JP4941279B2 - 摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の摩擦ローラを相互に径方向に押し付けて摩擦接触させ、これら摩擦ローラ間で動力の受け渡しが可能な摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造に関するものである。
かかる摩擦ローラ支持構造としては従来、特許文献1に記載のごとく、摩擦ローラを相互に摩擦接触させる時の径方向に押し付け反力がハウジングにそのまま入力されるのを回避するために、
摩擦ローラの軸を共通なベアリングサポートに回転自在に取り付け、該共通なベアリングサポートを、相互に摩擦接触した摩擦ローラ間においてハウジングに取り付けることで、摩擦ローラをハウジングに回転自在に支持するようにした摩擦ローラ支持構造が知られている。
かかる摩擦ローラ支持構造によれば、摩擦ローラを相互に摩擦接触させる時に発生する径方向押し付け反力がベアリングサポートで内力として消失し、この径方向押し付け反力がハウジングにそのまま入力されることがなく、ハウジングの強度を大きくする必要がなくなる分だけハウジングを軽量化することができる。
特開2002−349653号公報
しかし、上記従来の摩擦ローラ支持構造にあっては、摩擦ローラへの径方向押し付け力が摩擦ローラ軸自身やベアリングサポートを変形させることで、摩擦ローラ軸をハウジングに対し径方向へ相対変位させてしまうという問題を生ずる。
ところで摩擦ローラ軸は、これに外部の軸を結合するなどのためにハウジングに貫通させる必要があり、また、この摩擦ローラ軸とハウジングの摩擦ローラ軸貫通部との間には、潤滑油がハウジング内から外部に漏れないようにシールリングを介在させるのが常套である。
しかし上記した従来構造のように、摩擦ローラへの径方向押し付け力が摩擦ローラ軸やベアリングサポートの変形を介して摩擦ローラ軸をハウジングに対し径方向へ相対変位させてしまうのでは、
当該摩擦ローラ軸の径方向変位が、これに追従しないハウジングの摩擦ローラ軸貫通部と、摩擦ローラ軸との間における環状隙間の径方向幅を不均一にし、当該環状隙間に配置させる上記シールリングによるシール性能を低下させてしまうという問題を生ずる。
本発明は、摩擦ローラ軸の上記径方向変位によっても、ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部と、摩擦ローラ軸との間におけるシールリングのシール性能が低下することのないよう改良した摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造を提案し、もって上述の問題を解消することを目的とする。
この目的のため、本発明による摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる摩擦伝動装置は、
複数の摩擦ローラを相互に径方向に押し付けて摩擦接触させ、これら摩擦ローラ間で動力の受け渡しが可能な摩擦伝動装置であって、
上記摩擦ローラの軸を共通なベアリングサポートに回転自在に取り付けると共に、該共通なベアリングサポートを上記相互に摩擦接触した摩擦ローラ間においてハウジングに取り付けることで、摩擦ローラをハウジングに回転自在に支持したものである。
本発明は、かかる摩擦伝動装置において、
上記径方向押し付け力による摩擦ローラ軸の径方向変位に伴って、ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部を追従変形させる手段を設けたことを特徴とするものである。
かかる本発明による摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造によれば、
摩擦ローラ間の相互径方向押し付け力による摩擦ローラ軸の径方向変位に伴って、ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部が追従変形されることから、
摩擦ローラ間の相互径方向押し付け力により摩擦ローラ軸の上記径方向変位が発生しても、摩擦ローラ軸とハウジングの摩擦ローラ軸貫通部との間に径方向相対変位を生ずることがなく、
摩擦ローラ軸とハウジングの摩擦ローラ軸貫通部との間におけるシールリングのシール性能が低下するのを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる摩擦ローラ支持構造を内蔵した摩擦伝動装置としての駆動力配分装置1を具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。
図1の四輪駆動車両は、エンジン2からの回転を変速機3による変速後、リヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L,6Rに伝達される後輪駆動車をベース車両とし、
左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を、駆動力配分装置1の摩擦伝動より、フロントプロペラシャフト7およびフロントファイナルドライブユニット8を経て左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達することにより、四輪駆動走行が可能となるようにした車両である。
駆動力配分装置(摩擦伝動装置)1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分を決定するもので、本実施例においては、この駆動力配分装置1を図2に示すように構成する。
図2において、11はハウジングを示し、このハウジング11内に長い入力軸12、および、短い出力軸13と、これにニードルベアリング42を介し同軸相対回転可能に嵌合して支持したクランクシャフト41とよりなる軸ユニットを、相互に平行に配して横架する。
入力軸12は、その両端をハウジング11の軸貫通孔11a,11bに挿通し、該入力軸12の両端と、ハウジング11の軸貫通孔11a,11bとの間にボールベアリング14,15を介在させる。
出力軸13およびクランクシャフト41とよりなる軸ユニットは、該軸ユニットの両端をハウジング11の軸貫通孔11c,11dに挿通し、該軸ユニットの両端と、ハウジング11の軸貫通孔11c,11dとの間にボールベアリング16,17を介在させる。
上記のごとくハウジング11内に横架した入力軸12および軸ユニット(出力軸13およびクランクシャフト41)のうち、入力軸12は、ハウジング11内に配したローラベアリング18,19によってハウジング11に対し回転自在に支持するようにし、軸ユニット13,41は、ハウジング11内に配したローラベアリング21,22によってハウジング11に対し回転自在に支持するようになす。
このため、入出力軸12,13用の同じ軸直角面内に位置するローラベアリング18,21を、共通なベアリングサポート23内に抱持し、このベアリングサポート23を、その中間位置におけるボルト24等の任意の手段でハウジング11の対応する内側面に取着し、
また、入力軸12およびクランクシャフト41用の同じ軸直角面内に位置するローラベアリング19,22を、共通なベアリングサポート25内に抱持し、このベアリングサポート25を、その中間位置におけるボルト26等の任意の手段でハウジング11の対応する内側面に取着する。
入力軸12の両端をそれぞれ、該入力軸12の両端とハウジング11の軸貫通孔11a,11bとの間に介在させたシールリング27,28による液密封止下でハウジング11から突出させ、該入力軸12の図中左端を変速機3(図1参照)の出力軸に結合し、図中右端をリヤプロペラシャフト4(図1参照)を介してリヤファイナルドライブユニット5に結合する。
出力軸13の図中左端を、該出力軸13とハウジング11の軸貫通孔11cとの間に介在させたシールリング29による液密封止下でハウジング11から突出させ、該入力軸13の突出左端をフロントプロペラシャフト7(図1参照)を介してフロントファイナルドライブユニット8に結合する。
入力軸12の軸線方向中程には、第1摩擦ローラ31を同心に一体成形して設ける。
従って入力軸12は、第1摩擦ローラ31の軸(摩擦ローラ軸)をも構成する。
クランクシャフト41は、両端回転支承部間に半径がRの偏心軸部41aを有し、この偏心軸部41aは、その軸心O3をクランクシャフト41(出力軸13)の回転軸線O2からεだけオフセットさせると共に、入力軸12上の第1ローラ31と同じ軸直角面内に位置させる。
そして、クランクシャフト41の偏心軸部41a上にローラベアリング44を介し、第2摩擦ローラ32を回転自在に、しかし軸線方向位置決め状態で取り付け、クランクシャフト41と出力軸13とよりなる軸ユニットは、第2摩擦ローラ32の軸(摩擦ローラ軸)をも構成する。
上記の構成によって、第2摩擦ローラ32の回転軸線は偏心軸部41aの軸心O3と同じになり、クランクシャフト41の回転位置制御により第2摩擦ローラ回転軸線O3(偏心軸部41aの軸心)を、クランクシャフト回転軸線(出力軸回転軸線)O2の周りに回転させることで、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1(第1摩擦ローラ31の回転軸線O1および第2摩擦ローラ32の回転軸線O3間の距離)を加減すれば、
第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の径方向押し付け力(第1,2摩擦ローラ31,32間の伝達トルク容量)を自在に制御することができる。
この摩擦ローラ間伝達トルク容量制御を可能にするため、出力軸13から遠いクランクシャフト41の図中右端は、該クランクシャフト41の右端とハウジング11の軸貫通孔11dとの間に介在させたシールリング43による液密封止下でハウジング11から外部に露出させる。
そして、クランクシャフト41の露出端面に、ローラ間押し付け力制御モータ45の出力軸45aをセレーション嵌合などにより駆動結合し、このローラ間押し付け力制御モータ45をハウジング11に取着する。
上記のモータ45による制御下で第2ローラ32を第1ローラ31に向け径方向へ押し付けることで、これらローラ31,32の外周面同士が符号31a,32aで示す箇所において摩擦接触し、この摩擦接触部31a,32aを経て第1ローラ31から第2ローラ32へトルクを伝達することができる。
これにより回転される第2ローラ32の回転を出力軸13へ伝達し得るようにするため、出力軸13の内端にフランジ部13aを一体成形して設け、該フランジ部13aの直径を第2ローラ32と軸線方向に対面する大きさにする。
第2ローラ32と対面する出力軸フランジ部13aに、第2ローラ32へ向けて突出する複数個の駆動ピン46を固設し、これら駆動ピン46を図3に示すごとく同一円周上に等間隔に配置する。
出力軸フランジ部13aと対面する第2ローラ32の端面には、駆動ピン46が個々に貫入して第2ローラ32から出力軸13(フランジ部13a)へのトルク伝達を可能にするための複数個の孔47を穿設する。
そして、これら駆動ピン貫入孔47を図3に明示するごとく、駆動ピン46の直径よりも大径の円孔とし、その直径は、出力軸13の回転軸線O2および第2ローラ32の回転軸線O3間の偏心量εを吸収しつつ上記した第2ローラ32から出力軸13(フランジ部13a)へのトルク伝達を可能にするのに必要な直径とする。
上記した図1〜図3に示す実施例の作用を以下に説明する。
変速機3からの出力トルクは図2の左端から軸12へ入力され、一方では、この入力軸12からそのままリヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L,6R(主駆動輪)に伝達される。
他方で駆動力配分装置(摩擦伝動装置)1は、左右後輪6L,6Rへのトルクの一部を、第1摩擦ローラ31から、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間の摩擦接触箇所31a,32a、第2摩擦ローラ32、駆動ピン46、出力軸フランジ13aを順次経て出力軸13に向かわせ、その後このトルクを、出力軸13の図2中左端から、フロントプロペラシャフト7およびフロントファイナルドライブユニット8を経て左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達する。
かくして車両は、左右後輪6L,6R(主駆動輪)および左右前輪(従駆動輪)7L,7Rの全てを駆動しての四輪駆動走行が可能である。
ところで駆動力配分装置(摩擦伝動装置)1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分を決定するに際し、
前記した第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の径方向押し付け力に応じた伝達トルク容量の範囲を越えた大きなトルクを第1摩擦ローラ31から第2摩擦ローラ32へ伝達させることがない。
よって、左右前輪(従駆動輪)へのトルクの上限値を、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間の径方向押し付け力に応じた値に設定し、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分特性を、入力トルクが或る値以上に大きくなると左右前輪(従駆動輪)へのトルクが上記の上限値に保たれるような特性にすることができる。
従って、駆動力配分装置1への入力トルクが大きくなっても、左右前輪(従駆動輪)へのトルクが上記の上限値を越えて大きくなることはなく、
本実施例の駆動力配分装置1は、車両コンパクト化などの要求から左右前輪(従駆動輪)の駆動系を小型化せざるを得なくなった四輪駆動車両においても、左右前輪(従駆動輪)駆動系の強度不足を気にすることなく、当該四輪駆動車両の駆動力配分装置として用いることができる。
また本実施例においては、ローラ間押し付け力制御モータ45によりクランクシャフト41の軸線O2周りにおける回転位置を制御することで、
第2摩擦ローラ回転軸線O3(偏心軸部41aの軸心)が、クランクシャフト回転軸線(出力軸回転軸線)O2の周りに回転され、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1を加減することができる。
かように第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1を変更制御することで、第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の径方向押し付け力を変更制御することができ、結果として第1,2摩擦ローラ間の伝達トルク容量を自在に制御することができる。
従って、左右前輪(従駆動輪)へのトルクの上限値を、モータ45によるクランクシャフト41の回転位置制御(第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の径方向押し付け力制御)により自在に変更することができ、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分特性を、いつも運転状況に応じた最適なものにすることができる。
なお何れにしても本実施例においては前記の作用に照らして、第2摩擦ローラ32の回転軸線O3が最も入力軸12の回転軸線O1に接近して摩擦ローラ軸間距離L1が最小となった時における摩擦ローラ31,32の伝達トルク上限値が、左右前輪(従駆動輪)9L,9Rの駆動系に係わる強度に応じ、これよりも低くなるよう、入力軸12および出力軸13の軸間距離(回転軸線O1,O2間の距離)および偏心軸部41aの偏心量εを決定する必要があるのは言うまでもない。
ところで、第2摩擦ローラ32の回転軸線O3が最も入力軸12の回転軸線O1から離れて摩擦ローラ軸間距離L1が最大となった時、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間の径方向押し付け力が丁度0になるようにしたり、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間に隙間が発生するよう、入力軸12および出力軸13の軸間距離(回転軸線O1,O2間の距離)および偏心軸部41aの偏心量εを決定するのがよい。
前者のように第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1の最大値を、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間の径方向押し付け力が丁度0になるよう決定する場合、
左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへのトルク配分を運転状況に応じて完全に0にし、二輪駆動状態を得ることができる。
また後者のように第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1の最大値を、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間に隙間が発生するように決定する場合、
四輪駆動車の前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動で前輪と後輪との間に差回転が発生しても、この差回転を第1摩擦ローラ31および第2摩擦ローラ32間の隙間で吸収することができ、駆動力配分装置1内で発熱や摩耗等の問題を生ずることがなく、前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動が可能である。
ところで本実施例においては、入力軸12、および、出力軸13とクランクシャフト41とよりなる軸ユニットをそれぞれ、共通なベアリングサポート23を介してハウジング11内に取り付けたローラベアリング18,21と、共通なベアリングサポート25を介してハウジング11内に取り付けたローラベアリング19,22とにより、ハウジング11に対し回転自在に支持したから、
第1摩擦ローラ31に対し第2摩擦ローラ32を径方向に押し付けて相互に摩擦接触させる時に発生する径方向押し付け反力がベアリングサポート23,25で内力として消失し、この径方向押し付け反力がハウジング11にそのまま入力されることがなく、ハウジング11の強度を大きくする必要がなくなる分だけハウジング11を軽量化することができる。
なお上記の径方向押し付け反力は図4に矢Fで示すごとく、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12、および、出力軸13とクランクシャフト41とよりなる軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)に作用し、
これら入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41自身や、ベアリングサポート23,25をそれぞれ、図4に破線で示す直線状態から実線図示の湾曲形状へと変形させることで、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41を径方向へ変位させる。
なお図4では、判りやすくするため入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の湾曲変形量を誇張して示した。
しかし本実施例においては、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41をそれぞれ、ベアリングサポート23,25内に抱持してハウジング11に取着したローラベアリング18,19およびローラベアリング21,22によりハウジング11に対し回転自在に支持するだけでなく、
入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41と、これら軸を貫通させるためハウジング11に設けた摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dとの間にボールベアリング14,15および16,17を介在させ、これによって、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41とハウジング11との間に付加的な軸受部を設定したため、
これらボールベアリング(付加的な軸受部)14,15および16,17を介してハウジング11の上記摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位に追従変形し得る。
このため、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位によっても、これら摩擦ローラ軸がハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dに対し相対変位することはなく、
これら摩擦ローラ軸およびハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11d間における環状隙間を全周に亘って同じ幅に維持することができ、当該環状隙間に配置させたシールリング27,28および29,43によるシール性能が低下するのを回避することができる。
また本実施例のように、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41をそれぞれ、これら摩擦ローラ軸と、ハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dとの間に介在させたボールベアリング14,15および16,17によってもハウジング11に対し回転自在に支持する場合、
ベアリングサポート23,25の強度が従来の場合よりも小さくてよいこととなり、ベアリングサポート23,25の薄型化および軽量化を図ることもできる。
なお、ハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位に一層容易に追従変形し得るよう、
図2に示すごとくハウジング11に肉抜き部11e,11fを設け、これにより上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
ここで図2においては便宜上、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b用の肉抜き部11e,11fのみを示し、摩擦ローラ軸貫通部11c,11d用の肉抜き部を示さなかったが、摩擦ローラ軸貫通部11c,11d用の肉抜き部もハウジング11に設けること勿論である。
また、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b用および摩擦ローラ軸貫通部11c,11d用の同様な肉抜き部は、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41間においてハウジング11に形成することでも同様の作用効果を達成することができる。
しかし何れにしても、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11d用の肉抜き部11e,11f・・は、ハウジング11の対応端面から対応するボールベアリング14,15,16,17と径方向に重合する位置まで延在させることは言うまでもない。
なお、ハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位に一層容易に追従変形し得るようにして、上記の作用効果を更に顕著なものにするには、
ハウジング11を、ベアリングサポート23,25よりヤング率の低い材料で造る対策も大いに有効である。
図5は、本発明の他の実施例を示す。
図2に示す実施例では、ハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の前記した径方向変位に追従変形し得るようにする手段として、別途に追加したボールベアリング14,15および16,17を用いたが、かかる手段の代わりに、または、かかる手段と共に、図5の実施例におけるような対策を用いることができる。
つまり図5にA〜Dで示すごとく、ベアリングサポート23,25の両端をハウジング11のベアリングサポート取り付け側面に、少なくとも部分的に軸線方向へ埋没させ、
これによりハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dを、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の前記した径方向変位に追従変形させる対策を、図5に示すごとくボールベアリング14,15および16,17と共に、或いはこれらの代わりに用いる。
本実施例においては、ベアリングサポート23,25の両端を介してハウジング11の上記摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位に追従変形し得るため、
入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の上記した径方向変位によっても、これら摩擦ローラ軸がハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dに対し相対変位することはない。
従って、これら摩擦ローラ軸およびハウジング11の摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11d間における環状隙間を全周に亘って同じ幅に維持することができ、当該環状隙間に配置させたシールリング27,28および29,43によるシール性能が低下するのを回避することができる。
なお図4につき前述したように、径方向押し付け反力Fは入力軸(第1摩擦ローラ軸)12、および、出力軸13とクランクシャフト41とよりなる軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)自身や、ベアリングサポート23,25をそれぞれ、破線図示の直線状態から実線図示の湾曲形状へと変形させるが、
かかる湾曲変形時に、ベアリングサポート23,25の取り付けボルト24,26から遠い両端はそれぞれ、ハウジング11の対応する内端面箇所を軸線方向に押圧して摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dをそれぞれ、対応する一部円周箇所において軸線方向に押圧変形させ、シールリング27,28,29,43のシール性能を低下させる傾向となる。
その対策としては、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dの強度を増すことが考えられるが、この対策は、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dを、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の前記した径方向変位に追従変形し難くし、前記の作用効果を阻害するし、ハウジング11の重量増をも惹起する。
図6は、これらの弊害を生ずることなしに上記の問題解決を実現するようにした本発明の更に他の実施例を示す。
この目的のため図6では図2と同様な構成において、ベアリングサポート23,25の取り付けボルト24,26から遠い両端と、ハウジング11の対応する内面箇所との間に、逃げ部としての隙間α,β,γ,δが存在するようハウジング11の当該内面箇所を切り欠き、
これにより、摩擦ローラ31,32の径方向押し付け力によるベアリングサポート23,25の図4に示す湾曲変形によっても、ベアリングサポート23,25の両端がハウジング11の対応する内面箇所と接触することのないよう構成する。
かかる本実施例の構成によれば、摩擦ローラ31,32の径方向押し付け力によるベアリングサポート23,25の図4に示す湾曲変形によっても、
ベアリングサポート23,25の両端がハウジング11の対応する内面箇所を押圧することがなく、この押圧により摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが対応する一部円周箇所において軸線方向に押圧変形され、シールリング27,28,29,43のシール性能が低下するという問題を回避することができる。
また、この作用効果を摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dの強度増に頼らないから、摩擦ローラ軸貫通部11a,11b,11c,11dが、入力軸(第1摩擦ローラ軸)12および軸ユニット(第2摩擦ローラ軸)13,41の前記した径方向変位に追従変形し難くなって、前記の作用効果が阻害されたり、ハウジング11の重量増を招くことがない。
本発明の一実施例になる摩擦ローラ支持構造を内蔵した摩擦伝動装置としての駆動力配分装置を具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。 図1における駆動力配分装置(摩擦伝動装置)の縦断側面図である。 図2のIV-IV線上で断面とし、矢の方向に見て示す、第2摩擦ローラから出力軸への駆動力伝達部の縦断正面図である。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦伝動装置)の摩擦ローラ軸およびベアリングサポートが、摩擦ローラの径方向押し付け反力を受けて変形した状態を誇張して示すイメージ図である。 本発明の他の実施例になる摩擦ローラ支持構造を内蔵した駆動力配分装置(摩擦伝動装置)を示す、図2と同様な縦断側面図である。 本発明の更に他の実施例になる摩擦ローラ支持構造を内蔵した駆動力配分装置(摩擦伝動装置)を示す、図2と同様な縦断側面図である。
符号の説明
1 駆動力配分装置(摩擦伝動装置)
2 エンジン
3 変速機
4 リヤプロペラシャフト
5 リヤファイナルドライブユニット
6L,6R 左右後輪(主駆動輪)
7 フロントプロペラシャフト
8 フロントファイナルドライブユニット
9L,9R 左右前輪(従駆動輪)
11 ハウジング
11a,11b,11c,11d 摩擦ローラ軸貫通部
11e,11f 肉抜き部
12 入力軸(摩擦ローラ軸)
13 出力軸(摩擦ローラ軸)
14,15,16,17 ボールベアリング(軸受部)
18,19,21,22 ローラベアリング
23,25 ベアリングサポート
31 第1摩擦ローラ
32 第2摩擦ローラ
41 クランクシャフト(摩擦ローラ軸)
41a 偏心軸部
42 ニードルベアリング
44 ローラベアリング
45 ローラ間押し付け力制御モータ
46 駆動ピン
47 駆動ピン貫入孔
α,β,γ,δ 隙間(逃げ部)

Claims (5)

  1. 複数の摩擦ローラを相互に径方向に押し付けて摩擦接触させ、これら摩擦ローラ間で動力の受け渡しが可能な摩擦伝動装置であって、
    前記摩擦ローラの軸を共通なベアリングサポートに回転自在に取り付けると共に、該共通なベアリングサポートを前記相互に摩擦接触した摩擦ローラ間においてハウジングに取り付けることで、前記摩擦ローラをハウジングに回転自在に支持する摩擦ローラ支持構造において、
    前記径方向押し付け力による前記摩擦ローラ軸の径方向変位に伴って、前記ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部を追従変形させる手段を設けたことを特徴とする摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造。
  2. 請求項1に記載の摩擦ローラ支持構造において、
    前記手段は、前記摩擦ローラ軸と前記ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部との間に設定した軸受部であることを特徴とする摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造。
  3. 請求項1または2に記載の摩擦ローラ支持構造において、
    前記ハウジングの摩擦ローラ軸貫通部に係わる追従変形を容易にする肉抜き部を前記ハウジングに設けたことを特徴とする摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦ローラ支持構造において、
    前記ハウジングを、前記ベアリングサポートよりもヤング率の低い材料で造ることを特徴とする摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦ローラ支持構造において、
    前記径方向押し付け力による前記ベアリングサポートの変形時に該ベアリングサポートが接触するハウジング箇所に、該接触が生じないようにする逃げ部を設定したことを特徴とする摩擦伝動装置の摩擦ローラ支持構造。
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