JP2017003728A - 地図生成システム、方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】道路形状推定を含む地図生成技術に関して、位置情報を含むプローブデータに基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる技術を提供する。【解決手段】地図生成システムは、地図生成装置1と、地図データ記憶部15と、位置情報取得機能を持つ端末装置から収集された位置情報をプローブデータとして記憶するプローブデータ記憶部16とを備える。地図生成装置1は、既存道路データ、及びプローブデータ群を参照し、プローブデータ群のうち、既存道路領域外にある位置情報を取り出し、取り出した位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、複数の単位領域から構成されるグリッドを設定し、単位領域毎に、位置座標の分布を用いて、所定の統計処理により、中心点を計算し、複数の中心点を含む新規道路データを出力する。【選択図】図1
Description
本発明は、情報処理技術に関する。また、本発明は、道路を含む地図データを生成する技術に関する。
GPS(Global Positioning System)等を利用して現在の位置情報を取得及び出力する機能を持つナビゲーション端末等の端末装置がある。また、車載の端末装置から位置情報をプローブデータとして取得し、プローブデータに基づいて、道路の形状を推定する技術がある。上記位置情報は、日時や位置座標を含む情報である。
上記位置情報に基づいた道路の形状の推定に係わる先行技術例として、特開2009−150796号公報(特許文献1)、特開2008−297872号公報(特許文献2)が挙げられる。
特許文献1には、以下の旨の技術が記載されている。ナビゲーション装置は、更新可能な地図情報を記憶し、位置検出手段により現在位置を検出し、検出位置が地図の道路上にあるかを判定し、道路上にない場合、複数の検出位置をつなぐ軌跡を新規経路として検出する。ナビゲーション装置は、所定の走行速度以上で所定の距離以上を走行したかに基づいて、新規経路を判別する。
特許文献2には、以下の旨の技術が記載されている。この路面性状検知方法は、道路補修のための異常検出の際、プローブ情報の1つである、道路走行時の路面性状情報の分散及び平均値を参照基準として、他の道路の路面性状情報を収集し、補修必要性を判断する手順を有する。特許文献2には、プローブ情報の統計処理の例が記載されている。
位置情報を含むプローブデータに基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる技術が求められている。新規道路とは、地図データに未反映である、新規に供用された道路である。
特許文献1のように、位置が既存道路上か否かを判別して新規道路を推定する技術がある。しかし、このような従来技術では、道路形状の推定の精度が低下する場合がある。例えば、車両及び車載の端末装置からの複数の位置情報による移動軌跡を、単にそのまま道路として推定する場合、実際の道路形状から大きく外れて推定してしまう可能性がある。この推定精度低下に影響する原因としては、GPSの測位誤差やマルチパス等が挙げられる。
本発明の目的は、道路形状推定を含む地図生成技術に関して、位置情報を含むプローブデータに基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる技術を提供することである。
本発明のうち代表的な実施の形態は、道路を含む地図データを生成する情報処理を行う地図生成システムであって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
一実施の形態の地図生成システムは、地図生成装置と、既存道路データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、位置情報取得機能を持つ端末装置から収集された、当該端末装置の位置情報を、プローブデータとして記憶するプローブデータ記憶部と、を備え、前記地図生成装置は、前記地図データ記憶部から前記既存道路データを参照し、前記プローブデータ記憶部からプローブデータ群を参照し、前記プローブデータ群のうち、前記既存道路データの既存道路領域外にある位置情報を取り出し、前記取り出した位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、複数の単位領域から構成されるグリッドを設定し、前記単位領域毎に、当該単位領域に含まれる位置座標の分布を用いて、所定の統計処理により、中心点を計算し、複数の前記中心点を含む新規道路データを出力する。
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、道路形状推定を含む地図生成技術に関して、位置情報を含むプローブデータに基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
図1〜図8を用いて、本発明の実施の形態1の地図生成システムについて説明する。実施の形態の地図生成方法は、実施の形態の地図生成システムで実行される手順を有する方法である。実施の形態の地図生成プログラムは、実施の形態の地図生成システムに処理させるプログラムである。
図1〜図8を用いて、本発明の実施の形態1の地図生成システムについて説明する。実施の形態の地図生成方法は、実施の形態の地図生成システムで実行される手順を有する方法である。実施の形態の地図生成プログラムは、実施の形態の地図生成システムに処理させるプログラムである。
[地図生成システム]
図1は、実施の形態1の地図生成システムの構成を示す。実施の形態1の地図生成システムは、地図サーバ1と、複数のナビゲーション端末2と、これらを接続する通信網とを有する。通信網としては、無線基地局31を含む無線ネットワーク30と、インターネット32とを含む。
図1は、実施の形態1の地図生成システムの構成を示す。実施の形態1の地図生成システムは、地図サーバ1と、複数のナビゲーション端末2と、これらを接続する通信網とを有する。通信網としては、無線基地局31を含む無線ネットワーク30と、インターネット32とを含む。
地図サーバ1は、地図生成装置であり、地図生成者である事業者が保有及び管理するサーバ装置等により構成される。地図サーバ1は、地図データ管理部11、地図生成部12を有し、データ記憶部として、地図データ記憶部15、プローブデータ記憶部16、新規道路データ記憶部17を有する。地図生成部12は、プローブデータ処理部13、新規道路推定部14、更新データ管理部18を含む。
地図データ管理部11は、地図データ記憶部15に地図データを管理し、地図データの読み書きを行う。地図データ管理部11は、地図データをナビゲーション端末2等に配信する機能を有してもよい。
地図データ記憶部15は、既存道路データを含む地図データを記憶する。この地図データの例としては、カーナビ用の地図データが挙げられる。この地図データは、道路や建物といった地図構成物の位置及び形状を示す情報を含む。既存道路データは、既存道路の位置や領域の形状を規定する情報として位置座標等を含む。
地図生成部12は、収集したプローブデータ群を用いて、新規道路データを含む地図データを生成する。
プローブデータ処理部13は、複数のナビゲーション端末2からプローブデータ群を収集し、プローブデータ記憶部16に記憶し、プローブデータ群に対する読み書きを含む処理を行う。
プローブデータ記憶部16は、複数のナビゲーション端末2から収集されたプローブデータ群を記憶する。
新規道路推定部14は、プローブデータ群を用いて、新規道路を推定する処理を行い、その推定結果である新規道路データを、新規道路データ記憶部17に記憶する。
新規道路データ記憶部17は、地図生成部12の新規道路推定部14により推定された新規道路データを記憶する。
更新データ管理部18は、推定により生成された新規道路データを、更新データとして、地図データ記憶部15の地図データに反映するように更新を行う。また、更新データ管理部18は、推定により生成された新規道路データを含む情報を、画面に表示する。これにより、ユーザは、画面で新規道路データの確認や修正等が可能である。ユーザは、画面で、既存道路データとの接続関係を含めて、新規道路データの形状等が適切か確認でき、問題無い場合には反映ボタンを押して地図データに反映させることができる。
また、更新データ管理部18は、画面でのユーザ入力操作に基づいて、新規道路推定機能に係わる設定が可能である。設定の内容については後述するが、処理方式、グリッドのサイズ、判定用の閾値、等が設定可能である。
ナビゲーション端末2は、位置情報取得機能及び位置情報出力機能を持つ端末装置である。ナビゲーション端末2は、更に、位置情報及び地図データを用いたナビゲーション機能を有する。ナビゲーション機能は、車両の搭乗者であるユーザに対し、画面で、地図上の現在位置や、目的地へ誘導するための経路等をナビゲーションする機能を含む。ナビゲーション機能は、経路検索を行い、その結果の経路を表示する機能を含む。
ナビゲーション端末2は、図示しない車両に搭載されており、移動端末でもある。車両の走行による移動と共にナビゲーション端末2も移動する。ナビゲーション端末2は、位置情報取得機能を用いて、当該ナビゲーション端末2及び車両の現在の位置情報を取得する。ナビゲーション端末2は、取得した位置情報を、ナビゲーション機能に用いると共に、車両位置情報50として、地図サーバ1へ向けて出力する。
ナビゲーション端末2は、GPS装置21、位置情報取得部22、位置情報送信部23、ナビゲーション部24、無線通信装置25、位置情報記憶部26、地図データ記憶部27を備える。
GPS装置21は、GPS、即ちGPS衛星との通信に基づいて、位置情報を取得または計測する。位置情報は、時刻情報を含む。位置情報取得部22は、GPS装置21を用いて、自端末に関する現在の位置情報を取得し、取得した位置情報を位置情報記憶部26に記憶する。位置情報記憶部26は、位置情報を記憶する。
位置情報送信部23は、取得された位置情報を外部へ出力する機能を構成する。位置情報送信部23は、位置情報記憶部26の位置情報を用いて、車両位置情報50として構成し、無線通信装置25を用いて、地図サーバ1へ向けて送信する。
車両位置情報50は、情報として、端末ID、日時、位置座標を含む。車両位置情報50は、言い換えると端末位置情報である。端末IDは、当該車両及びナビゲーション端末2の識別情報である。日時は、位置座標に関係付けられた時刻情報に対応する。位置座標は、当該車両及び端末の地図上の位置を表す座標値であり、緯度及び経度を含む情報により構成される。
ナビゲーション部24は、位置情報記憶部26の位置情報や、地図データ記憶部27の地図データを用いて、ユーザに対するナビゲーションの処理を行う。ナビゲーション部24は、ナビゲーション情報を構成し、画面表示や音声出力を行う。地図データ記憶部27は、ナビケーション用の地図データを記憶する。ナビゲーション部24は、無線通信装置25を通じて、地図サーバ1から提供される地図データを取得し、地図データ記憶部27に格納してもよい。
無線通信装置25は、無線ネットワーク30に対する無線通信処理を行う。ナビゲーション端末2は、無線通信装置25の無線通信により、無線基地局31を含む無線ネットワーク30を経由して、インターネット32及び地図サーバ1に接続される。
ナビゲーション端末2から送信された車両位置情報50は、無線ネットワーク30及びインターネット32を経由して、地図サーバ1へ送信される。地図サーバ1は、複数の各々のナビゲーション端末2からの車両位置情報50を、プローブデータとして受信し、プローブデータ処理部13を通じてプローブデータ記憶部16に格納する。
実施の形態1の地図生成システムの地図サーバ1は、複数のナビゲーション端末2からの位置情報をプローブデータとして収集し、そのプローブデータ群を対象に統計処理により新規道路を推定し、その新規道路を含む地図データを生成する。プローブデータは、ナビゲーション端末2を搭載した車両が、新規道路を含む道路を走行したことに対応して出力されるものである。
[地図サーバ]
図2は、地図サーバ1の詳しい構成を示す。地図サーバ1は、制御部101、記憶部102、通信インタフェース部103、入出力部104を備える。
図2は、地図サーバ1の詳しい構成を示す。地図サーバ1は、制御部101、記憶部102、通信インタフェース部103、入出力部104を備える。
制御部101は、プロセッサ、ROM、RAM等を含み、プロセッサによりROMや記憶部102からプログラムをRAMへ読み出してソフトウェア処理を実行することにより、地図データ管理部11や地図生成部12を実現する。
記憶部102は、一次記憶装置や二次記憶装置を含み、各種のプログラムやデータが記憶され、地図データ記憶部15等のデータ記憶部を実現する。記憶部102は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ等により実現できるが、地図サーバ1の外部のストレージやDBサーバ等により実現されてもよい。
通信インタフェース部103は、インターネット32等に対する通信インタフェースを有し、通信処理を行う。通信インタフェース部103は、ナビゲーション端末2からの車両位置情報50を受信する。プローブデータ処理部13は、通信インタフェース部103を通じて、その車両位置情報50をプローブデータ202として取得し、プローブデータ記憶部16に格納する。プローブデータ記憶部16に記憶されるプローブデータ202について、後述の図4で示す。
入出力部104は、入力装置や出力装置が接続される入出力インタフェースを含み、地図生成を行う事業者のユーザに対するユーザインタフェースとして画面等を提供する。ユーザは、入出力部104を通じて入力操作を行う。
地図データ記憶部15の既存道路データ等の道路データは、地図上の道路を構成する所定の形式のデータである。この道路データは、道路の位置、形状、道路同士の相互接続関係情報、道路の種類、等を表す情報を含む。
道路データの形式は、例えばリンクデータである。リンクデータは、線分に対応するリンクにおいて、両端のノードを有する。ノードは、位置座標で表され、他の道路との接続点である交差点や、終端点等に対応する。ノードは、必要に応じて他の道路のリンクのノードと接続される。道路データの形式としては、リンクデータの属性情報として、上記の各種の情報を持つ。地図データ記憶部15には、既存道路データ201における複数の道路データとして、上記の各道路データに対応するリンクデータが含まれている。
既存道路データ201等の道路データは、道路の2次元の形状を表す情報を含む。即ち、道路データは、地図上における緯度及び経度による位置座標により構成される2次元の座標空間において、道路領域の形状を規定する情報を含む。この情報として、道路データは、例えば、道路の中心線の情報と、道路の幅の情報と、を含む。即ち、道路の中心線と、中心線に対する直交方向での幅とから、道路領域の形状が規定できる。あるいは、この情報として、道路データは、道路領域の輪郭線を規定する情報を含んでもよい。道路の中心線や輪郭線は、直線でもよいし、曲線でもよい。また、ある道路は、複数の道路の接続により構成されてもよい。
新規道路データ記憶部17には、新規道路推定部14により推定及び生成された新規道路の新規道路データ203が格納される。新規道路データ203は、新規道路毎に、位置及び形状を表す情報を含む。新規道路データ203も、2次元の領域の形状を持つものとして生成される。
[ナビゲーション端末]
図3は、ナビゲーション端末2の詳しい構成を示す。ナビゲーション端末2は、GPS装置21や無線通信装置25の他、制御部301、記憶部302、通信インタフェース部303、入出力部304を備える。制御部301は、プロセッサ、ROM、RAM等を含み、プロセッサによりROMや記憶部302からプログラムをRAMへ読み出してソフトウェア処理を実行することにより、位置情報取得部22等を実現する。
図3は、ナビゲーション端末2の詳しい構成を示す。ナビゲーション端末2は、GPS装置21や無線通信装置25の他、制御部301、記憶部302、通信インタフェース部303、入出力部304を備える。制御部301は、プロセッサ、ROM、RAM等を含み、プロセッサによりROMや記憶部302からプログラムをRAMへ読み出してソフトウェア処理を実行することにより、位置情報取得部22等を実現する。
記憶部302は、一次記憶装置や二次記憶装置を含み、各種のプログラムやデータが記憶され、位置情報記憶部26、地図データ記憶部27等を実現する。記憶部302は、各種の記憶手段により実現できる。
通信インタフェース部303は、無線通信装置25を通じて、無線ネットワーク30及びインターネット32等に対する通信処理を行う。通信インタフェース部303は、例えば地図サーバ1からの地図データを受信する。ナビゲーション部24は、通信インタフェース部303を通じて、その地図データを地図データ記憶部27に格納する。
入出力部304は、入力装置や出力装置が接続される入出力インタフェースを含み、ナビゲーション機能を利用するユーザに対するユーザインタフェースとして画面等を提供する。ユーザは、入出力部304を通じて入力操作を行う。
位置情報取得部22は、所定のタイミング、例えば定期的なタイミングで、GPS装置21を用いて、当該端末及び車両に関する位置情報を取得し、位置情報記憶部26に格納する。ここで取得される位置情報は、少なくとも、緯度及び経度による2次元の位置座標の値と、時刻情報とを含む。
位置情報送信部23は、所定のタイミングで取得された位置情報に基づいて構成した車両位置情報50を、無線通信装置25を用いて、地図サーバ1へ向けて送信する。位置情報送信部23は、位置情報記憶部26に蓄積された複数の位置情報を、1つにまとめた情報を、地図サーバ1へ送信してもよい。位置情報送信部23は、車両位置情報50を例えばパケットの形式で構成する。その際、位置情報送信部23は、車両位置情報50の中に、端末IDを記述する。この端末IDは、地図サーバ1がナビゲーション端末2及び車両を一意に識別できるIDである。
[プローブデータ]
図4は、車両位置情報50に対応するプローブデータ202の詳しい構成例として、プローブデータ記憶部16におけるプローブデータ群を格納する表を示す。図4の表は、1つのプローブデータ毎に1つのレコード、行データとして、複数のプローブデータが、受信の順序で格納されている。1つのプローブデータのレコードは、ある日時の時刻に、ある1つの車両のナビゲーション端末2で取得及び出力された車両位置情報50の内容を示す。プローブデータ処理部13は、受信した車両位置情報50を、図4の表に、1つのレコードのプローブデータが、1つのナビゲーション端末2からの1つの日時に関する位置座標を含むように格納する。
図4は、車両位置情報50に対応するプローブデータ202の詳しい構成例として、プローブデータ記憶部16におけるプローブデータ群を格納する表を示す。図4の表は、1つのプローブデータ毎に1つのレコード、行データとして、複数のプローブデータが、受信の順序で格納されている。1つのプローブデータのレコードは、ある日時の時刻に、ある1つの車両のナビゲーション端末2で取得及び出力された車両位置情報50の内容を示す。プローブデータ処理部13は、受信した車両位置情報50を、図4の表に、1つのレコードのプローブデータが、1つのナビゲーション端末2からの1つの日時に関する位置座標を含むように格納する。
図4の表は、列として、#で示す行番号、「端末ID」、「タイムスタンプ(日時)」、「位置_緯度」、「位置_経度」、「速度」等を有する。「端末ID」列には、車両位置情報50の中の端末IDの値が格納される。「タイムスタンプ(日時)」列には、車両位置情報50の中の日時の値が格納される。この日時の値は、GPS等による位置情報を取得した時刻情報に対応する。「位置_緯度」及び「位置_経度」列には、車両位置情報50の中の位置座標の緯度及び経度の値が格納される。
「速度」列には、車両位置情報50の中に速度の値が含まれている場合に、その値が格納される。この速度は、当該日時における車両の走行速度を示す。あるいは、地図サーバ1は、受信した車両位置情報50の中に速度の情報を含まない場合でも、車両位置情報50の情報を用いて「速度」を計算し、計算した「速度」の値を本列に格納してもよい。例えば、地図サーバ1は、取得した日時、緯度及び経度に基づいて、当該時刻の車両の速度を計算する。
「速度」の他にも、車両位置情報50の中に情報、例えば走行方向等が含まれている場合には、同様に、プローブデータの行の中に格納されてもよい。なお、実施の形態1の新規道路推定処理では、「速度」等の情報を使用しない。よって、図4の表の中に「速度」列を設けなくてもよい。変形例の新規道路推定処理では、「速度」等の情報を使用して推定を行ってもよい。
図4の例では、#1のレコードは、端末ID=「001」で識別される車両及びナビゲーション端末2の位置情報を示し、取得の日時が2012年5月1日12時34分00秒であり、その日時での位置座標における緯度及び経度が、139.7337639度及び35.66939167度であることを示す。また、その日時での車両の走行速度が、時速23kmであることを示す。また、例えば#1,#4,#7のレコードは、同じ端末ID=「001」の車両からの位置情報であることを示している。即ち、これらの複数のプローブデータは、時系列上で順序関係を持つ関連する複数の位置情報であって、1つの走行軌跡、移動軌跡を構成するデータである。同様に、端末ID=「002」や「003」等で示す、他の車両及びナビゲーション端末2からのプローブデータも格納されている。
また、例えば#1,#4,#7のレコードにおける1つのナビゲーション端末2における連続する各日時の位置座標を用いて、簡単な計算により、位置座標間の距離や、走行方向や、走行速度等を計算可能である。
[道路データ]
図5は、車両位置情報50及び道路データに関する構成例を示す。下記で「既存道路」とは、地図データ記憶部15の地図データに含まれている既存道路データに対応する。既存道路データは、前述のように、道路の位置、形状、及び他の道路との接続関係等を表す情報が含まれている。下記の「新規道路」とは、新規に供用された道路であって、地図データ記憶部15の既存道路データには含まれていない道路であり、当該道路の位置、形状、及び他の道路との接続関係等を表す情報がまだ作成されていない。
図5は、車両位置情報50及び道路データに関する構成例を示す。下記で「既存道路」とは、地図データ記憶部15の地図データに含まれている既存道路データに対応する。既存道路データは、前述のように、道路の位置、形状、及び他の道路との接続関係等を表す情報が含まれている。下記の「新規道路」とは、新規に供用された道路であって、地図データ記憶部15の既存道路データには含まれていない道路であり、当該道路の位置、形状、及び他の道路との接続関係等を表す情報がまだ作成されていない。
図5の例では、既存道路として、既存道路501A〜501Eを示し、また、それらの既存道路を接続する新規道路として、新規道路502Aを示す。既存道路501A〜501Eは、一定の幅を持つ道路領域の例であり、実線は道路領域の輪郭線に対応する。(x,y)は、位置座標に関するベースとなる2次元の座標空間を構成する座標を示す。xが緯度に対応し、yが経度に対応する。例えば、既存道路501A〜501Dは、図5の2次元の座標空間において、x方向に直線的に延在する道路であり、既存道路501Eは、y方向に直線的に延在する道路である。既存道路501Aと既存道路501Bは、交差点503Aで接続されている。既存道路501C、既存道路501D、既存道路501Eは、交差点503Bで接続されている。
新規道路502Aは、一定の幅を持つ道路領域の例であり、破線が道路領域の輪郭線に対応する。新規道路502Aは、y方向に直線的に延在する道路である。新規道路502Aは、既存道路501A,501Bと、既存道路501C〜501Eとの間を接続するように新規に供用された道路である。即ち、新規道路502Aは、一方の端部のノードが、既存道路501Aと既存道路501Bとの交差点503Aに接続されており、他方の端部のノードが、既存道路501Cと既存道路501Dと既存道路501Eとの交差点503Bに接続されている。
既存道路501A〜501Dと、既存道路501E及び新規道路502Aとは、概ね直交するように設けられている。新規道路502Aと既存道路501Eは、交差点503Bで概ね直線をなすように接続されている。
更に、図5で、×印で示す点は、それぞれ、緯度及び経度で特定される位置座標を示す。即ち、それらの点は、各道路上を走行した複数の車両のナビゲーション端末2からの車両位置情報50に含まれる位置座標に対応する。これらの点の座標値は、道路領域の範囲内外で、ばらつきを持って分布しており、一部の点は、道路領域の範囲外にある。このようなばらつきは、GPSの誤差等によって必然的に生じる。
なお、図5の下側に示す既存道路501Bは、一点鎖線で示す道路中心線に対応するリンクと、その幅505とにより、道路領域の形状が規定される例を示す。
[処理フロー]
図6は、実施の形態1の地図サーバ1における、新規道路推定処理を含む処理フローを示す。以下、図6のステップS11〜S15について説明する。
図6は、実施の形態1の地図サーバ1における、新規道路推定処理を含む処理フローを示す。以下、図6のステップS11〜S15について説明する。
(S11) 地図サーバ1は、予め、ユーザの操作に基づいて、新規道路推定処理に係わる設定値が設定されている。地図生成部12は、プローブデータ処理部13により、各車両のナビゲーション端末2から、車両位置情報50を受信し、プローブデータとして、プローブデータ記憶部16に図4の表のように格納する。地図生成部12は、ある程度の期間で収集したプローブデータ群を用いて、S12以下の処理を行う。
(S12) 地図サーバ1は、地図データ管理部11により、地図データ記憶部15から、既存道路データを参照する。地図生成部12は、その既存道路データを参照する。また、地図生成部12は、プローブデータ処理部13により、プローブデータ記憶部16から、処理対象のプローブデータ群を参照する。このプローブデータ群は、新規道路を推定するために用いるデータである。
地図生成部12のプローブデータ処理部13は、上記既存道路データとプローブデータ群とを比較して、図5の例のように、プローブデータの位置座標と既存道路領域との重なりを判断する。即ち、プローブデータ処理部13は、各位置座標の点が、既存道路領域の範囲内か範囲外かを判断する。これにより、プローブデータ処理部13は、既存道路領域の範囲外にある位置座標の点を特定して以降の処理対象として取り出し、既存道路領域の範囲内にある位置座標の点については処理対象から除外する。プローブデータ処理部13は、上記処理に基づいて、図4の表のプローブデータ群のレコードのうち、除外するレコード以外の、処理対象となるレコードの情報を参照する。
なお、既存道路領域範囲とは、図5の例のように、道路の中心線と幅で規定される領域や、輪郭線で規定される領域に対応する。また、S12の判断の際、既存道路データに基づいた領域範囲に対して、別途、S12の処理用に、所定の領域を設定して用いてもよい。この領域としては、既存道路領域を、外側に全体的に所定量だけ拡張した領域でもよい。例えば、図5の下側の既存道路501Bの領域に対し、幅505の大きさを拡張することで得られる領域としてもよい。この拡張は、ナビゲーション端末2で取得される位置座標の誤差や、走行車両が道路から外れる場合等を考慮したものである。S12の判断の際に、比較対象となる既存道路領域を決めるための設定値、例えば上記拡張の所定量を決める設定値については、実装上固定の内部設定値としてもよいし、ユーザにより可変に設定可能な設定値としてもよい。後者の場合、更新データ管理部18により設定用の画面を提供し、ユーザは、その画面で上記設定値の確認や変更ができる。GPS測位誤差等を考慮した上記設定値により、推定の精度を高くすることができる。
図5の例では、新規道路502Aを推定してようとしている場合に、既存道路501A〜501Eの領域範囲内にある各点については除外される。点504のような各点は、既存道路領域範囲外にあるので、処理対象として取り出される。
(S13) 次に、新規道路推定部14は、S13で取り出された処理対象のプローブデータに基づいて、新規道路を推定する処理を行う。S13の処理は、S13A〜S13Dを含み、詳細については後述する。S13の推定の結果、新規道路推定部14は、新規道路データを生成する。S13の結果、例えば図5の新規道路502Aに対応する新規道路データが得られる。
(S14) 実施の形態1では、地図生成部12は、S13の後にS14の処理を行う。S14は、S13の推定結果の新規道路を採用するか判断する処理であり、より詳細に新規道路を推定するための処理の一例を示す。なお、S14の処理を省略した形態も可能である。
S14で、地図生成部12は、S13で得た新規道路と、地図データの既存道路データとにおいて、接続関係を判断する。この判断は、各種の処理が適用可能である。地図生成部12は、新規道路が既存道路に接続されていると判断した場合、当該新規道路を、採用するものとして確定し、当該新規道路が既存道路に接続されていないと判断した場合、当該新規道路を、採用せずに却下する。
図5の例で、S13の結果、新規道路502Aが得られたとする。地図生成部12は、この新規道路502Aと、既存道路501A〜501Eとの接続関係を判断する。その結果、図5の通り、新規道路502Aと既存道路501A〜501Eとが接続されていると判断される。よって、地図生成部12は、この新規道路502Aを、新規道路データとして採用する。
(S15) 新規道路推定部14は、S14までで得た、推定された新規道路に対応する新規道路データ203を、新規道路データ記憶部17に格納して保存する。
また、更新データ管理部18は、その新規道路データ203の内容を含む画面を、ユーザに表示する。ユーザは、画面で、その新規道路データ203の内容として、地図上での新規道路の位置や形状、既存道路との接続関係等を確認できる。ユーザは、その新規道路データ203を、地図データに反映しても問題無い場合には、反映ボタンを押す。これに応じて、更新データ管理部18は、その新規道路データ203を、更新データとして、地図データ記憶部15の地図データに反映するように、地図データを更新する。これにより、その新規道路データ203は、既存道路データ201の一部となる。
[新規道路推定処理(S13)]
図6のS13の新規道路推定処理の詳細について説明する。
図6のS13の新規道路推定処理の詳細について説明する。
(S13A) 新規道路推定部14は、処理対象のプローブデータの位置座標に関するベースとなる2次元の座標空間の中に、所定のグリッドを設定する。
図7は、実施の形態1における、新規道路の推定前の位置座標のデータ例、及び、グリッドの設定例を示す。×印は位置座標の点を示す。(x,y)は図5と同様に座標空間を構成する座標を示す。新規道路推定部14は、プローブデータの位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、グリッドを設定する。図7で、横方向であるx方向の直線、及び縦方向であるy方向の直線は、グリッドを構成する線であり、座標空間を任意の間隔で区切る線である。単位領域701は、グリッドを構成する単位領域であり、縦横の線により構成される正方形を示す。単位領域701のサイズである縦横の幅は、任意の間隔に対応する。この任意の間隔及び幅は、ユーザにより可変に設定可能な設定値である。地図生成部12は、設定用の画面を提供し、ユーザは、画面で、単位領域の間隔及び幅を決める設定値を、確認及び変更できる。
新規道路推定部14は、座標空間の位置座標の点群に対して上記グリッドを設定することにより、点群を単位領域毎に分割する。即ち、単位領域毎に、その単位領域内に含まれる点が得られる。
(S13B) 新規道路推定部14は、グリッドの単位領域毎に、当該単位領域内に含まれている位置座標の点の分布を特定する。例えば、図7の単位領域702には、複数の点が含まれており、それらの点による分布を持つ。新規道路推定部14は、単位領域毎に、当該単位領域内の位置座標の分布に基づいて、所定の統計処理により、中心点を推定する。この中心点は、新規道路の中心線上の点に対応する。
新規道路推定部14は、所定の統計処理として、例えば重心の計算を適用し、これにより、複数の点の分布の中心点を得る。
図8は、図7の例に対応した、推定結果のデータ例を示す。図8中、四角(■)で示す点は、S13Bで計算された中心点を示す。
S13Bで中心点を計算するための所定の統計処理としては、平均、分散、重心等の計算、頻度分布の計算等、各種の計算方式が適用可能である。また、この計算方式は、位置座標の分布をガウス分布と仮定して、最小二乗法によって中央値を計算する方式等も適用可能である。
同様に、新規道路推定部14は、グリッドの単位領域毎に中心点を計算し、図8のような推定結果が得られる。
(S13C) 新規道路推定部14は、S13Bで得た単位領域毎の中心点を、線で結んだものを、新規道路の中心線として推定する。新規道路推定部14は、近い中心点同士を線で結ぶ。この線は、直線でもよいし、曲線でもよい。新規道路推定部14は、複数の中心点を複数の線で結ぶことにより構成された1つの線を、新規道路の中心線の形状として推定する。図8の例では、四角(■)で示す点同士が、実線で示す直線で結ばれることにより、1つの線800が構成されている。
新規道路推定部14は、S13Cで得た1つの線を、そのまま新規道路データとして用いてもよいし、更にこの線を加工して新規道路データを生成してもよい。例えば、新規道路推定部14は、S13Cで得た1つの線を、全体的に滑らかな形状になるように、曲線近似処理を施し、その結果を新規道路の中心線としてもよい。
また、新規道路推定部14は、S13Cで得た1つの線を、新規道路の中心線として、更に、この中心線に対する直交方向における幅を、位置座標の分布の度合い等に基づいて推定して設定してもよい。
新規道路推定部14は、S13Cで得た新規道路の中心線を含むデータを新規道路データとして一旦メモリに保存する。
上記S13Aで設定するグリッドの単位領域のサイズは、S13Bで中心点を計算する際の精度に影響する。即ち、単位領域の幅等の設定値に連動した解像度で、新規道路の中心線の形状が決まる。位置座標の点の分布の度合いに対して適度なサイズの単位領域を設定することにより、高精度の推定が可能である。例えば、ユーザ設定において、位置座標の点の分布の度合い、例えば分散値等を参考にして、グリッドの単位領域のサイズの設定値を、例えば数十メートル程度の幅にする。これにより、高精度の結果が得られる。また、ユーザは、ある設定値で好ましい結果が得られなかった場合には、設定値を変更して推定をやり直すことにより、より高精度の結果が得られる。
[処理例(S14)]
図6のS14における新規道路と既存道路との接続関係の判断を含む処理例は以下である。S14で、地図生成部12は、S13で得た新規道路の端部と、既存道路領域との距離を計算し、その距離と閾値とを比較し、その距離が閾値以内である場合、当該新規道路が既存道路に接続されていると判断する。あるいは、地図生成部12は、新規道路の端部の位置座標が、既存道路領域範囲内にある場合に、当該新規道路が既存道路に接続されていると判断してもよい。
図6のS14における新規道路と既存道路との接続関係の判断を含む処理例は以下である。S14で、地図生成部12は、S13で得た新規道路の端部と、既存道路領域との距離を計算し、その距離と閾値とを比較し、その距離が閾値以内である場合、当該新規道路が既存道路に接続されていると判断する。あるいは、地図生成部12は、新規道路の端部の位置座標が、既存道路領域範囲内にある場合に、当該新規道路が既存道路に接続されていると判断してもよい。
図5の例では、新規道路502Aのy方向の一方の端部が交差点503Aに十分に近く、他方の端部も交差点503Bに十分に近い。その場合、新規道路502Aは、既存道路に接続されていると判断される。
S14の他の処理例は以下である。地図生成部12は、S13で得た新規道路の中心線の長さをみる。地図生成部12は、その中心線の長さを閾値と比較し、その中心線の長さが閾値以下である場合、新規道路ではないと判断する。
S14の他の処理例は以下である。地図生成部12は、新規道路の中心線と、それに対する直交方向に存在する既存道路の中心線との距離をみる。地図生成部12は、その距離を閾値と比較し、その距離が閾値以上である場合、新規道路であると判断する。
新規道路にならない事例としては以下が挙げられる。走行車両が、直線の既存道路から外れて、横手にある店舗等に寄った場合、その時の位置座標が取得され、走行軌跡のうちの凸形状の部分として現れる。その凸形状の部分については、S14の判断により、新規道路として採用すべきではないと判断される。
[効果等]
以上のように、実施の形態1によれば、複数のナビゲーション端末2からのプローブデータ群に基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる。特に、グリッド上の位置座標の分布に対する統計処理を用いることにより、新規道路の形状を高精度に推定することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、複数のナビゲーション端末2からのプローブデータ群に基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる。特に、グリッド上の位置座標の分布に対する統計処理を用いることにより、新規道路の形状を高精度に推定することができる。
従来技術は、端末装置からの位置情報群を用いて新規道路を推定する際に、GPS誤差等の影響により、推定精度が低下する。一方、実施の形態1によれば、複数のナビゲーション端末2から収集された多数の位置情報、例えば複数の走行軌跡を用いて、所定の統計処理を行うことで、GPS誤差等の影響を低減する。これにより、新規道路を高精度に推定することができる。この統計処理は、多数の測定値による分布がガウス分布に近付くことを利用している。
実施の形態1の変形例として、以下が挙げられる。図1で、複数のナビゲーション端末2は、機能として位置情報取得機能及び位置情報出力機能を持つ端末装置であればよく、当該機能以外の構成要素については、同じでも、異なってもよい。ナビゲーション端末2の代わりに、ナビゲーション機能を持たない端末装置も適用可能である。ナビゲーション端末2は、自動車に搭載されているカーナビ等の端末装置や設備でもよいし、それに限らず、スマートフォン等の移動端末でもよい。ナビゲーション端末2は、自動車の搭乗者や歩行者が持つ端末装置でもよい。ナビゲーション端末2を搭載する自動車は、一般車両でもよいし、専用車両でもよい。専用車両は、地図生成や道路管理等に対応した機能を持つ車両でもよい。また、自動車に限らず、空間を移動できる手段であれば適用可能である。
実施の形態1のナビゲーション端末2は、取得した位置情報による車両位置情報50を、即時に、無線通信を通じて、地図サーバ1へ送信する。これに限らず、ナビゲーション端末2は、取得した位置情報を、位置情報記憶部26に蓄積しておき、時間的に後で、複数の位置情報をまとめて、地図サーバ1へ送信して登録してもよい。ナビゲーション端末2は、所定の期間、例えば1日毎に、複数の車両位置情報50を1つにまとめた情報を、地図サーバ1に送信して登録してもよい。また、地図サーバ1からナビゲーション端末2にアクセスして、そのような情報を取得してもよい。また、ナビゲーション端末2から地図サーバ1へ、位置情報を、無線通信以外の任意の手段で登録してもよい。例えば、位置情報記憶部26の位置情報が記録媒体に書き込まれ、ユーザがその記録媒体をオフラインで持ち運び、記録媒体から読み出したデータを、地図サーバ1に登録してもよい。
実施の形態1では、複数の車両及び端末装置からある程度の時間をかけて収集した、複数の車両位置情報50に対応するプローブデータ群を用いて、統計処理により新規道路を推定する。よって、個別の車両位置情報50の送信についての即時性は要求されない。
地図サーバ1の機能は、1台の計算機で実現されてもよいし、複数台の計算機で実現されてもよい。例えば、新規道路推定部14に対応する機能が1台の計算機で実現され、他の機能が他の計算機で実現され、それらが通信網を介して連係する形態でもよい。同様に、地図データ管理部11及び地図データ記憶部15の部分が、独立した計算機で実現されてもよい。プローブデータ処理部13及びプローブデータ記憶部16の部分が、独立した計算機で実現されてもよい。新規道路データ記憶部17が地図データ記憶部15に統合された形態でもよい。また、ナビゲーション端末2は、外部にGPS装置21や無線通信装置25等が接続され、それらが本体と連係する形態でもよい。
(実施の形態2)
図9〜図11を用いて、本発明の実施の形態2の地図生成システムについて説明する。実施の形態2の基本的な構成は、実施の形態1と同様である。以下、実施の形態2の構成における実施の形態1の構成とは異なる部分について説明する。
図9〜図11を用いて、本発明の実施の形態2の地図生成システムについて説明する。実施の形態2の基本的な構成は、実施の形態1と同様である。以下、実施の形態2の構成における実施の形態1の構成とは異なる部分について説明する。
実施の形態1では、プローブデータ群の多数の位置情報に基づいて、単純な構成のグリッドを用いて、位置座標の分布に関する統計処理を行って中心点を計算し、中心点を結ぶことにより新規道路を推定した。実施の形態2では、実施の形態1と同様に多数の位置情報を用いて新規道路を推定する際に、実施の形態1の一様な単位領域を持つグリッドよりも複雑な構成のグリッドとして、位置座標の分布に応じた単位領域を持つグリッドを用いる。具体的には、実施の形態2では、位置座標の分布の状態に合わせて、各々のサイズが調整された単位領域を用いて、中心点を計算する統計処理を行う。
実施の形態2の地図サーバ1は、図1の実施の形態1の地図サーバ1の構成のうち、地図生成部12の内容が異なる。実施の形態2の地図サーバ1は、プローブデータ群によって示される、車両の走行軌跡を用いて、統計処理により新規道路を推定する。
[処理フロー]
図9は、実施の形態2における、地図サーバ1における新規道路推定処理を含む処理フローを示す。以下、図9のステップS21〜S25について説明する。
図9は、実施の形態2における、地図サーバ1における新規道路推定処理を含む処理フローを示す。以下、図9のステップS21〜S25について説明する。
(S21) S21は、図6のS11の処理と同様であり、設定やプローブデータ収集処理である。なお、この設定は、実施の形態2で特有の推定処理に用いる設定値の設定を含む。
(S22) S22は、図6のS12の処理と同様であり、既存道路データの参照、プローブデータ群の参照、及び、既存道路領域範囲外の位置座標を持つプローブデータの取り出し等が行われる。
(S23) S23では、図6のS13の推定処理とは異なる内容の推定処理が行われる。S23は、詳しくはS23A〜S23Gを含む。
(S23A) 地図生成部12の新規道路推定部14は、プローブデータ処理部13を通じて、プローブデータ記憶部16から取り出された処理対象のプローブデータ群について、車両及びナビゲーション端末2毎の走行軌跡のデータを判別して取得する。走行軌跡は、言い換えると移動軌跡であり、同じ端末IDに関する、時系列上で日時に対応した順序を持つ、関連する複数の位置座標から構成される。位置座標の点を、日時に従う順序で結ぶことにより、走行軌跡が得られる。
図4の表の例では、地図生成部12は、端末ID及び日時の情報に基づいて、例えば同じ端末ID=「001」に該当する#1,#4,#7等のレコードから、1つの走行軌跡を構成する一連の位置座標を判別して取得することができる。
新規道路推定部14は、走行軌跡における区間上で、任意の時刻の1つの位置座標を、基準点として設定する。説明上、この基準点を第1中心点ともいう。
図10は、実施の形態2における、新規道路の推定前のデータ例等を示す。このデータは、複数のナビゲーション端末2から収集されたプローブデータ群による、複数の走行軌跡を含んだデータである。×印は、複数の走行軌跡に関する、位置座標の点である。三角(▲)で示す点は、×印の位置座標のうち、ある1つのナビゲーション端末2の走行軌跡に関する位置座標の点であって、S23Aで決める基準点の例として基準点K1〜K10を示す。新規道路推定部14は、例えば、ある走行軌跡の区間のうち、日時が古い方の端部にある1つの点を選択して、基準点K1とする。
(S23B) 新規道路推定部14は、S23Aで決めた基準点に対し、実施の形態2で特有の単位領域を設定する。新規道路推定部14は、その基準点を中心として、単位領域を設定する。この単位領域は、ユーザ設定に基づいて、所定の標準サイズを持つ形状、例えば正方形、が設定される。
単位領域の形状は、正方形に限らず、長方形、六角形等の多角形、楕円を含む円形、等も可能であり、標準サイズの指定を含め、画面でユーザにより可変に設定可能である。形状を多角形とする場合、サイズとして幅や辺長等を設定可能である。形状を円形とする場合、半径等を設定可能である。
図10で、S23Bで設定される単位領域の例として、単位領域U1〜U6等を示す。単位領域U1〜U6は、標準サイズである縦横の幅を持つ正方形である。新規道路推定部14は、座標空間上、例えば基準点K1を第1中心点としてその周りに単位領域U1を設定する。
(S23C) 新規道路推定部14は、S23Bの単位領域について、S23Cで、付近の位置座標の分布等に合わせて、サイズを調整する処理を行う。この際、新規道路推定部14は、S23Bの単位領域またはそれを含むより広い領域における位置座標の分布の度合いや、走行軌跡の方向等をみる。新規道路推定部14は、例えば、単位領域に重なる位置座標の分布の度合いとして、点の数、分布の方向、密度等をみる。新規道路推定部14は、例えば、当該単位領域内の分布の分散値を計算する。新規道路推定部14は、当該単位領域における位置座標の分布の度合い、例えば分散値に合わせて、その単位領域の縦横の幅を変更する。
新規道路推定部14は、例えば、x方向の分散値がy方向の分散値よりも相対的に大きい場合、即ち横長の領域に点が分布している場合、それに合わせて、単位領域の横幅を拡げ、縦幅を狭くしてもよい。また、新規道路推定部14は、例えば、x方向の分散値が相対的に大きく、y方向の分散値が相対的に小さい場合、後述の次の基準点の決め方にも依るが、単位領域のx方向の幅を小さくし、y方向の幅を大きくしてもよい。
図10で、単位領域U1〜U6,U10は、S23Cでサイズを変更しない例であり、単位領域U7〜U9は、S23Cでサイズを変更する例である。例えば、単位領域U7は、標準サイズよりも縦横の幅が大きくなるように変更された状態を示す。この基準点K7の周りには、多くの位置座標の点が分布しており、分散値が大きいので、それに合わせて、単位領域U7のようにサイズが調整されている。他の例として、単位領域U8,U9は、標準サイズに対し、x方向の幅を小さく、y方向の幅を大きくするように変更されている。これは、走行軌跡の方向であるx方向では、サイズを小さくし、走行軌跡の方向に対して直交するy方向では、分布の点が多いので、サイズを大きくするという例である。
走行軌跡の方向とは、時系列上で位置座標の点がつながる方向であり、車両の走行方向に対応する。例えば図10の三角で示す複数の点を含む走行軌跡の例では、基準点K1から基準点K6までの部分では、走行軌跡の方向が、概ね斜め右下方向であり、基準点K7から基準点K10までの部分では、走行軌跡の方向が、概ね右方向である。
なお、S23Cの処理を省略する形態も可能である。S23Cを省略しない場合には、より高精度な推定が可能である。なお、S23Cで、単位領域の多角形のサイズの調整の場合には、基準点を中心として変えずに幅等が変更される。また、単位領域の円形のサイズの調整の場合には、基準点を中心とする同心円で半径等が変更される。
(S23D) 新規道路推定部14は、S23Cで決めた単位領域の範囲内に含まれている位置座標の分布に基づいて、当該単位領域毎に、中心点を計算する。説明上、この中心点を第2中心点ともいう。この計算処理は、図6のS13のS13Bの計算処理と同様に、各種の統計処理を適用できる。新規道路推定部14は、この統計処理として例えば重心を計算し、その重心を第2中心点として設定する。S23Dでは、ある車両の走行軌跡の周りに、同じ車両または他の車両の走行軌跡がある場合に、それらの位置座標を反映した統計処理により、中心点が計算される。
図11は、図10のデータ例に対応した推定結果を示す。ひし形で示す点は、S23Dで計算された中心点を示す。
S23Cの処理で、基準点毎にその付近の分布を考慮した単位領域が設定され、S23Dの処理で、その単位領域毎の中心点が計算される。これにより、高精度な推定が可能である。
(S23E) 新規道路推定部14は、走行軌跡の区間上、S23Dまでで中心点を計算済みの基準点に対して、次の基準点を決める。そのために、新規道路推定部14は、走行軌跡の区間上、計算済みの基準点から、一定時間以上または一定距離以上で離れたところにある位置座標の点を探し、そのような点がある場合には、その点を、次の基準点として設定する。
図10の例では、中心点を計算済みの基準点が例えば基準点K1である場合に、新規道路推定部14は、その基準点K1から、走行軌跡の方向である右斜め下方向へ向かって点を探し、例えば一定距離以上で離れたところにある1つの点を選択する。その点が例えば基準点K2である。なお、一定距離以上かどうかの判断を行う際には、プローブデータ中の位置座標の差分から距離を判断可能である。一定時間以上かどうかの判断を行う際には、プローブデータ中の日時の差分から時間を判断可能である。
S23Eで用いる、次の基準点を決定するための一定時間または一定距離の値については、実装上の内部設定値としてもよいし、ユーザ設定の設定値としてもよい。後者の場合、ユーザは、画面で、当該一定時間または一定距離の値を可変に設定可能である。
(S23F) 新規道路推定部14は、S23Eの結果、次の基準点として設定できる位置座標の点が有る場合(S23F−Y)、S23Bへ戻り、次の基準点についても、S23B〜S23Eの処理を同様に繰り返す。新規道路推定部14は、S23Eの結果、次の基準点として設定できる位置座標の点が無い場合(S23F−N)、S23Gへ進む。
(S23G) 新規道路推定部14は、S23Fまでで得られた、複数の第2中心点を線で結び、その結果得られる線を、新規道路の中心線の形状として推定し、対応する新規道路データとする。新規道路推定部14は、時系列上で隣接する第2中心点同士を線で結ぶことにより、処理対象の走行軌跡における1つの線を得る。
図11の例では、ひし形で示す複数の第2中心点を線で結ぶことにより得られた1つの線1100が、推定される新規道路の中心線の形状に対応する。
その後、新規道路推定部14は、S23で得られた1つの線を、そのまま新規道路データとしてもよいし、更に、その線を加工することにより、新規道路データを生成してもよい。例えば、新規道路推定部14は、S23の結果推定された新規道路の中心線に対する直交方向での幅を決め、新規道路の領域の形状を決める。この処理としては、例えば走行軌跡の方向に対する直交方向での位置座標の分布の度合いに応じて幅を決める処理や、各基準点の単位領域のサイズに応じて幅を決める処理等が適用可能である。
(S24) S24は、図6のS14の処理と同様であり、推定結果の新規道路と既存道路との接続関係に基づいて、新規道路として採用するかを判断し、既存道路に接続していないものを却下する処理である。
(S25) S25は、図6のS15の処理と同様であり、推定結果の新規道路データを新規道路データ記憶部17に保存し、地図データに反映する処理や、新規道路データの内容を画面に表示する処理である。
[効果等]
以上のように、実施の形態2によれば、複数の端末装置からのプローブデータ群に基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる。特に、実施の形態2では、より細かい構成のグリッドを用いて、即ち位置座標の分布に応じて決めた単位領域を用いて、新規道路の中心線を推定する。これにより、新規道路の形状を高精度に推定できる。
以上のように、実施の形態2によれば、複数の端末装置からのプローブデータ群に基づいて、新規道路の形状を高精度に推定することができる。特に、実施の形態2では、より細かい構成のグリッドを用いて、即ち位置座標の分布に応じて決めた単位領域を用いて、新規道路の中心線を推定する。これにより、新規道路の形状を高精度に推定できる。
また、実施の形態2では、プローブデータ群から判別した走行軌跡を用いた統計処理により、新規道路を推定する。実施の形態2では、例えば、同じ新規道路上を1台以上の車両が1回以上走行したことにより得られるプローブデータ群から、複数の走行軌跡データを判別する。そして、実施の形態2では、走行軌跡に沿って、基準点及び単位領域を決めながら、他の走行軌跡の位置座標の分布を反映しつつ中心点を計算し、走行軌跡の方向へ同様の処理を繰り返す。これにより、新規道路の中心線の形状を高精度に推定できる。
グリッドの単位領域のサイズによっては、関係が無い位置座標の点が混在してしまう可能性があり、推定の精度が低下する。例えば、単位領域のサイズが大きすぎる場合、ある道路上の位置座標と、その道路から離れた別の道路上の位置座標とが、1つの単位領域内に混在する場合がある。この場合、それらの位置座標を含む統計処理では、中心点の精度が低下してしまう。実施の形態2では、分布に応じて単位領域のサイズを調整するので、単位領域の中に関連性が低い位置座標が紛れ込む確率を少なくする。これにより、高精度の推定ができる。
実施の形態2の変形例として、以下が挙げられる。
図9のS23Dの処理に関する変形例として、同じ1つの車両のみの複数の走行軌跡データを用いて、中心点を計算する統計処理を行ってもよい。
実施の形態2では、グリッドを構成する複数の単位領域の形状については一定として、S23の推定処理中にS23Cで単位領域のサイズを調整する例を説明した。これに限らず、S23の推定処理中にS23Cで単位領域の形状を調整する形態としてもよい。例えば、最初は、ユーザ設定に基づいて、単位領域の形状が正方形である。そして、S23Cでは、付近の位置座標の分布等に応じて、正方形から、他の形状である多角形や円形等に変更される。グリッドを構成する複数の単位領域において、異なる形状が混在してもよい。
S23Eにおける一定距離や一定時間の値、即ち基準点同士の間隔は、走行軌跡上で同一の値に限らず、走行軌跡上の位置座標の分布に応じて、可変されてもよい。例えば、位置座標の分布の密度が低い箇所では、一定距離を長くすると共に、単位領域のサイズを大きくするように調整される。また、密度が高い箇所では、一定距離を短くすると共に、単位領域のサイズを小さくするように調整される。
例えば、x方向に位置座標の分布の分散値が大きい場合、x方向が走行軌跡の方向に対応している。よって、S23Cで、図10の単位領域U8等の例のように、単位領域のx方向の幅を小さくし、y方向の幅を大きくするように調整される。また、それに合わせて、S23Eで基準点を決める際、一定距離の値が変更される。即ち、x方向に分布の度合いが大きい場合、一定距離を短くとることにより、より多くの基準点が設定され、複数の単位領域が適度な密度で配置される。これにより、より高精度の推定ができる。
走行軌跡における車両走行方向を用いる処理例として以下が可能である。ナビゲーション端末2またはそれを搭載する車両において、センサ等の機能により、車両走行方向を検出し、その車両走行方向を含む車両位置情報50を、地図サーバ1へ送信する。地図サーバ1は、その車両位置情報50の中の車両走行方向情報を参照する。あるいは、地図サーバ1は、収集したプローブデータの中に車両走行方向情報が無くても、時系列上の2つの位置座標から車両走行方向を計算できる。地図生成部12は、図10のような基準点に対し、車両走行方向に応じて、単位領域のサイズや回転角度の調整や、次の基準点の決定を行う。地図生成部12は、例えば、車両走行方向が斜め右下方向である場合、標準サイズの単位領域である正方形を、45度回転させ、車両走行方向の幅を小さくし、車両走行方向の直交方向の幅を大きくする。
(実施の形態3)
図12,図13を用いて、本発明の実施の形態3の地図生成システムについて説明する。実施の形態3の基本的な構成は、実施の形態2と同様である。以下、実施の形態3の構成における実施の形態2の構成とは異なる部分について説明する。
図12,図13を用いて、本発明の実施の形態3の地図生成システムについて説明する。実施の形態3の基本的な構成は、実施の形態2と同様である。以下、実施の形態3の構成における実施の形態2の構成とは異なる部分について説明する。
実施の形態3の地図サーバ1は、図1の実施の形態1の地図サーバ1の構成のうち、地図生成部12の内容が異なる。実施の形態3の地図サーバ1は、道路の分岐を考慮した統計処理により、新規道路を高精度に推定する。実施の形態3の地図サーバ1は、プローブデータ群から走行軌跡を判別し、複数の走行軌跡で一部重なる部分や近接している部分についても判別する。地図サーバ1は、その部分について統計処理を行う際に、プローブデータ群の位置座標の分布における全ての情報を用いるのではなく、走行軌跡に応じた一部の情報に限定する。例えば、地図サーバ1は、道路の分岐に応じた走行軌跡の分類に基づいて、処理対象の位置座標を、同一の分岐に属する走行軌跡のデータに限定する。
道路が分岐する箇所、言い換えると複数の道路が合流する箇所では、プローブデータ群において、分岐する複数の道路に関する位置情報が混在している。よって、従来技術では、その箇所の位置情報を用いて新規道路を推定しようとする場合、推定の精度が低下する場合がある。
実施の形態3では、道路が分岐する箇所のプローブデータ群について、走行軌跡を分類して判別し、走行軌跡の位置座標の分布に関する統計処理により、分岐に対応する新規道路の形状を推定する。
実施の形態3における、地図サーバ1における新規道路推定処理を含む処理概要は以下の通りである。
地図生成部12は、分岐点を含む複数の道路の領域に関する、収集されたプローブデータ群から、走行軌跡を判別する。判別は、実施の形態2と同様に、プローブデータに含まれている端末ID、日時、位置座標等を判断することにより可能である。これにより、地図生成部12は、1台以上の車両及びナビゲーション端末2に関する複数の走行軌跡データを判別して取得する。この際、地図生成部12は、同じ1つの車両のみによる1つ以上の走行軌跡データを取得してもよいし、複数の車両による複数の走行軌跡データを取得してもよい。
地図生成部12は、取得した走行軌跡データに関して、実施の形態2と同様に、既存道路との重なりを判断し、既存道路領域の範囲内の位置座標を除外し、範囲外の位置座標を取り出す。
地図生成部12は、取得した走行軌跡データに関して、複数の走行軌跡がある場合、それらの走行軌跡が、大別して同じ道路に属するものなのか、別の道路に属するものなのか、近さや分類の判断を行う。この判断は、例えば、走行軌跡同士の距離をみて閾値比較判定する処理や、走行軌跡と既存道路との接続関係を判断する処理等によって可能である。
図12は、分岐する道路に関する、プローブデータ群の位置座標のデータ例を示す。図12で、三角(▲)で示す点は、位置座標を示す。位置座標の間を結ぶ実線や点線は、走行軌跡に対応する線であり、1つの線は1つの走行軌跡に対応する。いずれの位置座標も、新規道路の推定に用いるデータであり、既存道路とは重なっていないとする。部分901は、分岐元の道路上の一部分である。部分902は、分岐先の第1の道路上の一部分である。部分903は、分岐先の第2の道路上の一部分である。実線の走行軌跡は、部分901や部分902を通っている。実線の走行軌跡の1つを、第1の走行軌跡とする。点線の走行軌跡は、部分901や部分903を通っている。点線の走行軌跡の1つを、第2の走行軌跡とする。
部分910は、道路の分岐点の部分に対応し、第1の走行軌跡や第2の走行軌跡を含む複数の走行軌跡が混在して一部重なっている部分の例を示す。点911は、その部分910の中の、第1の走行軌跡に属する1つの位置座標の点を示す。点912は、その部分910の中の、第2の走行軌跡に属する1つの位置座標の点を示す。
部分910は、複数の走行軌跡における複数の位置座標が混在している。部分910では、分岐の道路に対応して、複数の走行軌跡が非常に近接しており、観測された位置座標も近接している。それぞれの位置座標がどの走行軌跡や道路に属するのかも不明瞭である。また、複数の走行軌跡が交差している部分もある。よって、従来技術によって、そのまま、この部分910のデータを対象に、新規道路を推定したとしても、精度が低下してしまう。
地図生成部12は、例えば、第1の走行軌跡と第2の走行軌跡について、近さを判断し、その結果、一部の区間では、例えば部分901のように、位置座標が近くにあるので、同じ道路の走行によるものと推定できる。また、一部の区間では、例えば部分902及び部分903のように、位置座標が近くにないので、分岐する道路の走行によるものと推定できる。
地図生成部12は、例えば、第1の走行軌跡と第2の走行軌跡とを含む複数の走行軌跡について、既存道路との接続関係を判断する。既存道路とは交差点を含む。この判断は、地図データの既存道路データを参照して、既存道路との距離を閾値比較判定する処理等により可能である。この結果、例えば、第1の走行軌跡の部分902の先にある端部は、図示しない第1の既存道路に接続されており、第2の走行軌跡の部分903の先にある端部は、図示しない第2の既存道路に接続されているとする。この結果、地図生成部12は、第1の走行軌跡と第2の走行軌跡とが、別々の新規道路、特に分岐する新規道路、に関する走行軌跡であると推定できる。
地図生成部12は、上記処理に基づいて、複数の走行軌跡が一部混在して重なっている部分、例えば部分910についても、走行軌跡の分類により、例えば第1の走行軌跡や第2の走行軌跡として区別して把握する。即ち、地図生成部12は、部分902及び第1の走行軌跡のように、第1の分岐の道路に対応すると推定される走行軌跡データ群と、部分902及び第2の走行軌跡のように、第2の分岐の道路に対応すると推定される走行軌跡データ群と、を区別して把握する。
地図生成部12は、実施の形態2と同様に、走行軌跡の区間上で、基準点及び単位領域を設定して、その付近の位置座標の分布を用いた統計処理を行って中心点を計算する。地図生成部12は、例えば第1の走行軌跡に沿って推定を行う際に、部分910に関する統計処理の際には、第1の走行軌跡を含む、実線で示す走行軌跡データの位置座標のみを用いて、中心点を計算する。例えば、第1の走行軌跡上の点911を基準点として、部分910のような単位領域を設定して、中心点を計算する際に、実線の走行軌跡の位置座標のみを用い、点線の走行軌跡の位置座標を除外する。実線の走行軌跡は、第1の走行軌跡に対応した同じ新規道路上の走行によるものと推定される走行軌跡である。
同様に、地図生成部12は、例えば第2の走行軌跡に沿って推定を行う際に、部分910に関する統計処理の際には、第2の走行軌跡を含む、点線の走行軌跡の位置座標のみを用いて、中心点を計算する。これにより、分岐する道路の形状を、分岐点の形状を含めて、従来技術よりも高精度に推定できる。
図13は、図12の例に対応した、推定結果の新規道路の中心線の形状を示す。線1201は、第1の分岐先の新規道路の中心線を示す。線1202は、第2の分岐先の新規道路の中心線を示す。本例では、結果として、図12の部分901については、分岐元の新規道路と推定され、この新規道路の形状として、分岐に対応する2つの車線領域を含む領域の形状として推定される。部分902については、第1の分岐先の新規道路として推定される。部分903については、第2の分岐先の新規道路として推定される。
なお、本例は、分岐する道路の例であるが、分岐ではなく、2つの道路が一部で近接しているだけという事例の場合にも、実施の形態3の推定処理を同様に適用可能である。
(他の実施の形態)
他の実施の形態の地図生成システムとして、以下が挙げられる。実施の形態1〜3の組合せにより構成される形態も可能である。その場合、ユーザ設定に応じて、実施の形態1〜3の処理方式の中から、使用する処理方式を選択し、選択された処理方式で推定処理を行うようにしてもよい。
他の実施の形態の地図生成システムとして、以下が挙げられる。実施の形態1〜3の組合せにより構成される形態も可能である。その場合、ユーザ設定に応じて、実施の形態1〜3の処理方式の中から、使用する処理方式を選択し、選択された処理方式で推定処理を行うようにしてもよい。
本発明は、車両位置情報50及びプローブデータに端末IDが含まれていない場合にも適用可能である。この場合、プローブデータ群として、2次元の座標空間の位置座標の分布データが得られる。地図生成部12は、この分布データから、計算により、時系列データである走行軌跡データを判別して取得する。この処理は、日時の情報を用いて、位置座標同士の時間的な順序関係や距離を調べ、日時が近い位置座標を順に関係付ける処理等により可能である。
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。前記実施の形態のソフトウェア処理の一部は、ASIC等のハードウェア回路でも実現できる。各記憶手段は、SSD、ICカード、SDカード、DVD等でも実現できる。
1…地図サーバ、2…ナビゲーション端末、11…地図データ管理部、12…地図生成部、13…プローブデータ処理部、14…新規道路推定部、15…地図データ記憶部、16…プローブデータ記憶部、17…新規道路データ記憶部、18…更新データ管理部、21…GPS装置、22…位置情報取得部、23…位置情報送信部、24…ナビゲーション部、25…無線通信装置、26…位置情報記憶部、27…地図データ記憶部、30…無線ネットワーク、31…無線基地局、32…インターネット、50…車両位置情報。
Claims (15)
- 道路を含む地図データを生成する情報処理を行う地図生成システムであって、
地図生成装置と、
既存道路データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、
位置情報取得機能を持つ端末装置から収集された、当該端末装置の位置情報を、プローブデータとして記憶するプローブデータ記憶部と、
を備え、
前記地図生成装置は、
前記地図データ記憶部から前記既存道路データを参照し、
前記プローブデータ記憶部からプローブデータ群を参照し、
前記プローブデータ群のうち、前記既存道路データの既存道路領域外にある位置情報を取り出し、
前記取り出した位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、複数の単位領域から構成されるグリッドを設定し、
前記単位領域毎に、当該単位領域に含まれる位置座標の分布を用いて、所定の統計処理により、中心点を計算し、
複数の前記中心点を含む新規道路データを出力する、
地図生成システム。 - 請求項1記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記単位領域毎の前記中心点を線で結んだものを、前記新規道路の中心線の形状として推定し、
前記新規道路の中心線の形状を含む前記新規道路データを出力する、
地図生成システム。 - 請求項1記載の地図生成システムにおいて、
前記グリッドの前記複数の単位領域は、一定のサイズを持つ多角形または円形の形状であり、
前記地図生成装置は、前記単位領域のサイズ及び形状を、ユーザの操作に基づいて、可変に設定する、
地図生成システム。 - 請求項1記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記位置座標において、基準点を設定し、
前記基準点に、当該基準点を中心として前記単位領域を設定し、
前記単位領域に含まれる前記位置座標の分布を用いて前記統計処理により前記中心点を計算し、
前記基準点から、所定の距離または時間以上で離れた、次の基準点を設定して、同様の処理を繰り返す、
地図生成システム。 - 請求項4記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記プローブデータ群から、前記位置情報に含まれている端末IDまたは日時を用いて、複数の位置座標の時系列データである走行軌跡を判別し、
前記走行軌跡上の前記位置座標に、前記基準点を設定し、
前記走行軌跡上で、前記基準点から、前記次の基準点を設定して、同様の処理を繰り返す、
地図生成システム。 - 請求項4記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、前記基準点に対し設定される前記単位領域のサイズまたは形状の少なくとも一方を、付近の前記位置座標の分布の度合いに応じて調整する、
地図生成システム。 - 請求項6記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記基準点に対し、前記単位領域として、標準サイズの単位領域を設定し、
前記標準サイズの単位領域に含まれる前記位置座標の分布の度合いに応じて、前記標準サイズの単位領域のサイズを調整する、
地図生成システム。 - 請求項5記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記プローブデータに基づいて、前記走行軌跡における走行方向を把握し、
前記走行軌跡上で、前記走行方向に沿って、前記基準点を設定し、
前記基準点に対し設定される前記単位領域のサイズまたは形状または回転角度の少なくとも1つを、前記走行方向に応じて調整する、
地図生成システム。 - 請求項4記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、前記次の基準点を設定する際、付近の前記位置座標の分布の度合いに応じて、前記所定の距離または時間を変えることにより、前記次の基準点を決める、
地図生成システム。 - 請求項4記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、前記次の基準点を設定する際、前記プローブデータに含まれている端末IDまたは日時を用いて、当該端末IDが同じである位置座標または当該日時が近い位置座標から選択することにより、前記次の基準点を決める、
地図生成システム。 - 請求項5記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、前記中心点を計算する際に、処理対象の位置座標を、一部の前記走行軌跡に限定する、
地図生成システム。 - 請求項11記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記走行軌跡の判別に基づいて、複数の走行軌跡を、道路の分岐毎に分類し、
前記中心点を計算する際に、前記処理対象の位置座標を、同一の分岐に対応する前記走行軌跡に限定する、
地図生成システム。 - 請求項11記載の地図生成システムにおいて、
前記地図生成装置は、
前記走行軌跡と前記既存道路との接続関係を判断し、
前記中心点を計算する際に、前記処理対象の位置座標を、同一の既存道路に接続されている前記走行軌跡に限定する、
地図生成システム。 - 道路を含む地図データを生成する情報処理を行う地図生成システムにおける地図生成方法であって、
前記地図生成システムは、
地図生成装置と、
既存道路データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、
位置情報取得機能を持つ端末装置から収集された、当該端末装置の位置情報を、プローブデータとして記憶するプローブデータ記憶部と、
を備え、
前記地図生成方法は、前記地図生成装置で実行される手順として、
前記地図データ記憶部から前記既存道路データを参照する手順と、
前記プローブデータ記憶部からプローブデータ群を参照する手順と、
前記プローブデータ群のうち、前記既存道路データの既存道路領域外にある位置情報を取り出す手順と、
前記取り出した位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、複数の単位領域から構成されるグリッドを設定する手順と、
前記単位領域毎に、当該単位領域に含まれる位置座標の分布を用いて、所定の統計処理により、中心点を計算する手順と、
複数の前記中心点を含む新規道路データを出力する手順と、
を有する、地図生成方法。 - 道路を含む地図データを生成する情報処理を行う地図生成システムに前記情報処理を実行させる地図生成プログラムであって、
前記地図生成システムは、
地図生成装置と、
既存道路データを含む地図データを記憶する地図データ記憶部と、
位置情報取得機能を持つ端末装置から収集された、当該端末装置の位置情報を、プローブデータとして記憶するプローブデータ記憶部と、
を備え、
前記地図生成プログラムは、前記地図生成装置に実行させる処理として、
前記地図データ記憶部から前記既存道路データを参照する処理と、
前記プローブデータ記憶部からプローブデータ群を参照する処理と、
前記プローブデータ群のうち、前記既存道路データの既存道路領域外にある位置情報を取り出す処理と、
前記取り出した位置情報における位置座標のベースとなる座標空間の中に、複数の単位領域から構成されるグリッドを設定する処理と、
前記単位領域毎に、当該単位領域に含まれる位置座標の分布を用いて、所定の統計処理により、中心点を計算する処理と、
複数の前記中心点を含む新規道路データを出力する処理と、
を有する、地図生成プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015116454A JP2017003728A (ja) | 2015-06-09 | 2015-06-09 | 地図生成システム、方法、及びプログラム |
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- 2015-06-09 JP JP2015116454A patent/JP2017003728A/ja active Pending
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