JP5915764B2 - 情報処理装置、およびメモリ試験方法 - Google Patents

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Description

本発明はメモリのマージン試験に関する。
情報処理装置に搭載されるメモリでは、パラレル伝送による信号処理が行なわれている。このため、メモリコントローラは、複数の信号をメモリとの間で送受信する必要があり、例えば、クロック信号、コマンド信号、データ信号、およびアドレス信号などの位相の調整が不可欠である。DDR−SDRAMにおける信号の位相調整の技術としては、例えば、特開2010−157113号公報がある。
特開2010−157113号公報
メモリコントローラとメモリが送受信する信号には、例えば、データストローブ信号(DQS)、およびデータ信号(DQ)がある。データストローブ信号は、以下の説明において、ストローブ信号という。
前述した位相調整の技術では、メモリコントローラから入力されるストローブ信号の立ち上がり、立ち下がりのエッジの時刻を動作タイミングとして、メモリ上でデータのリードやライトなどの信号処理を行なう。このとき、メモリコントローラは、ストローブ信号の遅延時間を調整し、動作タイミングであるエッジの位相を制御することにより、信号処理のデータ信号がハイレベル、またはローレベルになっている有効期間内に行われるようにする。以下の説明において、ストローブ信号のエッジの時刻として与えられる動作タイミングのことを、ストローブ信号の動作タイミング、または動作タイミングという。
正常に信号処理が実行できる動作タイミングの設定期間は、有効期間の開始時刻に内部遅延時間、およびセットアップ時間を加算したマージン開始時刻から、有効期間の終了時刻からホールド時間を減算したマージン終了時刻までのタイミングマージンの期間である。よって、メモリコントローラは、正常に信号処理が実行できる期間であるタイミングマージンの範囲内に動作タイミングを設定するように、ストローブ信号の位相を調整する。以下の説明において、内部遅延時間は、セットアップ時間に含まれるものとする。
ただし、各メモリの諸元や個体差などにより、セットアップ時間、およびホールド時間が異なるので、タイミングマージンはメモリごとに異なる。また、情報処理装置の動作中に、情報処理装置の温度や動作電圧(電圧)などの動作環境、およびメモリの動作クロックが振れることで、情報処理装置に実装されているメモリのタイミングマージンは変化する。よって、タイミングマージンがもともと短く、かつ情報処理装置の動作環境やメモリの動作クロックの振れによってタイミングマージンが大きく減少する振れに弱いメモリは、タイミングマージンが確保できず、正常に信号処理を行なうことができなくなることがある。
高信頼性サーバなど、メモリのエラーが起きないことが強く求められている情報処理装置では、振れに弱いメモリの搭載を避ける必要がある。このため、情報処理装置に実装する前に各メモリは、マージン試験を実施され、振れに弱くなくマージンに余裕があると判定されたメモリのみ情報処理装置に実装される。
このマージン試験では、例えば、高温、および高速クロックを生成する特殊な装置を用い、各メモリについて長時間の高負荷ランニング試験を実施する必要があった。
上述した問題に鑑み、本明細書で後述する情報処理装置は、メモリのマージン試験における効率を向上させることを目的とする。
本明細書で開示する情報処理装置のひとつに、遅延部と、処理部と、記憶部と、取得部と、抽出部と、判定部とを備えた情報処理装置がある。遅延部は、立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを持つストローブ信号の遅延時間を変化させる。処理部は、ストローブ信号を情報処理装置に実装されたメモリに出力し、エッジを動作タイミングとしてメモリに信号処理をさせる。記憶部は、データ信号がハイレベル、またはローレベルになっている時間である有効時間から、動作タイミングを設定しても信号処理が正常に動作しない制約時間を引いたタイミングマージンについて、信号処理が正常に動作するための長さを示す指定マージンを、1種類以上のメモリの種類を表すメモリ情報と、1種類以上の情報処理装置の動作環境を表す環境情報との1種類以上の組み合わせ関連付けて格納するマージン情報を記憶する。取得部は、遅延部を制御して、ストローブ信号の遅延時間を変化させることで、動作タイミングを変更し、処理部を制御して、メモリに信号処理をさせ、信号処理が正常に実行可能な動作タイミングの範囲を特定し、特定した動作タイミングの範囲を実測マージンとして取得する。マージン情報から、メモリの種類と現在の情報処理装置の動作環境との組み合わせに関連付けられた指定マージンを抽出する。判定部は、抽出した指定マージンよりも、取得した実測マージンが短いとき、メモリが情報処理装置で正常に動作しないと判定する。
本明細書で後述する情報処理装置は、メモリのマージン試験における効率を向上させるという効果を奏する。
実施形態1の情報処理装置の一実施例を示す機能ブロック図である。 情報処理装置の一実施例を示すブロック図である。 情報処理装置の信号処理を説明する説明図である。 セットアップ時間とホールド時間とを説明する説明図である。 タイミングマージンを説明する説明図である。 実測マージンの取得を説明する説明図である。 実測マージンの取得を説明する説明図である。 マージンテーブルのデータ例を表したテーブルである。 実装メモリが正常に動作するか否かの判定を説明する説明図である。 実施形態1のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。 実施形態1のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。 実施形態1のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。 起動時と運用時の実測マージンの違いを説明する説明図である。 起動時と運用時の基準時刻の位置の違いを説明する説明図である。 実施形態2の情報処理装置の一実施例を示す機能ブロック図である。 補正テーブルのデータ例を表したテーブルである。 実施形態2のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。 実施形態2のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。
[実施形態1]
実施形態1の情報処理装置について説明する。
情報処理装置は、実験により求められた信号処理が正常に動作するためのタイミングマージンの長さである指定マージンを、メモリの諸元、および情報処理装置の環境情報の組み合わせごとに対応付けてマージンテーブルに記憶する。
情報処理装置は、生産時のメモリの実装や保守作業でメモリの交換をしたあとに起動され、ストローブ信号の動作タイミングをずらしながら信号処理をする。そして、情報処理装置は、信号処理が正常に動作する動作タイミングを検出することにより、実装メモリの実測のタイミングマージンである実測マージンを取得する。
さらに、情報処理装置は、実装メモリ上にある、実装メモリの各種情報を記憶したSPD(Serial Presence Detect)から実装メモリの諸元を取得する。また、情報処理装置は、情報処理装置が有する温度センサ、および電圧センサから情報処理装置の温度と電圧を取得する。そして、情報処理装置は、取得したメモリの諸元、および情報処理装置の温度および電圧に対応する指定マージンをマージンテーブルから抽出する。
情報処理装置は、取得した実測マージンが抽出した指定マージンよりも短いとき、実装メモリが情報処理装置で正常に動作しないと判定する。
これにより、情報処理装置は、特殊な装置を用いた長時間の高負荷ランニング試験を実施することなく、タイミングマージンが短く、振れに弱いメモリを検出するので、実装メモリのマージン試験を効率よく行なうことができる。
図1は、情報処理装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
図1において、情報処理装置1は、情報処理部10、および管理部20を備えている。
情報処理部10は、情報制御部3、メモリ11、センサ12、処理部13、遅延部14、および記憶部16を備える。
情報制御部3は、情報処理部10全体の制御をする。そして、情報制御部3は、取得部15、判定部17、および通知部18を備える。
メモリ11は、処理部13から入力されるストローブ信号の立ち上がり、立ち下がりのエッジを動作タイミングとして、メモリ11に格納されているデータの読み出し、および入力されるデータ信号に含まれるデータの書き込みなどの信号処理を行なう。
センサ12は、情報処理装置1の温度、および電圧を取得する。そして、センサ12は、抽出部21に取得した温度、および電圧を出力する。
処理部13は、メモリ11とデータを送受信するデータバス(DQ)およびストローブ信号を送信するストローブバス(DQS)で接続される。そして、処理部13は、データ信号、およびストローブ信号をメモリ11に送信することにより、動作タイミングでメモリ11にデータの読み出しや書き込みなどの信号処理を実行させる。
遅延部14は、処理部13から出力されるストローブ信号の遅延時間を変化させ、エッジのタイミングを変更することにより、ストローブ信号の動作タイミングを調整する。
取得部15は、遅延部14を制御して、ストローブ信号の遅延時間を変化させることにより、動作タイミングを段階的に変更する。さらに、取得部15は、処理部13を制御することにより、動作タイミングが変更されるごとにメモリ11に信号処理をさせる。そして、取得部15は、信号処理が正常に実行可能であった動作タイミングの範囲を特定し、特定した動作タイミングの範囲を実測マージンとして取得する。
取得部15は、データ信号の有効期間の開始時刻からセットアップ時間が経過したマージン開始時刻と、データ信号の有効期間の終了時刻よりホールド時間だけ前のマージン終了時刻との間に、特定の基準時刻を設定する。ここで、セットアップ時間とは、処理部13からメモリ11にデータ信号を入力するために、ストローブ信号の動作タイミングの前に、あらかじめ入力されるデータを保持しておくべき時間である。また、ホールド時間とは、メモリ11がデータの取り込みを確実に行なうために、ストローブ信号の動作タイミングのあとに、データを保持しておくべき時間である。なお、セットアップ時間には、チップセットの内部遅延時間も含まれる。
記憶部16は、試験用データ100(特定のデータ)を記憶する。試験用データ100とは、メモリ11での信号処理が正常に実行されたか否かを判定するために用いられるデータである。試験用データ100の使用例として、処理部13は、試験用データ100をメモリ11の特定のアドレスに書き込みし、動作タイミングを保持した状態で特定のアドレスのデータを読み出す。取得部15は、読み出したデータと、記憶部16に記憶された試験用データ100とを比較し、一致したときにメモリ11での信号処理が正常に実行されたと判定する。この判定を、取得部15は、ストローブ信号の遅延時間を調整し、動作タイミングを変更しながら行なうことにより、実測マージンを取得することができる。
判定部17は、実装メモリの種類と現在の情報処理装置の動作環境との組み合わせに対応する指定マージンよりも、取得部15で取得した実測マージンが短いとき、実装メモリが情報処理装置で正常に動作しないと判定する。
通知部18は、判定部17での判定結果を管理部20へ送信する。
管理部20は、管理制御部4、表示部22、および記憶部23を備える。
管理制御部4は、管理部20全体の制御をする。そして、管理制御部4は、抽出部21を備える。
抽出部21は、記憶部23に記憶されたマージンテーブル110から、実装メモリの種類と現在の情報処理装置1の動作環境との組み合わせに対応する指定マージンを抽出する。
表示部22は、通知部18から通知された判定部17での判定結果、または記憶部23に記憶された結果テーブル120に格納された判定部17での判定結果をユーザが視認可能に表示する。これにより、ユーザは、情報処理装置1に実装され、マージン試験が実行されたメモリ11について、情報処理装置1で正常に動作するか否かを認識することができる。したがって、ユーザは、情報処理装置1で正常に動作しないメモリ11を情報処理装置1に実装するメモリ11から省くことができる。
記憶部23は、マージンテーブル110(マージン情報)と、結果テーブル120とを記憶する。
マージンテーブル110は、1種類以上のメモリの種類を表すメモリ情報と、1種類以上の情報処理装置の動作環境を表す環境情報との1種類以上の組み合わせに関連付けて、指定マージンを格納する。
結果テーブル120は、通知部18から通知された、判定部17での判定結果を格納する。具体的には、情報処理装置1に実装され、マージン試験が行なわれた各メモリ11について、情報処理装置1で正常に動作するか否かの判定結果、実測マージン、諸元、試験時の動作環境などが格納される。これにより、ユーザは、結果テーブル120を表示部22などで参照することにより、各メモリ11を情報処理装置1に実装するか否かを判断することができる。また、ユーザは、結果テーブル120に記憶された各メモリ11の実測マージンなどを比較することで、各メモリ11の相対的な性能を比較することができる。
なお、記憶部16、および記憶部23に記憶されている試験用データ100、マージンテーブル110、結果テーブル120に関しては、適宜入れ替えて記憶しても良い。
図2は、情報処理装置の一実施例を示すブロック図である。
図2において、情報処理装置1は、システムボード30、およびマネジメントボード40を備える。
システムボード30は、制御回路31、記憶装置32、メモリ33a〜33c、センサ34、および通信インターフェイス35(通信I/F)を備える。そして、システムボード30は、図1において、情報処理部10として機能する。
制御回路31は、プロセッサコア311、およびメモリコントローラ312を備える。そして、制御回路31は、システムボード30全体の制御をする。制御回路31は、例えば、CPU、マルチコアCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)およびPLD(Programmable Logic Device)などである。プロセッサコア311は、図1において、情報制御部3として機能する。また、メモリコントローラ312は、図1において、処理部13、および遅延部14として機能する。
記憶装置32は、BIOSファームウェア320、および試験用データ100を記憶する。記憶装置32は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリや、HD(Hard Disk)などである。BIOSファームウェア320は、情報処理装置1の起動時にプロセッサコア311で実行されることにより、プロセッサコア311を、図1の情報制御部3として機能させる。
メモリ33a〜33cは、情報処理装置1の主記憶装置として用いられ、メモリコントローラ312によって制御されることにより、データの読み出しや書き込みが行なわれる。メモリ33a〜33cは、例えば、DDR−SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などである。また、メモリ33a〜33cは、DDR−SDRAMを複数有するDIMM(Dual Inline Memory Module)でも良い。なお、図1のメモリ11は、DDR−SDRAMに限定されるものではなく、処理部13から入力されるストローブ信号のエッジを動作タイミングとして、データの読み出し、およびデータの書き込みなどの信号処理を行なうメモリであれば良い。
また、メモリ33a〜33cは、それぞれメモリの諸元が書き込まれたSPD331〜333(Serial Presence Detect)を有する。そして、メモリ33a〜33cは、図1のメモリ11として機能する。
センサ34は、例えば、サーミスタなどの温度センサや電圧計である。そして、センサ34は、図1のセンサ12として機能する。
通信インターフェイス35は、電力線通信、LANケーブル、無線通信を介して、システムボード30とマネジメントボード40とを通信可能に接続する。
マネジメントボード40は、制御回路41、記憶装置42、表示装置43、および通信インターフェイス44(通信I/F)を備える。そして、マネジメントボード40は、図1において、管理部20として機能する。
制御回路41は、例えば、CPU、マルチコアCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)およびPLD(Programmable Logic Device)などである。制御回路41は、図1において、管理制御部4として機能する。
記憶装置42は、MMBファームウェア420、マージンテーブル110、および結果テーブル120を記憶する。記憶装置32は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリや、HD(Hard Disk)などである。MMBファームウェア420は、情報処理装置1の起動時に制御回路41で実行されることにより、制御回路41を、図1の管理制御部4として機能させる。
表示装置43は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、およびOELD(Organic Electroluminescence Display)などである。そして、表示装置43は、図1において、表示部22として機能する。
通信インターフェイス44は、電力線通信、LANケーブル、無線通信を介して、システムボード30とマネジメントボード40とを通信可能に接続する。さらに、通信インターフェイス44は、電力線通信、LANケーブル、無線通信を介して、システムボード30と後述の制御装置50とを通信可能に接続する。
情報処理装置1が、システムボード30、およびマネジメントボード40を備える例について説明したが、情報処理装置1は、1つのボードで構成されても良い。すなわち、情報処理装置1は、図1の機能を実現できる構成であれば、適宜選択した構成を用いれば良い。
図2の制御装置50は、情報処理装置1を制御するためのコンピュータ装置であり、制御回路51、記憶装置52、表示装置53、通信インターフェイス54(通信I/F)、および入出力インターフェイス(入出力I/F)55を備える。
制御装置50の構成は、公知のコンピュータ装置と同じである。そして、制御装置50は、入出力インターフェイス55に接続された入力端末を介して、ユーザが情報処理装置1の起動要求などの制御情報を入力するために用いられる。また、制御装置50は、ユーザの操作により、通信インターフェイス54を介して結果テーブル120を参照し、判定部17の判定結果を表示装置53に表示する。また、表示装置53は、通信インターフェイス44を介して入力される判定部17の判定結果を表示する。
図3は、情報処理装置の信号処理を説明する説明図である。
以下の説明においては、一例として、取得部15が、メモリ11のデータの書き込み処理を要求したときについて説明する。なお、図3の動作クロックは、処理部13の動作クロックである。コマンド信号は、処理部13からメモリ11に実行すべき信号処理の種類を指示する信号である。アドレス信号は、処理部13からメモリ11にアドレスを指示するための信号である。データの書き込み処理以外の信号処理をするときは、コマンド信号の種類を適宜変更すれば良い。
まず、取得部15は、処理部13にメモリ11へのデータの書き込み処理を要求する。すると、処理部13は、動作クロックの立ち上がりに同期して、メモリ11にライト要求と、メモリ11の格納領域のアドレスを指定するアドレス信号とを出力する。
メモリ11は、ライト要求とアドレス信号が入力されると、処理部13から入力されるストローブ信号の動作タイミングに合わせてデータ信号からデータを取り込む。そして、メモリ11は、入力されたアドレス信号によって指定されたアドレスに、取り込んだデータを格納する。
図4は、セットアップ時間とホールド時間とを説明する説明図である。
図3に示したように、メモリ11の信号処理は、処理部13から入力されるストローブ信号の動作タイミングに合わせて実行される。そして、動作タイミングは、セットアップ時間とホールド時間という制約時間を考慮して設定しなければならない。以下に、セットアップ時間とホールド時間とについて説明する。
セットアップ時間は、有効期間が開始され、データ信号がハイレベル、またはローレベルとなったあと、正常な信号処理をするために、処理部13がデータ信号を同じ状態に保持すべき時間である。したがって、処理部13は、有効期間の開始時刻から、セットアップ時間が経過したあとのタイミングに動作タイミングを設定する必要がある。なお、図4〜7、9、13において、セットアップ時間は1で示される時間である。
ホールド時間は、ストローブ信号の動作タイミングから、処理部13がデータ信号を同じ状態に保持することにより、正常に信号処理を終了可能とするための時間である。したがって、処理部13は、ストローブ信号の動作タイミングから、ホールド時間が経過するまで有効期間が続くタイミングに動作タイミングを設定する必要がある。なお、図4〜7、9、13において、セットアップ時間は2で示される時間である。
図5は、タイミングマージンを説明する説明図である。
図4で説明したように、処理部13は、ストローブ信号の動作タイミングを、セットアップ時間、およびホールド時間という制約時間を考慮して設定しなければならない。
タイミングマージンとは、データ信号の有効期間の中で、動作タイミングを設定したとき、正常な信号処理が可能となる期間を示すものである。
データ信号の有効時間の開始時刻からセットアップ時間が経過したマージン開始時刻まで、正常な信号処理ができないので、動作タイミングは、マージン開始時刻以降に設定すれば良い。そして、動作タイミングからデータ信号の有効期間の終了時刻までに、ホールド時間以上の時間が経過すればよいので、動作タイミングは、有効時間の終了時刻からホールド時間を引いたマージン終了時刻より以前に設定すれば良い。
したがって、タイミングマージンは、図5の左右矢印の区間のことである。
図6、7は、実測マージンの取得を説明する説明図である。
取得部15は、情報処理装置1が起動されると実測マージンを取得する。図6、7を参照して、取得部15の実測マージンの取得について説明する。
取得部15は、情報処理装置1が起動されると、遅延部14を制御して、ストローブ信号の遅延時間を変更することにより、ストローブ信号のエッジの時刻を遅延させ、動作タイミングを有効期間の開始時刻にセットする。そして、取得部15は、処理部13を制御して、メモリ11に信号処理を実行させ、信号処理が正常に実行されたか否かを判定する。このとき、図6(a)に示すように、動作タイミングがタイミングマージン内で設定されていないので、取得部15では、信号処理が正常に実行されなかった(NG)と判定される。
取得部15は、信号処理が正常に実行されたか否かの判定が終了すると、さらに遅延部14を制御して、ストローブ信号の遅延時間を変更することにより、動作タイミングを1ステップ、有効期間の終了時刻方向にずらす。そして、取得部15は、処理部13を制御して、メモリ11に信号処理を実行させ、信号処理が正常に実行されたか否かを判定する。このとき、図6(b)に示すように、動作タイミングがタイミングマージン内で設定されていないので、取得部15では、信号処理が正常に実行されなかった(NG)と判定される。なお、ステップとは、ユーザにより適宜設定された動作タイミングの遅延の単位時間である。
取得部15は、上述の処理を有効期間の開始時刻から終了時刻まで、1ステップずつ動作タイミングをずらしながら行ない、信号処理が正常に実行された区間を抽出する。信号処理が正常に実行されたと判定される(OK)のは、図7(a)に示すように、動作タイミングがタイミングマージン内に設定されている区間である。
そして、取得部15は、抽出された区間をタイミングマージンの実測値である実測マージンとして取得する。処理部13は、図7(b)の破線で示すように動作タイミングを設定し、信号処理が正常に実行されたか否かを判定することで、実測マージンを抽出する。なお、取得部15は、処理部13を制御して、検出した動作タイミングのOKタイミングとNGタイミングの境界で、1ステップの単位時間を徐々に短くしながら、信号処理が正常に実行されたか否かの判定を繰り返し行なっても良い。これにより、取得部15は、より正確に実測マージンを取得することができる。一例として、図7(b)において、1ステップAは、取得部15が初期に設定した動作タイミングの遅延の単位時間である。図7(b)において、1ステップBは、取得部15が変更した動作タイミングの遅延の単位時間である。取得部15は、処理部13を制御して、1ステップAを用いて検出した動作タイミングのOKタイミングとNGタイミングの境界で、さらに1ステップBを用いて動作タイミングを検出することにより、より正確に実測マージンを取得している。
ここで、信号処理が正確に実行されたか否かを判定する方法の一例を説明する。
取得部15は、処理部13を制御して、例えば、記憶部16に記憶されている試験用データ100を、アドレスを指定してメモリ11に書き込む処理をする。さらに、取得部15は、処理部13を制御して、試験用データ100をメモリ11に書き込んだときの動作タイミングを保持した状態で、試験用データ100を書き込んだアドレスからデータを読み出す処理をする。取得部15は、読み出した試験用データ100と、読み出したデータとを比較し、一致したとき、信号処理が正常に実行されたと判定する。また、取得部15は、読み出した試験用データ100と、読み出したデータとを比較し、一致しなかったとき、信号処理が正常に実行されなかったと判定する。ただし、この方法に限らず、信号処理が正確に実行された否かを判定可能であれば、信号処理が正確に実行されたか否かの判定方法は、適宜選択した他の方法を用いても良い。
図8は、マージンテーブルのデータ例を表したテーブルである。
図8に示すように、マージンテーブル110には、メモリの種類を表すメモリ情報として、メモリの容量、動作クロック、およびランクなどの複数のメモリの緒元が格納される。さらに、マージンテーブル110には、メモリ情報に関連付けて、情報処理装置1の環境情報として、温度、および駆動電圧などの複数の動作環境が格納される。以下、メモリ情報と環境情報とを入力情報という。
また、マージンテーブル110には、入力情報に関連付けて、指定マージンとして、セットアップマージンと、ホールドマージンが格納される。以下の説明において、指定マージンは、セットアップマージンとホールドマージンとを合わせた期間を示すマージンであるものとする。
セットアップマージンは、マージン開始時刻と、マージン終了時刻との間に、基準時刻を設定したとき、基準時刻とマージン開始時刻との間の時間について、信号処理が正常に動作するために必要な長さを指定したマージンである。
ホールドマージンは、基準時刻とマージン終了時刻との間の時間について、信号処理が正常に動作するために必要な長さを指定したマージンである。
すなわち、基準時刻とマージン開始時刻との間の時間がセットアップマージンよりも長く、かつ基準時刻とマージン終了時刻との間の時間がホールドマージンよりも長いとき、情報制御部3は、正常に信号処理が実行できる動作タイミングを設定することができる。
セットアップマージンと、ホールドマージンと、基準時刻とは、製品の設計工程にて決定される。セットアップマージンと、ホールドマージンとは、設定された基準時刻を基準として、設計工程でメモリや情報処理装置1のセンサ12から取得する情報を網羅的に実機検証することにより取得した経験的な値が設定される。よって、異なる情報処理装置1では、それぞれ異なるセットアップマージンと、ホールドマージンとが設定されることになる。
基準時刻は、例えば、取得部15が実測タイミングマージンを取得したとき、マージン開始時刻とマージン終了時刻から、等しい時間間隔を持つ中間時刻とするなどの取り決めとして設定され、記憶部16に記憶される。
また、セットアップマージンと、ホールドマージンとは、セットアップマージンとホールドマージンとを足し合わせた1つの指定マージンとしてマージンテーブル110に記憶されても良い。この場合には、基準時刻を設定しなくても良い。
図9は、実装メモリが正常に動作するか否かの判定を説明する説明図である。
図9のデータ信号内の左右矢印は、実測マージンである。
判定部17は、例えば、記憶部16を参照し、基準時刻が中間時刻であると設定されているとき、マージン開始時刻にマージン終了時刻を足して、2で除算することにより中間時刻を求める。
抽出部21は、マージンテーブル110から、メモリ11から取得したメモリ11の種類と、センサ12から入力された情報処理装置1の動作環境とに対応するセットアップマージンと、ホールドマージンとを抽出し、判定部17に送信する。
取得部15は、処理部13を制御して、メモリ11の実測マージンを取得し、判定部17に入力する。
判定部17は、図9に示すように、中間時刻からセットアップマージンを引いた時刻が実測マージンに含まれ、かつ、中間時刻にホールドマージンを足した時刻が実測マージンに含まれるとき、メモリ11が情報処理装置1で正常に動作すると判定する。すなわち、判定部17は、メモリ11について、振れに弱くなくマージンに余裕があると判定する。
また、判定部17は、中間時刻からセットアップマージンを引いた時刻が実測マージンに含まれない、または、中間時刻にホールドマージンを足した時刻が実測マージンに含まれないとき、実装メモリが情報処理装置1で正常に動作しないと判定する。すなわち、判定部17は、メモリ11について、振れに弱いメモリであると判定する。
このとき、処理部13は、メモリ11を使用するとき、中間時刻に動作タイミングを設定しても良い。また、処理部13は、セットアップマージンとホールドマージンの境界を動作タイミングとし、セットアップマージンとホールドマージンとが実測マージンに含まれるように動作タイミングを設定しても良い。さらに、処理部13は、セットアップマージンとホールドマージンとの中心を動作タイミングとし、セットアップマージンとホールドマージンとが実測マージンに含まれるように動作タイミングを設定しても良い。
なお、指定マージンがセットアップマージンとホールドマージンとを足し合わせた1つのマージンとして設定されているとき、判定部17は、実測マージンよりも指定マージンが短いとき、実装メモリが情報処理装置1で正常に動作すると判定する。
このとき、処理部13は、メモリ11を使用するとき、指定マージンの中心を動作タイミングとし、指定マージンが実測マージンに含まれるように動作タイミングを設定しても良い。
図10〜図12は、実施形態1のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。
以下の説明において、基準時刻として、実測マージンの中央時刻が設定されているものとして説明する。
図10において、情報処理装置1が起動されると、抽出部21は、メモリ11にメモリ情報の送信を要求する(S1001)。すると、メモリ11は、SPDに記憶されている緒元をメモリ情報として抽出部21に送信する。これにより、抽出部21は、メモリ情報を取得する(S1002)。
管理制御部4の抽出部21は、情報処理部10に起動を要求する(S1003)。すると、情報処理部10は起動し、メモリの初期化処理を開始する(S1004)。
次に、取得部15は、処理部13にデータ信号の有効期間内でステップごとに対応する時刻において、信号処理が正しく実行されるか否かの判定を要求する(S1005)。
処理部13は、遅延部14を制御して、ストローブ信号の遅延時間を調整することにより、動作タイミングを1ステップずつ変更しながら、有効期間内で信号処理を行う。そして、処理部13は、ステップごとに信号処理が正常に実行されたか否かを取得部15に通知する。これにより、取得部15は、有効期間内において、ステップごとに対応する時刻における信号処理の実行可否についての結果を取得する(S1006)。
取得部15は、処理部13から取得した各ステップの信号処理の実行可否の結果から実測マージンを取得し、その中央時刻を求める(S1007)。
図11に示すように、判定部17は、抽出部21に実装されたメモリ11の現在の情報処理装置1の動作環境における指定マージンの抽出を要求する(S1101)。すると、抽出部21は、センサ34に情報処理装置1の温度、および電圧の測定値を要求する(S1102)。センサ34は、温度、および電圧の測定値を抽出部21に送信する(S1103)。これにより、抽出部21は、環境情報として、情報処理装置1の温度、および電圧を取得する。
抽出部21は、S1002にて取得したメモリ情報と、S1103で取得した環境情報に対応する指定マージンをマージンテーブル110から抽出する(S1104)。そして、抽出部21は、抽出した指定マージンをマージンテーブル110から取得する(S1105)。
さらに、抽出部21は、取得した指定マージンを判定部17に送信する(S1106)。これにより、判定部17は、実装されたメモリ11の種類と、情報処理装置1の動作環境に対応する指定マージンを取得する。
判定部17は、S1007で取得した実測マージンが、指定マージンを包含しているか否かを判定する(S1107)。S1107の判定方法は、図9を参照して説明した方法を用いる。
図12において、判定部17は、S1107の判定結果を制御回路41に送信する(S1201)。
すると、制御回路41は、記憶部23にS1107の判定結果を記憶する(S1202)。さらに、制御回路41は、S1107の判定結果の表示要求を表示部22に送信する。すると、表示部22は、S1107の判定結果を表示する(S1203)。
以上のように、実施形態1の情報処理装置1は、生産時のメモリの実装や保守作業でメモリの交換をしたとき、起動時に実測マージンを取得する。そして、情報処理装置1は、取得した実測マージンが抽出した指定マージンよりも短いとき、情報処理装置に実装された実装メモリが情報処理装置で正常に動作しないと判定する。
これにより、情報処理装置は、特殊な装置を用いた長時間の高負荷ランニング試験を実施することなく、タイミングマージンが短く、振れに弱いメモリを検出するので、実装メモリのマージン試験を効率よく行なうことができる。
なお、実施形態1では、基準時刻を基準として、セットアップマージンとホールドマージンとが実測マージン内に包含されるか否かを判定する。これにより、情報処理装置1は、メモリ11がマージンに余裕のあるメモリか否かを判定している。よって、メモリ11がマージンに余裕のあるメモリであると判定されたとき、基準時刻に動作タイミングを設定すれば、セットアップマージンとホールドマージンとが実測マージン内に包含されることになる。したがって、情報処理装置1では、メモリ11における信号処理の動作タイミングを基準時刻に設定するようにしても良い。
[実施形態2]
実施形態2の情報処理装置について説明する。
図13は、起動時と運用時の実測マージンの違いを説明する説明図である。
図14は、起動時と運用時の基準時刻の位置の違いを説明する説明図である。
実施形態1の情報処理装置1は、起動時の温度条件で信号処理が正常に実行されるメモリか否かを判定している。しかし、情報処理装置1の運用が始まると、情報処理装置1の温度は、起動時から上昇することがある。すると、情報処理装置1の運用時の実測マージンと、起動時の実測マージンとが異なるときがある。
図13に示すように、情報処理装置1の温度が上昇するほど、データ信号の立ち上がり時間、および立ち下がり時間が長くなることがある。また、情報処理装置1の温度が上昇するほど、データ信号の立ち上がり、および立ち下がり時のジッタが大きくなることがある。これらの影響を受けて、情報処理装置1の運用時における温度が30℃のときの実測マージンは、情報処理装置1の起動時における温度が15℃のときの実測マージンより短くなることがある。
また、図14に示すように、情報処理装置1の温度が上昇すると、データ信号の立ち上がり時間、および立ち下がり時間が長くなるので、データ信号の有効期間の中央時刻がシフトするのに伴い、実測マージンの基準時刻もシフトすることがある。一例として、図14において、データ信号の有効期間の中央時刻を基準時刻としたとき、温度の上昇によりデータ信号の有効期間の中央時刻がシフトし、基準時刻もシフトする。
以上のように、データ信号が変化することで、起動時の温度条件で信号処理を正常に実行することができると判定されたメモリでも、運用時の温度条件では、信号処理を正常に実行することができないことがある。
上述した問題に鑑み、実施形態2では、運用時の情報処理装置2の温度を予測して、マージン試験を実行したときの温度と、予測される運用時の温度との相対関係を用い、実装したメモリ11が情報処理装置2で正常に動作可能であるか否かを判定するようにした。
さらに、実施形態2では、基準時刻についても、マージン試験を実行したときの温度と、予測される運用時の温度との相対関係を用いて補正するようにした。そして、実施形態2では、動作タイミングを基準時刻と同じ時刻にすることにより、補正後のセットアップマージンとホールドマージンとが実測マージン内に包含されるようにした。
以下に実施形態2の情報処理装置2について説明する。
図15は、実施形態2の情報処理装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
実施形態2では、実施形態1の遅延部14、取得部15、判定部17、および抽出部21に一部の機能が追加されて、それぞれ遅延部61、取得部62、判定部63、および抽出部71となる。また、実施形態2では、記憶部23に補正テーブル130が格納される。
図16は、補正テーブルのデータ例を表したテーブルである。
ここで、補正テーブル130は、図16(a)に示すように、マージン補正情報として、マージン補正時間を格納する。また、補正テーブル130は、位相補正情報として、位相補正値を格納する。なお、マージン補正情報は、セットアップ補正情報としてセットアップ補正時間、およびホールド補正情報としてホールド補正時間を含む。
そして、マージン補正時間は、特定の温度を基準として、他の温度におけるセットアップマージンの増減時間を示すセットアップ補正時間と、ホールドマージンの増減時間を示すホールド補正時間とを格納する。セットアップ補正時間とホールド補正時間とは、例えば、基準温度に対して各温度のセットアップ時間と、ホールド時間とがどれだけ増減するのかを実機検証することにより取得した経験的な値である。
さらに、補正テーブル130は、特定の温度を基準として、他の温度における基準時刻のシフト時間を補正するための位相補正値を格納する。位相補正値は、例えば、基準温度のときの基準時刻に対して、各温度の基準時刻が何ステップだけシフトするのかを実機検証することにより取得した経験的な値である。そして、位相補正値は、現在(起動時)の基準時刻にステップ数に対応する時間を加算することによって、運用時の基準時刻が得られるように設定されていれば良い。一例として、図14に示すように、基準時刻をデータの有効期間の中央時刻としたとき、15℃での中央時刻に、位相補正値×1ステップの単位時間を加算することにより、30℃での中央時刻が得られるように位相補正値が設定される。
そして、補正テーブル130は、基準温度ごとに設定され、それぞれが記憶部23に記憶されている。
図16(b)は、基準温度が30℃のときの補正テーブル130である。図16(b)に示すように、基準温度が30℃の補正テーブル130では、30℃に対応するセットアップ補正時間、ホールド補正時間、および位相補正値に±0が格納されている。そして、他の温度におけるセットアップ補正時間、ホールド補正時間、および位相補正値は、基準温度である30℃に対する増減値、およびシフト値が格納される。
なお、マージン補正時間は、セットアップ補正時間とホールド補正時間とを足し合わせた1つの補正時間として、指定補正時間を記憶しても良い。この場合には、基準時刻を設定しなくても良い。
図15の管理部70の抽出部71は、現在の情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130を参照し、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられたセットアップ補正時間を抽出する。また、抽出部71は、現在の情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130を参照し、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられたホールド補正時間を抽出する。
なお、指定補正時間が補正テーブル130に格納されているとき、抽出部71は、現在の情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130を参照し、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられた指定補正時間を抽出する。
さらに、抽出部71は、現在の情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130から、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられた位相補正値を抽出する。
情報処理部60の判定部63は、基準時刻とマージン開始時刻との間の時間が、抽出部71で抽出したセットアップマージンにセットアップ補正時間を加えた時間よりも短いとき、実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作しないと判定する。
さらに、判定部63は、基準時刻とマージン終了時刻との間の時間が、抽出部71で抽出したホールドマージンにホールド補正時間を加えた時間よりも短いとき、実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作しないと判定する。
なお、指定補正時間が補正テーブル130に格納されているとき、判定部63は、実測マージンが、抽出部71で抽出した指定マージンに指定補正時間を加えた時間よりも短い場合、実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作しないと判定する。
取得部62は、抽出部71で抽出された位相補正値が示すステップ数にしたがって、基準時刻を調整する。図16に示す特性を持つ情報処理装置2では、例えば、起動時の温度が30℃、運用時の温度が40℃、1ステップ10(ps)のとき、取得部62は、起動時の基準時刻を−2×10(ps)=−20(ps)だけシフトして運用時の基準時刻を得る。
さらに、遅延部61は、ストローブ信号の遅延時間を調整することにより、基準時刻と同じ時刻に動作タイミングを設定する。
以上のように、情報処理装置2は、セットアップ補正時間、およびホールド補正時間を適用することにより、運用時の温度でのセットアップマージン、およびホールドマージンを想定して実装メモリ11のマージン試験を行なう。
さらに、情報処理装置2は、現在の温度で得られた基準時刻から、運用時の温度における基準時刻を想定して、メモリ11の運用時の基準時刻として設定する。
よって、情報処理装置2は、マージン試験時(起動時)の温度から運用時の温度が変化しても、情報処理装置2で正常に信号処理ができるメモリ11を検出し、かつ補正した基準時刻を動作タイミングとすることで、メモリ11を正常に動作させることができる。
図17、図18は、実施形態2のマージン試験の処理内容を示すシーケンス図である。
以下の説明において、基準時刻として、実測マージンの中央時刻が設定されているものとして説明する。また、図10〜図12で説明したS1001〜S1007、S1101〜S1106、S1201〜S1203の処理は実施形態1と同じであるので説明を省略する。
図17において、S1106の処理を行ったあと、判定部63は、抽出部71に実装されたメモリ11の運用時の情報処理装置2の温度に対応したマージン補正時間を要求する(S1701)。すると、抽出部71は、センサ12から取得した情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130から、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられたマージン補正時間を抽出する(S1702)。なお、情報処理装置2の運用時の温度は、ユーザが入力した予測温度を用いても良い。または、実機検証により予め作成した、情報処理装置2の起動時の温度と、運用時の温度とを関連付けた温度テーブルを記憶部23に記憶する。そして、抽出部71がマージン補正時間を抽出するときに、温度テーブルを参照し、センサ12から取得した温度に関連付けられた運用時の温度を抽出することにより取得した温度を用いても良い。抽出部21は、情報処理装置2の起動時の温度から、運用時の温度が予測できれば、他の方法で取得した運用時の温度を用いても良い。
そして、抽出部71は、S1702で抽出したマージン補正時間を補正テーブル130から取得する(S1703)。
抽出部71は、取得したマージン補正時間を判定部63に送信する(S1704)。これにより、判定部63は、実装されたメモリ11について、情報処理装置2の運用時の温度に対応するマージン補正時間を取得する。
図18において、判定部63は、指定マージンにS1704で取得したマージン補正時間を加えて補正指定マージンを算出する(S1801)。そして、S1007で取得した実測マージンが、補正指定マージンを包含しているか否かを判定する(S1802)。S1802の判定方法は、図9の指定マージンを補正指定マージンに置き換える以外は、図9で説明した方法と同じである。より具体的には、図9のセットアップマージンにセットアップ補正時間を加え、ホールドマージンにホールド補正時間を加えて補正指定マージンとし、指定マージンと置き換える。
S1802の判定の結果、S1007で取得した実測マージンが、補正指定マージンを包含していないとき、実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作しないと判定し、図12のS1201の処理に移行する。
S1802の判定の結果、S1007で取得した実測マージンが、補正指定マージンを包含しているとき、判定部63は、抽出部71に実装されたメモリ11の運用時の情報処理装置2の温度に対応した位相補正値を要求する(S1803)。このとき、判定部63は、実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作すると判定する。
抽出部71は、センサ12から取得した情報処理装置2の温度を基準温度にした補正テーブル130から、情報処理装置2の運用時の温度に関連付けられた位相補正値を抽出する(S1804)。抽出部71は、抽出した位相補正値を補正テーブル130から取得する(S1805)。
抽出部71は、取得した位相補正値を判定部63に送信する(S1806)。これにより、判定部63は、実装されたメモリ11の情報処理装置2の運用時の温度に対応する位相補正値を取得する。
そして、判定部63は、位相補正値にしたがって、基準時刻を変更する。また、遅延部61は、判定部63が変更した基準時刻に動作タイミングを合わせるように、ストローブ信号の遅延時間を調整する(S1807)。
これにより、情報処理装置2は、運用時に情報処理装置2の温度が上昇することを想定した動作タイミングを設定する。そして、図12のS1201の処理に移行する。
以上のように、実施形態2の情報処理装置2は、運用時に温度が変化することを想定し、温度変化の影響を踏まえて補正した指定マージンを用いて情報処理装置2に実装された実装メモリ11が情報処理装置2で正常に動作するかいなかを判定する。
また、実施形態2の情報処理装置2は、運用時に温度上昇したときの基準時刻を想定し、運用時の動作タイミングの時刻を想定した基準時刻と同じ時刻に調整する。
これにより、情報処理装置2は、起動時の温度と運用時の温度とが異なる場合においても、精度よくマージン試験を行なうことができる。また、情報処理装置2は、起動時と運用時の温度が変化しても、補正した指定マージンを包含するように動作タイミングを設定することができるので、正常な信号処理を実行することができる。
実施形態2では、動作タイミングと、基準時刻とを同じ時刻にしたが、動作タイミングと基準時刻とが異なる時刻でも良い。この場合には、判定部63が基準時刻をシフトさせた時間と同じ時間だけ、遅延部61は、起動時に信号処理が正常に実行可能であると判定された動作タイミングをシフトさせる。これにより、情報処理装置2は、起動時に信号処理が正常に実行可能な動作タイミングであれば、起動時と運用時の温度が変化しても、補正した指定マージンを包含するように動作タイミングを設定し、正常な信号処理を実行することができる。
なお、実施形態1、および実施形態2の情報処理装置1、2では、起動時にマージン試験を実施するようにしたが、これに限らず、情報処理装置1、2の運用後において、ユーザの指示や、タイマーなどにより一定時間おきに行なわれるようにしても良い。これにより、メモリ11の劣化により、メモリ11が正常に信号処理をできなくなった場合にも、振れに弱いメモリとして検出することができる。なお、この場合には、基準温度を現在の情報処理装置1、2の温度にすると良い。
1、2 情報処理装置
3 情報制御部
4 管理制御部
10、60 情報処理部
11 メモリ
12、34 センサ
13 処理部
14、61 遅延部
15、62 取得部
16 記憶部
17、63 判定部
18 通知部
20、70 管理部
21、71 抽出部
22 表示部
23 記憶部
30 システムボード
31、41、51 制御回路
32、42、52 記憶装置
33a〜33c メモリ
35、44、54 通信インターフェイス
40 マネジメントボード
43、53 表示装置
50 制御装置
100 試験用データ
110 マージンテーブル
120 結果テーブル
130 補正テーブル
311 プロセッサコア
312 メモリコントローラ
320 ファームウェア
420 ファームウェア

Claims (11)

  1. 立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを持つストローブ信号の遅延時間を変化させる遅延部と、
    前記ストローブ信号を情報処理装置に実装されたメモリに出力し、前記エッジを動作タイミングとしてメモリに信号処理をさせる処理部と、
    データ信号がハイレベル、またはローレベルになっている時間である有効時間から、前記動作タイミングを設定しても前記信号処理が正常に動作しない制約時間を引いたタイミングマージンについて、前記信号処理が正常に動作するための長さを示す指定マージンを、1種類以上のメモリの種類を表すメモリ情報と、1種類以上の情報処理装置の動作環境を表す環境情報との1種類以上の組み合わせ関連付けて格納するマージン情報を記憶する記憶部と、
    前記遅延部を制御して、前記ストローブ信号の遅延時間を変化させることで、前記動作タイミングを変更し、前記処理部を制御して、前記メモリに信号処理をさせ、信号処理が正常に実行可能な前記動作タイミングの範囲を特定し、特定した動作タイミングの範囲を実測マージンとして取得する取得部と、
    前記マージン情報から、前記メモリの種類と現在の情報処理装置の動作環境との組み合わせに関連付けられた前記指定マージンを抽出する抽出部と、
    前記抽出した前記指定マージンよりも、前記取得した実測マージンが短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する判定部と、
    を備える
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記記憶部は、
    1つ以上の特定の温度を基準温度として、前記情報処理装置の各温度における前記指定マージンの増減時間を示すマージン補正時間を格納する1つ以上のマージン補正情報を記憶し、
    前記抽出部は、
    現在の情報処理装置の温度を基準温度にした前記マージン補正情報から、前記情報処理装置の運用時の温度に関連付けられた前記マージン補正時間を抽出し、
    前記判定部は、
    前記抽出した指定マージンに、前記抽出したマージン補正時間を加えた時間よりも、前記取得した実測マージンが短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記記憶部は、
    特定の温度を基準温度として、前記情報処理装置の各温度におけるストローブ信号の位相の変更値を示す位相補正値を格納する1つ以上の位相補正情報を記憶し、
    前記抽出部は、
    現在の情報処理装置の温度を基準温度にした前記位相補正情報から、前記情報処理装置の運用時の温度に関連付けられた前記位相補正値を抽出し、
    前記遅延部は、
    前記抽出した位相補正値にしたがって、前記ストローブ信号の遅延時間を調整する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
  4. 前記制約時間は、
    セットアップ時間、およびホールド時間を含み、
    前記指定マージンは、
    前記有効時間の開始時刻から前記セットアップ時間が経過したマージン開始時刻と、前記有効時間の終了時刻より前記ホールド時間前のマージン終了時刻との間に設定される基準時刻と、前記マージン開始時刻との間の時間について、前記信号処理が正常に動作するための長さを指定したセットアップマージンを含み、
    前記判定部は、
    前記基準時刻と前記マージン開始時刻との間の時間が、前記抽出した指定マージンに含まれる前記セットアップマージンよりも短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  5. 前記制約時間は、
    セットアップ時間、およびホールド時間を含み、
    前記指定マージンは、
    前記有効時間の開始時刻から前記セットアップ時間が経過したマージン開始時刻と、前記有効時間の終了時刻より前記ホールド時間前のマージン終了時刻との間に設定される基準時刻と、前記マージン終了時刻との間の時間について、前記信号処理が正常に動作するための長さを指定したホールドマージンを含み、
    前記判定部は、
    前記基準時刻と前記マージン終了時刻との間の時間が、前記抽出した指定マージンに含まれる前記ホールドマージンよりも短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  6. 前記記憶部は、
    特定の温度を基準として、他の温度における前記セットアップマージンの増減時間を示すセットアップ補正時間を格納する1つ以上のセットアップ補正情報を記憶し、
    前記抽出部は、
    現在の情報処理装置の温度を基準温度にした前記セットアップ補正情報から、前記情報処理装置の運用時の温度に関連付けられた前記セットアップ補正時間を抽出し、
    前記判定部は、
    前記基準時刻と前記マージン開始時刻との間の時間が、前記抽出した指定マージンに含まれる前記セットアップマージンに前記抽出したセットアップ補正時間を加えた時間よりも短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理装置。
  7. 前記記憶部は、
    1つ以上の特定の温度を基準として、他の温度における前記ホールドマージンの増減時間を示すホールド補正時間を格納する1つ以上のホールド補正情報を記憶し、
    前記抽出部は、
    現在の情報処理装置の温度を基準温度にした前記ホールド補正情報から、前記情報処理装置の運用時の温度に関連付けられた前記ホールド補正時間を抽出し、
    前記判定部は、
    前記基準時刻と前記マージン終了時刻との間の時間が、前記抽出した指定マージンに含まれる前記ホールドマージンに前記抽出したホールド補正時間を加えた時間よりも短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  8. 前記基準時刻は、
    前記マージン開始時刻と前記マージン開始時刻とに、等しい時間間隔を持つ時刻である中間時刻である
    ことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  9. 前記記憶部は、
    特定のデータを記憶し、
    前記信号処理は、
    前記特定のデータを前記メモリの特定のアドレスに書き込みし、前記動作タイミングを保持した状態で前記特定のアドレスのデータを読み出す処理であり、
    前記取得部は、
    前記読み出したデータと、前記記憶部に記憶された特定のデータとを比較し、一致したときに前記信号処理が正常に実行されたと判定する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  10. 前記環境情報は、
    前記情報処理装置の温度と、前記情報処理装置の動作電圧との少なくともいずれか一つを含む
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の情報処理装置。
  11. 情報処理装置に実装されるメモリの交換がされたとき、
    立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを持つストローブ信号を、遅延時間を段階的に変化させながら前記メモリに送信し、前記エッジを動作タイミングとして前記メモリに信号処理をさせ、
    データ信号がハイレベル、またはローレベルになっている時間である有効時間から、前記動作タイミングを設定しても前記信号処理が正常に動作しない制約時間を引いた、タイミングマージンの実測値である実測マージンとして、前記信号処理が正常に実行できた前記動作タイミングの範囲を取得し、
    1種類以上のメモリの種類を表すメモリ情報と、1種類以上の情報処理装置の動作環境を表す環境情報との1種類以上の組み合わせに関連付けて、前記信号処理が正常に動作するための前記タイミングマージンの長さを示す指定マージンを格納するマージン情報を参照し、
    前記マージン情報から、前記メモリの種類と前記情報処理装置の動作環境との組み合わせに関連付けられた前記指定マージンを抽出し、
    前記抽出した指定マージンよりも、前記取得した実測マージンが短いとき、前記メモリが前記情報処理装置で正常に動作しないと判定する
    ことを特徴とするメモリ試験方法。
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