JP6836476B2 - 鉄筋コンクリート構造物 - Google Patents

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Description

本開示は、鉄筋コンクリート構造物に関するものである。
従来、鉄道の高架橋等の土木構造物として、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete :RC)製の鉄筋コンクリート構造物(RC構造物)が広く使用されている。このようなRC構造物における柱と梁との接合部であるRC柱梁接合部では、接合部内での軸方向鉄筋の定着(固定)が重要である。そこで、土木構造物においては、軸方向鉄筋の定着工法として、半円形フックのような標準フックを使用する工法が採用されている。なお、土木学会コンクリート標準示方書設計編(2012年)には、標準フックとして、半円形フック、直角フック又は鋭角フックが規定されている。しかし、部材のスリム化、耐震性能向上のための鉄筋の太径化等に伴い、RC柱梁接合部においては、接合部内での配筋が過密化している。
図1は従来のRC柱梁接合部における接合部内での配筋の例を示す写真である。なお、図において、(a)は接合部内での過密配筋の例を示す写真、(b)は過密配筋に起因する施工不良の例を示す写真である。
図1(a)に示されるように、従来の仕様で配筋すると、接合部内においては柱軸方向鉄筋の標準フックや梁軸方向鉄筋の折曲げ定着が三次元的に輻輳してしまう。そのため、鉄筋組立の作業性が悪化し、また、鉄筋のあき(鉄筋の面同士の距離)が十分に確保されなくなるのでコンクリート打設の施工性が低下し、図1(b)に示されるように、施工不良が発生する可能性がある。
そこで、標準フックを使用する工法に代えて、鉄筋に機械式定着部材を取り付ける機械式定着工法を採用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−037777号公報
しかしながら、従来から、機械式定着工法には、様々なものがあり、軸方向鉄筋用と横方向鉄筋用とに区分され、それぞれ、公的審査機関による評定を取得しているが、軸方向鉄筋用として認められているものは、建築評定が多く、土木評定はほとんどない(例えば、非特許文献1参照。)。そのため、土木構造物においては、軸方向鉄筋への機械式定着工法の採用が進んでいない。また、各種の機械式定着工法の性能評価試験(静的耐力、高応力繰返し性能等)では、軸方向鉄筋をマッシブなコンクリートに埋め込んだ状態、すなわち、十分なかぶり(鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離)が確保された状態で行われており、実際のRC柱梁接合部のように、かぶりが100〔mm〕前後である状態での軸方向鉄筋の挙動が十分に解明されていない。
土木学会、「コンクリートライブラリー128号 鉄筋定着・継手指針〔2007年版〕」、2007.8
機械式定着部材を有する鉄筋の引張耐力には、機械式定着部材の取付位置からの鉄筋の長さである定着長と、機械式定着部材からコンクリートに伝達される支圧力とが寄与する。しかし、鉄筋が引張降伏すると、塑性域が進展して鉄筋の表面に沿う付着力が小さくなっていき、終局状態での鉄筋の引張耐力は、ほぼ機械式定着部材からコンクリートに伝達される支圧力によって決定される。
図2は従来の鉄筋の標準フック及び機械式定着部材からコンクリートに伝達される支圧力の相違を説明する図である。なお、図において、(a)は鉄筋が標準フックを有する場合の図、(b)は鉄筋が機械式定着部材を有する場合の図である。
図において、21はコンクリートであり、11は、コンクリート21に埋め込まれた軸方向鉄筋としての鉄筋である。そして、図2(a)における鉄筋11は、その上端に標準フックとしての半円形フック13が形成され、図2(b)における鉄筋11は、その上端に機械式定着部材としての定着板14が取り付けられている。該定着板14は、例えば、鉄筋11よりも外径の大きな円板であって、鉄筋11の端部にねじ止めによって取り付けられる板材であるが、いかなる種類の部材であってもよい。
図2(a)に示されるように、鉄筋11に矢印で示されるような引張力P1が付与されると、半円形フック13からの力である支圧力P2は、コンクリート21の内側へ向かって伝達される。一方、図2(b)に示されるように、定着板14は、半円形フック13と比較すると、定着部として機能する部分の体積や占める範囲が小さいので、局所的に、かつ、コンクリート21の表面21aに向かって支圧力P2を伝達する。そのため、定着板14におけるかぶり、すなわち、定着板14の表面からコンクリート21の表面21aまでの最短距離が小さい場合、かぶり部分にひび割れが発生し、側面剥離破壊のように、かぶり部分のコンクリート21の剥離や剥落が発生する可能性がある。
図3は従来のコンクリートに埋め込まれた軸方向鉄筋の引張試験を説明する図である。なお、図において、(a)は一軸引張特性試験の概念図、(b)はコンクリートの破壊状況を示す写真である。
図3(a)に示されるように、実際の使用状況を想定した要素試験として、かぶりや横方向鉄筋12との比をパラメータとして一軸引張特性を確認する静的引張試験が行われている(例えば、非特許文献2参照。)。この場合、定着板14が取り付けられた鉄筋11は設計引張耐力を満足したものの、鉄筋11が引張降伏する前に、定着板14の位置におけるかぶり部分のコンクリート21にひび割れが発生し、側面剥離破壊が生じ、脆性的な破壊状態を示す試験体があった。
田所敏弥、谷村幸裕、徳永光宏、米田大樹、「高架橋接合部における機械式定着を用いた定着部の静的引張特性」、コンクリート工学年次論文集、Vol.31、No.2、2009
このように、RC柱梁接合部のように、かぶりが小さい部位における鉄筋11に機械式定着工法を採用すると、要求性能を満足することができない可能性がある。
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、コーン状破壊領域の破壊面がコンクリートの表面に到達する範囲における軸方向鉄筋の表面をアンボンド領域とすることによって、軸方向鉄筋に機械式定着工法を採用することができ、コンクリートに側面剥離破壊が発生することを効果的に防止することが可能な鉄筋コンクリート構造物を提供することを目的とする。
そのために、鉄筋コンクリート構造物においては、コンクリートと、該コンクリートに埋め込まれた軸方向鉄筋とを備え、該軸方向鉄筋は、先端に取り付けられた機械式定着部材と、該機械式定着部材から所定長さの範囲の表面に形成されたアンボンド領域とを含み、前記所定長さは、コーン状破壊領域の破壊面が前記軸方向鉄筋の軸方向と平行に延在する前記コンクリートの表面に到達する位置までの軸方向の長さである鉄筋コンクリート構造物であって、前記コーン状破壊領域は、前記アンボンド領域を含まない軸方向鉄筋に軸方向の引張力を付与したときに前記機械式定着部材からの力を受けて前記コンクリートが破壊される領域である
更に他の鉄筋コンクリート構造物においては、さらに、前記所定長さをLとし、前記機械式定着部材の周縁から前記コンクリートの表面までの距離をc’とし、前記コーン状破壊領域の破壊面の頂角の1/2をθとすると、L=c’/tanθである。
更に他の鉄筋コンクリート構造物においては、さらに、前記θは、略45度以下である。
更に他の鉄筋コンクリート構造物においては、さらに、前記軸方向鉄筋は、柱梁接合部における接合部内の柱軸方向鉄筋又は梁軸方向鉄筋である。
本開示によれば、コーン状破壊領域の破壊面がコンクリートの表面に到達する範囲における軸方向鉄筋の表面をアンボンド領域とする。これにより、軸方向鉄筋に機械式定着工法を採用することができ、コンクリートに側面剥離破壊が発生することを効果的に防止することが可能となる。
従来のRC柱梁接合部における接合部内での配筋の例を示す写真である。 従来の鉄筋の標準フック及び機械式定着部材からコンクリートに伝達される支圧力の相違を説明する図である。 従来のコンクリートに埋め込まれた軸方向鉄筋の引張試験を説明する図である。 本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物の模式断面図である。 本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物の比較例の模式断面図である。 本実施の形態におけるコーン状破壊の説明図である。 従来の引張試験における試験体の概要を示す図である。 従来の引張試験における試験結果を示す第1の図である。 従来の引張試験における試験結果を示す第2の図である。
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図4は本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物の模式断面図、図5は本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物の比較例の模式断面図、図6は本実施の形態におけるコーン状破壊の説明図、図7は従来の引張試験における試験体の概要を示す図、図8は従来の引張試験における試験結果を示す第1の図、図9は従来の引張試験における試験結果を示す第2の図である。なお、図7において、(a)は試験体が標準フックを有する鉄筋である場合の図、(b)は試験体が機械式定着部材を有する鉄筋である場合の図、(c)は試験体が機械式定着部材を有し、アンボンド処理が施された鉄筋である場合の図である。
図4において、20は、本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物であるが、図示の都合上、一部分の断面のみが示されている。前記鉄筋コンクリート構造物20は、典型的には高架橋等の土木構造物であって、鉄道用のものであってもよいし、道路用のものであってもよいし、いかなる用途のものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、鉄道用の高架橋における柱と梁との接合部であるRC柱梁接合部であるものとして説明する。
なお、本実施の形態においては、「発明が解決しようとする課題」の項における説明を援用し、鉄筋コンクリート構造物20における各部の構造、動作及び効果であって、「発明が解決しようとする課題」の項において説明したものと同じものについては、図2及び3に示される符号と同じ符号を付与することによって、適宜、説明を省略する。
また、本実施の形態において、鉄筋コンクリート構造物20の各部及びその他の部材の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記鉄筋コンクリート構造物20の各部及びその他の部材が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
図4に示される例において、コンクリート21に埋め込まれた軸方向鉄筋としての鉄筋11は、水平方向に延在しているが、必ずしも、これに限定されるものでなく、図2(b)に示されるように、垂直方向に延在するものであってもよいし、斜め方向に延在するものであってもよいし、いかなる方向に延在するものであってもよい。つまり、鉄筋11は、RC梁の軸方向鉄筋であってもよいし、RC柱の軸方向鉄筋であってもよいし、鉄筋コンクリート構造物20におけるいかなる部分の軸方向鉄筋であってもよい。なお、鉄筋11の軸方向は、コンクリート21の一側(図に示される例において上側)の表面21aと平行であるものとする。
また、前記鉄筋11は、表面にリブ、筋等と称される凹凸15が形成されたいわゆる異形鉄筋であって、表面と周囲のコンクリート21とが付着するようになっているが、先端に取り付けられた機械式定着部材としての定着板14から所定長さLの範囲は、いわゆるアンボンド処理が施されて凹凸15が除去され、表面と周囲のコンクリート21とが付着しないアンボンド領域16となっている。なお、前記アンボンド処理は、凹凸15の除去に限定されるものでなく、例えば、摩擦抵抗の低い樹脂被膜を鉄筋11の表面に形成するものであってもよく、表面と周囲のコンクリート21とが付着しないようにする処理であれば、いかなる処理であってもよい。また、前記定着板14は、板材に限定されるものでなく、鉄筋11よりも外径の大きな部材であれば、いかなる種類の部材であってもよい。さらに、定着板14を鉄筋11の先端に取り付ける手段は、ねじ止めに限定されるものでなく、溶接であってもよいし、いかなる種類の手段であってもよい。
そして、鉄筋11に矢印で示されるような引張力P1が付与されると、アンボンド領域16以外の鉄筋11の表面が周囲のコンクリート21と付着しているので、矢印で示されるような付着力P3がコンクリート21に伝達される。しかし、アンボンド領域16においては、鉄筋11の表面が周囲のコンクリート21と付着していないので、付着力P3がコンクリート21に伝達されることがない。
図5に示される比較例においては、鉄筋11にアンボンド領域16が存在しない。つまり、鉄筋11の表面の全範囲に亘って凹凸15が存在している。そのため、鉄筋11の表面の全範囲に亘って付着力P3がコンクリート21に伝達される。なお、図5においては、図示が省略されているが、図2(b)に示されるような定着板14からの支圧力P2もコンクリート21に伝達される。したがって、付着力P3に加えて支圧力P2もコンクリート21に伝達されるので、いわゆるコーン状破壊がコンクリート21に発生し、図5に示されるように、略円錐状の領域であるコーン状破壊領域22で、コンクリート21が破壊する可能性が高くなる。なお、定着板14を備える鉄筋11と類似の形状を有するアンカーボルトに引張力が付与されると、図6に示されるように、アンカーボルトが埋め込まれているコンクリートにコーン状破壊が発生することは、既に知られている(例えば、非特許文献3参照。)。
土木学会、「コンクリートライブラリー141号 コンクリートのあと施工アンカー工法の設計・施工指針(案)」、2014.3
図3に示される静的引張試験においては、図7(a)〜(c)に示されるような3種類の試験体、すなわち、試験体S1、S3及びS4を使用した試験が行われている(例えば、非特許文献2参照。)。なお、図7(a)〜(c)において、P2’は支圧力であるが、鉄筋11の定着部としての半円形フック13又は定着板14が受ける支圧力を示し、半円形フック13又は定着板14からコンクリート21に伝達される支圧力P2とは、向きが反対であるが、同じ大きさの力である。また、P3’は付着力であるが鉄筋11が受ける付着力を示し、鉄筋11の表面からコンクリート21に伝達される付着力P3とは、向きが反対であるが、同じ大きさの力である。さらに、δ2は、半円形フック13又は定着板14の位置での変位を示している。
図7(a)に示されるように、試験体S1では、コンクリート21内における表面21aに比較的接近した位置に埋め込まれた鉄筋11は、その先端に標準フックとしての半円形フック13が形成されている。また、鉄筋11は、コンクリート21の表面21aと平行に延在する。そして、鉄筋11に引張力P1が付与されると、半円形フック13は支圧力P2’を受け、また、アンボンド処理が施されていない鉄筋11の表面は付着力P3’を受ける。
図7(b)に示されるように、試験体S3では、コンクリート21内における表面21aに比較的接近した位置に埋め込まれた鉄筋11は、その先端に機械式定着部材としての定着板14が取り付けられている。また、鉄筋11は、コンクリート21の表面21aと平行に延在する。そして、鉄筋11に引張力P1が付与されると、定着板14は支圧力P2’を受け、また、アンボンド処理が施されていない鉄筋11の表面は付着力P3’を受ける。
図7(c)に示されるように、試験体S4では、コンクリート21内における表面21aに比較的接近した位置に埋め込まれた鉄筋11は、その先端に機械式定着部材としての定着板14が取り付けられている。また、鉄筋11は、コンクリート21の表面21aと平行に延在する。そして、鉄筋11に引張力P1が付与されると、定着板14は支圧力P2’を受ける。しかし、鉄筋11の表面は、アンボンド処理が施されているので、付着力P3’を受けない。すなわち、P3’=0である。
そして、静的引張試験を行って得られた試験体S1、S3及びS4における引張力P1と支圧力P2’との関係は、図8に示されるようになっている。図8において、縦軸は鉄筋11に付与された引張力P1を示し、横軸は定着部としての半円形フック13又は定着板14が受けた支圧力P2’、すなわち、定着部負担力P2’を示している。
図8からは、試験体S4では、引張力P1の値と支圧力P2’の値とが等しく、コンクリート21にコーン状破壊が発生するときには、P2’=125〔kN〕であることが分かる。なお、試験体S3と試験体S4との相違点は、鉄筋11の表面にアンボンド処理が施されているか否かである。そして、試験体S3では、鉄筋11の表面が付着力P3’を受けるので、引張力P1が大きくなっているが、コンクリート21にコーン状破壊が発生するときの支圧力P2’の値は、P2’=85〔kN〕であって、試験体S4よりも小さくなっている。
また、静的引張試験を行って得られた試験体S1、S3及びS4における定着部の位置での変位δ2と支圧力P2’との関係は、図9に示されるようになっている。図9において、縦軸は定着部としての半円形フック13又は定着板14が受けた支圧力P2’、すなわち、定着部負担力P2’を示し、横軸は定着部の位置での変位δ2を示している。
図9からは、同じ支圧力P2’の値に対して、試験体S3での変位δ2の値が大きいこと、及び、試験体S1と試験体S4とでは、支圧力P2’に対する変位δ2の変化の挙動が近いことが、分かる。これらのことから、鉄筋11の表面が付着力P3’を受ける場合、単純に、P1=P2’+P3’となることがなく、支圧力P2’と付着力P3’との間に相互作用が働いていると推察され、定着板14の本来の性能が発揮されていない、と言える。換言すると、鉄筋11の表面と周囲のコンクリート21とが付着すると、定着板14の性能が低下する、と言える。
これは、コンクリート21における定着板14からの力である支圧力P2を受ける領域が、鉄筋11の表面からの付着力P3を既に受けているためである、と考えられる。つまり、図5に示されるコーン状破壊領域22では、鉄筋11の表面からの付着力P3を受けている分だけ、定着板14からの支圧力P2に対する抵抗力が小さくなっている、と言える。
したがって、図4に示されるように、定着板14からの支圧力P2を受ける領域であるコーン状破壊領域22に対応する範囲の鉄筋11の表面をアンボンド領域16とすれば、付着力P3に起因するコンクリート21の損傷が少なくなり、定着部としての定着板14の性能を標準フックとしての半円形フック13の挙動に近付けていくことが可能となる、すなわち、半円形フック13と同等の定着性能を得ることができる、と考えられる。
アンボンド領域16の長さLは、定着板14から、コーン状破壊領域22の円錐面状の破壊面22aがコンクリート21の表面21aに到達する点までの、鉄筋11の軸方向の長さである。つまり、円錐面である破壊面22aの頂角が2θ(中心軸と円錐面とのなす角、又は、円錐面とコンクリート21の表面21aとがなす角がθ)であり、定着板14の周縁からコンクリート21の表面21aまでの距離がc’であるとすると、L=c’/tanθと表すことができる。一般に、定着板14のサイズは鉄筋11の径によってほぼ決定されるので、かぶりの値及び鉄筋11の径が決まれば、コンクリート21の表面21aまでの距離c’の値を求めることができる。θの値は、実験等によって決定する必要がある。
なお、アンボンド領域16が形成され、定着板14を有する鉄筋11と、引張力に対する抵抗機構が似ていると言われる金属拡張式のアンカーボルトでは、図6に示されるように、一般的に、コーン状破壊領域22の破壊面22aの頂角の1/2の値が0〜45度となっている(例えば、非特許文献3及び4参照。)。したがって、前記θの値としては、45度が目安になると考えられる。つまり、前記θの値は略45度以下である。
鉄道総合技術研究所、「あと施工アンカー工法設計指針の手引き」、1987
このように、本実施の形態における鉄筋コンクリート構造物20は、コンクリート21と、コンクリート21に埋め込まれた鉄筋11とを備え、鉄筋11は、先端に取り付けられた定着板14と、定着板14から所定長さの範囲の表面に形成されたアンボンド領域16とを含み、所定長さは、コーン状破壊領域22の破壊面22aが鉄筋11の軸方向と平行に延在するコンクリート21の表面21aに到達する位置までの軸方向の長さである。これにより、鉄筋11の表面がコンクリート21と付着することによって発生する付着力P3に起因するコンクリート21の損傷が少なくなり、鉄筋11に定着板14のような機械式定着工法を採用しても、側面剥離破壊がコンクリート21に発生することを効果的に防止することができ、半円形フック13を使用した場合と同等の定着性能を発揮することができる。
また、コーン状破壊領域22は、アンボンド領域16を含まない鉄筋11に軸方向の引張力を付与したときに定着板14からの力である支圧力P2を受けてコンクリート21が破壊される領域である。このように、鉄筋11の表面にアンボンド領域16を形成しないと、コーン状破壊が発生する。
さらに、所定長さをLとし、定着板14の周縁からコンクリート21の表面21aまでの距離をc’とし、コーン状破壊領域22の破壊面22aの頂角の1/2をθとすると、L=c’/tanθである。さらに、θは、略45度以下である。このようにすると、アンボンド領域16を形成する範囲を容易に、かつ、適切に設定することができる。
さらに、鉄筋コンクリート構造物20は、土木構造物における柱梁接合部である。また、鉄筋11は、柱梁接合部における接合部内の柱軸方向鉄筋又は梁軸方向鉄筋である。このように、土木構造物においても、柱梁接合部の鉄筋11に定着板14のような機械式定着工法を採用することができる。
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
本開示は、鉄筋コンクリート構造物に適用することができる。
11 鉄筋
14 定着板
16 アンボンド領域
20 鉄筋コンクリート構造物
21 コンクリート
21a 表面
22 コーン状破壊領域
22a 破壊面

Claims (4)

  1. コンクリートと、該コンクリートに埋め込まれた軸方向鉄筋とを備え、
    該軸方向鉄筋は、先端に取り付けられた機械式定着部材と、該機械式定着部材から所定長さの範囲の表面に形成されたアンボンド領域とを含み、
    前記所定長さは、コーン状破壊領域の破壊面が前記軸方向鉄筋の軸方向と平行に延在する前記コンクリートの表面に到達する位置までの軸方向の長さである鉄筋コンクリート構造物であって、
    前記コーン状破壊領域は、前記アンボンド領域を含まない軸方向鉄筋に軸方向の引張力を付与したときに前記機械式定着部材からの力を受けて前記コンクリートが破壊される領域であることを特徴とする鉄筋コンクリート構造物。
  2. 前記所定長さをLとし、前記機械式定着部材の周縁から前記コンクリートの表面までの距離をc’とし、前記コーン状破壊領域の破壊面の頂角の1/2をθとすると、
    L=c’/tanθ
    である請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物。
  3. 前記θは、略45度以下である請求項に記載の鉄筋コンクリート構造物。
  4. 前記軸方向鉄筋は、柱梁接合部における接合部内の柱軸方向鉄筋又は梁軸方向鉄筋である請求項1〜のいずれか1項に記載の鉄筋コンクリート構造物。
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