JP6839330B2 - 動力伝達装置及び圧延機 - Google Patents

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Description

本開示は、動力伝達装置及び圧延機に関する。
従来、対向して配置された2本の圧延ロール間に金属板を挟み、両圧延ロールの回転により金属板を通過させて展伸・圧延を行い板材に加工する圧延機が知られている。
また、圧延機ではないが、例えば、特許文献1には、駆動歯車の軸心位置を、他の歯車軸を中心に回転させ、従動歯車と嵌脱させるターニング装置用歯車が開示されている。
特許5984910号公報
ところで、上記の圧延機においては、板厚の変更やメンテナンスのために2本の圧延ロールの中心間距離を変更する必要がある。一方で、上記2本の圧延ロールの各々に軸継手を介して回転力を付与する歯車装置は、2本の出力軸の軸間距離が一般に固定されている。このため、圧延ロールの軸間距離の変更に追従するべく、ユニバーサルジョイントやギヤカップリング等の軸継手が採用されているが、これらの軸継手の傾き角と伝達トルクとには制約があり、許容値以下の傾き角で確実にトルクを伝達するには軸継手を長軸化する必要が生じる。このような軸継手の長軸化により、振動及び設置面積が増大するとともに、製造、交換等のコストも増加するという問題がある。
この点、特許文献1には、上記のような問題を解決するための具体的な構成について何ら開示されていない。
上述した問題に鑑み、本開示の少なくとも一実施形態は、接地面積を抑制しつつ被駆動軸の軸間距離に追従してトルクを伝達する構成を提供することを目的とする。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る動力伝達装置は、
モータの駆動力を一の被駆動軸に伝達するための第1動力伝達経路と、
前記一の被駆動軸に対向配置された他の被駆動軸に前記モータの駆動力を伝達するための第2動力伝達経路と、を備え、
前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
前記モータの出力軸に対して軸心位置が固定され前記モータの駆動力によって回転される第1中間回転体と、
前記第1中間回転体によって回転され該第1中間回転体の外周に沿って移動する第2中間回転体と、
前記第2中間回転体によって回転され前記一又は他の被駆動軸に駆動力を伝達する駆動軸と、を含み、
前記駆動軸は、前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて、該駆動軸の軸心方向に垂直な方向に移動するように構成されている。
上記(1)の構成によれば、モータの出力軸に対して軸心位置が固定された第1中間回転体の外周に沿って第2中間回転体が移動することで、第1動力伝達経路又は第2動力伝達経路の少なくとも一方の駆動軸が軸心方向に垂直な方向に移動する。これにより、駆動軸と該駆動軸に接続される被駆動軸との間のミスアライメントを抑制することができるから、軸継手の長軸化を抑制して接地面積を抑制しつつ、被駆動軸の軸間距離に追従して高効率にトルクを伝達することができる。また、動力伝達に寄与する駆動軸と被駆動軸との噛み合い面又は摩擦面の面積を増大することができるから、例えば、同一のトルクを伝達する際の軸継手の直径を低減することができる。換言すれば、軸継手の径が同一であれば負荷容量を増大することができる。さらに、片あたりや歯面荷重増大による折損を防止するとともに、動力伝達の際の面圧や歯面の滑りを低減することができるため、摩耗を抑制して装置寿命の増大を図ることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記動力伝達装置は、前記第2中間回転体の軸心の移動軌跡が前記第1中間回転体の軸心を中心とする円の円弧状になるように構成されていてもよい。
上記(2)の構成によれば、駆動軸又は被駆動軸の上下動に伴い、第2中間回転体の軸心の移動の軌跡が第1中間回転体の軸心を中心とする円弧になるように第2中間回転体が円弧運動するから、常に円滑な噛み合い状態を確保することができるとともに、モータの駆動力を被駆動軸まで確実に伝達することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、
前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
前記モータの前記出力軸を挟んで一方と他方とに配置された少なくとも一対の前記第1中間回転体と、
前記モータの前記出力軸を挟んで前記一方と前記他方とに配置された一対の前記第2中間回転体と、を含んでもよい。
上記(3)の構成によれば、モータの駆動力を一対すなわち複数の回転体で伝達することにより、例えば同一のトルクを一つの回転体で伝達する場合に比べて回転体を小径化することができる。よって、動力伝達装置の小型化を図ることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、
前記第1中間回転体及び前記第2中間回転体は、前記駆動軸を挟んで対称に配置されてもよい。
上記(4)の構成によれば、第1中間回転体及び第2中間回転体が駆動軸を挟んで対称に配置されることにより、動力伝達の際の振動を抑制しつつ、小型化できる動力伝達装置を提供することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の構成において、
前記駆動軸は、
前記第1動力伝達経路を構成するとともに、前記第1動力伝達経路の前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて第1移動方向に移動する第1駆動軸と、
前記第2動力伝達経路を構成するとともに、前記第2動力伝達経路の前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて前記第1移動方向と逆向きである第2移動方向に移動する第2駆動軸と、を含んでいてもよい。
上記(5)の構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸とが、それぞれ逆向きである第1移動方向と第2移動方向とに移動されるから、第1駆動軸に連結された一の被駆動軸と第2駆動軸に連結された他の被駆動軸とを、互いの距離が変化して各々の被駆動軸が離接するように移動させることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、
前記第1駆動軸は、前記第1動力伝達経路において前記第2中間回転体が前記第1中間回転体の前記軸心を中心として、前記軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか一方向に回転したときに前記第1移動方向に移動するように構成されており、
前記第2駆動軸は、前記第2動力伝達経路において前記第2中間回転体が前記第1中間回転体の前記軸心を中心として、前記軸心方向視における前記時計回り又は前記反時計回りの何れか他方向に回転したときに前記第2移動方向に移動するように構成されていてもよい。
上記(6)の構成によれば、第1動力伝達経路の第2中間回転体が軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか一方向に回転したときに第1駆動軸が第1移動方向に移動し、上記軸方向視において第2動力伝達経路の第2中間回転体が上記時計回り又は反時計回りの何れか他方向に回転したときに第2駆動軸が第2移動方向に移動する。つまり、同一の軸方向視において、第1動力伝達経路の第2中間回転体と第2動力伝達経路の第2中間回転体とを第1中間回転体の軸心を中心に異なる方向に回転させることで第1駆動軸と第2駆動軸とを異なる方向に移動させることができる。なお、同一の軸方向視において、第1動力伝達経路の第2中間回転体と第2動力伝達経路の第2中間回転体とを第1中間回転体の軸心を中心に同一の方向に回転させることにより、第1駆動軸と第2駆動軸とを同一の方向に移動させることができるようにしてもよい。
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)に記載の構成において、
前記第1駆動軸は、前記軸心方向において前記第2駆動軸とずれて配置され、平面視にて前記第2駆動軸とオーバーラップしないように配置されてもよい。
上記(7)の構成によれば、第1駆動軸が第2駆動軸と軸心方向にずれて平面視にて第2駆動軸とオーバーラップしないことにより、第1駆動軸及び第2駆動軸がそれぞれ一の被駆動軸及び他の駆動軸に追従することによる両駆動軸の干渉を回避することができる。よって、被駆動軸の軸間距離の変更に円滑に追従しつつ、確実にトルクを伝達する動力伝達装置を提供することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の構成において、
前記第1動力伝達経路及び前記第2動力伝達経路の双方が、
前記第1中間回転体、前記第2中間回転体及び前記駆動軸を含んでもよい。
上記(8)の構成によれば、第1動力伝達経路及び第2動力伝達経路の各々の駆動軸が軸心方向に垂直な方向に移動するように構成される。従って、被駆動軸の軸間距離の変更の際、何れの被駆動軸の変位にも円滑に追従することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(8)の何れか一つに記載の構成において、
前記第1中間回転体と当該第1中間回転体により回転される前記第2中間回転体との軸心間距離を一定に保持するリンクを備えていてもよい。
上記(9)の構成によれば、リンクにより第1中間回転体と第2中間回転体との軸心間距離が一定に保持される。従って、被駆動軸の軸間距離の変更に追従する駆動軸の移動に伴い、第1中間回転体の円弧上を第2中間回転体が移動しても、両中間回転体の間で滑りや空回りが発生することなく、確実に動力を伝達することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の構成において、
前記第1中間回転体の軸心を支点として前記第2中間回転体を作用点に保持する前記リンクの力点に接続され、前記第2中間回転体を前記第1中間回転体の円弧に沿って前記第2中間回転体の軸心の移動の軌跡が前記第1中間回転体の前記軸心を中心とする円の円弧状になるように移動させる揺動力を付与する第1駆動部を備えていてもよい。
上記(10)の構成によれば、第1駆動部により、第1中間回転体の円弧に沿って第2中間回転体を能動的に移動させることができる。これにより、例えば、被駆動軸の軸間距離の変更と第1駆動軸による第2中間回転体の移動を同期させた場合は、被駆動軸の軸間距離の変更に伴う駆動軸への負荷を低減することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の何れか一つに記載の構成において、
前記駆動軸を前記軸心方向に垂直な方向に移動するための第2駆動部を備えていてもよい。
上記(11)の構成によれば、第2駆動部により駆動軸が軸心方向に垂直な方向に移動される。これにより、例えば、被駆動軸の軸間距離の変更と第2駆動部による第1駆動軸の移動を同期させた場合は、被駆動軸の軸間距離の変更に伴う駆動軸への負荷を低減することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の構成において、
前記モータの前記出力軸、前記第1中間回転体、前記第2中間回転体又は前記駆動軸は、各々の外周にギヤを含み、前記ギヤを介して互いが噛み合うことで動力を伝達するように構成されていてもよい。
上記(12)の構成によれば、モータの出力軸、第1中間回転体、第2中間回転体又は駆動軸がギヤを含んで構成される。よって、モータの駆動力を被駆動軸まで確実に伝達することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の構成において、
前記モータの前記出力軸、前記第1中間回転体、前記第2中間回転体又は前記駆動軸はローラを含んでもよい。
上記(13)の構成によれば、モータの出力軸、第1中間回転体、第2中間回転体又は駆動軸がローラを含んで構成される。これにより、動作時における振動や動作音の低減を図ることができる。
(14)本開示の少なくとも一実施形態に係る圧延機は、
上記(1)〜(12)の何れか一つに記載の動力伝達装置と、
前記動力伝達装置の前記駆動軸により回転される前記一及び他の被駆動軸と、を備え、
前記一及び他の被駆動軸は、互いの軸間距離が可変な一対の圧延ロールを含む。
上記(14)の構成によれば、上記(1)で述べたように、駆動軸と被駆動軸との間のミスアライメントを抑制することができ、軸継手の長軸化を抑制して接地面積を抑制しつつ、被駆動軸の軸間距離に追従して高効率にトルクを伝達し得る動力伝達装置を備えた圧延機を得ることができる。
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)に記載の構成において、
前記圧延機は、
前記一対の圧延ロールの前記軸間距離を変更する動力を付与する第3駆動部を備え、
少なくとも前記駆動軸を前記軸心方向に垂直な方向に移動するための前記駆動部及び前記第3駆動部が連動することで前記一対の圧延ロールと前記一対の駆動軸とがそれぞれ同一の軸間距離を維持するように構成されていてもよい。
上記(15)の構成によれば、少なくとも駆動軸を軸心方向に垂直な方向に移動する駆動部(例えば第2駆動部)と、一対の圧延ロールの軸間距離を変更する動力を付与する第3駆動部とが連動することにより、軸間距離の変更に伴う一対の圧延ロールと一対の駆動軸との負荷を抑制しつつ、各々の軸間距離を同一に維持することができるから、装置寿命の延長を図ることができる。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、接地面積を抑制しつつ被駆動軸の軸間距離に追従してトルクを伝達する構成を提供することができる。
本開示の少なくとも一実施形態に係る圧延機の構成例を示す概略図である。 本開示の少なくとも一実施形態に係る動力伝達装置の一部を示す概略斜視図である。 一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略斜視図である。 一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図である。 一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図(平面図)である。 一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図(側面図)である。 図5AのA−A断面を示す図であり、上側に配置された(第1)動力伝達経路を示す概略図である。 図5AのB−B断面を示す図であり、下側に配置された(第2)動力伝達経路を示す概略図である。 一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略側面図である。 図7におけるC−C断面を示す概略図であり、上側に配置された(第1)動力伝達経路における駆動軸移動機構を示す。 図7におけるD−D断面を示す概略図であり、下側に配置された(第2)動力伝達経路における駆動力移動機構を示す。 他の実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略斜視図である。
以下、添付図面に従って本発明の例示的な実施形態について説明する。ただし、以下に示す幾つかの実施形態に記載された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は本開示の少なくとも一実施形態に係る圧延機の構成例を示す概略図である。
図1に非限定的に例示するように、本開示の少なくとも一実施形態に係る圧延機1は、本開示の何れかの実施形態に係る動力伝達装置10と、動力伝達装置10の駆動軸18により回転される一の被駆動軸及び他の被駆動軸としての一対の圧延ロール2(2A、2B)と、を備えている。また、圧延機1は、一対の圧延ロール2の軸間距離を変更する動力を付与する駆動部(例えば後述する第3駆動部23)を備えている。
一対の圧延ロール2は、例えば図1に示すように、間隔を隔てて互いが平行に配置されるとともに、互いの軸間距離g(例えば軸中心間距離又は外周間距離)が可変に構成されている。一対の圧延ロール2は、例えば両者の間に金属板9を挟み、各々の圧延ロール2が互いに逆向きに回転することにより金属板9を通過させて展伸・圧延を行い、板材に加工するようになっている。
かかる動力伝達装置10は、後述の通り、駆動軸18と被駆動軸(例えば圧延ロール2)との間のミスアライメントを抑制可能に構成されており、軸継手5の長軸化を抑制して接地面積を抑制しつつ、被駆動軸の軸間距離に追従して高効率にトルクを伝達し得る動力伝達装置10を備えた圧延機1を得ることができる。
続いて、本開示の少なくとも一実施形態に係る動力伝達装置10について説明する。
図2は本開示の少なくとも一実施形態に係る動力伝達装置の一部を示す概略斜視図である。図3は一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略斜視図である。図4は一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図である。
図1〜図4に例示するように、本開示の少なくとも一実施形態に係る動力伝達装置10は、モータ14の駆動力を一の被駆動軸2(例えば圧延ロール2A)に伝達するための第1動力伝達経路11と、上記一の被駆動軸に対向配置された他の被駆動軸2(例えば圧延ロール2B)に対して、上記一の被駆動軸2とは逆向きの回転力としてモータ14の駆動力を伝達するための第2動力伝達経路12と、を備えている。また、動力伝達装置10は、上記第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を収容するケーシング13を備えている。
第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の各々は、各々の被駆動軸2の配置に応じて何れか一方のみが設けられたり、或いは互いが例えば上下又は左右等の位置関係となるように配置されたりする。
かかる第1動力伝達経路11又は第2動力伝達経路12の少なくとも一方は、モータ14の出力軸15に対して軸心位置が固定されモータ14の駆動力によって回転される第1中間回転体16と、第1中間回転体16によって回転され該第1中間回転体16の外周に沿って移動する第2中間回転体17と、第2中間回転体17によって回転され一又は他の被駆動軸に駆動力を伝達する駆動軸18と、を含んで構成される。
例えば、図1〜図4は、動力伝達装置10が第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を備えた構成において、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の各々が、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18を含む構成例を示しており、このうち図1及び図2は、左側にのみ上記第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を備えた構成を示し、図3及び図4は、左右に上記第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を備えた構成を示している。
出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18は、各々の中心軸が軸受30を介してケーシング13内で回転するように支持されている。詳細には、第1中間回転体16の回転軸160LAと第2中間回転体17の回転軸170LA,回転軸160LBと回転軸170LB,回転軸160RAと170RA、及び回転軸160RBと170RBは、それぞれ軸受30を介して後述するリンク20により連結されている。また、駆動軸18は、回転軸180A(180B)及び軸受30を介して後述するフレーム19Aに支持されており、該フレーム19Aが、後述する第2駆動部22に駆動されることにより支持体19B(後述)に沿って上下に案内されるようになっている。
幾つかの実施形態では、例えば図2及び図3に示すように、モータ14の出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18は、各々の回転軸150、160LA,160LB,160RA,160RB,170LA,170LB,180A,180Bの外周に各回転軸と一体に回転するギヤが設けられ、該ギヤを介して互いが噛み合うことで動力を伝達するように構成されていてもよい。つまり、モータ14の出力軸15と第1中間回転体16(より詳細には後述するトルク受領部16A)、第1中間回転体16(より詳細には後述する第2トルク伝達部16C)と第1中間回転体16(より詳細には後述する第1中間回転体16D)、第1中間回転体16(より詳細には後述する第1トルク伝達部16B)と第2中間回転体17、第2中間回転体17と駆動軸18は、各々の外周に設けられたギヤを介して噛合されることにより、回転トルクを伝達するように構成され得る。なお、出力軸15の隣(左側)に配置される回転軸160LAは、軸心方向において他の回転軸より長尺であるとともに、出力軸15に近い方から順に、それぞれ第1中間回転体16としてのトルク受領部16LA、第1トルク伝達部16LB及び第2トルク伝達部16LCとが設けられている。同様に、出力軸15の隣(右側)に配置される回転軸160RAは、軸心方向において他の回転軸より長尺であるとともに、出力軸15に近い方から順に、それぞれ第1中間回転体16としてのトルク受領部16RA、第1トルク伝達部16RB及び第2トルク伝達部16RCとが設けられている。
このように、モータ14の出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18の外周がギヤで構成された場合、駆動軸18又は被駆動軸2の上下動に伴う歯車位置の変化に対応して、第2中間回転体17の軸心の移動の軌跡が第1中間回転体16の軸心を中心とする円の円弧になるように第2中間回転体17が円弧運動するから、常に円滑な噛み合い状態を確保することができるとともに、モータ14の駆動力を被駆動軸2まで確実に伝達することができる。なお、「第2中間回転体17が、該第1中間回転体16の周方向に沿って円弧状に移動する」ことは、「第2中間回転体17が、該第1中間回転体16の軸心を中心とする円の円弧になるように移動する」ことを含む。
第1中間回転体16は、その回転中心軸が出力軸15の回転中心軸と一定の距離を維持するようにして回転するように支持されている。この第1中間回転体16は、出力軸15と平行に配置されるとともに、該出力軸15に対して互いの回転中心軸の相対的な位置関係が固定されており、例えば固定ギヤと称することもできる。
図2及び図3に示すように、第1中間回転体16は、軸方向において出力軸15よりも長尺に形成されている。かかる第1中間回転体16は、出力軸15に近接する一端部側の外周が、該出力軸15からトルクを伝達されるトルク受領部16A(より詳細には、例えば図4における左側に配置されているトルク受領部16Aをトルク受領部16LA、右側に配置されているトルク受領部16Aをトルク受領部16RAとする。以下同様)として構成されている。また、第1中間回転体16における長手方向の中間の外周は、第1動力伝達経路11の第2中間回転体17にトルクを伝達する第1トルク伝達部16B(左側を第1トルク伝達部16LB、右側を第1トルク伝達部16RBとする)として構成されている。さらに、第1中間回転体16における、出力軸15からの距離が遠い他端部側の外周は、第2動力伝達経路12の第2中間回転体17にトルクを伝達する第2トルク伝達部16C(左側を第2トルク伝達部16LC、右側を第2トルク伝達部16RCとする)として構成されている。
幾つかの実施形態では、例えば図1〜図4に示すように、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12は、各々の動力伝達経路11、12における第1中間回転体16として同一の第1中間回転体16を共有するように構成されていてもよい。このようにすれば、動力伝達装置10の小型化を図ることができる。
なお、上述した複数の第1中間回転体16のうち、トルク受領部16LA,16RA、及び第1トルク伝達部16LB,16RBが第1動力伝達経路11を構成し、トルク受領部16LA,16RA、第2トルク伝達部16LC,16RC、及び16LD,16RDが第2動力伝達経路12を構成する。すなわち、第1トルク伝達部16LB,16RBは、第1動力伝達経路11のみに寄与し、第2動力伝達経路12には寄与しない。
さらに、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の何れか一方が他方に比べて奇数個多くの第1中間回転体16を備えていてもよい。図2〜図4には、例えば第2動力伝達経路12側に、第1動力伝達経路11に比べて1つ多くの第1中間回転体16D(左側を第1中間回転体16LD、右側を第1中間回転体16RDとする)が設けられている構成を示す。このようにすれば、一の被駆動軸と他の被駆動軸とに、それぞれ逆方向の回転力を伝達することができるから、これら一及び他の被駆動軸の間に挟んだ搬送物(例えば金属板9)を同一方向に向けて搬送することができる。
第2中間回転体17(左側を第2中間回転体17L、右側を第2中間回転体17Rとする)は、その回転中心軸が第1中間回転体16の回転中心軸と一定の距離を維持するようにして回転するように支持されている。この第2中間回転体17は、第1中間回転体16との軸間距離及び平行な位置関係を維持するとともに、第1中間回転体16の外周とすべりが無い(例えばギヤの噛み合い又は摩擦により)の状態で、該第1中間回転体16の周方向に沿って円弧状に移動できるように構成されており、例えば可動ギヤと称することもできる。
駆動軸18は、その回転中心軸が被駆動軸2の回転中心軸と平行に配置されている(図1参照)。駆動軸18の回転中心軸と被駆動軸2の回転中心軸とは、例えば同軸に配置されていてもよい。かかる駆動軸18は、被駆動軸2に連結されることにより、該被駆動軸2がその軸線方向と垂直な方向に移動するのに追従して移動できるように構成される。幾つかの実施形態では、例えば図1〜図4に示すように、動力伝達装置10が第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を共に備える場合、被駆動軸2の軸間距離の変更に追従して各々の動力伝達経路の駆動軸18が、互いの平行な位置関係を維持したまま軸間距離が変更されるように構成される。例えば図2において、第2中間体17LAが第1トルク伝達部16LB(第1中間回転体16)の軸心を中心に第1トルク伝達部16LBの外周に沿って左回りに円弧状に移動すると、駆動ギヤ18Aが上方向に移動する。一方、第2中間体17LAが第1トルク伝達部16LB(第1中間回転体16)の軸心を中心に第1トルク伝達部16LBの外周に沿って右回りに円弧状に移動すると駆動ギヤ18Aが下方向に移動する。
上述の通り、動力伝達装置10において、駆動軸18は、第1中間回転体16周りの第2中間回転体17の移動に応じて、該駆動軸18の軸心方向に垂直な方向に移動可能に構成されている。
なお、例えば図1に示すように、上下に離隔して配置された一対の被駆動軸2にそれぞれ回転トルクを付与する動力伝達装置10の場合、図2に例示するように、軸心方向からみて左右いずれか一方(例えば図2では左側のみ)に第1動力伝達経路11(上側)及び第2動力伝達経路12(下側)を備えていてもよいし、図3及び図4に例示するように、軸心方向からみて左右両方に第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12を備えていてもよい。
上述したように、モータの出力軸15に対して軸心位置が固定された第1中間回転体16の外周に沿って第2中間回転体17が移動(例えば円弧状に)することで、第1動力伝達経路11又は第2動力伝達経路12の少なくとも一方の駆動軸18が軸心方向に垂直な方向に移動可能な構成により、駆動軸18と該駆動軸18に接続される被駆動軸(例えば圧延ロール2)との間のミスアライメントを抑制することができるから、軸継手5の長軸化を抑制して接地面積を抑制しつつ、被駆動軸の軸間距離に追従して高効率にトルクを伝達することができる。また、動力伝達に寄与する駆動軸18と被駆動軸との噛み合い面又は摩擦面の面積を増大することができるから、例えば、同一のトルクを伝達する際の軸継手5の直径を低減することができる。換言すれば、軸継手5の径が同一であれば負荷容量を増大することができる。さらに、片あたりや歯面荷重増大による折損を防止するとともに、動力伝達の際の面圧や歯面の滑りを低減することができるため、摩耗を抑制して装置寿命の増大を図ることができる。
続いて、図3及び図4に非限定的に例示するように、幾つかの実施形態では、第1動力伝達経路11又は第2動力伝達経路12の少なくとも一方が、モータ14の出力軸15を挟んで一方及び他方に配置された少なくとも一対の第1中間回転体16(16L,16R)と、モータ14の出力軸15を挟んで一方及び他方に配置された一対の第2中間回転体17(17L,17R)と、を含んでいてもよい。例えば図3及び図4には、第2動力伝達経路12(例えば下側)が、出力軸15の軸線方向からみて左右2対の第1中間回転体16(16L,16R)と、左右一対の第2中間回転体17(17L,17R)とを含む構成を示しているが、第1動力伝達経路11のみが左右2対の第1中間回転体16(16L,16R)と、左右一対の第2中間回転体17(17L,17R)とを含んでいてもよい。
このように、モータ14の駆動力を一対すなわち複数の回転体(第1中間回転体16L,16R、又は第2中間回転体17L,17R)で伝達する構成により、例えば同一のトルクを一つの回転体で伝達する場合に比べて回転体を小径化することができる。よって、動力伝達装置10の小型化を図ることができる。
図5Aは一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図(平面図)である。図5Bは一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略図(側面図)である。図6Aは図5AのA−A断面を示す図であり、上側に配置された(第1)動力伝達経路を示す概略図である。図6Bは図5AのB−B断面を示す図であり、下側に配置された(第2)動力伝達経路を示す概略図である。図7は一実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略側面図である。図8Aは、図7におけるC−C断面を示す概略図であり、上側に配置された(第1)動力伝達経路における駆動軸移動機構を示す。図8Bは、図7におけるD−D断面を示す概略図であり、下側に配置された(第2)動力伝達経路における駆動力移動機構を示す。
図3〜図8Bに非限定的に例示するように、幾つかの実施形態では、第1中間回転体16及び第2中間回転体17が、駆動軸18を挟んで対称に配置されてもよい。つまり、第1中間回転体16は、駆動軸18を挟んで該駆動軸18から同一の距離にそれぞれ配置されていてもよく、第2中間回転体17は、駆動軸18を挟んで該駆動軸18から同一の距離にそれぞれ配置されていてもよい。
このように、第1中間回転体16及び第2中間回転体17が駆動軸18を挟んで対称に配置されることにより、動力伝達の際の振動を抑制しつつ、小型化することができる動力伝達装置10を提供することができる。
幾つかの実施形態では、上記第1中間回転体16及び第2中間回転体17が、駆動軸18を挟んで対称に配置された構成において、駆動軸18は、第1動力伝達経路11を構成するとともに、該第1動力伝達経路11の第1中間回転体16LB,16RB周りの第2中間回転体17LA,17LBの移動に応じて第1移動方向に移動する第1駆動軸(駆動ギヤ)18Aと、第2動力伝達経路12を構成するとともに、該第2動力伝達経路12の第1中間回転体16LD,16RD周りの第2中間回転体17LB,17RBの移動に応じて第1移動方向と逆向きである第2移動方向に移動する第2駆動軸(駆動ギヤ)18Bと、を含んでいてもよい。
上記構成によれば、第1駆動軸18Aと第2駆動軸18Bとが、それぞれ逆向きである第1移動方向と第2移動方向とに移動されるから、第1駆動軸18Aに連結された一の被駆動軸2Aと第2駆動軸18Bに連結された他の被駆動軸2Bとを、互いの距離が変化して各々の被駆動軸2A,2Bが離接するように移動させることができる。
幾つかの実施形態では、上述した駆動軸18が第1駆動軸18Aと第2駆動軸18Bとを含む構成において、第1駆動軸18Aは、第1動力伝達経路11において第2中間回転体17(17LA、17RA)が第1中間回転体16(16LB、16RB)の軸心を中心として、軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか一方向に回転したときに第1移動方向に移動するように構成されていてもよい。また、第2駆動軸18Bは、第2動力伝達経路12において第2中間回転体17(17LB,17RB)が第1中間回転体16(16LD、16RD)の軸心を中心として、上記軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか他方向に回転したときに第2移動方向に移動するように構成されていてもよい。
上記構成によれば、第1動力伝達経路の第2中間回転体が軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか一方向に回転したときに第1駆動軸が第1移動方向に移動し、上記軸方向視において第2動力伝達経路の第2中間回転体が上記時計回り又は反時計回りの何れか他方向に回転したときに第2駆動軸が第2移動方向に移動する。つまり、同一の軸方向視において、第1動力伝達経路の第2中間回転体と第2動力伝達経路の第2中間回転体とを第1中間回転体の軸心を中心に異なる方向に回転させることで第1駆動軸と第2駆動軸とを異なる方向に移動させることができる。なお、同一の軸方向視において、第1動力伝達経路の第2中間回転体と第2動力伝達経路の第2中間回転体とを第1中間回転体の軸心を中心に同一の方向に回転させることにより、第1駆動軸と第2駆動軸とを同一の方向に移動させることができるようにしてもよい。
幾つかの実施形態では、例えば図1〜3、図5A及び図7に例示するように、第1動力伝達経路11の駆動軸18(第1駆動軸18A)は、軸心方向において第2駆動軸18Bとずれて配置され、平面視にて第2駆動軸18Bとオーバーラップしないように配置されてもよい。つまり、第1動力伝達経路11の駆動軸18と第2動力伝達経路12の駆動軸18とは、平面視において互いに重ならないように配置され得る(例えば図1参照)。また、第1動力伝達経路11の駆動軸18と第2動力伝達経路12の駆動軸18とは、側面視において互いが上下にずれて配置され、被駆動軸2の軸間距離に追従して一方又は他方の駆動軸18が上下に移動した際に、何れか一方の駆動軸18と被駆動軸2とを連結する軸部材と他方の駆動軸18とが干渉しない(又は重ならない)ように配置され得る。
このように、第1動力伝達経路11と第2動力伝達経路12の各駆動軸18が軸心方向にずれて干渉しない構成により、何れかの駆動軸18が被駆動軸に追従することによる両駆動軸18の干渉を回避することができる。よって、被駆動軸の軸間距離の変更に円滑に追従しつつ、確実にトルクを伝達する動力伝達装置10を提供することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1〜8Bに例示するように、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の双方が、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18を含んでもよい。つまり、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12は、一対の被駆動軸2に対して各々が動力を伝達するように構成されるとともに、各々が有する駆動軸18をそれぞれ独立に、該駆動軸18の軸線方向と垂直な方向に移動できるように構成されていてもよい。
このように、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の各々の駆動軸18が軸心方向に垂直な方向に移動する構成によれば、被駆動軸の軸間距離の変更の際、何れの被駆動軸の変位にも円滑に追従することができる。また、二つの被駆動軸2を一つのモータ14で駆動することができるから、動力伝達装置10の小型化を図ることができる。
上記第2中間回転体17は、第1中間回転体16との距離が一定に維持されるように、その回転軸の少なくとも一部において、第1中間回転体16との距離が拘束されるように支持されていてもよいし、第1中間回転体16に向けて付勢されるように支持されていてもよい。また、第2中間回転体17は、駆動軸18との距離が一定に維持されるように、その回転軸の少なくとも一部において、駆動軸18との距離が拘束されるように支持されていてもよいし、駆動軸18に向けて付勢されるように支持されていてもよい。上記距離を拘束する構成としては、例えば、各々の軸を案内するガイド溝や後述するリンク20などが挙げられる。
幾つかの実施形態において、動力伝達装置10は、例えば図4〜6Bに例示するように、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18のうち、一部又は全てがリンク20を介して結合されていてもよい。具体的に、動力伝達装置10は、例えば第1中間回転体16と第2中間回転体17との軸心間距離を一定に維持するリンク20Aを備えていてもよい。この場合、リンク20Aは、例えば図5Aに示すように、軸方向におけるトルク受領部16Aの両端、第1トルク伝達部16Bの両端、及び第2トルク伝達部16Cの両端にそれぞれ設けられてもよい。リンク20Aは、第1中間回転体16の軸心(回転中心軸)を中心に、第2中間回転体17側が揺動するように構成され得る。
また、動力伝達装置10は、例えば図5Aに示すように、第2中間回転体17と駆動軸18との軸心間距離を一定に維持するリンク20Bを備えていてもよい。この場合、リンク20Bは、例えば図5Aに示すように、軸方向における第2中間回転体17及び駆動軸18の両端に設けられてもよい。
かかる構成によれば、リンク20(20A)により第1中間回転体16と第2中間回転体17との軸心間距離が一定に維持される。従って、例えば図4、図6A及び図6Bに示すように、被駆動軸2の軸間距離の変更に追従する駆動軸18の移動に伴い、第1中間回転体16の円弧上を第2中間回転体17が移動しても、両中間回転体16,17の間で滑りや空回りが発生することなく、確実に動力を伝達することができる。また、リンク20(20B)により第2中間回転体17と駆動軸18との軸心間距離が一定に維持される。従って、被駆動軸2の軸間距離の変更に追従する駆動軸18の移動に伴い、第2中間回転体17の円弧上を駆動軸18が移動しても、両者の間で滑りや空回りが発生することなく、確実に動力を伝達することができる。
上記リンク20を有する構成において、動力伝達装置10は、例えば図4、図6A及び図6Bに例示するように、第1中間回転体16の軸心を支点として第2中間回転体17を作用点に保持するリンク20(20A)の力点に接続され、第2中間回転体17を第1中間回転体16の外周に沿って、移動させる揺動力を付与する第1駆動部21を備えていてもよい。
第1駆動部21は、例えば電磁ソレノイド、モータ又は油圧シリンダ等のアクチュエータにより構成され得る。この第1駆動部21は、被駆動軸2の移動に応じて、当該被駆動軸2及びこれに連結された駆動軸18の相対的な位置関係が維持されるようにして第2中間回転体17が第1中間回転体16の円弧上を移動するように制御され得る。
具体的に、例えば第1動力伝達経路11における第2中間回転体17を第1中間回転体16周りに揺動させ得る第1駆動部21は、例えば図6Aに示すように配置される。図6Aでは、第1動力伝達経路11における左側の第2中間回転体17(17LA)を揺動させる第1駆動部21が、第1中間回転体16(16LA)及び第2中間回転体17(17LA)を連結するリンク20Aの上部(言い換えれば、リンク20Aの支点に対して作用点と同じ側)に接続されており、第1駆動部21の出力軸が水平方向に向けて移動することにより、第1中間回転体16(16LA)を中心にリンク20Aが揺動され、第2中間回転体17(17LA)が移動するようになっている。また、図6Aでは、第1動力伝達経路11における右側の第2中間回転体17(17RA)を揺動させる第1駆動部21が、第1中間回転体16(16RA)及び第2中間回転体17(17RA)を連結するリンク20Aの下部(言い換えれば、リンク20Aの支点に対して作用点と反対側)に接続されており、第1駆動部21の出力軸が水平方向に向けて移動することにより、第1中間回転体16(16RA)を中心にリンク20Aが揺動され、第2中間回転体17(17RA)が移動するようになっている。図示した例では、例えば右側及び左側に配置されたリンク20Aはそれぞれ、支点、力点及び作用点が直線状に並ぶように形成され得る。
一方、第2動力伝達経路12における第2中間回転体17(17LB,17RB)を第1中間回転体16(16LD、16RD)周りに揺動させ得る第1駆動部21は、例えば図6Bに示すように配置される。図6Bでは、第2動力伝達経路12における左側の第2中間回転体17(17LB)を揺動させる第1駆動部21、及び右側の第2中間回転体17(17RB)を揺動させる第1駆動部21が、各々の第1中間回転体16(16LD,16RD)及び第2中間回転体17(17LB,17RB)を連結するリンク20Aの上部(言い換えれば、リンク20Aの支点に対して作用点と反対側)に接続されており、第1駆動部21の出力軸が水平方向に向けて移動することにより、第1中間回転体16(16LD,16RD)を中心にリンク20Aが揺動され、第2中間回転体17(17LB,17RB)が移動するようになっている。なお、図6Bに示すように、各第1駆動部21が同じ向きに出力軸を向けて配置された場合は、各々の第1駆動部21の出力軸の進退が逆位相で制御され得る。また、図示は省略するが、例えば各々の第1駆動部21が対向して配置された場合は同一位相で制御され得る。図示した例では、例えば右側及び左側に配置されたリンク20Aはそれぞれ、支点、力点及び作用点がL字状に並ぶように形成され得る。
このように構成すれば、第1駆動部21により、第1中間回転体16の円弧に沿って第2中間回転体17を能動的に移動させることができる。これにより、例えば、被駆動軸である圧延ロール2の軸間距離の変更と第1駆動部21による第2中間回転体17の移動を同期させた場合は、被駆動軸である圧延ロール2の軸間距離の変更に伴う駆動軸18への負荷を低減することができる。
さらに、動力伝達装置10は、例えば図4、7、8A及び8Bに示すように、駆動軸18を軸心方向に垂直な方向に移動するための第2駆動部22を備えていてもよい。
第2駆動部22は、例えば電磁ソレノイド、モータ又は油圧シリンダ等のアクチュエータにより構成され得る。この第2駆動部22は、被駆動軸2の移動に応じて、当該被駆動軸2及びこれに連結された駆動軸18の相対的な位置関係が維持されるように制御され得る。
具体的に、例えば第1動力伝達経路11における駆動軸18を該駆動軸18の軸心方向と垂直な方向(例えば上下方向)に移動させる第2駆動部22は、例えば図8Aに示すように配置される。図8Aでは、第2駆動部22が、駆動軸18の軸受30を保持するフレーム19Aを案内する支持体19Bの下部に出力軸を上方に向けて接続されており、第2駆動部22の出力軸が上下方向に向けて移動することにより、駆動軸18が上下方向に沿って移動するようになっている。
一方、第2動力伝達経路12における駆動軸18を該駆動軸18の軸心方向と垂直な方向(例えば上下方向)に移動させる第2駆動部22は、例えば図8Bに示すように配置される。図8Bでは、第2駆動部22が、駆動軸18の軸受30を保持するフレーム19Aをガイドする支持体19Bの上部に出力軸を下方に向けて接続されており、第2駆動部22の出力軸が上下方向に向けて移動することにより、駆動軸18が上下方向に沿って移動するようになっている。
このように第2駆動部22により駆動軸18が軸心方向に垂直な方向に移動される構成により、例えば、被駆動軸の軸間距離の変更と第2駆動部22による第1駆動軸18の移動を同期させた場合は、被駆動軸の軸間距離の変更に伴う駆動軸18への負荷を低減することができる。
そして、上述した動力伝達装置10が第2駆動部22を備えた構成において、圧延機1は、一対の圧延ロール2の軸間距離を変更する動力を付与する第3駆動部23を備えていてもよい(例えば図1参照)。第3駆動部23は、例えば電磁ソレノイド、モータ又は油圧シリンダ等のアクチュエータにより構成され得る。そして、少なくとも第2駆動部22及び第3駆動部23が連動することで一対の圧延ロール2と一対の駆動軸18とがそれぞれ同一の軸間距離を維持するように構成されていてもよい。この場合、動力伝達装置10がさらに上述した第1駆動部21を備えていてもよく、第1駆動部21、第2駆動部22及び第3駆動部23が互いに円滑に連動するように構成されていてもよい。
このように、少なくとも駆動軸18を軸心方向に垂直な方向に移動する第2駆動部22と、一対の圧延ロール2の軸間距離を変更する動力を付与する第3駆動部23とが連動する構成により、軸間距離の変更に伴う一対の圧延ロール2と一対の駆動軸18との負荷を抑制しつつ、各々の軸間距離を同一に維持することができるから、装置寿命の延長を図ることができる。
図9は他の実施形態に係る動力伝達装置の構成例を示す概略斜視図である。
モータ14の出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17又は駆動軸18は、例えば図9に非限定的に例示するように、ローラを含んで構成されてもよい。つまり、出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18は、各々の周面の摩擦力により、回転トルクを伝達するように構成されていてもよい。
このように、モータ14の出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17又は駆動軸18がローラを含む構成によれば、動作時における振動や動作音の低減を図ることができる。また、上述した出力軸15、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18がギヤを含む構成に比べてバックラッシを低減することができるため、動力の伝達ロスを低減することができる。また、ギヤの歯を加工する必要がないため、製造にかかる工数及びコストを低減することができる。
上述した本開示の少なくとも一実施形態によれば、接地面積を抑制しつつ被駆動軸の軸間距離に追従してトルクを伝達する構成を提供することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。例えば上述した幾つかの実施形態では、動力伝達装置10として、圧延機1の圧延ロール2を駆動する駆動装置を例示したが、本発明の動力伝達装置10はこれに限定されない。例えば、動力伝達装置10は、容積ポンプを駆動するための駆動装置であってもよい。容積ポンプとしては、例えばベーンポンプ又はギヤドポンプを採用してもよい。
また、他の実施形態では、第1動力伝達経路11及び第2動力伝達経路12の何れか一方が、第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18を含んでもよい。例えば上側に配置された第1動力伝達経路11のみが第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18を含み、上側の駆動軸18が上下に移動するように構成されていてもよい。また、下側に配置された第2動力伝達経路12のみが第1中間回転体16、第2中間回転体17及び駆動軸18を含む構成とすることもでき、この場合は下側の駆動軸18のみが上下動するように構成される。
1 圧延機
2 圧延ロール(被駆動軸)
5 軸継手
5A カップリング
9 金属板
10 動力伝達装置(圧延ロール駆動機構)
11 第1動力伝達経路
12 第2動力伝達経路
13 ケーシング
14 モータ
15 モータ出力軸(入力軸)
16 中間ギヤ(第1中間回転体)
17 補助ギヤ(第2中間回転体)
18 駆動ギヤ(出力軸/駆動軸)
20 リンク
21 第1駆動部
22 第2駆動部
23 第3駆動部
g 軸間距離

Claims (16)

  1. モータの駆動力を一の被駆動軸に伝達するための第1動力伝達経路と、
    前記一の被駆動軸に対向配置された他の被駆動軸に前記モータの駆動力を伝達するための第2動力伝達経路と、を備え、
    前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
    前記モータの出力軸に対して軸心位置が固定され前記モータの駆動力によって回転される第1中間回転体と、
    前記第1中間回転体によって回転され該第1中間回転体の外周に沿って移動する第2中間回転体と、
    前記第2中間回転体によって回転され前記一又は他の被駆動軸に駆動力を伝達する駆動軸と、を含み、
    前記駆動軸は、前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて、該駆動軸の軸心方向に垂直な方向に移動するように構成されており、
    前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
    前記モータの前記出力軸を挟んで一方と他方とに配置された少なくとも一対の前記第1中間回転体と、
    前記モータの前記出力軸を挟んで前記一方と前記他方とに配置された一対の前記第2中間回転体と、を含む
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  2. モータの駆動力を一の被駆動軸に伝達するための第1動力伝達経路と、
    前記一の被駆動軸に対向配置された他の被駆動軸に前記モータの駆動力を伝達するための第2動力伝達経路と、を備え、
    前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
    前記モータの出力軸に対して軸心位置が固定され前記モータの駆動力によって回転される第1中間回転体と、
    前記第1中間回転体によって回転され該第1中間回転体の外周に沿って移動する第2中間回転体と、
    前記第2中間回転体によって回転され前記一又は他の被駆動軸に駆動力を伝達する駆動軸と、を含み、
    前記駆動軸は、前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて、該駆動軸の軸心方向に垂直な方向に移動するように構成されており、
    前記第1中間回転体と当該第1中間回転体により回転される前記第2中間回転体との軸心間距離を一定に保持するリンクをさらに備え、
    前記第1中間回転体の軸心を支点として前記第2中間回転体を作用点に保持する前記リンクの力点に接続され、前記第2中間回転体を前記第1中間回転体の外周に沿って前記第2中間回転体の軸心の移動の軌跡が前記第1中間回転体の前記軸心を中心とする円の円弧状になるように移動させる揺動力を付与する第1駆動部を備えている
    ことを特徴とする動力伝達装置。
  3. 前記第1動力伝達経路又は前記第2動力伝達経路の少なくとも一方は、
    前記モータの前記出力軸を挟んで一方と他方とに配置された少なくとも一対の前記第1中間回転体と、
    前記モータの前記出力軸を挟んで前記一方と前記他方とに配置された一対の前記第2中間回転体と、を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記一対の第1中間回転体及び前記一対の第2中間回転体は、それぞれ前記駆動軸を挟んで対称に配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は3に記載の動力伝達装置。
  5. 前記駆動軸は、
    前記第1動力伝達経路を構成するとともに、前記第1動力伝達経路の前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて第1移動方向に移動する第1駆動軸と、
    前記第2動力伝達経路を構成するとともに、前記第2動力伝達経路の前記第1中間回転体周りの前記第2中間回転体の移動に応じて前記第1移動方向と逆向きである第2移動方向に移動する第2駆動軸と、を含む
    ことを特徴とする請求項4に記載の動力伝達装置。
  6. 前記第1駆動軸は、前記第1動力伝達経路において前記第2中間回転体が前記第1中間回転体の前記軸心を中心として、前記軸心方向視における時計回り又は反時計回りの何れか一方向に回転したときに前記第1移動方向に移動するように構成されており、
    前記第2駆動軸は、前記第2動力伝達経路において前記第2中間回転体が前記第1中間回転体の前記軸心を中心として、前記軸心方向視における前記時計回り又は前記反時計回りの何れか他方向に回転したときに前記第2移動方向に移動するように構成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の動力伝達装置。
  7. 前記第1駆動軸は、前記軸心方向において前記第2駆動軸とずれて配置され、平面視にて前記第2駆動軸とオーバーラップしないように配置されている
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の動力伝達装置。
  8. 前記第1中間回転体と当該第1中間回転体により回転される前記第2中間回転体との軸心間距離を一定に保持するリンクを備えている
    ことを特徴とする請求項1、3〜7の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  9. 前記第1中間回転体の軸心を支点として前記第2中間回転体を作用点に保持する前記リンクの力点に接続され、前記第2中間回転体を前記第1中間回転体の外周に沿って前記第2中間回転体の軸心の移動の軌跡が前記第1中間回転体の前記軸心を中心とする円の円弧状になるように移動させる揺動力を付与する第1駆動部を備えている
    ことを特徴とする請求項8に記載の動力伝達装置。
  10. 前記第2中間回転体の軸心の移動軌跡が前記第1中間回転体の軸心を中心とする円の円弧状になるように構成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  11. 前記第1動力伝達経路及び前記第2動力伝達経路の双方が、
    前記第1中間回転体、前記第2中間回転体及び前記駆動軸を含む
    ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  12. 前記駆動軸を前記軸心方向に垂直な方向に移動するための第2駆動部を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  13. 前記モータの前記出力軸、前記第1中間回転体、前記第2中間回転体及び前記駆動軸は、各々の外周にギヤを含み、前記ギヤを介して互いが噛み合うことで動力を伝達するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  14. 前記モータの前記出力軸、前記第1中間回転体、前記第2中間回転体又は前記駆動軸はローラを含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の動力伝達装置。
  15. 請求項1〜13の何れか一項に記載の動力伝達装置と、
    前記動力伝達装置の前記駆動軸により回転される前記一及び他の被駆動軸と、を備え、
    前記一及び他の被駆動軸は、互いの軸間距離が可変な一対の圧延ロールを含む
    ことを特徴とする圧延機。
  16. 前記駆動軸を前記軸心方向に垂直な方向に移動するための第2駆動部と、
    前記一対の圧延ロールの前記軸間距離を変更する動力を付与する第3駆動部と、を備え、
    前記第2駆動部及び前記第3駆動部が連動することで前記一対の圧延ロールと前記一対の駆動軸とがそれぞれ同一の軸間距離を維持するように構成されている
    ことを特徴とする請求項15に記載の圧延機。
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