JP5644455B2 - ローラ式摩擦伝動ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、四輪駆動車両のトランスファーとして用いるローラ式摩擦伝動ユニット、特に、該伝動ユニットのローラを軸線方向に位置決めするスラストベアリングの耐久性を向上させる技術に関するものである。
この種ローラ式摩擦伝動ユニットとしては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
この文献に記載のローラ式摩擦伝動ユニットは、一対のローラを具え、これらローラの外周面を相互に径方向へ押圧接触させることにより、両者間で摩擦により動力を伝達し得るよう構成し、
一方のローラを、四輪駆動車両における主駆動輪の駆動系に挿置した入力軸に結合し、他方のローラを、四輪駆動車両における従駆動輪の駆動系に連結した出力軸に結合するものである。
そして当該ローラ式摩擦伝動ユニットでは、上記のローラをそれぞれ、軸線方向両側におけるスラストベアリングによりローラ式摩擦伝動ユニットのハウジングに対し軸線方向に位置決めして、ローラ間の上記摩擦接触を安定的に行わせる。
特開2009−173261号公報(図5)
ところでローラ式摩擦伝動ユニットにあっては、ローラを相互に径方向へ押圧接触させる時、それぞれの軸(上記の入力軸および出力軸)が軸受スパン内において相互離間方向へ湾曲するのを免れず、これに伴って当該軸を支承しているユニットハウジングの側壁が対応方向へ、つまり2軸間のユニットハウジング側壁中央部分が相互に接近するよう、また、このユニットハウジング側壁中央部分を挟んでその両側におけるユニットハウジング側壁両端部分が相互に遠ざかるよう変形する。
かようなユニットハウジングの変形は、ローラを軸線方向に位置決めするスラストベアリングへのスラスト荷重分布を、上記のごとく相互に接近するユニットハウジング側壁中央部分と向かい合うスラストベアリングの極めて小さな円周領域に限ってしまうこととなる。
このためスラストベアリングが、当該極めて小さな円周領域のみにスラスト偏荷重を受け、大きな面圧によりスラストベアリングの耐久性が低下するという問題を生ずる。
本発明は、上記のようにユニットハウジングの側壁が変形した場合においても、スラストベアリングが、スラスト荷重を受ける上記円周領域の面積を従来ほど小さくされることがなくて、スラスト荷重によるスラストベアリングの面圧を小さくし得るようにし、これによりスラストベアリングの耐久性に関する上記の問題を解消し得るようにしたローラ式摩擦伝動ユニットを提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるローラ式摩擦伝動ユニットは、これを以下のように構成する。
先ず前提となるローラ式摩擦伝動ユニットを説明するに、これは、
第1ローラの外周面および第2ローラの外周面を相互に径方向へ押圧接触させて、これら第1ローラおよび第2ローラ間で摩擦により動力を伝達可能となし、
これら第1ローラおよび第2ローラのうち、一方のローラを、四輪駆動車両における主駆動輪の駆動系に挿置した入力軸に結合し、他方のローラを、四輪駆動車両における従駆動輪の駆動系に連結した出力軸に結合して実用するものである。
本発明は、かかるローラ式摩擦伝動ユニットにおいて、
上記一方のローラおよび入力軸を含む入力軸側回転体および/または上記他方のローラおよび出力軸を含む出力軸側回転体をローラ式摩擦伝動ユニットのハウジングに対し軸線方向に位置決めするスラストベアリングへのスラスト伝達経路のうち、前記第1ローラおよび第2ローラの径方向押圧接触時に生じた前記ユニットハウジングの変形に伴って該ユニットハウジングから圧縮方向のスラスト荷重を受けることとなる前記スラストベアリングの円周領域へのスラスト伝達経路中に、前記ユニットハウジングの変形に伴う圧縮方向スラスト荷重を緩衝して分散させることにより、前記ユニットハウジングの変形時も前記スラストベアリングに対する前記圧縮方向スラスト荷重の作用面積の低下が抑制されるような低剛性の低剛性構造を設置した構成に特徴づけられるものである。
かかる本発明のローラ式摩擦伝動ユニットによれば、第1ローラおよび第2ローラの径方向押圧接触時に生じたユニットハウジングの変形に伴って該ユニットハウジングから圧縮方向のスラスト荷重を受けることとなるスラストベアリングの円周領域へのスラスト伝達経路中に、上記のような低剛性の低剛性構造を設置したため、
この低剛性構造が、第1ローラおよび第2ローラの径方向押圧接触時に生じたユニットハウジングの変形に伴ってユニットハウジングからスラストベアリングに及ぶ圧縮方向スラスト荷重を緩衝して分散させ、これにより、ユニットハウジングの上記変形時もスラストベアリングに対する上記圧縮方向スラスト荷重の作用面積が低下されるのを抑制し得ることとなり、
ローラ間径方向押し付け反力による入力軸および/または出力軸の湾曲でユニットハウジングの側壁が上記のように変形した場合においても、スラストベアリングがスラスト荷重を受ける上記円周領域の面積を従来ほど小さくされることがない。
これにより、スラスト荷重によるスラストベアリングの面圧を小さくすることができ、スラストベアリングの耐久性が低下するという前記の問題を解消することができる。
本発明の第1実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットをトランスファーとして具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。 図1におけるローラ式摩擦伝動ユニットの縦断側面図である。 図2におけるローラ式摩擦伝動ユニットを、本発明の要旨部分に関わる構造が無い状態で示す概略模式図である。 図3に模式的に示したローラ式摩擦伝動ユニットのユニットハウジングがローラ間径方向押し付け反力で変形した時の説明図で、 (a)は、ユニットハウジングの変形状態を示す説明図、 (b)は、当該ユニットハウジングの変形時におけるスラストベアリングへのスラスト荷重分布を示す説明図である。 図2におけるローラ式摩擦伝動ユニットのユニットハウジングがローラ間径方向押し付け反力で変形した時の説明図で、 (a)は、図2のローラ式摩擦伝動ユニットを、そのユニットハウジングの変形した状態で模式的に示す説明図、 (b)は、当該ユニットハウジングの変形時におけるスラストベアリングへのスラスト荷重分布を示す説明図である。 本発明の第2実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットを模式的に示す、図3と同様な概略模式図である。 図6におけるローラ式摩擦伝動ユニットのユニットハウジングがローラ間径方向押し付け反力で変形した時の説明図で、 (a)は、図6のローラ式摩擦伝動ユニットを、そのユニットハウジングの変形した状態で模式的に示す説明図、 (b)は、当該ユニットハウジングの変形時におけるスラストベアリングへのスラスト荷重分布を示す説明図である。 本発明の第3実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットのスラストベアリング支持部を示す、要部縦断側面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図示の実施例に基づき詳細に説明する。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になるローラ式摩擦伝動ユニット1をトランスファーとして具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。
図1の四輪駆動車両は、エンジン2からの回転を変速機3による変速後、リヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を順次経て左右後輪6L,6Rに伝達するようにした後輪駆動車をベース車両とし、
左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を、ローラ式摩擦伝動ユニット1により、フロントプロペラシャフト7およびフロントファイナルドライブユニット8を順次経て左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達することにより、四輪駆動走行が可能となるようにした車両である。
ローラ式摩擦伝動ユニット1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分比を決定するもので、
本実施例においては、このローラ式摩擦伝動ユニット1を特に、図2に示すように構成する。
図2において、11はユニットハウジングを示し、このユニットハウジング11内に入力軸12および出力軸13を、それぞれの回転軸線O1およびO2が相互に平行になるよう配置して横架する。
入力軸12は、その両端におけるラジアルベアリング14,15によりユニットハウジング11の側壁11a,11bに対し回転自在に支承し、軸線O1の周りで自由に回転し得るようになす。
入力軸12の両端をそれぞれユニットハウジング11から突出させ、図2において入力軸12の左端は変速機3(図1参照)を介してエンジン2に結合し、右端はリヤプロペラシャフト4(図1参照)を介してリヤファイナルドライブユニット5に結合する。
出力軸13は、その両端を以下のような支承構造により、ユニットハウジング11の側壁11a,11bに対し回転自在に支承する。
出力軸13と、その両端が貫通するユニットハウジング側壁11a,11b との間にそれぞれ、中空アウターシャフト型式のクランクシャフト16L,16Rを遊嵌し、これらクランクシャフト16L,16Rを同仕様に構成する。
クランクシャフト16Lおよびユニットハウジング側壁11a,11b 間にラジアルベアリング17Lを介在させることにより、クランクシャフト16Lをその外周面16Lbにおいてユニットハウジング側壁11a,11b に回転自在に支持し、また、
クランクシャフト16Rおよびユニットハウジング側壁11a,11b 間にラジアルベアリング17Rを介在させることにより、クランクシャフト16Rをその外周面17Rbにおいてユニットハウジング側壁11a,11b に回転自在に支持する。
クランクシャフト16Lおよび出力軸13間にラジアルベアリング18Lを介在させることにより、出力軸13をその外周面においてクランクシャフト16Lの中空孔16La内に回転自在に支持し、また、
クランクシャフト16Rおよび出力軸13間にラジアルベアリング18Rを介在させることにより、出力軸13をその外周面においてクランクシャフト16Rの中空孔16Ra内に回転自在に支持する。
かくして出力軸13は、クランクシャフト16L,16Rの中空孔16La,16Ra内において軸線O2の周りで自由に回転することができる。
以上の構造により出力軸13の両端はそれぞれ、クランクシャフト16L,16Rを介してユニットハウジング側壁11a,11b 内に回転自在に支持する。
かようにユニットハウジング11内に支持された出力軸13は、図2においてユニットハウジング11から突出する左端をフロントプロペラシャフト7(図1参照)に結合し、これにより出力軸13の当該左端は、フロントプロペラシャフト7およびフロントファイナルドライブユニット8を介して左右前輪9L,9Rに結合する。
入力軸12には、その両端間中程に配して第1ローラ21を一体結合、または一体成形し、出力軸13には、その両端間中程に配して第2ローラ22を一体結合、または一体成形し、これら第1ローラ21および第2ローラ22を同じ軸直角面内に配置する。
第1ローラ21の軸線方向両側とユニットハウジング側壁11a,11b との間にそれぞれ、スラストベアリング23を介在させて、第1ローラ21を入力軸12と共に軸線方向に位置決めする。
クランクシャフト16L,16Rの外周面16Lb,16Rb(半径Ro)は、その中心O3を、クランクシャフト中空孔16La,16Ra(半径Ri)の中心O2に対しεだけ偏心させる。
かくして、クランクシャフト16L,16Rをユニットハウジング11に対し回転軸線O3の周りで相対回転させることにより、出力軸13および第2ローラ22の回転軸線O2は回転軸線O3の周りを旋回し、第1ローラ21(外周面21a)に対する第2ローラ22(外周面22a)の径方向押圧力を加減して、第1ローラ21および第2ローラ22間の接触摩擦力(伝達トルク容量)を制御することができる。
上記したクランクシャフト16L,16Rの回転軸線O3周りにおける回転位置制御を行い得るよう、クランクシャフト16L,16Rの相互に向き合う隣接端近傍にそれぞれ、同仕様のリングギヤ16Lc,16Rcを一体に設ける。
これらリングギヤ16Lc,16Rcにそれぞれ、共通な図示せざる同仕様のクランクシャフト駆動ピニオンを噛合させ、このクランクシャフト駆動ピニオンを図示せざるローラ間径方向押圧力制御モータに結合する。
なお、上記のごとくリングギヤ16Lc,16Rcに図示せざるクランクシャフト駆動ピニオンを噛合させるに当たっては、クランクシャフト16L,16Rを両者の偏心外周面16Lb,16Rbが円周方向において相互に整列した同位相となる回転位置にして、当該リングギヤ16Lc,16Rcに対するクランクシャフト駆動ピニオンの噛合を行わせる。
リングギヤ16Lc,16Rcとユニットハウジング側壁11a,11b との間にそれぞれ、スラストベアリング24を介在させると共に、第2ローラ22とクランクシャフト16L,16Rとの間にそれぞれ、スラストベアリング25を介在させ、
これらスラストベアリング24,25によりクランクシャフト16L,16Rおよび第2ローラ22(出力軸13)をユニットハウジング11に対し軸線方向に位置決めする。
<駆動力配分作用>
上記した図1,2に示す第1実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットの駆動力配分作用を以下に説明する。
図1における変速機3からの出力トルクは図2の左端から軸12へ入力され、一方で、この入力軸12からそのままリヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L,6R(主駆動輪)へ伝達される。
他方でローラ式摩擦伝動ユニット1は、左右後輪6L,6Rへのトルクの一部を、第1ローラ21から、第2ローラ22を経て出力軸13に向かわせ、
出力軸13に達したトルクは、図2において出力軸13の左端から、フロントプロペラシャフト7(図1参照)およびフロントファイナルドライブユニット8を経由して、左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達される。
かくして車両は、左右後輪6L,6R(主駆動輪)および左右前輪(従駆動輪)7L,7Rの全てを駆動しての四輪駆動走行が可能である。
かかる四輪駆動走行時の左右後輪6L,6Rおよび左右前輪7L,7R間における駆動力配分制御は、前記した図示せざるローラ間径方向押圧力制御モータにより、リングギヤ16Lc,16Rcを介しクランクシャフト16L,16Rを軸線O3の周りに回転させることで、以下のごとくにこれを行うことができる。
クランクシャフト16L,16Rの軸線O3周りの回転により、出力軸13および第2ローラ22の回転軸線O2が軸線O3の周りに旋回され、ローラ21,22間における軸間距離の変更により第1ローラ21に対する第2ローラ22の径方向押圧力、つまりローラ21,22間の伝達トルク容量(前後輪駆動力配分)を任意に制御して、左右後輪6L,6Rおよび左右前輪7L,7R間における駆動力配分制御を行うことができる。
<ユニットハウジングの変形およびその問題点>
図2に示すローラ式摩擦伝動ユニットにあっては、ローラ21,22を前記のごとく相互に径方向へ押圧接触させるとき、ハウジング11が以下に説明するような弾性変形を生ずる。
図2のローラ式摩擦伝動ユニットは、模式的に描き直すと図3のごとくに表すことができる。
ローラ21,22を相互に径方向へ押圧接触させるとき、ローラ21の軸である入力軸12がラジアルベアリング14,15(図2参照)間の軸受スパン内において、また、ローラ22の軸である出力軸13がラジアルベアリング17L,17R(図2参照)間の軸受スパン内において、図3に示す真直状態から図4に示すように相互に離間する方向へ湾曲する。
かかる入力軸12および出力軸13の湾曲に伴って、これら軸12,13を支承しているユニットハウジング11の側壁11a,11bが図4(a)に示すように、つまり2軸12,13間におけるユニットハウジング側壁11a,11bの中央部分11c,11dが相互に接近するように、また、このユニットハウジング側壁中央部分11c,11dを挟んでその両側におけるユニットハウジング側壁両端部分11eおよび11fと、11gおよび11hとが相互に遠ざかるように変形する。
かかるユニットハウジング側壁中央部分11c,11dの相互接近により、ローラ21,22を軸線方向に位置決めするスラストベアリング23,25のうち、スラストベアリング23は図4(a)にαで示すごとく、ユニットハウジング側壁中央部分11c,11dと向かい合う円周領域のみにスラスト荷重を受け、またスラストベアリング25は図4(a)にβで示すごとく、ユニットハウジング側壁中央部分11c,11dと向かい合う円周領域のみにスラスト荷重を受ける。
しかもスラスト伝動経路が全て高剛性に構成されているため、スラストベアリング23,25へのスラスト荷重分布が上記円周領域のうち、図4(b)にγ,δで示すごとき極小さな領域にられてしまっていた。
このためスラストベアリング23,25が、当該極めて小さな円周領域のみにスラスト偏荷重を受け、大きな面圧によってスラストベアリング23,25の耐久性が低下するという問題を生ずる。
この問題を解決するためには、その原因である入力軸12および出力軸13の湾曲を抑制すべく入力軸12および出力軸13の軸径を太くすることや、ユニットハウジング側壁11a,11bの上記の変形を抑制すべくユニットハウジング側壁11a,11bの厚さを増大させることが考えられる。
しかし何れの対策も、大幅な重量増やコスト高を招き、これら重量増やコスト高を伴わない対策が切望されている。
<スラストベアリングの耐久性に対する対策>
重量増やコスト高を伴うことなくスラストベアリングの耐久性に関する上記の問題を解決するため本実施例においては、ローラ式摩擦伝動ユニットに対し以下のような対策を施す。
つまり図2および図5(a)に示すごとく、スラストベアリング23および第1ローラ21間のスラスト方向突き当て部に弾性部材などのスラスト緩衝部材31を介在させて、スラストベアリング23へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置し、また、
スラストベアリング25および第2ローラ22間のスラスト方向突き当て部に弾性部材などのスラスト緩衝部材32を介在させて、スラストベアリング25へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置する。
<第1実施例の作用・効果>
かかるスラスト緩衝部材31,32(スラスト緩衝用の低剛性構造)の設置により本実施例においては、
ユニットハウジング側壁11a,11bが図4(a)につき前述した理由により図5(a)のごとく変形した場合においても、緩衝部材31,32がスラストベアリング23,25へのスラスト荷重を緩衝して分散させるため、
スラストベアリング23,25がそれぞれ、スラスト荷重を受ける前記円周領域の面積を図5(b)にγ´,δ´で示すように、図4(b)に示す従来のそれγ,δほどまで小さくされることがない。
従って、スラスト荷重によるスラストベアリング23,25の面圧を従来よりも小さくし得て、スラストベアリング23,25の耐久性を向上させることができる。
しかも、軽くて安価な弾性部材などのスラスト緩衝部材31,32を追加するだけであるため、ローラ式摩擦伝動ユニットの重量増やコスト高を伴うことなく上記の効果を奏することができる。
加えて、スラストベアリング23,25の耐久性を気にすることなくローラ間径方向押圧力を増大させ得ることから、ローラ式摩擦伝動ユニットのトルク伝動容量を大きくし得て、四輪駆動車両の走破性能の向上を図ることができる。
また、四輪駆動車両の大きな走破性能が必要でない場合は、スラストベアリング23,25の小型化が可能となり、ローラ式摩擦伝動ユニットの設計自由度が増すと共に、その小型、軽量化を実現することができる。
<第2実施例>
図6は、本発明の第2実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットを示す模式図で、図2,3におけると同様な部分を同一符号により示す。
本実施例においても、ローラ式摩擦伝動ユニットは基本的に上記した第1実施例と同様な構成となし、以下に相違点のみにつき説明する。
本実施例においては、第1実施例で設けたスラスト緩衝部材31,32に代えて、以下のような対策を施す。
つまり、スラストベアリング23へのスラスト伝動経路を成す、ユニットハウジング側壁11a,11bのスラストベアリング支持部11i,11jに、スラスト方向の隙間を提供するスリットなどの中空部11k,11mを形成して、スラストベアリング23へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置する。
しかし中空部11k,11mは、ローラ21,22の径方向押圧接触時におけるユニットハウジング11の前記した変形によって圧縮方向のスラストを受けることとなるスラストベアリング23の円周領域のみに延在し、他の円周領域に及ばない略半円形状の中空部とする。
また、スラストベアリング25へのスラスト伝動経路を成す、クランクシャフト16L,16Rのスラストベアリング支持部16Ld,16Rd に、スラスト方向の隙間を提供するスリットなどの中空部16Le,16Re を形成して、スラストベアリング25へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置する。
しかし中空部16Le,16Re は、ローラ21,22の径方向押圧接触時におけるユニットハウジング11の前記した変形によって圧縮方向のスラストを受けることとなるスラストベアリング23の円周領域のみに延在し、他の円周領域に及ばない略半円形状の中空部とする。
<第2実施例の作用・効果>
かかるスリット状の中空部11k,11mおよび16Le,16Re(スラスト緩衝用の低剛性構造)の設置により本実施例においては、
ユニットハウジング側壁11a,11bが図4(a)につき前述した理由により図7(a)のごとく変形した場合においても、中空部11k,11mおよび16Le,16Reがスラストベアリング23,25へのスラスト荷重を緩衝して分散させるため、
スラストベアリング23,25がそれぞれ、スラスト荷重を受ける前記円周領域の面積を図7(b)にγ´,δ´で示すように、図4(b)に示す従来のそれγ,δほどまで小さくされることがない。
従って、スラスト荷重によるスラストベアリング23,25の面圧を従来よりも小さくし得て、スラストベアリング23,25の耐久性を向上させることができる。
しかも、ユニットハウジング側壁11a,11bのスラストベアリング支持部11i,11jにスリット状の中空部11k,11mを形成し、クランクシャフト16L,16Rのスラストベアリング支持部16Ld,16Rd に、スリット状の中空部16Le,16Re を形成するだけであるため、ローラ式摩擦伝動ユニットの重量増やコスト高を伴うことなく上記の効果を奏することができる。
また、スラストベアリング23,25の耐久性を気にすることなくローラ間径方向押圧力を増大させ得ることから、ローラ式摩擦伝動ユニットのトルク伝動容量を大きくし得て、四輪駆動車両の走破性能の向上を図ることができる。
更に、四輪駆動車両の大きな走破性能が必要でない場合は、スラストベアリング23,25の小型化が可能となり、ローラ式摩擦伝動ユニットの設計自由度が増すと共に、その小型、軽量化を実現することができる。
<第3実施例>
図8は、本発明の第3実施例になるローラ式摩擦伝動ユニットにおけるスラストベアリング23,25の支持部を示す模式図で、
本実施例においても、ローラ式摩擦伝動ユニットは基本的に上記した第1,2実施例と同様な構成となし、以下に相違点のみにつき説明する。
本実施例においては、第1実施例で設けたスラスト緩衝部材31,32や、第2実施例でスラストベアリング支持部に設けた中空部11k,11mおよび16Le,16Re代え、以下のような対策を施す。
つまり、スラストベアリング23へのスラスト伝動経路を成す、ユニットハウジング側壁11a,11bのスラストベアリング支持部11i,11jと、スラストベアリング23とのスラスト方向突き当て部において、スラストベアリング支持部11i,11jにスラスト方向の凹部33を形成してスラストベアリング23へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置する。
また、スラストベアリング25へのスラスト伝動経路を成す、クランクシャフト16L,16Rのスラストベアリング支持部16Ld,16Rd、スラストベアリング25とのスラスト方向突き当て部において、スラストベアリング支持部16Ld,16Rd にスラスト方向の凹部34を形成してスラストベアリング25へのスラスト伝達経路中にスラスト緩衝用の低剛性構造を設置する。
しかし,上記した凹部33,34はそれぞれ、ローラ21,22の径方向押圧接触時におけるユニットハウジング11の前記した変形によって圧縮方向のスラストを受けることとなるスラストベアリング23,25の円周領域のみに延在し、他の円周領域に及ばない略半円形状の凹部とする。
<第3実施例の作用・効果>
かかる略半円形状の凹部33,34(スラスト緩衝用の低剛性構造)の設置により本実施例においては、
ユニットハウジング側壁11a,11bが図4(a)につき前述したように変形した場合においても、凹部33,34がスラストベアリング23,25へのスラスト荷重を緩衝して分散させるため、
スラストベアリング23,25がそれぞれ、スラスト荷重を受ける前記円周領域の面積を図5(b)および図7(b)にγ´,δ´で示すと同様に広くすることができる。
従って、スラスト荷重によるスラストベアリング23,25の面圧を従来よりも小さくし得て、スラストベアリング23,25の耐久性を向上させることができる。
しかも、スラストベアリング支持部11i,11jおよびスラストベアリング支持部16Ld,16Rd に凹部33,34を形成するだけであるため、ローラ式摩擦伝動ユニットの重量増やコスト高を伴うことなく上記の効果を奏することができる。
また、スラストベアリング23,25の耐久性を気にすることなくローラ間径方向押圧力を増大させ得ることから、ローラ式摩擦伝動ユニットのトルク伝動容量を大きくし得て、四輪駆動車両の走破性能の向上を図ることができる。
更に、四輪駆動車両の大きな走破性能が必要でない場合は、スラストベアリング23,25の小型化が可能となり、ローラ式摩擦伝動ユニットの設計自由度が増すと共に、その小型、軽量化を実現することができる。
<その他の実施例>
第1実施例では図2および図5(b)に示すように、スラスト緩衝部材31をスラストベアリング23および第1ローラ21間のスラスト方向突き当て部に介在させ、スラスト緩衝部材32をスラストベアリング25および第2ローラ22間のスラスト方向突き当て部に樫材させたが、
スラスト緩衝部材31,32はそれぞれ、対応するスラストベアリング23,25の軸線方向反対側に配置してもよいし、スラストベアリング23,25の両側に設置してもよいのは言うまでもない。
また第1実施例〜第3実施例のいずれにおいても、入力ローラ側のスラストベアリング23および出力ローラ側のスラストベアリング25の双方に対しスラスト面圧低減対策を施したが、この対策が必要な側のスラストベアリング23または25に対しのみスラスト面圧低減対策を施こすようにしてもよいのは勿論である。
1 ローラ式摩擦伝動ユニット
2 エンジン
3 変速機
4 リヤプロペラシャフト
5 リヤファイナルドライブユニット
6L,6R 左右後輪(主駆動輪)
7 フロントプロペラシャフト
8 フロントファイナルドライブユニット
9L,9R 左右前輪(従駆動輪)
11 ユニットハウジング
11a,11b ユニットハウジング側壁
11c,11d ユニットハウジング側壁中央部分
11e,11f,11g,11h ユニットハウジング側壁両端部分
11i,11j スラストベアリング支持部
11k,11m 中空部(低剛性構造)
12 入力軸
13 出力軸
16L,16R クランクシャフト
16La,16Ra 中空孔
16Lb,16Rb 偏心外周面
16Lc,16Rc リングギヤ
16Ld,16Rd スラストベアリング支持部
16Le,16Re 中空部(低剛性構造)
21 第1ローラ
22 第2ローラ
31,32 スラスト緩衝部材(低剛性構造)
33,34 凹部(低剛性構造)

Claims (4)

  1. 第1ローラの外周面および第2ローラの外周面を相互に径方向へ押圧接触させて、これら第1ローラおよび第2ローラ間で摩擦により動力を伝達可能となし、
    これら第1ローラおよび第2ローラのうち、一方のローラを、四輪駆動車両における主駆動輪の駆動系に挿置した入力軸に結合し、他方のローラを、四輪駆動車両における従駆動輪の駆動系に連結した出力軸に結合して用いる、ローラ式摩擦伝動ユニットにおいて、
    前記一方のローラおよび入力軸を含む入力軸側回転体および/または前記他方のローラおよび出力軸を含む出力軸側回転体をローラ式摩擦伝動ユニットのハウジングに対し軸線方向に位置決めするスラストベアリングへのスラスト伝達経路のうち、前記第1ローラおよび第2ローラの径方向押圧接触時に生じた前記ユニットハウジングの変形に伴って該ユニットハウジングから圧縮方向のスラスト荷重を受けることとなる前記スラストベアリングの円周領域へのスラスト伝達経路中に、前記ユニットハウジングの変形に伴う圧縮方向スラスト荷重を緩衝して分散させることにより、前記ユニットハウジングの変形時も前記スラストベアリングに対する前記圧縮方向スラスト荷重の作用面積の低下が抑制されるような低剛性の低剛性構造を設置したことを特徴とするローラ式摩擦伝動ユニット。
  2. 請求項1に記載のローラ式摩擦伝動ユニットにおいて、
    前記低剛性構造は、前記スラストベアリングの少なくとも軸線方向一方側にスラスト緩衝部材を配設して構成したものであることを特徴とするローラ式摩擦伝動ユニット。
  3. 請求項1に記載のローラ式摩擦伝動ユニットにおいて、
    前記低剛性構造は、前記スラスト伝動経路を成すスラストベアリング支持部に中空部を形成して構成したものであることを特徴とするローラ式摩擦伝動ユニット。
  4. 請求項1に記載のローラ式摩擦伝動ユニットにおいて、
    前記低剛性構造は、前記スラスト伝動経路を成すスラストベアリング支持部と、前記スラストベアリングとの間のスラスト方向突き当て部において、スラストベアリング支持部にスラスト方向の凹部を形成して構成したものであることを特徴とするローラ式摩擦伝動ユニット。
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