先ず、本発明の実施形態に係るプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をプリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の左側、右側、上側、下側を示している。
プリンター1は、略箱型形状のプリンター本体2を備え、プリンター本体2の下部には用紙を収納する給紙カセットが設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイが設けられる。
プリンター本体2の上面には、排紙トレイの側方に上カバー3が開閉可能に取り付けられ、上カバー3の下方にはトナーコンテナ4が収納される。上カバー3を開くことで、プリンター本体2内のトナーコンテナ4の収納空間が露出し、プリンター本体2に対してトナーコンテナ4を着脱可能となる。プリンター本体2は、トナーコンテナ4の収納空間の近傍にコンテナ検出器41及びリーダー/ライター部42を備えている(図3参照)。コンテナ検出器41は、トナーコンテナ4の着脱、即ち、交換を検出する。リーダー/ライター部42は、装着されたトナーコンテナ4のICチップ23(図3参照)と通信してデータの読み取り及び書き込みを行う。
プリンター本体2内の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が排紙トレイの下方に配置され、露光器5の下方には、画像形成部6が設けられる。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7が回転可能に設けられ、感光体ドラム7の周囲には、帯電器と、トナーコンテナ4に接続された現像装置8と、転写ローラーと、クリーニング装置とが、感光体ドラム7の回転方向に沿って配置される。
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路10が設けられる。搬送経路10の上流端には給紙部が給紙カセットの近傍に設けられ、搬送経路10の中流部には、感光体ドラム7及び転写ローラーからなる転写部が設けられる。搬送経路10の下流部には定着装置が設けられ、搬送経路10の下流端には排紙部が排紙トレイの近傍に設けられる。
更に、プリンター本体2は、プリンター1の各部を制御する制御装置15を内部に備える。また、プリンター本体2は、プリンター1の状態を表示する表示部17(図3参照)を上面や側面に備える。表示部17は、タッチパネルやディスプレイ等で構成され、例えば、トナーコンテナ4のトナー残量(トナーゲージ)を表示する。なお、表示部17は、スタートキー、ストップ/クリアキー、テンキー等のプリンター1を操作する操作キーを備えて構成されてもよい。
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1は、外部のコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、画像形成動作を開始する。画像形成動作では、先ず、画像形成部6の帯電器によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、画像形成部6の現像装置8がトナーを用いてトナー像に現像する。
一方、給紙カセットに収納された用紙が、給紙部によって取り出されて搬送経路10上を搬送される。搬送経路10上の用紙は、所定のタイミングで転写部へ搬送され、転写部によって感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置へ搬送され、定着装置によって用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部から排紙トレイに排出される。
次に、トナーコンテナ4について説明する。図2に示すように、トナーコンテナ4は、トナーを内部に収容する容器本体20を備える。容器本体20内には、トナーを現像装置8へ補給する搬送部材21と、トナーを撹拌する撹拌部材22とが備えられる。容器本体20の側面には、トナーコンテナ4に関するコンテナ情報を記憶したICチップ23が備えられる。
容器本体20は、前後方向に長い略箱型形状に形成され、下面に開口した供給口20aを有する。供給口20aは、供給路12を介して現像装置8と連通している。
搬送部材21は、容器本体20の下部において供給口20aに対応した位置に回転可能に取り付けられる。搬送部材21は、例えば、前後方向に長い回転軸と、回転軸の外周面に形成される螺旋状の搬送羽根とからなる搬送スクリューとして構成される。搬送部材21が回転することによって、容器本体20内のトナーを供給口20a及び供給路12を介して現像装置8へ供給する。
撹拌部材22は、容器本体20内の上下方向の略中央において回転可能に取り付けられる。撹拌部材22は、例えば、前後方向に長い回転軸と、回転軸の外周面に形成される撹拌羽根とから構成される。撹拌部材22が回転することで、容器本体20内のトナーを撹拌する。
ICチップ23は、トナーコンテナ4がプリンター本体2に装着された状態で、制御装置15に接続されたリーダー/ライター部42と通信可能になり、アンテナ(図示せず)を介して通信してもよい。ICチップ23は、不揮発性のメモリー等の記憶媒体(図示せず)を備えていて、トナーコンテナ4のコンテナ情報を記憶する。
ICチップ23は、例えば、トナーコンテナ4のコンテナ情報として、新品のトナーコンテナ4の容器本体20に収容されるトナーの最大収容量を記憶する。また、ICチップ23は、コンテナ情報として、プリンター1が所定の印字品質(例えば、濃度等)で印字(画像形成)を行うことを前提として、最大収容量のトナーを使い切るまでに印字可能なドット数や印字率等の予定総量(印字可能量)を記憶する。例えば、A4サイズの用紙の全面をトナーで塗り潰す印字は100%の印字率で示され、この場合、A3サイズの用紙の全面をトナーで塗り潰す印字は200%の印字率で示される。トナーコンテナ4の印字可能量として印字率予定総量が95000%の場合、A4サイズの用紙に3.8%の印字率で印字を繰り返すことでトナーコンテナ4の最大収容量のトナーを使い切るとき、25000ページの用紙を印字できる。また、ICチップ23は、コンテナ情報として、トナーコンテナ4内のトナーを実際に用いてプリンター1による印字を行ったときの印字率やドット数等の印字量の積算値(積算印字量)を記憶する。例えば、新品のトナーコンテナ4のICチップ23は、0%の積算印字率を記憶している。
次に、現像装置8について説明する。図2に示すように、現像装置8は、トナーを収容する筐体30を備え、筐体30内には、トナーを感光体ドラム7へ供給する現像ローラー31と、トナーを撹拌・搬送する撹拌部材32及び搬送部材33とが設けられる。また、現像装置8は、筐体30内のトナー量を検出するトナー量センサー34(図3参照)を備える。
筐体30は、前後方向に長い略箱型形状に形成され、感光体ドラム7と対向するように左面に開口した開口部と、上面に開口した補給口30aとを有する。補給口30aは、供給路12を介してトナーコンテナ4と連通している。
現像ローラー31は、開口部を介して感光体ドラム7と対向すると共に接触するように配置され、前後方向に長い回転軸を有して、筐体30に対して回転可能に取り付けられる。現像ローラー31は、筐体30内の所定量のトナーを担持すると共に、回転することによって、担持するトナーを感光体ドラム7へ供給する。
撹拌部材32及び搬送部材33は、筐体30の下部において左右に並べて配置され、特に搬送部材33は、補給口30aの下方に配置される。撹拌部材32及び搬送部材33は、前後方向に長い回転軸を有して、筐体30に対して回転可能に取り付けられる。撹拌部材32及び搬送部材33が回転することで、筐体30内のトナーを撹拌しつつ現像ローラー31へ搬送する。
トナー量センサー34は、筐体30内のトナー量が、所定の第1の閾値未満であるか否かを検出する。筐体30内のトナー量が第1の閾値未満の場合、現像装置8が現像に十分な量のトナーを収容していない(トナーコンテナ4からのトナー補給を要する)トナーロー状態であると判定される。また、トナー量センサー34は、筐体30内のトナー量が、第1の閾値よりも少ない所定の第2の閾値未満であるか否かを検出する。筐体30内のトナー量が第2の閾値未満の場合、現像装置8のトナー量が空である(トナーコンテナ4の交換を要する)トナーエンプティ状態であると判定される。
次に、制御装置15の電気的な構成について図3を参照しながら説明する。制御装置15は、CPU等で構成され、ROMやRAM等の記憶装置16に接続されている。また、制御装置15は、コンテナ検出器41、リーダー/ライター部42、トナー量センサー34及び表示部17等のプリンター1の各部に接続されている。
制御装置15は、記憶装置16に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて、制御装置15に接続された各部を制御する。制御装置15は、例えば、新品のトナーコンテナ4が装着されてから使用済みとなって交換されるまでの間に、トナーコンテナ4内のトナーを実際に用いて印字を行ったときの印字率やドット数等の印字量の積算値(積算印字量)を測定する積算印字量測定を行う。また、制御装置15は、測定した積算印字量に基づいてトナーコンテナ4内のトナー残量を算出するトナー残量算出を行う。
記憶装置16には、例えば、上記の積算印字量測定及びトナー残量算出を実行するための制御プログラムが記憶され、また、トナー残量算出に用いるトナー残量基準値(トナーゲージ制御値)が記憶される。トナー残量基準値は、後述するようにトナーコンテナ4の交換毎に補正によって変更可能である。トナー残量基準値の初期値は、記憶装置16に予め記憶されていてよく、あるいは、プリンター1に最初にトナーコンテナ4が装着されるときに、ICチップ23から読み取ったコンテナ情報の印字可能量で設定されて記憶装置16に記憶されてもよい。
上記の積算印字量測定及びトナー残量算出の動作について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。新品のトナーコンテナ4をプリンター本体2へ装着すると、制御装置15は、コンテナ検出器41によってトナーコンテナ4の装着を検出する。そして、制御装置15は、トナーコンテナ4の搬送部材21を回転させることで、トナーコンテナ4から現像装置8へのトナー補給を行う(ステップS1)。トナー補給は、トナー量センサー34の検知結果に基づいて、現像装置8の筐体30内のトナー量が少なくとも第1の閾値以上になるまで行われ、現像装置8に十分な量のトナーが充填される。
また、制御装置15は、トナーコンテナ4が装着されると、リーダー/ライター部42によってトナーコンテナ4のICチップ23からコンテナ情報を読み取る(ステップS2)。
更に、制御装置15は、トナーコンテナ4がプリンター1に最初に装着されたトナーコンテナ4(最初のトナーコンテナ4)であるか、2回目以降の交換によって装着されたトナーコンテナ4(交換トナーコンテナ4)であるかを判定する(ステップS3)。
制御装置15は、装着されたトナーコンテナ4が最初のトナーコンテナ4であると判定すると(ステップS3:YES)、読み取ったコンテナ情報から印字可能量(例えば、印字率予定総量)を把握し、この最初のトナーコンテナ4の印字可能量をトナー残量基準値として設定して記憶装置16に記憶する(ステップS4)。例えば、トナーコンテナ4の装着時に、記憶装置16にトナー残量基準値が記憶されていない場合に、最初のトナーコンテナ4を判定してもよい。あるいは、制御装置15は、トナーコンテナ4の交換回数(又は装着回数)をカウントしていて、交換回数が0回目(又は装着回数が1回目)である場合に、最初のトナーコンテナ4を判定してもよい。なお、最初のトナーコンテナ4は、プリンター1についての正規の最大収容量又は正規の印字可能量のトナーを収容しているトナーコンテナ4であれば、新品のプリンター1に同梱された試用のトナーコンテナ4又は交換用の正規のトナーコンテナ4の何れでもよい。
最初のトナーコンテナ4からのトナー補給が完了すると、プリンター1は印字が可能な状態になり、制御装置15は、画像データ及び印刷開始指示を入力する度に、各部を制御して印字を行う(ステップS5)。制御装置15は、画像データ及び印刷開始指示の内容に基づいて、用紙一枚当たりの印字量(印字率又はドット数)を把握する。制御装置15は、印字を行う度に印字量を積算して積算印字量(積算印字率又は積算ドット数)を記憶装置16に記憶すると共に、リーダー/ライター部42によって積算印字量をトナーコンテナ4のICチップ23に書き込む(ステップS6)。
また、制御装置15は、トナーコンテナ4の積算印字量とトナー残量基準値とに基づいてトナーコンテナ4のトナー残量を算出して表示部17に表示する(ステップS7)。例えば、トナー残量基準値が最初のトナーコンテナ4の印字可能量としての95000%の印字率予定総量であって、積算印字量としての積算印字率が19000%の場合、100%からトナー残量基準値と積算印字量との割合を引くことによって、トナー残量は80%と算出される。例えば、制御装置15は、トナーコンテナ4の積算印字量の増加に応じてトナーコンテナ4のトナー残量を1%刻みで減少して表示部17に表示する。トナーコンテナ4のトナー残量は、新品のトナーコンテナ4の装着直後(初期状態)を100%とし、現像装置8のトナーエンプティ状態を0%として、積算印字量の変化に応じてトナー残量が直線的に変化するように表示されてもよいが、実際に算出されるトナー残量よりもやや少なめに表示されてもよい。
なお、制御装置15は、トナー量センサー34によって現像装置8の筐体30内のトナー量を監視している。印字を続ける内に、筐体30内のトナー量が第1の閾値未満になると(ステップS8:YES)、制御装置15は、コンテナ駆動源43を制御してトナーコンテナ4から現像装置8へのトナー補給を行う(ステップS9)。
トナー補給を続ける内に、トナーコンテナ4の容器本体20内のトナーが減少すると、現像装置8へ十分な量のトナーを補給できなくなる。そして、容器本体20内のトナーが空になると、トナー補給されないので、筐体30内のトナー量が第1の閾値未満になり(ステップS10:YES)、制御装置15は、現像装置8がトナーロー状態であると判定し(ステップS11)、スピーカ(図示せず)や表示部17によってユーザーに対してトナーロー状態を報知する。
トナーロー状態から更に印字を続ける内に、筐体30内のトナー量が第2の閾値未満になると(ステップS12:YES)、制御装置15は、現像装置8がトナーエンプティ状態であると判定し(ステップS13)、スピーカ(図示せず)や表示部17によってユーザーに対してトナーエンプティ状態を報知して、トナーコンテナ4の交換をユーザーに促す。このとき、制御装置15は、トナーコンテナ4のトナー残量として0%を表示部17に表示することになる。なお、制御装置15は、トナーコンテナ4のICチップ23に書き込まれた積算印字量が印字可能量に達していれば、そのトナーコンテナ4が使用不可であると判定することができる。
一方、プリンター本体2に装着されたトナーコンテナ4が最初のトナーコンテナ4でない場合、即ち、交換トナーコンテナ4であるときには、トナー残量基準値の補正が行われる。例えば、前回のトナーコンテナ4をプリンター本体2から取り外し、新品の今回のトナーコンテナ4に交換してプリンター本体2へ装着すると、制御装置15は、コンテナ検出器41によって今回のトナーコンテナ4の装着を検出する。
今回の交換トナーコンテナ4の装着後、制御装置15は、最初のトナーコンテナ4と同様にして、交換トナーコンテナ4の搬送部材21を回転させることで、交換トナーコンテナ4から現像装置8へのトナー補給を行う(ステップS1)。また、制御装置15は、今回のトナーコンテナ4が装着されると、リーダー/ライター部42によって今回のトナーコンテナ4のICチップ23からコンテナ情報を読み取る(ステップS2)。
また、制御装置15は、今回のトナーコンテナ4が交換トナーコンテナ4であると判定する(ステップS3:NO)。例えば、今回のトナーコンテナ4の装着時に、記憶装置16に前回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値が記憶されている場合に、交換トナーコンテナ4を判定してもよい。あるいは、制御装置15は、トナーコンテナ4の交換回数(又は装着回数)が1回目(2回目)以降である場合に、交換トナーコンテナ4を判定してもよい。なお、交換トナーコンテナ4は、プリンター1についての正規の最大収容量又は正規の印字可能量のトナーを収容しているトナーコンテナ4であればよい。
そして、制御装置15は、記憶装置16に記憶されている前回のトナーコンテナ4の積算印字量(交換直前の最終的な積算印字量)に基づいて、前回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値を補正することにより、今回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値を算出して記憶装置16に記憶する(ステップS14)。
例えば、今回のトナー残量基準値Anは、前回のトナー残量基準値An−1、前回の積算印字量an−1及び補正係数Xを用いて、数式X・an−1+(1−X)・An−1で算出される。なお、変数nは交換回数であり、補正係数Xは、前回のトナー残量基準値と前回の積算印字量との重み付けの比率を示す1以下の値で設定される。
前回のトナーコンテナ4の使用時と使用前とで平均的なトナー残量基準値を得る場合には、補正係数Xは、0.5に設定される。前回のトナーコンテナ4の使用時を重視する場合には、補正係数Xは、0.5より大きい値に設定される。この場合、現像装置8及びプリンター1の他の各部の経時変化に対してより密接に追従してトナー残量基準値を得ることができる。前回のトナーコンテナ4の使用前を重視する場合には、補正係数Xは、0.5より小さい値に設定される。この場合、前回のトナーコンテナ4の使用条件(例えば、使用環境、ロット差又は現像装置8の特性等)の著しい変化の影響を抑制して、トナー残量基準値の変動を抑制することができる。
例えば、補正係数Xは、予め設定されて記憶装置16に記憶されていてよい。あるいは、ユーザーによって変更可能に記憶装置16に記憶されてもよい。また、トナー残量基準値の算出に関して、前回のトナーコンテナ4の使用時と使用前との平均をとるモード、前回のトナーコンテナ4の使用時を重要視するモード、前回のトナーコンテナ4の使用前を重要視するモード等の、算出モードを予め設けて、ユーザーに算出モードを設定可能にしてもよい。
ここで、補正係数Xが0.5に設定されていて、最初のトナーコンテナ4のトナー残量基準値A0が95000%の印字率予定総量で設定されていた場合に、最初のトナーコンテナ4の積算印字量a0が100890%の積算印字率となって最初のトナーコンテナ4がトナーエンプティ状態になった例を説明する。この例において、最初のトナーコンテナ4から第1回交換のトナーコンテナ4に交換されるとき、第1回交換のトナーコンテナ4のトナー残量基準値A1は、0.5×a0(=100890%)+0.5×A0(=95000%)=97945%で算出される。
また、第1回交換のトナーコンテナ4の積算印字量a1が99222%の積算印字率となって第1回交換のトナーコンテナ4がトナーエンプティ状態になった例を説明する。この例において、第1回交換のトナーコンテナ4から第2回交換のトナーコンテナ4に交換されるとき、第2回交換のトナーコンテナ4のトナー残量基準値A2は、0.5×a1(=99222%)+0.5×A1(=97945%)=98584%で算出される。
更に、第2回交換のトナーコンテナ4の積算印字量a2が99951%の積算印字率となって第2回交換のトナーコンテナ4がトナーエンプティ状態になった例を説明する。この例において、第2回交換のトナーコンテナ4から第3回交換のトナーコンテナ4に交換されるとき、第3回交換のトナーコンテナ4のトナー残量基準値A3は、0.5×a2(=99951%)+0.5×A2(=98584%)=99268%で算出される。
なお、上記のようにして補正されたトナー残量基準値が、所定の基準下限値αを下回る場合には、トナー残量基準値はその基準下限値αに設定される。例えば、基準下限値αは、初期値としてのトナー残量基準値A0を10%だけ減らした値に設定され、トナー残量基準値A0が95000%の場合、基準下限値αは、85500%に設定される。また、上記のようにして補正されたトナー残量基準値が、所定の基準上限値βを上回る場合には、トナー残量基準値はその基準上限値βに設定される。例えば、基準上限値βは、初期値としてのトナー残量基準値A0を10%だけ増やした値に設定され、トナー残量基準値A0が95000%の場合、基準上限値βは、104500%に設定される。
このように、トナー残量基準値に下限値及び上限値を設けることによって、今回のトナー残量基準値の算出結果の変動を適切な範囲内に抑制することができる。例えば、前回のトナーコンテナ4の使用条件(例えば、使用環境、ロット差又は現像装置8の特性等)が通常とは異なる特殊な条件であった場合に、前回のトナーコンテナ4の積算印字量が、通常とは大きく外れることがある。このような場合でも、今回のトナーコンテナ4については、適切な範囲内のトナー残量基準値を得ることができる。
あるいは、補正されたトナー残量基準値が、補正前のトナー残量基準値に比べて、所定の変動量を超えて変動する場合には、補正前のトナー残量基準値に対して所定の変動量だけ変動するように今回のトナー残量基準値を算出してもよい。
なお、前回のトナーコンテナ4がトナーエンプティ状態になる前に、今回のトナーコンテナ4に交換された場合には、今回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値は、正規(初期値)のトナー残量基準値に設定されてよい。
今回の交換トナーコンテナ4からのトナー補給が完了すると、プリンター1は印字が可能な状態になり、制御装置15は、画像データ及び印刷開始指示に基づいて印字を行い(ステップS5)、積算印字量を記憶装置16に記憶すると共に、今回の交換トナーコンテナ4のICチップ23に書き込む(ステップS6)。
また、制御装置15は、今回の交換トナーコンテナ4の積算印字量と、今回の交換トナーコンテナ4について上記のように算出されたトナー残量基準値とに基づいて、今回の交換トナーコンテナ4のトナー残量を算出する(ステップS7)。トナー残量を算出手法及び以降の動作(ステップS8〜S13)は、最初のトナーコンテナ4と同様である。
本実施形態によれば、上述のように、プリンター1(画像形成装置)は、トナーを収容していてトナーを感光体ドラム7(像担持体)へ供給する現像装置8と、現像装置8へ補給するトナーを収容するトナーコンテナ4とを備えている。トナーコンテナ4には、最大収容量に対応する印字可能量が予め設定されている。現像装置8を用いて印字を行うときに、プリンター1の制御装置15によって、その印字の印字量を積算することによって、トナーコンテナ4について実際に使用されたトナーの積算印字量が測定される。制御装置15によって、トナーコンテナ4のトナー残量は、印字可能量に基づいて設定されるトナー残量基準値と、トナーコンテナ4の積算印字量との割合に基づいて算出される。最初のトナーコンテナ4が適用されるとき、制御装置15によって、トナー残量基準値は、印字可能量に設定される。トナーコンテナ4が交換されるとき、制御装置15によって、今回のトナーコンテナ4に設定されるトナー残量基準値は、前回のトナーコンテナ4に設定されていたトナー残量基準値を、前回のトナーコンテナ4の積算印字量に基づいて補正することにより算出される。
このように、前回のトナーコンテナ4の使用結果である積算印字量だけでなく、前回のトナーコンテナ4に設定されるトナー残量基準値を加味して、今回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値を設定することができる。トナーコンテナ4が2回以上交換されると、この前回のトナー残量基準値は、前々回のトナーコンテナ4の使用結果である積算印字量を加味したトナー残量基準値となる。これにより、今回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値は、前回のトナーコンテナ4の積算印字量だけでなく、前々回のトナーコンテナ4の積算印字量を加味したトナー残量基準値となる。そのため、トナーコンテナ4の温度や湿度等の使用環境の変化、トナーコンテナ4のロット差(個体差、即ち、保管環境による差)、更にはトナーコンテナ4のトナーを用いる現像装置8の特性の変化に追従して、適切なトナー残量基準値を設定することができる。従って、このようなトナー残量基準値を用いることにより、交換トナーコンテナ4の実際のトナー残量をより正確に算出することが可能となる。例えば、前回のトナーコンテナ4の使用条件(例えば、使用環境、ロット差又は現像装置8の特性等)が通常とは異なる特殊な条件であった場合でも、これらの特殊な使用条件の影響を抑制して、トナー残量を算出することができる。これにより、ユーザーは、適切なタイミングで新品のトナーコンテナ4の準備や交換をすることができる。また、トナー残量に基づいて新品のトナーコンテナ4を自動発注するシステムでは、適切なタイミングで新品のトナーコンテナ4を発注することができる。
また、プリンター1の制御装置15によって、今回のトナー残量基準値は、今回のトナー残量基準値における、前回のトナーコンテナ4のトナー残量基準値と積算印字量との所定の比率を用いて算出される。これにより、前回のトナー残量基準値(前々回の積算印字量)及び前回の積算印字量の何れを重要視するかを加味することができ、今回のトナー残量基準値をより適切に算出することができる。
本実施形態では、モノクロのプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カラープリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。