JP6838313B2 - ポリアミド化合物 - Google Patents

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本発明は、ポリアミド化合物に関する。
地球温暖化防止や資源リスク低減の観点から石油系ポリマーに代わって、植物由来の化合物を出発原料としたポリマーが注目されている(例えば非特許文献1〜3参照)。
ところが、その代表的例のポリ乳酸は、植物由来の化合物であるが、耐熱性、耐加水分解性に課題がある。よって、ポリ乳酸のみでは、適用範囲が限られてしまう。
このような状況のもと、ポリ乳酸以外の植物由来の高性能ポリマーの開発が望まれている。
従来からポリアミド化合物として、ε‐カプロラクタムを重合したPA6を始め、ジカルボン酸とジアミンを重合したPA66、PA610、PA1010などが知られている。また、植物由来のポリアミド化合物であるPA11は11−アミノウンデカン酸の重合により得られている。
しかしながら、ε‐カプロラクタム、ジカルボン酸とジアミン、11-アミノウンデカンの重合により得られる従来のポリアミド化合物では、適用範囲が限定されるため、新規なポリアミド化合物の開発が望まれていた。
S. Chatti, M. Bortolussi, A. Loupy, J. C. Blais, D. Bogdal, M. Majdoub. Eur. Polym. J. 38, 1851 (2002). S. Chatti, H. R. Kricheldorf. G. Schwarz. J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem. 44, 3616 (2006). C. -H. Lee, H. Takagi, H. Okamoto, M. Kato. J. Appl. Polym. Sci. 127, 530 (2013).
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、新規なポリアミド化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術を鑑み、鋭意研究を重ねた結果、新規なポリアミド化合物を開発した。
そして、この新規なポリアミド化合物は、従来のポリアミド化合物とは異なる特性を有するという事実を見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
下記一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、
下記一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、
下記一般式(4)で表されるジアミン単位と、を含有することを特徴とするポリアミド化合物であることを要旨とする。
Figure 0006838313

(xは6〜12の整数を示し、yは8〜18の整数を示す。)
Figure 0006838313

(zは2〜18の整数を示す。)
Figure 0006838313

(pは1〜5の整数を示す。)
Figure 0006838313

Figure 0006838313
請求項2に記載の発明は、−50℃における貯蔵弾性率が、周波数5Hzで測定した場合に、1GPa以上である請求項1記載のポリアミド化合物である。
請求項3に記載の発明は、
エネルギー吸収特性を有する請求項1又は2に記載のポリアミド化合物である。
本発明のポリアミド化合物は、従来のポリアミド化合物と異なる特性を有する。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
〔1〕ポリアミド化合物
本発明のポリアミド化合物は、下記一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、下記一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、下記一般式(4)で表されるジアミン単位と、を含有する。
Figure 0006838313

(xは6〜12の整数を示し、yは8〜18の整数を示す。)
Figure 0006838313

(zは2〜18の整数を示す。)
Figure 0006838313

(pは1〜5の整数を示す。)
Figure 0006838313

Figure 0006838313
本発明のポリアミド化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の構成単位をさらに含んでいてもよい。
本発明のポリアミド化合物において、ジカルボン酸単位の含有量は、特に限定されない。ジカルボン酸単位の含有量は、通常、5〜50モル%であり、好ましくは20〜50モル%であり、更に好ましくは30〜50モル%である。
本発明のポリアミド化合物において、ジアミン単位の含有量は、特に限定されない。ジアミン単位の含有量は、通常、5〜50モル%であり、好ましくは20〜50モル%であり、更に好ましくは30〜50モル%である。
ジカルボン酸単位とジアミン単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±1モル%であることがより好ましい。
〔1−1〕ジカルボン酸単位
本発明のポリアミド化合物では、上述のように下記一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、下記一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、を含有する。
Figure 0006838313

(xは6〜12の整数を示し、yは8〜18の整数を示す。
xは8〜10の整数であることが好ましい。
yは9〜13の整数であることが好ましい。)
Figure 0006838313

(zは2〜18の整数を示す。
zは1〜8の整数であることが好ましい。)
Figure 0006838313

(pは1〜5の整数を示す。
pは1〜3の整数であることが好ましい。)
一般式(1)で表されるジカルボン酸単位として、以下の式に示す単位が特に好ましい。下記式に示す単位は、植物由来であり、地球温暖化防止や資源リスク低減の観点から好ましい。
Figure 0006838313
本発明のポリアミド化合物中のジカルボン酸単位の合計を100モル%とした場合に、上述の一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸単位の合計の含有量は特に限定されない。一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸単位を合計で30〜100モル%含むことが好ましく、50〜100モル%含むことが更に好ましく、70〜100モル%含むことが特に好ましい。一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸単位の含有量をこの範囲とすると、耐衝撃性等が優れるからである。
ポリアミド化合物において、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び/又は一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、のモル比は特に限定されない。
ポリアミド化合物が、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(2)で表されるジカルボン酸単位を含有する場合には、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位:一般式(2)で表されるジカルボン酸単位のモル比は99:1〜1:99であることが好ましく、90:10〜10:90であることが更に好ましく、60:40〜40:60であることが更に好ましい。
ポリアミド化合物が、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(3)で表されるジカルボン酸単位を含有する場合には、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位:一般式(3)で表されるジカルボン酸単位のモル比は99:1〜1:99であることが好ましく、90:10〜10:90であることが更に好ましく、60:40〜40:60であることが更に好ましい。
ポリアミド化合物が、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(2)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(3)で表されるジカルボン酸単位を含有する場合には、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位:一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び一般式(3)で表されるジカルボン酸単位の合計単位のモル比は99:1〜1:99であることが好ましく、90:10〜10:90であることが更に好ましく、60:40〜40:60であることが更に好ましい。
一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成しうる化合物は、特に限定されない。
例えば、ジカルボン酸化合物の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、および、テレフタル酸、イソフタル酸、1,3−ベンゼン二酢酸、1,4−ベンゼン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸を例示できる。また、これらのジカルボン酸化合物の誘導体を用いてもよい。誘導体としては、カルボン酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリアミド化合物中のジカルボン酸単位の合計を100モル%とした場合に、上述の一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸以外のジカルボン酸単位の含有量は特に限定されない。一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸以外のジカルボン酸単位の含有量は、50モル%未満であることが好ましく、20モル%未満であることが更に好ましく、10モル%未満であることが特に好ましい。一般式(1)(2)(3)で表されるジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位の含有量をこの範囲とすると、耐衝撃性等が向上するからである。
〔1−2〕ジアミン単位
本発明のポリアミド化合物中のジアミン単位には、少なくとも一般式(4)で表されるジアミン単位が含まれる。
Figure 0006838313

Figure 0006838313
本発明のポリアミド化合物中のジアミン単位の合計を100モル%とした場合に、上述の一般式(4)で表されるジアミン単位の含有量は特に限定されない。一般式(4)で表されるジアミン単位を5〜100モル%含むことが好ましく、20〜100モル%含むことが更に好ましく、30〜100モル%含むことが特に好ましい。一般式(4)で表されるジアミン酸単位の含有量をこの範囲とすると、耐衝撃性等が優れるからである。
ポリアミド化合物中に含有される可能性のあるくり返し単位には、次のジカルボン酸単位と、ジアミン単位の組み合わせがある。
〔A〕一般式(1)で表されるジカルボン酸単位及び一般式(4)で表されるジアミン単位の組み合わせ。
〔B〕一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び一般式(4)で表されるジアミン単位の組み合わせ。
〔3〕一般式(3)で表されるジカルボン酸単位及び一般式(4)で表されるジアミン単位の組み合わせ。
異種のくり返し単位が、ランダムにポリアミド化合物中に存在していてもよい。
また、同種のくり返し単位がブロック状になってポリアミド化合物中に存在していてもよい。
一般式(4)で表されるジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物は、特に限定されない。
例えば、一般式(4)で表されるジアミン単位以外のジアミンとしては、公知の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。
一般式(4)で表されるジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ペンタメチレンジアミンなどを挙げることができる。
脂環式ジアミンとして、例えば4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。
芳香族ジアミンとして、例えばo−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノーN,N―ジアリルアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,3−ビス(N−(4−アミノフェニル)ピペリジニル)プロパン、α−アミノ−ω−アミノフェニルアルキレンなどを挙げることができる。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリアミド化合物中のジアミン単位の合計を100モル%とした場合に、上述の一般式(4)で表されるジアミン以外のジアミン単位の含有量は特に限定されない。一般式(4)で表されるジアミン以外のジアミン単位の含有量は、50モル%未満であることが好ましく、30モル%未満であることが更に好ましく、10モル%未満であることが特に好ましい。一般式(4)で表されるジアミン単位以外のジアミン単位の含有量をこの範囲とすると、耐衝撃性等が向上するからである。
〔1−3〕ポリアミド化合物の重合度
本発明のポリアミド化合物の重合度は、特に制限がない。1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.01〜5.0の範囲、更に1.01〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
なお、相対粘度は、ポリアミド化合物1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
〔1−4〕ポリアミド化合物の特性
本発明のポリアミド化合物は、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位を含有している。このジカルボン酸単位は長鎖を有するから、配向しにくい傾向にある。一方、一般式(2)で表されるジカルボン酸単位、及び一般式(3)で表されるジカルボン酸単位は、配向し易い傾向にある。本発明のポリアミド化合物では、これらのジカルボン酸単位を組み合わせることで、曲げ特性等の種々の特性が良好であると考えられる。
本発明のポリアミド化合物の特徴は、エネルギー吸収性が高いことが挙げられる。また、他の特徴としては、耐吸水率が高いことが挙げられる。また、他の特徴としては、非結晶性(透明性)であることが挙げられる。
これらの特徴は、ε‐カプロラクタム、ジカルボン酸とジアミン、11-アミノウンデカンの重合により得られる従来のポリアミドにはない特徴である。
〔2〕ポリアミド化合物の製造方法
本発明のポリアミド化合物の製造方法は、下記一般式(5)で表される構造を有するジカルボン酸化合物と、下記一般式(6)で表される構造を有するジカルボン酸化合物及び/又は下記一般式(7)で表される構造を有するジカルボン酸化合物と、下記一般式(8)で表される構造を有するジアミン化合物と、を反応させることを特徴とする。
Figure 0006838313

(xは6〜12の整数を示し、yは8〜18の整数を示す。
xは8〜10の整数であることが好ましい。
yは9〜13の整数であることが好ましい。)
Figure 0006838313

(zは2〜18の整数を示す。
zは1〜8の整数であることが好ましい。)
Figure 0006838313

(pは1〜5の整数を示す。
pは1〜3の整数であることが好ましい。)
Figure 0006838313

Figure 0006838313
ジカルボン酸化合物としては、ジカルボン酸の他、ジカルボン酸のカルボキシル基の水酸基が他のヘテロ原子(炭素、水素、金属以外の原子)に置換したカルボン酸誘導体も用いることができる。カルボン酸誘導体としては、例えば、水酸基がハロゲンに代わったハロゲン化アシル(酸ハロゲン化物)が挙げられる。
本発明のポリアミド化合物は、ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分と、を重縮合させることで製造することができる。重縮合条件等を調整することで重合度を制御できる。
ポリアミド化合物を製造する方法は、特に限定されない。ポリアミド化合物を製造する方法としては、例えば、(1)酸または塩基触媒を利用する方法、(2)カルボン酸の活性法、(3)トランスエステル化を利用する方法、(4)縮合剤を利用する方法などが好適に用いられる。ここでは、好適な製造方法として、カルボン酸を活性化した酸クロリドを用いたポリアミド化合物の製造方法を例示する。
例えば、下記の製造スキームに沿って製造することができる。ここでは、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(2)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(4)で表されるジアミン単位とを含むポリアミド化合物の合成を例に挙げる。
この方法では、ジカルボン酸を活性化して酸クロリドとし、酸クロリドとジアミンとを反応させてポリアミド化合物としている。
Figure 0006838313
次に、一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、一般式(4)で表されるジアミン単位とを含むポリアミド化合物の合成を例に挙げる。
この方法では、ジカルボン酸を活性化して酸クロリドとし、酸クロリドとジアミンを反応させてポリアミド化合物としている。
Figure 0006838313

なお、ジカルボン酸を活性化して酸クロリドとしてからジアミンと反応させると、効率的に、ポリアミド化合物を製造することができる。
また、重縮合時に分子量調整剤としてモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。また、重縮合反応を抑制して所望の重合度とするために、ポリアミド化合物を構成するジアミン成分とカルボン酸成分との比率(モル比)を1からずらして調整してもよい。
上述の酸クロリド等のカルボン酸ジハライドとジアミンとの反応により脱ハロゲン化水素反応で重合する場合には、反応が急激に進行するため反応速度制御のため比較的低温で反応させることが好ましい。
例えば、−10℃〜100℃の範囲で行なうことが好ましい。
反応溶媒としては、特に限定されず、公知の溶媒は広く適用できる。例えば、反応溶媒としての有機極性溶媒として、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、テトラメチル尿素、N,N′−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、又は2種以上の混合溶媒として用いてもよい。また、必要に応じて塩化水素、ハロゲン化金属塩、たとえば塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等を併用して溶解性を向上してもよい。
また、生成したポリアミド化合物の溶媒への溶解度、溶液粘度によって異なるが、ポリアミド化合物の濃度(ポリマー濃度)は特に限定されない。ポリアミド化合物の濃度は、例えば、生産性等の観点から、0.1〜40質量%が好ましい。
ポリアミド化合物の濃度は、ポリアミド化合物組成の内容と組成比、溶解度、溶液粘度、取扱性、脱泡の容易性から総合的に判断して決められる。
原料の添加方法は、特に限定されない。例えば、反応溶媒にジアミンを添加し、低温下で溶解したのち、一方の原料である酸クロライド等のジカルボン酸ハライドを添加する。この場合ジアミンの劣化を防ぐために不活性雰囲気下(例えば窒素雰囲気下、アルゴンガス雰囲気下)で行うことが好ましい。ジアミンと酸ハライドとのモル比率は、基本的には等モルとすべきであるが、重合度の制御のため一方の原料であるジアミンあるいは酸成分を過剰に加えてもよいし、単官能の有機物、たとえばアニリン、ナフチルアミン、酢酸クロライド、ベンゾイルクロライド等の化合物を適量加えてもよい。
また、本発明のポリアミド化合物の場合、特性を改良するために、ジアミンあるいは酸クロライドの一部を反応せしめたのち、残りの原料を添加するというようにポリマーのブロック化を意図した添加方法も採用してよい。
このようにして得た重合反応物(ポリアミド化合物)は、副生物であるハロゲン化水素を伴なうために、中和を必要とする。中和剤は一般に知られている塩基性化合物であれば特に限定されない。
中和剤としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、テトラエチルアンモニウム塩等を好適に用いることができる。また、このような中和剤は、単独に粉体で添加してもよいが、微粉化して有機溶媒中にスラリーとして分散せしめたものを用いるのが、反応性,操作性の上からも好ましい。
以上の方法で得たポリアミド化合物溶液は、水,メタノール等の貧溶媒中で分離することができる。また、中和反応後の溶液もそのまま成形用溶液として用いることもできる。
また、本発明のポリアミド化合物の工業的な重縮合方法としては、特に限定されず、公知の方法が広く用いられる。例えば、加圧塩法、常圧滴下法、加圧滴下法、反応押出法等が挙げられる。また、反応温度は出来る限り低い方が、ポリアミド化合物の黄色化やゲル化を抑制でき、安定した性状のポリアミド化合物が得られる。
加圧塩法では、ナイロン塩を原料として加圧下にて溶融重縮合を行う方法である。具体的には、ジアミン成分と、ジカルボン酸成分と、必要に応じて他成分とを含むナイロン塩水溶液を調製した後、該水溶液を濃縮し、次いで加圧下にて昇温し、縮合水を除去しながら重縮合させる。缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド化合物の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド化合物を回収する。
常圧滴下法では、常圧下にて、ジカルボン酸成分と、必要に応じて他成分とを加熱溶融した混合物に、ジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。なお、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。
加圧滴下法では、まず、重縮合缶にジカルボン酸成分と、必要に応じて他の成分とを仕込み、各成分を撹拌して溶融混合し混合物を調製する。次いで、缶内を好ましくは0.3〜0.4MPaG程度に加圧しながら混合物にジアミン成分を連続的に滴下し、縮合水を除去しながら重縮合させる。この際、生成するポリアミド化合物の融点よりも反応温度が下回らないように、反応系を昇温しながら重縮合反応を行う。設定モル比に達したらジアミン成分の滴下を終了し、缶内を徐々に常圧に戻しながら、ポリアミド化合物の融点+10℃程度まで昇温し、保持した後、更に、0.02MPaGまで徐々に減圧しつつ、そのままの温度で保持し、重縮合を継続する。一定の撹拌トルクに達したら、缶内を窒素で0.3MPaG程度に加圧してポリアミド化合物を回収する。
反応押出法は、アミド交換反応により、ポリアミドの骨格中に組み込む方法である。
〔3〕ポリアミド化合物を用いたポリアミド組成物
本発明のポリアミド化合物に、用途や性能に応じて、滑剤、結晶化核剤、白化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良材等の添加剤を添加させてポリアミド組成物としてもよい。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。また、本発明のポリアミド化合物を、要求される用途や性能に応じて、種々の樹脂と混合してポリアミド組成物としてもよい。
〔4〕ポリアミド化合物の用途
本発明のポリアミド化合物は、従来のポリアミド化合物が適用されていた用途はもちろんのこと、その他の幅広い用途に利用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.ポリアミド化合物の合成
<実施例1> (PA90AC10BPE100の合成)
ポリアミド化合物(PA90AC10BPE100)の合成は、下記のスキームに沿って行った(なお、実施例2〜4も同様のスキームに沿って合成した)。
Figure 0006838313
詳細には、セパラブルフラスコ(Separable flask (500 mL))に窒素雰囲気下、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (32.0g, 76.5 mmol)とDMAc(170 mL)を入れ、室温でしばらくメカニカル攪拌機を用い攪拌後、トリエチルアミン(24.1 mL, 172.1 mmol)加えた後、室温で5分間攪拌した。その後、酸クロリド(1’) (46.5g, 68.84 mmol)とアジポールクロリド(1.4g, 7.7 mmol)をDMAc (50 mL)に溶解させ滴下、室温で4時間反応させた。反応終了後、水を用い生成物を再沈殿させ精製し、水とメタノールで洗浄した。生成物は真空乾燥 (95℃, 8時間)した。白色繊維状、収量:78.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3293.8 (NH, amide), 2922.6, 2859.0, 1657.5 (C=O, carbonyl), 1605.4, 1533.1, 1497.5, 1465.6, 1405.9, 1230.4, 1174.4, 1018.2, 827.3, 715.5, 508.2.
本実施例で用いたジアミンの化学式を以下に示す。
Figure 0006838313
<実施例2> (PA85AC15BPE100の合成)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (24.6g, 60.0 mmol)とTHF(170 mL)、トリエチルアミン(18.9 mL, 135.0 mmol), 酸クロリド(1’)(34.5g, 51.0 mmol)とアジポールクロリド(1.65g, 9.0 mmol), THF (60 mL)以外は合成PA90AC10BPE100と同様に行った。白色繊維状、収量:60.0g。 FT-IR (ATR, cm-1): 3290.0 (NH, amide), 2922.6, 2850.3, 1657.5 (C=O, carbonyl), 1601.6, 1538.0, 1497.5, 1461.8, 1405.9, 1222.6, 1170.6, 1010.5, 827.3, 723.2, 512.0.
<実施例3> (PA80AC20BPE100の合成)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (32.8g, 80.0 mmol)とDMAc(220 mL)、トリエチルアミン(31.5 mL, 225.0 mmol), 酸クロリド(1’) (43.2g, 64.0 mmol)とアジポールクロリド(2.93g, 16.0 mmol), DMAc (80 mL)以外は合成PA90AC10BPE100と同様に行った。白色繊維状、収量:73.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3290.0 (NH, amide), 2918.7, 2854.1, 1653.7 (C=O, carbonyl), 1601.6, 1533.1, 1497.5, 1461.8, 1409.7, 1222.6, 1174.4, 1014.4, 831.2, 727.0, 512.0.
<実施例4>(PA70AC30BPE100の合成)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (49.1g, 117.4 mmol)とDMAc (180 mL)、トリエチルアミン(25.9 mL, 184.9 mmol), 酸クロリド(1’) (55.5 g, 82.2 mmol)とアジポールクロリド(6.4 , 35.2 mmol), DMAc (70 mL)以外はPA90AC10BPE100合成と同様に行った。白色繊維状、収量:110.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3290.0 (NH, amide), 2926.4, 2854.1, 1657.5 (C=O, carbonyl), 1605.4, 1533.1, 1461.8, 1409.7, 1230.4, 1174.4, 1010.5, 827.3, 723.2, 543.8, 508.2.
<実施例5>(PA90TC10BPE100の合成)
ポリアミド化合物(PA90TC10BPE100)の合成は、下記のスキームに沿って行った(なお、実施例6〜7も同様のスキームに沿って合成した)。
Figure 0006838313
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (32.84g, 80.0 mmol)とTHF (220 mL)、トリエチルアミン(31.5 mL, 225.0 mmol), 酸クロリド(1’) (48.64g, 72.0 mmol)とテレフタロイルクロリド(Terephthaloyl chloride (1.63g, 8.0 mmol)), THF (80 mL)以外は合成PA90AC10BPE100と同様に行った。白色繊維状、収量:81.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3285.1 (NH, amide), 2922.6, 2850.3, 1653.7 (C=O, carbonyl), 1605.4, 1533.1, 1501.3, 1461.8, 1405.9, 1226.5, 1170.6, 1014.4, 827.3, 715.5, 508.2.
<実施例6>(PA85TC15BPE100の合成)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (28.0g, 68.1 mmol)とTHF (200 mL)、トリエチルアミン(21.4 mL, 153.0 mmol), 酸クロリド(1’) (39.1g, 57.9 mmol)とテレフタロイルクロリド(Terephthaloyl chloride (2.07g, 10.2 mmol)), THF (80 mL)以外は合成PA90AC10BPE100と同様に行った。白色繊維状、収量:65.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3281.3 (NH, amide), 2922.6, 2850.3, 1657.5 (C=O, carbonyl), 1605.4, 1533.1, 1497.5, 1461.8, 1409.7, 1226.5, 1170.6, 1014.4, 827.3, 715.5, 508.2.
<実施例7>(PA70TC30BPE100の合成)
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BPE) (32.84g, 80.0 mmol)とTHF 220 mL)、トリエチルアミン(25.2 mL, 180.0 mmol), 酸クロリド(1’) (37.83g, 56.0 mmol)とテレフタロイルクロリド(Terephthaloyl chloride (4.87g, 24.0 mmol)), THF (80 mL)以外は合成PA90AC10BPE100と同様に行った。白色繊維状、収量:78.0g。FT-IR (ATR, cm-1): 3285.1 (NH, amide), 2918.7, 2850.3, 1657.5 (C=O, carbonyl), 1605.4, 1538.0, 1497.5, 1457.9, 1405.9, 1226.5, 1170.6, 1010.5, 831.2, 719.3, 515.9.
2.機械的物性評価
2−1.試験片作製
射出成形による試験片の作製は、それぞれのポリアミド化合物をスケールアップ(Scale-up)合成し、集めたサンプル(約500g)用いた。Toyoseiki社製、Mini Test Press-10を用い、平板状へと成形し、切ってペレットとした。ペレットから射出成形機(小型電動射出成形機 SE18DUZ、住友重機械工業(株)製)を用い試験片を作製した。成形条件としては樹脂温度を140〜200℃とし、金型温度は14〜18℃とした。試験片としてJIS K 7162 (t 2mm)の多目的試験片5A型(ダンベル状)、幅 10 mm x 長さ 80 mm x 厚み4mm試験片(短冊状)を成形した。ダンベル状の試験片は引張試験に用いた。短冊状試験片は、K7110のタイプ1試験片に加工し、シャルピー衝撃試験と曲げ試験に用いた。
2−2.引張試験
引張特性は、引張試験を行い、降伏応力(引張強度)、引張弾性率、破断伸びを評価した。試験片はJIS K 7162の多目的試験片5A型(ダンベル状)を用いた。測定に当たっては、試験片の幅、厚みを測定して用いた。測定には島津製作所製のAGI-50kN型 試験機を用いた。測定条件は、引張速度1 mm/min、引張荷重50kN、測定温度23℃とした。
2−3.曲げ試験
曲げ特性は、曲げ試験を行い、曲げ弾性率、曲げ強さを評価した。試験片は、2−1.で作製したK7110のタイプ1試験片について、K7171に準拠して評価を行った。試験に当たっては、試験片の幅、厚みを測定した。測定には島津製作所製のAGS-X 10kNX 5試験機を用いた。測定条件は、試験速度2 mm/min、最大荷重10kN、測定温度23℃とした。
2−4.シャルピー衝撃試験
衝撃特性は、ノッチ付シャルピー試験を行い、シャルピー衝撃値を求めて評価した。試験片は、2−1.で作製したK7110のタイプ1試験片について、K7111に準拠してノッチを付けて作製した。試験に当たっては、試験片の幅、厚みを測定した。測定にはシャルピー衝撃試験機、株式会社 東洋精機製作所DG-UBを用いた。
2−5.試験結果
表1〜2に試験結果を示す。
Figure 0006838313
Figure 0006838313
表1〜2の試験結果から実施例1〜7のポリアミド化合物は、耐衝撃性が高く、硬くて粘り強い樹脂であることが分かる。
3.動的粘弾性試験評価
3−1.動的粘弾性試験方法
ポリアミド化合物の貯蔵弾性率、tan δの温度依存性について、動的粘弾性測定を行い、求めた。試料の幅、厚みを測定して測定に用いた。測定にはUBM(株)製 動的粘弾性測定装置Rheogel?E4000を用い、測定条件は以下のとおりとした。
測定温度範囲:-100〜100℃、昇温速度:4℃/分、測定周波数:5Hz、歪(ε):(貯蔵弾性率)>108Pa:0.05%。試験片は、予め真空乾燥したポリアミド化合物を、熱プレスを用いて成形して得た。幅5mm x 厚み2.0mmx 長さ30mmの試験片を作製し、これを動的粘弾性測定に用いた。
3−2.試験結果
表3〜4に試験結果を示す。
Figure 0006838313
Figure 0006838313
動的粘弾性測定により求めたポリアミドの貯蔵弾性率、tan δが表3〜4に示されている。また、表3〜4には、動的粘弾性測定により求めた -50℃における貯蔵弾性率とtan δのピークからもとめたガラス転移温度も示されている。
粘弾性体に応力を加え変形させると、与えられた力の大部分は内部変形のエネルギーとして貯えられ、応力の除去に際し復元の原動力となるが、一部は歪みに伴う内部の分子移動の摩擦のために消費され、最終的に熱に変わる。内部摩擦の大小を示す値がtan δである。このtan δが大きければ伝達率が小さくエネルギー吸収率が大きくなる。実施例1〜7では、tan δが比較的大きく、エネルギー吸収率が高いことが確認された。また、実施例5,6,7では、ガラス転移温度が比較的大きく、耐熱性に優れていることが確認された。
なお、動的粘弾性評価により衝撃吸収率(エネルギー吸収率)が推定できる。一般的に、tan δが高くなるとエネルギー吸収率が高くなる。天然ゴムの衝撃吸収率(25%,tan δ=0.1)、シリコンゴムの衝撃吸収率(28%,tan δ=0.5)、ブチルゴムの衝撃吸収率(41%,tan δ=1.0)、軟質ポリウレタンの衝撃吸収率(58%,tan δ=1.4)であり、これらの値を参照すると、実施例のポリアミドでは、衝撃吸収率が高いことが推測される。
なお、成形による得られた試験片は透明であり、本発明のポリアミド化合物は非結晶性樹脂であることが確認された。
<実施例の効果>
本実施例のポリアミド化合物は、耐衝撃性が高い樹脂である。
また、本実施例のポリアミド化合物は、tan δが比較的高いから、衝撃吸収率が高いと推定される。
また、本実施例のポリアミド化合物は、粘り強い性質を持つ樹脂である。また、本実施例のポリアミド化合物は、非結晶性(透明性)である。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明のポリアミド化合物は、従来のポリアミド化合物が適用されていた用途はもちろんのこと、その他の幅広い用途に利用できる。例えば、自動車、鉄道車両、船舶、飛行機等のあらゆる部材として利用できる。例えば、内装材及び外装材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、サイドパネル、アームレスト、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー、カウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物、家具等の内装材及び外装材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材、パーティション部材等が挙げられる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるジカルボン酸単位と、
    下記一般式(2)で表されるジカルボン酸単位及び/又は下記一般式(3)で表されるジカルボン酸単位と、
    下記一般式(4)で表されるジアミン単位と、を含有することを特徴とするポリアミド化合物。

    Figure 0006838313

    (xは6〜12の整数を示し、yは8〜18の整数を示す。)
    Figure 0006838313

    (zは2〜18の整数を示す。)
    Figure 0006838313

    (pは1〜5の整数を示す。)
    Figure 0006838313

    Figure 0006838313
  2. −50℃における貯蔵弾性率が、周波数5Hzで測定した場合に、1GPa以上である請求項1記載のポリアミド化合物。
  3. エネルギー吸収特性を有する請求項1又は2に記載のポリアミド化合物。
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