以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のホーン装置を示す斜視図を、図2は図1のホーン装置の内部構造を示す断面図を、図3はケース内に収容されるコイルボビンのICチップ側(表側)を示す斜視図を、図4はケース内に収容されるコイルボビンのコイル側(裏側)を示す斜視図を、図5は図1のホーン装置を駆動させる電気回路図を、図6はコイルで発生した熱の伝達経路を説明する断面図を、図7(a),(b),(c)は電子部品と導電部材との接続部分を説明する斜視図を、図8(a),(b)は[インサート成形工程]を説明する斜視図を、図9は[部品装着工程]を説明する斜視図を、図10は[レーザ溶着工程]を説明する斜視図を、図11は[組み立て工程]を説明する斜視図を、図12は[周波数調整工程]を説明する斜視図をそれぞれ示している。
図1に示されるように、ホーン装置10は、自動車等の車両の前方側に搭載され、警報音を発生する。ホーン装置10には取り付けステー11の基端側が固定され、取り付けステー11の先端側は、車体を形成するクロスメンバー等に固定ボルトで固定される。ここで、ホーン装置10は電磁式の渦巻き形ホーンであり、ステアリング等に設けられたホーンスイッチの操作により作動し、警報音を発生する。
ホーン装置10は、ホーン本体20と共鳴器30とを備えている。共鳴器30はホーン本体20に取り付けられ、ホーン本体20が発生する音を共鳴させて外部に発音する。なお、異なる周波数の音を発生させるには、仕様の異なるホーン本体20および共鳴器30を複数準備し、それぞれを任意に組み合わせるようにする。例えば、普通乗用車では、490Hzの高音用(High)のホーン装置10および410Hzの低音用(Low)のホーン装置10の2つが組み合わされる。
図2に示されるように、ホーン本体20は、ケース21を備えている。ケース21は、金属板(導電材料)をプレス加工等することで、一側(図中下側)が閉塞されるとともに他側(図中上側)が開口され、段付きの有底筒状に形成されている。ケース21の一側には、円板底部21aを備えた小径収容部21bが設けられている。また、ケース21の他側には、環状底部21cを備えた大径収容部21dが設けられている。
ここで、大径収容部21dは、小径収容部21bよりも大径とされ、その直径寸法は小径収容部21bの略2倍の大きさとなっている。そして、小径収容部21bおよび大径収容部21d内には、プラスチック等の樹脂材料(絶縁材料)よりなるコイルボビン40が収容されている。
ケース21の軸方向に沿う円板底部21a側とは反対側には、開口部21eが形成されている。開口部21eは、薄い金属板で略円盤状に形成されたダイヤフラム22により閉塞されている。ダイヤフラム22の中心部分には、可動鉄心23が装着され、可動鉄心23は、磁性材料により段付きの略円柱形状に形成されている。
可動鉄心23は、コイル44への通電によりポール43に吸引される本体部23aと、ダイヤフラム22の中心部分に固定される固定部23bと、を備えている。そして、固定部23bと本体部23aとの間には段差面23cが形成され、段差面23cにダイヤフラム22の中心部分が載置されている。
固定部23bには、ダイヤフラム22を本体部23aに固定するための大径ワッシャ24aおよび小径ワッシャ24bが装着されている。大径ワッシャ24aは固定部23bの基端側に配置され、小径ワッシャ24bは固定部23bの先端側に配置されている。そして、ダイヤフラム22および一対のワッシャ24a,24bを固定部23bに装着して、その状態で固定部23bの先端側をかしめることで、ダイヤフラム22は本体部23aに強固に固定される。
ここで、大径ワッシャ24aに小径ワッシャ24bを重ねることで、可動鉄心23の共鳴器30側(図中上側)を先細り形状となるようにしている。これにより、空気振動室27と発音室31との間の空気流路26の流路面積を、大きく採れるようにしている。これにより、空気流路26を流れる空気の流れをスムーズにして、ホーン装置10の音響特性を安定化させている。
また、可動鉄心23の軸心と、可動鉄心23を吸引するポール43の軸心とは、それぞれ軸心Cで一致しており、可動鉄心23およびポール43は互いに同軸上に配置されている。そして、本体部23aの軸方向に沿うポール43側は、コイルボビン40におけるコイル巻装部41の径方向内側に、所定の隙間を介して所定量入り込んでいる。
なお、ダイヤフラム22は、可動鉄心23を図2に示される「基準位置」に配置するための板ばねとしての機能を備えている。つまり、ダイヤフラム22に外力が加えられていない自由状態では、ダイヤフラム22は、可動鉄心23をポール43から引き離した状態で保持するようになっている。
図2に示されるように、ダイヤフラム22のケース21側とは反対側(図中上側)には、鋼板をプレス加工等することで略円盤形状に形成されたカバー25が設けられている。カバー25の外周部分には、環状のかしめ固定部25aが形成されている。そして、かしめ固定部25aは、ケース21の外周部分およびダイヤフラム22の外周部分を挟持している。これにより、ダイヤフラム22およびカバー25の双方が、ケース21に対して強固に固定されている。
カバー25は、ダイヤフラム22と共鳴器30との間に配置されている。カバー25の中心部分には、可動鉄心23と同軸の出音口25bが設けられ、出音口25bと一対のワッシャ24a,24bとの間には、環状の空気流路26が形成されている。そして、空気流路26には、ダイヤフラム22の振動により空気が流通するようになっている。
ここで、ダイヤフラム22が振動することで、カバー25とダイヤフラム22との間に形成された空気振動室27の容積が増減される。これにより、空気流路26に空気の流れが発生する。ダイヤフラム22は、高周波数(例えば490Hzや410Hz)で振動され、この振動が音となって出音口25bから発音される。
図2に示されるように、ホーン本体20のカバー25側には、共鳴器30が装着されている。共鳴器30は、ホーン本体20のカバー25側を覆うようにして設けられている。共鳴器30は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、そのカバー25側でかつ中央部分には、可動鉄心23の軸心C上に配置された発音室31が設けられている。これにより、ダイヤフラム22が振動することで、出音口25bを介して、空気振動室27と発音室31との間で空気が出入りする。
共鳴器30内には、渦巻き形状に形成された音道32(詳細図示せず)が設けられている。音道32は、ダイヤフラム22の振動により発生した音が通過する通路を形成している。そして、音道32の入口側、つまり渦巻きの中心部分に、ダイヤフラム22の振動により発生した音が最初に到達される発音室31が配置されている。これに対し、音道32の出口側、つまり渦巻きの外周寄りの部分には、出口開口部33が設けられ、出口開口部33から外部に向けて音が発音される。
ここで、音道32は、発音室31側から出口開口部33側に向けて、徐々にその開口面積が大きくなっている。これにより、ダイヤフラム22の振動により発生した音の音圧レベルが増幅されて、所定音量の大きな音を発音できるようにしている。
図2ないし図4に示されるように、ケース21内には、可動鉄心23を振動させて、これによりダイヤフラム22を振動させるコイルボビン(ボビン)40が収容されている。具体的には、コイルボビン40は、振動発生機構(発音機構)として機能し、ケース21とダイヤフラム22とで囲まれた空間内に配置されている。
コイルボビン40は、プラスチック等の樹脂材料(絶縁材料)により所定形状に形成され、小径のコイル巻装部41と、コイル巻装部41よりも大径のコントローラ実装部42と、を備えている。コイル巻装部41は、ケース21の小径収容部21b内に収容され、コントローラ実装部42は、ケース21の大径収容部21dに収容されている。つまり、コイル巻装部41およびコントローラ実装部42は、それぞれホーン本体20の軸方向(軸心Cの軸方向)に並んで設けられている。
コイル巻装部41の径方向内側には、固定鉄心としてのポール43が設けられている。ポール43は、磁性材料よりなる丸棒を切削加工等して形成され、大径の本体部43aと、本体部43aよりも小径の雄ねじ部43bと、を備えている。本体部43aは、コイル巻装部41の径方向内側にセレーション嵌合等(図示せず)により強固に固定され、雄ねじ部43bは円板底部21aを貫通してケース21外に配置されている。そして、ケース21外に配置された雄ねじ部43bには、取り付けステー11の基端側が固定ナット12(図1参照)により固定されている。
コイル巻装部41の径方向外側には、導電材料(導電線)よりなるコイル44が所定の巻数で巻装されている。つまり、コイル44は、ポール43の周囲に配置されている。これにより、コイル44に駆動電流(大電流)を供給することで、コイル44の中心に設けられたポール43が電磁石となって、磁力(吸引力)を発生する。
コントローラ実装部42は、略円板状に形成された環状本体部42aと、その周囲に一体に設けられ、環状本体部42a(コイルボビン40)の軸方向(軸心Cの軸方向)に起立された環状壁部42bと、を備えている。具体的には、環状壁部42bは、環状本体部42aのコイル巻装部41側とは反対側に起立されている。
環状本体部42aの環状壁部42b側には、コイル44に対して所定の大きさの駆動電流を所定のタイミングで供給、つまりホーン装置10を駆動する制御回路50が実装されている。そして、環状本体部42aは、図3および図4に示されるように、第1リベットRV1,第2リベットRV2,第3リベットRV3(合計3個)をかしめることで、ケース21の環状底部21c(図2参照)に固定されている。
制御回路50は、複数の電子部品(図示せず)を封止材(例えばエポキシ樹脂)により封止してなる単一のパッケージ部品で形成されたIC(Integrated Circuit)チップ51と、ICチップ51を予期しない大電流から保護するサージ保護部品として機能するフィルムコンデンサ52と、所定の抵抗値に設定された抵抗素子53と、を備えている。そして、これらのICチップ51,フィルムコンデンサ52,抵抗素子53およびコイル44は、それぞれ複数の導電部材54を介して、電気的に接続されている。なお、ICチップ51は、コイル44への通電を制御するもので、本発明における集積回路を構成している。
導電部材54は、図8に示されるように合計7個設けられ、導電性に優れた黄銅等によりそれぞれ所定形状に形成されている。そして、これらの導電部材54は、環状本体部42aにインサート成形によりそれぞれ設けられている。また、3つのリベットRV1,RV2,RV3においても、導電性に優れた黄銅等により形成され、コイルボビン40をケース21(図2参照)に固定する機能に加えて、ケース21の外部から制御回路50に駆動電流等を供給する電子部品としての機能も備えている。
また、フィルムコンデンサ52および抵抗素子53は、所謂スナバ回路(Snubber Circuit)を形成している。このような「スナバ回路」を制御回路50に組み込むことで、ホーンスイッチ(図示せず)等の開閉時に生じる過渡的な高電圧(大電流)を吸収して、ICチップ51を保護するようにしている。
なお、本実施の形態では、スナバ回路に、プラスチックフィルムを誘電体とし、温度による容量の変化が小さく、かつ高精度で安定した特性を有するフィルムコンデンサ52を用いている。よって、より確実にICチップ51を保護することができる。ただし、仕様によっては、例えば、より安価な他の形式のコンデンサを用いることもできる。
また、電子部品としての機能を有する3つのリベットRV1,RV2,RV3のケース外に配置された部分は、図12に示されるように、コネクタ部材60に固定されている。すなわち、コネクタ部材60は、ケース21の環状底部21cに対して、3つのリベットRV1,RV2,RV3によって固定されている。
コネクタ部材60は、プラスチック等の樹脂材料からなり、略円弧形状に形成されたコネクタ本体61を備えている。コネクタ本体61は、ケース21の環状底部21cに沿うように配置されている。また、コネクタ本体61には、車両側の外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部62が一体に設けられている。コネクタ接続部62は、ケース21の径方向外側に向けて開口され、これにより外部コネクタを容易に差し込めるようにしている。
コネクタ部材60には、プラス(+)側導電部材およびマイナス(−)側導電部材(何れも図示せず)がインサート成形により埋設されている。各導電部材の一端は、コネクタ接続部62の内部に露出され、各導電部材の他端は、コネクタ本体61を介して、第1,第2リベットRV1,RV2にそれぞれ電気的に接続されている。具体的には、プラス側導電部材が第1リベットRV1に接続され、マイナス側導電部材が第2リベットRV2に接続されている。
ここで、第3リベットRV3には、第1,第2リベットRV1,RV2のように導電部材が接続されていない。その代わりに図12に示されるように、調整装置ADの調整装置用配線L3(調整装置ADのチェック端子CH)が直接電気的に接続可能となっている。なお、調整装置ADは、製造誤差等に起因したホーン装置10の製品毎の発音周波数のばらつきを補正する装置である。調整装置ADを用いた具体的な発音周波数の調整の仕方については、後述する。
図5に示されるように、制御回路50を形成するICチップ51は、コイル44に対して、所定の周波数で駆動電流を供給する。これにより、コイル44(ポール43)が所定の周波数で磁力を発生して、可動鉄心23が所定の周波数で振動される。よって、ダイヤフラム22も所定の周波数で振動されて、カバー25とダイヤフラム22との間の空気振動室27(図2参照)の容積が増減して、空気流路26に空気の流れが生じる。このように、ダイヤフラム22が所定の周波数で振動することで当該振動が音となり、空気流路26から発音室31に向けて発音される。
ICチップ51内には、制御部51a,駆動部51b,温度測定部51c,電流測定部51dおよび記憶部51eが設けられている。そして、図3および図5に示されるように、ICチップ51に設けられた複数の端子T1のうちの2つの端子T1には、それぞれ導電部材54および第1,第2リベットRV1,RV2を介して電源装置BTが電気的に接続されている。
また、図3に示されるように、複数の端子T1のうちの他の端子T1には、導電部材54,フィルムコンデンサ52および抵抗素子53を介して、コイル44が電気的に接続されている。さらに、図3および図5に示されるように、複数の端子T1のうちのさらに他の1つの端子T1には、導電部材54および第3リベットRV3を介して、調整装置ADが電気的に接続可能となっている。
なお、本実施の形態のICチップ51は、パッケージの片側一列に複数の端子T1が並んで設けられた、所謂SIP(Single Inline Package)構造のパッケージ部品となっている。
図5に示されるように、制御部51aは、駆動部51bにPWM(Pulse Width Modulation)信号PSを出力し、これにより駆動部51bは所定の周波数の駆動電流をコイル44に供給する。よって、所定の周波数でダイヤフラム22が振動される。ここで、制御部51aは、ICチップ51の雰囲気温度や、コイル44を流れる電流の大きさに応じて、PWM信号PSのデューティ比(Duty Cycle)を調整(補正)するようになっている。
なお、駆動部51bは、制御部51aからのPWM信号PSに基づいて、電源装置BTからの直流電流を交流電流に変換し、変換された交流電流(駆動電流)をコイル44に出力するようになっている。
温度測定部51cは、ホーン装置10の周囲の温度(雰囲気温度)を測定するもので、例えば、雰囲気温度の上昇に応じて抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ等から形成される。そして、温度測定部51cは、測定した温度データTを制御部51aに出力する。その後、制御部51aでは、温度測定部51cからの温度データTに基づいて、記憶部51eに予め格納された温度補正マップ(図示せず)を参照する。次いで、制御部51aは、入力された温度データTに対応したデューティ比を温度補正マップから得て、当該デューティ比のPWM信号PSを駆動部51bに出力する。
このように、ICチップ51では、雰囲気温度に応じてPWM信号PSを補正しているが、これは、雰囲気温度の変化によりホーン装置10から発音される音の周波数が変化するのを防止するためである。すなわち、本実施の形態に係るホーン装置10は、雰囲気温度の高低に関わらず、一定の周波数の音を発音できるようになっている。
電流測定部51dは、コイル44に流れる電流値Iを測定して、測定した電流値Iを制御部51aに出力する。電流測定部51dは、コイル44に流れる電流の経路に設けられたシャント抵抗(図示せず)を備え、当該シャント抵抗の両端の電圧から電流値Iを測定する電流測定回路により形成されている。
そして、制御部51aでは、電流測定部51dからの電流値Iに基づいて、記憶部51eに予め格納された電流補正マップ(図示せず)を参照する。次いで、制御部51aは、入力された電流値Iに対応したデューティ比を電流補正マップから得て、当該デューティ比のPWM信号PSを駆動部51bに出力する。
このように、ICチップ51では、コイル44に流れる電流値Iに応じてPWM信号PSを補正しているが、これは、雰囲気温度が低温になることでコイル44に流れる電流値Iが増大するのを抑えるためである。これにより、雰囲気温度が低温の場合であっても、コイル44に流れる電流値Iの増大が抑えられて、可動鉄心23とポール43とが衝突するのを防止して、衝突音(異音)が発生することを効果的に抑えている。
なお、電源装置BTは、車載バッテリ(12V)であり、ICチップ51に駆動電流(小電流)を供給するとともに、コイル44に駆動電流(大電流)を供給する。ここで、電源装置BTには、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池を用いることができる。また、二次電池に換えて、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)等を用いることもできる。
次に、制御回路50のコントローラ実装部42に対する実装構造について、図面を用いてより詳細に説明する。
図3,図6および図7に示されるように、コイルボビン40のコントローラ実装部42には、制御回路50が実装されている。より具体的には、制御回路50を形成するICチップ51,フィルムコンデンサ52および抵抗素子53は、それぞれ環状本体部42aに一体に設けられた第1固定部FX1,第2固定部FX2および第3固定部FX3にそれぞれ固定されている。
これらの第1,第2,第3固定部FX1,FX2,FX3は、それぞれ略箱形状に形成され、その内部には、ICチップ51,フィルムコンデンサ52および抵抗素子53ががたつかないように収容されている。なお、第1,第2,第3固定部FX1,FX2,FX3の内部でのICチップ51,フィルムコンデンサ52および抵抗素子53のがたつきを確実に防止すべく、接着剤を塗布するのが望ましい。
そして、図3に示されるように、ICチップ51(第1固定部FX1)およびフィルムコンデンサ52(第2固定部FX2)は、軸心Cを中心に互いに対向配置されている。すなわち、ICチップ51およびフィルムコンデンサ52は、可動鉄心23およびポール43(図2参照)を中心に、互いに対向配置され、これにより環状本体部42a上に、ICチップ51およびフィルムコンデンサ52をバランス良く設けている。具体的には、軸心Cを中心として、コイルボビン40の重量バランスが良好となっている。
また、図6に示されるように、ICチップ51を第1固定部FX1に固定した状態において、コイルボビン40をその軸方向と交差する方向(矢印A方向)から見たときに、ICチップ51は、環状壁部42bに重ねられている。つまり、コイルボビン40を図中矢印A方向から見ると、ICチップ51は環状壁部42bによって隠されている。なお、図6は、ホーン本体20から共鳴器30を取り外した状態を示している。
これにより、ホーン装置10を長時間駆動してコイル44が高温になったとしても、そのときのコイル44が発生する熱HTは、図中太線矢印に示されるように、ケース21に伝達される。その後、カバー25のかしめ固定部25aの部分から、外部に放熱される。このとき、ICチップ51は、ケース21に対して環状壁部42bにより遮られているため、ケース21に伝達された熱HTは、太破線矢印のように伝わり難くなっている。よって、熱HTはICチップ51に到達し難くなっており、ICチップ51がコイル44の熱HTにより加熱されることが抑制される。よって、ICチップ51の熱による損傷や誤作動等が確実に防止される。
ここで、ケース21の内部において、ICチップ51とコイル44とは近接配置されている。しかしながら、ICチップ51とコイル44との間には、環状本体部42aが介在されている。環状本体部42aは、プラスチック等の樹脂材料により形成されているので、金属製のケース21に比して熱伝導率が小さい。したがって、コイル44の熱HTが、環状本体部42aを介してICチップ51に伝達されることが抑制されている。
図7に示されるように、環状本体部42aにおける第1,第2,第3固定部FX1,FX2,FX3の近傍には、複数の導電部材54の端部が露出されている。そして、これらの導電部材54の端部には、ICチップ51に設けられた端子T1と、フィルムコンデンサ52に設けられた脚部(端子)T2と、抵抗素子53に設けられたリード線T3と、がそれぞれ電気的に接続されている。
図7(a)に示されるように、第1固定部FX1の近くに露出された導電部材54には、環状本体部42aの径方向に屈曲されて延在された載置部(延在部)54aが、それぞれ一体に設けられている。より具体的には、複数の載置部54aの先端側は、それぞれコイルボビン40の中心側に向けられている。言い換えれば、複数の載置部54aの屈曲方向は、軸心C(図3参照)の方向となっている。
複数の載置部54aには、ICチップ51の端子T1が載置されている。具体的には、ICチップ51を第1固定部FX1に収容することで、ICチップ51の端子T1のそれぞれが、複数の載置部54aのそれぞれに載置されるようになっている。これにより、端子T1と導電部材54とが互いに位置決めされて、両者の電気的な接続(後述するレーザ溶接)を容易にできるようにしている(組立性向上)。
なお、ICチップ51と第1固定部FX1との間に塗布する接着剤の量は、ICチップ51を第1固定部FX1に収容した時に、端子T1と載置部54aとの間に隙間が形成されない程度の量に調整する。
そして、図7(a)に示されるように、環状本体部42aに対する溶接部分(溶着部分)の高さ寸法は、全ての端子T1および載置部54aの部分において「h1」に設定されている。ここで、溶接部分とは、端子T1と載置部54aとが溶融されて一体化される部分であって、本実施の形態では、レーザ溶接機(図示せず)のレーザ光線LS(図10参照)の焦点となっている。
図7(b)に示されるように、第2固定部FX2の近くに露出された導電部材54には、環状本体部42aの軸方向(軸心Cの延在方向)に開口された開口部54bが、それぞれ一体に設けられている。そして、これらの開口部54bには、フィルムコンデンサ52の脚部T2が、軸心Cの延在方向(図中上方)から差し込まれている。
具体的には、フィルムコンデンサ52を第2固定部FX2に収容することで、フィルムコンデンサ52の脚部T2のそれぞれが、開口部54bのそれぞれに入り込むようになっている。これにより、脚部T2と導電部材54とが互いに位置決めされて、両者の電気的な接続を容易にできるようにしている。
なお、フィルムコンデンサ52と第2固定部FX2との間に塗布する接着剤の量においても、フィルムコンデンサ52を第2固定部FX2に収容した時に、脚部T2と開口部54bとが隙間無く互いに接触し得る程度の量に調整する。
そして、図7(b)に示されるように、環状本体部42aに対する溶接部分の高さ寸法は、全ての脚部T2および開口部54bの部分において「h2」に設定されている。ここで、溶接部分とは、上述と同様に、脚部T2と開口部54bとが溶融されて一体化される部分であって、本実施の形態では、レーザ溶接機のレーザ光線LS(図10参照)の焦点となっている。
図7(c)に示されるように、第3固定部FX3の近くに露出された導電部材54には、環状本体部42aの軸方向(軸心Cの延在方向)に開口された開口部54cが、それぞれ一体に設けられている。そして、これらの開口部54cには、抵抗素子53のリード線T3が、軸心Cの延在方向(図中上方)から差し込まれている。
具体的には、抵抗素子53を第3固定部FX3に収容することで、抵抗素子53のリード線T3のそれぞれが、開口部54cのそれぞれに入り込むようになっている。これにより、リード線T3と導電部材54とが互いに位置決めされて、両者の電気的な接続を容易にできるようにしている。
なお、抵抗素子53と第3固定部FX3との間に塗布する接着剤の量においても、抵抗素子53を第3固定部FX3に収容した時に、リード線T3と開口部54cとが隙間無く接触し得る程度の量に調整する。
そして、図7(c)に示されるように、環状本体部42aに対する溶接部分の高さ寸法は、全てのリード線T3および開口部54cの部分において「h3」に設定されている。ここで、溶接部分とは、上述と同様に、リード線T3と開口部54cとが溶融されて一体化される部分であって、本実施の形態では、レーザ溶接機のレーザ光線LS(図10参照)の焦点となっている。
ここで、環状本体部42aからの各溶接部分の高さ寸法h1,h2,h3は、何れも同じ高さ寸法に設定されている(h1=h2=h3)。すなわち、ICチップ51の端子T1,フィルムコンデンサ52の脚部T2および抵抗素子53のリード線T3は、コイルボビン40の軸方向に沿う同じ高さ位置にそれぞれ設けられている。
これにより、それぞれの溶接部分をレーザ溶接する際に、レーザ光線LSの焦点を制御せずに、かつレーザ溶接機の基台(図示せず)を2次元の平面のみで制御(X−Y制御)可能として、レーザ溶接機の制御ロジックの簡素化を図ることができる。
また、環状本体部42aからの各溶接部分の高さ寸法h1,h2,h3を何れも同じ高さ寸法にしたので、各溶接部分のどの部分においても接続強度を同じ強度にできる。したがって、それぞれの溶接部分における接続強度のばらつきが抑えられて、信頼性を向上させることが可能となる。
さらに、図3および図7(a),(b)に示されるように、ICチップ51の端子T1と載置部54aとの接続部分と、フィルムコンデンサ52の脚部T2と開口部54bとの接続部分と、が環状本体部42a(コイルボビン40)の中心部寄りに配置されている。これにより、レーザ溶接機の基台の作動範囲を狭くして、組み立て時間の短縮化が図れるようになっている。
次に、以上のように形成されたホーン装置10(図2参照)の組み立て手順(製造方法)について、図面を用いて詳細に説明する。
[インサート成形工程]
まず、図8(a)に示されるように、予め別の製造工程で製造された複数の導電部材54(合計7個)を準備する。次いで、矢印M1に示されるように、射出成形装置(図示せず)を形成する下金型70の凹部71(詳細図示せず)の所定箇所に、複数の導電部材54をそれぞれ配置(固定)する。
その後、射出成形装置を駆動して、下金型70に対して上金型72を下降させる。これにより、図8(b)に示されるように、下金型70と上金型72とを互いに突き合わせる。すると、下金型70に対して上金型72が密着されて、その内部に、コイルボビン40(図3および図4参照)を形作るキャビティ(図示せず)が形成される。
次いで、上金型72に形成され、かつキャビティに繋がる供給通路(図示せず)に、矢印M2に示されるように溶融樹脂(図示せず)を供給する。このとき、溶融樹脂は、射出成形装置のディスペンサ73から所定圧で供給される。このように、溶融樹脂をキャビティに向けて圧送することで、キャビティ内の隅々まで溶融樹脂が満遍なく行き渡るようになっている。したがって、コイルボビン40に気泡等が発生すること無く、コイルボビン40が精度良く形成される。
これにより、複数の導電部材54がインサート(埋設)されたコイルボビン40が完成し、インサート成形工程が終了する。なお、完成したコイルボビン40の下金型70および上金型72からの取り外し作業(離型作業)は、コイルボビン40が十分に冷却されて硬化された後に行うようにする。
[部品装着工程]
次に、図9に示されるように、インサート成形工程を終えたコイルボビン40を準備するとともに、コントローラ実装部42に実装される、ICチップ51,フィルムコンデンサ52,抵抗素子53,第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3を準備する。また、コイル巻装部41に装着されるポール43およびコイル44を準備する。
そして、まず、矢印M3に示されるように、コイルボビン40の軸方向に沿うコイル巻装部41側とは反対側(図中上側)から、第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3を所定箇所に装着する。これにより、第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3は、導電部材54にそれぞれ電気的に接続される。
ここで、第3リベットRV3は、第1固定部FX1の内部に装着されており、これにより、図10に示されるようにコイルボビン40をその軸方向(矢印B方向)から見たときに、ICチップ51と重なるようになっている。このように、比較的大きなスペースである第1固定部FX1の内部に第3リベットRV3を装着することで、ホーン装置10の小型化を実現している。
また、第3リベットRV3とICチップ51とを、他の第1,第2リベットRV1,RV2に比してより近接配置できるので、第3リベットRV3とICチップ51との間の導電部材54(図12に示される調整装置AD用)の短縮化を実現できる。
次いで、矢印M4に示されるように、ICチップ51,フィルムコンデンサ52,抵抗素子53を、それぞれ第1,第2,第3固定部FX1,FX2,FX3に収容する。このとき、第1,第2,第3固定部FX1,FX2,FX3に対して、予め接着剤を薄く塗布しておく。
これにより、図7に示されるように、ICチップ51,フィルムコンデンサ52,抵抗素子53のコントローラ実装部42(環状本体部42a)への位置決めが完了する。そして、図7に示されるように、ICチップ51の端子T1が載置部54aにそれぞれ載置され、フィルムコンデンサ52の脚部T2が開口部54bのそれぞれに入り込み、抵抗素子53のリード線T3が開口部54cのそれぞれに入り込む。
また、矢印M5に示されるように、ポール43の本体部43aを、コイル巻装部41(図2および図4参照)の径方向内側にセレーション嵌合により固定する。さらに、矢印M6に示されるように、コイル44を、コイル巻装部41の径方向外側に巻装する。
これにより、コントローラ実装部42に、ICチップ51,フィルムコンデンサ52,抵抗素子53,第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3が装着され、かつコイル巻装部41に、ポール43およびコイル44が装着されて、部品装着工程が終了する。
[レーザ溶着工程]
次に、図10に示されるように、電子部品装着工程を終えたコイルボビン40を準備し、当該コイルボビン40を、レーザ溶接機の基台(図示せず)にセットする。このとき、コントローラ実装部42に実装されたICチップ51等の電子部品が、レーザ溶接機のレーザノズルLN側を向くようにする。
ここで、レーザ溶接機は、ワークとしてのコイルボビン40がセットされ、かつ矢印M7,M8の方向に移動される基台(X−Yテーブル)と、当該基台の上方に配置されたレーザノズルLNと、これらを制御する制御盤(図示せず)と、を備えている。
そして、レーザ溶接機を所定の制御ロジックで駆動することにより、コイルボビン40がセットされた基台が矢印M7,M8の方向に移動され、かつ所定のタイミングでレーザノズルLNからレーザ光線LSが複数の溶接部分に向けて、次々と照射される。
すると、ICチップ51の端子T1と導電部材54の載置部54a(図7(a)参照)とが溶融されて一体化(溶着)され、フィルムコンデンサ52の脚部T2と導電部材54の開口部54b(図7(b)参照)とが溶融されて一体化(溶着)され、抵抗素子53のリード線T3と導電部材54の開口部54c(図7(c)参照)とが溶融されて一体化(溶着)される。
これにより、コントローラ実装部42に実装されたICチップ51等の電子部品がそれぞれ電気的に接続されて、コントローラ実装部42に制御回路50が形成され、レーザ溶着工程が終了する。
[組み立て工程]
次に、図11に示されるように、レーザ溶着工程を終えたコイルボビン40と、別の製造工程で製造されたケース21とを準備し、コイルボビン40を、矢印M9に示されるように、ケース21に収容する。このとき、コイル巻装部41(図4参照)を小径収容部21bに収容し、コントローラ実装部42を大径収容部21dに収容する。
次いで、ケース21の環状底部21cから、ケース21の外部に突出された第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3の端部(図4参照)を、かしめ治具(図示せず)を用いてかしめる。これにより、コイルボビン40がケース21に固定されるとともに、図12に示されるように、第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3がコネクタ部材60に電気的に接続される。
その後、図2に示されるように、ケース21に対してその開口部21eを閉塞するようダイヤフラム22およびカバー25を装着して、カバー25の外周部分をかしめ治具(図示せず)を用いてかしめる。これにより、環状のかしめ固定部25aが形成されて、ホーン本体20の組み立てが完了する。
次いで、別の製造工程で製造された共鳴器30を準備するとともに、当該共鳴器30を、図2に示されるようにホーン本体20に組み付ける。これにより、ホーン装置10の組み立てが完了し、組み立て工程が終了する。
[周波数調整工程]
次に、図12に示されるように、完成したホーン装置10を準備し、当該ホーン装置10に、調整装置ADを接続する。具体的には、調整装置ADの一対の電源線L1,L2をコネクタ接続部62に接続し、かつ調整装置ADの調整装置用配線L3を、ケース21外に露出された第3リベットRV3に接続する。また、調整装置ADのマイクMCを、ホーン装置10の正面にセットする。
そして、調整装置ADを作動させて、ホーン装置10を吹鳴させる。すると、調整装置ADは、このときのホーン装置10の発音周波数をマイクMCで拾って、調整前のホーン装置10の状態を把握する。
次いで、調整装置ADは、目標の発音周波数(AHz)と、マイクMCで拾った実際の発音周波数(BHz)とで差がある場合(A≠B)には、調整装置用配線L3を介してICチップ51(図5参照)に補正信号を出力する。すると、ICチップ51は、調整装置ADからの補正信号に基づいて、目標の発音周波数(AHz)を発生するようダイヤフラム22の振動周波数を変更する。
その後、調整装置ADは、目標の発音周波数(AHz)と、マイクMCで拾った実際の発音周波数(BHz)とが、略同じ周波数になったと判断(A≒B)すると、当該振動周波数を発音する補正信号(目標駆動信号)を、ICチップ51の記憶部51e(図5参照)に記憶させる。
これにより、ホーン装置10の発音周波数が調整されて、周波数調整工程(最終の仕上げ工程)が終了する。そして、発音周波数の調整を終えたホーン装置10は、車両への搭載状態において、ICチップ51により目標駆動信号で駆動され、目標の発音周波数と略同じ発音周波数で発音する。したがって、ホーン装置10を構成する部品の製造誤差等、例えばかしめ固定部25aのかしめ具合の相違等に起因する製品毎の発音周波数のばらつきを無くして、信頼性を向上させることが可能となる。
以上詳述したように、実施の形態1に係るホーン装置10によれば、ICチップ51の端子T1およびフィルムコンデンサ52の脚部T2が、コイルボビン40の軸方向に沿う同じ高さ位置に設けられているので、レーザ溶接機を用いて、レーザ光線LSの焦点を制御せずに、かつ簡単な平面制御(X−Y制御)により、電気的な接続部分を次々と溶着することができる。
したがって、ホーン装置10のさらなる薄型化は勿論のこと、電気的な接続部分(溶接箇所)の強度が製品毎にばらついたりすることを低減でき、ひいてはホーン装置10の信頼性向上を図りつつ、コストダウンを実現することができる。
また、実施の形態1に係るホーン装置10によれば、導電部材54に、コイルボビン40の径方向に延在された載置部54aが設けられ、当該載置部54aに、ICチップ51の端子T1を載置するようにしている。
したがって、端子T1と導電部材54とを互いに正確に位置決めすることができ、両者の電気的な接続(レーザ溶着)を、容易かつ精度良く行うことができる。さらに、レーザ溶着の部分を、ICチップ51の本体から遠ざけることができ、レーザ光線LSの熱がICチップ51に伝達されるのを抑制することができる。特に、熱に弱いICチップ51にとっては有効である。ただし、スペース的に余裕があれば、フィルムコンデンサ52や抵抗素子53においても、ICチップ51と同様に載置部54aを用いてレーザ溶着することもできる。
また、実施の形態1に係るホーン装置10によれば、載置部54aの先端側が、コイルボビン40の中心側に向けられているので、レーザ溶接機の基台の作動範囲を狭くして、組み立て時間の短縮化を図ることができ、ひいては製造エネルギの省エネ化を図ることができる。
さらに、実施の形態1に係るホーン装置10によれば、サージ保護部品に、プラスチックフィルムを誘電体とし、温度による容量の変化が小さく、かつ高精度で安定した特性のフィルムコンデンサ52を用いているので、より確実にICチップ51を保護することができる。
また、実施の形態1に係るホーン装置10の製造方法によれば、レーザ溶着工程の後に、発音周波数を調整する周波数調整工程を行うので、製造誤差等に起因したホーン装置10の製品毎の発音周波数のばらつきを無くして、信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態2について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13は実施の形態2のホーン装置の一部を示す斜視図を示している。
図13に示されるように、実施の形態2に係るホーン装置80は、実施の形態1のホーン装置10(図12参照)に比して、コネクタ部材81の形状が異なっている。より具体的には、ホーン装置80のコネクタ部材81のコネクタ本体82の内部には、プラス側導電部材83,マイナス側導電部材84に加えて、調整用導電部材85もインサート成形により埋設されている。
そして、3つの導電部材83,84,85の一端は、それぞれコネクタ接続部86の内部に露出されている。また、3つの導電部材83,84,85の他端は、第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3にそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、実施の形態2では、ケース21の外部において、第3リベットRV3とコネクタ接続部86との間にも、導電部材(調整用導電部材85)が設けられている。
なお、第1,第2,第3リベットRV1,RV2,RV3と、ICチップ51の端子T1(図3参照)との間には、実施の形態1におけるホーン装置10と同様に、導電部材54が設けられている。
3つの導電部材83,84,85の一端は、それぞれコネクタ接続部86の内部に露出されているが、プラス側導電部材83およびマイナス側導電部材84の先端部分と、調整用導電部材85の先端部分とは、コネクタ接続部86の差し込み方向に対して、所定距離Sの分だけ離れている。
なお、車両側の外部コネクタ(図示せず)のコネクタ接続部86に対する差し込み深さは、コネクタ接続部86の差し込み方向に寸法Dとなっている。そして、プラス側導電部材83およびマイナス側導電部材84の先端部分は、図13に示されるように、寸法Dの範囲内にそれぞれ配置されている。これに対し、調整用導電部材85の先端部分は、寸法Dの範囲外に配置されている。すなわち、調整用導電部材85の先端部分は、コネクタ接続部86の底部からさらに引っ込んだ位置に配置されている。
これにより、車両側の外部コネクタは、調整用導電部材85の先端部分に接触されること無く、プラス側導電部材83およびマイナス側導電部材84の先端部分のみに接触されて電気的に接続される。
一方、調整装置AD(図12参照)には、プラス側導電部材83およびマイナス側導電部材84の先端部分と、調整用導電部材85の先端部分との全て(3箇所)に電気的に接続し得る専用のコネクタ(図示せず)が設けられている。より具体的には、調整装置ADのコネクタの内部には、一対の電源線L1,L2および調整装置用配線L3(図12参照)の端部が、集約されて配置されている。
そして、調整装置ADのコネクタを、コネクタ接続部86に差し込むだけで、上述の周波数調整工程の準備が完了する。つまり、実施の形態1では、調整装置ADの一対の電源線L1,L2をコネクタ接続部62に接続した後に、調整装置ADの調整装置用配線L3をケース21外に露出された第3リベットRV3に接続しており、2つの準備動作が必要であった。これに対し、実施の形態2では、調整装置ADのコネクタをコネクタ接続部86に差し込む動作のみで済む。
以上のように形成した実施の形態2のホーン装置80においても、上述した実施の形態1のホーン装置10と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、周波数調整工程をより簡素化することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態では、自動車等の車両に搭載されるホーン装置であるものを示したが、本発明はこれに限らず、鉄道車両や船舶,建設機械等のホーン装置にも適用することができる。
また、上記各実施の形態では、共鳴器30を備えた渦巻き形ホーンであるものを示したが、本発明はこれに限らず、共鳴器を備えず、かつ所定の周波数で可動鉄心と固定鉄心とを衝突させて衝突音を発生させる平形ホーンにも適用することができる。
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。