本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[第1実施形態]
図1を参照して、画像形成装置100の第1実施形態について説明する。図1は、画像形成装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、搬送部1と、読取部2と、入力部3と、筐体4と、カセット5と、給送ローラー6と、搬送ローラー7と、画像形成部8と、排出ローラー9と、情報処理装置10とを備える。
搬送部1は、読取部2に向けてシートを搬送する。読取部2は、シートに形成された画像を走査して、画像を示す画像データを取得する。入力部3は、例えば、表示部3aと、操作キー群3bとを含む。入力部3は、画像形成装置100に対する指示を受け付ける。また、入力部3は、情報処理装置10に対する指示を受け付けるデバイスを含む。表示部3aは、タッチパネルであってもよい。ユーザーは、例えば、印刷を行う際、画質、及び/又は、シートのサイズを入力部3に入力し、画像形成装置100に対し印刷条件を設定する。表示部3aは、種々の情報を表示する。表示部3aは、タッチパネルであってもよい。
筐体4は、中空の形状を有する。筐体4の内部4aには、略閉塞された空間が形成される。筐体4は、カセット5と、給送ローラー6と、搬送ローラー7と、画像形成部8と、排出ローラー9と、情報処理装置10とを収容する。
カセット5は、シートを収容する。給送ローラー6は、カセット5内のシートを送出する。搬送ローラー7は、給送ローラー6から搬送されたシートを、画像形成部8に向けて送出する。
画像形成部8は、シートに画像を形成する。画像は、具体的には、トナー画像を示す。画像形成部8は、感光体ドラムと、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部と、クリーニング部と、除電部とを含む。感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、及び転写部によって、シートに画像が形成される。クリーニング部は、感光体ドラムの表面に残留しているトナーを除去する。除電部は、感光体ドラムの表面の残留電荷を除去する。画像形成部8は、シートに画像を形成した後、シートを定着部に向けて送出する。定着部は、画像を加熱及び加圧してシートに定着させる。
排出ローラー9は、画像形成部8を通過したシートを筐体4の外部へ排出する。
次に、図1及び図2を参照して、情報処理装置10について説明する。図2は、画像形成装置100を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、情報処理装置10は、記憶装置11と、制御装置12と、電源部13と、検出装置14と、基板15とを備える。
記憶装置11は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような第1記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、第2記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。
記憶装置11は、主記憶装置21と、補助記憶装置22とを有する。
主記憶装置21は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリーで構成される。主記憶装置21は、基板15に設けられる。なお、第1実施形態では、1つの主記憶装置21が、基板15に設置される。しかし、複数の主記憶装置21が、基板15に設置されてもよい。
補助記憶装置22は、例えば、NVRAM(Non Volatile Memory)のような不揮発性メモリーで構成される。補助記憶装置22は、基板15に設置される。補助記憶装置22は、制御装置12によって実行される種々のプログラムを記憶する。補助記憶装置22は、第1記憶部23と、第2記憶部26とを有する。
制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御装置12は、画像形成装置100の各要素を制御する。また、制御装置12は、情報処理装置10の各要素を制御する。具体的には、プロセッサーは、記憶装置11(詳細には、補助記憶装置22)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、搬送部1と、読取部2と、入力部3と、給送ローラー6と、搬送ローラー7と、画像形成部8と、排出ローラー9と、記憶装置11と、電源部13と、検出装置14とを制御する。
制御装置12は、第1決定部(決定部)12aと、実行部12bと、生成部12cと、第2決定部12dと、制御部12eと、クロック生成部12fとを有する。具体的には、プロセッサーが、記憶装置11(詳細には、補助記憶装置22)に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、第1決定部12a、実行部12b、生成部12c、第2決定部12d、及び制御部12eとして機能する。クロック生成部12fは、クロック(クロック信号)を生成するクロック回路であり、プロセッサーによって制御される。制御装置12は基板15に設置される。
電源部13は、電源回路を含む。電源部13は、基板15に設置される。電源部13は、制御装置12に電圧を供給する。制御装置12は、電圧を供給されると稼働する。その結果、情報処理装置10が稼働する。
検出装置14は、情報処理装置10の使用環境を示す物理量を検出する。つまり、検出装置14は、メモリートレーニングが実行される際の情報処理装置10の使用環境を示す物理量を検出する。メモリートレーニングは、制御装置12と主記憶装置21とを初期化することを示す。情報処理装置10の使用環境は、例えば、情報処理装置10が稼働しているときの情報処理装置10の状態と、情報処理装置10の周囲の環境とを示す。第1実施形態では、情報処理装置10の使用環境を示す物理量は、供給電圧と、内部温度とを示す。供給電圧は、制御装置12に供給される電圧を示す。具体的には、供給電圧は、電源部13から制御装置12に供給される電圧を示す。内部温度は、筐体4の内部4aの温度を示す。筐体4は、制御装置12と、主記憶装置21とを収容する。
検出装置14は、具体的には、第1検出部14aと、第2検出部14bとを含む。
第1検出部14aは、供給電圧を検出する。第1検出部14aは、例えば、電圧検出回路を含み、制御装置12に内蔵される。
第2検出部14bは、内部温度を検出する。第2検出部14bは、筐体4の内部4aに設置され、筐体4に収容される。第2検出部14bは、例えば、サーミスターを含む。
続いて、図2を参照して、第1記憶部23、及び第2記憶部26について説明する。
第1記憶部23は、補助記憶装置22が有する記憶領域のうち一定の領域を示す。第1記憶部23は、情報処理装置10の構成を示す構成情報を記憶する。第1記憶部23は、最新の構成情報を記憶する。第1実施形態では、構成情報は、第1情報と、第2情報と、第3情報と、第4情報と、第5情報とを含む。
第1情報は、制御装置12が信号を処理するときの第1出力抵抗を示す。信号は、電圧信号である。第2情報は、主記憶装置21が信号を処理するときの第2出力抵抗を示す。第3情報は、制御装置12が信号を処理するときの第1終端抵抗を示す。第4情報は、主記憶装置21が信号を処理するときの第2終端抵抗を示す。
第5情報は、主記憶装置21の種類を示す。主記憶装置21の種類は、例えば、主記憶装置21のクロック周波数のような主記憶装置21の構成を示す情報を含む。例えば、主記憶装置21が基板15に装着されると、主記憶装置21から制御装置12に第5情報が送信される。そして、制御装置12が第1記憶部23に第5情報を記憶させる。
第2記憶部26は、補助記憶装置22が有する記憶領域のうち一定の領域を示す。第2記憶部26は、トレーニング記録24を記憶する。
次に、図3を参照して、トレーニング記録24について説明する。図3は、トレーニング記録24を示す図である。
図3に示すように、トレーニング記録24は、過去に実行された複数のメモリートレーニングの記録である。複数のメモリートレーニングは、互いに異なる時間に実行される。
トレーニング記録24は、複数のトレーニング情報25を含む。第1実施形態では、トレーニング記録24は、第1トレーニング情報251〜第Nトレーニング情報25Nを含む。Nは、自然数である。また、Nは、定数である。実行部12bがメモリートレーニングを1回実行すると、1個のトレーニング情報25が生成される。つまり、複数のトレーニング情報25は、それぞれ、過去に実行された複数のメモリートレーニングに対応する。
第1実施形態のトレーニング記録24は、N個のトレーニング情報25を含む。従って、第1実施形態のトレーニング記録24は、N回分のメモリートレーニングのトレーニング記録である。
複数のトレーニング情報25の各々は、過去の構成情報と、過去の使用環境を示す物理量と、過去のトレーニング結果とを含む。過去の構成情報は、過去にメモリートレーニングが実行されたときの構成情報を示す。過去の使用環境は、過去にメモリートレーニングが実行されたときの使用環境を示す物理量を示す。過去のトレーニング結果は、過去に実行されたメモリートレーニングのトレーニング結果を示す。過去の構成情報は、具体的には、過去にメモリートレーニングが実行されたときの第1情報〜第5情報を示す。過去の使用環境を示す物理量は、具体的には、過去にメモリートレーニングが実行されたときの供給電圧と、過去にメモリートレーニングが実行されたときの内部温度とを示す。
複数のトレーニング情報25の各々は、過去の構成情報と、過去の使用環境を示す物理量と、過去のトレーニング結果とを対応付けた情報を示す。
トレーニング結果は、実行部12bがメモリートレーニングを実行して算出した所定の値を示す。実行部12bは、メモリートレーニングを実行する毎にトレーニング結果を算出する。トレーニング結果は、構成情報と、使用環境を示す物理量とに影響される。従って、複数のトレーニング情報25の各々は、過去の構成情報と、過去の使用環境を示す物理量と、過去のトレーニング結果とを対応付けている。
過去のトレーニング結果は、許容遅延量の上限と、許容遅延量の下限と、許容レベルの上限と、許容レベルの下限とを含む。具体的には、過去のトレーニング結果は、過去に実行されたメモリートレーニングで算出された許容遅延量の上限と、過去に実行されたメモリートレーニングで算出された許容遅延量の下限と、過去に実行されたメモリートレーニングで算出された許容レベルの上限と、過去に実行されたメモリートレーニングで算出された許容レベルの下限とを含む。
また、過去のトレーニング結果は、目標遅延量と、基準レベルとをさらに含む。具体的には、過去のトレーニング結果は、情報処理装置10の過去の稼働条件を示す目標遅延量と、情報処理装置10の過去の稼働条件を示す基準レベルとをさらに含む。
許容遅延量を説明する前提として、遅延量について説明する。遅延量は、クロックを基準にした、信号の遅延量を示す。信号は、制御装置12と主記憶装置21とのうち、一方から他方へ送信される。クロックは、クロック生成部12fが生成する。クロックは、制御装置12が信号を送受信するタイミングの基準となる。制御装置12による信号の送受信は、クロックに同期して行われる。つまり、第1実施形態では、遅延量は、クロックのエッジが発生する第1タイミングに対し、制御装置12が信号を送受信する第2タイミングの遅延時間を示す。クロックのエッジが発生する第1タイミングは、クロックの立ち上がりが発生するタイミング、又は、クロックの立ち下がりが発生するタイミングを示す。
許容遅延量は、制御装置12が信号を誤りなく受信可能な遅延量の範囲を示す。つまり、許容遅延量は、制御装置12が信号を所望の第1タイミングに対応させて受信可能な遅延量の範囲を示す。
許容遅延量の上限は、制御装置12が信号を誤りなく受信可能な遅延量の最大値を示す。許容遅延量の下限は、制御装置12が信号を誤りなく受信可能な遅延量の最小値を示す。
目標遅延量は、許容遅延量の上限と、許容遅延量の下限との中央値を示す。つまり、目標遅延量は、許容遅延量の上限と、許容遅延量の下限との平均値である。
許容レベルを説明する前提として、基準電圧について説明する。基準電圧は、信号の示す情報を制御装置12が算出する際に用いる電圧を示す。つまり、制御装置12は、基準電圧に基づいて、信号の示す情報を算出する。第1実施形態では、制御装置12は、基準電圧に基づいて、信号の示す情報が「0」及び「1」のうち、どちらを示すかを算出する。例えば、信号が基準電圧以上の電圧を有する場合、制御装置12は、信号の示す情報が「1」であると算出する。また、信号が基準電圧よりも小さい電圧を有する場合、制御装置12は、信号の示す情報が「0」であると算出する。
許容レベルは、信号の示す情報を制御装置12が誤りなく算出できる基準電圧の範囲を示す。第1実施形態では、許容レベルは、信号の示す情報が「0」及び「1」のうち、どちらを示すかを、制御装置12が誤りなく算出できることを示す。
許容レベルの上限は、信号の示す情報を制御装置12が誤りなく算出できる基準電圧の最大値を示す。許容レベルの下限は、信号の示す情報を制御装置12が誤りなく算出できる基準電圧の最小値を示す。
基準レベルは、基準電圧の上限と、基準電圧の下限との中央値を示す。つまり、基準レベルは、基準電圧の上限と、基準電圧の下限との平均値である。
次に、図4を参照して、制御装置12の動作について説明する。図4は、第1実施形態の制御装置12の動作を示す第1のフローチャートである。
図4に示すように、情報処理装置10が起動すると、メモリートレーニングが実行される。また、第1実施形態では、情報処理装置10が起動する毎に、メモリートレーニングが実行される。
ステップS10において、情報処理装置10が起動する。情報処理装置10が起動するとは、例えば、(i)制御装置12に電圧が供給されていない状態から、制御装置12に電圧が供給されること、(ii)制御装置12がスリープ状態から起動(省電力復帰)すること、及び、(iii)制御装置12が再起動することを示す。
ステップS11において、第1決定部12aが、検出装置14から情報処理装置10の使用環境を示す情報(使用環境を示す物理量)を取得する。具体的には、第1決定部12aは、第1検出部14aから供給電圧を示す情報を取得する。さらに、第1決定部12aは、第2検出部14bから内部温度を示す情報を取得する。第1実施形態では、第1決定部12aは供給電圧Faを検出し、第2検出部14bは内部温度Gaを検出する。従って、第1実施形態では、第1決定部12aは、供給電圧Faを示す情報と、内部温度Gaを示す情報とを取得する。
ステップS12において、第1決定部12aは、トレーニング初期条件の決定処理を実行する。具体的には、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、トレーニング初期条件を決定する。
最新の構成情報は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの情報処理装置10の構成情報を示す。つまり、最新の構成情報は、現在の情報処理装置10の構成情報を示す。第1実施形態では、最新の構成情報は、第1記憶部23に記憶される。
最新の使用環境を示す物理量は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの使用環境を示す物理量である。最新の使用環境を示す物理量は、検出装置14によって検出される。最新の使用環境を示す物理量は、具体的には、最新供給電圧と、最新内部温度とを示す。最新供給電圧は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの供給電圧を示す。最新内部温度は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの内部温度を示す。
トレーニング初期条件は、メモリートレーニングを開始する際に、基準となる物理量を示す。つまり、メモリートレーニングは、トレーニング初期条件で規定された物理量から開始される。トレーニング初期条件は、第1遅延量と、第2遅延量と、第1基準電圧と、第2基準電圧とを示す。第1遅延量と、第2遅延量との各々は、メモリートレーニングの開始時の遅延量を示す。つまり、第1遅延量と、第2遅延量との各々は、最新のメモリートレーニングの開始時の遅延量を示す。第1基準電圧と、第2基準電圧との各々は、メモリートレーニングの開始時の基準電圧を示す。つまり、第1基準電圧と、第2基準電圧との各々は、最新のメモリートレーニングの開始時の基準電圧を示す。
トレーニング初期条件を決定するとは、第1遅延量と、第2遅延量と、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定することを示す。
次に、図5を参照して、第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定する手順について説明する。図5は、トレーニング初期条件の決定処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、第1決定部12aは、所定の規定に基づいて、トレーニング初期条件を決定する。以下では、第1決定部12aが、所定の規定に基づいて、トレーニング初期条件を決定する手順(ステップS121〜ステップS123)について説明する。つまり、ステップS12は、ステップS121〜ステップS123を含む。
ステップS121において、第1決定部12aは、複数の候補情報を決定する。複数の候補情報の各々は、トレーニング記録24に含まれる複数のトレーニング情報25のうち、最新の構成情報と同一の構成情報を有するトレーニング情報25を示す。
第1実施形態では、最新の構成情報は、第1情報A1と、第2情報B1と、第3情報C1と、第4情報D1と、第5情報E1とを有する。
これに対し、トレーニング記録24において、第1トレーニング情報251と、第(N−1)トレーニング情報25(N−1)と、第Nトレーニング情報25Nとが、第1情報A1と、第2情報B1と、第3情報C1と、第4情報D1と、第5情報E1とを有し、最新の構成情報と同一の構成情報を有する(図3参照)。従って、第1決定部12aは、第1トレーニング情報251と、第(N−1)トレーニング情報25(N−1)と、第Nトレーニング情報25Nとを、候補情報に決定する。
ステップS122において、第1決定部12aは、基準情報を決定する。第1決定部12aは、複数の候補情報のうち、いずれかを基準情報に決定する。
第1決定部12aが基準情報を決定する手順((i)〜(v))について説明する。
(i)第1決定部12aは、候補情報毎に、電圧差を算出する。電圧差は、供給電圧Faと、候補情報に含まれる供給電圧との差を示す。具体的には、電圧差は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの供給電圧Faと、候補情報に含まれる供給電圧との差を示す。
第1実施形態では、候補情報は、第1トレーニング情報251と、第(N−1)トレーニング情報25(N−1)と、第Nトレーニング情報25Nとを含む。従って、第1決定部12aは、第1トレーニング情報251の電圧差と、第(N−1)トレーニング情報25(N−1)の電圧差と、第Nトレーニング情報25Nとの電圧差とを算出する。
第1トレーニング情報251の電圧差は、電圧差(|Fa−F1|)である。
第(N−1)トレーニング情報25(N−1)の電圧差は、電圧差(|Fa−F4|)である。
第Nトレーニング情報25Nの電圧差は、電圧差(|Fa−F5|)である。
(ii)第1決定部12aは、候補情報毎に、温度差を算出する。温度差は、内部温度Gaと、候補情報に含まれる内部温度との差を示す。具体的には、電圧差は、最新のメモリートレーニングが実行されるときの内部温度Gaと、候補情報に含まれる供給電圧との差を示す。
第1実施形態では、第1トレーニング情報251の温度差は、温度差(|Ga−G1|)である。
第(N−1)トレーニング情報25(N−1)の温度差は、温度差(|Ga−G4|)である。
第Nトレーニング情報25Nの温度差は、温度差(|Ga−G5|)である。
(iii)第1決定部12aは、候補情報毎に、電圧差と温度差とに基づいて、使用環境の変化を表す第1環境値(環境値)を算出する。第1環境値は、電圧差に所定の第1係数α1を掛けた値と、温度差に所定の第2係数α2を掛けた値との和である。
第1係数α1と、第2係数α2との各々は、正の実数である。第1係数α1と、第2係数α2との各々は、予め設定されている。第1係数α1と、第2係数α2との各々を示す情報は、補助記憶装置22に記憶される。第1係数α1と、第2係数α2との各々は、第1環境値に対応した大きさを有する。つまり、温度差よりも電圧差が第1環境値に反映される場合、第2係数α2よりも第1係数α1が大きい値に設定される(α1>α2)。これに対し、電圧差よりも温度差が第1環境値に反映される場合、第1係数α1よりも第2係数α2が大きい値に設定される(α2>α1)。また、電圧差と温度差とが第1環境値に平等に反映される場合、第1係数α1と第2係数α2とが互いに等しい値に設定される(α1=α2)。
第1実施形態では、第1トレーニング情報251は、第1環境値Z1(Z1=α1×(|Fa−F1|)+α2×(|Ga−G4|))を有する。
第(N−1)トレーニング情報25(N−1)は、第1環境値Z2(Z2=α1×(|Fa−F4|)+α2×(|Ga−G4|))を有する。
第Nトレーニング情報25Nは、第1環境値Z3(Z3=α1×(|Fa−F5|)+α2×(|Ga−G5|))を有する。
(iv)第1決定部12aは、候補情報毎に算出した第1環境値のうち、最小の値を有する最小第1環境値を決定する。
第1実施形態では、第1環境値Z1、第1環境値Z2、及び第1環境値Z3のうち、第1環境値Z3が最小の値を有する(Z1>Z2>Z3)。従って、第1決定部12aは、第1環境値Z3を、最小環境値に決定する。
(v)第1決定部12aは、最小環境値に対応するトレーニング情報25を、基準情報に決定する。
第1実施形態では、第1決定部12aは、第1環境値Z3に対応する第Nトレーニング情報25Nを、基準情報に決定する。
第1決定部12aが基準情報を決定すると、処理がステップS123に移行する。
ステップS123において、第1決定部12aは、トレーニング初期条件を決定する。具体的には、第1決定部12aは、第1遅延量と、第2遅延量と、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定する。
第1決定部12aは、基準情報に含まれる許容遅延量の上限を、第1遅延量に決定する。
第1決定部12aは、基準情報に含まれる許容遅延量の下限を、第2遅延量に決定する。
第1決定部12aは、基準情報に含まれる許容レベルの上限を、第1基準電圧に決定する。
第1決定部12aは、基準情報に含まれる許容レベルの下限を、第2基準電圧に決定する。
第1実施形態では、第1決定部12aは、第Nトレーニング情報25Nに含まれる許容遅延量の上限H5を、第1遅延量に決定する。
第1決定部12aは、第Nトレーニング情報25Nに含まれる許容遅延量の下限J5を、第2遅延量に決定する。
第1決定部12aは、第Nトレーニング情報25Nに含まれる許容レベルの上限L5を、第1基準電圧に決定する。
第1決定部12aは、第Nトレーニング情報25Nに含まれる許容レベルの下限M5を、第2基準電圧に決定する。
以上、図5を参照して説明したように、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、トレーニング初期条件を決定する。従って、第1決定部12aは、トレーニング初期条件を決定する際、最新の使用環境を示す物理量をトレーニング初期条件に反映させることができる。その結果、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することができる。
また、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することで、情報処理装置10の起動に要する時間を短縮できると共に、省電力復帰に要する時間を短縮することができる。その結果、情報処理装置10を安定して稼働させることが可能となる。
続いて、図4、及び図6(a)〜図7(b)を参照して、制御装置12の動作について説明する。
図4に示すように、第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定すると、処理がステップS13に移行する。
ステップS13において、実行部12bは、トレーニング初期条件に基づいて、メモリートレーニングを実行する。すなわち、実行部12bは、最新のメモリートレーニングを実行する。メモリートレーニングを実行するとは、実行部12bが、許容遅延量の上限Haと、許容遅延量の下限Jaと、許容レベルの上限Laと、許容レベルの下限Maとを算出することを示す。
メモリートレーニングは、第1の処理と、第2の処理と、第3の処理と、第4の処理とを含む。つまり、実行部12bは、第1の処理と、第2の処理と、第3の処理と、第4の処理とを実行する。
図6(a)は、第1の処理と第2の処理とを示す第1の概念図である。図6(b)は、第1の処理と第2の処理とを示す第2の概念図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1の処理において、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を変更する。具体的には、第1の処理において、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を漸次変更する。
なお、第1実施形態では、許容遅延量の上限H5が第1遅延量に決定される(ステップS123参照)。従って、実行部12bは、上限H5から遅延量を変更する。
第1の処理において、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を変更し、遅延量を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信することで、許容遅延量の上限Haを算出する。
具体的には、第1の処理において、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を変更(具体的には、漸増又は漸減)させる。そして、実行部12bは、遅延量を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信する。そして、実行部12bは、信号を受信する毎に、信号を誤りなく受信できたか否かを判定することで、許容遅延量の上限Haを算出する。つまり、実行部12bは、信号を誤りなく受信できるときと、信号を誤りなく受信できないときとの境界に対応する遅延量を、許容遅延量の上限Haとして算出する。
図6(a)に示すように、信号の遅延量が第1遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できたと判定するとき、第1遅延量が許容遅延量に含まれる。従って、信号の遅延量が第1遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できたと判定するとき、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を漸増させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする信号の遅延量を、許容遅延量の上限Haに近づけていき、許容遅延量の上限Haを算出することができる。
これに対し、図6(b)に示すように、信号の遅延量が第1遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できないと判定するとき、第1遅延量が許容遅延量に含まれない。従って、信号の遅延量が第1遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できないと判定するとき、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を漸減させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする信号の遅延量を、許容遅延量の上限Haに近づけていき、許容遅延量の上限Haを算出することができる。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2の処理において、実行部12bは、第2遅延量から遅延量を変更する。具体的には、第2の処理において、実行部12bは、第2遅延量から遅延量を漸次変更する。
なお、第1実施形態では、許容遅延量の下限J5が第2遅延量に決定される(ステップS123参照)。従って、実行部12bは、下限J5から遅延量を変更する。
第2の処理において、実行部12bは、第2遅延量から遅延量を変更し、遅延量を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信することで、許容遅延量の下限Jaを算出する。
具体的には、第2の処理において、実行部12bは、第2遅延量から遅延量を変更(具体的には、漸増又は漸減)させる。そして、実行部12bは、遅延量を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信する。そして、実行部12bは、信号を受信する毎に、信号を誤りなく受信できたか否かを判定することで、許容遅延量の下限Jaを算出する。つまり、実行部12bは、信号を誤りなく受信できるときと、信号を誤りなく受信できないときとの境界に対応する遅延量を、許容遅延量の下限Jaとして算出する。
図6(a)に示すように、信号の遅延量が第2遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できたと判定するとき、実行部12bは、第1遅延量から遅延量を漸減させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする信号の遅延量を、許容遅延量の下限Jaに近づけていき、許容遅延量の下限Jaを算出することができる。
これに対し、図6(b)に示すように、信号の遅延量が第2遅延量の状態で、実行部12bが信号を誤りなく受信できないと判定するとき、実行部12bは、第2遅延量から遅延量を漸増させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする信号の遅延量を、許容遅延量の下限Jaに近づけていき、許容遅延量の下限Jaを算出することができる。
図7(a)は、第3の処理と第4の処理とを示す第1の概念図である。図7(b)は、第3の処理と第4の処理とを示す第2の概念図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、第3の処理において、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を変更する。具体的には、第3の処理において、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を漸次変更する。
なお、第1実施形態では、許容レベルの上限L5が第1基準電圧に決定される(ステップS123参照)。従って、実行部12bは、上限L5から基準電圧を変更する。
第3の処理において、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を変更し、基準電圧を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信することで、許容レベルの上限Laを算出する。
具体的には、第3の処理において、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を変更(具体的には、漸増又は漸減)させる。そして、実行部12bは、基準電圧を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信すると共に、変更後の基準電圧に基づいて信号の示す情報を算出する。そして、実行部12bは、信号の示す情報を誤りなく算出できたか否かを判定することで、許容レベルの上限Laを算出する。つまり、実行部12bは、信号の示す情報を誤りなく算出できるときと、信号の示す情報を誤りなく算出できないときとの境界に対応する基準電圧を、許容レベルの上限Laとして算出する。なお、実行部12bは、信号の示す情報を予め知っている状態で信号を受信する。そして、実行部12bは、受信した信号の示す情報を算出して、算出した情報と予め知っている情報とを比較し、受信した信号の示す情報を誤りなく算出できたか否かを判定する。
図7(a)に示すように、基準電圧が第1基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できたと判定するとき、第1基準電圧が許容レベルに含まれる。従って、基準電圧が第1基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できたと判定するとき、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を漸増させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする基準電圧を、許容レベルの上限Laに近づけていき、許容レベルの上限Laを算出することができる。
これに対し、図7(b)に示すように、基準電圧が第1基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できないと判定するとき、第1基準電圧が許容レベルに含まれない。従って、基準電圧が第1基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できないと判定するとき、実行部12bは、第1基準電圧から基準電圧を漸減させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする基準電圧を、許容レベルの上限Laに近づけていき、許容レベルの上限Laを算出することができる。
図7(a)及び図7(b)に示すように、第4の処理において、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を変更する。具体的には、第4の処理において、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を漸次変更する。
なお、第1実施形態では、許容レベルの下限M5が第12準電圧に決定される(ステップS123参照)。従って、実行部12bは、下限M5から基準電圧を変更する。
第4の処理において、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を変更し、基準電圧を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信することで、許容レベルの下限Maを算出する。
具体的には、第4の処理において、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を変更(具体的には、漸増又は漸減)させる。そして、実行部12bは、基準電圧を変更する毎に、主記憶装置21から信号を受信すると共に、変更後の基準電圧に基づいて信号の示す情報を算出する。そして、実行部12bは、信号の示す情報を誤りなく算出できたか否かを判定することで、許容レベルの下限Maを算出する。つまり、実行部12bは、信号の示す情報を誤りなく算出できるときと、信号の示す情報を誤りなく算出できないときとの境界に対応する基準電圧を、許容レベルの下限Maとして算出する。
図7(a)に示すように、基準電圧が第2基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できたと判定するとき、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を漸減させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする基準電圧を、許容レベルの下限Maに近づけていき、許容レベルの下限Maを算出することができる。
これに対し、図7(b)に示すように、基準電圧が第2基準電圧の状態で、実行部12bが信号の示す情報を誤りなく算出できないと判定するとき、実行部12bは、第2基準電圧から基準電圧を漸増させる。その結果、実行部12bは、判定対象とする基準電圧を、許容レベルの下限Maに近づけていき、許容レベルの下限Maを算出することができる。
実行部12bが、許容遅延量の上限Haと、許容遅延量の下限Jaと、許容レベルの上限Laと、許容レベルの下限Maとを算出すると、ステップS13に示す処理が終了する。
以上、図4、及び図6(a)〜図7(b)を参照して説明したように、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、第1遅延量(第1実施形態では、上限H5)を決定する。従って、第1決定部12aは、第1遅延量を決定する際、最新の使用環境を示す物理量を第1遅延量に反映させることができ、第1遅延量を許容遅延量の上限Haに近似した値に決定することが可能となる。その結果、実行部12bが第1の処理を実行する際、第1の処理に要する時間を短縮することができ、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することができる。
また、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、第2遅延量(第1実施形態では、下限J5)を決定する。従って、第1決定部12aは、第2遅延量を決定する際、最新の使用環境を示す物理量を第2遅延量に反映させることができ、第2遅延量を許容遅延量の下限Jaに近似した値に決定することが可能となる。その結果、実行部12bが第2の処理を実行する際、第2の処理に要する時間を短縮することができ、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することができる。
また、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、第1基準電圧(第1実施形態では、上限L5)を決定する。従って、第1決定部12aは、第1基準電圧を決定する際、最新の使用環境を示す物理量を第1基準電圧に反映させることができ、第1基準電圧を許容レベルの上限Laに近似した値に決定することが可能となる。その結果、実行部12bが第3の処理を実行する際、第3の処理に要する時間を短縮することができ、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することができる。
また、第1決定部12aは、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、トレーニング記録24とに基づいて、第2基準電圧(第1実施形態では、下限M5)を決定する。従って、第1決定部12aは、第2基準電圧を決定する際、最新の使用環境を示す物理量を第2基準電圧に反映させることができ、第2基準電圧を許容レベルの下限Maに近似した値に決定することが可能となる。その結果、実行部12bが第4の処理を実行する際、第4の処理に要する時間を短縮することができ、メモリートレーニングに要する時間の増加を抑制することができる。
続いて、図4を参照して、制御装置12の動作について説明する。
図4に示すように、ステップS13に示す処理が終了すると、処理がステップS14に移行する。
ステップS14において、生成部12cは、最新のトレーニング情報25を、メモリートレーニング(ステップS13参照)に基づいて生成する。すなわち、生成部12cは、最新のトレーニング情報25を、最新のメモリートレーニングに基づいて生成する。
最新のトレーニング情報25は、最新の構成情報と、最新の使用環境を示す物理量と、最新のトレーニング結果とを対応付けた情報を示す。
最新のトレーニング結果は、最新のメモリートレーニングのトレーニング結果を示す。最新のトレーニング結果は、具体的には、最新のメモリートレーニングで算出された許容遅延量の上限Haと、最新のメモリートレーニングで算出された許容遅延量の下限Jaと、最新のメモリートレーニングで算出された許容レベルの上限Laと、最新のメモリートレーニングで算出された許容レベルの下限Maとを含む。
また、最新のトレーニング結果は、目標遅延量Kaと、基準レベルPaとをさらに含む。具体的には、最新のトレーニング結果は、情報処理装置10の最新の稼働条件を示す目標遅延量Kaと、情報処理装置10の最新の稼働条件を示す基準レベルPaとをさらに含む。
目標遅延量Kaは、許容遅延量の上限Haと許容遅延量の下限Jaとの中央値を示す。基準レベルPaは、許容レベルの上限Laと許容レベルの下限Maとの中央値を示す。
第1実施形態では、最新のトレーニング情報25は、構成情報として、第1情報A1と、第2情報B1と、第3情報C1と、第4情報D1と、第5情報E1とを含む(ステップS121参照)。また、最新のトレーニング情報25は、使用環境を示す物理量として、供給電圧Faと、内部温度Gaとを含む(ステップS11参照)。また、最新のトレーニング情報25は、トレーニング結果として、許容遅延量の上限Haと、許容遅延量の下限Jaと、許容レベルの上限Laと、許容レベルの下限Maと、目標遅延量Kaと、基準レベルPaとを含む。
生成部12cが最新のトレーニング結果を生成すると、メモリートレーニングが完了する。つまり、生成部12cが、目標遅延量Kaと基準レベルPaとを算出すると、メモリートレーニングが完了する。
ステップS15において、生成部12cは、最新のメモリートレーニングの記録である最新のトレーニング情報25を、補助記憶装置22に記憶する。具体的には、生成部12cは、最新のトレーニング情報25をトレーニング記録24に追加する。
ステップS16において、第2決定部12dは、目標遅延量Kaと、基準レベルPaとを、情報処理装置10の稼働条件に決定する。
ステップS17において、制御部12eは、情報処理装置10を通常稼働させる。つまり、制御部12eは、第2決定部12dが決定した稼働条件で情報処理装置10を稼働させる。具体的には、制御部12eは、目標遅延量Kaと、基準レベルPaとに基づいて、情報処理装置10を稼働させる。従って、制御部12eは、信号の遅延量が目標遅延量Kaになるように信号を制御する。また、制御部12eは、基準レベルPaを用いて信号の示す情報を算出する。つまり、制御部12eは、基準レベルPaを基準にして、信号の示す情報が「0」及び「1」のうち、どちらを示すかを算出する。
以上、図4を参照して説明したように、生成部12cは、最新のメモリートレーニングの記録である最新のトレーニング情報25を、補助記憶装置22に記憶し、トレーニング記録24に追加する。従って、トレーニング記録24が有する情報量を増大させることができ、第1決定部12aがトレーニング初期条件をより精度よく決定することができる。つまり、第1決定部12aが、第1遅延量を許容遅延量の上限に、より近似した値に決定することができる。また、第1決定部12aが、第2遅延量を許容遅延量の下限に、より近似した値に決定することができる。また、第1決定部12aが、第1基準電圧を許容レベルの上限に、より近似した値に決定することができる。また、第1決定部12aが、第2基準電圧を許容レベルの下限に、より近似した値に決定することができる。その結果、メモリートレーニングに要する時間の増加を効果的に抑制することができる。
また、制御部12eは、メモリートレーニングによって算出された目標遅延量Kaと、基準レベルPaとに基づいて、情報処理装置10を稼働させる。従って、信号の示す情報を誤りなく送受信する精度を向上させることができる。つまり、信号伝送の信頼性を向上させることができる。その結果、情報処理装置10を安定して稼働させることができる。
[第2実施形態]
次に、図8を参照して、画像形成装置100の第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態の制御装置12の動作を示すフローチャートである。
第2実施形態の情報処理装置10は、情報処理装置10の起動時のみならず、情報処理装置10の起動中もメモリートレーニングを実行する点で、第1実施形態の情報処理装置10と異なる。
第2実施形態の情報処理装置10は、第1実施形態の情報処理装置10と同様の手順で、情報処理装置10の起動時にメモリートレーニングを実行する(図4参照)。従って、第2実施形態において、情報処理装置10の起動時のメモリートレーニングについての説明は省略し、情報処理装置10の起動中のメモリートレーニングについて説明する。
図8に示すように、ステップS17において、制御部12eは、情報処理装置10を通常稼働させる。第2実施形態のステップS17に示す処理は、第1実施形態のステップS17に示す処理と同様である。つまり、第1実施形態のステップS10〜ステップS16に示す処理が実行された後に、第2実施形態のステップS17に示す処理が実行される。
ステップS18において、情報処理装置10が通常稼働を開始してから一定時間が経過しているか否かを、制御部12eが判定する。具体的には、制御部12eは、タイマーを含み、タイマーを用いて一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間は予め設定される。一定時間を示す情報は、補助記憶装置22に記憶される。一定時間は、入力部3を介して変更可能である。
情報処理装置10が通常稼働を開始してから一定時間が経過したと制御部12eが判定すると(ステップS18で、Yes)、処理がステップS19に移行する。これに対し、情報処理装置10が通常稼働を開始してから一定時間が経過していないと制御部12eが判定すると(ステップS18で、No)、処理がステップS17に移行する。
ステップS19において、第1決定部12aが、検出装置14から情報処理装置10の使用環境を示す情報(使用環境を示す物理量)を取得する。具体的には、情報処理装置10が通常稼働を開始してから一定時間が経過すると、検出装置14が使用環境を検出する。そして、第1決定部12aは、検出装置14から、使用環境を示す情報を取得する。第2実施形態では、情報処理装置10が通常稼働を開始してから一定時間が経過した後、第1決定部12aが供給電圧Fbを検出すると共に、第2検出部14bが内部温度Gbを検出する。従って、第2実施形態では、第1決定部12aは、供給電圧Fbを示す情報と、内部温度Gbを示す情報とを取得する。
ステップS20において、第1決定部12aは、第2環境値Z4が規定値β以上であるか否かを判定する。第2環境値Z4は、直近のメモリートレーニング時の使用環境に対する使用環境の変化を表す。具体的には、第1決定部12aは、最新の使用環境を示す物理量(供給電圧Fb、及び内部温度Gb)と、直近のメモリートレーニング時の使用環境を示す物理量(供給電圧Fa、及び内部温度Ga)とに基づいて、第2環境値Z4(Z4=α1×(|Fa−Fb|)+α2×(|Ga−Gb|))を算出する。そして、第1決定部12aは、第2環境値Z4が規定値β以上であるか否かを判定する。規定値βは、予め設定される。規定値βを示す情報は、補助記憶装置22に記憶される。規定値βは、入力部3を介して変更可能である。
第2環境値Z4が規定値β以上であると第1決定部12aが判定すると(ステップS20で、Yes)、処理がステップS21に移行する。
これに対し、第2環境値Z4が規定値βよりも小さいと第1決定部12aが判定すると(ステップS20で、No)、処理がステップS17に移行する。従って、第2環境値が規定値βよりも小さいと第1決定部12aが判定すると、実行部12bがメモリートレーニングを実行しない。
ステップS21〜ステップS25は、第1実施形態のステップS12〜ステップS16に対応する。従って、ステップS21において、第1決定部12aは、ステップS12に示す手順で、トレーニング初期条件を決定する。なお、ステップS21において、第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定するとき、ステップS19において、検出装置14から取得した使用環境を示す情報(供給電圧Fb、及び内部温度Gb)を使用する。ステップS22において、実行部12bは、ステップS13に示す手順で、メモリートレーニングを実行する。ステップS23において、生成部12cは、ステップS14に示す手順で、最新のトレーニング情報25を生成する。ステップS24において、生成部12cは、ステップS15に示す手順で、最新のトレーニング情報25を補助記憶装置22に記憶させる。ステップS25において、第2決定部12dは、ステップS16に示す手順で、情報処理装置10の稼働条件を決定する。ステップS25に示す処理が終了すると、処理がステップS17に移行する。その結果、制御部12eは、ステップS25で決定された稼働条件で、情報処理装置10を通常稼働させる。そして、ステップS18〜ステップS20に示すように、一定時間が経過すると、情報処理装置10の使用環境が、規定値β以上であるか否かを、第1決定部12aが判定する。
以上、図8を参照して説明したように、情報処理装置10の稼働中、一定時間経過する毎に、使用環境を示す物理量である第1物理量を、検出装置14が検出する。そして、第1物理量と、直近のメモリートレーニング時の使用環境を示す物理量とに基づいて、第1決定部12aが第2環境値を検出する。そして、第2環境値が規定値β以上であると第1決定部12aが判定すると、実行部12bがメモリートレーニングを実行する。従って、情報処理装置10の稼働中に使用環境を示す物理量が変化しても、信号伝送の信頼性の低下を抑制することができ、信号品質の悪化を防ぐことができる。その結果、情報処理装置10を安定して稼働させることができる。
以上、図面(図1〜図8)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)〜(8))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定する際、クラスタリングのような機械学習を用いてもよい。具体的には、トレーニング記録24に含まれる複数のトレーニング情報25を、第1決定部12aが、機械学習を用いて複数のグループに分類する。複数のトレーニング情報25の分類は、構成情報、使用環境を示す物理量、及びトレーニング結果に基づいて行われる。そして、最新のメモリートレーニングが実行されると、第1決定部12aは、複数のグループのうち、近似グループを選択する。近似グループは、複数の所定のトレーニング情報25で構成される。所定のトレーニング情報25は、最新のメモリートレーニング時の構成情報に近似する構成情報と、最新のメモリートレーニング時の使用環境を示す物理量に近似する物理量とを含む。そして、第1決定部12aは、近似グループから基準情報を決定し、トレーニング初期条件を決定する。その結果、トレーニング初期条件をより精度よく決定することができる。
(2)第1決定部12aは、試験情報に基づいてトレーニング初期条件を決定してもよい。試験情報は、試験環境でメモリートレーニングが実行されることによって取得された複数のトレーニング情報を示す。試験情報は、ユーザーに情報処理装置10が出荷される前に取得され、補助記憶装置22に予め記憶される。
例えば、経時による情報処理装置10(具体的には、制御装置12と、記憶装置11)の劣化が軽微な場合、試験情報に基づいて、第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定する。
また、情報処理装置10の累積稼働時間が所定時間よりも少ない場合、メモリートレーニングの実行回数が少なく、トレーニング記録24に含まれるトレーニング情報25が少ない。この場合、試験情報に基づいて、第1決定部12aがトレーニング初期条件を決定してもよい。その結果、トレーニング初期条件を精度よく決定することができる。
(3)第2実施形態では、一定時間が経過する毎に、第2環境値Z4が規定値β以上であるか否かを、第1決定部12aが判定する(ステップS20参照)。そして、第2環境値Z4が規定値β以上であると第1決定部12aが判定すると、実行部12bがメモリートレーニングを実行する。しかし、本発明はこれに限定されない。以下では、第2実施形態の変形例を説明する。
画像形成装置100が所定の動作を行う毎に、使用環境を示す物理量である第2物理量を、検出装置14が検出する。そして、第2物理量と、直近のメモリートレーニング時の使用環境を示す物理量とに基づいて、第1決定部12aが第2環境値を検出する。そして、第2環境値が規定値β以上であると第1決定部12aが判定すると、実行部12bがメモリートレーニングを実行する。
所定の動作は、画像形成装置100の動作のうち、使用環境を示す物理量が所定値以上変化するような動作を示す。所定の動作は、例えば、画像形成装置100が印刷を行う動作である。所定の動作は、予め決められている。また、所定値は、予め定められている。
従って、画像形成装置100が所定の動作を行い、使用環境を示す物理量が所定値以上変化すると、メモリートレーニングが実行される。言い換えれば、画像形成装置100が所定の動作を行い、第2環境値が規定値β以上変化すると、メモリートレーニングが実行される。従って、情報処理装置10が所定の動作を行い、使用環境を示す物理量が変化しても、信号伝送の信頼性の低下を抑制することができ、信号品質の悪化を防ぐことができる。その結果、情報処理装置10を安定して稼働させることができる。
(4)トレーニング記録24に含まれる複数のトレーニング情報25の個数が所定数以上になると、生成部12cが最新のトレーニング情報25を生成する処理(ステップS14参照)を中止してもよい。つまり、トレーニング初期条件を精度よく決定するのに十分の個数のトレーニング情報25が、トレーニング記録24に蓄積されると、最新のメモリートレーニングが実行されても、生成部12cがトレーニング記録24に最新のトレーニング情報25を追加しない。その結果、補助記憶装置22に容量不足が発生することを抑制することができる。
(5)トレーニング記録24をクラウドに保存してもよい。従って、第1決定部12aは、トレーニング記録24のうち必要な情報をクラウドから受信して、トレーニング初期条件を決定することができる。その結果、補助記憶装置22の容量を考慮することなく、トレーニング記録24に最新のトレーニング情報25を追加することができる。
(6)構成情報は、第1情報〜第5情報を含む。詳細には、トレーニング記録24に含まれる過去の構成情報と、第1記憶部23が記憶する最新の構成情報との各々は、第1情報〜第5情報を含む。しかし、本発明は、これに限定されない。構成情報は、第1情報〜第5情報のうち、少なくとも1つの情報を含んでいればよい。しかし、第1実施形態、及び第2実施形態に示すように、構成情報は第1情報〜第5情報を含む方が、第1決定部12aがトレーニング初期条件をより精度よく決定できる点で有利である。
(7)使用環境を示す物理量は、供給電圧と、内部温度とを示す。詳細には、トレーニング記録24に含まれる過去の使用環境を示す物理量と、検出装置14(第1検出部14a、及び第2検出部14b)が検出する使用環境を示す物理量との各々は、供給電圧と、内部温度とを示す。しかし、本発明はこれに限定されない。使用環境を示す物理量について、(7−1)、又は(7−2)のように構成してもよい。
(7−1)使用環境を示す物理量は、供給電圧を示し、内部温度を示さなくてもよい。この場合、第2検出部14bが不要となる。また、トレーニング記録24において、内部温度を示す情報は不要となる。また、ステップS11において、第1決定部12aが内部温度Gaを示す情報を取得する処理は不要となる。また、ステップS122において、第1決定部12aは、複数の候補情報のうち、最新供給電圧に最も近似した供給電圧を有する候補情報を、基準情報に決定する。例えば、第1決定部12aは、複数の候補情報のうち、候補情報毎に電圧差を算出する。そして、第1決定部12aは、候補情報毎に算出した電圧差のうち、最小の値を有する最小電圧差を決定する。そして、第1決定部12aは、最小電圧差に対応するトレーニング情報25を、基準情報に決定する。従って、ステップS122において、候補情報毎に、温度差を算出する処理が不要となる。また、ステップS19において、第1決定部12aが内部温度Gbを示す情報を取得する処理は不要となる。また、ステップS20において、第2環境値は、第2環境値(|Fa−Fb|)になる。
(7−2)使用環境を示す物理量は、内部温度を示し、供給電圧を示さなくてもよい。この場合、第1検出部14aが不要となる。また、トレーニング記録24において、供給電圧を示す情報は不要となる。また、ステップS11において、第1決定部12aが供給電圧Faを示す情報を取得する処理は不要となる。また、ステップS122において、第1決定部12aは、複数の候補情報のうち、最新内部温度に最も近似した内部温度を有する候補情報を、基準情報に決定する。例えば、第1決定部12aは、複数の候補情報のうち、候補情報毎に温度差を算出する。そして、第1決定部12aは、候補情報毎に算出した温度差のうち、最小の値を有する最小温度差を決定する。そして、第1決定部12aは、最小温度差に対応するトレーニング情報25を、基準情報に決定する。従って、ステップS122において、候補情報毎に、電圧差を算出する処理が不要となる。また、ステップS19において、第1決定部12aが供給電圧Fbを示す情報を取得する処理は不要となる。また、ステップS20において、第2環境値は、第2環境値(|Ga−Gb|)になる。
(8)第1実施形態では、第1決定部12aは、ステップS12(詳細には、ステップS121〜ステップS123)に示す手順で、トレーニング初期条件を決定する。詳細には、第1決定部12aは、ステップS12に示す手順で、第1遅延量と、第2遅延量と、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定する。しかし、本発明はこれに限定されない。第1決定部12aが、第1遅延量と、第2遅延量と、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定する手順について、(8−1)、又は(8−2)のように構成してもよい。
(8−1)ステップS12において、第1決定部12aは、ステップS12に示す手順で、第1遅延量と、第2遅延量とを決定するのに対し、ステップS12に示す手順以外の手順で、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定してもよい。
(8−2)ステップS12において、第1決定部12aは、ステップS12に示す手順で、第1基準電圧と、第2基準電圧とを決定するのに対し、ステップS12に示す手順以外の手順で、第1遅延量と、第2遅延量とを決定してもよい。