以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。図1に示す一実施形態に係る電力システム1は、需要家設備群10、サーバ装置20、外部装置30を備える。需要家設備群10は、複数の需要家設備10aを備える。需要家設備10aは、図2に示す需要家設備10a1、または、図3に示す需要家設備10a2の何れかであり得る。需要家設備10aは、例えば、電話・インターネット等に係る通信回線の基地局等であり得る。需要家設備10aは、電力系統10bを介して、電力の送受が可能である。需要家設備群10は、サーバ装置20および外部装置30に接続されている。需要家設備群10は、通信ネットワークNTを介して、サーバ装置20および外部装置30に接続される。需要家設備群10は、通信ネットワークNTを介さずに、サーバ装置20および外部装置30に直接接続される構成であってもよい。
図2に示す需要家設備10a1は、図1に示す需要家設備10aの一例であり、発電装置11a、パワーコンディショナ11b、電力消費装置11c、電力量計11d、制御装置11eを備える。需要家設備10a1は、特に発電装置11aを備える。
発電装置11aは、太陽光等の自然エネルギーを用いた発電装置である。発電装置11aは、例えば、太陽光発電装置であり得る。発電装置11aは、パワーコンディショナ11bに接続される。発電装置11aは、パワーコンディショナ11bを介して電力消費装置11cに接続される。発電装置11aは、パワーコンディショナ11bおよび電力量計11dを介して、電力系統10bに接続される。発電装置11aによって生成される電力は、パワーコンディショナ11bに送られる。パワーコンディショナ11bは、発電装置11aによって生成される電力を、商用利用が可能な交流電力に変換し、電力量計11dを介して電力系統10bに送ること、および、電力消費装置11cに送ることが可能である。電力消費装置11cは、電力を消費する機器の集合であり、例えば、空調機、通信機等を備え得る。
電力量計11dは、電力系統10bに接続される。電力系統10bは、電力量計11dを介して、パワーコンディショナ11bおよび電力消費装置11cに接続される。電力量計11dは、需要家設備10a1に対して入出力される電力量[kWh]を検出し、検出結果を示すデータを制御装置11eに送信する。電力量計11dによって行われる電力量の検出は、周期的に行われ、例えば数分毎に行われ得る。
制御装置11eは、パワーコンディショナ11bおよび電力量計11dに接続される。制御装置11eは、サーバ装置20および外部装置30に通信可能に接続されている。制御装置11eは、例えば通信ネットワークNTを介して、サーバ装置20および外部装置30に接続され得る。
制御装置11eは、物理的には、CPU、ROM、RAM、通信装置等のハードウェア(図示略)を備える。制御装置11eは、当該ハードウェアを用いて、制御装置11eが行う動作・機能を実現する。制御装置11eは、ROM等に格納されるコンピュータプログラムをRAM等にロードして実行することによって、制御装置11eが行う動作・機能を実現する。すなわち、制御装置11eは、発電装置11aによって生成される電力量を示すデータを、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、パワーコンディショナ11bに対する要求によって、パワーコンディショナ11bから取得する。制御装置11eは、需要家設備10a1に対して入出力される電力量を示すデータを、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、電力量計11dに対する要求によって、電力量計11dから取得する。
なお、需要家設備10a1は、後述する図3に示す蓄電装置12aを備えてもよい。この場合、需要家設備10a1は、発電装置11aと蓄電装置12aとを共に備える構成を有し、需要家設備10a1の制御装置11eは、後述する図3に示す制御装置12dが有する機能を有し得る。
図3に示す需要家設備10a2は、図1に示す需要家設備10aの他の一例であり、蓄電装置12a、電力消費装置12b、電力量計12c、制御装置12dを備える。需要家設備10a2は、特に、蓄電装置12aを備える。
蓄電装置12aは、例えばリチウムイオン電池等の蓄電池を備える。蓄電装置12aは、電力消費装置12bおよび電力量計12cに接続される。蓄電装置12aは、電力量計12cを介して、電力系統10bに接続される。蓄電装置12aは、制御装置12dの指示に応じて、充電および放電を行う。蓄電装置12aは、蓄電装置12aに蓄電される電力を、制御装置12dの指示に応じて、電力消費装置12bに供給する、または、電力量計12cを介して電力系統10bに供給する。蓄電装置12aは、制御装置12dの指示に応じて、電力系統10bから電力量計12cを介して入力される電力量を蓄電する。電力消費装置12bは、電力を消費する機器の集合であり、例えば、空調機、通信機等を備え得る。
電力量計12cは、電力系統10bに接続される。電力系統10bは、電力量計12cを介して、蓄電装置12aおよび電力消費装置12bに接続される。電力量計12cは、需要家設備10a2に対して入出力される電力量を検出し、検出結果を示すデータを制御装置12dに送信する。電力量計12cによって行われる電力量の検出は、周期的に行われ、例えば数分毎に行われ得る。
制御装置12dは、蓄電装置12aおよび電力量計12cに接続される。制御装置12dは、サーバ装置20および外部装置30に通信可能に接続されている。制御装置12dは、例えば通信ネットワークNTを介して、サーバ装置20および外部装置30に接続され得る。
制御装置12dは、物理的には、CPU、ROM、RAM、通信装置等のハードウェア(図示略)を備える。制御装置12dは、上記ハードウェアを用いて、制御装置12dが行う動作・機能を実現する。制御装置12dは、ROM等に格納されるコンピュータプログラムをRAM等にロードして実行することによって、制御装置12dが行う動作・機能を実現する。すなわち、制御装置12dは、蓄電装置12aの充電率(SOC:State Of Charge)を示すデータを、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、蓄電装置12aに対する要求によって、蓄電装置12aから取得する。制御装置12dは、需要家設備10a2に対して入出力される電力量を示すデータを、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、電力量計12cに対する要求によって、電力量計12cから取得する。
サーバ装置20は、需要家設備群10に含まれる複数の蓄電装置12aの充電率を周期的に調整する。サーバ装置20が蓄電装置12aの充電率を調整する周期は、例えば24時間毎等であり得えて、第1期間T1(例えば午前6時から翌日の午前6時までの24時間)、第2期間T2(第1期間T1後にあり、第1期間T1と同様の期間)がそれぞれ一周期に対応する。第1期間T1、第2期間T2は、サーバ装置20が蓄電装置12aの充電率を調整する当該周期を構成する。
サーバ装置20は、図4に示すように、機能的には、算出部20a、制御部20bを備える。算出部20aは、第1期間T1において、第1期間T1後にある第2期間T2の開始時に需要家設備群10の複数の蓄電装置12aに対して設定される複数の蓄電装置12aの充電率を、算出する。算出部20aは、第2期間T2において需要家設備群10に生じる可能性のある余剰電力量[kWh]の第1予測量(第1予測量の値をWA[kWh]とする)を第1期間T1に算出する。算出部20aは、第2期間T2において需要家設備群10の複数の蓄電装置12aによって生成される可能性のある発電電力量[kWh]の第2予測量(第2予測量の値をWB[kWh]とする)と、第2期間T2において需要家設備群10によって消費される可能性のある消費電力量[kWh]の第3予測量(第3予測量の値をWC[kWh]とする)とを、第1期間T1に算出する。算出部20aは、第1予測量を需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配する場合に、複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される第4予測量(第4予測量の値をWDi[kWh]とし、iは1以上且つn以下の整数であって複数の蓄電装置12aのそれぞれを識別するために用いられる符号であり、nは需要家設備群10が備える複数の蓄電装置12aの個数であり、以下同様)のそれぞれを第1期間T1に算出する。
算出部20aによって算出される第1予測量は、第2予測量から第3予測量を差し引いて得られる値である。すなわち、(数式1)WA=WB−WCが成立する。
第1予測量を需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配する場合に、複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される第4予測量のそれぞれは、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(蓄電容量の値をCAi[kWh]とする)に応じて第1予測量(WA[kWh])を分割して得られる値である。すなわち、(数式2)WDi=WA×CAi/(CA1+CA2+・・・+CAn)が成立する。
算出部20aによって算出され第2期間T2の開始時に設定される需要家設備群10の複数の蓄電装置12aの充電率(充電率の値をEC[%]という)は、第2期間T2において複数の蓄電装置12aに第1予測量を充電させる場合に必要となる値であり、より具体的には、算出部20aによって算出され複数の蓄電装置12aのうちの一の装置(ここでは装置DEという)に分配される第4予測量を装置DEの蓄電容量から差し引いて得られる値の装置DEの蓄電容量に対する割合を示す値である。すなわち、装置DEがiによって識別される場合に、(数式3)EC=(CAi‐WDi)/CAi×100=(1−WA/(CA1+CA2+・・・+CAn))×100が成立する。EC[%]は、装置DE(iの値)に依らずに、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aの全てにおいて同一の値である。
なお、算出部20aは、外部装置30から、第2期間T2における発電電力量および消費電力量に影響を与える可能性がある要因を示すデータ(データDATという)を取得し、取得した当該データDATを用いて、第2期間T2における余剰電力量の第1予測量(WA[kWh])を算出してもよい。例えば、データDATが天気、気温等の気象状態を示す場合に、算出部20aは、気象状態に応じた係数を発電電力量の第2予測量(WB[kWh])と消費電力量の第3予測量(WC[kWh])とに乗じた値を用いて、第1予測量(WA[kWh])を算出してもよい。データDATは、気象状態を示すデータだけでなく、過去の統計データ等他の種々のデータを含んでいてもよい。
制御部20bは、需要家設備10a2において蓄電装置12aに接続される制御装置12dから、蓄電装置12aの充電率を、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、制御装置12dに対する要求によって、取得する。制御部20bは、第2期間T2の開始時において算出部20aによって算出される上記の充電率(EC[%])を有するように(有している状態に至ることを目的に)、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aを制御する。制御部20bは、需要家設備10a1において電力量計11dに接続される制御装置11eから、需要家設備10a1に対して入出力される電力量を示すデータを、例えば、周期的に(例えば数分毎に)、および、制御装置11eに対する要求によって、取得し、取得した当該データ(需要家設備群10の複数の需要家設備10a1から取得した当該データ)に基づき、現時点(例えば第2期間の一のタイミング)において、需要家設備群10に余剰電力量が生じているか否かを判定する。制御部20bは、第2期間T2において需要家設備群10に実際に生じる余剰電力量(実際に需要家設備群10に生じる余剰電力量をwa[kWh]という)を、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(CAi[kWh])に応じて複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配する指示を、複数の蓄電装置12aのそれぞれに接続される複数の制御装置12dのそれぞれに送信する。
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図(図4)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的および/または論理的に結合した一つの装置によって実現されてもよいし、物理的および/または論理的に分離した二つ以上の装置を直接的および/または間接的に(例えば、有線および/または無線)接続し、これら複数の装置によって実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施形態におけるサーバ装置は、本実施形態のサーバ装置の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図5は、本実施形態に係るサーバ装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のサーバ装置20は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007等を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明においては、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えてもよい。サーバ装置20のハードウェア構成は、図5に示した各装置を一つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
サーバ装置20における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004が行う通信、および、メモリ1002およびストレージ1003におけるデータの読み出し、および/または、書き込み、等を制御することによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させることによってコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えてもよい。例えば、図4に示す上述の算出部20a、制御部20b等は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールおよびデータを、ストレージ1003および/または通信装置1004からメモリ1002に読み出し、読み出したソフトウェアモジュールおよびデータに従って各種の処理を行う。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、サーバ装置20の算出部20aは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001によって動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、一つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきた。しかし、上述の各種処理は、二以上のプロセッサ1001によって同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、一以上のチップを実装する構成であってもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも一つを備える構成であってもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施形態に係る準備処理MT1および調整処理MT2を行うために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存してもよい。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも一つを備える構成であってもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002および/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線および/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどとも称され得る。例えば、上述の制御部20b等の一部の機能は、通信装置1004によって実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を行う出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005および出力装置1006は、一体に構成(例えば、タッチパネル)され得る。
また、プロセッサ1001およびメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスによって構成されてもよいし、装置間において互いに異なるバスによって構成されてもよい。
また、サーバ装置20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んでいてもよく、当該ハードウェアによって、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも一つを実装してもよい。
図6および図7を参照して、一実施形態に係るサーバ装置20によって実行される準備処理MT1、調整処理MT2について説明する。図6に示すように、準備処理MT1は、ステップST1〜ST4を備える。準備処理MT1は、第1期間T1において、第1期間T1後の第2期間T2に備えてサーバ装置20によって実行される処理である。図7に示すように調整処理MT2は、ステップST5〜ST8を備える。調整処理MT2は、第2期間T2においてサーバ装置20によって実行される処理である。
図6を参照して準備処理MT1について説明する。まず、算出部20aは、第2期間T2における需要家設備群10の発電電力量の第2予測量(WB[kWh])と第2期間T2における需要家設備群10の消費電力量の第3予測量(WC[kWh])とを算出し、算出した第2予測量(WB[kWh])と算出した第3予測量(WC[kWh])と上記の数式1とを用いて、第2期間T2における需要家設備群10の余剰電力量の第1予測量(WA[kWh])を算出する(ステップST1)。第2予測量および第3予測量の算出は、予め設定されたアルゴリズムに従って行われる。当該アルゴリズムは、外部装置30のデータDAT(第2期間T2における発電電力量および消費電力量に影響を与える可能性がある要因を示すデータ)を用いる場合がある。
ステップST1に引き続くステップST2において、算出部20aは、第1予測量(WA[kWh])を需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配する場合に、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(CAi[kWh])とステップST1において算出された第1予測量(WA[kWh])と上記の数式2とを用いて、複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される第4予測量(WDi[kWh])のそれぞれを算出する(ステップST2)。
ステップST2に引き続くステップST3において、算出部20aは、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(CAi[kWh])とステップST1において算出された第1予測量(WA[kWh])と上記の数式3とを用いて、第2期間T2の開始時に設定される蓄電装置12aの充電率(EC[%])を算出する(ステップST3)。
ステップST3に引き続くステップST4において、制御部20bは、第2期間T2の開始時において需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれがステップST3において算出した充電率(EC[%])を有するように(有している状態に至ることを目的に)、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれの充電率を、蓄電装置12aに接続される制御装置12dを介して、調整する(ステップST4)。
図7を参照して調整処理MT2について説明する。調整処理MT2は、第1期間T1、第2期間T2等のそれぞれの期間において、予め設定された周期によって繰り返される。当該周期は、例えば数分毎であり得て、以下、調整処理MT2の開始時(当該周期の各開始時)を一のタイミング(より具体的には、第1タイミング、第2タイミング等という場合があり、第2タイミングは第1タイミングに引き続く調整処理MT2の開始時のタイミングである)という。以下の説明において、調整処理MT2は、第1期間T1後にある第2期間T2に実行される。
まず、制御部20bは、第2期間T2における第1タイミングにおいて、需要家設備群10の複数の需要家設備10a1が有する複数の電力量計11dから電力量を示すデータを取得する。より具体的に、制御部20bは、発電装置11aを備える需要家設備10a1の制御装置11eから、需要家設備10a1の電力量計11dによって検出され需要家設備10a1に対して入出力される電力量を示すデータを取得する(ステップST5)。
ステップST5に引き続くステップST6において、制御部20bは、ステップST5において取得した電力量を示すデータに基づいて第1タイミングにおいて需要家設備群10に余剰電力量が生じているか否かを判定する。すなわち、制御部20bは、ステップST6において取得した電力量の総計を算出し、電力量の当該総計を用いて、第1タイミングにおいて需要家設備群10に余剰電力量が発生しているか否かを判定する(ステップST6)。より具体的に、制御部20bは、ステップST6において、需要家設備群10の複数の需要家設備10a1の複数の電力量計11dから得られる電力量を足し合わせることによって需要家設備群10の複数の需要家設備10a1の複数の電力量計11dによって検出される電力量の総計を算出し、当該電力量の総計が余剰電力量の発生を示す場合に(例えば、正の値となる場合に)、第1タイミングにおいて需要家設備群10に余剰電力量が発生していると判定する。
制御部20bは、ステップST6において需要家設備群10に余剰電力量が発生していないと判定した場合(ステップST6:NO)、調整処理MT2を終了し、ステップST7において需要家設備群10に余剰電力量が発生していると判定した場合(ステップST6:YES)、ステップST7に移行する。
ステップST6:YESに引き続くステップST7において、需要家設備群10に生じた余剰電力量を、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(CAi[kWh])に応じて複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配するように(分配される状態に至ることを目的に)、複数の蓄電装置12aのそれぞれを制御する。より具体的に、制御部20bは、ステップST7において、需要家設備群10の複数の需要家設備10a1の複数の電力量計11dによって検出される電力量の総計(ステップST6において算出される電力量の総計)を第1タイミングにおいて需要家設備群10に発生している余剰電力量として、当該余剰電力量(wa[kWh]とする)を、需要家設備群10の複数の蓄電装置12aに分配するよう、複数の蓄電装置12aのそれぞれに接続される複数の制御装置12dを介して、複数の蓄電装置12aのそれぞれを制御する。
ステップST7において、制御部20bは、iによって識別される蓄電装置12aに分配する電力量(wdi[kWh]とする)を、(数式4)wdi=wa×CAi/(CA1+CA2+・・・+CAn)に従って算出する。数式4は、数式2と同様に、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量(蓄電容量の値をCAi[kWh]とする)に応じて余剰電力量(wa[kWh])を分割する算出方法である。
例えば、説明簡略化のために需要家設備群10が備える蓄電装置12aの個数が3個(n=3)であり、当該3個の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量がCA1=20[kWh]、CA2=30[kWh]、CA3=50[kWh]であり、第1タイミングにおいて需要家設備群10の複数の需要家設備10a1の複数の電力量計11dによって検出される電力量の総計(第1タイミングにおいて検出される需要家設備群10の余剰電力量であり、ステップST6において算出される電力量の総計である)がwa=2[kWh]である場合に、当該3個の蓄電装置12aのそれぞれに分配される電力量の値は、数式4に従って、wd1=0.4[kWh]、wd2=0.6[kWh]、wd3=1[kWh]となる。
ステップST7に引き続くステップST8において、制御部20bは、iによって識別される蓄電装置12aにステップST7において算出した電力量(wdi[kWh])を充電する指示を、当該iによって識別される蓄電装置12aに接続される制御装置12dに送信する(ステップST8)。ステップST8の後、ステップST5以降の処理は、第1タイミングに引き続く第2タイミングにおいて繰り返し実行される。
上記説明したように一実施形態に係るサーバ装置20によれば、第1期間T1において、第1期間T1後の第2期間T2に生じる可能性のある余剰電力量が予め予測され、予測された当該余剰電力量が複数の蓄電装置12aによって充電され得るように複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量が第2期間T2の開始時において予め調整されるので、第2期間T2に生じる余剰電力量が効率良く複数の蓄電装置12aに充電され得る。従って、需要家設備群10の複数の発電装置11aによって生成される余剰電力量の無駄な消費が低減され得る。
また、算出部20aは、第2期間において需要家設備群10の複数の需要家設備10a1の複数の発電装置11aによって生成される可能性のある発電電力量の第2予測量と、第2期間において需要家設備群10によって消費される可能性のある消費電力量の第3予測量とを、第2期間前にある第1期間に算出し、第2期間における余剰電力量の第1予測量は、第2予測量から第3予測量を差し引いて得られる値である(数式1を参照)。このように、発電電力量の第2予測量から消費電力量の第3予測量が差し引かれた値が余剰電力量の第1予測量に用いられるので、好適な余剰電力量の予測が可能となる。
また、算出部20aは、第1予測量を複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配する場合に、複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される第4予測量(分配される電力量)のそれぞれを第1期間に算出し、複数の蓄電装置12aのそれぞれの充電率は、算出部20aによって算出され複数の蓄電装置12aのうちの一の装置に分配される第4予測量を当該装置の蓄電容量から差し引いて得られる値の当該装置の蓄電容量に対する割合を示す値である(数式3を参照)。このように、第2期間の開始時に設定される複数の蓄電装置12aの一の装置の充電率は、当該装置に係る第4予測量を当該装置が充電できるように設定され得る。
また、余剰電力量の予測結果を示す第1予測量が複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される場合に、複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配される第4予測量(分配される電力量)のそれぞれは、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量に応じて第1予測量を分割して得られる値である(数式2を参照)。このように、複数の蓄電装置12aのそれぞれに対する第4予測量は、第1予測量が複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量に応じて分割されることによって得られる値であり、複数の蓄電装置12aのそれぞれの充電率は当該値(第4予測量)を用いて算出されるので(数式3を参照)、蓄電装置12aの充電率は、蓄電装置12aの蓄電容量に応じて好適に算出され得る。
また、制御部20bは、需要家設備群10が有する複数の電力量計11d、電力量計12cから取得する電力量を示すデータに基づいて第2期間の第1タイミングにおいて需要家設備群10に余剰電力量が生じているか否かを判定し、余剰電力量が当該一のタイミングにおいて生じていると判定した場合には、需要家設備群10に生じた余剰電力量を、複数の蓄電装置12aのそれぞれの蓄電容量に応じて複数の蓄電装置12aのそれぞれに分配するように(分配される状態に至ることを目的に)、複数の蓄電装置12aのそれぞれを制御する。このように、制御部20bは、第2期間における第1タイミングにおいて余剰電力量が生じていると判定した場合には、当該余剰電力量を複数の蓄電装置12aのそれぞれに対して蓄電容量に応じて分配するので、実際に生じた余剰電力量が好適に複数の蓄電装置12aのそれぞれに充電され得る。
以上、本実施形態について詳細に説明した。しかし当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載によって定まる本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく修正および変更態様として実施可能である。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的としており、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有しない。
本明細書において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書において説明した方法については、例示的な順序によって様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報などは特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルにおいて管理してもよい。入出力される情報などは、上書き、更新、または追記が可能である。出力された情報などは削除されてもよい。入力された情報などは他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットによって表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書において説明した各態様/実施形態は単独に用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行う場合に限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称として呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味することが可能となるように広く解釈されるべきである。
また、各種の指示、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペアおよびデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術および/または赤外線、無線およびマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術および/または無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書においては、情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及されるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、または、これらの任意の組み合わせを用いて表されてもよい。
なお、本明細書において説明した用語および/または本明細書の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
また、本明細書においては、情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式などは、本明細書において明示的に開示した数式などと異なる場合もある。
本明細書においては、「判定」は、「判断(determining)」、「決定(determining)」を含み、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含むことが可能である。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含むことが可能である。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含むことが可能である。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含むことが可能である。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、または、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語のあらゆる変形は、二または二以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された二つの要素間に一または複数の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的な結合または接続であっても、論理的な結合または接続であっても、或いは、物理的な結合または接続および論理的な結合または接続の組み合わせであってもよい。本明細書において使用する場合、二つの要素は、一または複数の電線、ケーブルおよび/またはプリント電気接続を使用することによって、並びに、いくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域、および、光(可視および不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することによって、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
本明細書においては、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書においては、「第1」、「第2」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、二つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書において使用される。したがって、第1および第2の要素への参照は、二つの要素のみがそこで採用されること、または何らかの形によって第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、および、「含む」、「含んでいる」の変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈または技術的に明らかに一つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置を含んでいてもよい。
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示している場合ではなければ、複数であってもよい。