仕切り板18の端)まで拡幅すると(フルスプレッド)、ダイ9の全幅と同程度の幅を有する面積の広い平板形状のサファイア単結晶2が育成される(直胴工程)。
スプレディング工程により、各ダイ9の全幅までサファイア単結晶2を成長させた後、ダイ9の全幅と同程度の一定幅を有する平板形状の直胴部分26を所定の速度で所定の長さ(直胴長さ)まで引き上げて、平板形状で所望の主面を有するサファイア単結晶2を育成する。
この後、得られたサファイア単結晶2を放冷し、ゲートバルブ15を空け、引き上げ容器4側に移動して、基板出入口16から取り出す。直胴長さは特に限定されないが、2インチ以上(50.8mm以上)が好ましい。
種結晶17、及び仕切り板18を含めたダイパック21は、精密に位置決めする必要がある。よって図1に示したように単結晶育成装置21は、ダイパック21を収納設置する坩堝5を回転する坩堝駆動部6、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。またシャフト13に関しても、シャフト13を回転するシャフト駆動部14、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。即ち、ダイパック21に対する種結晶17の位置決めは、制御部によりシャフト13又は坩堝5を回転させて調整する。
以上のようなダイ9、ダイパック21、単結晶育成装置1、又は単結晶育成方法に依れば、育成される単結晶2の厚みxに対して、各ダイ9の先端の開口角度y1が一次関数式yで容易且つ最適に設定可能となる。
更に育成される単結晶2の厚みxに対して、一次関数式yの導出値により最適な開口角度y1でダイの先端を形成する事が出来るので、育成された単結晶2の厚みの中央部と表面部の温度差を抑制することが可能となる。よって、育成された単結晶2の結晶粒界やリシード又はベントが解消可能となり、結晶品質と歩留りの向上が図れる。
更に、目安となるダイ9の先端の開口角度y1を一次関数式yで関連付ける事が出来るので、開口角度y1の最適化の検証回数を減少させることが可能となる。その結果、単結晶2の結晶品質の改善スピードを向上させることが可能となり、単結晶2の歩留りを速やかに向上させることが出来る。
なお、開口角度y1は一次関数式の計算結果であるyの値に正確に一致している必要は無く、製造公差に応じて各ダイ9毎の開口角度y1には、ある程度のばらつきが許容される。具体的には、開口角度y1を、一次関数式の計算結果であるyの値に対して±5%内の角度で設定する事が、一次関数式yの計算結果に対して開口角度y1を一定の範囲内である5%以内に納めることが可能となり好ましい。
更に、一次関数式yに対して開口角度y1を納めるべき数値範囲(5%以内)が設定されることで、所望の厚みxの単結晶2を育成する為に用意すべきダイ9先端の開口角度y1の検証回数を低減する事が出来る。
開口角度y1が、一次関数式の計算結果であるyの値に対して±5%超となると、所望の厚みxに対する開口角度y1の最適解yからの乖離が大きくなり、もはや最適値と言えなくなることを、本出願人は検証の上見出した。従って、各ダイ9毎の開口角度y1にばらつきが存在しても、各開口角度y1は一次関数式の計算結果であるyの値に対して±5%内とする。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例では、図2に示すスリット19が15箇所設けられたダイパック21を使用した。更にそのダイパック21を備えた図1の単結晶育成装置1を使用し、EFG法の単結晶育成方法により、15個のサファイア単結晶2を1バッチとして6回、ダイ9の厚み(即ち、サファイア単結晶2の厚み)xmmを変えて育成した。
各ダイ9先端の開口角度y1を、ダイ9の厚みxmmの一次関数式y=ax+b(但し、y<180°、x>0mm、a>0、b>0°)で関連付ける。本実施例ではaを7.751、bを47.387とし、更にダイ9の厚みxmmとして3.3mm以上6.5mm以下の範囲内である、3.3mm、3.7mm、4.3mm、4.8mm、6.0mm、6.5mmとし、その各xmmから導出された計算結果であるy°をそれぞれ表1に示す。但し、y値は小数点以下第2位を四捨五入した。
導出されたy値に関連付けて、各ダイ9毎の開口角度y1°を、y値に対して±5%内の誤差率の角度である、表1にしめすような各値に設定した。なお誤差率%とは、実際にダイ9先端に形成される開口角度y1°を基準とし、その開口角度y1°からy°の割合を示した値である。図4に各ダイ9先端の開口角度y1°と、育成したサファイア単結晶2の厚みxmmと、関連付けた一次関数式yとの相関関係のグラフを示す。
育成されたサファイア単結晶2を確認したところ、結晶粒界やリシード又はベントが発生していないことが確認された。
更に、各ダイ9先端の開口角度y1°の検証回数を、導出したy°の値に基づいて各xmm当たり2回に抑えられることも確認した。
1 単結晶育成装置
2 単結晶
3 育成容器
4 引き上げ容器
5 坩堝
6 坩堝駆動部
7 ヒータ
8 電極
9 ダイ
10 断熱材
11 雰囲気ガス導入口
12 排気口
13 シャフト
14 シャフト駆動部
15 ゲートバルブ
16 基板出入口
17 種結晶
18 仕切り板
19 スリット
20 開口部
21 ダイパック
22 斜面
x ダイの厚み
y1 ダイ先端の開口角度

Claims (5)

  1. スリットを有しEFG法に用いられるダイであって、
    ダイの先端が開口角度y1(但しy1<180°)で形成されており、
    更に開口角度y1が、ダイの厚みxmmの一次関数式y=ax+b(但し、y<180°、x>0mm、a>0、b>0°)で関連付けられた角度で形成されており、厚みxが3.3mm以上6.5mm以下であり、aが7.75以上7.80以下であり、開口角度y1が、一次関数式yの±5%内の角度であることを特徴とするダイ。
  2. 前記bが47.0°以上47.39°以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイ。
  3. 請求項1又は2の何れかに記載のダイを2つ以上備えており、各々の前記スリットの長手方向が平行に配置されて構成されることを特徴とするダイパック。
  4. 請求項1又は2の何れかに記載のダイ又は請求項3に記載のダイパックを備えることを特徴とする単結晶育成装置。
  5. 請求項1又は2の何れかに記載のダイ又は請求項3に記載のダイパックを坩堝に収容し、
    坩堝に単結晶の原料を投入して加熱し、原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、
    前記スリットを介して前記スリットの上部に融液溜りを形成し、
    その前記スリットの上部の融液に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げることで、所望の主面を有する単結晶を育成することを特徴とする単結晶育成方法。
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