以下、図面を用いて、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、以下で説明する実施の形態については、いずれも本発明の具体的な一例を示すものであって、これらによって本発明を限定する趣旨のものではない。また、用いる図面は、実施の形態について模式的に表したものであって、必ずしも厳密に図示しているものではない。各図において、実質的に同様の構成には、同じ符号を付している。
(実施の形態1)
図1〜4を用いて、本発明に係る実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る送風装置の正面図である。図2は、実施の形態1に係る送風装置の吹き出し方向を示した斜視図である。図3は、実施の形態1に係る送風装置における空気の流れを示した上面図である。図4は、実施の形態1に係る送風装置の導風部の内部の断面図である。
[送風装置の構成]
まずは、実施の形態1に係る送風装置1の構成について説明する。送風装置1は、その前方に向かった送風を行うことができる。送風装置1は、導風部2と、筐体部10と、を備える。実施の形態1において、導風部2は、3本の導風管3からなり、それぞれの導風管3の前面には、後述する高圧空気を吹き出す複数の吹き出し口4が開口している。
吹き出し口4が直線上に並んでおり、当該直線上において吹き出し口4でない部分が、非開口部5である。そして、複数の吹き出し口4と複数の非開口部5とが直線上に並ぶことで、吹き出しライン6を形成している。
筐体部10は、その内部に、羽根車と電動機とにより高圧空気を発生する高圧空気発生部(図示せず)を有する。ここで、高圧空気とは、大気圧よりも高圧な空気のことである。また、筐体部10は、その後ろ面に、高圧空気の発生に用いるための空気を取り入れる吸込み口11(図1〜4では図示せず)を有する。筐体部10は、床面等に設置されるものであり、その上面から、3本の導風管3が略垂直方向に突出している。
[高圧空気発生部]
既述の通り、高圧空気発生部は、羽根車及び電動機によって高圧空気を発生する。送風装置1には、外部から電力が引き込まれている。電動機は、当該外部からの電力によって駆動して、羽根車を回転させることができる。
送風装置1の周囲、特に吸込み口11の近辺の空気が、吸込み口11から吸い込まれる。吸込み口11から吸い込まれた空気が、回転している羽根車によって圧縮されることによって、高圧空気が発生する。
上記のように高圧空気発生部で発生した高圧空気は、連結路(図示せず)によって、3本の導風管3に導かれる。導風管3に導かれた高圧空気は、それぞれの導風管3の複数の吹き出し口4から、その吹き出し方向である前方に吹き出される。
本構成の高圧空気発生部では、その羽根車の回転速度を制御することにより、発生する高圧空気の圧力を調整することができる。また、高圧空気の圧力を制御することにより、吹き出し口4から吹き出す送風の風速を調整することができる。
なお、実施の形態1においては、高圧空気を発生させるために羽根車の回転を用いているが、高圧空気発生部の構成としてはこれに限定されない。例えば、ピストンの摺動によって高圧空気を発生させるコンプレッサ等を用いることもできる。
[導風部]
既述の通り、導風部2は、3本の導風管3から成る。3本の導風管3は、筐体部10の同一の面から、その面に略垂直な方向に突出した管状の部材である。3本の導風管3を、それぞれ、第1導風管3a、第2導風管3b、第3導風管3cとする。
第2導風管3bは、第1導風管3a及び第3導風管3cに挟まれて、第1導風管3a及び第3導風管3cよりも前方に突出している。第1導風管3aは、送風装置1の前方を向いた際の第2導風管3bの右側に位置している。第3導風管3cは、送風装置1の前方を向いた際の第2導風管3bの左側に位置している。
第1導風管3a及び第3導風管3cは、その前面に、それぞれ1本ずつ吹き出しライン6を有する。第2導風管3bは、その前面に、2本の吹き出しライン6を有している。これらの吹き出しライン6は、それぞれ、吹き出し口4と非開口部5を5つずつ備えている。
また、隣り合う吹き出しライン6の、吹き出し口4と非開口部5とは、互い違いになっている。つまり、第1導風管3aの吹き出しライン6と、第2導風管3bの送風装置1の前方を向いた際の右側の吹き出しライン6とは、吹き出し口4同士或いは非開口部5同士が隣り合わず、吹き出し口4の隣は常に非開口部5となっている。
同様に、第3導風管3cの吹き出しライン6と、第2導風管3bの送風装置1の前方を向いた際の左側の吹き出しライン6とは、吹き出し口4同士或いは非開口部5同士が隣り合わず、吹き出し口4の隣は常に非開口部5となっている。さらに、同様に、第2導風管3bの有する2本の吹き出しライン6同士も、吹き出し口4同士或いは非開口部5同士が隣り合わず、吹き出し口4の隣は常に非開口部5となっている。
このように、隣り合う吹き出しライン6の吹き出し口4と非開口部5とが互い違いになっていることで、導風部2において、複数の吹き出し口4の配置を市松模様状にすることができる。
吹き出し口4の配置を市松模様状にすることによって、1つの非開口部5の周りに、3つ乃至4つの吹き出し口4が隣接するようになる。(一部の場所では、2つの吹き出し口4が隣接する場合もある。)故に、非開口部5又はその周辺を通過する誘引気流は、3つ乃至4つの吹き出し口4からの送風に誘引されるため、1つの吹き出し口4からの送風に誘引される場合より、誘引気流の風速が速くなる。
吹き出し口4からの送風と誘引気流との風速の速度差が小さくなれば、それらの境界領域における風速の速度勾配が小さくなり、乱流を抑えることができるため、ユーザの感じる送風のムラ感を減じることができる。
なお、実施の形態1では、それぞれの吹き出しライン6は、吹き出し口4と非開口部5をそれぞれ5つずつ備えているが、吹き出しライン6の有する吹き出し口4と非開口部5の数はこれに限定されない。例えば、吹き出し口4を3つと非開口部5を4つ有する吹き出しライン6と、吹き出し口4を4つと非開口部5を3つ有する吹き出しライン6と、を交互に組み合わせるような構成としてもよい。
なお、吹き出しライン6は、吹き出し口4又は非開口部5のどちらかを少なくとも3つ備えていれば、吹き出し口4を市松模様状に配置することができ、ムラ感の少ない送風を実現することができる。
また、実施の形態1において、吹き出しライン6を4本有する構成としているが、吹き出しライン6の数はこれに限定されない。例えば、5本や6本やそれ以上の数の吹き出しライン6を有する構成としてもよい。なお、吹き出しライン6の数を3本以上備えていれば、吹き出し口4を市松模様状に配置することができ、ムラ感の少ない送風を実現することができる。
ここで、実施の形態1においては、高圧空気発生部から導風部2へ高圧空気が流入する方向と、送風装置1の吹き出し方向とは、略垂直に交差する関係にある。そこで、高圧空気が流れる方向の変換を効率的に行うために、図4に示すように、導風部2の内部に複数の突起14を設けていることが好ましい。
突起14は、導風部2の内部において、各吹き出し口4の近傍の、高圧空気が導風部2に流入する方向の奥側に設けられている。導風部2に流入した高圧空気が突起14に導かれることで、吹き出し口4から、高圧空気を吹き出し方向に効率的に吹き出すことができる。
また、突起14は、高圧空気が導風部2に流入する方向の奥側(筐体部10から離れる方向)の吹き出し口4になる程、吹き出し方向後方に長くなることが好ましい。全ての吹き出し口4から、高圧空気を均一に吹き出し易くするためである。
高圧空気が導風部2に流入する方向の奥側の吹き出し口4になる程、高圧空気の吹き出し量が少なくなる傾向にある。また、突起14が吹き出し方向の後方に長いほど、より多くの高圧空気を吹き出し口4へと導くことができる。
故に、高圧空気が導風部2に流入する方向の奥側の吹き出し口4になる程、突起14を吹き出し方向の後方に長くすることで、全ての吹き出し口4から、高圧空気を均一に吹き出し易くすることができる。
図4に示すように、突起14は、板状の突起板部14aの吹き出し方向の後方に、高圧空気が導風部2に流入する方向の後方側(筐体部10方向)に曲がった突起垂部14bを有する。突起垂部14bを有することで、吹き出し口4に高圧空気を効率的に導くことができる。
なお、突起14の形状は、上記のものに限定されず、さまざまな形状にすることができる。例えば、突起垂部14bは、図4のような曲面状でなくてもよく、例えば、板状の突起板部14aから、同じく板状の突起垂部14bが屈曲して突出していてもよい。
また、突起垂部14bを有さず、突起板部14aのみで突起14が形成されていてもよい。この場合、突起14が、導風部2の内部において、吹き出し方向に沿って突出していてもよいが、高圧空気が導風部2に流入する方向の後方側に傾いて突出している方が好ましい。より効率的に吹き出し口4に高圧空気を導くことができるためである。
もちろん、突起14を有さなくてもよい。突起14を有さない場合であっても、高圧空気が導風部2内に十分に充填されれば、吹き出し口4から、高圧空気を吹き出し方向に効率的に吹き出すことができる。
[導風管の配置]
第1導風管3a、第2導風管3b、第3導風管3cは、それぞれ、その前面が、図3中の直線A(破線)と所定の角度をなす方向を向くように設けられていることが好ましい。例えば、実施の形態1においては、第2導風管3bは、2本の吹き出しライン6に合わせて、2つの前面を有し、これら2つの前面は、直線Aとそれぞれ角度αをなす方向を向くように設けられている。
また、第1導風管3aの前面は、第2導風管3bの前方を向いて右側の前面と平行になるように設けられている。同様に、第3導風管3cの前面は、第2導風管3bの前方を向いて左側の前面と平行になるように設けられている。
吹き出し口4は、第1導風管3aと第2導風管3bと第3導風管3cの、それぞれの前面に開口している。故に、吹き出し口4の吹き出し方向は、それぞれの吹き出し口4が開口している前面が向く方向と同方向、つまり、直線Aと所定の角度αをなす方向となる(図2の矢印及び図3の太矢印参照)。角度αについては、例えば、好ましくは5°以上、60°以下であり、より好ましくは10°以上、45°以下である。
このように、所定の角度を持って高圧空気が吹き出される、つまり、高圧空気が送風装置1から放射状に吹き出されることで、直線状に吹き出される場合と比べ、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、上記のように放射状に送風することで、同じ範囲を直線状に送風する場合と比べ、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
なお、吹き出し方向については、上記のように、第1導風管3aと第2導風管3bと第3導風管3cの前面の向きによって、吹き出し方向の角度を設計する以外の方法で、吹き出し方向に直線Aとの角度を持たせてもよい。例えば、各吹き出し口4の開口周辺に、直線Aと所定角度をなす突片を設けることによって、吹き出し方向を設計することもできる。
また、第1導風管3aと第2導風管3bと第3導風管3cの前面の角度、及び、各吹き出し口4の開口周辺の突片の角度、の両方によって、吹き出し方向を設定するような構成としてもよい。
また、上記では、すべての吹き出し口4の吹き出し方向は、直線Aと角度αをなす方向であるとして説明してきたが、吹き出し方向が直線Aとなす角度は、全ての吹き出し口4において同一の角度でなくてもよい。例えば、ある吹き出し口4の吹き出し方向は直線Aと7°の角度をなし、別の吹き出し口4の吹き出し方向は直線Aと12°の角度をなす、等のように、複数の吹き出し口4の吹き出し方向が、それぞれ別個に設定されていてもよい。
また、吹き出し方向については、第1導風管3a及び第3導風管3cに開口する吹き出し口4の吹き出し方向が直線Aとなす角度を、第2導風管3bに開口する吹き出し口4の吹き出し方向が直線Aとなす角度よりも大きくすることが好ましい。このように、両端の吹き出しライン6の吹き出し方向が直線Aとなす角度をより大きくすることで、より広範囲に送風を送ることができるようになる。
複数の吹き出しライン6のうち、両端の吹き出しライン6は、その間に位置する吹き出しライン6と比べて、送風装置1において後方に位置するのが好ましい。
例えば、実施の形態1では、第1導風管3a及び第3導風管3cの前面が、第2導風管3bの前面よりも、送風装置1の後方側に位置している。つまり、両端、つまり、第1導風管3a及び第3導風管3cの吹き出しライン6は、その間、つまり、第2導風管3bの吹き出しライン6より後方に位置している。
高圧空気は、それぞれの吹き出し口4から吹き出された後、放射状に広がっていきながら吹き出し方向に流れていく。つまり、吹き出し口4から吹き出し方向に沿って離れるほど、1つの吹き出し口4から送風される高圧空気の範囲は広くなる。
故に、両端の吹き出しライン6を、その間に位置する吹き出しライン6よりも送風装置1の後方にすることによって、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、両端の吹き出しライン6を、その間に位置する吹き出しライン6よりも送風装置1の後方にすることによって、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
なお、実施の形態1のように、吹き出し方向に所定の角度を持たせ、且つ、両端の吹き出しライン6を後方に位置させる、という2つの構成の両方を採用するのが好ましい。これら両方を採用する方が、同じ幅の送風装置1を用いてより広範囲に送風可能となるためである。
もちろん、吹き出し方向に所定の角度を持たせる構成のみ、或いは、両端の吹き出しライン6を後方に位置させる構成のみ、のようにどちらか一方のみを採用することもできる。
[導風管同士の離間]
導風管3同士は、離間しているのが好ましい。例えば、実施の形態1においては、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとは、それぞれ離間している。このように、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとが、それぞれ離間していることで、送風装置1からの送風に伴って、送風装置1の後方の空気も、誘引気流として誘引することができる。送風装置1の後方の空気が、第1導風管3aと第2導風管3bとの間の空間、および、第2導風管3bと第3導風管3cの間の空間、を通って送風装置1の前方まで流れることができるためである(図3の細矢印参照)。
導風部2の前方に位置する空気は、吹き出し口4からの送風に伴って誘引気流として前方に流れていく。ここで、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとが離間している場合、誘引気流として前方に流れたため空気が流出した部分には、3本の導風管3同士の間の空間を通って送風装置1の後方の空気が、順次補充される。
仮に、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとが離間していない場合、このような後方からの空気の補充が十分には行われず、空気の不足によって、非開口部5等の周辺に負圧の部分が生じてしまう。
負圧の部分が生じてしまうと、吹き出し口4から吹き出された高圧空気には、負圧の部分に引き寄せられる力、つまり、直線Aの方向に引き寄せられるような力が働く。直線Aの方向に引き寄せられる力が働くと、送風装置1からの送風の放射状の広がりが抑えられ、送風できる範囲が狭くなってしまう。
つまり、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとが、それぞれを離間していることで、導風部2の周辺に負圧が生じるのを防ぐことができ、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、第1導風管3aと、第2導風管3bと、第3導風管3cとが、それぞれを離間していることで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
なお、実施の形態1において、導風管3同士が離間している空間は2つであるが、導風管3同士が離間している空間は2つに限定されない。例えば、吹き出しライン6を2本有する導風管3を2つ有し、その2つの導風管3が離間しているような構成とすることもできる。導風部2が有する吹き出しライン6の数や導風管3の数等に従って、導風管3同士が離間している空間の数は、適宜設定可能である。
また、第1導風管3a、第2導風管3b、第3導風管3cは、それぞれ後方に向けて尖った形状をしていることが好ましい。例えば、実施の形態1においては、第1導風管3a及び第3導風管3cは後方に尖った三角形状を有しており、また、第2導風管3bは後方に尖った四角形状を有している。
後方に尖った形状を有していることで、空気の抵抗が抑えられるため、送風装置1の後方の空気が、3本の導風管3同士の間の空間を通って送風装置1の前方へと流れ込みやすくできる。
もちろん、導風管3の形状としては、三角形状や四角形状に限定されず、後方に尖った五角形状や六角形状等、様々な形状を採用可能である。また、導風管3の形状としては、後方に尖っていることが好ましいが、必ずしも尖っている必要はなく、円柱状等の形状を採用してもかまわない。
(実施の形態2)
ここからは、実施の形態2について、図5を用いて説明する。実施の形態2においては、導風部2の構成において実施の形態1と異なるため、以下の説明では導風部2をメインに説明し、同様の部分については説明を簡略化又は省略している。また、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
図5は、実施の形態2に係る送風装置の斜視図である。実施の形態2に係る送風装置1は、筐体部10と、導風部2と、を備える。筐体部10は、その内部に、高圧空気発生部を有し、その前面に、吸込み口11を有する。高圧空気発生部としては、例えば、実施の形態1と同様に、羽根車と電動機を備えるものを採用することができる。
[導風部]
実施の形態2においては、導風部2は3本の吹き出しライン6を有している。3本の吹き出しライン6のうち、両端の吹き出しライン6には、5つの吹き出し口4と、4つの非開口部5と、が交互に並んでいる。また、中心の吹き出しライン6には、4つの吹き出し口4と、5つの非開口部5と、が交互に並んでいる。
隣り合った吹き出しライン6の、吹き出し口4と非開口部5とは、互い違いになっている。つまり、両端の吹き出しライン6の吹き出し口4に挟まれて、中央の吹き出しライン6の非開口部5が存在する。また、両端の吹き出しライン6の非開口部5に挟まれて、中央の吹き出しライン6の吹き出し口4が存在する。
このように、吹き出し口4と非開口部5とが互い違いとなっていることで、複数の吹き出し口4の配置を市松模様状にすることができる。
配置を市松模様状にすることにより、非開口部5又はその周辺を通過する誘引気流は、3つ乃至4つの吹き出し口4からの送風に誘引されるため、誘引気流の風速が速くなり、境界領域における風速の速度勾配が小さくなる。故に、乱流を抑えることができるため、ユーザの感じる送風のムラ感を減じることができる。
また、3本の吹き出しライン6の間には、導風部2の前面から後面に連通した、連通孔7が開口している。連通孔7の前面側及び後面側の開口部は矩形状であり、また、吹き出しライン6に沿って開口している。この連通孔7は、実施の形態1における導風管3同士の間の空間と同様に、送風装置1の後方にある空気を、送風装置1の前方へと通す機能を有する。
導風部2の前方に位置する空気は、吹き出し口4からの送風に伴って誘引気流として前方に流れていく。誘引気流として前方に流れたため空気が流出した部分には、連通孔7を通って送風装置1の後方の空気が補充される。
仮に、連通孔7が開口していない場合、このような後方からの空気の補充が十分には行われず、空気の不足によって、非開口部5等の周辺に負圧の部分ができてしまう。負圧の部分が生じてしまうと、吹き出し口4から吹き出された高圧空気には、負圧の部分に引き寄せられる力、つまり、直線Aの方向に引き寄せられるような力が働く。直線Aの方向に引き寄せられる力が働くと、送風装置1からの送風の放射状の広がりが抑えられ、送風できる範囲が狭くなってしまう。
つまり、連通孔7を有することで、導風部2の周辺に負圧が生じるのを防ぐことができ、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、連通孔7を有することで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
実施の形態2においては、連通孔7は、吹き出しライン6の間において、吹き出しライン6に沿って開口しており、その長手方向は、吹き出しライン6とほぼ同じ長さである。また、吹き出しライン6が3本あることで、吹き出しライン6の間は2つ存在するが、そのそれぞれに1つずつ連通孔7が開口している。
連通孔7を上記構成とすることで、全ての吹き出し口4に連通孔7が隣接するようになり、全ての吹き出し口4からの送風が、送風装置1の後方から効率的に空気を誘引できるようになる。故に、送風装置1の前方における負圧の発生を効率的に抑えることができ、より広範囲への送風が可能になる。
なお、連通孔7としては、上記構成が好ましいが、連通孔7の大きさや数は上記構成に限定されない。例えば、吹き出しライン6の間において、2つやそれ以上の数の連通孔7が間隔を空けて開口していてもよい。また、3本の吹き出しライン6によって構成される、吹き出しライン6の間の2つのうち、一方のみに連通孔7が開口していてもよい。これらの場合であっても、導風部2の前面における負圧の発生を抑えることができる。
また、実施の形態2において、連通孔7は、導風部2の前面から後面に連通しているが、連通孔7の連通の態様はこれに限定されない。連通孔7は、吹き出し口4が開口している導風部2の前面から、導風部2の吹き出し口4を有さない部位に連通していればよい。吹き出し口4を有さない部位としては、例えば、導風部2の側面等である。
連通孔7が、導風部2の前面から側面に連通している場合、送風装置1の側方の空気を効率的に誘引することができるようになる。送風装置1が壁に当接して設置されており、後方からの空気の誘引をあまり期待できないような場合でも、連通孔7が導風部2の前面から側面に連通していれば、側方からの誘引気流により、導風部2の前面における負圧の発生を抑制できる。
なお、連通孔7の形状としては、図5のように吹き出しライン6に沿った矩形状に限定されない。例えば、連通孔7が、吹き出しライン6に沿った楕円形の形状を有していてもよい。
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、送風装置1の前方向に対して、両端の吹き出しライン6の吹き出し方向が所定の角度を有するように、導風部2の前面が設計されていることが好ましい。或いは、各吹き出し口4の開口周辺に、送風装置1の前方向に対して所定の角度を有する突片を設けることが好ましい。送風装置1から高圧空気を放射状に吹き出すことが可能になるためである。
高圧空気が送風装置1から放射状に吹き出されることで、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、上記のように放射状に送風することで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
また、導風部2の前面のうち、中心の吹き出しライン6を有する部分が前方に突出しており、両端の吹き出しライン6を有する部分が、その間の吹き出しライン6を有する部分より、送風装置1における後方に位置していることが好ましい。
高圧空気は、吹き出し口4から吹き出された後、放射状に広がっていきながら吹き出し方向に流れていく。つまり、吹き出し口4から吹き出し方向に沿って離れるほど、1つの吹き出し口4から送風される高圧空気の範囲は広くなる。
故に、両端の吹き出しライン6が、その間の吹き出しライン6より後方に位置する方が、送風装置1の送風範囲を広くすることができる。また、同じ範囲に送風する場合には、両端の吹き出しライン6が、その間の吹き出しライン6より後方に位置する方が、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
(実施の形態3)
ここからは、実施の形態3について、図6を用いて説明する。実施の形態3については、導風部2の形状及び、高圧空気発生部の位置が、実施の形態1及び2と異なるため、当該異なる部分をメインに説明し、同様の部分については説明を簡略化又は省略している。また、実施の形態1及び2と同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
図6は、実施の形態3に係る送風装置の斜視図である。実施の形態3に係る送風装置1は、筐体部10と、導風部2と、基台12と、支持柱13と、を備える。筐体部10は、その下面において、基台12に備えられた支持柱13と接続されることで、支持されている。
また、筐体部10は、その内部に、高圧空気発生部を有し、その側面に、吸込み口11を有する。高圧空気発生部としては、例えば、実施の形態1及び2と同様に、羽根車と電動機を備えるものを採用することができる。
[導風部]
実施の形態1及び2と異なり、実施の形態3に係る送風装置1において、導風部2は、その後面の略中心部分が、筐体部10の前面と当接するように設置されている。導風部2の長手方向は、支持柱13の長手方向に略平行である。
つまり、実施の形態3においては、高圧空気発生部で生成された高圧空気が導風部2に流れ込む方向と、吹き出し口4から高圧空気が吹き出される吹き出し方向とが、略一致する。故に、実施の形態3においては、実施の形態1等のように、導風部2の内部において、吹き出し口4に隣接した突起14を設ける必要がなくなる。
導風部2の前面には、3本の吹き出しライン6が備えられている。両端の吹き出しライン6は、5つの吹き出し口4と4つの非開口部5とが交互に並んでいる。また、真ん中の吹き出しライン6は、5つの非開口部5と4つの吹き出し口4とが交互に並んでいる。
また、隣り合う吹き出しライン6同士の、吹き出し口4と非開口部5とは、互い違いになっている。つまり、吹き出し口4の隣には非開口部5が存在し、かつ、非開口部5の隣には吹き出し口4が存在する。このような配置とすることで、導風部2の前面において、吹き出し口4が市松模様状に配置されることになる。
配置を市松模様状にすることにより、非開口部5又はその周辺を通過する誘引気流は、3つ乃至4つの吹き出し口4からの送風に誘引されるため、誘引気流の風速が速くなり、境界領域における風速の速度勾配が小さくなる。故に、乱流を抑えることができるため、ユーザの感じる送風のムラ感を減じることができる。
[導風部の変形例]
図7と8に、実施の形態3に係る送風装置1の導風部2の変形例を示す。図7は、実施の形態3に係る送風装置の変形例1の斜視図である。また、図8は、実施の形態3に係る送風装置の変形例2の斜視図である。
変形例1において、導風部2の前面は、前方に突出した凸形状を有する。導風部2の略中心部の前方に突出した部分を凸前面15aとする。また、送風装置1の前方に向かって凸前面15aの左右にあり、凸前面15aより後方に位置する導風部2の前面を、それぞれ左凹前面15b及び右凹前面15cとする。
変形例1においては、凸前面15aと、左凹前面15bと、右凹前面15cとは、それぞれ1本ずつ吹き出しライン6を有している。このように、導風部2が前方への凸形状を有していることで、両端の吹き出しライン6が、その間の吹き出しライン6よりも後方に位置することなる。
高圧空気は、吹き出し口4から吹き出された後、放射状に広がっていきながら吹き出し方向に流れていくため、吹き出し口4から吹き出し方向に沿って離れるほど、1つの吹き出し口4から送風される高圧空気の範囲は広くなる。
故に、両端の吹き出しライン6が、その間の吹き出しライン6より後方に位置する方が、送風装置1の送風範囲を広くすることができる。また、同じ範囲に送風する場合には、両端の吹き出しライン6が、その間の吹き出しライン6より後方に位置する方が、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
なお、変形例1において吹き出しライン6の数は、3本に限定されず、4本やそれ以上の本数であってもよい。例えば、凸前面15aが2本の吹き出しライン6を有し、左凹前面15b及び右凹前面15cがそれぞれ1本ずつ吹き出しライン6を有することで、導風部2が4本の吹き出しライン6を備えていてもよい。
変形例2において、導風部2の前面は、前方に膨らんだ凸曲面となっている。導風部2の凸曲面となった前面には、3本の吹き出しライン6が平行に配置されている。真ん中の吹き出しライン6は、導風部2の凸曲面の略中心に位置し、その吹き出し方向は送風装置1の前方向である。
一方、導風部2の前面が凸曲面となっているため、両端の吹き出しライン6の吹き出し方向は、前方向に対して所定の角度をなす。つまり、変形例2においては、両端の吹き出しライン6からは、高圧空気が放射状に吹き出す。
高圧空気が送風装置1から放射状に吹き出されることで、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、上記のように放射状に送風することで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
なお、変形例2においても、吹き出しライン6の数は、3本に限定されず、4本や5本、或いはそれ以上の本数の吹き出しライン6を備えていてもよい。
(本発明に係る送風装置の効果等)
ここで、あらためて、本発明に係る送風装置1について説明しておく。
本発明に係る送風装置1は、高圧空気を発生する高圧空気発生部と、高圧空気を吹き出し方向である前方へ導くための導風部2と、導風部2の吹き出し方向に向いた面に開口した複数の吹き出し口4と、を備えている。吹き出し口4と、その間の非開口部5とが、交互に並ぶことで、吹き出しライン6が形成されており、吹き出しライン6は、吹き出し口4又は非開口部5のどちらか一方を、少なくとも3つ有している。そして、少なくとも3本の吹き出しライン6が、平行に配置されており、吹き出し口4と非開口部5とが、隣り合う吹き出しライン6同士で互い違いとなっている。
上記構成を有する送風装置1によれば、吹き出し口4が市松模様状に配置されており、故に、非開口部5は、3つ乃至4つの吹き出し口4と隣接している。それ故、非開口部5又はその周辺を通過する誘引気流は、3つ乃至4つの吹き出し口4からの送風に誘引されるため、誘引気流の風速が速くなり、境界領域における風速の速度勾配が小さくなる。故に、乱流を抑えることができるため、ユーザの感じる送風のムラ感を減じることができる。
また、平行に配置された吹き出しライン6のうち、少なくとも両端の吹き出しライン6の吹き出し方向は異なり、両端の吹き出しライン6の吹き出し口4は、その吹き出し方向が導風部2から放射状に外側に広がるように、外側に向けて開口していることが好ましい。
上記構成により、高圧空気が送風装置1から放射状に吹き出される。高圧空気が送風装置1から放射状に吹き出されることで、直線上に吹き出される場合と比べ、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、上記のように放射状に送風することで、直線上に送風する場合と比べ、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
また、両端の吹き出しライン6は、その間に位置する吹き出しライン6よりも、後方に位置していることが好ましい。
高圧空気は、それぞれの吹き出し口4から吹き出された後、放射状に広がっていきながら吹き出し方向に流れていく。つまり、吹き出し口4から吹き出し方向に沿って離れるほど、1つの吹き出し口4から送風される高圧空気の範囲は広くなる。故に、両端の吹き出しライン6を、その間に位置する吹き出しライン6よりも送風装置1の後方にすることによって、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、両端の吹き出しライン6を、その間に位置する吹き出しライン6よりも送風装置1の後方にすることによって、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
また、導風部2において、平行に配置された吹き出しライン6の間のうち少なくとも1箇所には、吹き出し口4を有する面から吹き出し口4を有さない部位へと連通した連通孔7が設けられていることが好ましい。
連通孔7を有することで、導風部2の周辺に負圧が生じるのを防ぐことができ、より広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、連通孔7を有することで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
また、導風部2は、複数の導風管3から成り、導風管3は、それぞれ、1つ以上の吹き出しライン6を有し、導風管3同士は、離間していることが好ましい。
導風管3同士を離間させることで、導風部2の周辺に負圧が生じるのを防ぐことができより広範囲に送風することができる。また、同じ範囲に送風する場合には、導風管3同士を離間させることで、送風装置1の幅をより小さくすることができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1〜3を用いて、本発明に係る送風装置1を説明してきたが、送風装置1の実施態様は、実施の形態1〜3に限定されるものではない。
例えば、実施の形態1〜3では、床面等に設置する、置き型の送風装置について説明してきたが、送風装置1としては、エア・コンディショナのような壁に備え付けるタイプの送風装置に適用することもできる。
また、実施の形態1〜3に係る送風装置1の有する複数の吹き出しライン6の長さは略同一であるが、それぞれの吹き出しライン6によって長さを変更してもよい。例えば、両端の吹き出しライン6だけ、他の吹き出しライン6よりも長いものを採用してもよい。
また、実施の形態1〜3では、高圧空気発生部を1つのみ備えた送風装置1を説明してきたが、高圧空気発生部を2つ以上備えていてもよい。例えば、導風部2の長手方向の両側に高圧空気発生部を2つ備え、2つの高圧空気発生部からの高圧空気を、吹き出し口4から吹き出すようにしてもよい。
また、図面において、吹き出し口4の形状は矩形状で表しているが、吹き出し口4の形状は矩形状に限定されない。吹き出し口4の形状として、例えば、楕円等の形状を採用してもよい。
なお、上述の実施の形態1〜3については、本発明の実施態様の例示に過ぎず、数値や形状等についても好ましいものの例示に過ぎず、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることは可能である。