以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
実施の形態1.
図1から図5を参照して、実施の形態1に係るスクロール圧縮機1を説明する。本実施の形態のスクロール圧縮機1は、固定スクロール部材2と、揺動スクロール部材14とを備える。
図2及び図3を参照して、本実施の形態の固定スクロール部材2は、基部11と、基部11の表面11sから突出するスクロール壁3とを含む。スクロール壁3は、基部11の表面11sの平面視において、渦巻きの形状を有する壁である。スクロール壁3は、中心部分10と、中心部分10に接続されている曲線形状部分12とを含む。中心部分10は、複数の円弧が組み合わされた曲線形状を有してもよい。中心部分10は、曲線形状部分12とは異なる形状を有している。
曲線形状部分12は、中心部分10に近づくにつれて次第に減少する曲率半径を有する。曲線形状部分12は、例えば、インボリュート曲線の形状を有してもよい。スクロール壁3は、内周面4と、内周面4とは反対側の外周面5とを含む。曲線形状部分12は、曲線形状部分12の内周面4の中心部分10側の第1の端部7と、曲線形状部分12の内周面4の外縁側の第2の端部6との間、及び、曲線形状部分12の外周面5の中心部分10側の第3の端部9と、曲線形状部分12の外周面5の外縁側の第4の端部8との間に延在している。
図4及び図5を参照して、本実施の形態の揺動スクロール部材14は、基部25と、基部25の表面25sから突出するスクロール壁15とを含む。スクロール壁15は、基部25の表面25sの平面視において、渦巻きの形状を有する壁である。スクロール壁15は、中心部分22と、中心部分22に接続されている曲線形状部分23とを含む。中心部分22は、複数の円弧が組み合わされた曲線形状を有してもよい。中心部分22は、曲線形状部分23とは異なる形状を有している。
曲線形状部分23は、中心部分22に近づくにつれて次第に減少する曲率半径を有する。曲線形状部分23は、例えば、インボリュート曲線の形状を有してもよい。スクロール壁15は、内周面16と、内周面16とは反対側の外周面17とを含む。曲線形状部分23は、曲線形状部分23の内周面16の中心部分22側の第1の端部19と、曲線形状部分23の内周面16の外縁側の第2の端部18との間、及び、曲線形状部分23の外周面17の中心部分22側の第3の端部21と、曲線形状部分23の外周面17の外縁側の第4の端部20との間に延在している。
図1を参照して、本実施の形態のスクロール圧縮機1では、揺動スクロール部材14のスクロール壁15が固定スクロール部材2のスクロール壁3の間に位置するように、揺動スクロール部材14は、固定スクロール部材2に組み合わされている。固定スクロール部材2の内周面4は、揺動スクロール部材14の外周面17に面している。揺動スクロール部材14の内周面16は、固定スクロール部材2の外周面5に面している。固定スクロール部材2のスクロール壁3の外縁と揺動スクロール部材14のスクロール壁15との間のギャップ、及び、揺動スクロール部材14のスクロール壁15の外縁と固定スクロール部材2のスクロール壁3との間のギャップは、吸気口26を構成している。固定スクロール部材2の基部25の中央に、排気口27が設けられている。
揺動スクロール部材14は、固定スクロール部材2に対して、旋回運動し得るように構成されている。揺動スクロール部材14が、固定スクロール部材2に対して、旋回運動するとき、吸気口26から流入した冷媒ガスは、冷媒ガスが圧縮されながら、固定スクロール部材2の中心部分10と揺動スクロール部材14の中心部分22との間の空間に送られる。圧縮された冷媒ガスは、排気口27から排出される。
図3及び図5に示される、固定スクロール部材2及び揺動スクロール部材14のスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23と基部11,25の表面11s,25sとの間の垂直性が良いほど、揺動スクロール部材14が固定スクロール部材2に対して旋回運動している間、揺動スクロール部材14のスクロール壁15の一部が固定スクロール部材2のスクロール壁3の一部に密着し続ける。固定スクロール部材2及び揺動スクロール部材14のスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23と基部11,25の表面11s,25sとの間の垂直性が良いほど、圧縮された冷媒ガスが固定スクロール部材2の中心部分10と揺動スクロール部材14の中心部分22との間の空間から漏れることがさらに抑制されて、スクロール圧縮機1はより高い性能を有する。
固定スクロール部材2及び揺動スクロール部材14のスクロール壁3,15の表面粗さがより均一であるほど、揺動スクロール部材14が固定スクロール部材2に対して旋回運動している間、揺動スクロール部材14のスクロール壁15の一部が固定スクロール部材2のスクロール壁3の一部に密着し続ける。そのため、固定スクロール部材2及び揺動スクロール部材14のスクロール壁3,15の表面粗さがより均一であるほど、圧縮された冷媒ガスが固定スクロール部材2の中心部分10と揺動スクロール部材14の中心部分22との間の空間から漏れることがさらに抑制されて、スクロール圧縮機1はより高い性能を有する。
スクロール部材(固定スクロール部材2、揺動スクロール部材14)は、図6から図10に示されるスクロール部材の加工装置30を用いて製造される。以下、実施の形態1に係るスクロール部材の加工装置30を説明する。図6から図9は、スクロール部材の加工装置30を用いて固定スクロール部材2を加工する場合を示しているが、揺動スクロール部材14もスクロール部材の加工装置30を用いて同様に加工され得る。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、第1の保持部42と、第2の保持部32と、第1の駆動部39と、第2の駆動部51と、制御部65とを主に備える。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、変位センサ60をさらに備えてもよい。
第1の保持部42は、工具40を回転可能に保持し得るように構成されている。工具40は、先端部分40aと根元部分40bとを含む。工具40の先端部分40aは、工具40を用いてスクロール部材(2,14)を機械加工している間、スクロール部材(2,14)に接触している。工具40の根元部分40bは、第1の保持部42によって保持されている。特定的には、第1の保持部42は第1のスピンドル41を含み、工具40は、第1のスピンドル41に取り付けられてもよい。第1のスピンドル41が高速で回転することによって、工具40は高速で回転する。工具40の回転速度は、例えば、数千rpm以上数万rpm以下であってもよい。
第2の保持部32は、第1の保持部42に対して、第1の方向(z軸方向)に離れて配置されている。第2の保持部32は、スクロール部材(2,14)を保持し得るように構成されている。特定的には、第2の保持部32は第2のスピンドル(32)であり、スクロール部材(2,14)の基部11,25が第2のスピンドル(32)に保持されてもよい。第2のスピンドル(32)が回転することによって、スクロール部材(2,14)は回転する。スクロール部材(2,14)の回転速度は、工具の回転速度よりも小さい。スクロール部材(2,14)の回転速度は、例えば、0.5rpm以上3.0rpm以下であってもよい。
図10に示される第1の駆動部39は、スクロール部材(2,14)に対して工具40を相対的に回転及び並進移動させ得るように構成されている。特定的には、第1の駆動部39は、第1の並進移動部44と、第2の並進移動部48と、第3の並進移動部34と、第2のスピンドル(32)とを含んでもよい。
第1の並進移動部44は、第1のプレート45と、第1のプレート45上に設けられ、かつ、第1の方向(z軸方向)に延在する第1のレール46と、第1のレール46上に移動可能に載置されている第2のプレート47とを含んでもよい。第2の並進移動部48は、第2のプレート47上に設けられ、かつ、第1の方向に交差する第2の方向(x軸方向)に延在する第2のレール49と、第2のレール49上に移動可能に載置されている第3のプレート50とを含んでもよい。第2の並進移動部48は、第1の並進移動部44上に移動可能に載置されている。第1の保持部42は、弧状レール52及び旋回板53を介して、第2の並進移動部48上に載置されている。第1の並進移動部44及び第2の並進移動部48は、第2の保持部32に保持される工具40が第1の保持部42に保持されるスクロール部材(2,14)に対して第1の方向(z軸方向)と第2の方向(x軸方向)とに並進移動し得るように構成されている。
第3の並進移動部34は、第4のプレート35と、第4のプレート35上に設けられ、かつ、第1の方向及び第2の方向に直交する第3の方向(y軸方向)に延在する第3のレール36と、第3のレール36上に移動可能に載置されている第5のプレート37とを含んでもよい。第2の保持部32は、第5のプレート37上に載置されている。第2の保持部32は、第3の並進移動部34上に移動可能に載置されている。第3の並進移動部34は、第2の保持部32に保持されるスクロール部材(2,14)が第1の保持部42に保持される工具40に対して第3の方向(y軸方向)に並進移動し得るように構成されている。
第2のスピンドル(32)は、第2のスピンドル(32)に取り付けられたスクロール部材(2,14)を回転させる。第2のスピンドル(32)は、第2のスピンドル(32)に保持されるスクロール部材(2,14)が第1の保持部42に保持される工具40に対して回転運動し得るように構成されている。固定スクロール部材2の中心13及び揺動スクロール部材14の中心24が第2のスピンドル(32)の回転軸上に位置するように、スクロール部材(2,14)は第2のスピンドル(32)に着脱可能に取り付けられてもよい。第2のスピンドル(32)の回転軸は、基部11,25の表面11s,25sに垂直であってもよい。
第2の駆動部51は、第2の保持部32に対して第1の保持部42を旋回させ得るように構成されている。特定的には、第1の保持部42は、第2の保持部32に対して、第1の方向(z軸方向)及び第2の方向(x軸方向)によって形成される平面(xz平面)内で旋回されてもよい。第2の駆動部51は、弧状レール52と、弧状レール52の上に移動可能に載置された旋回板53と、旋回板53に接続されているボールネジ56と、ボールネジ56を回転させるモータ58と、ボールネジ56をモータ58に連結させる屈曲可能な連結部材57とを含んでもよい。屈曲可能な連結部材57は、例えば、弾性部材または、第1の方向(z軸方向)及び第2の方向(x軸方向)によって形成される平面(xz平面)内でのみ屈曲可能なジョイントであってもよい。旋回板53は突出部54を含み、ボールネジ56は突出部54のねじ孔に螺合してもよい。弧状レール52は第3のプレート50上に設けられてもよい。モータ58は、第3のプレート50上に取り付けられてもよい。第1の保持部42は、旋回板53上に載置されてもよい。
図7及び図8を参照して、モータ58を駆動してボールネジ56を回転させることにより、ボールネジ56に接続されている旋回板53が弧状レール52の延在方向に沿って旋回する。こうして、旋回板53上に載置された第1の保持部42が旋回されて、第1の保持部42によって保持されている工具40の根元部分40bは、基部11の表面11sの法線38に対して傾けられ得る。
変位センサ60は、旋回板53の変位を検出し得るように構成されている。特定的には、変位センサ60は、旋回板53の第2の方向(x軸方向)に沿った変位を検出し得るように構成されてもよい。変位センサ60は、旋回板53に取り付けられてもよい。変位センサ60は、特に限定されないが、マグネスケールであってもよい。
図10に示されるように、制御部65は、第1の駆動部39に接続されている。制御部65は、第1の駆動部39を制御し得るように構成されている。特定的には、制御部65は、第1の保持部42に回転可能に保持された工具40の回転速度を制御し得るように構成されている。制御部65は、第1の並進移動部44、第2の並進移動部48及び第3の並進移動部34の並進移動量を制御し得るように構成されている。さらに、制御部65は、第2の保持部32に保持されたスクロール部材(2,14)の回転速度を制御し得るように構成されている。特定的には、制御部65は、第2のスピンドル(32)の回転速度を制御し得るように構成されている。
制御部65は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16及び外周面5,17を機械加工し得るように、第1の駆動部39を制御し得るように構成されている。スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは、スクロール部材(2,14)の加工点75における、スクロール部材(2,14)に対する工具40の相対的な送り速度ともいえる。加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持することは、加工点75の周速度vと第1の周速度v1との差の絶対値が、第1の周速度v1の5%以内に保たれることを意味する。
例えば、制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御してスクロール部材(2,14)を回転させるとともに、第2の並進移動部48を制御して工具40を第2の方向(x軸方向)に移動させることによって、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16及び外周面5,17が機械加工されてもよい。スクロール部材(2,14)の加工点75が中心部分10,22に近づくにつれてスクロール部材(2,14)の回転速度が増加するように、制御部65が第2のスピンドル(32)の回転速度を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されてもよい。スクロール部材(2,14)の加工点75が中心13,24に近づくにつれてスクロール部材(2,14)の回転速度が増加するように、制御部65が第2のスピンドル(32)の回転速度を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されてもよい。
制御部65は、第2の駆動部51に接続されている。制御部65は、モータ58の回転方向及び回転数を制御して、旋回板53の旋回角度、または、曲線形状部分12,23の内周面4,16及び外周面5,17を機械加工する際の、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対する工具40の根元部分40bの傾き角θを制御し得るように構成されている。基部11,25の表面11s,25sの法線38に対する工具40の根元部分40bの傾き角θは、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対する第1の保持部の旋回角度であるともいえる。
制御部65は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bを、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で、傾斜方向に傾け得るとともに、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて第1の角度θ1が減少するように、第1の駆動部39と第2の駆動部51とを制御し得るように構成されている。図18及び図19に示されるように、工具40の根元部分40bの傾斜方向は、基部11,25の表面11s,25sの平面視において、加工点75に対してスクロール壁15から遠ざかる方向である。
制御部65は、変位センサ60に接続されてもよい。制御部65は、メモリ64を含んでもよい。変位センサ60によって検出された旋回板53の変位がメモリ64に格納されている目標値に一致するように、制御部65は、第2の駆動部51を制御してもよい。
図11を参照して、実施の形態1に係るスクロール部材(固定スクロール部材2、揺動スクロール部材14)の製造方法を説明する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の製造方法は、被加工材を切削して、スクロール部材(2,14)を形成すること(S1)と、スクロール部材(2,14)を加工すること(S2)とを備える。スクロール部材(2,14)を加工すること(S2)は、スクロール部材(2,14)のスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16及び外周面5,17に機械仕上げ加工を施すことを含んでもよい。特定的には、スクロール部材(2,14)を加工すること(S2)は、スクロール部材(2,14)のスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16、外周面5,17及び中心部分10,22に機械仕上げ加工を施すことを含んでもよい。スクロール部材(2,14)を加工すること(S2)は、スクロール部材(2,14)を形成すること(S1)の後に行われてもよいし、あるいは、スクロール部材(2,14)を形成(S1)しながら行われてもよい。
図12から図19を参照して、実施の形態1に係るスクロール部材(固定スクロール部材2、揺動スクロール部材14)の加工方法を説明する。本実施の形態に係るスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)を加工すること(S2)の一例である。図13から図19は、固定スクロール部材2の加工方法を示しているが、揺動スクロール部材14の加工方法も固定スクロール部材2の加工方法と同様である。
図12から図16に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)を備えてもよい。図14から図16に示されるように、第4の端部8,20から第3の端部9,21まで工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工する。図13及び図14において、t8は、工具40が第4の端部8,20に接触している時刻を表し、t9は、工具40が第3の端部9,21に接触している時刻を表す。図13及び図14において、t6は、工具40が第2の端部6,18に接触している時刻を表し、t7は、工具40が第1の端部7,19に接触している時刻を表す。
例えば、制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御してスクロール部材(2,14)を回転させるとともに、第2の並進移動部48を制御して工具40を第2の方向(x軸方向)に移動させることによって、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17が機械加工されてもよい。スクロール部材(2,14)の加工点75が第4の端部8,20から第3の端部9,21に向かうにつれてスクロール部材(2,14)の回転速度が増加するように、制御部65が第2のスピンドル(32)の回転速度を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されてもよい。工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工する際に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されるため、均一な表面粗さを有する、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17が得られる。スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17は、例えば、1.6a以下の算術平均表面粗さRa(JIS規格)を有してもよい。
曲線形状部分12,23の外周面5,17は外側に膨らんだ形状を有している。そのため、曲線形状部分12,23の外周面5,17と工具40との間の接触面積は、実質的に一定である。工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17を加工している間、工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fは実質的に一定である。そのため、図13に示されるように、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工する際における基部11,25の表面11s,25sの法線38と工具40の根元部分40bとの間の第2の角度θ2は、実質的に一定である。
曲線形状部分12,23の外周面5,17は外側に膨らんだ形状を有するのに対し、曲線形状部分12,23の内周面4,16は内側にへこんだ形状を有している。そのため、曲線形状部分12,23の外周面5,17と工具40との間の接触面積は、曲線形状部分12,23の内周面4,16と工具40との間の接触面積よりも小さい。工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17を加工している間に工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fは、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間に工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fよりも小さい。
そのため、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17を加工している間、工具40の先端部分40aは工具40の根元部分40bに対して実質的に撓まない。図13に示されるように、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工する際における基部11,25の表面11s,25sの法線38と工具40の根元部分40bとの間の第2の角度θ2は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際における基部11,25の表面11s,25sの法線38と工具40の根元部分40bとの間の第1の角度θ1よりも小さい。第2の角度θ2は、例えば、0°であってもよい。
図12から図14、図18及び図19に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S14)を備える。図14から図16に示されるように、第1の端部7,19から第2の端部6,18まで工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する。
例えば、制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御してスクロール部材(2,14)を回転させるとともに、第2の並進移動部48を制御して工具40を第2の方向(x軸方向)に移動させることによって、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16が機械加工されてもよい。スクロール部材(2,14)の加工点75が第1の端部7,19から第2の端部6,18に向かうにつれてスクロール部材(2,14)の回転速度が減少するように、制御部65が第2のスピンドル(32)の回転速度を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されてもよい。工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されるため、均一な表面粗さを有する、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16が得られる。スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16は、例えば、1.6a以下の算術平均表面粗さRa(JIS規格)を有してもよい。
曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bは、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で、傾斜方向に傾けられている。傾斜方向は、基部11,25の表面11s,25sの平面視において、加工点75に対してスクロール壁3,15から遠ざかる方向である。第1の角度θ1は、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて減少する。
曲線形状部分12,23の外周面5,17は外側に膨らんだ形状を有するのに対し、曲線形状部分12,23の内周面4,16は内側にへこんだ形状を有している。そのため、曲線形状部分12,23の内周面4,16と工具40との間の接触面積は、曲線形状部分12,23の外周面5,17と工具40との間の接触面積よりも大きい。工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間に工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fは、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17を加工している間に工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fよりも大きい。工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間に、工具40はスクロール壁3,15から負荷Fを受けて、工具40の先端部分40aは工具40の根元部分40bに対して撓む。
さらに、曲線形状部分12,23は、中心部分10,22に近づくにつれて次第に減少する曲率半径を有する。そのため、工具40が第1の端部7,19から第2の端部6,18に移動するにつれて、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16と工具40との間の接触面積は減少する。工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間に工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fは、中心部分10,22に最も近い第1の端部7,19を加工しているときに最大となり、工具40が第1の端部7,19から第2の端部6,18に移動するにつれて減少する。工具40の根元部分40bに対する工具40の先端部分40aの撓み量Yは、工具40がスクロール壁3,15から受ける負荷Fに比例する。工具40の根元部分40bに対する工具40の先端部分40aの撓み量Yは、中心部分10,22に最も近い第1の端部7,19を加工しているときに最も大きく、工具40が第1の端部7,19から第2の端部6,18に移動するにつれて減少する。
図21に示される比較例のスクロール部材(2,14)の加工方法では、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間、工具40の根元部分40bは基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して傾いていない。工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工している間、工具40はスクロール壁3,15から負荷Fを受けて、工具40の先端部分40aは工具40の根元部分40bに対して撓む。そのため、スクロール部材(2,14)の基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性は悪化する。
例えば、図22に示されるように、基部11,25の表面11s,25sに垂直な断面における、内周面4,16の底部の位置に対する内周面4,16の頂部の位置のずれは、約10.5μmである。内周面4,16の底部は、内周面4,16のうち基部11,25の表面11s,25sに接続されている部分であり、内周面4,16の頂部は、内周面4,16のうち基部11,25の表面11s,25sから最も遠い部分である。図22における点線は、内周面4,16の表面粗さの影響が取り除かれた、内周面4,16の位置を表す近似曲線である。
これに対し、図7、図8、図13、図18及び図19に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bは、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で、傾斜方向に傾けられている。図18及び図19に示されるように、傾斜方向は、基部11,25の表面11s,25sの平面視において、加工点75に対してスクロール壁3,15から遠ざかる方向である。図13に示されるように、第1の角度θ1は、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて減少する。
工具40の根元部分40bを基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で傾斜方向に傾けることによって、基部11,25の表面11s,25sの法線38と曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触する工具40の先端部分40aとの間の角度は減少され得る。そのため、スクロール部材(2,14)の基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性は改善される。例えば、図20に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法の実施例では、基部11,25の表面11s,25sに垂直な断面における、内周面4,16の底部の位置に対する内周面4,16の上部の位置のずれが、2.5μm以下にまで減少している。図20における点線は、内周面4,16の表面粗さの影響が取り除かれた、内周面4,16の位置を表す近似曲線である。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工した(S11)後、かつ、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工し始める時までに、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けてもよい。
特定的には、図12から図14及び図17に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)の後、かつ、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S14)の前に、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工すること(S12)を備えてもよい。例えば、制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御してスクロール部材(2,14)を回転させるとともに、第2の並進移動部48を制御して工具40を第2の方向(x軸方向)に移動させることによって、工具40を用いて中心部分10,22が機械加工されてもよい。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工している間(S12)に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)を備えてもよい。例えば、制御部65がモータ58を駆動することによって、旋回板53と旋回板53上に載置された第1の保持部42とが旋回する。第1の保持部42によって保持された工具40の根元部分40bが基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1に傾けられる。変位センサ60によって検出された旋回板53の変位がメモリ64に格納されている目標値に一致するように、制御部65は、モータ58の回転方向及び回転数、または、旋回板53の旋回角度を制御してもよい。基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けている(S13)間、工具40の先端部分40aはスクロール部材(2,14)に接触している。
このように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工している間(S12)に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bは第1の角度θ1に傾けられている(S13)。そのため、工具40が第3の端部9,21に達して曲線形状部分12,23の外周面5,17を加工し終えた後、工具40が第1の端部7,19に達して曲線形状部分12,23の内周面4,16を加工し始めるまでの間に、工具40の根元部分40bは基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1に傾けられ得る。工具40の根元部分40bが第1の角度θ1に傾けられる前に、工具40が第3の端部9,21から第1の端部7,19に移動し終えることが防がれ得る。そのため、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
図13、図14及び図17に示されるように、基部11,25の表面11s,25sの平面視において第1の端部7,19からスクロール壁3,15の中心部分10,22に沿って距離Lだけ離れた中心部分10,22の地点71に工具40が達したとき、すなわち、時刻t71において、工具40は、第1の角度θ1に向けて傾けられ始めてもよい。図13及び図14において、t71は、工具40が地点71に接触している時刻を表す。工具40の直径をrとするとき、距離Lは、ゼロ以上かつπr/4以下であってもよい。距離Lをπr/4以下に設定することによって、固定スクロール部材2の中心部分10と揺動スクロール部材14の中心部分22との間の空間が広がることが抑制され得る。この狭い空間内に圧縮された冷媒ガスを貯めることができるため、高い性能を有するスクロール圧縮機1が得られる。
本実施の形態では、図14に示されるように、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工すること(S12)においても、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1に維持されている。工具40を用いて中心部分10,22を機械加工する際(S12)、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは、第1の周速度v1とは異なってもよい。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法及びスクロール部材の加工装置30の効果を説明する。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S14)を備える。スクロール部材(2,14)は、基部11,25と、基部11,25の表面11s,25sから突出するスクロール壁3,15とを含む。スクロール壁3,15は、中心部分10,22と、中心部分10,22に接続されているとともに中心部分10,22に近づくにつれて次第に減少する曲率半径を有する曲線形状部分12,23とを含む。スクロール壁3,15は、内周面4,16と、内周面4,16とは反対側の外周面5,17とを含む。曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bは、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で、傾斜方向に傾けられている。傾斜方向は、基部11,25の表面11s,25sの平面視において、加工点75に対してスクロール壁3,15から遠ざかる方向である。第1の角度θ1は、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて減少する。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bは基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で傾けられている。第1の角度θ1は、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて減少する。そのため、基部11,25の表面11s,25sの法線38とスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触する工具40の先端部分40aとの間の角度を減少させることができる。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
さらに、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工している。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、均一な表面粗さを有する、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16が得られる。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)を備えてもよい。第1の角度θ1は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工する際における法線38と工具40の根元部分40bとの間の第2の角度θ2よりも大きい。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、均一な表面粗さを有する、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の外周面5,17が得られる。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工した(S11)後、かつ、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工し始める時までに、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)を備えてもよい。そのため、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bが第1の角度θ1に傾けられた時またはその後に、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16が機械加工され始める。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工した(S11)後、かつ、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する(S14)前に、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工すること(S12)と、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工する(S12)間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)とを備えてもよい。基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bが第1の角度θ1に傾けられた時またはその後に、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16が機械加工され始める。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、工具40を回転可能に保持し得るように構成された第1の保持部42と、スクロール部材(2,14)を保持し得るように構成された第2の保持部32とを備える。スクロール部材(2,14)は、基部11,25と、基部11,25の表面11s,25sから突出するスクロール壁3,15とを含む。スクロール壁3,15は、中心部分10,22と、中心部分10,22に接続されているとともに中心部分10,22に近づくにつれて次第に減少する曲率半径を有する曲線形状部分12,23とを含む。スクロール壁3,15は、内周面4,16と、内周面4,16とは反対側の外周面5,17とを含む。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、スクロール部材(2,14)に対して工具40を相対的に回転及び並進移動させ得るように構成された第1の駆動部39と、第2の保持部32に対して第1の保持部42を旋回させ得るように構成された第2の駆動部51と、第1の保持部42と第1の駆動部39と第2の駆動部51とに接続されている制御部65とをさらに備える。
制御部65は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工し得るように、第1の駆動部39を制御し得るように構成されている。制御部65は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bを、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で、傾斜方向に傾け得るとともに、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて第1の角度θ1が減少するように、第1の駆動部39と第2の駆動部51とを制御し得るように構成されている。傾斜方向は、基部11,25の表面11s,25sの平面視において、加工点75に対してスクロール壁3,15から遠ざかる方向である。
本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する際に、工具40の根元部分40bを基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1で傾け得るとともに、工具40が中心部分10,22から離れるにつれて第1の角度θ1が減少し得るように構成されている。そのため、基部11,25の表面11s,25sの法線38とスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触する工具40の先端部分40aとの間の角度が減少され得る。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
さらに、本実施の形態のスクロール部材の加工装置30は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いてスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工し得るように構成されている。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30によれば、均一な表面粗さを有する、スクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16が得られる。
本実施の形態のスクロール部材の加工装置30では、第2の駆動部51は、弧状レール52と、弧状レール52上に載置された旋回板53と、旋回板53に接続されているボールネジ56と、ボールネジ56を回転させるモータ58と、ボールネジ56をモータ58に連結させる屈曲可能な連結部材57とを含んでもよい。第1の保持部42は旋回板53上に載置されてもよい。本実施の形態のスクロール部材の加工装置30によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
実施の形態2.
図23から図30を参照して、実施の形態2に係るスクロール部材(2,14)の加工方法を説明する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、図11に示されるスクロール部材(2,14)を加工すること(S2)の一例である。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、実施の形態1のスクロール部材の加工装置30を用いて行われる。
図23から図25に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に工具40を近づけること(S21)と、工具40が第1の端部7,19に接触する前に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S22)とを備える。第1の端部7,19に工具40を近づけている(S21)間に、工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けてもよいし(S22)、工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けた(S22)の後に、第1の端部7,19に工具40を近づけてもよい(S21)。
図24及び図25において、t0は、第1の端部7,19に向けて工具40を近づけ始める時刻を表す。一例では、時刻t0において、工具40は、第1の端部7,19から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向(図6のz軸方向)に離れて配置されてもよい。制御部65は、第1の並進移動部44を制御して工具40を基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向に移動させることによって、工具40を第1の端部7,19に近づけてもよい(S21)。別の例では、時刻t0において、工具40は、第1の端部7,19から、基部11,25の表面11s,25sに沿う方向に離れて配置されてもよい。制御部65は、第2の並進移動部48及び第3の並進移動部34の少なくとも1つを制御して工具40を、第1の端部7,19から、第1の端部7,19における内周面4,16の法線38に沿う方向に移動させることによって、工具40を第1の端部7,19に近づけてもよい(S21)。さらに別の例では、時刻t0において、工具40は、第1の端部7,19から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向と基部11,25の表面11s,25sに沿う方向とに離れて配置されてもよい。制御部65は、第2の並進移動部48及び第3の並進移動部34の少なくとも1つと第1の並進移動部44とを制御して工具40を、第1の端部7,19から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向と第1の端部7,19における内周面4,16の法線38に沿う方向とに移動させることによって、工具40を第1の端部7,19に近づけてもよい(S21)。
本実施の形態における工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S22)は、実施の形態1における工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)と基本的に同様である。しかし、本実施の形態では、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けている(S22)間、工具40はスクロール部材(2,14)から離れている。本実施の形態では、工具40が第1の端部7,19に接触する前に、工具40全体が基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1に傾けられている。
図23から図28に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S23)を備える。工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾け終えた後に、工具40の先端部分40aを曲線形状部分12,23の内周面4,16の第1の端部7,19に接触させて、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する(S23)。本実施の形態における曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S23)は、実施の形態1における曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S14)と同様である。
図23から図26、図29及び図30に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工した(S23)の後に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S24)を備える。本実施の形態における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S24)は、実施の形態1における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)と同様である。
図23に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S24)の後に、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工すること(S25)を備えてもよい。本実施の形態における中心部分10,22を機械加工すること(S25)は、実施の形態1における中心部分10,22を機械加工すること(S12)と基本的に同様である。しかし、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、中心部分10,22を機械加工している(S25)間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾ける工程(S13)を行っていない。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、実施の形態1のスクロール部材(2,14)の加工方法と同様の効果を奏する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に工具40を近づけること(S21)と、工具40が第1の端部7,19に接触する前に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S22)とを備える。
そのため、基部11,25の表面11s,25sの法線38とスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触する工具40の先端部分40aとの間の角度を減少させることができる。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。さらに、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40は第1の角度θ1に傾けられるため、工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾ける間に、工具40にチッピングのような損傷が発生することが防止され得る。
実施の形態3.
図31から図33を参照して、実施の形態3に係るスクロール部材(2,14)の加工方法を説明する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、図11に示されるスクロール部材(2,14)を加工すること(S2)の一例である。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、実施の形態1のスクロール部材の加工装置30を用いて行われる。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S31)を備える。本実施の形態における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S31)は、実施の形態1における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)と同様である。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S31)の後、かつ、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S37)の前に、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工すること(S32)を備えてもよい。本実施の形態における中心部分10,22を機械加工すること(S32)は、実施の形態1における中心部分10,22を機械加工すること(S12)と同様である。しかし、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、工具40を用いて中心部分10,22を機械加工している間(S32)に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾ける工程(S13)を行っていない。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したとき(S33)に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けること(S34)を備えている。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けている間に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1よりも小さな第2の周速度v2に減らすこと(S35)を備えている。第2の周速度v2は、第1の周速度v1の1/2以下であってもよいし、第1の周速度v1の1/5以下であってもよいし、第1の周速度v1の1/10以下であってもよい。制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1よりも小さな第2の周速度v2に減らしてもよい(S35)。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けた時またはその直後に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第2の周速度v2から第1の周速度v1に増加させること(S36)を備える。本明細書において、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けた直後とは、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾け終えた時から1秒以内の期間を意味する。図32及び図33において、t10は、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾け終えた時刻を表す。制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御することによって、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第2の周速度v2から第1の周速度v1に増加させてもよい(S36)。
本実施の形態における、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを傾けること(S34)は、実施の形態1における、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)と基本的に同様である。しかし、本実施の形態では、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したとき(S33)に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾ける(S34)。
基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けている間、工具40の先端部分40aはスクロール部材(2,14)の曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触している。工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したとき(S33)から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾け終わるまでの間、第1の端部7,19を含む曲線形状部分12,23の内周面4,16の一部は、工具40によって機械加工される。そのため、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したとき(S33)から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾け終わるまでの間に機械加工された曲線形状部分12,23の内周面4,16の一部と基部11,25の表面11s,25sとの間の垂直性は劣っている。
しかし、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したとき(S33)から、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第2の周速度v2から第1の周速度v1に増加させる(S36)までの間、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vは第1の周速度v1よりも小さな第2の周速度v2に減らされている(S35)。そのため、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が劣っている、曲線形状部分12,23の内周面4,16の一部の面積は小さい。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S37)を備える。本実施の形態における曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S37)は、実施の形態1における内周面4,16を機械加工すること(S14)と同様である。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法の効果を以下説明する。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工する前に、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S31)と、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達したときに(S33)、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けること(S34)とを備える。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けている間に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1よりも小さな第2の周速度v2に減らすこと(S35)と、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けた時またはその直後に、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第2の周速度v2から第1の周速度v1に増加させること(S36)とを備える。
そのため、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が劣っている、曲線形状部分12,23の内周面4,16の一部の面積は小さい。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、工具40が曲線形状部分12,23の内周面4,16の中心部分10,22側の第1の端部7,19に達する前に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けられていない。そのため、固定スクロール部材2の中心部分10と揺動スクロール部材14の中心部分22との間の空間を狭くすることができる。この狭い空間内に圧縮された冷媒ガスを貯めることができるため、高い性能を有するスクロール圧縮機1が得られる。
実施の形態4.
図15、図16、図18、図19及び図34から図38を参照して、実施の形態4に係るスクロール部材(2,14)の加工方法を説明する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、図11に示されるスクロール部材(2,14)を加工すること(S2)の一例である。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、実施の形態1のスクロール部材の加工装置30を用いて行われる。
図15、図16及び図34から図37に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S41)を備える。本実施の形態における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S41)は、実施の形態1における曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工すること(S11)と同様である。
図34から図37に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、工具40を用いてスクロール壁3,15の外周面5,17が機械加工された後に、工具40をスクロール部材(2,14)から離すこと(S42)を備えている。工具40が第3の端部9,21に達したとき、工具40はスクロール部材(2,14)から離される。一例では、工具40は、外周面5,17の第3の端部9,21から、基部11,25の表面11s,25sに沿う方向に離されてもよい。具体的には、制御部65は、第2の並進移動部48及び第3の並進移動部34の少なくとも1つを制御して工具40を、第3の端部9,21から、第3の端部9,21における外周面5,17の法線38に沿う方向に移動させることによって、工具40をスクロール部材(2,14)から離してもよい(S42)。別の例では、工具40は、外周面5,17の第3の端部9,21から、基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向(図6のz軸方向)に離されてもよい。具体的には、制御部65は、第1の並進移動部44を制御して工具40を基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向(図6のz軸方向)に移動させることによって、工具40をスクロール部材(2,14)から離してもよい(S42)。さらに別の例では、工具40は、外周面5,17の第3の端部9,21から、基部11,25の表面11s,25sに沿う方向と基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向(図6のz軸方向)とに離されてもよい。具体的には、制御部65は、第2の並進移動部48及び第3の並進移動部34の少なくとも1つと第1の並進移動部44とを制御して工具40を基部11,25の表面11s,25sに沿う方向と基部11,25の表面11s,25sの法線38に沿う方向(図6のz軸方向)とに移動させることによって、工具40をスクロール部材(2,14)から離してもよい(S42)。
図34から図38に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S43)を備えている。基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S43)は、実施の形態1のスクロール部材(2,14)の加工方法における、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S13)と、基本的に同様である。
しかし、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、実施の形態1の中心部分10,22を機械加工すること(S12)を備えていない。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法では、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾ける工程(S43)は、実施の形態1のように工具40を用いて中心部分10,22を機械加工している間(S12)ではなく、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に行われている。本実施の形態では、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に、工具40全体が基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して第1の角度θ1に傾けられている。
工具40がスクロール部材(2,14)から離れており、かつ、工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾けている間に、工具40を第1の端部7,19に向けて移動させる。例えば、制御部65は、第2のスピンドル(32)を制御してスクロール部材(2,14)を回転させるとともに、第2の並進移動部48を制御して工具40を第2の方向(x軸方向)に移動させることによって、工具40を第1の端部7,19に向けて移動させてもよい。
図18、図19及び図34から図37に示されるように、本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S44)を備える。工具40を第1の端部7,19に接触させ、それから工具40を曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触させたまま工具40を第2の端部6,18に向けて移動させることによって、曲線形状部分12,23の内周面4,16は機械加工される。本実施の形態における曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S44)は、実施の形態1における曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S14)と同様である。
本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法の効果を以下説明する。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法は、曲線形状部分12,23の外周面5,17を機械加工した後、工具40をスクロール部材(2,14)から離すこと(S42)と、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に傾けること(S43)と、スクロール部材(2,14)の加工点75の周速度vを第1の周速度v1に維持しながら、工具40を用いて曲線形状部分12,23の内周面4,16を機械加工すること(S44)とを備える。
そのため、基部11,25の表面11s,25sの法線38とスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16に接触する工具40の先端部分40aとの間の角度を減少させることができる。本実施の形態のスクロール部材(2,14)の加工方法によれば、基部11,25の表面11s,25sとスクロール壁3,15の曲線形状部分12,23の内周面4,16との間の垂直性が改善され得る。さらに、工具40がスクロール部材(2,14)から離れている間に、基部11,25の表面11s,25sの法線38に対して工具40は第1の角度θ1に傾けられるため、工具40の根元部分40bを第1の角度θ1に向けて傾ける間に、工具40にチッピングのような損傷が発生することが防止され得る。
今回開示された実施の形態1−4はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。