JP6839475B2 - バンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンション - Google Patents

バンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンション Download PDF

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本発明は、たとえば車両のリヤサスペンションのサスペンションアーム側部材あるいは車体側部材などに組み付けて用いられるバンプストッパ(バウンドストッパとも称される)および衝突対象部位を備えたサスペンションに関する。
バンプストッパの具体例としては、特許文献1〜4に記載のものがある。
これらの文献に記載されたバンプストッパは、全体がゴム状弾性体であり、リヤサスペンションのサスペンションアーム側および車体側の一方に取り付けられて使用される。サスペンションアームのバウンド時(車体の下降時)において、そのバウンドストロークが大きい場合には、サスペンションアーム側および車体側の他方に設けられた衝突対象部位とバンプストッパとが衝突する。このことにより、サスペンションアームの一定以上のバウンドが防止され、他の部材どうしの不当な衝突または干渉が阻止される。また、バンプストッパは、前記衝突時の衝撃を吸収緩和する役割を果たす。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地がある。
すなわち、サスペンションアームは、その前端側に設けられた車体への連結部を回転中心として上下高さ方向に揺動するため、そのバウンド時には、サスペンションアームの各部が前記連結部を中心とする円弧軌跡で上昇する。したがって、サスペンションがバウンドし、バンプストッパに所定の衝突対象部位が衝突する際には、これら両者の接触部は、車両前後方向に相対的に摺動する。その結果、スティックスリップ現象が発生し、異音(騒音)が発生する虞がある。
なお、特許文献3においては、バンプストッパの先端部に同心円状の円形リング状の突起部が設けられている。また、特許文献4においては、バンプストッパの先端部に、円形リング状の突起部に加え、複数の点状の突起部がさらに加えられている。このような構成によれば、バンプストッパの先端部に衝突対象部位が衝突した際に、前記した突起部を大きく弾性変形させることによって、それら突起部と衝突対象部位との接触部に急激な摺動を生じ難くし、スティックスリップ現象を抑制することが可能である。ところが、このようなスティックスリップ現象を抑制し得る効果は、バンプストッパと衝突対象部位との衝突箇所が、摩擦係数の高いドライの状態の場合に限られる。前記衝突箇所が、摩擦係数の低いウェットの状態の場合には、前記した効果を得ることができず、スティックスリップ現象が生じて大きな異音が発生する虞がある。
特開平5−319049号公報 特開平9−193635号号公報 特開2004−225799号公報 特開2009−280192号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ドライおよびウェットのいずれの状態であっても、衝突対象部位との衝突時におけるスティックスリップ現象を適切に防止し、異音が発生しないようにすることが可能なバンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンションを提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明により提供されるバンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンションは、ゴム状弾性体としてのバンプストッパ本体を備えているバンプストッパと、 前記バンプストッパ本体の先端部に形成された対向面に対向する衝突対象部位と、を備えており、前記衝突対象部位および前記バンプストッパ本体の一方が、固定配置状態に設けられ、かつ他方が、所定位置を中心とする円弧軌跡で前記一方と対向する方向に揺動するように設けられていることにより、前記衝突対象部位と前記バンプストッパ本体とは、これらの衝突方向とは交差する方向に相対変位しながら衝突を行なうように設定されている、バンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンションであって、前記対向面の一般面領域から前記バンプストッパ本体の軸長方向前方または斜め前方に向けて突出するように前記バンプストッパ本体に一体形成され、かつ前記バンプストッパ本体の周方向において互いに離間した配置の複数の突起部を、さらに備えており、前記複数の突起部は、前記衝突対象部位に衝突する面として、前記軸長方向前方を向く平面状先端面を有しており、前記バンプストッパ本体の軸長方向途中箇所には、前記バンプストッパ本体の一部を括れ部とする環状凹部が形成され、前記バンプストッパ本体の前記環状凹部よりも先端側領域は、基端側領域と比べて前記衝突対象部位の変位に追従して弾性変形を生じ易い衝撃吸収領域とされ、前記衝突時には、前記衝突方向とは交差する方向に弾性変形可能な構成とされていることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、バンプストッパおよび衝突対象部位が、ドライの状態で衝突する際には、複数の突起部の平面状先端面が、衝突対象部位に対して摩擦係数の高い状態で対面接触する。バンプストッパと衝突対象部位とが衝突方向とは交差する方向に相対変位する動作に対しては、前記複数の突起部が前記方向に大きく弾性変形することによって前記相対変位を許容する。したがって、複数の突起部と衝突対象部位との接触部分に急激な摺動動作を生じ難くし、スティックスリップ現象を適切に防止または抑制することができる。本発明における複数の突起部は、バンプストッパ本体の周方向において互いに離間した構成であり、各突起部の体積を小さくし、各突起部を前記相対変位の方向に弾性変形し易くすることが可能である。このため、スティックスリップ現象をより適切に防止することが可能である。
一方、バンプストッパおよび衝突対象部位が、ウェットの状態で衝突する際には、複数の突起部の平面状先端面と衝突対象部位の外表面との間に、水膜を生じさせることができる。このような水膜を生じさせれば、バンプストッパと衝突対象部位とが直接接触した状態での摺動動作が回避され、スティックスリップ現象は適切に防止される。したがって、異音の発生も防止される。
このように、本発明によれば、ドライ、ウェットのいずれの条件下においても、バンプストッパと衝突対象部位との衝突時におけるスティックスリップ現象を適切に防止し、異音が発生しないようにすることが可能である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
本発明で用いられるバンプストッパの一例を示す斜視図である。 (a)は、図1のIIa−IIa断面図であり、(b)は、(a)に示す要部構造を概念的に示す要部断面図である。 (a)は、図1の平面図であり、(b)は、(a)の要部拡大平面図である。 図1〜図3に示すバンプストッパを用いて構成されたサスペンションの一例を示す要部概略側面図である。 (a)は、図1〜図3に示すバンプストッパの作用を示す要部断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大断面図である。 (a)は、本発明の他の例を示す断面図であり、(b)は、(a)の要部構造を概念的に示す要部断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3に示すバンプストッパBは、ゴム状弾性体として形成されたバンプストッパ本体1、このバンプストッパBに突設された複数の突起部2、および追加の突起部3を備えている。
バンプストッパ本体1は、その基本的な形態が先端開口部10を有する略円筒状とされたものであり、環状凹部11、および対向面12を有している。環状凹部11は、バンプストッパ本体1の軸長方向(図1および図2の上下方向)の途中箇所の外周に一連に形成されている。この環状凹部11が形成されている部分がバンプストッパBの括れ部となっていることにより、バンプストッパBの環状凹部11よりも先端側領域Laは、衝撃吸収領域とされ、かつ環状凹部11よりも基端側領域Lbは、耐久領域とされている。
対向面12は、所望の衝突対象部位8(たとえば、後述する図4のバネ受け部材8)に対向するように設定される面である。バンプストッパBの先端側領域Laの基本的な形態は、その先端側に進むほど外径が小径となる中空の略円錐台状であり、その外周面が、対向面12であり、本実施形態では、傾斜面である。ただし、この対向面12には、バンプストッパ本体1の半径方向に延びる複数の凹溝13が放射状の配列で形成されている。この凹溝13は、対向面12に衝突対象部位8が衝突した際に、これらの相互間に挟まれた状態のエアを外部に逃がす役割を果たす部位であるが、先端側領域Laをより弾性変形し易くする効果も生じさせる。
複数の突起部2は、対向面12のうち、凹溝13が形成されていない一般面領域12aからバンプストッパ本体1の軸長方向前方(図1および図2の上方)または斜め前方に向けて突出しており、バンプストッパ本体1に一体形成されている。したがって、この突起部2も、ゴム状弾性を有している。各突起部2は、バンプストッパ本体1の周方向および半径方向のいずれの方向にも延びていない点状の突起部として形成されている。また、本実施形態では、各突起部2が対向面12の最も先端寄りの位置に設けられており、バンプストッパ本体1の先端開口部10の周縁に沿ってその周方向に略等間隔で並んだ配列とされている。
各突起部2は、バンプストッパ本体1の軸長方向前方を向く平面状先端面20を有しており、複数の突起部2のそれぞれの平面状先端面20は、前記軸長方向の高さが略同一となるように揃えられている。また、対向面12の一般面領域12aのうち、各突起部2よりも半径方向内側部分(先端開口部10の最内周縁部分)には、凹溝13を介して周方向に分断された複数の追加の平面状先端面14が形成されており、この追加の平面状先端面14と、各突起部2の平面状先端面20とは、面一状に繋がっている。これらの平面状先端面20、14が、衝突対象部位8と直接的に衝突する面である。
図3(b)の網点模様が付された部分は、前記した2つの平面状先端面20,14が繋がった部分である。このうち、半円状部分が突起部2の平面状先端面20であり、これ以外の部分(平面状先端面20の両側から周方向に突出している部分など)が追加の平面状先端面14である。本実施形態における突起部2は、概念的には、図2(b)に示すように、対向面12に突設された半球状の突起2Aを、バンプストッパ本体1の先端開口部10の最内周縁部分とともに、仮想線L1の位置で切断したような形態である。
複数の追加の突起部3は、バンプストッパBと衝突対象部位8とが衝突し、かつバンプストッパBが軸長方向にある程度圧縮変形を生じた段階で、衝突対象部位8に衝突する突起部である。この追加の突起部3は、対向面12の一般面領域12aのうち、複数の突起部2よりもバンプストッパ本体1の半径方向外方側に位置するようにして、バンプストッ
パ本体1に一体形成されている。突起部2と同様に、いわゆる点状の突起部である。ただし、その形状は、たとえば略半球状であり、突起部2とは異なり、平面状先端面20に相当する平面部を有していない。
図4は、前記したバンプストッパBを、車両のリヤサスペンションS用とした場合の一例を示している。
同図において、リヤサスペンションSは、車体4に連結部45を介して連結され、かつこの連結部45を中心として上下高さ方向に揺動可能なサスペンションアーム5、このサスペンションアーム5の後部と車体4との間に介在されるバネ60、このバネ60の上下端部を受けるように車体4およびサスペンションアーム5の後部に設けられた上側および下側のバネ受け部材7,8、およびショックアブソーバ62を備えている。車輪61は、サスペンションアーム5の後部に設けられたスピンドル軸(不図示)に取り付けられている。このよう構造は、車両の車幅方向の左右両側にそれぞれ設けられており、左右一対で設けられているサスペンションアーム5は、トーションビーム(不図示)を介して互いに連結されている。
バンプストッパBは、車体4側の固定部材としての上側のバネ受け部材7に支持されるなどして下向きの姿勢で取り付けられている。バンプストッパBの取り付けは、バンプストッパBの環状凹部11よりも基端側領域Lbを支持して行なわれる。サスペンションアーム5が大きくバウンドした際には、下側のバネ受け部材8の上面部がバンプストッパBの先端部に衝突する。したがって、本実施形態においては、バネ受け部材8が、本発明でいう「衝突対象部位」の一例に相当する。
次に、前記したリヤサスペンションSにバンプストッパBを装着した状態における作用について説明する。
車両が悪路を走行するなどしてサスペンションアーム5が大きくバウンドし、バネ受け部材8がバンプストッパBの先端部に衝突する場合、図5に示すように、バンプストッパBの複数の突起部2の平面状先端面20が、追加の平面状先端面14とともにバネ受け部材8の上面部に対面接触する。この対面接触部分がドライの状態である場合、前記した平面状先端面20,14と、バネ受け部材8の上面部との摩擦係数は高い。一方、バネ受け部材8は、連結部45を中心とする円弧軌跡で上昇するため、前記対面接触部分には、矢印N1で示す車両前後方向の相対変位が生じる。
これに対し、前記したような相対変位は、各突起部2、およびバンプストッパBの先端開口部10の最内周縁の薄肉部分が前記方向に部分的に弾性変形することによって生じさせることができ、平面状先端面20,14とバネ受け部材8の上面部との両者間には、急激な滑りを生じないようにすることが可能である。その結果、スティックスリップ現象を防止し、大きな異音が発生しないようにすることができる。突起部2は、体積が小さく、前記した矢印N1方向への弾性変形が容易な点状の突起部として構成されているため、スティックスリップ現象をより適切に防止することが可能である。また、バンプストッパBには、環状凹部11が形成され、バンプストッパBのうち、環状凹部11よりも先端側領域Laは、バネ受け部材8の変位に追従して弾性変形を生じ易い衝撃吸収領域とされているため、スティックスリップ現象の防止効果をさらに高めることが可能である。
次いで、雨天時に車両が走行するような場合には、バンプストッパBおよびバネ受け部材8が、水に濡れたウェットの状態で衝突する。この場合、平面状先端面20,14とバネ受け部材8の平面状の上面部との間には、水膜が生じる。このような水膜が生じれば、バンプストッパBとバネ受け部材8との直接接触による滑りが回避されるため、スティックスリップ現象は適切に防止され、異音の発生も防止される。
本実施形態においては、各突起部2の平面状先端面20に、追加の平面状先端面14が面一状に繋がっており、バンプストッパBに各突起部2の平面状先端面20のみを形成した場合と比較して、バンプストッパBの先端部に形成される平面領域の面積が大きくされているため、前記した水膜をより確実に生じさせることが可能である。
このように、本発明によれば、ドライ、ウェットのいずれの条件下においても、バンプストッパBとバネ受け部材8との衝突時におけるスティックスリップ現象を適切に防止し、この現象に起因する異音が発生しないようにすることが可能である。なお、バネ受け部材8が、図5に示す状態よりもさらに上昇する場合には、追加の突起部3もバネ受け部材8に当接し、この追加の突起部3の弾性変形によって、バネ受け部材8とバンプストッパBとの矢印N1方向の相対変位を許容する。したがって、その際においてもスティックスリップ現象を防止することが可能である。
図6は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付し、その重複説明は省略する。
図6(a)に示すバンプストッパBaは、バンプストッパ本体1の対向面12の一般面領域12aの一部である先端面120に、複数の点状の突起部2が突設されている。各突起部2は、バンプストッパ本体1の軸長方向前方を向く平面状先端面20を有している。ただし、前記実施形態の追加の平面状先端面14に相当する面は形成されていない。各突起部2は、概念的には、同図(b)に示すように、先端面120に突設された略半球状の突起部2Bを、仮想線L2の位置で切断したような形態である。
本実施形態においても、バネ受け部材8の上面部との衝突時には、各突起部2の平面状先端面20がバネ受け部材8の上面部に当接することとなるため、前記実施形態と同様な原理により、ドライおよびウェットのいずれの場合であっても、スティックスリップ現象を適切に防止することが可能である。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。バンプストッパの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
本発明における突起部は、点状の突起部として形成することが好ましいが、これに限定されず、バンプストッパ本体の周方向あるいは半径方向などにやや延びた形状とされていてもよい。バンプストッパ本体の周方向において互いに離間する配置の複数の突起部として形成されていればよい。なお、突起部を点状の突起部に形成する場合、この突起部を、たとえば円柱状、角柱状、円錐台状、あるいは角錐台状などの形態とすることも可能である。
バンプストッパ本体は、ゴムまたは合成ゴム製などとされ、ゴム状弾性体として形成されていればよく、その具体的な材質は限定されない。
バンプストッパは、特許文献2に記載のように、サスペンションアーム側に取り付けた構成とすることも可能であり、その具体的な取り付け位置も限定されない他、その具体的な使用用途、使用態様もとくに限定されるものではない。したがって、本発明でいう衝突対象部位は、バネ受け部材に限定されない。バンプストッパの各部の具体的な形状やサイズなどは、バンプストッパの取り付け使用条件などに応じて適宜に変更可能である。
B バンプストッパ
1 バンプストッパ本体
12 対向面
2 突起部
20 平面状先端面
8 バネ受け部材(衝突対象部位)

Claims (1)

  1. ゴム状弾性体としてのバンプストッパ本体を備えているバンプストッパと、
    前記バンプストッパ本体の先端部に形成された対向面に対向する衝突対象部位と、
    を備えており、
    前記衝突対象部位および前記バンプストッパ本体の一方が、固定配置状態に設けられ、かつ他方が、所定位置を中心とする円弧軌跡で前記一方と対向する方向に揺動するように設けられていることにより、前記衝突対象部位と前記バンプストッパ本体とは、これらの衝突方向とは交差する方向に相対変位しながら衝突を行なうように設定されている、バンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンションであって、
    前記対向面の一般面領域から前記バンプストッパ本体の軸長方向前方または斜め前方に向けて突出するように前記バンプストッパ本体に一体形成され、かつ前記バンプストッパ本体の周方向において互いに離間した配置の複数の突起部を、さらに備えており、
    前記複数の突起部は、前記衝突対象部位に衝突する面として、前記軸長方向前方を向く平面状先端面を有しており、
    前記バンプストッパ本体の軸長方向途中箇所には、前記バンプストッパ本体の一部を括れ部とする環状凹部が形成され、
    前記バンプストッパ本体の前記環状凹部よりも先端側領域は、基端側領域と比べて前記衝突対象部位の変位に追従して弾性変形を生じ易い衝撃吸収領域とされ、前記衝突時には、前記衝突方向とは交差する方向に弾性変形可能な構成とされていることを特徴とする、バンプストッパおよび衝突対象部位を備えたサスペンション
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