JP6841433B2 - 発電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、発電素子、より詳しくは、エレクトレットによる発電を行う発電素子、および当該発電素子を用いた発電装置に関する。
従来、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子が知られている。特許文献1および特許文献2には、エレクトレット材料から構成される第1電極と、金属から構成される第2電極とを有する発電素子が記載されている。ここで、エレクトレット材料とは、永久磁石の磁気分極のように、電界を無くしても誘電分極が残留する誘電体である。
特許文献1の発電素子では、第1電極または第2電極がXY平面内で弾性移動する。特許文献2の発電素子では、第1電極または第2電極がX軸方向に弾性移動する。この弾性移動により第2電極の電荷量が変化することにより、電気エネルギーが発電素子から外部に取り出される。
特開2008−86190号公報 特開2011−45194号公報
しかしながら、特許文献1,2では、発電素子の電極(第1電極または第2電極)は所定の方向あるいは所定の平面内でしか弾性移動できず、発電効率が低いという課題があった。
そこで、本発明は、従来発電に利用されていない振動エネルギーを利用することが可能な発電素子および発電装置を提供することを目的とする。
本発明に係る発電素子は、
変位部材と、固定部材と、弾性変形体と、を備える発電素子であって、
前記変位部材および前記固定部材のうち、一方の表面にはエレクトレット材料層が形成されており、他方の表面には前記エレクトレット材料層に対向する対向電極層が形成されており、
前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記弾性変形体が変形することにより、前記エレクトレット材料層と前記対向電極層との間の層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位することを特徴とする。
また、前記発電素子において、
前記変位部材は、前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記固定部材に対して固定されたXYZ三次元直交座標系のX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも2方向に変位可能であるように構成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記変位部材は、前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、X軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能であるように構成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
変位を生じていない状態における前記変位部材の中心位置に原点が配置されるように前記XYZ三次元直交座標系を定義したときに、
前記変位部材が、X軸の正領域と直交する第1の変位面と、X軸の負領域と直交する第2の変位面と、Y軸の正領域と直交する第3の変位面と、Y軸の負領域と直交する第4の変位面と、を有し、
前記固定部材が、X軸の正領域と直交し前記第1の変位面に対向する第1の固定面と、X軸の負領域と直交し前記第2の変位面に対向する第2の固定面と、Y軸の正領域と直交し前記第3の変位面に対向する第3の固定面と、Y軸の負領域と直交し前記第4の変位面に対向する第4の固定面と、を有し、
前記第1の変位面および前記第1の固定面のうち、一方には第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の対向電極層が形成されており、前記第2の変位面および前記第2の固定面のうち、一方には第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の対向電極層が形成されており、前記第3の変位面および前記第3の固定面のうち、一方には第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の対向電極層が形成されており、前記第4の変位面および前記第4の固定面のうち、一方には第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記変位部材が、Z軸の正領域と直交する第5の変位面と、Z軸の負領域と直交する第6の変位面と、をさらに有し、
前記固定部材が、Z軸の正領域と直交し前記第5の変位面に対向する第5の固定面と、Z軸の負領域と直交し前記第6の変位面に対向する第6の固定面と、をさらに有し、
前記第5の変位面および前記第5の固定面のうち、一方には第5のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第5の対向電極層が形成されており、
前記第6の変位面および前記第6の固定面のうち、一方には第6のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第6の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記変位部材には複数箇所に変位支持点が設けられており、前記各変位支持点は、対応する固定支持点にそれぞれ個別の弾性変形体によって接続されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記変位部材および前記固定部材のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、前記凸部を収容する凹部が設けられており、
前記凸部の頂面と前記凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記エレクトレット材料層が形成されており、他方には端部対向電極層が形成されており、
前記凸部の左側面と前記凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記エレクトレット材料層が形成されており、他方には左側対向電極層が形成されており、
前記凸部の右側面と前記凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記エレクトレット材料層が形成されており、他方には右側対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記端部対向電極層、前記左側対向電極層、および前記右側対向電極層が、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成していてもよい。
また、前記発電素子において、
前記変位部材が、XY平面に平行な上面および下面を有する板状構造体により構成され、前記固定部材が、前記板状構造体を取り囲むように配置された枠状構造体により構成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
変位を生じていない状態における前記変位部材の中心位置に原点が配置されるように前記XYZ三次元直交座標系を定義したときに、
前記板状構造体が、X軸の正領域と直交する第1の変位外面と、X軸の負領域と直交する第2の変位外面と、Y軸の正領域と直交する第3の変位外面と、Y軸の負領域と直交する第4の変位外面と、を有し、
前記枠状構造体が、X軸の正領域と直交し前記第1の変位外面に対向する第1の固定内面と、X軸の負領域と直交し前記第2の変位外面に対向する第2の固定内面と、Y軸の正領域と直交し前記第3の変位外面に対向する第3の固定内面と、Y軸の負領域と直交し前記第4の変位外面に対向する第4の固定内面と、を有していてもよい。
また、前記発電素子において、
前記第1の変位外面には、X軸正方向に突出した第1の変位凸部が設けられており、
前記第2の変位外面には、X軸負方向に突出した第2の変位凸部が設けられており、
前記第3の変位外面には、Y軸正方向に突出した第3の変位凸部が設けられており、
前記第4の変位外面には、Y軸負方向に突出した第4の変位凸部が設けられており、
前記第1の固定内面の、前記第1の変位凸部に対向する位置には、X軸負方向に突出した第1の固定凸部が設けられており、
前記第2の固定内面の、前記第2の変位凸部に対向する位置には、X軸正方向に突出した第2の固定凸部が設けられており、
前記第3の固定内面の、前記第3の変位凸部に対向する位置には、Y軸負方向に突出した第3の固定凸部が設けられており、
前記第4の固定内面の、前記第4の変位凸部に対向する位置には、Y軸正方向に突出した第4の固定凸部が設けられており、
前記第1の変位凸部の頂面と前記第1の固定凸部の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の対向電極層が形成されており、
前記第2の変位凸部の頂面と前記第2の固定凸部の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の対向電極層が形成されており、
前記第3の変位凸部の頂面と前記第3の固定凸部の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の対向電極層が形成されており、
前記第4の変位凸部の頂面と前記第4の固定凸部の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記第1の変位外面には、X軸正方向に突出した第1の変位凸部が設けられており、
前記第2の変位外面には、X軸負方向に突出した第2の変位凸部が設けられており、
前記第3の変位外面には、Y軸正方向に突出した第3の変位凸部が設けられており、
前記第4の変位外面には、Y軸負方向に突出した第4の変位凸部が設けられており、
前記第1の固定内面には、前記第1の変位凸部を収容する第1の固定凹部が設けられており、
前記第2の固定内面には、前記第2の変位凸部を収容する第2の固定凹部が設けられており、
前記第3の固定内面には、前記第3の変位凸部を収容する第3の固定凹部が設けられており、
前記第4の固定内面には、前記第4の変位凸部を収容する第4の固定凹部が設けられており、
前記第1の変位凸部の頂面および側面と、前記第1の固定凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の対向電極層が形成されており、
前記第2の変位凸部の頂面および側面と、前記第2の固定凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の対向電極層が形成されており、
前記第3の変位凸部の頂面および側面と、前記第3の固定凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の対向電極層が形成されており、
前記第4の変位凸部の頂面および側面と、前記第4の固定凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記第1の変位凸部の頂面と前記第1の固定凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の端部対向電極層が形成されており、
前記第1の変位凸部の左側面と前記第1の固定凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の左側対向電極層が形成されており、
前記第1の変位凸部の右側面と前記第1の固定凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の右側対向電極層が形成されており、
前記第2の変位凸部の頂面と前記第2の固定凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の端部対向電極層が形成されており、
前記第2の変位凸部の左側面と前記第2の固定凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の左側対向電極層が形成されており、
前記第2の変位凸部の右側面と前記第2の固定凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の右側対向電極層が形成されており、
前記第3の変位凸部の頂面と前記第3の固定凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の端部対向電極層が形成されており、
前記第3の変位凸部の左側面と前記第3の固定凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の左側対向電極層が形成されており、
前記第3の変位凸部の右側面と前記第3の固定凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の右側対向電極層が形成されており、
前記第4の変位凸部の頂面と前記第4の固定凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の端部対向電極層が形成されており、
前記第4の変位凸部の左側面と前記第4の固定凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の左側対向電極層が形成されており、
前記第4の変位凸部の右側面と前記第4の固定凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の右側対向電極層が形成されており、
前記第1〜第4の端部対向電極層、前記第1〜第4の左側対向電極層、および前記第1〜第4の右側対向電極層が、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成していてもよい。
また、前記発電素子において、
前記第1の固定内面には、X軸負方向に突出した第1の固定凸部が設けられており、
前記第2の固定内面には、X軸正方向に突出した第2の固定凸部が設けられており、
前記第3の固定内面には、Y軸負方向に突出した第3の固定凸部が設けられており、
前記第4の固定内面には、Y軸正方向に突出した第4の固定凸部が設けられており、
前記第1の変位外面には、前記第1の固定凸部を収容する第1の変位凹部が設けられており、
前記第2の変位外面には、前記第2の固定凸部を収容する第2の変位凹部が設けられており、
前記第3の変位外面には、前記第3の固定凸部を収容する第3の変位凹部が設けられており、
前記第4の変位外面には、前記第4の固定凸部を収容する第4の変位凹部が設けられており、
前記第1の固定凸部の頂面および側面と、前記第1の変位凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の対向電極層が形成されており、
前記第2の固定凸部の頂面および側面と、前記第2の変位凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の対向電極層が形成されており、
前記第3の固定凸部の頂面および側面と、前記第3の変位凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の対向電極層が形成されており、
前記第4の固定凸部の頂面および側面と、前記第4の変位凹部の底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記第1の固定凸部の頂面と前記第1の変位凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の端部対向電極層が形成されており、
前記第1の固定凸部の左側面と前記第1の変位凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の左側対向電極層が形成されており、
前記第1の固定凸部の右側面と前記第1の変位凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第1のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第1の右側対向電極層が形成されており、
前記第2の固定凸部の頂面と前記第2の変位凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の端部対向電極層が形成されており、
前記第2の固定凸部の左側面と前記第2の変位凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の左側対向電極層が形成されており、
前記第2の固定凸部の右側面と前記第2の変位凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第2のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第2の右側対向電極層が形成されており、
前記第3の固定凸部の頂面と前記第3の変位凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の端部対向電極層が形成されており、
前記第3の固定凸部の左側面と前記第3の変位凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の左側対向電極層が形成されており、
前記第3の固定凸部の右側面と前記第3の変位凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第3のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第3の右側対向電極層が形成されており、
前記第4の固定凸部の頂面と前記第4の変位凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の端部対向電極層が形成されており、
前記第4の固定凸部の左側面と前記第4の変位凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の左側対向電極層が形成されており、
前記第4の固定凸部の右側面と前記第4の変位凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記第4のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第4の右側対向電極層が形成されており、
前記第1〜第4の端部対向電極層、前記第1〜第4の左側対向電極層、および前記第1〜第4の右側対向電極層が、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成していてもよい。
また、前記発電素子において、
前記枠状構造体の内側面には、前記板状構造体に向かって突出するストッパ突起が設けられており、前記変位部材が変位していない状態において、前記ストッパ突起と前記板状構造体との間には所定の空隙寸法が確保されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記固定部材が、前記板状構造体の上方を覆う上方蓋体と、前記板状構造体の下方を覆う下方蓋体と、をさらに有し、
前記変位部材が変位していない状態において、前記上方蓋体の下面と前記板状構造体の上面との間には所定の空隙寸法が確保されており、前記下方蓋体の上面と前記板状構造体の下面との間には所定の空隙寸法が確保されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記板状構造体が、Z軸の正領域と直交する第5の変位外面と、Z軸の負領域と直交する第6の変位外面と、をさらに有し、
前記固定部材が、前記板状構造体の上方を覆う上方蓋体と、前記板状構造体の下方を覆う下方蓋体と、をさらに有し、
前記上方蓋体の下面は、Z軸の正領域と直交し前記第5の変位外面に対向する第5の固定内面を形成し、前記下方蓋体の上面は、Z軸の負領域と直交し前記第6の変位外面に対向する第6の固定内面を形成し、
前記第5の変位外面および前記第5の固定内面のうち、一方には第5のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第5の対向電極層が形成されており、前記第6の変位外面および前記第6の固定内面のうち、一方には第6のエレクトレット材料層が形成されており、他方には第6の対向電極層が形成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記板状構造体が矩形状をなし、その4頂点に対応する4箇所に変位支持点が設けられており、
前記枠状構造体が前記板状構造体を取り囲む矩形状をなし、その4頂点近傍の4箇所に固定支持点が設けられており、前記各変位支持点と前記各固定支持点とは1対1に対応しており、対応する変位支持点と固定支持点とがそれぞれ個別の弾性変形体によって接続されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記弾性変形体が、前記板状構造体の厚みおよび前記枠状構造体の厚みよりも小さな厚みを有し、一端が前記板状構造体に設けられた変位支持点に接続され、他端が前記枠状構造体に設けられた固定支持点に接続された細長い線状構造体によって構成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記弾性変形体が、湾曲もしくは屈曲した細長い線状構造体によって構成されていてもよい。
また、前記発電素子において、
前記板状構造体の上面もしくは下面、またはその両面に、重錘体が接合されていてもよい。
本発明に係る発電装置は、
前記発電素子であって、前記エレクトレット材料層が、その下層に形成されたエレクトレット電極層を介して前記変位部材または前記固定部材の表面に形成された、発電素子と、
前記対向電極層と前記エレクトレット電極層との間に生じる電圧に基づいて電力を生成する発電回路と、
を備えることを特徴とする。
本発明では、発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、弾性変形体が変形することにより、エレクトレット材料層と対向電極層との間の層間距離が変動するように変位部材が固定部材に対して変位する。これにより、本発明によれば、従来のエレクトレット発電素子で利用されていない振動エネルギー、すなわち、エレクトレット材料層と対向電極層との間の層間距離を変動させる振動エネルギーを利用した発電を行うことができる。
本発明の第1の実施形態に係る発電素子の平面図である。 第1の実施形態に係る発電素子を備える発電装置の概略的な構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る発電素子の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る発電素子の斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る発電素子の平面図である。 第4の実施形態に係る発電素子の動作を説明するための図である。 第4の実施形態の変形例に係る発電素子の断面図である。 (a)は本発明の第5の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a),(b),(c)ともに、実施形態に係る弾性変形体を示す図である。 (a)は第5の実施形態に係る発電素子の製造方法を説明するための平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a)は図10(a)のI−I線に沿う断面図であり、(b)は図10(a)のII−II線に沿う断面図である。 (a)はSOI基板の断面図であり、(b)および(c)は弾性変形体が形成されたSOI基板の断面図である。 第5の実施形態の変形例に係る発電素子の断面図である。 (a)は本発明の第6の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a)は本発明の第7の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a),(b),(c)ともに、第7の実施形態に係る発電素子の動作を説明するための平面図である。 (a)は本発明の第7の実施形態の変形例1に係る発電素子の一部を示す平面図であり、(b)は本発明の第7の実施形態の変形例2に係る発電素子の一部を示す平面図である。 (a)は本発明の第8の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a)は本発明の第9の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 (a),(b),(c)ともに、第9の実施形態に係る発電素子の動作を説明するための平面図である。 (a)は本発明の第10の実施形態に係る発電素子の平面図であり、(b)は(a)のX軸に沿う断面図である。 第10の実施形態の変形例に係る発電素子の、X軸に沿う断面図である。 従来のエレクトレット発電による発電素子の動作原理を説明するための図である。
<比較例>
本発明に係る実施形態を説明する前に、比較例に係る発電素子について説明する。
比較例に係る発電素子1000は、図23(a)に示すように、変位部材10と、固定台(図示せず)に固定された固定部材20と、弾性変形体30とを有する。変位部材10と固定部材20は、変位部材10の下面と固定部材20の上面が対向するように互いに平行に配置されている。また、変位部材10と固定部材20は弾性変形体30により接続されているため、変位部材10は、固定部材20に対し所定の方向に沿って弾性移動することが可能である。
変位部材10の下面には、導体から構成されるエレクトレット電極層11A,11B,11C,11D,11Eが紙面垂直方向に延在するようにストライプ状に形成されている。各エレクトレット電極層11A,11B,11C,11D,11Eの上には、エレクトレット材料から構成されるエレクトレット材料層12A,12B,12C,12D,12Eがそれぞれ形成されている。エレクトレット材料層12A〜12Eには、正電荷が蓄積されている。
固定部材20の上面には、導体から構成される対向電極層21A,21B,21C,21D,21Eが紙面垂直方向に延在するようにストライプ状に形成されている。
エレクトレット電極層11A〜11Eおよび対向電極層21A〜21Eはそれぞれ、ダイオードブリッジの所定部分に電気的に接続される。
比較例に係る発電素子1000の動作について説明する。
図23(a)は、変位部材10が固定部材20に対して変位していない状態を示している。この状態において、エレクトレット材料層12A,12B,12C,12D,12Eは、対向電極層21A,21B,21C,21D,21Eとそれぞれ対向する。このため、図23(a)に示すように、対向電極層21A〜21Eには、対向するエレクトレット材料層12A〜12Eの正電荷に応じて負電荷(電子)が誘導される。
次に、図23(b)は、変位部材10が固定部材20に対して変位した状態を示している。この状態において、エレクトレット材料層12C,12D,12Eは、対向電極層21A,21B,21Cとそれぞれ対向する。一方、エレクトレット材料層12A,12Bおよび対向電極層21D,21Eは対向する相手がいなくなる。このため、図23(b)に示すように、対向電極層21D,21Eの負電荷が外部に取り出される。このように、変位部材10が固定部材20に対してスライド変位することにより変位部材10と固定部材20が重なる部分の面積(重なり面積)が減少する場合、発電素子1000の外部に放出される。
次に、図23(c)は、変位部材10が元の位置に戻ってきた状態を示している。この状態では、変位部材10と固定部材20の間の重なり面積が元の大きさに回復するため、対向電極層21D,21Eに負電荷が蓄積される。このように、変位部材10と固定部材20の間の重なり面積が増大する場合、負電荷が発電素子1000の内部に吸収される。
上記のように、比較例に係る発電素子1000では、変位部材10が固定部材20に対してスライド変位することで変位部材10と固定部材20の間の重なり面積が増減することにより発電が行われる。
以下、本発明に係る第1〜第10の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る発電素子1について説明する。
発電素子1は、図1(a)に示すように、変位部材40と、エレクトレット電極層41と、エレクトレット材料層42と、固定部材50と、対向電極層51と、弾性変形体60とを備えている。
変位部材40は、弾性変形体60を介して固定部材50に接続されている。このため、変位部材40は、固定部材50に対しX軸方向に弾性移動することが可能である。本実施形態では、変位部材40は、直方体形状であり、絶縁体で構成されている。
固定部材50は、取付面(取付壁)55に取り付けられている。本実施形態では、固定部材50は直方体形状であり、絶縁体で構成されている。
なお、変位部材40および固定部材50の形状は、直方体以外の形状であってもよい。また、変位部材40および固定部材50は、導体により構成されてもよい。
変位部材40の表面には、エレクトレット電極層41を介してエレクトレット材料層42が形成されている。すなわち、変位部材40の上にエレクトレット電極層41が形成され、その上にエレクトレット材料層42が形成されている。エレクトレット電極層41は、銅またはアルミニウム等の導体から構成されている。エレクトレット材料層42は、エレクトレット材料から構成されている。本実施形態では、エレクトレット材料層42は正に帯電しているが、負に帯電していてもよい。
なお、エレクトレット材料層42を構成するエレクトレット材料としては、公知の高分子電荷保持材料または無機電荷保持材料を用いることが可能である。高分子電荷保持材料の場合は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が適用可能である。また、無機電荷保持材料の場合は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物等が適用可能である。
固定部材50の表面にはエレクトレット材料層42に対向する対向電極層51が形成されている。対向電極層51は、銅またはアルミニウム等の導体から構成されている。
なお、エレクトレット材料層は、変位部材40ではなく、固定部材50に形成されてもよい。この場合、固定部材50の表面にエレクトレット電極層を介してエレクトレット材料層が形成され、変位部材40の表面に対向電極層が形成される。
一般的に言えば、変位部材40および固定部材50のうち、一方の表面にはエレクトレット材料層が形成され、他方の表面にはエレクトレット材料層に対向する対向電極層が形成される。エレクトレット材料層は、その下層に形成されたエレクトレット電極層を介して変位部材40または固定部材50の表面に形成される。
エレクトレット材料層42および対向電極層51は、所定の基準面を挟むように配置されている。本実施形態では、エレクトレット材料層42および対向電極層51は、図1(a)に示すように、所定の基準平面Sに平行になるように配置されている。なお、基準面は曲面であってもよい。例えば、エレクトレット材料層42が凸形状に形成され、対向電極層51が当該凸形状に勘合する凹形状に形成された場合、基準面は凸形状(または凹形状)に沿う曲面となる。
次に、第1の実施形態に係る発電素子1の動作について説明する。
発電素子1では、変位部材40は層間距離が変動するように固定部材50に対し水平方向(X軸方向)に変位し、この変位動作により発電が行われる。ここで、「層間距離」は、対向するエレクトレット材料層42と対向電極層51との間の距離である。
より詳しくは、発電素子1に環境振動等の振動エネルギーが与えられたときに、弾性変形体60が変形する。これにより、変位部材40は、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離が変動するように固定部材50に対して変位する。
変位部材40が変位していないとき、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離はd1である。この状態では、図1(a)に示すように、エレクトレット材料層42に蓄積された正電荷により、対向電極層51には負電荷が誘導される。なお、エレクトレット材料層42が負に帯電している場合には、対向電極層51には正電荷が誘導される。本明細書の以下の説明では、特に断らない限り、エレクトレット材料層の電荷によって対向電極層に誘導される正電荷または負電荷を総称して単に「電荷」という。
−X軸方向(以下、「X軸負方向」ともいう。)の力が変位部材40に作用すると、図1(b)に示すように、変位部材40は固定部材50から離れ、層間距離はd1よりも大きいd2となる。これにより、対向電極層51に誘導される電荷は減少する。反対に、+X軸方向(以下、「X軸正方向」ともいう。)の力が変位部材40に作用すると、図1(c)に示すように、変位部材40は固定部材50に近づき、層間距離はd1よりも小さいd3となる。これにより、対向電極層51に誘導される電荷は増加する。
このように、発電素子1は、変位部材40が基準平面Sに対して垂直方向に変位することにより発電を行う。
上記の現象、すなわち、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離の変動により対向電極層51に誘導される電荷量が変化するという現象は、本願の発明者が独自に発見した現象であり、層間距離を増減させたところ電荷の増減が偶然に確認できたものである。この現象の理由については、エレクトレット電極層41と対向電極層51から構成されるコンデンサの静電容量が変化するためと推察される。より詳しくは、層間距離がd1からd2に広がるとコンデンサの静電容量が低下するため、対向電極層51に蓄積される電荷の数が減少し、反対に、層間距離がd1からd3に狭まるとコンデンサの静電容量が増加するため、対向電極層51に蓄積される電荷の数が増加する。これに起因して、層間距離を増減させた場合、対向電極層51に誘導される電荷量が変化するものと推察される。
次に、発電素子1を備える発電装置100について説明する。
発電装置100は、図2に示すように、発電素子1と、発電回路2とを備えている。発電回路2は、対向電極層51とエレクトレット電極層41との間に生じる電圧に基づいて電力を生成するように構成されている。本実施形態では、発電回路2は、ダイオードD1,D2,D3,D4から構成されるダイオードブリッジと、平滑コンデンサCとを有し、対向電極層51とエレクトレット電極層41との間に生じる電圧を整流して直流電力を生成する。生成された直流電力は、出力端子T1,T2を介して負荷RLに供給される。
エレクトレット電極層41および対向電極層51は、発電回路2に電気的に接続されている。本実施形態では、図2に示すように、エレクトレット電極層41は、ダイオードD2のカソードとダイオードD3のアノードとの接続点Xに電気的に接続され、対向電極層51は、ダイオードD1のカソードとダイオードD4のアノードとの接続点Yに電気的に接続されている。
なお、発電回路2は直流電力に限らず、交流電力を生成して出力してもよい。例えば、発電回路2は、直流電力を交流電力に変換するインバータをダイオードブリッジに後段にさらに有してもよい。
また、発電装置100が有する発電素子は、本実施形態に係る発電素子1に限らず、以下に説明する各実施形態に係る発電素子のいずれであってもよい。
以上説明したように、発電素子1では、変位部材40が、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離が変動するように固定部材50に対して変位することにより発電が行われる。よって、第1の実施形態によれば、従来のエレクトレット発電素子で利用されていない振動エネルギー、すなわち、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離を変動させる振動エネルギーを利用した発電を行うことができる。
さらに、層間距離が短くなるほど、エレクトレット材料層42に帯電した電荷量を上限として、対向電極層51に誘導される電荷量が大きくなる。よって、第1の実施形態によれば、比較例に係る発電素子1000よりも発電量を増加させることができる可能性がある。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る発電素子1Aについて説明する。第1の実施形態では変位部材40の変位方向が水平方向(X軸方向)であったが、第2の実施形態では、変位部材40は鉛直方向(Z軸方向)に変位する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る発電素子1Aは、図3に示すように、変位部材40と、エレクトレット電極層41と、エレクトレット材料層42と、固定部材50と、対向電極層51と、弾性変形体60とを備えている。
本実施形態では、図3に示すように、変位部材40は、弾性変形体60を介して取付面(天面)56にぶら下げられている。固定部材50は、取付面57上に固定されている。変位部材40は層間距離が変動するように固定部材50に対し鉛直方向に変位する。この変位動作により、発電素子1と同様の動作原理による発電(すなわち、層間距離の変動に基づく発電)が行われる。
よって、第2の実施形態によれば、従来のエレクトレット発電素子で利用されていない振動エネルギー、すなわち、エレクトレット材料層42と対向電極層51との間の層間距離を変動させる振動エネルギーを利用した発電を行うことができる。
さらに、発電素子1Aでは、変位部材40は弾性変形体60を介して取付面56にぶら下がっているだけなので、振り子のように、鉛直方向以外の方向に変位することも可能である。すなわち、発電素子1Aでは、固定部材50に対して固定されたXYZ三次元直交座標系を定義したときに、変位部材40がX軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能となるように、変位部材40と固定部材50とが弾性変形体60によって接続されているとも言える。
したがって、発電素子1Aは、比較例に係る発電素子1000と同様の発電(すなわち、重なり面積の変動に基づく発電)を行うことも可能である。このように、第2の実施形態によれば、全ての方向の振動エネルギーを利用することができ、発電効率をさらに向上させることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る発電素子1Bについて説明する。第1および第2の実施形態では、変位部材40は1本の弾性変形体60により支持されていたが、第3の実施形態では、変位部材40は複数の弾性変形体により支持されている。以下、第1および第2の実施形態との相違点を中心に第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る発電素子1Bは、図4に示すように、変位部材40と、エレクトレット電極層41と、エレクトレット材料層42と、固定部材50と、対向電極層51と、複数の弾性変形体61,62,63,64とを備えている。
固定部材50は、取付面57の上に固定されている。
図4に示すように、変位部材40には4箇所に変位支持点a1,a2,a3,a4が設けられている。
各変位支持点は、対応する固定支持点に弾性変形体によって接続されている。すなわち、各変位支持点と各固定支持点とは1対1に対応している。例えば、変位支持点a1は固定支持点b1に対応しており、変位支持点a2は固定支持点b2に対応している。そして、対応する変位支持点と固定支持点とがそれぞれ個別の弾性変形体によって接続されている。すなわち、変位支持点a1と固定支持点b1とが弾性変形体61によって接続され、変位支持点a2と固定支持点b2とが弾性変形体62によって接続され、変位支持点a3と固定支持点b3とが弾性変形体63によって接続され、変位支持点a4と固定支持点b4とが弾性変形体64によって接続されている。
弾性変形体61,62,63,64は、図4に示すように、一端が取付面(取付壁)58に固定され、他端が変位部材40に固定されている。変位部材40が安定的に支持されるように、弾性変形体61〜64のばね定数は等しいことが好ましい。
図4に示すように、弾性変形体61〜64の各々は、直方体形状の変位部材40の鉛直方向の各辺にそれぞれ接続されている。これにより、変位部材40を安定的に支持しつつ、Z軸方向に変位し易くすることができる。
なお、弾性変形体の数は4本に限られない。例えば、変位部材40が平面視してn角形(n:3以上の整数)の場合、変位部材40はn本の弾性変形体により支持されてもよい。各弾性変形体の端部は、変位部材40の辺に固定されてもよいし、変位部材40の面または頂点に固定されてもよい。
また、変位部材40の形状は、直方体に限らず、他の形状(多角柱、多角錐、円柱、円錐、球、楕円球等)であってもよい。
上記のように、第3の実施形態では、変位部材40が弾性変形体61〜64により取付面58に接続されることにより、変位部材40は、X軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能である。よって、第2の実施形態に係る発電素子1Aと同様に、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行うことができ、発電効率をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態は、発電素子1Bに振動エネルギーが与えられたときに、変位部材40がX軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能に構成される場合に限られない。すなわち、変位部材40は、XYZ三次元直交座標系のX軸およびZ軸の2方向、またはY軸およびZ軸の2方向に変位可能であるように構成されていてもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る発電素子1Cについて説明する。第1〜第3の実施形態では、変位部材40の一つの面に対してのみエレクトレット材料層が設けられていたが、第4の実施形態では、変位部材40の各側面についてそれぞれエレクトレット材料層が設けられている。以下、第1〜第3の実施形態との相違点を中心に第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態に係る発電素子1Cは、図5に示すように、変位部材40と、エレクトレット電極層41と、エレクトレット材料層42と、固定部材50と、対向電極層51と、複数の弾性変形体61,62,63,64とを備えている。エレクトレット電極層41は、変位部材40の全周を被覆するように設けられている。エレクトレット材料層42は、複数のエレクトレット材料層42A,42B,42C,42Dを有している。固定部材50は、固定部材50A,50B,50C,50Dを有している。
変位を生じていない状態における変位部材40の中心位置に原点Oが配置されるようにXYZ三次元直交座標系を定義する。
まず、本実施形態における変位部材40について説明する。変位部材40は、図5に示すように、変位面40a(第1の変位面)と、変位面40b(第2の変位面)と、変位面40c(第3の変位面)と、変位面40d(第4の変位面)と、を有する。変位面40aはX軸の正領域と直交する面であり、変位面40bはX軸の負領域と直交する面であり、変位面40cはY軸の正領域と直交する面であり、変位面40dはY軸の負領域と直交する面である。
本実施形態では、変位部材40の各側面にエレクトレット材料層が設けられている。すなわち、図5に示すように、エレクトレット材料層42A〜42Dが変位部材40の各側面にそれぞれ設けられている。より詳しくは、エレクトレット材料層42Aはエレクトレット電極層41を介して変位面40aに設けられ、エレクトレット材料層42Bはエレクトレット電極層41を介して変位面40bに設けられ、エレクトレット材料層42Cはエレクトレット電極層41を介して変位面40cに設けられ、エレクトレット材料層42Dはエレクトレット電極層41を介して変位面40dに設けられている。本実施形態では、エレクトレット材料層42A〜42Dは正に帯電している。なお、エレクトレット材料層42A〜42Dは負に帯電したものであってもよい。
第4の実施形態では、図5に示すように、弾性変形体61〜64は、一端が取付面(取付壁)59に固定され、他端がエレクトレット材料層42に固定されている。これにより、第3の実施形態と同様、変位部材40は、X軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能である。
次に、本実施形態における固定部材50について説明する。固定部材50は、固定面50a(第1の固定面)と、固定面50b(第2の固定面)と、固定面50c(第3の固定面)と、固定面50d(第4の固定面)と、を有する。固定面50aはX軸の正領域と直交し変位面40aに対向する面であり、固定面50bはX軸の負領域と直交し変位面40bに対向する面であり、固定面50cはY軸の正領域と直交し変位面40cに対向する面であり、固定面50dはY軸の負領域と直交し変位面40dに対向する面である。
固定部材50は、図5に示すように、互いに別体の固定部材50A,50B,50C,50Dから構成されている。固定部材50Aが固定面50aを有し、固定部材50Bが固定面50bを有し、固定部材50Cが固定面50cを有し固定部材50Dが固定面50dを有する。
なお、固定部材50は一つの部材で構成されてもよい。例えば、固定部材50を枠状の枠部材とし、当該枠部材の内側面が固定面50a〜50dとなるようにしてもよい(例えば後述の第5の実施形態における固定内面80a〜80dを参照。)。
変位面40aおよび固定面50aのうち、一方にはエレクトレット材料層42A(第1のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51A(第1の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、変位面40aにエレクトレット電極層41を介してエレクトレット材料層42Aが形成され、固定面50aに対向電極層51Aが形成されている。
他の変位面および固定面についても同様に、エレクトレット材料層および対向電極層が形成されている。すなわち、変位面40bおよび固定面50bのうち、一方にはエレクトレット材料層42B(第2のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51B(第2の対向電極層)が形成されている。変位面40cおよび固定面50cのうち、一方にはエレクトレット材料層42C(第3のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51C(第3の対向電極層)が形成されている。変位面40dおよび固定面50dのうち、一方にはエレクトレット材料層42D(第4のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51D(第4の対向電極層)が形成されている。
次に、第4の実施形態に係る発電素子1Cの動作について説明する。
+X軸方向の力が変位部材40に作用すると、変位部材40は固定部材50Aに近づくとともに固定部材50Bから離れる。これにより、エレクトレット材料層42Aと対向電極層51Aとの間の層間距離は小さくなるとともに、エレクトレット材料層42Bと対向電極層51Bとの間の層間距離は大きくなる。その結果、対向電極層51Aに誘導される電荷は増加し、対向電極層51Bに誘導される電荷は減少する。
反対に、−X軸方向の力が変位部材40に作用すると、対向電極層51Aに誘導される電荷は減少し、対向電極層51Bに誘導される電荷は増加する。このように変位部材40がX軸正方向に変位する場合だけでなく、X軸負方向に変位する場合についても発電素子1Cから電荷が取り出される。すなわち、変位部材40がX軸方向に振動することにより、対向電極層51Aおよび51Bの両方から電荷が取り出される。また、変位部材40がY軸方向に振動する場合にも、対向電極層51Cおよび51Dの両方から電荷が取り出される。よって、第4の実施形態によれば、発電効率をさらに向上させることができる。
次に、発電素子1Cにより行われる、重なり面積の変動に基づく発電について説明する。
変位部材40がX軸方向に振動する際は、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとの間の層間距離、およびエレクトレット材料層42Dと対向電極層51Dとの間の層間距離はいずれも一定のままである。このため、Y軸方向については、層間距離の変動に基づく発電は行われない。しかし、比較例に係る発電素子1000と同じ発電原理による発電がY軸方向について行われる。より詳しくは、変位部材40が変位していない場合(すなわち、変位部材40の中心がXYZ三次元直交座標系の原点Oに位置する場合)、発電素子1CをY軸正方向に向かって見たとき、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとが重なる部分は、図6(a)において斜線で示す領域となり、重なり面積は最大である。
変位部材40が原点OからX軸正方向に変位する場合、図6(b)の左図に示すように、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとが重なる部分の面積(重なり面積)は減少する。同様に、エレクトレット材料層42Dと対向電極層51Dとが重なる部分の面積も減少する。変位部材40が原点OからX軸負方向に変位する場合も、図6(b)の右図に示すように、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとが重なる部分の面積は減少する。同様に、エレクトレット材料層42Dと対向電極層51Dとが重なる部分の面積も減少する。一方、弾性変形体61〜64の復元力により変位部材40が原点Oに戻る場合、重なり面積は増大する。
このように、変位部材40がX軸方向に振動する際、Y軸方向について重なり面積が増減するため、重なり面積の変動に基づく発電を行うことができる。同様に、変位部材40がY軸方向に振動する際は、X軸方向について重なり面積が増減するため、重なり面積の変動に基づく発電を行うことができる。
さらに、発電素子1Cは、Z軸方向の振動エネルギーを受けて、重なり面積の変動に基づく発電することも可能である。すなわち、変位部材40がZ軸方向に振動する際には、X軸およびY軸方向について、重なり面積の変動に基づく発電が行われる。より詳しくは、原点Oに位置する変位部材40がZ軸正方向またはZ軸負方向に変位する場合、エレクトレット材料層42Aと対向電極層51Aとの間の第1の重なり面積、エレクトレット材料層42Bと対向電極層51Bとの間の第2の重なり面積、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとの間の第3の重なり面積、および、エレクトレット材料層42Dと対向電極層51Dとの間の第4の重なり面積はいずれも減少する。したがって、対向電極層51A〜51Dから電荷が取り出される。
例えば、変位部材40が原点OからZ軸正方向に変位する場合、図6(c)の左図に示すように、エレクトレット材料層42Cと対向電極層51Cとの間の第3の重なり面積は減少する。同様に、第1、第2および第4の重なり面積も減少する。変位部材40が原点OからZ軸負方向に変位する場合も、図6(c)の右図に示すように、第3の重なり面積は減少する。同様に、第1、第2および第4の重なり面積も減少する。一方、弾性変形体61〜64の復元力により変位部材40が原点Oに戻る際には、第1〜第4の重なり面積はいずれも増大し、対向電極層51A〜51Dに電荷が取り込まれる。
このように、変位部材40がZ軸方向に振動する際、X軸およびY軸の両方向について重なり面積が増減するため、重なり面積の変動に基づく発電を行うことができる。
以上説明したように、第4の実施形態に係る発電素子1Cは、変位部材40がX軸方向またはY軸方向に振動する際は、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行い、変位部材40がZ軸方向に振動する際は、重なり面積の変動に基づく発電を行う。このように、発電素子1Cは、どのような方向の振動であっても発電に利用することができる。よって、第4の実施形態によれば、従来の発電素子に比べて格段に効率的な発電を行うことができる。
なお、本実施形態は、発電素子1Cに振動エネルギーが与えられたときに、変位部材40がX軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能に構成される場合に限られない。すなわち、変位部材40は、XYZ三次元直交座標系のX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも2方向に変位可能であるように構成されていてもよい。
<第4の実施形態の変形例>
ここで、第4の実施形態の変形例に係る発電素子1Caについて、図7を参照して説明する。図7は、発電素子1CaのX−Z平面での断面を示す断面図である。本変形例では、固定部材(対向電極層)が変位部材の各面に対して配置(6面配置)されている。すなわち、エレクトレット材料層42A〜42Dに加えて、変位部材40の上方および下方にもエレクトレット材料層42E,42Fが設けられている。また、本変形例では、エレクトレット電極層41は、直方体形状の変位部材40の6面全面に形成されている。
発電素子1Caの変位部材40は、変位面40a、変位面40b、変位面40cおよび変位面40dに加えて、図7に示すように、変位面40e(第5の変位面)および変位面40f(第6の変位面)をさらに有する。変位面40eはZ軸正領域と直交する面であり、変位面40fはZ軸負領域と直交する面である。
発電素子1Caの固定部材50は、固定部材50A,50B,50C,50D,50E,50Fを有する。固定部材50Eは固定面50e(第5の固定面)を有し、固定部材50Fは固定面50f(第6の固定面)を有する。固定面50eはZ軸の正領域と直交し変位面40eに対向する面であり、固定面50fはZ軸の負領域と直交し変位面40fに対向する面である。このように、固定部材50は、固定面50a、固定面50b、固定面50cおよび固定面50dに加えて、固定面50eおよび固定面50fをさらに有する。
変位面40eおよび固定面50eのうち、一方にはエレクトレット材料層42E(第5のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51E(第5の対向電極層)が形成されている。同様に、変位面40fおよび固定面50fのうち、一方にはエレクトレット材料層42F(第6のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層51F(第6の対向電極層)が形成されている。本変形例では、変位面40eにはエレクトレット電極層41を介してエレクトレット材料層42Eが形成され、固定面50eには対向電極層51Eが形成されている。変位面40fにはエレクトレット電極層41を介してエレクトレット材料層42Fが形成され、固定面50fには対向電極層51Fが形成されている。
発電素子1Caは、変位部材40がZ軸方向に振動した場合に、X軸およびY軸について重なり面積の変動に基づく発電を行うのに加えて、Z軸について層間距離の変動に基づく発電が行う。さらに、変位部材40がX軸またはY軸方向に振動した場合、発電素子1Caは、Z軸について重なり面積の変動に基づく発電を行う。したがって、本変形例によれば、発電素子の発電効率をさらに向上させることができる。
以下、より実際的な構成を有する第5〜第10の実施形態について説明する。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る発電素子1Dについて説明する。この発電素子1Dは、第4の実施形態で説明した発電素子1Cと動作原理はほぼ同じであるが、より実際的な構成を備えるものである。
第5の実施形態に係る発電素子1Dは、図8(a)および図8(b)に示すように、変位部材として機能する板状構造体70と、固定部材として機能する枠状構造体80と、板状構造体70および枠状構造体80を接続する弾性変形体91〜94とを備えている。
変位を生じていない状態における板状構造体70(変位部材40)の中心位置に原点Oが配置されるようにXYZ三次元直交座標系を定義する。
板状構造体70は、矩形状をなす部材である。板状構造体70は、変位外面70a(第1の変位外面)と、変位外面70b(第2の変位外面)と、変位外面70c(第3の変位外面)と、変位外面70d(第4の変位外面)と、を有する。変位外面70aはX軸の正領域と直交する面であり、変位外面70bはX軸の負領域と直交する面であり、変位外面70cはY軸の正領域と直交する面であり、変位外面70dはY軸の負領域と直交する面である。
また、板状構造体70は、XY平面に平行な上面(変位外面70e)および下面(変位外面70f)を有する。変位外面70eはZ軸の正領域と直交する面であり、変位外面70fはZ軸の負領域と直交する面である。
図8(a)に示すように、板状構造体70の変位外面70a〜70dにはそれぞれ変位凸部71〜74が設けられている。より詳しくは、変位外面70aには、X軸正方向に突出した変位凸部71(第1の変位凸部)が設けられ、変位外面70bには、X軸負方向に突出した変位凸部72(第2の変位凸部)が設けられ、変位外面70cには、Y軸正方向に突出した変位凸部73(第3の変位凸部)が設けられ、変位外面70dには、Y軸負方向に突出した変位凸部74(第4の変位凸部)が設けられている。なお、本実施形態では、変位凸部71〜74はそれぞれ2つずつ設けられているが、これに限らず、任意の数の変位凸部を設けてもよい。
枠状構造体80は、板状構造体70を取り囲むように配置されており、矩形状をなしている。本実施形態では、図8(b)に示すように、板状構造体70と枠状構造体80の厚みはほぼ同じである。
枠状構造体80は、固定内面80a(第1の固定内面)と、固定内面80b(第2の固定内面)と、固定内面80c(第3の固定内面)と、固定内面80d(第4の固定内面)と、を有している。固定内面80aはX軸の正領域と直交し変位外面70aに対向する面であり、固定内面80bはX軸の負領域と直交し変位外面70bに対向する面であり、固定内面80cはY軸の正領域と直交し変位外面70cに対向する面であり、固定内面80dはY軸の負領域と直交し変位外面70dに対向する面である。
図8(a)に示すように、固定内面80aの、変位凸部71に対向する位置には、X軸負方向に突出した固定凸部81(第1の固定凸部)が設けられている。同様に、固定内面80bの、変位凸部72に対向する位置には、X軸正方向に突出した固定凸部82(第2の固定凸部)が設けられている。固定内面80cの、変位凸部73に対向する位置には、Y軸負方向に突出した固定凸部83(第3の固定凸部)が設けられている。固定内面80dの、変位凸部74に対向する位置には、Y軸正方向に突出した固定凸部84(第4の固定凸部)が設けられている。
変位凸部71の頂面と固定凸部81の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75(第1のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層85(第1の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図8(a)に示すように、変位凸部71の頂面にエレクトレット材料層75が形成され、固定凸部81の頂面に対向電極層85が形成されている。この対向電極層85は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP1に電気的に接続されている。
エレクトレット材料層75は、変位凸部71の表面のうち、少なくとも頂面に設けられていればよい。また、エレクトレット材料層75は、図8(a)に示すように、変位外面70aの全面にわたって形成されてもよい。エレクトレット材料層76〜78についても同様である。
対向電極層85は、固定凸部81の表面のうち、少なくとも頂面に設けられていればよい。また、対向電極層85は、図8(a)に示すように、固定凸部81の頂面だけでなく、固定凸部81の側面にも形成されてよい。固定凸部81の側面に形成された対向電極層85は発電には寄与せず、配線として機能する。また、図8(a)に示すように、隣り合う固定凸部81の側面に形成された対向電極層同士を電気的に接続するために、固定内面80aに対向電極層が形成されてもよい。対向電極層86〜88についても同様である。
変位凸部72の頂面と固定凸部82の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76(第2のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層86(第2の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図8(a)に示すように、変位凸部72の頂面にエレクトレット材料層76が形成され、固定凸部82の頂面に対向電極層86が形成されている。この対向電極層86は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP2に電気的に接続されている。
変位凸部73の頂面と固定凸部83の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77(第3のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層87(第3の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図8(a)に示すように、変位凸部73の頂面にエレクトレット材料層77が形成され、固定凸部83の頂面に対向電極層87が形成されている。この対向電極層87は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP3に電気的に接続されている。
変位凸部74の頂面と固定凸部84の頂面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78(第4のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層88(第4の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図8(a)に示すように、変位凸部74の頂面にエレクトレット材料層78が形成され、固定凸部84の頂面に対向電極層88が形成されている。この対向電極層88は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP4に電気的に接続されている。
エレクトレット材料層75〜78は、本実施形態では正に帯電している。なお、エレクトレット材料層75〜78は負に帯電したものであってもよい。
パッドP1,P2と、パッドP3,P4とは、電荷が打ち消し合うことを防止するために、それぞれ別の発電回路(ダイオードブリッジ等)に電気的に接続されることが好ましい。なお、発電される電荷の増減が一致する等の場合は、パッドP1,P2とパッドP3,P4とを同じ発電回路に電気的に接続してもよい。
エレクトレット材料層75〜78と変位外面70a〜70dとの間には、それぞれエレクトレット電極層(図示せず)が設けられている。このエレクトレット電極層は、弾性変形体91〜94上に形成された配線(図示せず)を介して発電装置の発電回路(ダイオードブリッジ等)に電気的に接続される。
なお、エレクトレット材料層75〜78は、エレクトレット材料からなる一体の層であってもよい。すなわち、板状構造体70の側面全周にエレクトレット材料層を形成してもよい。
また、板状構造体70の変位外面70a〜70dに対向電極層を形成し、枠状構造体80の固定内面80a〜80dにエレクトレット電極層とエレクトレット材料層をこの順に形成してもよい。
第5の実施形態に係る発電素子1Dでは、板状構造体70がX軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能となるように、板状構造体70と枠状構造体80とが4本の弾性変形体91〜94によって接続されている。
弾性変形体91〜94は、図8(a)に示すように、一端が枠状構造体80の内側角部に固定され、他端が板状構造体70の角部に固定されている。より詳しくは、弾性変形体91,92,93,94は、一端が変位支持点a1,a2,a3,a4にそれぞれ接続され、他端が固定支持点b1,b2,b3,b4に接続されている。変位支持点a1〜a4は板状構造体70に設けられ、固定支持点b1〜b4は枠状構造体80に設けられている。より詳しくは、変位支持点a1,a2,a3,a4は、矩形状をなす板状構造体70の4頂点に対応する4箇所に設けられている。固定支持点b1,b2,b3,b4は、矩形状をなす枠状構造体80の4頂点近傍の4箇所に設けられている。
各変位支持点と各固定支持点とは1対1に対応しており、対応する変位支持点と固定支持点とがそれぞれ個別の弾性変形体によって接続されている。すなわち、変位支持点a1と固定支持点b1とが弾性変形体91によって接続され、変位支持点a2と固定支持点b2とが弾性変形体92によって接続され、変位支持点a3と固定支持点b3とが弾性変形体93によって接続され、変位支持点a4と固定支持点b4とが弾性変形体94によって接続されている。
弾性変形体91,92,93,94は、図8(b)に示すように、板状構造体70の厚みおよび枠状構造体80の厚みよりも小さな厚みを有しており、細長い線状構造体によって構成されている。
図9(a)は、弾性変形体91〜94が1本の線状構造体から構成された場合を示している。なお、弾性変形体91〜94は、このような形態に限られず、様々な形態をとることが可能である。例えば、図9(b)に示す弾性変形体90Aや、図9(c)に示す弾性変形体90Bにより、板状構造体70と枠状構造体80とを接続してもよい。弾性変形体90Aは湾曲した細長い線状構造体によって構成されており、弾性変形体90Bは屈曲した細長い線状構造体によって構成されている。このように湾曲もしくは屈曲した形状とすることで、弾性変形体が変形し易くなり、ばね定数を小さくすることができる。これにより、板状構造体70の振動周波数を低周波数の外部振動(環境振動等)に合わせることができる。その結果、発電素子1Dの発電効率を高めることができる。なお、湾曲部分もしくは屈曲部分の曲率やその数は、所望のばね定数に応じて選択される。
図8(a)に示すように、枠状構造体80の内側面には、板状構造体70に向かって突出するストッパ突起89が設けられている。より詳しくは、枠状構造体80の固定内面80a〜80dにそれぞれストッパ突起89が2本ずつ設けられている。
板状構造体70が変位していない状態(すなわち、板状構造体70の中心が原点Oに位置する状態)において、ストッパ突起89と板状構造体70との間には所定の空隙寸法が確保されている。この空隙寸法は、板状構造体70が弾性変形体91〜94に破損を生じる程まで過度に変位することを抑制しうる寸法に設定されている。
なお、空隙寸法は、板状構造体70が変位することにより、対向するエレクトレット材料層と対向電極層とが接触してショートすることを回避しうる寸法に設定されてもよい。例えば、板状構造体70がX軸正方向に変位したときに、エレクトレット材料層75と対向電極層85とが接触しないように空隙寸法が設定される。具体的には、板状構造体70が変位していない状態において、変位外面70aとストッパ突起89の頂面との間の距離が、変位凸部71の頂面と固定凸部81の頂面との間の距離がよりも短くなるように、ストッパ突起89の長さを設定する。
次に、第5の実施形態に係る発電素子1Dの動作について説明する。動作原理としては、発電素子1Dは第4の実施形態に係る発電素子1Cとほぼ同様である。
+X軸方向の力が板状構造体70に作用すると、変位凸部71は固定凸部81に近づくとともに変位凸部72は固定凸部82から離れる。これにより、変位凸部71と固定凸部81との間の距離は小さくなるとともに、変位凸部72と固定凸部82との間の距離は大きくなる。変位凸部71の頂面部分のエレクトレット材料層75と、固定凸部81の頂面部分の対向電極層85との間の層間距離が変動するため、対向電極層85に誘導される電荷は増加し、対向電極層86に誘導される電荷は減少する。その結果、パッドP1から発電素子1Dの内部に電荷が取り込まれ、パッドP2から発電素子1Dの外部に電荷が取り出される。
反対に、−X軸方向の力が板状構造体70に作用すると、対向電極層85に誘導される電荷は減少し、対向電極層86に誘導される電荷は増加する。その結果、パッドP1から発電素子1Dの外部に電荷が取り出され、パッドP2から発電素子1Dの内部に電荷が取り込まれる。
このようにして、板状構造体70がX軸方向に振動する際、パッドP1,P2から層間距離の変動に基づく電力を取り出すことができる。同様に、板状構造体70がY軸方向に振動する際、パッドP3,P4から、層間距離の変動に基づく電力を取り出すことができる。
また、層間距離の変動に基づく発電だけでなく、重なり面積の変動に基づく発電も行われる。すなわち、板状構造体70がX軸方向に振動する際、エレクトレット材料層77と対向電極層87との間の重なり面積、およびエレクトレット材料層78と対向電極層88との間の重なり面積が増減する。このため、発電素子1Dは、比較例の発電素子1000と同様に重なり面積の変動に基づく発電を行うことができる。すなわち、発電素子1Dによれば、板状構造体70がX軸方向に振動する際、パッドP1,P2からだけでなく、パッドP3,P4からも電力を取り出すことができる。
板状構造体70がY軸方向に振動する場合もX軸方向に振動する場合と同様に、パッドP1〜P4から電力を取り出すことができる。より詳しくは、板状構造体70がY軸方向に振動する場合、パッドP1,P2からは重なり面積の変動に基づく電力が取り出され、パッドP3,P4からは層間距離の変動に基づく電力が取り出される。
なお、図8(a)に示すように、変位凸部71と固定凸部81のペア、および変位凸部72と固定凸部82のペアがそれぞれ複数組(本実施形態では2組)設けられている。これにより、板状構造体70がY軸方向に振動する際、重なり面積の変動による発電量を、ペア数が1組の場合に比べて2倍に増やすことができる。同様に、変位凸部73と固定凸部83のペア、および変位凸部74と固定凸部84のペアがそれぞれ複数組(本実施形態では2組)設けられていることにより、板状構造体70がX軸方向に振動する際における、重なり面積の変動による発電量を増やすことができる。なお、ペア数は2組に限らず、3組以上であってもよい。
重なり面積の変動による発電は、板状構造体70がZ軸方向に振動する場合にも行われる。より詳しくは、原点Oに位置する板状構造体70がZ軸正方向またはZ軸負方向に変位する場合、エレクトレット材料層75と対向電極層85との間の重なり面積、エレクトレット材料層76と対向電極層86との間の重なり面積、エレクトレット材料層77と対向電極層87との間の重なり面積、およびエレクトレット材料層78と対向電極層88との間の重なり面積はいずれも減少する。したがって、対向電極層85〜88(すなわち、P1〜P4)から電荷が取り出される。その後、弾性変形体91〜94の復元力により板状構造体70が原点Oに戻る際には、いずれの重なり面積も増大するため、対向電極層85〜88(すなわち、P1〜P4)に電荷が取り込まれる。
以上説明したように、第5の実施形態に係る発電素子1Dは、板状構造体70がX軸方向に振動する際、X軸方向については固定凸部81,82において、層間距離の変動に基づく発電を行うとともに、Y軸方向については固定凸部83,84において、重なり面積の変動に基づく発電を行う。同様に、板状構造体70がY軸方向に振動する際、発電素子1Dは、Y軸方向については固定凸部83,84において層間距離の変動に基づく発電を行うとともに、X軸方向については固定凸部81,82において重なり面積の変動に基づく発電を行う。さらに、発電素子1Dは、板状構造体70がZ軸方向に振動する際、固定凸部81〜84において重なり面積の変動に基づく発電を行う。よって、第5の実施形態によれば、従来の発電素子に比べて格段に効率的な発電を行うことができる。
<発電素子の製造方法>
ここで、発電素子1Dの製造方法の一例についてその概略を説明する。
まず、シリコン基板等の半導体基板を準備する。半導体基板の厚みは、例えば300μmである。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて半導体基板を所望の形状に加工する。具体的には、図10(a),(b)および図11(a),(b)に示すように、半導体基板を加工する。図11(a)は図10(a)のI−I線に沿う断面図であり、図11(b)は図10(a)のII−II線に沿う断面図である。
弾性変形体91〜94は他の部分よりも薄い。各部位の寸法は、例えば、板状構造体70の辺の長さLが7mm、変位凸部71〜74の幅Wが100μm、変位凸部71〜74の高さTが100μmである。弾性変形体91〜94のサイズは、例えば、幅が100μm、厚みが30μm、長さが1mm程度である。
なお、半導体基板として、SOI基板(Silicon On Insulator)を用いてもよい。図12(a)に示すように、SOI基板200は、表面Si層201と、BOX(Buried Oxide)層202と、Si基板203とを有している。SOI基板を用いる場合、弾性変形体91〜94は、図12(b)に示すように表面Si層201のみ、あるいは、図12(c)に示すように表面Si層201とBOX層202から構成される。SOI基板を用いる場合はBOX層202をエッチングストッパーとして利用できるため、エッチング工程を容易に行うことができる。
半導体基板を所望の形状に加工した後、アルミニウムまたは銅等の導体からなるエレクトレット電極層を、板状構造体70の変位外面70a〜70dに形成する。形成手法は、例えば、スパッタリング等のPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いる。
次に、板状構造体70の側面に形成されたエレクトレット電極層の上に、エレクトレット材料層75〜78を形成する。例えば、アルカリ混入酸化により、アルカリイオン(例えばカリウムイオン)を含有する酸化膜を形成し、ヒータで加熱しながら酸化膜に電圧を印加する分極処理を行うことにより、エレクトレット材料層75〜78を形成する。別の方法として、エレクトレット材料層をエレクトレット電極層上に接合してもよい。
次に、アルミニウムまたは銅等の導体からなる対向電極層85〜88を、枠状構造体80の固定内面80a〜80dに形成する。また、枠状構造体80の上にパッドP1〜P4と、パッドP1〜P4と対向電極層85〜88とをそれぞれ電気的に接続する配線とを形成する。形成手法は、例えば、スパッタリング等のPVD法を用いる。なお、エレクトレット電極層を形成する際に対向電極層85〜88およびパッドP1〜P4等を一緒に形成してもよい。
上記の工程を経て、発電素子1Dが作製される。以降に説明する実施形態および変形例に係る発電素子も同様の方法により作製される。
<第5の実施形態の変形例>
次に、第5の実施形態の変形例に係る発電素子について、図13を参照して説明する。
本変形例に係る発電素子1Daは、発電素子1Dの構成に加えて、上方蓋体52および下方蓋体53をさらに備えている。第5の実施形態との相違点を中心に発電素子1Daについて説明する。
板状構造体70は、変位外面70a〜70dに加えて、Z軸の正領域と直交する変位外面70e(第5の変位外面)と、Z軸の負領域と直交する変位外面70f(第6の変位外面)と、をさらに有する。板状構造体70の変位外面70a〜70fにはエレクトレット電極層(図示せず)が形成されている。
枠状構造体80(固定部材)は、図13に示すように、板状構造体70の上方を覆う上方蓋体52と、板状構造体70の下方を覆う下方蓋体53と、をさらに有する。上方蓋体52の下面は、Z軸の正領域と直交し変位外面70eに対向する固定内面80e(第5の固定内面)を形成している。また、下方蓋体53の上面は、Z軸の負領域と直交し変位外面70fに対向する固定内面80f(第6の固定内面)を形成している。
変位外面70eおよび固定内面80eのうち、一方にはエレクトレット材料層79A(第5のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層89A(第5の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図13に示すように、変位外面70eにエレクトレット電極層を介してエレクトレット材料層79Aが形成され、固定内面80eに対向電極層89Aが形成されている。
変位外面70fおよび固定内面80fのうち、一方にはエレクトレット材料層79B(第6のエレクトレット材料層)が形成されており、他方には対向電極層89B(第6の対向電極層)が形成されている。本実施形態では、図13に示すように、変位外面70fにエレクトレット電極層を介してエレクトレット材料層79Bが形成され、固定内面80fに対向電極層89Bが形成されている。
上記のように、本変形例に係る発電素子1Daでは、略直方体状の板状構造体70の6面全てにエレクトレット材料層が形成され、枠状構造体80には各面のエレクトレット材料層に対して対向電極層が配置されている。これにより、板状構造体70がZ軸方向に振動した場合に、層間距離の変動に基づく発電を行うことができる。また、板状構造体70がX軸またはY軸方向に振動した場合に、固定凸部81〜84において重なり面積の変動に基づく発電を行うことができる。よって、本変形例によれば、発電効率をさらに向上させることができる。
なお、上方蓋体52および下方蓋体53を、板状構造体70がZ軸方向に振動する際のストッパとして機能させることも可能である。この場合、板状構造体70(変位部材)が変位していない状態において、上方蓋体52の下面(固定内面80e)と板状構造体70の上面(変位外面70e)との間には所定の空隙寸法が確保されている。また、下方蓋体53の上面(固定内面80f)と板状構造体70の下面(変位外面70f)との間には所定の空隙寸法が確保されている。この空隙寸法は、板状構造体70が弾性変形体91〜94に破損を生じる程まで過度に変位することを抑制しうる寸法に設定されている。なお、空隙寸法は、板状構造体70がZ軸方向に変位することにより、エレクトレット材料層79Aと対向電極層89A、あるいはエレクトレット材料層79Bと対向電極層89Bが接触してショートすることを回避しうる寸法に設定されてもよい。
また、上方蓋体52および下方蓋体53をストッパとして機能させるためだけに発電素子1Dに設けてもよい。この場合、対向電極層89A,89Bを設ける必要はない。
以上説明したように第5の実施形態では、板状構造体70(変位部材)および枠状構造体80(固定部材)のいずれにも、部分的に突出した凸部(すなわち、変位凸部71〜74および固定凸部81〜84)が設けられていた。これに対して、次に説明する第6〜第9の実施形態では、板状構造体70(変位部材)および枠状構造体80(固定部材)のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられ、他方には、凸部を収容する凹部が設けられる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る発電素子1Eについて説明する。第5の実施形態との相違点の一つは、板状構造体70の変位凸部が、枠状構造体80に設けられた固定凹部に収納される点である。以下、相違点を中心に第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態に係る発電素子1Eは、図14(a)および図14(b)に示すように、変位部材として機能する板状構造体70と、固定部材として機能する枠状構造体80と、板状構造体70および枠状構造体80を接続する弾性変形体91〜94とを備えている。
図14(a)に示すように、板状構造体70の変位外面70a〜70dにはそれぞれ変位凸部71〜74が設けられている。より詳しくは、変位外面70aにはX軸正方向に突出した変位凸部71が設けられ、変位外面70bにはX軸負方向に突出した変位凸部72が設けられ、変位外面70cにはY軸正方向に突出した変位凸部73が設けられ、変位外面70dにはY軸負方向に突出した変位凸部74が設けられている。
枠状構造体80の固定内面80a〜80dにはそれぞれ固定凹部80A〜80Dが設けられている。より詳しくは、固定内面80aには、変位凸部71を収容する固定凹部80A(第1の固定凹部)が設けられ、固定内面80bには、変位凸部72を収容する固定凹部80B(第2の固定凹部)が設けられ、固定内面80cには、変位凸部73を収容する固定凹部80C(第3の固定凹部)が設けられ、固定内面80dには、変位凸部74を収容する固定凹部80D(第4の固定凹部)が設けられている。
図14(a)に示すように、変位凸部71の頂面および側面と、固定凹部80Aの底面および側面とは互いに対向している。すなわち、変位凸部71の頂面と固定凹部80Aの底面が対向し、かつ変位凸部71の側面と固定凹部80Aの側面とが対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には対向電極層85が形成されている。本実施形態では、変位凸部71の頂面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層75が形成され、固定凹部80Aの底面および側面に対向電極層85が形成されている。
同様に、変位凸部72の頂面および側面と、固定凹部80Bの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には対向電極層86が形成されている。本実施形態では、変位凸部72の頂面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層76が形成され、固定凹部80Bの底面および側面に対向電極層86が形成されている。
変位凸部73の頂面および側面と、固定凹部80Cの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には対向電極層87が形成されている。本実施形態では、変位凸部73の頂面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層77が形成され、固定凹部80Cの底面および側面に対向電極層87が形成されている。
変位凸部74の頂面および側面と、固定凹部80Dの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には対向電極層88が形成されている。本実施形態では、変位凸部74の頂面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層78が形成され、固定凹部80Dの底面および側面に対向電極層88が形成されている。
エレクトレット材料層75〜78と変位凸部71〜74との間には、それぞれエレクトレット電極層が設けられている。このエレクトレット電極層は、弾性変形体91〜94上に形成された配線(図示せず)を介して発電回路に電気的に接続される。
図14(a)に示すように、対向電極層85は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP1に電気的に接続されている。また、対向電極層86は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP2に電気的に接続されている。対向電極層87は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP3に電気的に接続されている。対向電極層88は、枠状構造体80上に形成された配線を介してパッドP4に電気的に接続されている。
次に、第6の実施形態に係る発電素子1Eの動作について説明する。
板状構造体70が+X軸方向に変位すると、変位凸部71は固定凹部80Aに深く挿入される(すなわち、固定凹部80A内により多く収容される)とともに、変位凸部72は固定凹部80Bに浅く挿入される(すなわち、固定凹部80B内により少なく収容される)ようになる。これにより、変位凸部71の頂面部分のエレクトレット材料層75と、固定凹部80Aの底面部分の対向電極層85との間の層間距離は小さくなるとともに、変位凸部72の頂面部分のエレクトレット材料層76と、固定凹部80Bの底面部分の対向電極層86との間の距離は大きくなる。対向電極層85に誘導される電荷は増加し、対向電極層86に誘導される電荷は減少する。反対に、板状構造体70が−X軸方向に変位すると、対向電極層85に誘導される電荷は減少し、対向電極層86に誘導される電荷は増加する。
また、板状構造体70がX軸方向に振動する際、重なり面積の変動によっても発電が行われる。より詳しくは、板状構造体70が+X軸方向に変位する場合、変位凸部71の側面部分のエレクトレット材料層75と、固定凹部80Aの側面部分の対向電極層85との間の重なり面積が増大する。したがって、固定凹部80Aの側面部分の対向電極層85に誘導される電荷は増加する。一方、変位凸部72の側面部分のエレクトレット材料層76と、固定凹部80Bの側面部分の対向電極層86との間の重なり面積が減少するため、固定凹部80Bの側面部分の対向電極層86に誘導される電荷は減少する。
したがって、板状構造体70が+X軸方向に変位する際には、層間距離および重なり面積の変動により、対向電極層85に誘導される電荷は増大する。このため、パッドP1から発電素子1Eの内部に電荷が取り込まれ、パッドP2から発電素子1Eの外部に電荷が取り出される。反対に、板状構造体70が−X軸方向に変位する際には、パッドP1から発電素子1Eの外部に電荷が取り出され、パッドP2から発電素子1Eの内部に電荷が取り込まれる。
なお、板状構造体70がY軸方向に振動する場合、発電素子1EはX軸方向に振動する場合と同様の動作原理により発電する。
また、板状構造体70がZ軸方向に振動する場合、発電素子1Eは、固定凹部80A〜80Dにおいて重なり面積の変動に基づく発電を行う。
上記のように、発電素子1Eでは、板状構造体70がX軸方向に振動する際、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電が行われて、パッドP1,P2から電力が取り出される。板状構造体70がY軸方向に振動する際は、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電が行われて、パッドP3,P4から電力が取り出される。
なお、板状構造体70がX軸方向に振動する際、固定凹部80C,80Dによる発電が行われないため、パッドP3,P4から電力が取り出されない。同様に、板状構造体70がY軸方向に振動する際には、固定凹部80A,80Bによる発電が行われないため、パッドP1,P2から電力が取り出されない。これは、エレクトレット材料層が固定凹部の左右の側面のうち一方の側面に近づくと同時に他方の側面から遠のくため、その対向電極層全体としては、誘導される電荷の増加分と減少分とがキャンセルされるためである。
以上説明したように、第6の実施形態に係る発電素子1Eは、板状構造体70のX軸方向の振動により、X軸方向について層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行う。同様に、板状構造体70のY軸方向の振動により、Y軸方向について層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行う。さらに、板状構造体70のZ軸方向の振動により、枠状構造体80の各側面について重なり面積の変動に基づく発電を行う。よって、第6の実施形態によれば、従来の発電素子に比べて格段に効率的な発電を行うことができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る発電素子1Fについて説明する。第6の実施形態との相違点の一つは、対向電極層が固定凹部の底面、左側面および右側面の各々について個別に設けられている点である。以下、相違点を中心に第7の実施形態について説明する。
図15(a)に示すように、変位凸部71の頂面と固定凹部80Aの底面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には端部対向電極層85a(第1の端部対向電極層)が形成されている。本実施形態では、変位凸部71の頂面、左側面および右側面には、エレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層75が形成されている。固定凹部80Aの底面には、端部対向電極層85aが形成されている。
変位凸部71の左側面と固定凹部80Aの左側面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には左側対向電極層85b(第1の左側対向電極層)が形成されている。本実施形態では、固定凹部80Aの左側面には左側対向電極層85bが形成されている。
なお、変位凸部71の左側面とは、この変位凸部71が突出する方向(すなわちX軸正方向)に見たときの、変位凸部71の左側の側面である。また、固定凹部80Aの左側面とは、変位凸部71の左側面と対向する側面のことである。また、変位凸部71の右側面とは、この変位凸部71が突出する方向に見たときの、変位凸部71の右側の側面である。また、固定凹部80Aの右側面とは、変位凸部71の右側面と対向する側面のことである。以下の本実施形態における「左」、「右」の記載についても、これと同様である。
変位凸部71の右側面と固定凹部80Aの右側面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には右側対向電極層85c(第1の右側対向電極層)が形成されている。本実施形態では、固定凹部80Aの右側面には右側対向電極層85cが形成されている。
端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cは、それぞれ固有のパッド(図示せず)に電気的に接続されている。
変位凸部72と固定凹部80B、変位凸部73と固定凹部80C、および変位凸部74と固定凹部80Dについても、以下に記載するように同様の構成を有する。
変位凸部72の頂面と固定凹部80Bの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には端部対向電極層86a(第2の端部対向電極層)が形成されている。また、変位凸部72の左側面と固定凹部80Bの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には左側対向電極層86b(第2の左側対向電極層)が形成されている。また、変位凸部72の右側面と固定凹部80Bの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には右側対向電極層86c(第2の右側対向電極層)が形成されている。
変位凸部73の頂面と固定凹部80Cの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には端部対向電極層87a(第3の端部対向電極層)が形成されている。また、変位凸部73の左側面と固定凹部80Cの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には左側対向電極層87b(第3の左側対向電極層)が形成されている。また、変位凸部73の右側面と固定凹部80Cの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には右側対向電極層87c(第3の右側対向電極層)が形成されている。
変位凸部74の頂面と固定凹部80Dの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には端部対向電極層88a(第4の端部対向電極層)が形成されている。また、変位凸部74の左側面と固定凹部80Dの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には左側対向電極層88b(第4の左側対向電極層)が形成されている。また、変位凸部74の右側面と固定凹部80Dの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には右側対向電極層88c(第4の右側対向電極層)が形成されている。
図15(a)に示すように、本実施形態に係る発電素子1Fでは、端部対向電極層85a〜88a、左側対向電極層85b〜88b、および右側対向電極層85c〜88cは、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成している。例えば、固定凹部80Aについて言えば、第6の実施形態の対向電極層85が3つの個別の対向電極層85a,85b,85cに分割されたと捉えられる。各対向電極層は、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜等により絶縁分離されている。
次に、第7の実施形態に係る発電素子1Fの動作について説明する。
図16(a)は、板状構造体70の中心がXYZ三次元直交座標系の原点Oに位置するときの、変位凸部71および固定凹部80Aを含む領域の拡大平面図である。エレクトレット材料層75は正に帯電しており、端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cの各々には負電荷が誘導されている。
まず、板状構造体70がX軸方向に振動する場合について説明する。板状構造体70が+X軸方向に変位する場合、変位凸部71の頂面部分のエレクトレット材料層75と端部対向電極層85aとの間の層間距離は小さくなる。これにより、図16(b)に示すように、端部対向電極層85aに誘導される電荷は増加する。また、変位凸部71の左側面部分のエレクトレット材料層75と左側対向電極層85bとの重なり面積、および変位凸部71の右側面部分のエレクトレット材料層75と右側対向電極層85cとの重なり面積は増大する。その結果、図16(b)に示すように、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cに誘導される電荷は増加する。
板状構造体70が−X軸方向に変位する場合は、+X軸方向に変位する場合とは反対に、端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cに誘導される電荷はいずれも減少する。このように、板状構造体70がX軸方向に振動する場合、X軸方向については第6の実施形態に係る発電素子1Eと同様の発電動作となる。
次に、板状構造体70がY軸方向に振動する場合について説明する。板状構造体70が+Y軸方向に変位する場合、図16(c)に示すように、変位凸部71の頂面部分のエレクトレット材料層75と端部対向電極層85aとの間の層間距離は変化しない。したがって、端部対向電極層85aに誘導される電荷の数は変化せず、層間距離の変動に基づく発電は行われない。板状構造体70が−Y軸方向に変位する場合も同様であり、層間距離の変動に基づく発電は行われない。
板状構造体70が+Y軸方向に変位する場合、図16(c)に示すように、変位凸部71の左側面部分のエレクトレット材料層75と左側対向電極層85bとの間の層間距離は短くなる。このため、左側対向電極層85bに誘導される電荷は増加する。一方、変位凸部71の右側面部分のエレクトレット材料層75と右側対向電極層85cとの間の層間距離は長くなるため、右側対向電極層85cに誘導される電荷は減少する。反対に、板状構造体70が−Y軸方向に変位する場合は、左側対向電極層85bに誘導される電荷が減少し、右側対向電極層85cに誘導される電荷は増加する。第6の実施形態では、左側対向電極層85bと右側対向電極層85cが電気的に接続されていたため、電荷の数の増減がキャンセルされた。これに対し、第7の実施形態では、左側対向電極層85bと右側対向電極層85cが電気的に分離されているため、発電素子1FはY軸方向の振動を受けて、固定凹部80Aにおける発電を行うことができる。
上記から理解されるように、本実施形態に係る発電素子1Fは、固定凹部80A,80Bにおいて、X軸方向の振動だけでなくY軸方向の振動も利用して発電を行うことができる。より詳しくは、発電素子1Fは、板状構造体70がX軸方向に振動する際には、図16(b)を参照して説明したように層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行い、板状構造体70がY軸方向に変位する際には、図16(c)を参照して説明したように層間距離の変動に基づく発電を行うことができる。
同様に、本実施形態に係る発電素子1Fは、固定凹部80C,80Dにおいて、Y軸方向の振動だけでなくX軸方向の振動も利用して発電を行うことができる。
また、第6の実施形態と同様に、発電素子1Fは、板状構造体70がZ軸方向に振動する際、固定凹部80A〜80Dにおいて、重なり面積の変動に基づく発電を行うこともできる。
よって、第7の実施形態によれば、第6の実施形態に比べてさらに効率的な発電を行うことができる。
<第7の実施形態の変形例1>
変形例1では、図17(a)に示すように、端部対向電極層85aの幅は、変位凸部71の頂面に形成されたエレクトレット材料層75の幅にほぼ等しい。これにより、板状構造体70がY軸方向に振動する際に、端部対向電極層85aとエレクトレット材料層75との間の重なり面積が変動するため、端部対向電極層85aに誘導される電荷が変動する。したがって、本変形例によれば、端部対向電極層85aからも電力を取り出すことができる。
<第7の実施形態の変形例2>
変形例2では、板状構造体70の変位外面であって変位凸部以外の部分にも、エレクトレット材料層が形成されている。例えば、図17(b)に示すように、エレクトレット材料層75が、変位凸部71の頂面および左右両側面以外の部分にも形成されている。また、これに合わせて、固定内面80aには、平面部対向電極層85dが形成されている。この平面部対向電極層85dは、固有のパッド(図示せず)に電気的に接続されている。本変形例によれば、発電量をさらに増加させることができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る発電素子1Gについて説明する。第6の実施形態との相違点の一つは、枠状構造体80の固定凸部が、板状構造体70に設けられた変位凹部に収納される点である。以下、相違点を中心に第8の実施形態について説明する。
第8の実施形態に係る発電素子1Gは、図18(a)および図18(b)に示すように、変位部材として機能する板状構造体70と、固定部材として機能する枠状構造体80と、板状構造体70および枠状構造体80を接続する弾性変形体91〜94とを備えている。
図18(a)に示すように、枠状構造体80の固定内面80a〜80dにはそれぞれ固定凸部81〜84が設けられている。より詳しくは、固定内面(80a)には、X軸負方向に突出した固定凸部81(第1の固定凸部)が設けられ、固定内面80bには、X軸正方向に突出した固定凸部82(第2の固定凸部)が設けられ、固定内面80cには、Y軸負方向に突出した固定凸部83(第3の固定凸部)が設けられ、固定内面80dには、Y軸正方向に突出した固定凸部84(第4の固定凸部)が設けられている。
板状構造体70の変位外面70a〜70dにはそれぞれ変位凹部70A〜70Dが設けられている。より詳しくは、変位外面70aには、固定凸部81を収容する変位凹部70A(第1の変位凹部)が設けられ、変位外面70bには、固定凸部82を収容する変位凹部70B(第2の変位凹部)が設けられ、変位外面70cには、固定凸部83を収容する変位凹部70C(第3の変位凹部)が設けられ、変位外面70dには、固定凸部84を収容する変位凹部70D(第4の変位凹部)が設けられている。
図18(a)に示すように、固定凸部81の頂面および側面と、変位凹部70Aの底面および側面とは互いに対向している。すなわち、固定凸部81の頂面と変位凹部70Aの底面が対向し、かつ固定凸部81の側面と変位凹部70Aの側面とが対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には対向電極層85が形成されている。本実施形態では、固定凸部81の頂面および側面に対向電極層85が形成され、変位凹部70Aの底面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層75が形成されている。
同様に、固定凸部82の頂面および側面と、変位凹部70Bの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には対向電極層86が形成されている。本実施形態では、固定凸部82の頂面および側面に対向電極層86が形成され、変位凹部70Bの底面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層76が形成されている。
固定凸部83の頂面および側面と、変位凹部70Cの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には対向電極層87が形成されている。本実施形態では、固定凸部83の頂面および側面に対向電極層87が形成され、変位凹部70Cの底面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層77が形成されている。
固定凸部84の頂面および側面と、変位凹部70Dの底面および側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には対向電極層88が形成されている。本実施形態では、固定凸部84の頂面および側面に対向電極層88が形成され、変位凹部70Dの底面および側面にエレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層78が形成されている。
次に、第8の実施形態に係る発電素子1Gの動作について説明する。
板状構造体70が+X軸方向に変位すると、変位凹部70Aは固定凸部81をより多く収容するとともに、変位凹部70Bは固定凸部82をより少なく収容するようになる。これにより、変位凹部70Aの底面部分のエレクトレット材料層75と、固定凸部81の頂面部分の対向電極層85との間の層間距離は小さくなるとともに、変位凹部70Bの底面部分のエレクトレット材料層76と、固定凸部82の頂面部分の対向電極層86との間の距離は大きくなる。その結果、対向電極層85に誘導される電荷は増加し、対向電極層86に誘導される電荷は減少する。反対に、板状構造体70が−X軸方向に変位すると、対向電極層85に誘導される電荷は減少し、対向電極層86に誘導される電荷は増加する。
また、板状構造体70がX軸方向に振動する際、重なり面積の変動によっても発電が行われる。より詳しくは、板状構造体70が+X軸方向に変位する場合、変位凹部70Aの側面部分のエレクトレット材料層75と、固定凸部81の側面部分の対向電極層85との間の重なり面積が増大する。したがって、固定凸部81の側面部分の対向電極層85に誘導される電荷は増加する。一方、変位凹部70Bの側面部分のエレクトレット材料層76と、固定凸部82の側面部分の対向電極層86との間の重なり面積が減少するため、固定凸部82の側面部分の対向電極層86に誘導される電荷は減少する。
したがって、板状構造体70が+X軸方向に変位する際には、層間距離および重なり面積の変動により、対向電極層85に誘導される電荷は増大する。一方、対向電極層86に誘導される電荷は減少する。このため、パッドP1から発電素子1Gの内部に電荷が取り込まれ、パッドP2から発電素子1Gの外部に電荷が取り出される。反対に、板状構造体70が−X軸方向に変位する際には、対向電極層85に誘導される電荷は減少し、対向電極層86に誘導される電荷は増加する。このため、パッドP1から発電素子1Gの外部に電荷が取り出され、パッドP2から発電素子1Gの内部に電荷が取り込まれる。
なお、板状構造体70がY軸方向に振動する場合、発電素子1GはX軸方向に振動する場合と同様の動作原理により発電する。
また、板状構造体70がZ軸方向に振動する場合、発電素子1Gは、固定凸部81〜84において重なり面積の変動に基づく発電を行う。
上記のように、発電素子1Gでは、板状構造体70がX軸方向に振動する際、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電が行われてパッドP1,P2から電力が取り出される。板状構造体70がY軸方向に振動する際は、層間距離および重なり面積の変動に基づく発電が行われて、パッドP3,P4から電力が取り出される。
なお、第6の実施形態に係る発電素子1Eと同様、板状構造体70がX軸方向に振動する際、固定凸部83,84による発電が行われないため、パッドP3,P4から電力が取り出されない。同様に、板状構造体70がY軸方向に振動する際には、固定凹部80A,80Bによる発電が行われないため、パッドP1,P2から電力が取り出されない。
以上説明したように、第8の実施形態に係る発電素子1Gは、板状構造体70のX軸方向の振動により、X軸方向について層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行う。同様に、板状構造体70のY軸方向の振動により、Y軸方向について層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行う。さらに、板状構造体70のZ軸方向の振動により、枠状構造体80の各側面について重なり面積の変動に基づく発電を行う。よって、第8の実施形態によれば、従来の発電素子に比べて格段に効率的な発電を行うことができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態に係る発電素子1Hについて説明する。第8の実施形態との相違点の一つは、対向電極層が固定凸部の頂面、左側面および右側面の各々について個別に設けられている点である。以下、相違点を中心に第9の実施形態について説明する。
図19(a)に示すように、固定凸部81の頂面と変位凹部70Aの底面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には端部対向電極層85aが形成されている。本実施形態では、変位凹部70Aの底面、左側面および右側面には、エレクトレット電極層(図示せず)を介してエレクトレット材料層75が形成されている。固定凸部81の頂面には、端部対向電極層85aが形成されている。
固定凸部81の左側面と変位凹部70Aの左側面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には左側対向電極層85bが形成されている。本実施形態では、固定凸部81の左側面には左側対向電極層85bが形成されている。
なお、ここでいう固定凸部81の左側面は、固定凸部81が突出する方向(すなわちX軸負方向)に見たときの、固定凸部81の左側の側面である。
固定凸部81の左側面とは、固定凸部81が突出する方向(すなわちX軸負方向)に見たときの、固定凸部81の左側の側面である。また、変位凹部70Aの左側面とは、固定凸部81の左側面と対向する側面のことである。また、固定凸部81の右側面とは、固定凸部81が突出する方向に見たときの、固定凸部81の右側の側面である。また、変位凹部70Aの右側面とは、固定凸部81の右側面と対向する側面のことである。以下の本実施形態における「左」、「右」の記載についても、これと同様である。
固定凸部81の右側面と変位凹部70Aの右側面とは互いに対向している。これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層75が形成されており、他方には右側対向電極層85cが形成されている。本実施形態では、固定凸部81の右側面には右側対向電極層85cが形成されている。
端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cは、それぞれ固有のパッド(図示せず)に電気的に接続されている。
変位凹部70Bと固定凸部82、変位凹部70Cと固定凸部83、および変位凹部70Dと固定凸部84についても、以下に記載するように同様の構成を有する。
固定凸部82の頂面と変位凹部70Bの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には端部対向電極層86aが形成されている。また、固定凸部82の左側面と変位凹部70Bの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には左側対向電極層86bが形成されている。固定凸部82の右側面と変位凹部70Bの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層76が形成されており、他方には右側対向電極層86cが形成されている。
固定凸部83の頂面と変位凹部70Cの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には端部対向電極層87aが形成されている。また、固定凸部83の左側面と変位凹部70Cの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には左側対向電極層87bが形成されている。固定凸部83の右側面と変位凹部70Cの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層77が形成されており、他方には右側対向電極層87cが形成されている。
固定凸部84の頂面と変位凹部70Dの底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には端部対向電極層88aが形成されている。また、固定凸部84の左側面と変位凹部70Dの左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には左側対向電極層88bが形成されている。固定凸部84の右側面と変位凹部70Dの右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層78が形成されており、他方には右側対向電極層88cが形成されている。
図19(a)に示すように、本実施形態に係る発電素子1Hでは、端部対向電極層85a〜88a、左側対向電極層85b〜88b、および右側対向電極層85c〜88cが、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成している。例えば、固定凸部81について言えば、第8の実施形態の対向電極層85が3つの個別の対向電極層85a,85b,85cに分割されたと捉えられる。
次に、第9の実施形態に係る発電素子1Hの動作について説明する。
図20(a)は、板状構造体70の中心がXYZ三次元直交座標系の原点Oに位置するときの、変位凹部70Aおよび固定凸部81を含む領域の拡大平面図である。エレクトレット材料層75は正に帯電しており、端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cの各々には負電荷が誘導されている。
まず、板状構造体70がX軸方向に振動する場合について説明する。板状構造体70が+X軸方向に変位する場合、変位凹部70Aの底面部分のエレクトレット材料層75と端部対向電極層85aとの間の層間距離は小さくなる。その結果、図20(b)に示すように、端部対向電極層85aに誘導される電荷は増加する。また、変位凹部70Aの左側面部分のエレクトレット材料層75と左側対向電極層85bとの重なり面積、および変位凹部70Aの右側面部分のエレクトレット材料層75と右側対向電極層85cとの重なり面積は増大する。その結果、図20(b)に示すように、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cに誘導される電荷は増加する。
板状構造体70が−X軸方向に変位する場合は、+X軸方向に変位する場合とは反対に、端部対向電極層85a、左側対向電極層85bおよび右側対向電極層85cに誘導される電荷は減少する。このように、板状構造体70がX軸方向に振動する場合、X軸方向については第6の実施形態に係る発電素子1Eと同様の動作となる。
次に、板状構造体70がY軸方向に振動する場合について説明する。板状構造体70が+Y軸方向に変位する場合、図20(c)に示すように、変位凹部70Aの底面部分のエレクトレット材料層75と端部対向電極層85aとの間の層間距離は変化しない。したがって、端部対向電極層85aに誘導される電荷の数は変化せず、層間距離の変動に基づく発電は行われない。板状構造体70が−Y軸方向に変位する場合も同様であり、層間距離の変動に基づく発電は行われない。
板状構造体70が+Y軸方向に変位する場合、図20(c)に示すように、変位凹部70Aの左側面部分のエレクトレット材料層75と左側対向電極層85bとの間の層間距離は短くなる。このため、左側対向電極層85bに誘導される電荷は増加する。一方、変位凸部71の右側面部分のエレクトレット材料層75と右側対向電極層85cとの間の層間距離は長くなるため、右側対向電極層85cに誘導される電荷は減少する。反対に、板状構造体70が−Y軸方向に変位する場合は、左側対向電極層85bに誘導される電荷が減少し、右側対向電極層85cに誘導される電荷は増加する。第9の実施形態では、左側対向電極層85bと右側対向電極層85cが電気的に分離されているため、発電素子1HはY軸方向の振動を受けて、固定凸部81における発電を行うことができる。
上記から理解されるように、本実施形態に係る発電素子1Hは、固定凸部81,82において、X軸方向の振動だけでなくY軸方向の振動も利用して発電を行うことができる。より詳しくは、発電素子1Hは、板状構造体70がX軸方向に変位する際には、図20(b)を参照して説明したように層間距離および重なり面積の変動に基づく発電を行い、板状構造体70がY軸方向に変位する際には、図20(c)を参照して説明したように層間距離の変動に基づく発電を行うことができる。
同様に、本実施形態に係る発電素子1Hは、固定凸部83,84において、Y軸方向の振動だけでなくX軸方向の振動も利用して発電を行うことができる。
また、第6の実施形態と同様に、発電素子1Hは、板状構造体70のZ軸方向の振動により、固定凸部81〜84において、重なり面積の変動に基づく発電を行うこともできる。
よって、第9の実施形態によれば、第8の実施形態に比べてさらに効率的な発電を行うことができる。
上記のように、第6〜第9の実施形態では、板状構造体70(変位部材)および枠状構造体80(固定部材)のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、凸部を収容する凹部が設けられている。そして、凸部の頂面と凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には端部対向電極層が形成されている。また、凸部の左側面と凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方には前記エレクトレット材料層が形成されており、他方には左側対向電極層が形成されている。また、凸部の右側面と凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には右側対向電極層が形成されている。さらに、第7および第9の実施形態では、端部対向電極層、左側対向電極層、および右側対向電極層が、互いに電気的に独立した個別の電極層を形成している。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態に係る発電素子1Iについて説明する。この発電素子1Iは、第5の実施形態で説明した発電素子1Dとほぼ同じ構成であるが、板状構造体70に重錘体が設けられている。以下、第5の実施形態との相違点を中心に第10の実施形態について説明する。
第10の実施形態に係る発電素子1Iは、図21(a)および図21(b)に示すように、変位部材として機能する板状構造体70と、固定部材として機能する枠状構造体80と、板状構造体70および枠状構造体80を接続する弾性変形体91〜94と、重錘体95と、を備えている。
重錘体95は、図21(b)に示すように、板状構造体70の上面に接合されている。重錘体95の材質は特に限定されず、例えば、シリコン等の半導体、樹脂等の絶縁体、または金属であってもよい。また、重錘体95と板状構造体70との接合方法は特に限定されず、接着剤による接着でもよいし、半導体基板(ウェハー)同士の直接接合であってもよい。
なお、重錘体95は、板状構造体70の下面に接合されてもよい。また、重錘体95は、板状構造体70の上面および下面の両面に接合されてもよい。一般的に言えば、重錘体95は、板状構造体70の上面もしくは下面、またはその両面に接合されていればよい。
上記のように、板状構造体70に重錘体95を設けることで、発電素子1Iの板状構造体70(変位部材)の質量が増加する。このため、弾性変形体91〜94の強度を落とすことなく、板状構造体70の振動周波数を下げることができる。振動周波数が低下することにより、板状構造体70は低周波数成分が多い外部振動(環境振動等)に対して共振し易くなる。よって、第10の実施形態によれば、発電素子の発電効率を高めることができる。
重錘体95を設けなくとも、弾性変形体91〜94のばね定数を下げることで、板状構造体70の振動周波数を下げることは可能である。しかし、発電素子の製造工程あるいは使用時において、弾性変形体91〜94が破損し易くなるという問題がある。
なお、図22に示すように、発電素子1Iは、板状構造体70の上方を覆う上方蓋体54と、板状構造体70の下方を覆う下方蓋体53とをさらに備えてもよい。上方蓋体54は、重錘体95を収容する凹部54Aを有する。
上方蓋体54および下方蓋体53は、板状構造体70がZ軸方向に振動する際のストッパとして機能する。これにより、重錘体95が設けられた板状構造体70がZ軸方向に大きく変位して弾性変形体91〜94が破損することを防止することができる。
上述した第5〜第10の実施形態は、発電素子1D〜1Iに振動エネルギーが与えられたときに、板状構造体70がX軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能に構成される場合に限られない。すなわち、板状構造体70は、XYZ三次元直交座標系のX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも2方向に変位可能であるように構成されていてもよい。
以上、本発明に係る実施形態について説明した。変位部材(板状構造体)はX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも2方向に変位可能であれば、上記実施形態の構成に限られず、どのような構成であってもよい。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
1,1A,1B,1C,1Ca,1D,1Da,1E,1F,1G,1H,1I,1000 発電素子
2 発電回路
10,40 変位部材
11A,11B,11C,11D,11E エレクトレット電極層
12A,12B,12C,12D,12E エレクトレット材料層
20,50,50A,50B,50C,50D,50E,50F 固定部材
21A,21B,21C,21D,21E 対向電極層
40a,40b,40c,40d,40e,40f 変位面
41 エレクトレット電極層
42,42A,42B,42C,42D,42E,42F エレクトレット材料層
50a,50b,50c,50d,50e,50f 固定面
51,51A,51B,51C,51D,51E,51F 対向電極層
52,54 上方蓋体
53 下方蓋体
55,56,57,58,59 取付面
30,60,61,62,63,64,91,92,93,94,90A,90B 弾性変形体
70 板状構造体
70a,70b,70c,70d,70e,70f 変位外面
70A,70B,70C,70D 変位凹部
71,72,73,74 変位凸部
75,76,77,78,79A,79B エレクトレット材料層
80 枠状構造体
80a,80b,80c,80d,80e,80f 固定内面
80A,80B,80C,80D、 固定凹部
81,82,83,84 固定凸部
85,86,87,88,89A,89B 対向電極層
85a,86a,87a,88a 端部対向電極層
85b,86b,87b,88b 左側対向電極層
85c,86c,87c,88c 右側対向電極層
85d 平面部対向電極層
89 ストッパ突起
95 重錘体
100 発電装置
200 SOI基板
201 表面Si層
202 BOX層
203 Si基板
a1,a2,a3,a4 変位支持点
b1,b2,b3,b4 固定支持点
d1,d2,d3 層間距離
C 平滑コンデンサ
D1,D2,D3,D4 ダイオード
O 原点
P1,P2,P3,P4 パッド
RL 負荷
S 基準平面
T1,T2 出力端子

Claims (9)

  1. 変位部材と、固定部材と、弾性変形体と、を備える発電素子であって、
    前記変位部材および前記固定部材のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、前記凸部を収容する凹部が設けられており、
    前記凸部の頂面と前記凹部の底面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には対向電極層が形成されており、
    前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記弾性変形体が変形することにより、前記エレクトレット材料層と前記対向電極層との間の層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位するように構成されており、
    前記変位部材の変位量を制限するストッパーが前記固定部材に一体的に設けられており、
    前記ストッパーは、前記層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位する変位方向に沿って、前記固定部材から延在していることを特徴とする発電素子。
  2. 変位部材と、固定部材と、弾性変形体と、を備える発電素子であって、
    前記変位部材および前記固定部材のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、前記凸部を収容する凹部が設けられており、
    前記凸部の左側面と前記凹部の左側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には対向電極層が形成されており、
    前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記弾性変形体が変形することにより、前記エレクトレット材料層と前記対向電極層との間の層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位するように構成されており、
    前記変位部材の変位量を制限するストッパーが前記固定部材に一体的に設けられており、
    前記ストッパーは、前記層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位する変位方向に沿って、前記固定部材から延在していることを特徴とする発電素子。
  3. 変位部材と、固定部材と、弾性変形体と、を備える発電素子であって、
    前記変位部材および前記固定部材のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、前記凸部を収容する凹部が設けられており、
    前記凸部の右側面と前記凹部の右側面とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には対向電極層が形成されており、
    前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記弾性変形体が変形することにより、前記エレクトレット材料層と前記対向電極層との間の層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位するように構成されており、
    前記変位部材の変位量を制限するストッパーが前記固定部材に一体的に設けられており、
    前記ストッパーは、前記層間距離が変動するように前記変位部材が前記固定部材に対して変位する変位方向に沿って、前記固定部材から延在していることを特徴とする発電素子。
  4. 変位部材と、固定部材と、前記変位部材および前記固定部材を接続する弾性変形体と、を備える発電素子であって、
    前記変位部材が、XY平面に平行な上面および下面を有する板状構造体により構成され、前記固定部材が、前記板状構造体を取り囲むように配置された枠状構造体により構成されており、
    前記変位部材および前記固定部材のうち、一方には、部分的に突出した凸部が設けられており、他方には、前記凸部を収容する凹部が設けられており、
    前記凸部の表面の一部と前記凹部の表面の一部とは互いに対向しており、これら対向面のうち、一方にはエレクトレット材料層が形成されており、他方には対向電極層が形成されており、
    前記変位部材の変位量を制限するストッパーが前記固定部材に一体的に設けられており、
    前記ストッパーは、前記枠状構造体の内側面から前記板状構造体の側面に向かって延在していることを特徴とする発電素子。
  5. 前記変位部材は、前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記固定部材に対して固定されたXYZ三次元直交座標系のX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも1方向に変位可能であるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の発電素子。
  6. 前記変位部材は、前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、前記固定部材に対して固定されたXYZ三次元直交座標系のX軸、Y軸およびZ軸のうち少なくとも2方向に変位可能であるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の発電素子。
  7. 前記変位部材は、前記発電素子に振動エネルギーが与えられたときに、X軸、Y軸およびZ軸の全ての方向に変位可能であるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の発電素子。
  8. 前記ストッパーは、変位していない前記変位部材の中心に原点が位置し且つ前記変位部材が変位する第1の方向に沿うようにX軸を定義したとき、当該X軸の正の領域と負の領域の2カ所に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発電素子。
  9. 前記ストッパーは、変位していない前記変位部材の中心に原点が位置し且つ前記変位部材が変位する第2の方向に沿うようにY軸を定義したとき、当該Y軸の正の領域と負の領域の2カ所に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の発電素子。
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