JP6838732B2 - 減速逆転機 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶に搭載した主機関の回転動力を前後進切換機構経由でプロペラに伝達する減速逆転機に関するものである。
漁船やプレジャーボートといった船舶に搭載される減速逆転機において、油圧クラッチを動力遮断状態にして中立に保持しただけでは、油圧クラッチの摩擦板部にある作動油によって出力軸ひいてはプロペラが連れ回りする不都合がある。この点、従来の減速逆転機では、中立時に出力軸を制動させる油圧式の中立ブレーキを設けることによって、中立時における出力軸及びプロペラの連れ回りを防止している(例えば特許文献1等参照)。
ところで、この種の船舶では、例えば2機2軸仕様船での片肺運転時や、中立状態での揚網時、全速航行から中立状態にした時など、周囲の水流によってプロペラが回転(遊転)しても、中立ブレーキが作動するため、中立ブレーキに負荷がかかる。ここで、中立ブレーキのブレーキ容量は一般に、作動油に起因したプロペラの連れ回りを抑制するトルクに対応して設定されるため、プロペラが遊転するに際して中立ブレーキで出力軸を制動させていたとしても、プロペラの遊転力を中立ブレーキが抑制し切れず、中立ブレーキが過剰な負荷によって損傷し易い。そこで、中立ブレーキに過剰な負荷がかかるときに中立ブレーキを解除作動させるための電磁弁を設けることが提案されている(例えば特許文献2等参照)。
特開平6−34044号公報 特開2016−165928号公報
しかし、特許文献2では、前進出力を前進2速式に構成する減速逆転機において、複数の電磁弁で前進1速又は前進2速に切り換える構成に中立ブレーキ解除用の電磁弁をさらに設けているから、減速逆転機の油路構成が複雑になるとともに電磁弁の個数が多くなって製造コストの増加を招くので、改善の余地があった。
本発明は、上記のような現状を検討して改善を施した減速逆転機を提供することを技術的課題としている。
本発明の減速逆転機は、船舶に搭載した主機関の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構と、前記前後進切換機構からの出力をプロペラに伝達する出力軸と、前記前後進切換機構の中立時に前記出力軸を制動させる中立ブレーキとを備えるものであって、前記前後進切換機構の前進出力を前進2速式に構成し、前記前進出力を前進1速と前進2速とに切り換える速比切換弁の切換作動を単一の速比切換用電磁弁により制御し、中立時に制動作動する前記中立ブレーキをブレーキ解除用電磁弁により解除作動可能に構成し、前記速比切換用電磁弁は、作動油が供給される速比切換パイロット油路を前記速比切換弁につながる前進1速パイロット油路又は前進2速パイロット油路に接続して前記速比切換弁を切換作動させ、前記速比切換弁は、作動油が供給される前進油路を前進1速クラッチへ向かう前進1速油路又は前進2速クラッチへ向かう前進2速油路に接続し、前記ブレーキ解除用電磁弁は、作動油が供給される中立油路を前記中立ブレーキへ向かうブレーキ油路に接続し又は閉止するように構成しているものである。
本発明の減速逆転機において、前記前後進切換機構を収容するハウジングに配置される速比切換弁ブロック内に前記速比切換弁を設けるとともに、前記速比切換弁ブロックに前記速比切換用電磁弁及び前記ブレーキ解除用電磁弁を取り付けるようにしてもよい。
また、本発明の減速逆転機において、前記前後進切換機構の中立状態を検出する中立スイッチと、前記出力軸の回転速度を検出する回転速度検出センサと、前記中立スイッチ及び前記回転速度検出センサの検出情報に基づき前記中立ブレーキを制動状態と解除状態とに切り換えるコントローラを備え、前記コントローラは、前記出力軸の回転速度が所定の下限回転速度を上回るときに前記ブレーキ解除用電磁弁を閉止状態にして前記中立ブレーキを解除状態にするとともに、前記出力軸の回転速度の上昇時と下降時とで、前記下限回転速度を異ならせるようにしてもよい。
本発明の減速逆転機は、船舶に搭載した主機関の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構と、前記前後進切換機構からの出力をプロペラに伝達する出力軸と、前記前後進切換機構の中立時に前記出力軸を制動させる中立ブレーキとを備えるものであって、前記前後進切換機構の前進出力を前進2速式に構成し、前記前進出力を前進1速と前進2速とに切り換える速比切換弁の切換作動を単一の速比切換用電磁弁により制御し、中立時に制動作動する前記中立ブレーキをブレーキ解除用電磁弁により解除作動可能に構成しているので、前進2速式の構成でありながら、少ない電磁弁の数及び簡素な油路構成で、前進1速と前進2速の切換作動及び中立ブレーキの作動を制御できるとともに、中立ブレーキ解除機能の搭載による製造コストの増加を抑制できる。
本発明の減速逆転機において、前記速比切換用電磁弁が、作動油が供給される速比切換パイロット油路を前記速比切換弁につながる前進1速パイロット油路又は前進2速パイロット油路に接続して前記速比切換弁を切換作動させ、前記速比切換弁が、作動油が供給される前進油路を前進1速クラッチへ向かう前進1速油路又は前進2速クラッチへ向かう前進2速油路に接続し、前記ブレーキ解除用電磁弁が、作動油が供給される中立油路を前記中立ブレーキへ向かうブレーキ油路に接続し又は閉止するようにすれば、両電磁弁を単一の速比切換弁ブロックに設けることで油圧配管を少なくして油路構造の集約化及びコンパクト化を図れるとともに、油圧系統の部品点数を少なくして組立作業工数の抑制に寄与する。また、単一の速比切換用電磁弁で前進1速と前進2速の切換作動を制御するので、速比切換弁ブロック内の油路構成を簡素にでき、速比切換弁ブロックをコンパクト化できるとともに、速比切換弁ブロックの製造コストを低減でき、ひいては減速逆転機全体のコンパクト化及び製造コスト低減を図れる。
また、本発明の減速逆転機において、前記前後進切換機構の中立状態を検出する中立スイッチと、前記出力軸の回転速度を検出する回転速度検出センサと、前記中立スイッチ及び前記回転速度検出センサの検出情報に基づき前記中立ブレーキを制動状態と解除状態とに切り換えるコントローラを備え、前記コントローラは、前記出力軸の回転速度が所定の下限回転速度を上回るときに前記ブレーキ解除用電磁弁を閉止状態にして前記中立ブレーキを解除状態にするとともに、前記出力軸の回転速度の上昇時と下降時とで、前記下限回転速度を異ならせるようにすれば、例えば2機2軸仕様船での片肺運転時や、中立状態での揚網時、全速航行から中立状態にした時などにおいて、プロペラが高速遊転したとしても、中立ブレーキを解除状態にでき、中立ブレーキに過剰な負荷がかかるのを防止できるとともに、出力軸の回転速度の上昇時と下降時とで異なる下限回転速度に応じて適切に中立ブレーキを解除状態にして、中立ブレーキの損傷や早期摩耗を確実に防止できる。なお、出力軸の回転速度上昇時の下限回転速度は、回転速度下降時の下限回転速度に比べて、高くてもよいし、低くてもよい。例えば、出力軸の回転速度上昇時の下限回転速度を回転速度下降時の下限回転速度に比べて高く設定すれば、出力軸の回転速度上昇時には、高めの下限回転速度に到達するまでの間、プロペラの連れ回りによる意図しない船舶の移動を防止でき、出力軸の回転速度下降時には、出力軸の回転速度が高い状態での中立ブレーキの作動を確実に防止して中立ブレーキの損傷を防止できる。
減速逆転機を備えたプレジャーボートの概略側面図である。 減速逆転機の斜視図である。 減速逆転機の背面図である。 減速逆転機の左側面図である。 減速逆転機の右側面図である。 減速逆転機の油圧回路の一例の説明図である。 同油圧回路の中立時の説明図である。 同油圧回路の前進1速時の説明図である。 同油圧回路の前進2速時の説明図である。 同油圧回路の後進時の説明図である。 減速逆転機の油圧回路の他の例の説明図である。 同油圧回路の中立時の説明図である。 同油圧回路の前進1速時の説明図である。 同油圧回路の前進2速時の説明図である。 同油圧回路の後進時の説明図である。 コントローラの一例の機能ブロック図である。 同コントローラによる中立ブレーキ制御のフローチャートである。 コントローラの他の例の機能ブロック図である。 同コントローラによる中立ブレーキ制御のフローチャートである。
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図16)に基づき説明する。図1に示すように、船舶であるプレジャーボート1は、船体2と、船体の上面中央側に配置したキャビン3と、船体2の船底後尾側に設けた舵4と、船体2の船底後尾側のうち舵4の前方に配置したプロペラ5とを備えている。キャビン3内は操縦部になっている。キャビン3内には、船体2の進行方向を左右に変更させる操舵ハンドル(図示省略)と、船体2の進行方向を前進と後進とに切換操作する前後進レバー26(図6参照)とを設けている。船体2の船底後尾側には、プロペラ5を回転させる推進軸6を軸支している。推進軸6の突出端側にプロペラ5を取り付けている。船体2内には、プロペラ5の駆動源である主機関としてのエンジン7と、エンジン7の回転動力を推進軸6経由でプロペラ5に伝達する減速逆転機8とを設けている。エンジン7から減速逆転機8を介して推進軸6に伝わった回転動力によって、プロペラ5が回転する。
図2〜図5に示すように、減速逆転機8を構成するハウジング9には、エンジン7のフライホイル(図示省略)にダンパー継手10を介して連結される入力軸11と、カップリング12を介して推進軸6に連結される出力軸13とを、互いに逆向きに突き出すように設けている。入力軸11はハウジング9の正面上部に回転可能に軸支している。出力軸13はハウジング9の背面下部に回転可能に軸支している。減速逆転機8のハウジング9内には、入力軸11から出力軸13に向かう正転(前進)方向の動力伝達を継断する前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15と、入力軸11から出力軸13に向かう逆転(後進)方向の動力伝達を継断する後進クラッチ16とを収容している。前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16との組合せが前後進切換機構17を構成している。従って、前後進切換機構17の前進出力は2速式になっている。ハウジング9の背面側には、後述する油圧回路20を形成した油路ブロック18を設けている。実施形態の油路ブロック18は、ハウジング9の背面側のうち出力軸13よりも上方に位置している。
前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は湿式多板型の油圧摩擦クラッチである。作動油圧で各クラッチ14〜16の摩擦板を圧接させることによって、入力軸11と出力軸13とが動力伝達可能に連結される。すなわち、前進1速クラッチ14若しくは前進2速クラッチ15を接続し後進クラッチ16を遮断することによって、入力軸11の回転動力を正転(前進)方向の出力として出力軸13に伝達する前進状態になる。前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15を遮断し後進クラッチ16を接続することによって、入力軸11の回転動力を逆転(後進)方向の出力として出力軸13に伝達する後進状態になる。そして、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16の全てを遮断することによって、出力軸13に動力伝達しない中立状態になる。作動油圧で各クラッチ14〜16の摩擦板の圧接程度を加減させてスリップ係合(半クラッチ係合)させれば、入力軸11の回転動力の一部が出力軸13に伝わり、出力軸13ひいては推進軸6に設けたプロペラ5が低回転する微速走行の状態になる。
次に、従前の図に加えて図6まで参照しながら、減速逆転機8の油圧回路20構造を説明する。減速逆転機8の油圧回路20は、エンジン7の回転動力にて駆動する作動油ポンプ21を備えている。作動油ポンプ21は、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16等に作動油を供給するものである。作動油ポンプ21は、ハウジング9の背面側に設けた油路ブロック18に取り付けている。すなわち、ハウジング9の背面側に油路ブロック18を介して作動油ポンプ21を取り付けている。作動油ポンプ21の吸入側は、作動油こし器23を介して作動油タンク22に接続している。
作動油ポンプ21の吐出側に接続された作動油路71は、前後進切換弁25を介して、速比切換弁27に向かう前進油路72、後進クラッチ16に向かう後進油路73、又はブレーキ解除用電磁弁30に向かう中立油路74に接続される。前後進切換弁25は、前後進切換機構17の切換作動を制御する。すなわち、前後進切換弁25は、前後進レバー26の切換操作によって、前進1速クラッチ14又は前進2速クラッチ15に作動油を供給する前進位置と、後進クラッチ16に作動油を供給する後進位置と、クラッチ14〜16群全てへの作動油の供給を停止する中立位置との三位置に切換可能に構成している。
前後進切換弁25からの前進油路72は、速比切換弁27を介して、前進1速クラッチ14に向かう前進1速油路75、又は前進2速クラッチ15に向かう前進2速油路76に接続される。速比切換弁27は、油圧パイロット式の4ポート2位置の切換弁であり、油路ブロック18の背面に取り付けられる速比切換弁ブロック29に収容される。
前後進切換弁25からの中立油路74は、ブレーキ解除用電磁弁30を介して、中立ブレーキ31に向かうブレーキ油路80又は閉路81に接続される。中立ブレーキ31は、前後進切換機構17の中立時に出力軸13を制動させるものである。ブレーキ解除用電磁弁30は、電磁式の4ポート2位置の切換弁であり、作動油の給排によって中立ブレーキ31の作動を制御するものである。中立ブレーキ31は、出力軸13に固着した出力ギヤ32に常時噛み合うブレーキギヤ33のブレーキ軸34に設けている。中立ブレーキ31の制動作動によってブレーキ軸34の回転が阻止され、ブレーキギヤ33を介して出力ギヤ32の回転が阻止される。
また、作動油路71からは、速比切換用電磁弁28に向かう速比切換パイロット油路77が分岐している。速比切換パイロット油路77は、速比切換用電磁弁28を介して、速比切換弁27のスプール一端へ向かう前進1速パイロット油路78、又は速比切換弁27のスプール他端へ向かう前進2速パイロット油路79に接続される。前後進切換弁25と速比切換弁27と速比切換用電磁弁28の切換作動の組合せによって、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15、後進クラッチ16又はブレーキ解除用電磁弁30のいずれかに、選択的に作動油が供給される。
前後進切換弁25から速比切換弁ブロック29へ向かう油路72,74,77は、前後進切換弁25内、油路ブロック18内及び速比切換弁ブロック29内に形成される。速比切換弁27から前進1速クラッチ14へ向かう前進1速油路75は、速比切換弁ブロック29内及び油路ブロック18内に形成される。速比切換弁27から前進2速クラッチ15へ向かう前進2速油路76は、速比切換弁ブロック29内から油圧配管を通って前進2速クラッチ15に導かれる。ブレーキ解除用電磁弁30から中立ブレーキ31へ向かうブレーキ油路80は、速比切換弁ブロック29内から油圧配管を通って中立ブレーキ31へ導かれる。速比切換弁ブロック29内には、前進1速パイロット油路78及び前進2速パイロット油路79も形成される。
また、油路ブロック18内で、作動油路71からは、前後進切換機構17(各クラッチ14〜16)に向けて、各クラッチ14〜16に潤滑油としての作動油を注油する潤滑油路35を延出させている。潤滑油路35には、上流側から順に、油圧保持用のリリーフ弁である作動油圧調整弁36と、作動油(潤滑油)を冷却する潤滑油クーラー37と、潤滑油圧調整弁38と、潤滑油こし器39とを設けている。作動油圧調整弁36を通過した後の作動油は、潤滑油クーラー37を通過し、潤滑油圧調整弁38で低圧にした状態で、潤滑油こし器39を介して、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16に潤滑油として供給される。所定圧以上の不要な作動油は潤滑油圧調整弁38から作動油タンク22に戻される。
作動油圧調整弁36には、これを用いて前進切換時又は後進切換時のクラッチ接続によるショックを緩和させる緩嵌入弁40を設けている。緩嵌入弁40は、前後進切換弁25から導入される背圧によって前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15又は後進クラッチ16への作動油圧を徐々に上昇させ、前進又は後進切換時のクラッチ接続によるショックを緩和させるものである。
緩嵌入弁40の作用をおおまかに説明する。作動油圧調整弁36は前後進切換弁25の中立時に潤滑油路35を流通する作動油圧に応じて開弁している。前後進切換弁25を前進位置又は後進位置に切換駆動させると、前後進切換弁25経由で作動油が緩嵌入弁40に流入して作動油圧調整弁36を閉弁させる。作動油圧調整弁36と緩嵌入弁40との間にはリリーフばね41を介設している。リリーフばね41の圧縮によって、作動油圧調整弁36は緩嵌入弁40よりも緩慢に動作し徐々に閉弁状態に至る。このため、前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15の作動油圧、又は後進クラッチ16の作動油圧が徐々に増大し、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15又は後進クラッチ16を徐々に接続状態(係合状態)にする。その結果、各クラッチ14〜16接続時のショックが緩和されることになる。
作動油圧調整弁36を迂回して作動油路71と潤滑油路35とをつなぐ迂回油路42には、リリーフ弁43を設けている。作動油圧調整弁36が閉弁状態になり、クラッチ14〜16のいずれかが接続状態になると、作動油ポンプ21の駆動により作動油路71の油圧が上昇してリリーフ弁43が開弁状態になり、作動油路71から迂回油路42を介して潤滑油路35に作動油が導入される。
図7に示すように、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25を中立位置に切り換えると、作動油路71が前後進切換弁25を介して中立油路74に接続される。また、ブレーキ解除用電磁弁30の制動電磁ソレノイド53が励磁されてブレーキ解除用電磁弁30が開放状態になると、ブレーキ油路80がブレーキ解除用電磁弁30を介して中立油路74に接続される。これにより、作動油路71から前後進切換弁25、中立油路74、ブレーキ解除用電磁弁30を経由して中立ブレーキ31に作動油が供給されて中立ブレーキ31が制動作動する。その結果、出力軸13、推進軸6ひいてはプロペラ5にブレーキがかかって、出力軸13、推進軸6ひいてはプロペラ5の回転が阻止される。
中立状態におけるブレーキ解除用電磁弁30の詳細な制御については後述するが、例えば中立状態での揚網時や、全速航行から中立状態にした時など、周囲の水流によってプロペラ5が高速で遊転するときには、ブレーキ解除用電磁弁30が手動操作又は自動で閉止状態にされてブレーキ油路80が作動油タンク22に接続されるとともに中立油路74が閉路81に接続されて、中立ブレーキ31が解除作動する。これにより、プロペラ5の高速遊転に起因して中立ブレーキ31に過剰な負荷がかかるおそれがなく、惰行航行時や網巻き上げの曳航時等において中立ブレーキ31の損傷を確実に防止できる。
なお、中立状態において、速比切換用電磁弁28の電磁ソレノイドは消磁状態であり、速比切換用電磁弁28は、前進1速パイロット油路78を速比切換パイロット油路77に接続するとともに、前進2速パイロット油路79を作動油タンク22に接続する。また、前進1速油路75は、速比切換弁27、前進油路72及び前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続され、前進2速油路76は、速比切換弁27を介して作動油タンク22に接続され、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続される。これにより、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は、いずれも動力遮断状態になる。
図8〜図10に示すように、前後進切換弁25を中立位置以外に切り換えると、制動電磁ソレノイド53が消磁状態になってブレーキ解除用電磁弁30が閉止状態になり、中立油路74が閉路81に接続されて中立ブレーキ31に対する作動油供給が停止されるとともにブレーキ油路80がブレーキ解除用電磁弁30を介して作動油タンク22に接続されて、中立ブレーキ31が解除作動する。その結果、出力軸13、推進軸6ひいてはプロペラ5が制動解除されて、出力軸13、推進軸6ひいてはプロペラ5の回転が許容される。
図8に示すように、減速逆転機8が前進1速状態のときは、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25が前進位置に切り換えられて、前進油路72が作動油路71に接続される。また、電磁ソレノイドが消磁状態の速比切換用電磁弁28により前進1速パイロット油路78が速比切換パイロット油路77に接続されるとともに、前進2速パイロット油路79が作動油タンク22に接続される。速比切換弁27は、前進1速油路75を前進油路72に接続し、前進2速油路76を作動油タンク22に接続する状態になる。これにより、前進1速油路75が速比切換弁27、前進油路72、前後進切換弁25及び作動油路71を介して作動油ポンプ21に接続され、前進1速油路75に作動油が供給されて、前進1速クラッチ14が動力接続状態になる。このとき、前進2速油路76は、速比切換弁27を介して作動油タンク22に接続され、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続されるので、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は、いずれも動力遮断状態になる。
図9に示すように、減速逆転機8が前進2速状態のときは、図8に示す前進1速状態から、速比切換用電磁弁28の電磁ソレノイドが励磁されて、速比切換用電磁弁28の接続位置が切り換わり、前進2速パイロット油路79が速比切換パイロット油路77に接続されるとともに、前進1速パイロット油路78が作動油タンク22に接続される。これにより、速比切換弁27の接続位置が切り換わり、前進2速油路76が前進油路72に接続されて、前進2速クラッチ15が動力接続状態になるとともに、前進1速油路75が作動油タンク22に接続されて、前進1速クラッチ14が動力遮断状態になる。また、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続されるので、後進クラッチ16は動力遮断状態になる。
図10に示すように、減速逆転機8が後進状態のときは、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25が後進位置に切り換えられて、後進油路73が前後進切換弁25を介して作動油路71に接続され、後進クラッチ16が動力接続状態になる。また、前進1速油路75は、速比切換弁27、前進油路72及び前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続され、前進2速油路76は、速比切換弁27を介して作動油タンク22に接続されるので、前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15は、いずれも動力遮断状態になる。
このように、この実施形態の減速逆転機8は、2つの電磁弁(速比切換用電磁弁28とブレーキ解除用電磁弁30)と1つの速比切換弁27により、前進1速と前進2速の切換作動及び中立ブレーキ31の作動を制御できる。そして、速比切換弁ブロック29に取り付けられる電磁弁28,30の数、及び速比切換弁ブロック29内の速比切換弁27の数が少ないので、速比切換弁ブロック29内の油路を簡素な構成で形成できるとともに、速比切換弁ブロック29のサイズを小型化でき、中立ブレーキ31の搭載による製造コストの増加を抑制できる。また、速比切換弁ブロック29のサイズの小型化により、減速逆転機8全体の小型化も実現できる。
上述のように、ハウジング9の背面下部には出力軸13を回転可能に軸支している。ハウジング9の背面下部のうち出力軸13の一側方に、中立ブレーキ31を取り付けている。ハウジング9の上面側には潤滑油クーラー37を取り付けている。ハウジング9の背面上部、すなわちハウジング9背面側のうち出力軸13の上方には、油圧回路20を形成した油路ブロック18を取り付けている。油路ブロック18の背面側に作動油ポンプ21を取り付けている。油路ブロック18背面側のうち作動油ポンプ21の上方には、速比切換弁27が組み込まれた速比切換弁ブロック29を取り付けている。速比切換弁ブロック29の上面に、速比切換用電磁弁28とブレーキ解除用電磁弁30を左右横方向に並べて取り付けている。油路ブロック18の上面側には、前後進切換弁25を取り付けている。実施形態では、前後進切換弁25は速比切換弁ブロック29の上方に位置している。
上記の記載並びに図2〜図6から明らかなように、減速逆転機8は、船舶1に搭載した主機関7の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構17と、前後進切換機構17からの出力をプロペラ5に伝達する出力軸13と、前後進切換機構17の中立時に出力軸13を制動させる中立ブレーキ31とを備え、前後進切換機構17の前進出力を前進2速式に構成し、上記前進出力を前進1速と前進2速とに切り換える速比切換弁27の切換作動を単一の速比切換用電磁弁28により制御し、中立時に制動作動する中立ブレーキ31をブレーキ解除用電磁弁30により解除作動可能に構成している。これにより、減速逆転機8は、前進2速式の構成でありながら、少ない電磁弁の数及び簡素な油路構成で、前進1速と前進2速の切換作動及び中立ブレーキ31の作動を制御できるとともに、中立ブレーキ31の解除機能の搭載による製造コストの増加を抑制できる。
また、減速逆転機8では、前後進切換機構17を収容するハウジング9に配置される速比切換弁ブロック29内に速比切換弁27を設けるとともに、速比切換弁ブロック29に速比切換用電磁弁28及びブレーキ解除用電磁弁30を取り付け、速比切換弁ブロック29内で、速比切換用電磁弁28が、作動油が供給される速比切換パイロット油路77を速比切換弁27につながる前進1速パイロット油路78又は前進2速パイロット油路79に接続して速比切換弁27を切換作動させ、速比切換弁27が、作動油が供給される前進油路72を前進1速クラッチ14へ向かう前進1速油路75又は前進2速クラッチ15へ向かう前進2速油路76に接続し、ブレーキ解除用電磁弁30が、作動油が供給される中立油路74を中立ブレーキ31へ向かうブレーキ油路80に接続し又は閉止するので、両電磁弁28,30を単一の速比切換弁ブロック29に設けることで油圧配管を少なくして油路構造の集約化及びコンパクト化を図れるとともに、油圧系統の部品点数を少なくして組立作業工数の抑制に寄与する。また、単一の速比切換用電磁弁28で前進1速と前進2速の切換作動を制御するので、速比切換弁ブロック29内の油路構成を簡素にでき、速比切換弁ブロック29をコンパクト化できるとともに、速比切換弁ブロック29の製造コストを低減でき、ひいては減速逆転機8全体のコンパクト化及び製造コスト低減を図れる。また、速比切換弁ブロック29に速比切換用電磁弁28及びブレーキ解除用電磁弁30の両方を取り付けることで、両電磁弁群28,30及びその周辺の清掃や整備といったメンテナンス性の向上にも寄与する。
また、ハウジング9のうち出力軸13よりも上方に油路ブロック18を配置するとともに、油路ブロック18のうち出力軸13よりも作動油ポンプ21を配置し、作動油ポンプ21の上方に速比切換弁ブロック29を配置し、速比切換弁ブロック29の上方に前後進切換弁25を配置しているので、前記作動油ポンプ21から速比切換弁ブロック29及び前後進切換弁25までの油路構造をコンパクトにできる。
また、油路ブロック18に、速比切換弁27、速比切換電磁弁28及びブレーキ解除用電磁弁30を組み付けた速比切換弁ブロック29と、作動油ポンプ21と、前後進切換弁25を取り付けているから、作動油ポンプ21から各油圧装置25,27,28,30への油圧配管構造を油路ブロック18によって集約化できる。すなわち、減速逆転機8において油圧系統全体としての構造を簡素化できる。そして、減速逆転機8を製造するに当たって、油圧系統の組み付け工数を大幅に低減できる。
次に、図11〜図15を参照しながら、減速逆転機8の他の実施形態について説明する。この実施形態の油圧回路構成は、図11に示すように、図6に示した油圧回路と比較して、速比切換弁ブロック29内に組み込まれる速比切換弁の数と、速比切換弁ブロック29内の油路構成が異なっている。この実施形態のその他の構成は、図1から図10を参照して説明した上記実施形態と同じである。
この実施形態の減速逆転機8は、速比切換弁ブロック29内に、前進1速用速比切換弁27aと、前進2速用速比切換弁27bを備える。前進1速用速比切換弁27aは前進1速油路75を前進油路72又は作動油タンク22に切り換えて接続する。前進2速用速比切換弁27bは前進2速油路76を前進油路72又は作動油タンク22に切り換えて接続する。前後進切換弁25からの前進油路72は速比切換弁ブロック29内で2本に分岐されている。速比切換用電磁弁28からの前進1速パイロット油路78は、2本に分岐されて、前進1速用速比切換弁27aのスプール一端及び前進2速用速比切換弁27bのスプール一端に接続される。速比切換用電磁弁28からの前進2速パイロット油路79は、2本に分岐されて、前進1速用速比切換弁27aのスプール他端及び前進2速用速比切換弁27bのスプール他端に接続される。
図12に示すように、減速逆転機8が中立状態のときは、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25が中立位置に切り換えられ、作動油路71が前後進切換弁25を介して中立油路74に接続される。また、ブレーキ解除用電磁弁30の制御により、中立油路74がブレーキ油路80又は閉路81に切り換えて接続されて、中立ブレーキ31が制動作動又は解除作動する。中立状態において、速比切換用電磁弁28の電磁ソレノイドは消磁状態であり、速比切換用電磁弁28は、前進1速パイロット油路78を速比切換パイロット油路77に接続するとともに、前進2速パイロット油路79を作動油タンク22に接続する。前進1速油路75は、前進1速用速比切換弁27a、前進油路72及び前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続され、前進2速油路76は、前進2速用速比切換弁27bを介して作動油タンク22に接続され、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続される。これにより、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は、いずれも動力遮断状態になる。
図13に示すように、減速逆転機8が前進1速状態のときは、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25が前進位置に切り換えられて、前進油路72が作動油路71に接続される。速比切換用電磁弁28、前進1速用速比切換弁27a及び前進2速用速比切換弁27bの接続位置は、図12の中立状態時と同じである。前進1速油路75が前進1速用速比切換弁27a、前進油路72、前後進切換弁25及び作動油路71を介して作動油ポンプ21に接続され、前進1速油路75に作動油が供給されて、前進1速クラッチ14が動力接続状態になる。このとき、前進2速油路76は、前進2速用速比切換弁27bを介して作動油タンク22に接続され、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続されるので、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は、いずれも動力遮断状態になる。
図14に示すように、減速逆転機8が前進2速状態のときは、図13に示す前進1速状態から、速比切換用電磁弁28の電磁ソレノイドが励磁されて、速比切換用電磁弁28の接続位置が切り換わり、前進2速パイロット油路79が速比切換パイロット油路77に接続されるとともに、前進1速パイロット油路78が作動油タンク22に接続される。これにより、前進1速用速比切換弁27aの接続位置及び前進2速用速比切換弁27bの接続位置がそれぞれ切り換わる。前進2速用速比切換弁27bが前進2速油路76を前進油路72に接続して、前進2速クラッチ15が動力接続状態になるとともに、前進1速用速比切換弁27aが前進1速油路75を作動油タンク22に接続して、前進1速クラッチ14が動力遮断状態になる。また、後進油路73は前後進切換弁25を介して作動油タンク22に接続されるので、後進クラッチ16は動力遮断状態になる。
図15に示すように、減速逆転機8が後進状態のときは、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25が後進位置に切り換えられて、後進油路73が前後進切換弁25を介して作動油路71に接続され、後進クラッチ16が動力接続状態になる。また、前進1速油路75と前進2速油路76は、図12に示した中立状態時と同様にして、それぞれ作動油タンク22に接続されるので、前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15は、いずれも動力遮断状態になる。
このように、この実施形態の減速逆転機8は、2つの電磁弁(速比切換用電磁弁28とブレーキ解除用電磁弁30)と2つの速比切換弁(前進1速用速比切換弁27aと前進2速用速比切換弁27b)により、前進1速と前進2速の切換作動及び中立ブレーキ31の作動を制御できる。そして、速比切換弁ブロック29に取り付けられる電磁弁28,30の数、及び速比切換弁ブロック29内の速比切換弁27a,27bの数が少ないので、速比切換弁ブロック29内の油路を簡素な構成で形成できるとともに、速比切換弁ブロック29のサイズを小型化でき、中立ブレーキ31の搭載による製造コストの増加を抑制できる。また、速比切換弁ブロック29のサイズの小型化により、減速逆転機8全体の小型化も実現できる。また、この実施形態の減速逆転機8は、図2〜図10を参照して説明した上記実施形態の減速逆転機8と同様の上記作用及び効果を得られる。
次に、図16及び図17を参照しながら、中立ブレーキ制御を実行する構造並びにその制御態様の一例について説明する。図16には、プレジャーボート1に搭載したコントローラ50の機能ブロック図を示している。コントローラ50は、主としてエンジン7や減速逆転機8の作動全般の制御を司るものであり、詳細な図示は省略するが、各種演算処理や制御を実行するCPUのほか、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、及び入出力インターフェイス等を備えている。
コントローラ50の入力側には、前後進切換機構17の中立状態を検出する中立スイッチ51、出力軸13の回転速度を検出する回転速度検出センサ52等を電気的に接続している。また、コントローラ50の出力側には、ブレーキ解除用電磁弁30の制動電磁ソレノイド53等を電気的に接続している。実施形態の中立スイッチ51は、前後進切換弁25が中立位置か否かを検出することによって、前後進切換機構17の中立状態(全てのクラッチ14〜16が切りの状態)を検出する構成になっている。
コントローラ50は、中立スイッチ51及び回転速度検出センサ52の検出情報に基づいて、中立ブレーキ31を制動状態と解除状態とに切り換えるように構成している。また、コントローラ50は、出力軸13の回転速度が所定の下限回転速度を上回るときに中立ブレーキ31を解除状態にするとともに、出力軸13の回転速度の上昇時と下降時とで、上記下限回転速度を異ならせる。例えば、出力軸13の回転速度上昇時に適用される第1下限回転速度RL1は、出力軸13の回転速度下降時に適用される第2下限回転速度RL2よりも高い値に設定される。
すなわち、図17のフローチャートに示すように、コントローラ50は、中立スイッチ51がオン(前後進切換機構17が中立状態)であるとき(S01:YES)、出力軸13の回転速度が上昇中か下降中かを判定する(S02)。そして、コントローラ50は、出力軸13の回転速度の上昇時には(S02:YES)、出力軸13の回転速度が第1下限回転速度RL1以下であると(下回る場合、S03:YES)、制動電磁ソレノイド53を励磁させてブレーキ解除用電磁弁30を開放状態とし、前後進切換弁25からブレーキ解除用電磁弁30経由で中立ブレーキ31に作動油を供給して中立ブレーキ31を制動作動させる(S05)。また、コントローラ50は、出力軸13の回転速度の下降時には(S02:NO)、出力軸13の回転速度が第2下限回転速度RL2以下であると(下回る場合、S04:YES)、中立ブレーキ31を制動作動させる(S05)。
また、コントローラ50は、中立スイッチ51がオン(S01:YES)であるが、出力軸13の回転速度が第1下限回転速度RL1又は第2下限回転速度RL2を超えると(上回る場合、S03:NO、又はS04:NO)、制動電磁ソレノイド53を消磁させてブレーキ解除用電磁弁30を閉止状態とし、中立ブレーキ31への作動油供給を停止して中立ブレーキ31を解除作動させる(S06)。コントローラ50は、中立スイッチ51がオフ(前後進切換機構17が中立以外の状態)ならば(S01:NO)、制動電磁ソレノイド53を消磁させてブレーキ解除用電磁弁30を閉止状態とし、中立ブレーキ31への作動油供給を停止して中立ブレーキ31を解除作動させる(S06)。なお、基準値である下限回転速度RL自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態では下回る側に含めている。
上記のように制御すると、例えば2機2軸使用船での片肺運転時や、中立状態での曳航時、全速航行から中立状態にした時、ネットローラなどを使用した揚網時、油圧モータなどを使用して延縄などを巻き揚げる時など、プロペラ5が第1下限回転速度RL1又は第2下限回転速度RL2を上回る速度で遊転したとしても、中立ブレーキ31への作動油供給を速やかに停止して中立ブレーキを解除状態にできる。従って、プロペラ5の高速遊転に起因して中立ブレーキ31に過剰な負荷がかかるおそれがなく、中立ブレーキ31の損傷を確実に防止できる。
また、この実施形態では、出力軸13(プロペラ5)の回転速度上昇時と、回転速度下降時とで、下限回転速度を異ならせている。例えば曳航の開始後や、揚網の開始後など、中立状態時にプロペラ5の遊転速度が時間経過とともに上昇するときには、第1下限回転速度RL1を高め(例えば60回転毎分)に設定する。また、例えば全速航行から中立状態にした時など、中立状態時にプロペラ5の遊転速度が時間経過とともに下降するときには、第2下限回転速度RL2を低め(例えば50回転毎分)に設定する。これにより、出力軸13の回転速度上昇時には、出力軸13の回転速度が高めの第1下限回転速度RL1に到達するまでの間、プロペラ5の連れ回りによる意図しない船舶の移動を防止でき、出力軸13の回転速度下降時には、出力軸13の回転速度が高い状態での中立ブレーキ31の作動を確実に防止して中立ブレーキ31の損傷を防止できる。なお、出力軸13の回転速度上昇時の第1下限回転速度RL1は、回転速度下降時の第2下限回転速度RL2に比べて、低くてもよい。
次に、図18及び図19を参照しながら、中立ブレーキ制御を実行する構造並びにその制御態様の他の例について説明する。図18に示すように、コントローラ50の入力側には、中立ブレーキ31を手動操作で解除するための中立ブレーキ解除スイッチ54と、船舶1に搭載される巻き上げ機などの作業機の作業用モータ57の入り切りを切り換える作業機スイッチ55を電気的にさらに接続している。また、作業用モータ57のモータ駆動回路56を電気的にさらに接続している。
コントローラ50は、中立ブレーキ解除スイッチ54の入り切りや、作業機スイッチ55の入り切りに基づいても、中立ブレーキ31を制動状態と解除状態とに切り換えるように構成している。すなわち、図19のフローチャートに示すように、コントローラ50は、中立スイッチ51がオンであり(S01:YES)、出力軸13の回転速度の上昇時(S02:YES)に出力軸13の回転速度が第1下限回転速度RL以下であり(S03:YES)、又は出力軸13の回転速度の下降時(S02:NO)に出力軸13の回転速度が第2下限回転速度RL2以下であり(S04:YES)、中立ブレーキ解除スイッチ54が切り状態であり(S07:YES)、作業機スイッチ55が切り状態であると(S08:YES)、中立ブレーキ31を制動作動させる(S05)。
また、コントローラ50は、中立スイッチ51がオン(S01:YES)で、出力軸13の回転速度が第1下限回転速度RL1又は第2下限回転速度RL2以下であっても(S03:YES、又はS04:YES)、中立ブレーキ解除スイッチ54が入り操作されたときや(S03:NO)、作業機スイッチ55が入り操作されて作業用モータ57が作動しているときには(S04:YES)、制動電磁ソレノイド53を消磁させてブレーキ解除用電磁弁30を閉止状態とし、中立ブレーキ31への作動油供給を停止して中立ブレーキ31を解除作動させる(S06)。これにより、搭乗者が意図的に中立ブレーキ31を解除したいときや、巻き上げ機等の作業機の作動により船舶1が網や縄などに引っ張られて移動してプロペラ5が遊転するときに、出力軸13の回転速度にかかわらず、中立ブレーキ31を解除作動させて、中立ブレーキ31の損傷を防止できる。
上記の記載並びに図2〜図6から明らかなように、減速逆転機8は、前後進切換機構17の中立状態を検出する中立スイッチ51と、出力軸13の回転速度を検出する回転速度検出センサ52と、中立スイッチ51及び回転速度検出センサ52の検出情報に基づき中立ブレーキ31を制動状態と解除状態とに切り換えるコントローラ50を備え、コントローラ50は、出力軸13の回転速度が所定の下限回転速度を上回るときにブレーキ解除用電磁弁30を閉止状態にして中立ブレーキ31を解除状態にするとともに、出力軸13の回転速度の上昇時と下降時とで、下限回転速度を異ならせるので、中立状態時にプロペラが高速遊転したとしても、中立ブレーキ31を解除状態にでき、中立ブレーキ31に過剰な負荷がかかるのを防止できるとともに、出力軸13の回転速度の上昇時と下降時とで異なる下限回転速度に応じて適切に中立ブレーキ31を解除状態にして、中立ブレーキ31の損傷や早期摩耗を確実に防止できる。
なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
1 プレジャーボート(船舶)
5 プロペラ
7 エンジン(主機関)
8 減速逆転機
13 出力軸
17 前後進切換機構
27 速比切換弁
28 速比切換用電磁弁
29 速比切換弁ブロック
30 ブレーキ解除用電磁弁
31 中立ブレーキ
50 コントローラ
51 中立スイッチ
52 回転速度検出センサ
72 前進油路
74 中立油路
78 前進1速パイロット油路
79 前進2速パイロット油路
80 ブレーキ油路

Claims (2)

  1. 船舶に搭載した主機関の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構と、前記前後進切換機構からの出力をプロペラに伝達する出力軸と、前記前後進切換機構の中立時に前記出力軸を制動させる中立ブレーキとを備える減速逆転機において、
    前記前後進切換機構の前進出力を前進2速式に構成し、
    前記前進出力を前進1速と前進2速とに切り換える速比切換弁の切換作動を単一の速比切換用電磁弁により制御し、中立時に制動作動する前記中立ブレーキをブレーキ解除用電磁弁により解除作動可能に構成し
    前記速比切換用電磁弁は、作動油が供給される速比切換パイロット油路を前記速比切換弁につながる前進1速パイロット油路又は前進2速パイロット油路に接続して前記速比切換弁を切換作動させ、前記速比切換弁は、作動油が供給される前進油路を前進1速クラッチへ向かう前進1速油路又は前進2速クラッチへ向かう前進2速油路に接続し、前記ブレーキ解除用電磁弁は、作動油が供給される中立油路を前記中立ブレーキへ向かうブレーキ油路に接続し又は閉止するように構成している、
    減速逆転機。
  2. 前記前後進切換機構の中立状態を検出する中立スイッチと、前記出力軸の回転速度を検出する回転速度検出センサと、前記中立スイッチ及び前記回転速度検出センサの検出情報に基づき前記中立ブレーキを制動状態と解除状態とに切り換えるコントローラを備え、
    前記コントローラは、前記出力軸の回転速度が所定の下限回転速度を上回るときに前記ブレーキ解除用電磁弁を閉止状態にして前記中立ブレーキを解除状態にするとともに、前記出力軸の回転速度の上昇時と下降時とで、前記下限回転速度を異ならせる、
    請求項1に記載の減速逆転機。
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