最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一実施態様に係るプローブ情報作成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、リンク端点の位置の情報を少なくとも含む道路データと前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報とに基づいて、前記リンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻を決定する通過時刻決定部と、前記リンク端点近傍位置と前記通過時刻決定部が決定した前記時刻とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部としてコンピュータを機能させる。
この構成によると、リンク端点近傍位置とリンク端点近傍位置を車両が通過する時刻とに基づいて第2のプローブ情報が作成される。つまり、リンク端点近傍位置以外のリンクの途中の位置の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第2のプローブ情報を作成することができる。よって、プローブ情報作成部が作成した第2のプローブ情報は旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
(2)また、前記プローブ情報作成部は、前記第2のプローブ情報として、前記リンク端点近傍位置と前記通過時刻決定部が決定した前記時刻とを含んでいてもよい。
この構成によると、リンク端点近傍位置とリンク端点近傍位置を車両が通過する時刻とに基づいて第2のプローブ情報が作成される。これにより、リンク端点近傍位置以外のリンクの途中の位置の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第2のプローブ情報を作成することができる。
(3)また、前記プローブ情報作成プログラムは、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記リンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻を基準時刻とした所定時間間隔の時刻に前記車両が通過する位置を決定する通過位置決定部としてコンピュータを機能させ、前記プローブ情報作成部は、さらに、前記基準時刻から前記所定時間間隔の時刻と前記通過位置決定部が決定した前記位置とに基づいて、第3のプローブ情報を作成してもよい。
リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、所定時間間隔の車両の走行軌跡を示す第3のプローブ情報を作成することができるため、リンク端点間のプローブ情報を補間することができる。このため、マップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は所定時間間隔の情報であり、時間的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(4)また、前記プローブ情報作成部は、前記基準時刻から前記所定時間間隔の時刻に最も近い時刻の情報を含むプローブ情報を、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報から選択することにより、前記第3のプローブ情報を作成してもよい。
この構成によると、プローブ情報取得部が取得した第1のプローブ情報からプローブ情報が選択されることにより、第3のプローブ情報が作成される。このため、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、第3のプローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
(5)また、前記通過時刻決定部は、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記リンク端点近傍位置を基準位置とした所定距離間隔の位置を前記車両が通過する時刻を決定し、前記プローブ情報作成部は、さらに、前記基準位置から前記所定距離間隔の位置と前記通過時刻決定部が決定した当該位置を前記車両が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成してもよい。
リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、所定距離間隔の車両の走行軌跡を示す第3のプローブ情報を作成することができるため、リンク端点間のプローブ情報を補間することができる。このため、マップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は所定距離間隔の情報であり、距離的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(6)また、前記プローブ情報作成部は、前記基準位置から前記所定距離間隔の位置に最も近い位置の情報を含むプローブ情報を、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報から選択することにより、前記第3のプローブ情報を作成してもよい。
この構成によると、プローブ情報取得部が取得した第1のプローブ情報からプローブ情報が選択されることにより、第3のプローブ情報が作成される。このため、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、第3のプローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
(7)また、前記道路データは、さらにリンク上の特徴点の位置の情報を含み、前記通過時刻決定部は、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記特徴点の位置を前記車両が通過する時刻を決定し、前記プローブ情報作成部は、さらに、前記特徴点の位置と前記通過時刻決定部が決定した当該特徴点の位置を前記車両が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成してもよい。
リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、道路の曲がり角を示す屈曲点、道路の勾配が変化する箇所を示す勾配変化点、または、トンネルの入口もしくは出口など道路の種別が変化する箇所を示す道路種別変化点などの特徴点の位置情報を含む第3のプローブ情報が作成される。よって、リンク端点間のプローブ情報を補間することができる。このため、マップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は特徴点における情報であり、距離的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(8)また、前記プローブ情報作成部は、前記特徴点の位置に最も近い位置の情報を含むプローブ情報を、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報から選択することにより、前記第3のプローブ情報を作成してもよい。
この構成によると、プローブ情報取得部が取得した第1のプローブ情報からプローブ情報が選択されることにより、第3のプローブ情報が作成される。このため、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、第3のプローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
(9)また、前記プローブ情報作成部は、所定の条件を満たすリンクである所定リンクについては、2つのリンク端点近傍位置のうち少なくとも一方のリンク端点近傍位置は除いて、リンク情報を作成してもよい。
例えば、交差点流入部と交差点流出部とを端点とする交差点内リンクは距離が短い。このように距離の短いリンクについては、2つのリンク端点近傍位置のうち少なくとも一方のリンク端点近傍位置を除いてリンク情報を作成しても、他のリンクのリンク端点近傍位置に係るプローブ情報が分かっていれば、旅行時間情報を生成することができる場合がある。これにより、旅行時間情報の生成に不必要なリンク情報の作成を抑制することができるため、ドライバーのプライバシーを保護した上で、旅行時間情報の生成に必要なプローブ情報を作成することができる。
(10)また、前記プローブ情報作成プログラムは、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、リンク上の渋滞区間を決定する渋滞区間決定部としてコンピュータを機能させ、前記通過時刻決定部は、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記渋滞区間の端点の近傍を含む前記渋滞区間の端点位置を前記車両が通過する時刻を決定し、前記プローブ情報作成部は、さらに、前記渋滞区間の端点位置と、前記通過時刻決定部が決定した前記渋滞区間の端点位置を通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成してもよい。
この構成によると、渋滞区間の端点位置と当該端点位置を車両が通過する時刻とに基づいて第3のプローブ情報が作成される。これにより、プローブ情報作成部が作成した第3のプローブ情報を、渋滞区間情報の生成にも用いることができる。なお、渋滞区間の端点位置に係る第3のプローブ情報が作成されるため、渋滞区間の途中の位置の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第3のプローブ情報を作成することができる。よって、プローブ情報作成部が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報は旅行時間情報および渋滞区間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報及び渋滞区間情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
(11)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記プローブ情報取得部が取得した少なくとも1台以上の前記車両の前記第1のプローブ情報に基づいて、1台以上の前記車両が処理対象リンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、所定時間に前記処理対象リンクを走行する前記車両の台数を取得する台数取得部と、前記旅行時間算出部が算出した前記旅行時間と、前記台数取得部が取得した前記車両の台数とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部としてコンピュータを機能させる。
この構成によると、プローブ情報取得部が取得した第1のプローブ情報に基づいて、旅行時間を一旦算出し、算出した旅行時間に基づいて仮想的な第2のプローブ情報が作成される。作成された仮想的な第2のプローブ情報を用いることにより、他の処理装置は、旅行時間算出部が算出したのと同一または類似する旅行時間を算出することができる。また、旅行時間情報以外の交通情報の生成を行うことができないような第2のプローブ情報を仮想的に作り出すことができる。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
(12)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、前記リンクの距離および前記旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部としてコンピュータを機能させ、前記プローブ情報作成部は、第1リンクの最上流の第2のプローブ情報と、前記第1リンクの上流に連続する第2リンクの最下流の第2のプローブ情報との間隔が前記所定間隔となるように、前記第2のプローブ情報を作成する。
この構成によると、リンクの距離および当該リンクの旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報が作成される。つまり、所定距離間隔ではない位置または所定時間間隔ではない時刻の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第2のプローブ情報が作成される。よって、プローブ情報作成部が作成した第2のプローブ情報は旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。なお、リンクが連続している場合であっても、所定間隔の車両の走行軌跡を示す第2のプローブ情報が作成される。このため、所定間隔のプローブ情報しか扱うことのできない処理装置でも処理できるような第2のプローブ情報を作成することができる。
(13)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成プログラムは、複数の車両の各々について、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記車両ごとに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、当該車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、前記複数の車両の前記旅行時間に基づく代表旅行時間を用いて、前記車両ごとに、前記第1のプローブ情報を正規化し、リンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻が統一された第2のプローブ情報を作成するプローブ情報正規化部としてコンピュータを機能させる。
この構成によると、複数の車両の第1のプローブ情報を、代表旅行時間を用いて正規化することにより、旅行時間が正規化された第2のプローブ情報を、車両ごとに得ることができる。このように、第2のプローブ情報の旅行時間が正規化されているため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
(14)また、上述のプローブ情報作成プログラムは、さらに、前記第2のプローブ情報の中から、所定間隔で前記車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を抽出することにより、第3のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部としてコンピュータを機能させてもよい。
これらの第2のプローブ情報から所定間隔の位置または所定間隔の時刻の情報を含む第3のプローブ情報を作成することにより、旅行時間が正規化され、かつデータ量が削減された第3のプローブ情報を作成することができる。
(15)また、前記プローブ情報作成部は、前記第3のプローブ情報に含まれる連続する所定個数の情報の中に同一の車両の前記情報が含まれないように、前記複数の車両の前記第2のプローブ情報の中から前記所定間隔で前記情報を抽出することにより、前記第3のプローブ情報を作成してもよい。
この構成によると、複数の車両から満遍なく情報を抽出して、第3プローブ情報を作成することができる。これにより、さらにドライバーのプライバシーの保護を強化することができる。
(16)また、前記プローブ情報正規化部は、前記車両ごとに、前記代表旅行時間を、前記第1のプローブ情報に含まれる前記位置に係る距離に基づいて案分することにより、当該位置を通過する時刻を決定してもよい。
例えば、リンクの上流から下流に向けて減速する車両の第1プローブ情報と、リンクの上流から下流に向けて加速する車両の第1プローブ情報とが含まれる場合に、正規化を行わずに、これらの第1プローブ情報をマージすると、リンクの上流から下流に向けて通過時刻を辿った場合に、時間が過去に遡るという不具合が生じる場合がある。しかし、この構成によると、各車両が等速走行していると仮定して第1のプローブ情報の正規化を行うことができる。このため、通過時刻の不具合を生じさせずに、複数の車両の第2プローブ情報から第3のプローブ情報を作成することができる。
(17)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成プログラムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、リンク上の車両の走行に関する交通情報と、前記第1のプローブ情報とに基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部としてコンピュータを機能させる。
この構成によると、第1のプローブ情報を、交通情報に合致するように変換して、第2プローブ情報を作成することができる。例えば、リンクの途中で車両が頻繁に減速していることを示す交通情報が統計的に得られているような場合には、当該箇所の通過時に減速するような第2のプローブ情報を作成することができる。これにより、過去の統計情報に沿ったプローブ情報を作成することができ、信頼性の高いプローブ情報を作成することができる。
(18)また、上述のプローブ情報作成プログラムは、さらに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、前記旅行時間に基づいて、前記第1のプローブ情報を正規化するプローブ情報正規化部としてコンピュータを機能させ、前記プローブ情報作成部は、前記交通情報と、正規化された前記第1プローブ情報とに基づいて、前記所定間隔の前記第2のプローブ情報を作成する。
この構成によると、旅行時間に基づいて、第1のプローブ情報が正規化される。このため、複数の車両から第1プローブ情報が取得されたような場合であっても、旅行時間を揃えた上で第2プローブ情報を作成することができる。
(19)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するステップと、リンク端点の位置の情報を少なくとも含む道路データと前記取得するステップにおいて取得された前記第1のプローブ情報とに基づいて、前記リンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻を決定するステップと、前記リンク端点近傍位置と前記決定するステップにおいて決定された前記時刻とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するステップとを含む。
この構成は、(1)に示したプローブ情報作成プログラムの各処理部に対応するステップを構成として有する。このため、(1)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(20)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得された少なくとも1台以上の前記車両の前記第1のプローブ情報に基づいて、1台以上の前記車両が処理対象リンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出するステップと、所定時間に前記処理対象リンクを走行する前記車両の台数を取得するステップと、前記算出するステップにおいて算出された前記旅行時間と、前記取得するステップにおいて取得された前記車両の台数とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するステップとを含む。
この構成は、(11)に示したプローブ情報作成プログラムの各処理部に対応するステップを構成として有する。このため、(11)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(21)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するステップと、前記取得するステップにおいて取得された前記第1のプローブ情報に基づいて、前記車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出するステップと、前記リンクの距離および前記旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するステップとを含み、前記作成するステップにおいて、第1リンクの最上流の第2のプローブ情報と、前記第1リンクの上流に連続する第2リンクの最下流の第2のプローブ情報との間隔が前記所定間隔となるように、前記第2のプローブ情報を作成する。
この構成は、(12)に示したプローブ情報作成プログラムの各処理部に対応するステップを構成として有する。このため、(12)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(22)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成方法は、複数の車両の各々について、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するステップと、前記車両ごとに、前記取得するステップにおいて取得された前記第1のプローブ情報に基づいて、当該車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出するステップと、前記複数の車両の前記旅行時間に基づく代表旅行時間を用いて、前記車両ごとに、前記第1のプローブ情報を正規化することにより第2のプローブ情報を作成するステップとを含む。
この構成は、(13)に示したプローブ情報作成プログラムの各処理部に対応するステップを構成として有する。このため、(13)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(23)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成方法は、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するステップと、リンク上の車両の走行に関する交通情報と、前記第1のプローブ情報とに基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するステップとを含む。
この構成は、(17)に示したプローブ情報作成プログラムの各処理部に対応するステップを構成として有する。このため、(17)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(24)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、リンク端点の位置の情報を少なくとも含む道路データと前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報とに基づいて、前記リンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻を決定する通過時刻決定部と、前記リンク端点近傍位置と前記通過時刻決定部が決定した前記時刻とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部とを備える。
この構成は、(1)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の構成を有する。このため、(1)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(25)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記プローブ情報取得部が取得した少なくとも1台以上の前記車両の前記第1のプローブ情報に基づいて、1台以上の前記車両が処理対象リンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、所定時間に前記処理対象リンクを走行する前記車両の台数を取得する台数取得部と、前記旅行時間算出部が算出した前記旅行時間と、前記台数取得部が取得した前記車両の台数とに基づいて、第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部とを備える。
この構成は、(11)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の構成を有する。このため、(11)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(26)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、前記車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、前記リンクの距離および前記旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部とを備え、前記プローブ情報作成部は、第1リンクの最上流の第2のプローブ情報と、前記第1リンクの上流に連続する第2リンクの最下流の第2のプローブ情報との間隔が前記所定間隔となるように、前記第2のプローブ情報を作成する。
この構成は、(12)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の構成を有する。このため、(12)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(27)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成システムは、複数の車両の各々について、当該車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、前記車両ごとに、前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報に基づいて、当該車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、前記複数の車両の前記旅行時間に基づく代表旅行時間を用いて、前記車両ごとに、前記第1のプローブ情報を正規化することにより第2のプローブ情報を作成するプローブ情報正規化部とを備える。
この構成は、(13)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の構成を有する。このため、(13)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(28)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報作成システムは、車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、リンク上の車両の走行に関する交通情報と、前記第1のプローブ情報とに基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部とを備える。
この構成は、(17)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の構成を有する。このため、(17)に示したプローブ情報作成プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(29)本発明の他の一実施態様に係るプローブ情報群は、少なくとも1つのリンクを走行する少なくとも1台の車両の走行軌跡を示す複数のプローブ情報により構成されるプローブ情報群であって、各プローブ情報は、前記車両の位置および当該位置を通過する時刻を少なくとも含み、前記複数のプローブ情報のうち、前記車両の位置がリンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置であるプローブ情報の占める割合が第1所定値以上である。
この構成によると、プローブ情報群を構成する複数のプローブ情報のうち、第1所定値以上の割合のプローブ情報はリンク端点近傍位置の情報を含んでいる。第1所定値を大きな値とすることにより、プローブ情報群に含まれる大部分のプローブ情報はリンク端点近傍位置のプローブ情報となる。このため、このプローブ情報群は、旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。よって、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報群を提供することができる。
(30)また、前記複数のプローブ情報のうち、前記車両の位置が渋滞区間内の位置であるプローブ情報の占める割合が第2所定値以上であってもよい。
この構成によると、プローブ情報群を構成する複数のプローブ情報のうち、第2所定値以上の割合のプローブ情報は、渋滞区間内の位置の情報を含んでいる。第2所定値を大きな値とすることにより、プローブ情報群に含まれる大部分のプローブ情報はリンク端点近傍位置または渋滞区間内の位置における車両のプローブ情報となる。このため、このプローブ情報群は、旅行時間情報および渋滞区間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。よって、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報および渋滞区間情報を生成するためのプローブ情報群を提供することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(実施の形態1)
[1−1.交通情報提供システムの全体構成]
図1は、実施の形態1に係る交通情報提供システムの構成を示すブロック図である。
交通情報提供システム100は、車両6に搭載されたプローブ端末から車両6の移動軌跡を示す第1のプローブ情報を取得し、車両6に対して旅行時間情報などの交通情報を提供するシステムである。交通情報提供システム100は、インターネットなどのネットワーク4を介して相互に接続されたプローブ情報収集サーバ1と、プローブ情報作成装置2と、交通情報提供装置3とを備える。
プローブ情報収集サーバ1は、道路を走行する複数の車両6に搭載されたプローブ端末から、車両6の位置および当該位置を通過する時刻の情報を含む第1のプローブ情報を収集する。つまり、車両6のプローブ端末は、ネットワーク4に接続された無線基地局5との間で無線通信を行い、無線基地局5およびネットワーク4を介してプローブ情報収集サーバ1に第1のプローブ情報を送信する。プローブ情報収集サーバ1は、第1のプローブ情報を受信する。プローブ情報収集サーバ1は、複数の車両6から収集した第1のプローブ情報をプローブ情報作成装置2に送信する。プローブ情報収集サーバ1は、予め定められた時間間隔で第1のプローブ情報をプローブ情報作成装置2に送信するようにしてもよいし、予め定められた数の第1のプローブ情報が集まった時点で第1のプローブ情報をプローブ情報作成装置2に送信するようにしてもよい。
プローブ情報作成装置2は、プローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報を受信する。プローブ情報作成装置2は、受信した第1のプローブ情報に基づいて、ドライバーのプライバシーを保護した新たな第2のプローブ情報を作成し、作成した第2のプローブ情報を交通情報提供装置3に送信する。プローブ情報作成装置2による第2のプローブ情報作成処理の詳細については後述する。
交通情報提供装置3は、プローブ情報作成装置2から第1のプローブ情報を受信し、受信した第1のプローブ情報を用いて、旅行時間情報などの交通情報を生成する。交通情報提供装置3は、生成した交通情報を、ネットワーク4および無線基地局5を介して、車両6に搭載されたカーナビゲーションシステムまたは車両6のドライバーが所有するスマートフォンなどに送信する。カーナビゲーションシステム、またはスマートフォンで実行されるカーナビゲーションシステムソフトウェアは、受信した交通情報に基づいて目的地までの経路探索を行ったり、ドライバーに対して交通情報の提供を行ったりすることができる。
[1−2.プローブ情報作成装置2の構成]
図2は、実施の形態1に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
プローブ情報作成装置2は、通信I/F(インタフェース)部21と、プローブ情報取得部22と、プローブ情報記憶部23と、道路データ記憶部24と、通過時刻決定部25と、プローブ情報作成部26と、プローブ情報提供部27とを備える。
通信I/F部21は、ネットワーク4に接続され、ネットワーク4を介してプローブ情報収集サーバ1および交通情報提供装置3とデータの送受信を行うための通信インタフェースであり、LAN(Local Area Network)アダプタなどにより構成される。
プローブ情報取得部22は、通信I/F部21を介して、プローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報を取得する。プローブ情報取得部22は、取得した第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報記憶部23は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報を記憶する記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。
図3は、車両6のプローブ端末から収集する第1のプローブ情報のフォーマットの一例を示す図である。車両6のプローブ端末は、所定時間間隔(例えば、30秒間隔)または所定距離間隔(例えば、100m間隔)で第1のプローブ情報を取得する。第1のプローブ情報は、車両ID情報と、位置情報と、時刻情報と、方位情報と、燃費情報とを含む。
車両ID情報は、車両6または車両6のプローブ端末を識別するための情報である。位置情報は、車両6の走行位置を緯度および経度により示す情報である。時刻情報は、位置情報を取得した時刻を示す情報である。方位情報は、車両6の進行方向を示す情報である。燃費情報は、車両6の燃費を示す情報である。
図2を参照して、道路データ記憶部24は、リンク端点(例えば、交差点)の位置情報を少なくとも含む道路データを記憶している記憶装置であり、HDDなどにより構成される。図4は、道路地図の一例を示す図である。道路地図には、リンクL1〜L24と交差点C1〜C4とが示されている。リンクとは、一般的には隣接する2交差点間の道路区間を指すが、広い交差点などの場合には、交差点流入部と交差点流出部とをリンク端点とした交差点内リンクが、リンクの一態様として設けられることがある。例えば、リンクL2は、交差点C1と交差点C2とをリンク端点とするリンクである。なお、交差点C1と交差点C2とをリンク端点とするリンクには、リンクL2の他にリンクL5がある。リンクL5は、リンクL2の対向車線道路である。このように同じ道路であっても、進行方向によってリンクは区別される。
通過時刻決定部25は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出す。通過時刻決定部25は、道路データ記憶部24に記憶されている道路データとプローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報とに基づいて、処理対象リンクのリンク端点およびリンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を決定する。ここで、リンク端点の近傍とは、リンク端点と同視可能な範囲を示し、例えば、リンク端点から10m以内の範囲を指す。なお、通過時刻決定部25が、リンク端点位置ではなくリンク端点近傍位置の通過時刻を決定することとしたのは、リンク端点位置通過時の第1のプローブ情報が得られないなどの理由により、リンク端点位置の通過時刻が決定できない場合等もあり得るからである。図4に示す道路地図において、車両6は、リンクL1、リンクL2、リンクL3の順に走行するものとする。車両6の第1のプローブ情報が取得された位置(以下、「プローブ位置」という)を丸印で示している。つまり、プローブ位置7が車両6の走行軌跡を示している。処理対象リンクをリンクL2とした場合、通過時刻決定部25は、リンクL2のリンク端点近傍位置、つまり交差点C1および交差点C2を車両6が通過する時刻を決定する。リンク端点近傍位置の通過時刻の決定方法については後述する。なお、処理対象リンクは、道路データに含まれるすべてのリンクであってもよいし、予め定められた一部のリンクであってもよい。
プローブ情報作成部26は、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と通過時刻決定部25が決定した当該リンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第2のプローブ情報を作成する。上述の例では、プローブ情報作成部26は、リンクL2の一方のリンク端点近傍位置である交差点C1の位置と、交差点C1を車両6が通過する時刻との情報を含む第2のプローブ情報を作成する。また、プローブ情報作成部26は、リンクL2の他方のリンク端点近傍位置である交差点C2の位置と、交差点C2を車両6が通過する時刻との情報とを含む第2のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、プローブ情報記憶部23から、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報を読み出し、読み出した第2のプローブ情報を通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する。
[1−3.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図5は、実施の形態1に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。プローブ情報作成装置2は、図5に示す処理を、各車両6の一連の移動軌跡を示す第1のプローブ情報の集まりごとに、繰り返し実行する。
プローブ情報取得部22は、通信I/F部21を介して、プローブ情報収集サーバ1から、車両6に搭載されたプローブ端末が収集した第1のプローブ情報を取得する(S1)。プローブ情報取得部22は、取得した第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
通過時刻決定部25は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出す。通過時刻決定部25は、道路データ記憶部24に記憶されている道路データに基づいて、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報から、処理対象リンクのリンク端点の近傍を含むリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を決定する(S2)。
図6は、通過時刻決定処理(図5のS2)について説明するための図である。図6(a)では、リンクL1、リンクL2およびリンクL3を車両6が通過することにより得られるプローブ位置7を白丸で示しており、各リンクのリンク端点近傍位置、つまり交差点の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置7における車両6の通過時刻を矩形枠内に示している。例えば、交差点C1の前後のプローブ位置7であるプローブ位置7Aおよびプローブ位置7Bの通過時刻は、それぞれ「10:05:25」および「10:05:30」である。図6(b)に示すように、プローブ位置7Aから交差点C1までの距離と、プローブ位置7Bから交差点C1までの距離との比は、2:3である。このため、通過時刻決定部25は、プローブ位置7Aとプローブ位置7Bとの間の通過時間(5秒間)を距離の比で案分することにより、交差点C1の通過時刻を「10:05:27」と決定する。図6(c)は、このようにして求められた各交差点位置の通過時刻を示している。なお、リンク端点近傍位置を通過する時刻が第1のプローブ情報より分かっている場合には、このような処理を行う必要が無いのは言うまでもない。また、リンク端点の近傍(例えば、リンク端点から5m以内)を含めた位置を、リンク端点近傍位置としてもよい。
プローブ情報作成部26は、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と通過時刻決定部25が決定した当該リンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第2のプローブ情報を作成する。例えば、プローブ情報作成部26は、図6(c)に黒丸で示す交差点ごとに、当該交差点の位置と、矩形枠内に示す当該交差点の通過時刻との情報を含む第2のプローブ情報を作成する(S3)。プローブ情報作成部26は、作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
図7は、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報のフォーマットの一例を示す図である。第2のプローブ情報は、車両ID情報と、位置情報と、時刻情報とを含む。図3に示した車両6のプローブ端末から収集した第1のプローブ情報と比較すると、図7には方位情報および燃費情報がない。これは、旅行時間情報の生成のためにはこれらの情報は必要がなく、また、プライバシー保護の観点からもこれらの情報は必要が無いからである。
プローブ情報提供部27は、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S4)。
[1−4.実施の形態1の効果等]
実施の形態1によると、リンク端点近傍位置とリンク端点近傍位置を車両が通過する時刻とに基づいて第2のプローブ情報が作成される。つまり、リンク端点近傍位置以外のリンクの途中の位置の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第2のプローブ情報を作成することができる。よって、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報は旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
なお、実施の形態1では、リンクごとに2つのリンク端点近傍位置の第2のプローブ情報を作成したが、所定リンクについて、2つのリンク端点近傍位置のうちの少なくとも一方のリンク端点近傍位置は除いて、第2のリンク情報を作成してもよい。例えば、リンク端点近傍位置間の距離が所定閾値未満(例えば、50m未満)のリンクを所定リンクとしてもよい。また、交差点内リンクを所定リンクとしてもよい。交差点流入部と交差点流出部とを端点とする交差点内リンクは端点間の距離が短い。このように距離の短いリンクについては、2つのリンク端点近傍位置のうち少なくとも一方のリンク端点近傍位置を除いてリンク情報を作成しても、他のリンクのリンク端点近傍位置に係る第2のプローブ情報が分かっていれば、旅行時間情報を生成することができる場合がある。これにより、旅行時間情報の生成に不必要なリンク情報の作成を抑制することができるため、ドライバーのプライバシーを保護した上で、旅行時間情報の生成に必要な第2のプローブ情報を作成することができる。
なお、2つのリンク端点近傍位置のうち一方のリンク端点近傍位置を除く場合には、車両6の進行において後に出現するリンク端点近傍位置を除き、先に出現するリンク端点近傍位置を残すようにしてもよい。例えば、図6(c)に示す交差点C1およびC2のうち一方を除く場合には、交差点C2を除き、かつ交差点C1を残した上で、交差点C1についての第2のプローブ情報を作成してもよい。
また、リンク単位でリンク端点近傍位置の第2のプローブ情報を作成するのではなく、複数のリンクを1つの仮想リンクとみなして、仮想リンク単位でリンク端点近傍位置の第2のプローブ情報を作成してもよい。例えば、図6(c)に示す3つのリンクを1つの仮想リンクとみなして、仮想リンクのリンク端点近傍位置の第2のプローブ情報(「10:05:10」および「10:06:02」のプローブ情報)を作成し、仮想リンクの途中位置の第2のプローブ情報(「10:05:27」および「10:05:42」のプローブ情報)は作成しないようにしてもよい。プローブ情報作成装置2と交通情報提供装置3との間でリンクの定義が異なる場合がある。例えば、プローブ情報作成装置2は交差点間をリンクと定義するのに対し、交通情報提供装置3は小さな交差点は無視し、主要交差点間をリンクと定義する場合がある。このような場合に、仮想リンク単位の第2のプローブ情報を提供することで、交通情報提供装置3の定義するリンク単位で旅行時間情報を生成するために必要な第2のプローブ情報を提供することができる。また、交通情報提供装置3が定義するリンクより小さなサブリンク単位での旅行時間情報の生成を抑制することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、リンク端点近傍位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第2のプローブ情報を作成した。これに対し、実施の形態2では、さらに、リンクの途中の位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第3のプローブ情報を作成する。
実施の形態2に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。ただし、実施の形態2では、プローブ情報作成装置2の構成が実施の形態1と一部異なる。なお、以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については、その詳細な説明を繰り返さない。
[2−1.プローブ情報作成装置2の構成]
図8は、実施の形態2に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
プローブ情報作成装置2は、図2に示した実施の形態1に係るプローブ情報作成装置2の構成において、さらに、通過位置決定部28を備える。
通過位置決定部28は、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を基準時刻として、基準時刻から所定時間間隔の各時刻に車両6が通過する位置を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。これにより、処理対象リンクの途中の位置が順次決定される。
プローブ情報作成部26は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報を作成する。それに加え、プローブ情報作成部26は、上記基準時刻から所定間隔の時刻と通過位置決定部28が決定した位置とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する。これにより、処理対象リンクのリンク端点のみならず、処理対象リンクの途中の位置においてもプローブ情報が作成される。
[2−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図9は、実施の形態2に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。プローブ情報作成装置2は、図9に示す処理を、各車両6の一連の移動軌跡を示す第1のプローブ情報の集まりごとに、繰り返し実行する。
ステップS1〜S3の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS3までの処理で、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報が作成される。
次に、通過位置決定部28は、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を基準時刻として、基準時刻から所定時間間隔の各時刻に車両6が通過する位置を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する(S5)。
図10は、通過位置決定処理(図9のS5)について説明するための図である。
処理対象リンクをリンクL8とし、リンクL8のリンク端点、つまり交差点C3およびC4の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置を白丸で示している。図10(a)に示すように、ステップS1〜S3の処理により、交差点C3およびC4のプローブ位置における通過時刻が、「10:00:00」および「10:10:00」とそれぞれ求められているものとする。図10(b)に示すように、2つの通過時刻のうち、早い方の通過時刻である「10:00:00」を基準時刻として、通過位置決定部28は、「10:01:00」、「10:02:00」のように1分ごとの時刻(以下、「所定間隔時刻」という)に車両6が通過する位置を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。通過位置決定部28は、所定間隔時刻の情報を含む第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されている場合には、そのプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出すことで、通過位置を決定する。
通過位置決定部28は、所定間隔時刻の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、所定間隔時刻の前後の時間において、それぞれ最も近い時刻の情報を含む第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出す。通過位置決定部28は、読み出した2つの第1のプローブ情報のプローブ位置間の距離を、2つの第1のプローブ情報の所定間隔時刻からの時間の比で案分することにより、車両6が通過する位置を決定する。例えば、図10(c)に示すように、所定間隔時刻「10:03:00」の前後の時刻の第1のプローブ情報として、通過時刻が「10:02:57」および「10:03:02」の第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出したとする。前者のプローブ位置を7Eとし、後者のプローブ位置を7Fとする。なお、プローブ位置7Eの通過時刻から所定間隔時刻までの時間と、プローブ位置7Fの通過時刻から所定間隔時刻までの時間との比は、3:2である。このため、通過位置決定部28は、プローブ位置7Eとプローブ位置7Fとの間の距離を時間の比で案分することにより、所定間隔時刻の車両6の通過位置を決定する。なお、通過位置決定部28は、プローブ位置7Eとプローブ位置7Fとの間の距離、および上記通過位置を決定する際に、道路データ記憶部24に記憶されている道路データを参照してもよい。これにより、距離および通過位置を正確に求めることができる。
なお、通過位置決定部28は、所定間隔時刻の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、所定間隔時刻に最も近い時刻の情報を含む第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から選択して読み出すことで、通過位置を決定してもよい。つまり、プローブ情報作成部26は、所定間隔時刻に最も近い時刻の情報を含むプローブ情報を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報から選択することにより、第3のプローブ情報を作成することができる。これにより、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、プローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
プローブ情報作成部26は、所定間隔時刻と、所定間隔時刻における車両6の通過位置とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する(S6)。例えば、プローブ情報作成部26は、図10(b)の交差点C3およびC4を除くリンクL8の途中の位置における所定間隔時刻と、当該所定間隔時刻における白丸で示す車両6の通過位置との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、作成した第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、ステップS3およびS6の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S7)。これにより、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と処理対象リンクの途中の位置とにおけるプローブ情報が提供される。
[2−3.実施の形態2の効果等]
実施の形態2によると、所定時間間隔の車両6の走行軌跡を示す第3のプローブ情報を作成することができるため、リンク端点間のプローブ情報を補間することができる。リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、リンク端点間のプローブ情報が補間されているためマップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は所定時間間隔の情報であり、時間的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態2と同様に、リンクの途中の位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第3のプローブ情報を作成する。ただし、プローブ情報作成方法が実施の形態2とは異なる。
実施の形態3に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の部分については、その詳細な説明は繰り返さない。なお、実施の形態4以降についても同様とする。
[3−1.プローブ情報作成装置2の構成]
プローブ情報作成装置2の構成は、図2に示した通りである。ただし、一部の構成が実施の形態1とは異なる。
つまり、通過時刻決定部25は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を決定する。それに加え、通過時刻決定部25は、リンク端点近傍位置を基準位置として、基準位置から所定距離間隔の各位置を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。これにより、処理対象リンクの途中の位置の通過時刻が順次決定される。
プローブ情報作成部26は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報を作成する。それに加え、プローブ情報作成部26は、上記基準位置から所定距離間隔の位置と通過時刻決定部25が決定した当該位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する。これにより、処理対象リンクのリンク端点のみならず、処理対象リンクの途中の位置においてもプローブ情報が作成される。
[3−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図11は、実施の形態3に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。プローブ情報作成装置2は、図11に示す処理を、各車両6の一連の移動軌跡を示す第1のプローブ情報の集まりごとに、繰り返し実行する。
ステップS1〜S3の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS3までの処理で、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報が作成される。
次に、通過時刻決定部25は、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を基準位置として、基準位置から所定距離間隔の各位置を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する(S8)。
図12は、通過時刻決定処理(図11のS8)について説明するための図である。
処理対象リンクをリンクL8とし、リンクL8のリンク端点、つまり交差点C3およびC4の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置を白丸で示している。図12(a)に示すように、ステップS1〜S3の処理により、交差点C3およびC4のプローブ位置における通過時刻が、「10:00:00」および「10:10:00」とそれぞれ求められているものとする。図12(b)に示すように、2つの通過時刻のうち、早い方の通過時刻である「10:00:00」に車両6が通過した交差点C3の位置を基準位置として、通過時刻決定部25は、100mごとの位置(以下、「所定間隔位置」という)を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。通過時刻決定部25は、所定間隔位置の情報を含む第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されている場合には、そのプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出すことで、通過時刻を決定する。なお、所定間隔位置は、道路データ記憶部24に記憶されている道路データを参照することにより、正確に求めることができる。
通過時刻決定部25は、所定間隔位置の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、所定間隔位置の前後の範囲において、それぞれ最も近い位置の情報を含む第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出す。通過時刻決定部25は、読み出した2つの第1のプローブ情報のプローブ位置間の通過時間を、2つの第1のプローブ情報の所定間隔位置からの距離の比で案分することにより、車両6が所定間隔位置を通過する時刻を決定する。距離の比に基づく案分処理より通過時刻を決定する処理は、図6(b)を参照して説明した通りである。
なお、通過時刻決定部25は、所定間隔位置の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、所定間隔位置に最も近い位置の情報を含む第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から選択して読み出すことで、通過時刻を決定してもよい。つまり、プローブ情報作成部26は、所定間隔位置に最も近い位置の情報を含むプローブ情報を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報から選択することにより、第3のプローブ情報を作成することができる。これにより、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、プローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
プローブ情報作成部26は、所定間隔位置と、所定間隔位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する(S9)。例えば、プローブ情報作成部26は、図12(b)の交差点C3およびC4を除くリンクL8の途中の位置における白丸で示す所定間隔位置と、当該所定間隔位置の通過時刻との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、作成した第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、ステップS3およびS9の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S10)。これにより、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と処理対象リンクの途中の位置とにおけるプローブ情報が提供される。
[3−3.実施の形態3の効果等]
実施の形態3によると、所定距離間隔の車両6の走行軌跡を示す第3のプローブ情報を作成することができるため、リンク端点間のプローブ情報を補間することができる。リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、リンク端点間のプローブ情報が補間されているためマップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は所定距離間隔の情報であり、距離的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態2および3と同様に、リンクの途中の位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第3のプローブ情報を作成する。ただし、プローブ情報作成方法が実施の形態2および3とは異なる。
実施の形態4に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。
[4−1.プローブ情報作成装置2の構成]
プローブ情報作成装置2の構成は、図2に示した通りである。ただし、一部の構成が実施の形態1とは異なる。
つまり、道路データ記憶部24が記憶する道路データは、実施の形態1と同様に、リンク端点の位置情報を少なくとも含む。それに加え、実施の形態4の道路データは、さらに、リンク上の特徴点の位置の情報を含む。特徴点とは、例えば、道路の曲がり角を示す屈曲点、道路の勾配が変化する箇所を示す勾配変化点、または、トンネルの入口もしくは出口など道路の種別が変化する箇所を示す道路種別変化点などである。道路種別変化点には、その他にも、高速道路の入口もしくは出口など道路の種別が変換する箇所が含まれる。
通過時刻決定部25は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を決定する。それに加え、通過時刻決定部25は、道路データ記憶部24に記憶されている道路データが示す特徴点の位置を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。これにより、処理対象リンクの途中の位置の通過時刻が順次決定される。
プローブ情報作成部26は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報を作成する。それに加え、プローブ情報作成部26は、特徴点の位置と通過時刻決定部25が決定した特徴点の位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する。これにより、処理対象リンクのリンク端点のみならず、処理対象リンクの途中の位置においてもプローブ情報が作成される。
[4−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図13は、実施の形態4に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。プローブ情報作成装置2は、図13に示す処理を、各車両6の一連の移動軌跡を示す第1のプローブ情報の集まりごとに、繰り返し実行する。
ステップS1〜S3の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS3までの処理で、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報が作成される。
次に、通過時刻決定部25は、道路データ記憶部24に記憶されている道路データが示す特徴点の位置を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する(S11)。
図14は、通過時刻決定処理(図13のS11)について説明するための図である。
処理対象リンクをリンクL9とし、リンクL9のリンク端点、つまり交差点C5およびC6の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置を白丸で示している。図14(a)に示すように、ステップS1〜S3の処理により、交差点C5およびC6のプローブ位置における通過時刻が、「11:03:00」および「11:13:06」とそれぞれ求められているものとする。図14(b)に示すように、通過時刻決定部25は、特徴点位置を車両6が通過する時刻を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて決定する。通過時刻決定部25は、特徴点位置の情報を含む第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されている場合には、そのプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出すことで、通過時刻を決定する。
通過時刻決定部25は、特徴点位置の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、特徴点位置の前後の範囲において、それぞれ最も近い位置の情報を含む第1のプローブ情報をプローブ情報記憶部23から読み出す。通過時刻決定部25は、読み出した2つの第1のプローブ情報のプローブ位置間の通過時間を、2つの第1のプローブ情報の特徴点位置からの距離の比で案分することにより、車両6が特徴点位置を通過する時刻を決定する。距離の比に基づく案分処理により通過時刻を決定する処理は、図6(b)を参照して説明した通りである。
なお、通過時刻決定部25は、特徴点位置の第1のプローブ情報がプローブ情報記憶部23に記憶されていない場合には、特徴点位置に最も近い位置の情報を含む第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から選択して読み出すことで、通過時刻を決定してもよい。つまり、プローブ情報作成部26は、特徴点の位置に最も近い位置の情報を含むプローブ情報を、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報から選択することにより、第3のプローブ情報を作成することができる。これにより、新たに第3のプローブ情報を作成する場合に比べ、プローブ情報作成に要する処理量を減らすことができる。
プローブ情報作成部26は、特徴点位置と、特徴点位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する(S12)。例えば、プローブ情報作成部26は、図14(b)の特徴点位置41と、特徴点位置41の通過時刻「11:05:25」との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。また、プローブ情報作成部26は、特徴点位置42と、特徴点位置42の通過時刻「11:07:32」との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。さらに、プローブ情報作成部26は、特徴点位置43と、特徴点位置43の通過時刻「11:10:11」との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、作成した第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、ステップS3およびS12の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S13)。これにより、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と処理対象リンクの途中の位置とにおけるプローブ情報が提供される。
[4−3.実施の形態4の効果等]
実施の形態4によると、道路の曲がり角を示す屈曲点、道路の勾配が変化する箇所を示す勾配変化点、または、トンネルの入口もしくは出口など道路の種別が変化する箇所を示す道路種別変化点などの特徴点の位置情報を含む第3のプローブ情報が作成される。リンク端点近傍位置を含む第2のプローブ情報だけから旅行時間情報を生成した場合には、マップマッチングに失敗して着目しているリンクとは異なるリンクの旅行時間情報が生成される可能性がある。しかし、この構成によると、リンク端点間のプローブ情報が補間されているためマップマッチングの成功率を高めることができ、旅行時間情報を正確に求めることができる。また、第3のプローブ情報は特徴点における情報であり、距離的に間引かれた情報であるため、ドライバーのプライバシーを保護することもできる。
(実施の形態5)
実施の形態1では、旅行時間情報の生成に利用可能なリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報を作成した。実施の形態5では、さらに、車両6の渋滞区間情報の生成に利用可能な第3のプローブ情報を作成する。
実施の形態5に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。ただし、実施の形態5では、プローブ情報作成装置2の構成が実施の形態1と一部異なる。
[5−1.プローブ情報作成装置2の構成]
図15は、実施の形態5に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
プローブ情報作成装置2は、図2に示したプローブ情報作成装置2の構成において、さらに、渋滞区間決定部29を備える。
渋滞区間決定部29は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて、リンク上の渋滞区間を決定する。つまり、渋滞区間決定部29は、第1のプローブ情報が示す車両6の移動軌跡から、2地点以上における車両6の位置と当該位置の通過時刻とに基づいて、車両6の走行速度を算出する。渋滞区間決定部29は、走行速度が所定の速度閾値以下の区間が所定距離以上連続していれば、その区間を渋滞区間と決定する。
通過時刻決定部25は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置を車両6が通過する時刻を決定する。それに加え、通過時刻決定部25は、渋滞区間決定部29が決定した渋滞区間の端点の近傍を含む渋滞区間の端点位置を車両6が通過する時刻を決定する。
プローブ情報作成部26は、実施の形態1と同様に、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報を作成する。それに加え、プローブ情報作成部26は、渋滞区間決定部29が決定した渋滞区間の端点位置と、通過時刻決定部25が決定した渋滞区間の端点位置を通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する。これにより、処理対象リンクのリンク端点のみならず、処理対象リンクの途中の位置においてもプローブ情報が作成される。
[5−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図16は、実施の形態5に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。プローブ情報作成装置2は、図16に示す処理を、各車両6の一連の移動軌跡を示す第1のプローブ情報の集まりごとに、繰り返し実行する。
ステップS1〜S3の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS3までの処理で、処理対象リンクのリンク端点近傍位置における第2のプローブ情報が作成される。
次に、渋滞区間決定部29は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて、リンク上の渋滞区間を決定する(S14)。
図17は、渋滞区間決定処理(図16のS14)について説明するための図である。
処理対象リンクをリンクL10とし、リンクL10のリンク端点、つまり交差点C7およびC8の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置を示している。図17(a)は、プローブ情報取得部22により取得された第1のプローブ情報のプローブ位置を示している。渋滞区間決定部29は、例えば、隣接するプローブ位置間の距離と、当該プローブ位置間を移動するのに要する時間とから、当該プローブ位置間における移動速度を算出する。渋滞区間決定部29は、算出した移動速度が所定の速度閾値(例えば、10km/h)以下の区間が所定距離(例えば、100m)以上連続していれば、その区間を渋滞区間と決定する。これにより、例えば、プローブ位置51とプローブ位置54との間の区間が渋滞区間と決定される。
図16を参照して、通過時刻決定部25は、渋滞区間決定部29が決定した渋滞区間の端点の近傍を含む渋滞区間の端点位置を車両6が通過する時刻を決定する(S15)。例えば、通過時刻決定部25は、図17(a)に示すように、渋滞区間決定部29が決定した渋滞区間の両端のプローブ位置51および54の第1のプローブ情報が示す時刻を、渋滞区間の端点位置の通過時刻として決定する。なお、渋滞区間の端点位置がプローブ位置51および54と異なるような決め方の場合には、端点位置の前後のプローブ位置間の通過時間を当該プローブ位置間の距離の比で案分することにより、端点位置の通過時刻を決定してもよい。また、通過時刻決定部25は、渋滞区間の途中の位置における通過時刻を決定してもよい。例えば、通過時刻決定部25は、渋滞区間における第1のプローブ情報を一定個数間隔で選択し、選択したプローブ位置52および53の第1のプローブ情報の通過時刻を、渋滞区間の途中の位置における通過時刻として決定してもよい。
プローブ情報作成部26は、渋滞区間の端点位置と、端点位置を車両6が通過する時刻とに基づいて、第3のプローブ情報を作成する(S16)。図17(b)を参照して、例えば、プローブ情報作成部26は、プローブ位置51と、プローブ位置51を車両6が通過する時刻との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。また、プローブ情報作成部26は、プローブ位置54と、プローブ位置54を車両6が通過する時刻との情報を含む第3のプローブ情報を作成する。なお、プローブ情報作成部26は、渋滞区間の途中位置であるプローブ位置52および53についても、同様に第3のプローブ情報を作成してもよい。プローブ情報作成部26は、作成した第3のプローブ情報をプローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、ステップS3およびS16の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S17)。これにより、処理対象リンクのリンク端点近傍位置と処理対象リンクに含まれる渋滞区間の端点位置とにおけるプローブ情報が提供される。
[5−3.実施の形態5の効果等]
実施の形態5によると、渋滞区間の端点位置と当該端点位置を車両6が通過する時刻とに基づいて第3のプローブ情報が作成される。これにより、プローブ情報作成部26が作成した第3のプローブ情報を、渋滞区間情報の生成にも用いることができる。なお、渋滞区間の端点位置に係る第3のプローブ情報が作成されるため、渋滞区間の途中の位置の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第3のプローブ情報を作成することができる。よって、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報および第3のプローブ情報は旅行時間情報および渋滞区間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報及び渋滞区間情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
なお、図17(b)に示したように、渋滞区間の途中のプローブ位置52および53について第3のプローブ情報を作成してもよい。
また、リンク端点近傍位置の第2のプローブ情報は作成せずに、渋滞区間の第3のプローブ情報のみを作成してもよい。交通情報提供装置3に渋滞区間を生成するために必要なプローブ情報のみを提供する場合に有効である。
(実施の形態6)
実施の形態6では、少なくとも1台以上の車両6の第1のプローブ情報から、一旦、旅行時間情報を算出し、算出した旅行時間情報に基づいて、第2のプローブ情報を作成する。
実施の形態6に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。
[6−1.プローブ情報作成装置2の構成]
図18は、実施の形態6に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
プローブ情報作成装置2は、図15に示したプローブ情報作成装置2の構成において、さらに、旅行時間算出部30と、台数取得部31とを備える。
旅行時間算出部30は、プローブ情報取得部22が取得した少なくとも1台以上の車両6の第1のプローブ情報に基づいて、車両6が処理対象リンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する。具体的には、旅行時間算出部30は、処理の対象とされている所定時間(例えば、10:00:00〜10:10:00)に処理対象リンクを走行する車両6の第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から取得する。旅行時間算出部30は、取得した第1のプローブ情報に基づいて、車両6ごとに処理対象リンクの旅行時間を算出する。旅行時間算出部30は、算出した旅行時間を代表する旅行時間(以下、「代表旅行時間」という)を算出する。例えば、旅行時間算出部30は、算出した旅行時間の平均を代表旅行時間として算出する。なお、旅行時間の平均の代わりに、旅行時間の最頻値、最小値、最大値、または中央値などの統計値を代表旅行時間としてもよい。
台数取得部31は、プローブ情報記憶部23に記憶されている第1のプローブ情報に基づいて、上記所定時間に処理対象リンクを走行する車両6の台数を取得する。この台数は、旅行時間算出部30が算出した旅行時間の数と等しい。
渋滞区間決定部29は、プローブ情報取得部22が取得した少なくとも1台以上の車両6の第1のプローブ情報に基づいて、渋滞区間を決定する。具体的には、渋滞区間決定部29は、上記所定時間の処理対象リンクを走行する車両6の第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から取得する。旅行時間算出部30は、取得した第1のプローブ情報に基づいて、車両6ごとに処理対象リンクにおける渋滞区間を決定する。渋滞区間の決定方法は、実施の形態5と同様である。渋滞区間決定部29は、決定した渋滞区間の端点位置の平均位置を算出することにより、平均位置を端点位置とする渋滞区間(以下、「代表渋滞区間」という)を決定する。
プローブ情報作成部26は、旅行時間算出部30が算出した旅行時間と、台数取得部31が取得した車両6の台数とに基づいて、第2のプローブ情報を作成する。つまり、プローブ情報作成部26は、処理対象リンクのリンク端点間の通過時間が代表旅行時間となるような第2のプローブ情報の組を作成し、組数が台数取得部31が取得した車両6の台数と同じ数になるように、第2のプローブ情報の組の複製を作成する。なお、プローブ情報作成部26は、当該組に、渋滞区間決定部29が決定した代表渋滞区間を生成するためのプローブ情報を含めてもよい。
[6−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図19は、実施の形態6に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS1の処理でプローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報が取得され、プローブ情報記憶部23に記憶される。
次に、旅行時間算出部30は、プローブ情報取得部22が取得した少なくとも1台以上の車両6の第1のプローブ情報に基づいて、車両6が処理対象リンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する(S18)。
図20は、旅行時間算出処理(図19のS18)について説明するための図である。
処理対象リンクをリンクL11とし、リンクL11のリンク端点、つまり交差点C9およびC10の位置を黒丸で示している。また、プローブ位置を白丸で示している。旅行時間算出部30は、所定時間(例えば、10:00:00〜10:10:00)にリンクL11を走行する車両6の第1のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から取得する。ここでは、図20(a)〜図20(c)に示す3台の車両6の第1のプローブ情報の組が取得されたものとする。旅行時間算出部30は、3つの第1のプローブ情報の組のそれぞれについて、リンクL11の旅行時間を算出する。つまり、車両6ごとに、交差点C9から交差点C10までの移動時間を算出する。なお、交差点C9および交差点C10における車両6の通過時刻は、実施の形態1に示した方法で算出される。例えば、上記3台の車両6の旅行時間が、170秒、180秒、190秒と計算されたとする。図20(d)に示すように、旅行時間算出部30は、これらの旅行時間の平均時間180秒を、代表旅行時間として算出する。
渋滞区間決定部29は、プローブ情報取得部22が取得した少なくとも1台以上の車両6の第1のプローブ情報に基づいて、渋滞区間を決定する(S19)。例えば、渋滞区間決定部29は、図20(a)〜図20(c)に示す3台の車両6の第1のプローブ情報の組のそれぞれから、渋滞区間を決定する。渋滞区間決定部29は、決定した3つの渋滞区間のそれぞれの端点位置について、平均位置を算出することにより、平均位置を端点位置とする代表渋滞区間を決定する。図20(d)に代表渋滞区間の一例を示す。
プローブ情報作成部26は、ステップS18で算出された代表旅行時間と、ステップS19で算出された代表渋滞区間に基づいて、第2のプローブ情報を作成する(S20)。図20(e)は、作成された第2のプローブ情報の一例を示す図であり、交差点C9および交差点C10における第2のプローブ情報と、代表渋滞区間の両端点のプローブ位置61および62における第2のプローブ情報とが作成される。なお、図20(e)に示すように、渋滞区間の途中のプローブ位置63および64における第2のプローブ情報を作成してもよい。図20(e)の交差点C9における通過時刻は、任意に設定することができるが、ここでは、図20(a)に示す第2のプローブ情報の組から算出される交差点C9の通過時刻を設定する。また、図20(e)の交差点C10の通過時刻は、図20(e)の交差点C9の通過時刻に代表旅行時間である180秒を加算した時刻とする。また、プローブ位置61〜64の通過時刻は、例えば、図20(e)の交差点C9の通過時刻に、図20(a)において交差点C9の通過時刻からプローブ位置61〜64に対応する位置までの移動時間をそれぞれ加算した時刻とする。プローブ情報作成部26は、作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
台数取得部31は、プローブ情報記憶部23に記憶されている第1のプローブ情報に基づいて、上記所定時間に処理対象リンクを走行する車両6の台数を取得する(S21)。この台数は、旅行時間算出部30が算出した旅行時間の数、つまり、図20(a)〜図20(c)に示した第1のプローブ情報の組の数と等しい。
プローブ情報作成部26は、ステップS20で作成した第2のプローブ情報の組を複製して、ステップS21で取得した車両6の台数と同じ数の第2のプローブ情報の組を作成する(S22)。つまり、プローブ情報作成部26は、図20(e)に示した第2のプローブ情報の組を2つ複製して、図20(e)〜図20(g)に示す合計3つの第2のプローブ情報の組を作成する。プローブ情報作成部26は、図20(f)および図20(g)の第2のプローブ情報の組についても、図20(e)に設定したのと同様の方法により、それぞれ、図20(b)および図20(c)の第1のプローブ情報の組に基づいて、各交差点および各プローブ位置の通過時刻を設定する。プローブ情報作成部26は、作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23に書き込む。
プローブ情報提供部27は、ステップS20およびS22の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S23)。これにより、交通情報提供装置3が旅行時間情報および渋滞区間情報を生成することのできる第2のプローブ情報を作成することができる。
[6−3.実施の形態6の効果等]
実施の形態6によると、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて、旅行時間を一旦算出し、算出した旅行時間に基づいて、プローブ情報作成部26が仮想的な第2のプローブ情報を作成する。作成された仮想的な第2のプローブ情報を用いることにより、交通情報提供装置3などの他の処理装置は、旅行時間算出部30が算出したのと同一または類似する旅行時間を算出することができる。また、旅行時間情報以外の交通情報の生成を行うことができないような第2のプローブ情報を仮想的に作り出すことができる。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。
また、渋滞区間決定部29が渋滞区間を一旦算出し、算出した渋滞区間に基づいて、プローブ情報作成部26が仮想的な第2のプローブ情報を作成する。作成された第2のプローブ情報を用いることにより、交通情報提供装置3などの他の処理装置は、渋滞区間決定部29が決定したのと同一または類似する渋滞区間を決定することができる。また、旅行時間情報および渋滞区間以外の交通情報の生成を行うことができないような第2のプローブ情報を仮想的に作り出すことができる。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報および渋滞区間情報を生成するための第2のプローブ情報を作成することができる。ただし、渋滞区間情報を生成するための第2のプローブ情報の生成は必須ではなく、旅行時間情報を生成するための第2のプローブ情報のみを作成してもよい。この場合には、図18に示したプローブ情報作成装置2の構成において、渋滞区間決定部29は不要である。
また、処理対象リンクを走行する車両6のプローブ端末の搭載率が予め分かっている場合には、台数取得部31は、搭載率を加味して、処理対象リンクを走行する車両6の台数を取得してもよい。例えば、台数取得部31が第1のプローブ情報に基づいて取得した車両6の台数が4台であったとし、プローブ端末の搭載率が40%であったとする。この場合、プローブ端末の搭載率が100%であると想定した時の車両6の台数を、台数取得部31が取得する車両6の台数としてもよい。つまり、車両6の台数は10台とされる。なお、プローブ端末の搭載率は、例えば、画像式車両感知器が感知した車両6の台数のうち、第1のプローブ情報を取得した車両6の台数の占める割合を計算することなどにより求めることができる。
(実施の形態7)
実施の形態7では、実施の形態1〜6で作成されたプローブ情報群について説明する。
例えば、実施の形態1で作成されたプローブ情報群は、図6(c)に示すように、交差点位置、つまりリンク端点近傍位置におけるプローブ情報のみからなる。
また、実施の形態2〜4で作成されたプローブ情報群は、図10(b)、図12(b)および図14(b)に示すように、リンク端点近傍位置におけるプローブ情報と、リンクの途中位置におけるプローブ情報との組である。
また、実施の形態5および6で作成されたプローブ情報群は、図17(b)および図20(e)〜(g)に示すように、リンク端点近傍位置におけるプローブ情報と、渋滞区間内の位置におけるプローブ情報との組である。
このため、実施の形態1〜6で作成されたプローブ情報群のうち、第1所定値以上の割合のプローブ情報は、リンク端点近傍位置の位置情報を含むプローブ情報とすることができる。第1所定値は、プローブ情報の作成方法により調整可能な数値であるが、例えば、40%とすることができる。
また、実施の形態2〜6で作成されたプローブ情報群のうち、第2所定値以上の割合のプローブ情報は、渋滞区間内の位置情報を含むプローブ情報とすることができる。第2所定値は、渋滞の発生頻度やプローブ情報の作成方法などにより変わるが、例えば、20%とすることができる。
実施の形態7によると、プローブ情報群を構成する複数のプローブ情報のうち、第1所定値以上の割合のプローブ情報はリンク端点近傍位置の情報を含んでいる。第1所定値を大きな値とすることにより、プローブ情報群に含まれる大部分のプローブ情報はリンク端点近傍位置のプローブ情報となる。このため、このプローブ情報群は、旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。よって、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報を生成するためのプローブ情報群を提供することができる。
さらに、プローブ情報群を構成する複数のプローブ情報のうち、第2所定値以上の割合のプローブ情報は、渋滞区間内の位置の情報を含んでいる。第2所定値を大きな値とすることにより、プローブ情報群に含まれる大部分のプローブ情報はリンク端点近傍位置または渋滞区間内の位置における車両のプローブ情報となる。このため、このプローブ情報群は、旅行時間情報および渋滞区間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。よって、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、旅行時間情報および渋滞区間情報を生成するためのプローブ情報群を提供することができる。
なお、プローブ情報群のうち、第2所定値以上の割合のプローブ情報は、渋滞区間内の位置情報を含むプローブ情報とすることとしたが、プローブ情報群からリンク端点近傍位置の情報を含むプローブ情報を除いたもののうち、第2所定値以上の割合のプローブ情報が、渋滞区間内の位置情報を含むプローブ情報としてもよい。このような構成であっても上記したのと同様の効果を奏することができる。
(実施の形態8)
実施の形態1では、リンク端点近傍位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第2のプローブ情報を作成した。これに対して、実施の形態8では、リンク端点近傍位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを必ずしも含まないが、リンクの途中の位置と当該位置を車両6が通過する時刻とを含む第2のプローブ情報を作成する。
実施の形態8に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。
[8−1.プローブ情報作成装置2の構成]
図21は、実施の形態8に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
図21に示すプローブ情報作成装置2は、図2に示したプローブ情報作成装置2の構成において、道路データ記憶部24および通過時刻決定部25の代わりに、旅行時間算出部30を備える。
旅行時間算出部30は、プローブ情報取得部22が取得した第1プローブ情報に基づいて、車両6がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する。例えば、旅行時間算出部30は、実施の形態1で説明したように、リンクの上流側および下流側のそれぞれについて、第1プローブ情報から、リンク端点近傍位置および当該位置の車両6の通過時刻とを算出する。旅行時間算出部30は、算出した通過時刻の差分を旅行時間として算出する。
プローブ情報作成部26は、リンクの距離および旅行時間に基づいて、所定間隔(所定時間間隔または所定距離間隔)の第2のプローブ情報を作成する。第2プローブ情報には、各リンクのリンク端点位置を含まれない場合もあり得る。つまり、プローブ情報作成部26は、第1リンクの最上流の第2のプローブ情報と、第1リンクの上流に連続する第2リンクの最下流の第2のプローブ情報との間隔が所定間隔となるように、第2のプローブ情報を作成する。第2のプローブ情報の具体例については後述する。
[8−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図22は、プローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS1の処理でプローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報が取得され、プローブ情報記憶部23に記憶される。
旅行時間算出部30は、リンクごとに、車両6の旅行時間を算出する(S18)。
プローブ情報作成部26は、リンクの距離およびリンクの旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成し、作成した第2のプローブ情報をプローブ情報記憶部23に記憶させる(S31)。
まず、所定間隔として所定時間間隔の第2のプローブ情報を作成する方法について説明する。図23は、所定時間間隔の第2のプローブ情報の作成処理について説明するための図である。
上流からリンクA、BおよびCが連続配置されており、それぞれの旅行時間は、17秒、15秒および20秒である。
また、リンクAのリンク端点近傍位置の通過時刻は、10:05:10および10:05:27と算出されている。この通過時刻は、旅行時間算出部30が旅行時間を算出する際に求めた時刻である。同様に、リンクBのリンク端点近傍位置の通過時刻は、10:05:27および10:05:42と算出されており、リンクCのリンク端点近傍位置の通過時刻は、10:05:42および10:06:02と算出されている。
プローブ情報作成部26は、例えば、車両6の通過時刻が5秒間隔の第2のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、リンクAの上流側のリンク端点位置(交差点C0)を出発点として、5秒間隔の車両6の通過位置(白丸で示したプローブ位置)を算出する。車両6の通過位置は、リンクの距離を時間で案分することにより算出される。例えば、リンクAの距離が230mであるとした場合、5秒間に車両6が進む距離は、230(m)×5(s)/17(s)=67.6(m)と算出することができる。
リンクAの最下流のプローブ位置71からリンクAのリンク端点近傍位置(交差点C1)までの旅行時間は2秒間である。このため、リンクBの最上流のプローブ位置72は、車両6が交差点C1を通過してから3秒後の通過位置である。例えば、リンクBの距離および旅行時間がそれぞれ260mおよび15秒である場合には、交差点C1からプローブ位置72までの距離は、260(m)×3(s)/15(s)=52(m)と算出することができる。その後も、5秒間隔で第2プローブ情報が作成される。これにより、連続するリンクA〜Cにおいて、5秒間隔の第2プローブ情報が作成される。
次に、所定間隔として所定距離間隔の第2のプローブ情報を作成する方法について説明する。図24は、所定距離間隔の第2のプローブ情報の作成処理について説明するための図である。
リンクA〜C、各リンクのリンク端点位置の通過時刻、各リンクの距離および旅行時間は、図23に示したものと同じである。
プローブ情報作成部26は、例えば、車両6の通過位置が100m間隔の第2のプローブ情報を作成する。プローブ情報作成部26は、リンクAの上流側のリンク端点位置(交差点C0)を出発点として、リンクAからリンクCに渡り、100m間隔でプローブ位置(白丸の位置)を決定する。リンクAの距離は230mである。このため、リンクAの最下流のプローブ位置73からリンクAのリンク端点近傍位置(交差点C1)までの距離は30mある。よって、リンクBの最上流のプローブ位置74は、交差点C1から70mの位置に設けられる。
プローブ情報作成部26は、各リンクの旅行時間をプローブ位置までの車両6の移動距離で案分することにより、各プローブ位置の通過時刻を算出する。例えば、プローブAの旅行時間は17秒である。このため、リンクAの上流側のリンク端点近傍位置からプローブ位置75までの移動時間は、17(s)×100(m)/230(m)=7(s)となる。よって、プローブ位置75の通過時刻は、上記リンク端点近傍位置の通過時刻10:05:10の7秒後である10:05:17として算出される。
プローブ位置74は、交差点C1から70mの位置にあるため、交差点C1からプローブ位置74までの移動時間は、15(s)×70(m)/260(m)=4(s)として算出される。このため、プローブ位置74の通過時刻は、交差点C1の通過時刻10:05:27の4秒後である10:05:31として算出される。
再度図22を参照して、プローブ情報提供部27は、ステップS31の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S23)。
[8−3.実施の形態8の効果等]
実施の形態8によると、リンクの距離および当該リンクの旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報が作成される。つまり、所定距離間隔ではない位置または所定時間間隔ではない時刻の情報を含む第1のプローブ情報を除いて、第2のプローブ情報が作成される。よって、プローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報は旅行時間情報などの交通情報の生成には利用可能であるが、個人の運転特性の特定には利用することが困難である。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。なお、リンクが連続している場合であっても、所定間隔の車両6の走行軌跡を示す第2のプローブ情報が作成される。このため、所定間隔のプローブ情報しか扱うことのできない処理装置でも処理できるような第2のプローブ情報を作成することができる。
実施の形態8に係るプローブ情報作成装置2は、
車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を少なくとも含む第1のプローブ情報を取得するプローブ情報取得部と、
リンク端点の位置の情報を少なくとも含む道路データと前記プローブ情報取得部が取得した前記第1のプローブ情報とに基づいて、前記リンク端点および前記リンク端点の近傍を含むエリア内の位置であるリンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻を決定し、前記リンク端点近傍位置と前記通過時刻決定部が決定した前記時刻とに基づいて、前記車両がリンクを走行するのに要する時間を示す旅行時間を算出する旅行時間算出部と、
前記リンク端点近傍位置、前記リンク端点近傍位置を前記車両が通過する時刻、前記リンクの距離および前記旅行時間に基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成するプローブ情報作成部とを備え、
前記プローブ情報作成部は、第1リンクの最上流の第2のプローブ情報と、前記第1リンクの上流に連続する第2リンクの最下流の第2のプローブ情報との間隔が前記所定間隔となるように、前記第2のプローブ情報を作成する
プローブ情報作成装置2として構成することもできる。
(実施の形態9)
実施の形態9では、複数の車両6の第1のプローブ情報から、各車両6の旅行時間を代表する代表旅行時間を算出し、代表旅行時間に基づいて、第2のプローブ情報を作成する。
実施の形態9に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。
[9−1.プローブ情報作成装置2の構成]
図25は、実施の形態9に係るプローブ情報作成装置2の構成を示すブロック図である。
図25に示すプローブ情報作成装置2は、図21に示したプローブ情報作成装置2の構成において、さらに、プローブ情報正規化部32を備える。
旅行時間算出部30は、複数の車両の各々について、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて、当該車両がリンクを走行するのに要する旅行時間を算出する。
プローブ情報正規化部32は、複数の車両の旅行時間に基づく代表旅行時間を用いて、車両ごとに、第1のプローブ情報を正規化する。例えば、複数の車両の旅行時間の平均値を代表旅行時間とすることができる。なお、代表旅行時間は、複数の車両の旅行時間の中央値、最頻値、最大値または最小値などの他の統計値であってもよい。図26は、実施の形態9に係るプローブ情報作成装置2が実行する処理について説明するための図である。例えば、図26の(a)〜(c)は、同一のリンクL31に対する車両A〜Cの第1のプローブ情報のプローブ位置を、それぞれ、丸印、死角印および三角印で示している。また、車両A〜CのリンクL31の旅行時間は、それぞれ、30秒、40秒および20秒である。このため、プローブ情報正規化部32は、車両A〜Cの旅行時間の平均値30秒を、代表旅行時間として算出する。
プローブ情報正規化部32は、車両ごとに、代表旅行時間を、第1のプローブ情報に含まれる位置に係る距離(リンク端点位置から第1のプローブ情報に含まれる位置までの距離)に基づいて案分することにより、当該位置を通過する時刻を決定する。つまり、プローブ情報正規化部32は、各車両の第1のプローブ情報の旅行時間が、代表旅行時間30秒と等しくなるように、各プローブ位置における通過時刻を正規化する。例えば、図26の(b)に示すように車両Bの交差点C9の通過時刻は10:10:00であり、プローブ位置の通過時刻は10:10:15である。プローブ情報正規化部32は、交差点C9からプローブ位置76までの移動時間15秒に30秒/40秒を掛けることにより算出される値11秒を、交差点C9からプローブ位置76までの新たな移動時間とする。これにより、プローブ位置76の通過時刻を10:10:11に修正する。このような修正を全てのプローブ位置について行うことにより、リンクA〜Cの旅行時間を30秒に揃えることができる。
また、プローブ情報正規化部32は、リンク端点近傍位置(交差点C9)の通過時刻が車両A〜Cで同じになるように、各プローブ位置の通過時刻をシフトし、これらを集約することにより第2プローブ情報を作成する。これにより、例えば、図26の(d)に示すように、交差点C9の通過時刻が10:15:00で、交差点の通過時刻が10:15:30となるように正規化された第2のプローブ情報が作成される。
プローブ情報作成部26は、第2のプローブ情報の中から、所定間隔(所定距離間隔または所定時間間隔)で車両6の位置および当該位置を通過する時刻の情報を抽出することにより、第3のプローブ情報を作成する。
所定距離間隔(例えば、100m間隔)の第3のプローブ情報の作成例について説明する。図26の(e)に示すように、プローブ情報作成部26は、交差点C9から100m間隔の位置に最も近い位置情報を有するプローブ情報を、第2のプローブ情報の中から選択する。つまり、破線で囲まれたプローブ位置81〜83のプローブ情報が選択される。ただし、プローブ位置82および83のプローブ情報は、同一の車両Aのプローブ情報である。このように、連続して同一車両のプローブ情報が選択されないようにするため、プローブ情報作成部26は、プローブ位置83のプローブ情報は選択せずに、次に近いプローブ位置84のプローブ情報を選択する。これにより、図26の(e)に示すような第3のプローブ情報が作成される。なお、プローブ情報作成部26は、連続する所定個数の第3のプローブ情報の中に、同一の車両の情報が含まれないように、第2のプローブ情報を選択することにより、第3のプローブ情報を作成してもよい。例えば、所定個数を3個とした場合には、車両Aのプローブ情報および車両Bのプローブ情報を連続して選択した後に、車両Aおよび車両Bのプローブ情報を選択することはできず、それ以外の車両(ここでは車両C)のプローブ情報を選択しなければならない。
次に所定時間間隔(例えば、10秒間隔)の第3のプローブ情報の作成例について説明する。図26の(g)に示すように、プローブ情報作成部26は、交差点C9の通過時刻10:15:00から10秒おきに車両6が通過する位置を算出する。当該位置は、リンクL31の距離と代表旅行時間とから、車両6が等速度運動を行うと仮定すれば、容易に算出することができる。
図26の(g)に示すように、プローブ情報提供部27は、第2のプローブ情報の中から、算出した通過位置に最も近い位置情報を有するプローブ情報を選択する。つまり、破線で囲われたプローブ位置85〜88のプローブ情報が選択される。この時、所定距離間隔でプローブ情報を選択する場合と同様に、同一車両のプローブ情報は連続して選択されないようにしてもよい。これにより、図26の(h)に示すような第3のプローブ情報が作成される。
[9−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図27は、プローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS1の処理でプローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報が取得され、プローブ情報記憶部23に記憶される。
旅行時間算出部30は、リンクごとに、車両6の旅行時間を算出する(S18)。旅行時間の算出方法は、実施の形態8に示した通りである。
プローブ情報正規化部32は、複数の車両の第1のプローブ情報を正規化することにより、第2プローブ情報を作成する(S32)。例えば、図26の(a)〜(c)に示した第1のプローブ情報から、図26の(d)に示した第2のプローブ情報を作成する。
プローブ情報作成部26は、第2のプローブ情報の中から、所定間隔で車両の位置および当該位置を通過する時刻の情報を抽出することにより、第3のプローブ情報を作成し、プローブ情報記憶部23に記憶させる(S33)。例えば、図26の(f)に示すような所定距離間隔の第3のプローブ情報または図26の(h)に示すような所定時間間隔の第3のプローブ情報を作成する。
プローブ情報提供部27は、ステップS33の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第3のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S23)。この時、N台の車両6の第1のプローブ情報から第3のプローブ情報が作成されていれば、第3のプローブ情報をコピーして、N個の第3のプローブ情報を交通情報提供装置3に提供してもよい。
[9−3.実施の形態9の効果等]
実施の形態9によると、複数の車両の第1のプローブ情報を、代表旅行時間を用いて正規化することにより、旅行時間が正規化された第2のプローブ情報を、車両ごとに得ることができる。このように、第2のプローブ情報の旅行時間が正規化されているため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。また、これらの第2のプローブ情報から所定間隔の位置または所定間隔の時刻の情報を含む第3のプローブ情報を作成することにより、複数の車両の第1のプローブ情報から旅行時間が正規化された第3のプローブ情報を作成することができる。このため、ドライバーのプライバシーを保護しつつ、交通情報を生成するためのプローブ情報を作成することができる。また、第3のプローブ情報のデータ量を削減することができる。
また、連続する所定個数の第3プローブ情報の中に、同一の車両の第2のプローブ情報が含まれないように、第3プローブ情報が作成される。このため、複数の車両から満遍なく情報を抽出して、第3プローブ情報を作成することができる。これにより、さらにドライバーのプライバシーの保護を強化することができる。
また、例えば、リンクの上流から下流に向けて減速する車両の第1プローブ情報と、リンクの上流から下流に向けて加速する車両の第1プローブ情報とが含まれる場合に、正規化を行わずに、これらの第1プローブ情報をマージすると、リンクの上流から下流に向けて通過時刻を辿った場合に、時間が過去に遡るという不具合が生じる場合がある。しかし、プローブ情報正規化部32は、各車両が等速走行していると仮定して第1のプローブ情報の正規化を行うことができる。このため、通過時刻の不具合を生じさせずに、複数の車両の第2プローブ情報から第3のプローブ情報を作成することができる。
(実施の形態10)
実施の形態10では、リンク上の車両の走行速度の情報などリンク上の車両の走行に関する交通情報に基づいて、プローブ情報を作成する。
実施の形態10に係る交通情報提供システム100の構成は、図1に示した通りである。
[10−1.プローブ情報作成装置2の構成]
実施の形態10に係るプローブ情報作成装置2の構成は、図25に示したものと同様である。ただし、各処理部の処理の内容が一部異なる。
旅行時間算出部30は、プローブ情報取得部22が取得した第1のプローブ情報に基づいて、車両のリンクの旅行時間を算出する。
プローブ情報正規化部32は、旅行時間算出部30が算出した旅行時間に基づいて、第1のプローブ情報を正規化する。正規化処理は、実施の形態9に示したものと同様である。つまり、旅行時間算出部30が複数の車両に対してそれぞれ旅行時間を算出した場合に、プローブ情報正規化部32は、複数の車両の代表旅行時間を用いて、車両ごとに、旅行時間が代表旅行時間と等しくなるように第1のプローブ情報の正規化を行う。
プローブ情報作成部26は、リンク上の車両の走行に関する交通情報と、プローブ情報正規化部32により正規化された第1のプローブ情報とに基づいて、所定間隔の第2のプローブ情報を作成する。
図28は、交通情報としての車両の走行速度の情報を示す図である。図28は、あるリンクにおける、車両の走行速度の統計情報を示す。横軸はリンク端点からの距離を示し、縦軸は当該距離の位置における車両の走行速度を示す。図28は、例えば、現在と同じ日種(平日、休日等の別)の同じ時間帯における過去の車両の走行速度の平均値を示している。つまり、図28は、リンクの途中で減速し、その後加速する車両の走行速度を示している。このような統計情報は、日種または時間帯ごとに複数用意されているものとする。統計情報は、プローブ情報記憶部23に記憶されていてもよい。
図29は、所定距離間隔(例えば100m間隔)の第2のプローブ情報の作成例について説明するための図である。図29の(a)は、図28と同様の図であり、図29の(b)に示すリンクL41における車両の走行速度の情報を示している。プローブ情報作成部26は、図29の(b)に示すように、リンクL41のリンク端点である交差点C11を基準として、リンクL41上に100m間隔のプローブ位置91〜94を設定する。プローブ情報作成部26は、走行速度の情報に基づいて、各プローブ位置の車両6の通過時刻を算出する。例えば、微小距離区間の走行時間を積分することにより、100mの走行時間を算出することができる。これにより、プローブ情報作成部26は、車両6が走行速度の情報に従った走行速度で走行した場合の、所定距離間隔のプローブ情報を生成することができる。
図30は、所定時間間隔(例えば、5秒間隔)の第2のプローブ情報の作成例について説明するための図である。図30の(a)は、図28と同様の図であり、図30の(b)に示すリンクL41における車両の走行速度の情報を示している。プローブ情報作成部26は、図30の(b)に示すように、リンクL41のリンク端点である交差点C11を基準として、5秒間隔で、車両6が通過するプローブ位置を決定する。例えば、微小時間の走行距離を積分することにより、5秒間の走行距離を算出することができる。一例として、図30の(b)に示すように交差点C11の通過時から5秒間の間の走行距離は120mである。これにより、プローブ情報作成部26は、車両6が走行速度の情報に従った走行速度で走行した場合の、所定距離間隔のプローブ情報を生成することができる。
[10−2.プローブ情報作成装置2の処理フロー]
図31は、プローブ情報作成装置2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1の処理は、実施の形態1と同様である。ステップS1の処理でプローブ情報収集サーバ1から第1のプローブ情報が取得され、プローブ情報記憶部23に記憶される。
旅行時間算出部30は、リンクごとに、車両6の旅行時間を算出する(S18)。旅行時間の算出方法は、実施の形態8に示した通りである。
プローブ情報正規化部32は、複数の車両の第1のプローブ情報を正規化する(S32)。
プローブ情報作成部26は、リンク上の車両の走行に関する交通情報と、プローブ情報正規化部32により正規化された第1のプローブ情報とに基づいて、所定間隔(所定距離間隔または所定時間間隔)の第2のプローブ情報を作成し、作成した第2のプローブ情報をプローブ情報記憶部23に書き込む(S34)。
プローブ情報提供部27は、ステップS33の処理においてプローブ情報作成部26が作成した第2のプローブ情報を、プローブ情報記憶部23から読み出し、通信I/F部21を介して交通情報提供装置3に提供する(S23)。
[10−3.実施の形態10の効果等]
実施の形態10によると、第1のプローブ情報を、交通情報に合致するように変換して、第2プローブ情報を作成することができる。例えば、リンクの途中で車両が頻繁に減速していることを示す交通情報が統計的に得られているような場合には、当該箇所の通過時に減速するような第3のプローブ情報を作成することができる。これにより、過去の統計情報に沿ったプローブ情報を作成することができ、信頼性の高いプローブ情報を作成することができる。
なお、1台の車両6の第1のプローブ情報のみから第2のプローブ情報を作成する場合には、正規化処理は必ずしも必要ない。このため、このような場合には、旅行時間算出部30およびプローブ情報正規化部32は備えられていなくてもよい。
[7.付記]
以上、本発明の実施の形態に係るプローブ情報作成装置2を備える交通情報提供システム100について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、プローブ情報作成装置2は、1台の装置により構成されるとしたが、各装置が複数台の装置から構成されており、プローブ情報作成装置2がプローブ情報作成システムとして構成されていてもよい。プローブ情報作成システムを構成する各装置は、インターネットなどの広域ネットワークを介して相互に接続され、分散配置されていてもよい。
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されてもよい。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、ハードディスクドライブ、CD−ROM、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
また、上記プログラムに含まれる各ステップは、複数のコンピュータにより実行されてもよい。
さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。