以下、本発明の実施の形態に係る火災警報器について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下においては、本発明に係る火災警報器として、住居や施設の壁面にネジや両面テープ等で取り付けられ、或いは、壁面に打ち込まれたピン等に吊り下げられる壁面設置型の火災警報器について説明する。しかしながら、本発明に係る火災警報器は、これらに限定されるものではなく、壁面に埋め込まれる態様や天井面に取り付け又は埋め込まれる態様にも適用することができる。また、火災検知機能に加えて、ガス漏れ・CO検知機能が備えられた複合ガス警報器でも良い。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係る火災警報器1の外観を示す斜視図(図1A)及び正面図(図1B)である。図2及び図3は、それぞれ第1の実施の形態に係る火災警報器1の警報器本体2及びカバー体3の斜視図である。なお、図2B及び図3Bにおいては、それぞれ第1の実施の形態に係る火災警報器1の警報器本体2及びカバー体3を変形した一例を示している。
以下においては、図1に示す上下方向を火災警報器1の上下方向と呼び、同図に示す左右方向を火災警報器1の左右方向と呼ぶものとする。また、以下においては、図1に示す紙面手前側を火災警報器1の前方側又は前面側と呼び、紙面奥側を火災警報器1の後方側又は後面側と呼ぶものとする。
図1に示すように、火災警報器1は、警報器本体2と、この警報器本体2に取り付けられるカバー体3とを含んで構成される。警報器本体2は、例えば、耐熱性能に優れた樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)で形成され、箱形状を有する。警報器本体2の内部には、後述する熱検出素子4が実装され、この熱検出素子4の検出結果に基づいて火災の有無を判定して警報発報の制御を行う制御基板5(図4参照)が内蔵される。
カバー体3は、警報器本体2と同様に、例えば、耐熱性能に優れた樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)で形成され、概して板形状を有する。カバー体3は、後述する警報器本体2の湾曲面21に沿って僅かに湾曲した構成となっている。カバー体3は、警報器本体2の前面(前方側の外面)から一定の空間を挟んで警報器本体2に対向して配置される。カバー体3は、正面視にて、警報器本体1の下方側の一定領域に配置される(図1B参照)。
図1及び図2に示すように、警報器本体2の表面(前面)には、湾曲面21が設けられている。湾曲面21は、警報器本体2の上下方向の中央部分が最も前方側に突出し、上下方向に向かうに連れて緩やかに後方側に傾斜する構成を有する。湾曲面21の左右方向の端部近傍には、前方側に延出する一対の導光体22a、22bが設けられている。これらの導光体22a、22bは、湾曲面21の上下方向中央の一定範囲で延在し、内部の発光部品(例えばLED等)が発する光をカバー前面に導く役割を果たす。これらの導光体22a、22bの長さが後述する流体通路6の前後方向の寸法に寄与する。
湾曲面21の上方側部分には、複数の音声出力孔23が形成されている。これらの音声出力孔23は、警報器本体1内の制御基板5(図4参照)に実装される音声出力部からの警報メッセージを外部に出力する。また、警報器本体2の上端部には、吊下保持部24が設けられている。吊下保持部24は、壁面に打ち込まれたピン等を収容し、警報器本体2を吊下げ状態に保持する。
湾曲面21の左右方向の中央部分には、溝部25が形成されている(図2参照)。溝部25は、湾曲面21の下端部近傍から音声出力孔23の近傍まで、上下方向に延在して設けられている。溝部25は、後述する流体通路6の上下方向の端部を含む長さに形成されている。図2Aに示すように、溝部25は、同一の幅を有し、上下方向に延在して設けられている。一方、変形例に係る溝部25は、図2Bに示すように、熱検出素子4の周辺の幅が一部狭い構成を有している。なお、溝部25の形状については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
詳細について後述するように、湾曲面2は、溝部25が形成される部分において、溝部25が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成されている(図4参照)。このように他部分よりも薄い構成を有することで、肉厚の部分で一定の構造体強度を確保しつつ、溝部25が形成される部分で、後述する流体通路6を通過する流体の熱拡散を抑制する熱拡散抑制部を構成する。
湾曲面21の中央部であって、溝部25内の領域には、小径の孔部26が形成されている。孔部26は、警報器本体1内の制御基板5(図4参照)に実装された熱検出素子4に対応する位置に配置され、熱検出素子4の先端部を貫通させる。熱検出素子4の先端は、この孔部26を介して湾曲面21の前方側に突出する。なお、孔部26を貫通した熱検出素子4は、後述する流体通路6上に配置される。
また、湾曲面21の下方側部分であって、溝部25内の領域には、小径の穴部27が形成されている。孔部27は、後述するカバー体3の警報停止ボタン33から後方側に延出する入力片34(図3参照)を収容する。警報器本体2の内部であって、入力片34の後方側には、発報された警報を停止する警報停止スイッチ(不図示)が配置されている。警報停止スイッチは、警報器本体1内の制御基板5(図4参照)に実装されている。
図1及び図3に示すように、カバー体3の左右方向の両端部には、一対の係合部31a、31bが形成されている。これらの係合部31a、31bは、警報器本体2の導光体22a、22bと係合する。係合部31a、31bが導光体22a、22bに係合することにより、カバー体3が警報器本体2に取り付けられる。
また、カバー体3の左右方向中央部には、上下方向に延在するスリット32が形成されている。スリット32は、カバー体3の前面(外面)から後面(内面)に貫通して形成されている。スリット32は、係合部31a、31bの間に配置されている。湾曲面21から突出した熱検出素子4は、スリット32の対応する位置に配置されるが、スリット32から前方側に突出することはない。
カバー体3の下方側部分の一定領域には、警報停止ボタン33が設けられている。この警報停止ボタン33は、カバー体3と一体に形成されている。警報停止ボタン33の後面中央には、警報器本体2側に延出する入力片34が設けられている(図3参照)。カバー体3が警報器本体2に取り付けられた状態において、入力片34は、孔部27を介して警報器本体2内に挿通される。入力片34の先端部(後端部)は、警報器本体2内の制御基板5(図4参照)上の警報停止スイッチに対向して配置される。操作者により警報停止ボタン33が押圧されると、カバー体3における警報停止ボタン33の部分が僅かに後方側に変形することで、入力片34が警報器本体2内に押し込まれる。入力片34の先端部が警報停止スイッチを押圧することにより、発報されている警報が停止する。
カバー体3の後面には、溝部35が形成されている。溝部35は、上下方向に延在し、カバー体3の上端部から下端部までカバー体3の全域に亘って形成されている。図3Aに示すように、溝部35は、同一の幅を有し、上下方向に延在して設けられている。一方、変形例に係る溝部35は、図3Bに示すように、熱検出素子4が配置されるスリット32の周辺の幅が一部狭い構成を有している。なお、溝部35の形状については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
詳細について後述するように、カバー体3は、溝部35が形成される部分において、溝部35が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成されている(図4参照)。このように他部分よりも薄い構成を有することで、溝部35が形成される部分は、後述する流体通路6を通過する流体の熱拡散を抑制する熱拡散抑制部を構成する。
図4は、図1に示すA−A線における断面図である。なお、図4においては、同図に示す上方側が火災警報器1の前方側であり、同図に示す下方側が火災警報器1の後方側に相当する。図4に示すように、警報器本体2に取り付けられた状態において、カバー体3は、警報器本体2の外面(より具体的には、湾曲面21の外面(前面))との間に一定の空間を介在させて対向配置されている。この空間は、警報器本体2とカバー体3との間で上下方向に延び、火災警報器1の外側の空間に連なっている。火災警報器1では、この警報器本体2とカバー体3との間の空間で流体通路6が構成される。
警報器本体2の内部には、制御基板5が配置されている。制御基板5は、火災警報器1における火災検出制御や警報発報制御を含む全ての制御を行う。制御基板5の中央には、熱検出素子4が実装されている。熱検出素子4は、制御基板5から前方側に延出し、孔部26を介して湾曲面21の前方側に突出する。孔部26を貫通した熱検出素子4は、流体通路6の中央近傍に配置される。また、熱検出素子4は、カバー体3のスリット32に対応する位置に配置されている。
このような構成を有し、火災警報器1は、下方側から流体通路6に進入した流体の温度を熱検出素子4で検出し、その検出結果に基づいて火災の発生を判定して警報を発報する。例えば、熱検出素子4は、サーミスタで構成される。火災発生に伴い、高温の流体が流体通路6を通過すると、熱検出素子4が加熱される。これにより、熱検出素子4の電気抵抗が変化する。制御基板5上の検出回路が熱検出素子4の変化を検出すると、音声出力部が警報メッセージを出力する。
ここで、本実施の形態に係る火災警報器1と同等の構成を有する火災警報器1´の周辺を流れる流体の温度変化について、図5を参照して説明する。図5は、参照例に係る火災警報器1´の周辺を流れる流体の温度変化の説明図である。図5Aは、参照例に係る火災警報器1´の周辺を流れる流体の挙動を示し、図5Bは、図5Aに示す流体の温度変化を示している。図5Aでは、同図に示す左方側が火災警報器1´の下方側であり、同図に示す右方側が火災警報器1´の上方側に相当する。
なお、参照例に係る火災警報器1´では、上述した警報器本体2の溝部25や、カバー体3の溝部35が設けられていない点を除き、本実施の形態に係る火災警報器1と同様の構成を有するものとする。図5では、説明の便宜上、上記実施の形態で利用した符号を火災警報器1´に用いて説明する。ここでは、火災警報器1´が設置された住居又は施設で火災が発生した場合について説明する。
火災が発生すると、図5Aに示すように、火災警報器1´の周辺には、カバー体3の外側(前方側)を通過する流体F1と、カバー体3の内側の流体通路6を通過する流体F2とが流れる。火災警報器1´では、流体通路6を通過する流体F2を検出対象とし、熱検出素子4による流体F2の温度の検出結果に基づいて火災の発生を判定する。
ここで、流体F1、F2の進行方向に沿って配置される4つの位置a〜dにおける流体F1、F2の温度変化について説明する。側面視にて、位置aは、火災警報器1´の下方側に配置される位置であり、位置dは、熱検出素子4に重なって配置される位置である。また、側面視にて、位置bは、火災警報器1´の下端部近傍に配置される位置であり、位置cは、位置bより上方側であって、位置bと位置dとの中間に配置される位置である。流体F1、F2は、位置a、b、c、dの順に流動していく。
図5Bに示すように、カバー体3の外側を通過する流体F1の温度は、これらの位置に関わらず、変化していない。一方、流体通路6を通過する流体F2の温度は、火災警報器1の下方側の位置aでは、流体F1と同等の温度であるものの、位置b、c、dに進行するに連れて徐々に低下していく。このような流体F2の温度の低下は、火災警報器1´の構成部品(例えば、湾曲面21やカバー体3の表面)との接触に伴う熱拡散作用に起因する。
流体通路6を通過する流体F2は、熱検出素子4に到達するまでの過程にて、警報器本体2の外面(より具体的には、湾曲面21の外面(前面))及びカバー体3の内面(後面)と接触する。これらとの接触に伴い、流体F2の熱が拡散してしまい、その温度が低下する。このため、火災警報器1´で本来検出すべき流体F1の温度との間で大きな温度差が発生し得る。このような温度差は、流体温度検出の応答性低下の要因となり得る。
本発明者は、火災警報器の構成部品との接触に伴う熱拡散作用により流体温度が低下している事態に着目した。そして、火災警報器の構成部品(特に、流体通路を規定する構成部品)の熱容量を下げることが、流体の熱拡散の抑制に寄与し、引いては、検出時間の短縮に寄与することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の骨子は、火災警報器1に形成される流体通路6を規定する警報器本体2及びカバー体3の少なくとも一方の一部に、厚さ寸法を他部よりも薄く構成した熱拡散抑制部を設けることである。本発明によれば、流体通路6に配置された熱検出素子4に流体が向かう過程で警報器本体2及び/又はカバー体3との関係で流体の熱拡散が抑制されるので、流体温度の低下を抑制し、流体温度検出の応答性を早めることが可能となる。
本実施の形態に係る火災警報器1においては、このような熱拡散抑制部を、流体通路6を規定する警報器本体1及びカバー体3の一部に設けている。より具体的には、警報器本体1(より具体的には湾曲面21)の外面(カバー体3との対向面)の一部に溝部25を形成することで熱拡散抑制部を設けると共に、カバー体3の内面(警報器本体2との対向面)の一部に溝部35を形成することで熱拡散抑制部を設けている。
警報器本体2において、湾曲面2は、溝部25が形成される部分において、溝部25が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成される(図4参照)。例えば、湾曲面21は、溝部25が形成される部分にて板厚が1.6mmに設定され、溝部25が形成されていない部分にて板厚が2.0mmに設定される。同様に、カバー体3は、溝部35が形成される部分において、溝部35が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成される(図4参照)。例えば、カバー体3は、溝部35が形成される部分にて板厚が1.6mmに設定され、溝部35が形成されていない部分にて板厚が2.0mmに設定される。
警報器本体2の一部に溝部25を設けることにより、流体通路6に面した警報器本体2の一部の薄肉化を通じて熱容量を低下させることができる。これにより、熱検出素子4に到達する過程にて、流体通路6を通過する流体温度の低下が抑制される。同様に、カバー体3の一部に溝部35を設けることにより、流体通路6に面したカバー体3の一部の薄肉化を通じて熱容量を低下させることができる。これにより、熱検出素子4に到達する過程にて、流体通路6を通過する流体温度の低下が抑制される。一方、熱検知素子4から距離が遠い部分については、熱拡散による検出速度低下の影響が小さいため、肉厚を厚く設定することで構造体の強度低下を抑えることができる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る火災警報器1によれば、流体通路6を規定する警報器本体2及び/又はカバー体3の一部に、厚さ寸法を他部よりも薄く構成した熱拡散抑制部を設けたことから、流体通路6に配置された熱検出素子4に流体が向かう過程で警報器本体2及び/又はカバー体3との関係で流体が熱拡散するのが抑制される。これにより、熱拡散に伴う流体温度の低下を抑制でき、熱検出素子4で流体温度を応答性良く検出することができる。
特に、本実施の形態に係る火災警報器1においては、警報器本体2の外面に溝部25を形成して熱拡散抑制部が設けられることから、熱拡散による流体温度の低下を抑制する領域を大きく確保でき、流体温度の低下を効果的に抑制することができる。しかも、警報器本体2の外面に溝部25が形成されることから、流体通路6の断面積を拡張することができる。これにより、流体の流動性を改善しながら、熱拡散による流体温度の低下を抑制することができる。特に、警報器本体2の外面にて、カバー体3が対向して配置される領域を上下方向に延伸して溝部25が形成されることから、流体通路6の全域を通過する流体の流動性を改善することができる。
また、本実施の形態に係る火災警報器1においては、カバー体3の内面に溝部35を形成して熱拡散抑制部が設けられることから、熱拡散による流体温度の低下を抑制する領域を大きく確保でき、流体温度の低下を効果的に抑制することができる。しかも、カバー体3の内面に溝部35が形成されることから、流体通路6の断面積を拡張することができる。これにより、流体の流動性を改善しながら、熱拡散による流体温度の低下を抑制することができる。特に、カバー体3の内面にて、警報器本体2が対向して配置される領域を上下方向に延伸して溝部35が形成されることから、流体通路6の全域を通過する流体の流動性を改善することができる。
さらに、本実施の形態に係る火災警報器1においては、カバー体3の一部に、熱検出素子4の検出結果に伴って発報される警報を停止する警報停止ボタン33が設けられている。このように流体通路6を規定するカバー体3の一部に警報停止ボタン33が設けられることから、熱拡散による流体温度の低下を抑制しつつも、警報停止操作のし易い火災警報器1を提供することができる。また、カバー体3の一部に警報停止ボタン33を有することで流体通路6が長くなる場合であっても、熱拡散抑制部で流体の熱拡散を抑制していることから、流体温度検出の応答性の低下を防止することができる。
なお、以上の説明においては、警報器本体2及びカバー体3のそれぞれに溝部25及び溝部35を形成して熱拡散抑制部を設ける場合について説明している。しかしながら、熱拡散抑制部の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、警報器本体2又はカバー体3のいずれか一方にのみ溝部25又は溝部35を形成して熱拡散抑制部を設けるようにしてもよい。なお、流体通路6における流体の流動性を改善する観点からは、警報器本体2及びカバー体3の双方に溝部25及び溝部35を形成し、流体通路6の断面積を確保することが好ましい。
また、以上の説明においては、警報器本体2の外面、カバー体3の内面にそれぞれ溝部25、溝部35を形成して熱拡散抑制部を設ける場合について説明している。しかしながら、熱拡散抑制部の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、溝部25、溝部35に相当する溝部を、それぞれ警報器本体2の内面(内蔵する制御基板5との対向面)、カバー体3の外面に形成して熱拡散抑制部を設けるようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る火災警報器1では、警報器本体2及びカバー体3の一部にそれぞれ溝部25及び溝部35を形成することで熱拡散抑制部を設けている。第2の実施の形態に係る火災警報器1では、溝部25及び溝部35の代わりに、凹部28及び凹部36を形成することで熱拡散抑制部を設ける点で、第1の実施の形態に係る火災警報器1と相違する。
以下、第2の実施の形態に係る火災警報器1の構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、第2の実施の形態に係る火災警報器1の警報器本体2の斜視図である。図7は、第2の実施の形態に係る火災警報器1のカバー体3の斜視図である。なお、図6B及び図7Bにおいては、それぞれ第2の実施の形態に係る火災警報器1の警報器本体2及びカバー体3を変形した一例を示している。図6及び図7において、図2及び図3と共通する構成要素については、同一の符号を付与して説明を省略する。また、第2の実施の形態に係る火災警報器1の全体の斜視図は、図1Aと同様に表される。
図6に示すように、第2の実施の形態に係る警報器本体2は、湾曲面21に凹部28が形成されている。図6Aに示すように、凹部28は、概して上下方向に長い楕円形状を有し、熱検出素子4の周囲に配置されている。一方、変形例に係る凹部28は、図6Bに示すように、多角形状(ここでは、8角形状)を有し、熱検出素子4の周囲に配置されている。なお、凹部28の形状は、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
第1の実施の形態における溝部25と同様に、湾曲面2は、凹部28が形成される部分において、凹部28が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成されている。このように他部分よりも薄い構成を有することで、凹部28が形成される部分は、流体通路6を通過する流体の熱拡散を抑制する熱拡散抑制部を構成する。
図7に示すように、第2の実施の形態に係るカバー体3は、後面に凹部36が形成されている。図7Aに示すように、凹部36は、概して上下方向に長い楕円形状を有し、スリット32の周囲に配置されている。一方、変形例に係る凹部36は、図7Bに示すように、多角形状(ここでは、8角形状)を有し、スリット32の周囲に配置されている。なお、凹部36の形状は、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
第1の実施の形態における溝部35と同様に、カバー体3は、凹部36が形成される部分において、凹部36が形成されていない他部分よりも厚さ寸法が薄く構成されている。このように他部分よりも薄い構成を有することで、凹部36が形成される部分は、流体通路6を通過する流体の熱拡散を抑制する熱拡散抑制部を構成する。
第2の実施の形態に係る火災警報器1においては、警報器本体2の一部に凹部28を設けることにより、流体通路6に局所的に面した警報器本体2の熱容量を低下させることができるので、熱検出素子4の近傍にて、流体通路6を通過する流体温度の低下が抑制される。同様に、カバー体3の一部に凹部36を設けることにより、流体通路6に局所的に面したカバー体3の熱容量を低下させることができるので、熱検出素子4の近傍にて、流体通路6を通過する流体温度の低下が抑制される。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る火災警報器1においては、流体通路6を規定する警報器本体2及び/又はカバー体3の一部に、厚さ寸法を他部よりも薄く構成した熱拡散抑制部を設けたことから、流体通路6に配置された熱検出素子4の近傍で警報器本体2及び/又はカバー体3との関係で流体が熱拡散するのが抑制される。これにより、熱拡散に伴う流体温度の低下を抑制でき、熱検出素子4で流体温度を応答性良く検出することができる。
特に、第2の実施の形態に係る火災警報器1においては、警報器本体2の外面及びカバー体3の内面にそれぞれ凹部28、凹部36を形成して熱拡散抑制部が設けられることから、熱拡散抑制部の形成に伴う警報器本体2及びカバー体3の強度の低下を防止することができる。これにより、警報器本体2及びカバー体3における強度を確保しながら、熱拡散による流体温度の低下を抑制することができる。
なお、以上の説明においては、警報器本体2及びカバー体3のそれぞれに凹部28及び凹部36を形成して熱拡散抑制部を設ける場合について説明している。しかしながら、熱拡散抑制部の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、警報器本体2又はカバー体3のいずれか一方にのみ凹部28又は凹部36を形成して熱拡散抑制部を設けるようにしてもよい。
また、以上の説明においては、警報器本体2の外面、カバー体3の内面にそれぞれ凹部28、凹部36を形成して熱拡散抑制部を設ける場合について説明している。しかしながら、熱拡散抑制部の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、凹部28、凹部36に相当する凹部を、それぞれ警報器本体2の内面(内蔵する制御基板5との対向面)、カバー体3の外面に形成して熱拡散抑制部を設けるようにしてもよい。
さらに、警報器本体2の外面、カバー体3の内面に設ける熱拡散抑制部の構成については、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組合せてもよい。例えば、警報器本体2の外面に凹部28を形成する一方、カバー本体3の内面に溝部35を形成して熱拡散抑制部を構成してもよい。逆に、警報器本体2の外面に溝部25を形成する一方、カバー本体3の内面に凹部36を形成して熱拡散抑制部を構成してもよい。これらの組合せは、火災警報器1が設置される室内環境等に応じて選択することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々に変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている構成要素の処理などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
例えば、上記実施の形態においては、火災の検出に特化した火災警報器1について説明している。しかしながら、本実施の形態に係る火災警報器1については、火災だけでなく、ガス漏れの検出や不完全燃焼時に生ずる一酸化炭素の発生の検出を合わせて行うようにしてもよい。特に、上記実施の形態に係る火災警報器1においては、警報器本体2及び/又はカバー体3の一部を薄肉化することから、ガス漏れや一酸化炭素の検出に必要な構成を収容する空間を確保し易くなる。