JP2019026184A - 船舶における中立ブレーキ装置 - Google Patents

船舶における中立ブレーキ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】中立ブレーキ装置の損傷をできるだけ簡単な構成で防止できるようにする。
【解決手段】中立ブレーキ装置は、船舶推進用のプロペラ5を回転させる回転軸13への動力伝達が遮断される中立時に、前記回転軸13を制動させるものである。前記回転軸13の回転によって駆動する油圧ポンプ31を備える。前記中立時には、前記油圧ポンプ31に生じさせる負荷によって前記回転軸13を制動させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、船舶推進用のプロペラを回転させる回転軸への動力伝達が遮断される中立時に、前記回転軸を制動させる中立ブレーキ装置に関するものである。
漁船やプレジャーボートといった船舶において、減速逆転機の油圧クラッチを動力遮断状態にして中立に保持しただけでは、油圧クラッチの摩擦板部にある作動油によって出力軸ひいてはプロペラが連れ回りする不都合がある。この点、従来は、中立時に出力軸を制動させる摩擦板式の中立ブレーキを設けることによって、中立時における出力軸及びプロペラの連れ回りを防止している(例えば特許文献1等参照)。
特開平6−34044号公報
ところで、この種の船舶では、例えば惰行航行したり網巻き上げのために曳航したりした場合に、周囲の水流によってプロペラひいては出力軸が回転(遊転)してしまうことがある。中立ブレーキのブレーキ容量は一般に、作動油に起因したプロペラの連れ回りを抑制する程度のトルクに対応して設定されるため、プロペラの遊転に対して中立ブレーキで出力軸を制動させていたとしても、プロペラひいては出力軸の遊転力を中立ブレーキが抑制し切れず、中立ブレーキに過剰な負荷がかかって損傷や焼き付きを生じ易いという問題があった。
本発明は、上記のような現状を検討して改善を施した船舶における中立ブレーキ装置を提供することを技術的課題としている。
本発明は、船舶推進用のプロペラを回転させる回転軸への動力伝達が遮断される中立時に、前記回転軸を制動させる中立ブレーキ装置であって、前記回転軸の回転によって駆動する油圧ポンプを備え、前記中立時には、前記油圧ポンプに生じさせる負荷によって前記回転軸を制動させるというものである。
本発明に係る船舶における中立ブレーキ装置において、前記油圧ポンプの吐出側に設けたブレーキ油路を開閉するブレーキ弁と、前記ブレーキ弁を迂回させるオーバーロードリリーフ弁とを備え、前記回転軸の回転負荷が過負荷になると、前記オーバーロードリリーフ弁が開弁して前記ブレーキ油路を流通可能な状態にするようにしてもよい。
本発明に係る船舶における中立ブレーキ装置において、船舶に搭載した主機関の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構を備え、前記油圧ポンプによって吸い上げた作動油を、前記前後進切換機構の潤滑油として供給するようにしてもよい。
本発明に係る船舶における中立ブレーキ装置によると、船舶推進用のプロペラを回転させる回転軸への動力伝達が遮断される中立時に、前記回転軸を制動させる中立ブレーキ装置であって、前記回転軸の回転によって駆動する油圧ポンプを備え、前記中立時には、前記油圧ポンプに生じさせる負荷によって前記回転軸を制動させるから、前記プロペラの高速遊転に起因して前記油圧ポンプに過剰な負荷がかかるおそれがなく、惰行航行時や網巻き上げの曳航時等において、極めて簡単な構成で前記油圧ポンプの損傷を確実に防止できる。摩擦板式の中立ブレーキではないから、摩擦板が損傷したり焼き付いたりする面倒な不具合は一切生じない。
中立ブレーキ装置を備えた漁船の概略側面図である。 油圧回路の一例を示す説明図である。 油圧回路の別例を示す説明図である。
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図3)に基づいて説明する。図1に示すように、船舶である漁船1は、船体2と、船体2の上面中央側に配置したキャビン3と、船体2の船底後尾側に設けた舵4と、船体2の船底後尾側のうち舵4の前方に配置したプロペラ5とを備えている。キャビン3内は操縦部に構成している。キャビン3内には、船体2の進行方向を左右に変更させる操舵ハンドル(図示省略)や、船体2の進行方向を前進と後進とに切換操作する前後進レバー26(図2参照)等を設けている。
船体2の船底後尾側には、プロペラ5を回転させる推進軸6を軸支している。推進軸6の突出端側にプロペラ5を取り付けている。船体2内には、プロペラ5の駆動源である主機関としてのエンジン7と、エンジン7の回転動力を推進軸6経由でプロペラ5に伝達する減速逆転機8とを設けている。エンジン7から減速逆転機8を介して推進軸6に伝わった回転動力によってプロペラ5が回転する。
図2に示すように、減速逆転機8(図1参照)には、エンジン7のフライホイル(図示省略)にダンパー継手(図示省略)を介して連結される入力軸(図示省略)と、カップリング12を介して推進軸6に連結される出力軸13とを、互いに逆向きに突き出すように設けている。入力軸は減速逆転機8の正面上部に回転可能に軸支している。出力軸13は減速逆転機8の背面下部に回転可能に軸支している。減速逆転機8内には、入力軸から出力軸13に向かう正転(前進)方向の動力伝達を継断する前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15と、入力軸から出力軸13に向かう逆転(後進)方向の動力伝達を継断する後進クラッチ16とを収容している。前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16の組合せが前後進切換機構17を構成している。従って、前後進切換機構17の前進出力は2速式になっている。出力軸13と推進軸6とは、プロペラ5を回転させる回転軸を構成している。なお、前記回転軸は、実施形態のように複数に分離構成していてもよいし、1本のものであってもよい。
減速逆転機8は、標準速度の前進1速、これよりも大減速の前進2速並びに後進速を有していて、その動力伝達を司る前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16は湿式多板型の油圧摩擦クラッチである。作動油圧で各クラッチ14〜16の摩擦板を圧接させることによって、入力軸と出力軸13とが動力伝達可能に連結される。すなわち、前進1速クラッチ14若しくは前進2速クラッチ15を接続し後進クラッチ16を遮断することによって、入力軸の回転動力を正転(前進)方向の出力として出力軸13に伝達する前進状態になる。前進1速クラッチ14及び前進2速クラッチ15を遮断し後進クラッチ16を接続することによって、入力軸の回転動力を逆転(後進)方向の出力として出力軸13に伝達する後進状態になる。そして、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16の全てを遮断することによって、出力軸13に動力伝達しない中立状態になる。作動油圧で各クラッチ14〜16の摩擦板の圧接程度を加減させてスリップ係合(半クラッチ係合)させれば、入力軸の回転動力の一部が出力軸13に伝わり、出力軸13ひいては推進軸6に設けたプロペラ5が低回転する微速走行の状態になる。
次に、図2を参照しながら、減速逆転機8の油圧回路20の構造について説明する。減速逆転機8の油圧回路20は、エンジン7の回転動力で駆動する作動油ポンプ21を備えている。作動油ポンプ21は、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16等に作動油を供給するものである。作動油ポンプ21の吸入側は、作動油こし器23を介して作動油タンク22に接続している。実施形態では、減速逆転機8内に作動油を貯留していて、減速逆転機8が作動油タンク22としても機能している。
作動油ポンプ21の吐出側に接続した作動油路51は、前進位置F、中立位置N及び後進位置Rの3位置切換式に構成された前後進切換弁25を介して、速比切換弁27a,27bに向かう前進油路52と、後進クラッチ16に向かう後進油路53と、後述するブレーキ弁30をパイロット圧で閉止位置に切換作動させる中立パイロット油路54とに接続している。前後進切換弁25は前後進切換機構17の切換作動を制御する。すなわち前後進切換弁25は、前後進レバー26の切換操作によって、前進1速クラッチ14又は前進2速クラッチ15に作動油を供給する前進位置Fと、後進クラッチ16に作動油を供給する後進位置Rと、クラッチ14〜16群全てへの作動油の供給を停止する中立位置Nとの3位置に切換可能に構成している。中立パイロット油路54に対して、前後進切換弁25は、中立位置Nのときにパイロット圧を供給し、前進位置F又は後進位置Rのときにパイロット圧を排出する。
前進油路52には、前進1速用速比切換弁27aを介して前進1速クラッチ14に向かう前進1速油路55と、前進2速用速比切換弁27bを介して前進2速クラッチ15に向かう前進2速油路56とを接続している。各速比切換弁27a,27bは、油圧パイロット式の4ポート2位置の切換弁である。作動油路51のうち作動油ポンプ21と前後進切換弁25との間からは、前進1速切換電磁弁28a及び前進2速切換電磁弁28bに向かう速比切換パイロット油路57を分岐させている。
速比切換パイロット油路57には、前進1速切換電磁弁28aを介して前進1速用速比切換弁27aをパイロット圧で2位置に切換作動させる前進1速パイロット油路58と、前進2速切換電磁弁28bを介して前進2速用速比切換弁27bをパイロット圧で2位置に切換作動させる前進2速パイロット油路59とを接続している。前後進切換弁25及び切換電磁弁28a,28bの切換作動の組合せによって、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15、後進クラッチ16又は後述するブレーキ弁30のいずれかに選択的に作動油が供給される。
また、作動油路51のうち作動油ポンプ21と速比切換パイロット油路57への分岐部との間からは、前後進切換機構17(各クラッチ14〜16)に潤滑油としての作動油を注油する潤滑油路35を延出させている。潤滑油路35には、上流側から順に、油圧保持用のリリーフ弁である作動油圧調整弁36と、作動油(潤滑油)を冷却する潤滑油クーラー37と、潤滑油圧調整弁38と、潤滑油こし器39とを設けている。作動油圧調整弁36を通過した後の作動油は、潤滑油クーラー37を通過して潤滑油圧調整弁38で低圧にした状態で、潤滑油こし器39を介して、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15及び後進クラッチ16に潤滑油として供給される。所定圧以上の不要な作動油は、潤滑油圧調整弁38から作動油タンク22に戻される。
作動油圧調整弁36には、これを用いて前進切換時又は後進切換時のクラッチ接続によるショックを緩和させる緩嵌入弁40を設けている。緩嵌入弁40は、作動油路51から前後進切換弁25を介して導入される背圧によって前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15又は後進クラッチ16への作動油圧を徐々に上昇させ、前進又は後進切換時のクラッチ接続によるショックを緩和させるものである。なお、作動油圧調整弁36と並列して作動油路51と潤滑油路35とをつなぐ迂回油路42には、安全弁43を設けている。
緩嵌入弁40の作用をおおまかに説明する。前後進切換弁25が中立位置Nのとき、緩嵌入弁40の背室はドレンされていて、作動油圧調整弁36はリリーフばね41で圧縮されずに低圧力設定状態で開弁している。前後進切換弁25を前進位置F又は後進位置Rに切換駆動させると、オリフィス及び前後進切換弁25経由で作動油が緩嵌入弁40に緩慢に流入し、緩嵌入弁40が徐々にリリーフばね41を圧縮することによって、作動油圧調整弁36は漸増的に高圧力設定状態に移行し、所定のクラッチ作動圧力に到達すると閉弁状態に至る。このため、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15又は後進クラッチ16の作動油圧が徐々に増大し、前進1速クラッチ14、前進2速クラッチ15若しくは後進クラッチ16を徐々に接続状態(係合状態)にする。その結果、各クラッチ14〜16接続時のショックが緩和されることになる。
減速逆転機8には、主たる油圧回路20とは別にブレーキ油路29を備えている。ブレーキ油路29の中途部には、出力軸13の回転によって駆動する中立ブレーキ装置としての油圧ポンプ31を設けている。油圧ポンプ31のポンプ軸34に取り付けたブレーキギヤ33を、出力軸13に固定した出力ギヤ32に常時噛み合わせている。前後進切換機構17(クラッチ14〜16群及び前後進切換弁25)の中立時は後述するブレーキ弁30がブレーキ油路29を閉じる方向に切り換えるので、油圧ポンプ31に作用する油圧負荷が制動作用することによってブレーキギヤ33の回転が阻止され、出力ギヤ32ひいては出力軸13の回転が阻止される。つまり、中立時は原則的に、油圧ポンプ31の存在によって出力軸13が制動され、推進軸6ひいてはプロペラ5にブレーキがかかるのである。なお、実施形態の油圧ポンプ31は、ポンプ軸34の回転方向に拘らず作動油が一定方向に流れるタイプのものを採用している。
ブレーキ油路29のうち油圧ポンプ31の吸入側は、オイルフィルタ45を介して作動油タンク22に接続している。ブレーキ油路29のうち油圧ポンプ31の吐出側は、ブレーキ弁30を介して潤滑油路35(より詳しくは、迂回油路42との合流部と潤滑油クーラー37との間)に接続している。ブレーキ弁30は、油圧パイロット式の2ポート2位置の切換弁である。ブレーキ弁30は、前後進切換弁25が中立位置Nのとき、中立パイロット油路54からのパイロット圧によって閉弁し、前後進切換弁25が中立位置N以外のとき、復帰ばねの弾性復元力によって開弁する。油圧ポンプ31から吐出された作動油は、ブレーキ弁30を介して潤滑油路35に供給される。
ブレーキ油路29には、ブレーキ弁30を迂回する逃がし油路46を接続している。逃がし油路46の中途部には、ブレーキ油路29のうちブレーキ弁30の上流側が高圧(過負荷)になると潤滑油路35方向に作動油を逃がすオーバーロードリリーフ弁47を設けている。前後進切換機構17(クラッチ14〜16群及び前後進切換弁25)の中立時に出力軸13が所定負荷以上で遊転すると、ブレーキ油路29のうちブレーキ弁30の上流側が所定の駆動開始圧力(過負荷)に到達する。そうすると、オーバーロードリリーフ弁47が開弁して作動油を潤滑油路35方向に逃がす。その結果、出力軸13の回転に伴い油圧ポンプ31が回転駆動する。つまり、中立時に出力軸13が所定負荷以上で遊転すると、油圧ポンプ31による出力軸13の制動作用が解除され、推進軸6ひいてはプロペラ5の回転が許容されるトルクリミッタとしての機能を付与している。油圧ポンプ31が吸い上げた作動油は、潤滑油路35へ供給され、クラッチ14〜16群を潤滑する。
以上の構成において、前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25を中立位置Nに切り換えると、作動油路51と中立パイロット油路54とが前後進切換弁25を介して連通し、ブレーキ弁30が中立パイロット油路54のパイロット圧で閉弁する。プロペラ5ひいては出力軸13からの回転負荷が所定負荷未満(停止状態を含む)であれば、油圧ポンプ31が回転駆動できない状態であるため、ブレーキギヤ33及び出力ギヤ32を介して出力軸13が制動され、結果的に、推進軸6ひいてはプロペラ5にブレーキがかかる。
前後進切換弁25が中立位置Nにある場合において、例えば惰行航行したり網巻き上げのために曳航したりして、周囲の水流によってプロペラ5ひいては出力軸13の回転負荷が所定負荷以上になれば、ブレーキ油路29のうちブレーキ弁30の上流側が過負荷になるため、オーバーロードリリーフ弁47が開弁して作動油を潤滑油路35方向に逃がし、油圧ポンプ31による出力軸13の制動作用が自動的に解除される。その結果、出力軸13の回転に伴い油圧ポンプ31が回転駆動すると共に、推進軸6ひいてはプロペラ5の回転が許容される。油圧ポンプ31が吸い上げた作動油は潤滑油路35へ供給され、クラッチ14〜16群を潤滑する。
前後進レバー26の切換操作によって前後進切換弁25を中立位置N以外に切り換えると、中立パイロット油路54のパイロット圧が前後進切換弁25を介して作動油タンク22に向けて排出され、ブレーキ弁30が開弁する。油圧ポンプ31が回転駆動可能な状態であるため、油圧ポンプ31によって制動されることなく出力軸13が回転駆動でき、推進軸6ひいてはプロペラ5の回転が許容される。この場合も、油圧ポンプ31が吸い上げた作動油は潤滑油路35へ供給され、クラッチ14〜16群を潤滑する。
以上の構成によると、中立ブレーキ装置として摩擦板式のものに代えて、油圧ポンプ31、油圧パイロット式のブレーキ弁30、ブレーキ弁30を迂回させるオーバーロードリリーフ弁47の組合せを採用しているから、出力軸13への動力伝達が遮断される中立時は、ブレーキ弁30を閉弁して油圧ポンプ31を回転駆動不能な状態にするだけで、出力軸13を制動でき、ひいてはプロペラ5にブレーキをかけられる。
その上、例えば中立状態での揚網時や、全速航行から中立状態にした時など、周囲の水流によってプロペラ5が高速で遊転するときは、オーバーロードリリーフ弁47が過負荷に応じて開弁して作動油を潤滑油路35方向に逃がし、油圧ポンプ31による出力軸13の制動作用を自動的に解除できる。従って、プロペラ5の高速遊転に起因して油圧ポンプ31に過剰な負荷がかかるおそれがなく、惰行航行時や網巻き上げの曳航時等において、極めて簡単な構成で油圧ポンプ31の損傷を確実に防止できる。摩擦板式の中立ブレーキではないから、摩擦板が損傷したり焼き付いたりする面倒な不具合は一切生じないのである。
しかも、油圧ポンプ31からの作動油はクラッチ14〜16群を潤滑するから、油圧ポンプ31、ブレーキ弁30、オーバーロードリリーフ弁47の組合せによって、中立ブレーキとしての機能と、クラッチ14〜16群に潤滑油を供給する機能との両方を兼ね備えることができる。また、中立ブレーキ装置を機能させるのにオペレータがいちいちオンオフ操作等をする必要が一切なく、操作性の点でも良好である。さらに、エンジン7の始動直後等に前後進レバー26を中立にしておけば、それだけで自動的にプロペラ5の連れ回りを防止でき、意図しない漁船1の移動を抑制できる。
なお、本発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、実施形態の油圧ポンプ31は、ポンプ軸34の回転方向に拘らず作動油が一定方向に流れるタイプのものを採用したが、これに限らず、正逆回転可能な油圧ポンプ48を採用してもよい。この場合、図3に示すように、油圧ポンプ48が一方に回転するときは連通するが他方に回転するときは閉止する互いに逆関係の対の油路49,50を形成しておけば、先の実施形態と同様の作用効果が得られる。油圧ポンプの種類も特に問わない。
また、油圧ポンプ31,48の容量を増減させたり個数を増減させたりすれば駆動負荷を増減できるので、プロペラ5ひいては出力軸13の連れ回りを許可する所定負荷の値を簡単に変更調節できる。また、オーバーロードリリーフ弁47のサイズ変更によっても、前記所定負荷の値を簡単に変更調節できる。本発明の中立ブレーキ装置は、減速逆転機を有する船内機に適用したものであったが、これに限らず、その他の船内機、船外内機、船外機等の他の推進機構のものにも適用できることは言うまでもない。
1 漁船(船舶)
5 プロペラ
6 推進軸
7 エンジン(主機関)
13 出力軸
29 中立ブレーキ油路
30 ブレーキ弁
31 油圧ポンプ(中立ブレーキ)
35 潤滑油路
46 逃がし油路
47 オーバーロードリリーフ弁

Claims (3)

  1. 船舶推進用のプロペラを回転させる回転軸への動力伝達が遮断される中立時に、前記回転軸を制動させる中立ブレーキ装置であって、
    前記回転軸の回転によって駆動する油圧ポンプを備え、前記中立時には、前記油圧ポンプに生じさせる負荷によって前記回転軸を制動させる、
    船舶における中立ブレーキ装置。
  2. 前記油圧ポンプの吐出側に設けたブレーキ油路を開閉するブレーキ弁と、前記ブレーキ弁を迂回させるオーバーロードリリーフ弁とを備え、前記回転軸の回転負荷が過負荷になると、前記オーバーロードリリーフ弁が開弁して前記ブレーキ油路を流通可能な状態にする、
    請求項1に記載した船舶における中立ブレーキ装置。
  3. 船舶に搭載した主機関の回転動力を前進、中立又は後進の出力に切り換える前後進切換機構を備え、前記油圧ポンプによって吸い上げた作動油を、前記前後進切換機構の潤滑油として供給する、
    請求項1又は2に記載した船舶における中立ブレーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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