以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、図1の矢印A方向から見た場合を基準として用いる。
図1は、実施の形態に係る配管選別装置の外観斜視図である。図1に示すように、配管選別装置10は、地中に埋設された配管Pに装着して配管Pの用途を選別する装置である。本実施の形態では、選別可能な配管Pの用途をガス管、水道管及び雑配管(通信・電力供給用配管)とするが、他の用途を選別するようにしたり、その他の用途を更に選別できるようにしたりしてもよい。
配管選別装置10は、配管Pを挟んで装着される線源部11及び放射線検出部12を備えている。線源部11はγ線源を備え、当該配管選別装置10においては設計認証付の線源を用いることが好ましい。γ線源としては、10MBq以下の137Csや60Co等が例示される。線源部11では、線源からの放射線が指向性をもって放射されるようになる。
放射線検出部12は、線源部11から放射されるγ線等の放射線を検出する検出器によって構成される。検出器としては、CsI検出器やNaI検出器等が例示される。放射線検出部12は、線源部11と対向する側に放射線が入射される入射部が設けられる。図2は、図1を左右反対側から見た斜視図である。図2に示すように、放射線検出部12は、単一の筐体13に組み込まれており、筐体13の上面には、2種の点灯部24a、24bとタッチパネル24cとが設けられている。2種の点灯部24a、24bは、タッチパネル24cの前後両側にて左右方向に交互に配置されるように並んで設けられている。2種の点灯部24a、24bは、相互に異なる色を発光するLED等からなり、例えば、一方の点灯部24aを赤色、他方の点灯部24bを緑色に発光するようにする。これにより、配管Pの選別結果に応じて発光する点灯部24a、24bを変えることで選別結果を表示することができる。
タッチパネル24cには、配管Pの選別結果が表示され、これに加え、選別結果以外の放射線検出に基づく演算結果等が表示されるようにしてもよい。また、タッチパネル24cは、作業者による操作によって、配管Pについての配管情報を入力するための後述する入力部としても機能する。
配管選別装置10は、線源部11を保持する線源保持体(保持体)14と、放射線検出部12を保持する検出部保持体(保持体)15とを更に備えている。線源保持体14及び検出部保持体15は、上下方向中間部にて交差するフレーム状に形成され、線源保持体14の下端(一端)側に線源部11が保持され、検出部保持体15の下端(一端)側に放射線検出部12が保持されている。線源部11及び放射線検出部12は、線源保持体14及び検出部保持体15に保持されることで対向配置される。このとき、線源部11から放射される放射線が放射線検出部12の入射部に対して垂直に入射されるように配置される。
線源保持体14及び検出部保持体15は、その交差位置にて回転軸部200を介して相対回転可能に設けられ、この相対回転によって、配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離を調整できる。従って、線源保持体14及び検出部保持体15は、線源部11及び放射線検出部12を保持する保持体を構成しつつ、回転軸部200と共に調整機構18を構成する。調整機構18を介して配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離を調整することで、種々の径寸法(例えば呼び径:80A〜300A)の配管Pに配管選別装置10を装着可能となる。具体的には、図1から図8では、比較的小径(例えば、呼び径80A)の配管Pに装着した状態を示す。図3は図1の正面図、図4は図1の背面図、図5は図1の左側面図、図6は図1の右側面図、図7は図1の平面図、図8は図1の底面図である。一方、図9から図12は、比較的大径(例えば、呼び径300A)の配管Pに装着した状態を示す。図9は、その状態の斜視図、図10は図9の正面図、図11は図9の背面図、図12は図9の平面図である。
図1に戻り、線源保持体14及び検出部保持体15は、概略左右対称となる構造となっており、前後に所定間隔を隔てて配置された前フレーム201と、後フレーム202とをそれぞれ備えている。前フレーム201及び後フレーム202の上端(他端)間には、作業者が把持して線源保持体14及び検出部保持体15を相対回転させるための取っ手(把持部)204が設けられている。取っ手204の下方において、前フレーム201及び後フレーム202がばね装着軸205によって連結されている。2本のばね装着軸205を架け渡すように、コイルばね(弾性体)206が複数本(本実施の形態では3本)装着され、コイルばね206は2本のばね装着軸205が接近する方向の弾性力を発揮する。
ばね装着軸205の下方にて、線源保持体14及び検出部保持体15の前フレーム201同士及び後フレーム202同士がX字状をなすように交差し、この交差位置で回転軸部200が貫通している。回転軸部200の下方において、前フレーム201及び後フレーム202が連結軸208によって連結されている。前フレーム201及び後フレーム202の連結軸208より下方領域は、下端側が接近するように湾曲形成されている(図3、図4参照)。
前フレーム201及び後フレーム202の下端間には、回転支持部となるボルト210、211を介して支持体212、213が回転可能に支持されている。線源保持体14における支持体212に線源部11が支持され、検出部保持体15における支持体213に放射線検出部12が支持されている。各支持体212、213の内側(対向する側)には、接触体214、215が設けられている。線源保持体14において、支持体212、接触体214及び線源部11がユニットとなり、このユニットがボルト210を中心として、各フレーム201、202と相対回転可能となる。また、検出部保持体15において、支持体213、接触体215及び放射線検出部12がユニットとなり、このユニットがボルト211を中心として、各フレーム201、202と相対回転可能となる。
接触体214、215は、配管P側に向かって次第に拡がる上下一対の傾斜面をそれぞれ備え、これら傾斜面が配管選別装置10を配管Pに装着したときに略線接触する。かかる線接触によって、線源部11からの放射線の放射方向及び放射線検出部12による放射線の検出方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上となる。なお、接触体214、215において、放射線が通過する部分には穴215a(穴214aは図2参照)が形成されている。
線源保持体14及び検出部保持体15の前フレーム201同士が交差する位置には、線源保持体14及び検出部保持体15の相対角度に基づいて配管Pの径寸法を表示する配管径測定部220が設けられている。図13及び図14は、実施の形態に係る配管径測定部の説明図である。図13及び図14に示すように、配管径測定部220は、回転軸部200から放射方向に複数の目盛221aが施された円板状の配管径表示板221と、手前側の前フレーム201に形成されて目盛221aを指し示すための突起(指示部)222とを備えている。本実施の形態の配管選別装置10にあっては、測定する配管Pの径寸法に比例して線源部11及び放射線検出部12の距離が変化し、この変化に応じて線源保持体14及び検出部保持体15の回転軸部200を中心とする相対回転角度も変化する。従って、かかる変化によって突起222が指し示す位置も変化し、配管径表示板221には、配管Pの径寸法(呼び径)に応じて突起222が指し示す位置に目盛221aが施されている。これにより、配管Pに配管選別装置10を装着したときに、突起222が指し示す目盛221aによって配管Pの径寸法(呼び径)を簡単に認識することができる。
図3及び図4に示すように、本実施の形態の配管選別装置10は角度補正部230を備えている。角度補正部230は、回転軸部200に固定されて上方に延びるブラケット231と、ブラケット231の上端側と支持体212、213との間でクランク状に延びる連結フレーム232、233とを備えている。連結フレーム232、233は、ブラケット231及び支持体212、213と回転中心となるピン235〜237を介して相対回転可能に連結されている。従って、線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転によって、連結フレーム232、233の下端間が離間接近するように相対回転する。
図10及び図11を比較すると、配管Pの径寸法に応じて線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転角度を変えても、連結フレーム232、233の一端側を支持するボルト236、237と、線源部11及び放射線検出部12を支持するためのピン210、211との上下位置が概略一定に保たれる。言い換えると、角度補正部230においては、線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転角度の変化に応じ、各ピン236、237と各ボルト210、211との上下位置が概略一定に保たれるよう、連結フレーム232、233の長さ、形状及び取り付け位置が設定される。従って、配管Pの径寸法に応じて線源保持体14及び検出部保持体15が角度変化しても、角度補正部230によって線源部11から放射される放射線が放射線検出部12の入射部に対して垂直に入射されるように維持される。これにより、配管Pに対して配管選別装置10を装着する際、線源部11及び放射線検出部12の角度調整作業を省略或いは簡略にすることができ、配管Pへの装着を簡単且つ迅速に行うことができる。
なお、連結フレーム232、233は、線源保持体14及び検出部保持体15の内側(配管P側)にはみ出さないように形成され、配管Pへの装着時に連結フレーム232、233が邪魔にならないようになっている。
ここで、回転軸部200の前方にはハンドル240が設けられている。このハンドル240は、後述のように接触体214、215にて配管Pを挟み込んで測定する際、位置ずれや振動等がないように線源保持体14及び検出部保持体15を固定するために用いられる。
図15は、配管選別装置の構成を示すブロック図である。図15に示すように、配管選別装置10は、制御部101、測定部102、無線通信部103、入力部104、表示部105、記憶部106、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信部107及び、電源部108を備えている。
制御部101は、中央処理装置(CPU)等からなり、配管選別装置10全体を制御する。制御部101は、記憶部106に記憶されているプログラムに従い、測定部102や無線通信部103等から入力される情報に対する各種の演算処理や、各種の制御処理(表示部105の表示制御等)を行う。
測定部102は、線源部11及び放射線検出部12(図1参照)を含んで構成される。測定部102は、線源部11から放射されて放射線検出部12に入射した放射線を計数し、その計数値を測定して制御部101に出力する。なお、測定部102において、計数値を線量に変換した線量値を出力するようにしてもよい。
無線通信部103は、通信インターフェースであり、後述するセンタ4に対して基地局3(図19参照)を通じ、無線通信により各種情報、データ、指令の送受信を行う。従って、無線通信部103は、無線送信部及び無線受信部としての機能を有している。無線通信部103は、例えば、制御部101に出力された測定部102の測定結果情報をセンタ4に送信し、この情報に基づきセンタ4にて処理された各種の情報を受信する。
入力部104は、タッチパネル24c(図2参照)を含み、作業者等からの操作によるデータ(例えば後述する配管情報等)を取得して制御部101に出力する。なお、入力部104としては、タッチパネル24cに加えて或いはタッチパネル24cに代えて作業者によって操作されるキーや操作ボタン等を利用してもよい。また、入力部104は、通信インターフェースとしてパソコン等の外部装置から有線又は無線通信によってデータを取得するようにしたり、データを内蔵するメモリーカード等の記憶媒体を接続可能なスロット等のインターフェースとしたりしてもよい。
表示部105は、2種の点灯部24a、24b(図2参照)及びタッチパネル24cを含み、更にそれらを制御するコントローラを備えて構成されている。表示部105は、制御部101の演算結果について、点灯部24a、24bの点灯及び消灯を切り替えて表示したり、タッチパネル24cの表示領域に表示画面として文字や画像、グラフ、その他のアイコン等として表示したりする。
記憶部106は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ等を備えている。ROMでは、制御部101が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等が記憶される。RAMは、制御部101の作業領域として用いられたり、測定部102の測定結果情報や、無線通信部103により受信された情報等が制御部101を介して記憶される。RAMでは、ROMから読み出されたプログラムやデータ、入力部104から入力されたデータ、制御部101が各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶される。不揮発性メモリでは、制御部101の演算によって生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータが記憶される。
GPS受信部107は、GPS衛星から発せられるGPS信号をGPSアンテナによって受信し、その受信した信号を処理する。この処理によって、リアルタイムでの配管選別装置10の位置情報(経緯度座標)を測位し、制御部101に出力する。GPS受信部107は筐体13(図1参照)の内部等、放射線検出部12(図1参照)と一体になるように設けられる。
電源部108は、乾電池等の一次電池や、繰り返しの充放電が可能な二次電池によって構成され、配管選別装置10の各種電気系統に電力を供給する。なお、電源部108としては、電力供給テーブルを介して接続される商用電源としてもよい。
図16は、配管選別装置における制御部の機能ブロック図である。図16に示すように、本実施の形態に係る制御部101は、比較情報作成部101a、補正部101b、判定部101c、表示制御部101d、及び送信制御部101eとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部106に記憶されたプログラムが制御部101によって実行されることによって実現される。なお、図16に示す制御部101の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、それ以外の構成については省略している。
前記配管P(図1参照)についての配管情報は、直接的または間接的に入力部104を通じて入力される。ここで配管情報とは、配管Pの情報に限らず、配管Pの外装材としての保温材や外装板の情報や配管Pの内容物の情報を含むものであり、例えば、表1に例示されるものである。具体的には配管情報としては、下記表1に示す直径や厚み、材質、吸収係数を含み、記憶部106(図15参照)に記憶される。更に、装置情報として、表2に例示する線種(ここでは137Csを例示)やコリメータの情報、検出器の種類(ここではCsIを例示)と大きさ、線源・検出部間距離等を記憶部106に記憶するとよい。なお、表1及び表2では、各項目の具体的な名称や数値の記載は省略とする。なお、水及びガスの厚みは、配管Pの直径から配管厚みを2倍した値を差し引いて演算してもよい。なお、厚みや吸収係数は、数値そのものを入力する場合に限らず、これらの数値を間接的に演算により算出可能な情報を入力してもよい。
比較情報作成部101aは、直接的または間接的に入力された配管P(図1参照)に関する配管情報に基づいて計数値の予測値を演算する。具体的には、比較情報作成部101aは、下記式1に基づき計数値の予測値を演算する。なお、吸収係数μと密度ρとの関係は下記式2のとおりである。
例えば、比較情報作成部101aは、配管Pの用途毎、つまり、ガス管(内容物がガス)の場合と、水道管(内容物が水)の場合とで計数値の予測値を演算する。この演算においては、先ず、ガス管の場合は、ガス管の内径(配管直径−配管厚み×2)分ガスによる減衰が効くものとしてガスの吸収係数を用いて理論値を演算し、水道管の場合は、水道管の内径(配管直径−配管厚み×2)分水による減衰が効くものとして水の吸収係数を用いて計数値の理論値を演算する。そして、それぞれの理論値に対して所定係数の乗算等を行い、配管Pの呼び径及び用途別に計数値の予測値における上限値及び下限値を演算する。具体的には、図17のグラフに示す予測値の上限値及び下限値を例示することができる。なお、ガスの吸収係数は、水の吸収係数に比して極めて小さいため無視して計算してもよい。
図17は、配管の用途毎に配管径と計数値との関係を示すグラフである。図17のグラフでは、縦軸が計数値、横軸が配管Pの径寸法を示し、白塗りの丸マークがガス管、黒塗りの丸マークが水道管の計数値となる。横軸では、左から右方向に配管Pの径寸法が大きくなっており、各丸マークが計数値の理論値となり、各丸マークに記載された縦軸が計数値の予測値における上限値及び下限値を示す。このように計数値の予測値は、上限値及び下限値が設定された閾値範囲とされる。
ところで、図17のグラフから分かるように、閾値範囲となる計数値の予測値は、配管Pの径寸法が小さくなる程、ガス管と水道管とで近い値となる。一方、配管Pの周囲を掘起こした状態で埋設された配管に対し測定を実施するので、周囲の土砂に含まれる自然放射能によりバックグランド線量率が増加する場合がある。このバックグランド線量率が変化すると、見掛け上、放射線検出部12での計数値(実測値)が増加し、水道管をガス管と誤判定する場合がある。また、放射線検出部12は温度により感度が変化し、例えば感度が高くなると、見掛け上、放射線検出部12での計数値(実測値)が増加し、これによっても水道管をガス管と誤判定する場合がある。このような誤判定は、特に、予測値がガス管と水道管とで近い値となる径寸法が小さい配管Pにて発生の可能性が高くなる。
そこで、本実施の形態では、制御部101が補正部101bを備えた構成とし、補正部101bにて計数値の予測値を補正した補正値を演算し、かかる補正値に基づく比較を判定部101cで行って配管Pの用途を選別している。
補正部101bは、事前検出結果に基づき計数値の予測値を補正して補正値を演算する。事前検出結果は、地中の配管Pの近傍にて、かかる配管Pに未装着の線源部11及び放射線検出部12により検出した計数値であり、線源部11から放射されて配管Pを透過せずに放射線検出部12に入射した放射線の計数値の実測値である。事前検出結果の測定にあっては、後述する検出ステップST04でも検出を行う配管Pの径寸法に応じて線源部11及び放射線検出部12の離間距離を設定するとよい。
また、補正部101bは、装置情報や各種データに基づき、事前検出結果に対する理論値を演算する。そして、事前検出結果とその理論値との比を演算し、当該比を計数値の予測値に乗じて計数値の補正値を演算する。予測値は上限値及び下限値が設定された閾値範囲とされるので、計数値に比を乗算した補正値も上限値及び下限値が設定された閾値範囲とされる。
一例を挙げると、所定の径寸法の配管Pにて、図18に示すように、「ガス管」とした場合の予測値の上限値が「320」、下限値が「220」、理論値が「270」である。また、配管Pを「水道管」とした場合の予測値の上限値が「200」、下限値が「100」、理論値が「150」である。ここで、配管Pの近傍で事前検出結果を実測し、実測値として「1200」と検出され、また、当該実測の理論値「1000」を補正部101bにて算出したとする。そうすると、補正部101bは、事前検出結果と、その理論値との比(事前検出結果/理論値)として、「1.2」を演算する。この比をそれぞれの予測値に乗じて補正値を演算し、「ガス管」とした場合の補正値の上限値「384」、下限値「264」、「水道管」とした場合の補正値の上限値「240」、下限値「120」を設定する。
判定部101cは、補正部101bで演算した計数値の補正値と、放射線検出部12での検出結果として計数値(実測値)との比較に基づき、配管Pの用途を選別する。なお、この比較においては、本実施の形態では、配管Pの用途別に比較情報としての補正値(閾値範囲内)に放射線検出部12での検出結果が収まるか比較される。
例えば、判定部101cは、配管Pが「ガス管」の場合の計数値の補正値(閾値範囲内)に実測値が収まる場合「ガス管」と配管Pの用途を選別する。また、判定部101bは、配管Pが「水道管」の場合の計数値の補正値(閾値範囲内)に実測値が収まる場合「水道管」と配管Pの用途を選別する。そして、「ガス管」、「水道管」の両方の閾値範囲内に実測値が収まらない場合には、「雑配管」と配管Pの用途を選別するとよい。更に、判定部101bは、これら用途に応じた表示、つまり、判定結果を表示部105に行わせる指令を表示制御部101dに出力する。
図18で示した一例では、上記のように計数値の補正値が設定されるので、計数値の実測値が264〜384に収まる場合「ガス管」と配管Pの用途を選別し、実測値が120〜240に収まる場合「水道管」と配管Pの用途を選別する。ここで、例えば、実測値が「230」のとき、配管Pを「水道管」とした場合の補正値(閾値範囲)となるので、選別結果は「水道管」となる。ところが、仮に、補正部101bにて補正しない場合を想定すると、実測値が「230」のとき、配管Pを「ガス管」とした場合の予測値(閾値範囲)となり、選定結果を求めれば「ガス管」となる。上述したバックグランド線量率や温度の影響によって実測値が変化し、この変化に応じて補正値は増減するので、正しい選別結果は「水道管」であり、「ガス管」は誤った選別結果となる。つまり、予測値を補正しないと、バックグランド線量率や温度の影響によって、選別結果の正確性が損なわれるが、補正部101bにて上記のように補正したことで判定部101cでの選別を精度良く行うことが可能となる。
なお、配管Pの判定が例えばガス管と水道管との二択の場合、比較情報作成部101a及び補正部101bを介して「ガス管」の計数値の補正値のみを演算してもよい。この場合、判定部101cが「ガス管」の場合の計数値の補正値(閾値範囲内)に実測値が収まる場合「ガス管」と配管Pの用途を選別し、閾値範囲内に実測値が収まらない場合「水道管」と配管の用途を選別する。なお、上記と逆に「水道管」の計数値の補正値のみを演算し、その閾値範囲内に実測値が収まる場合「水道管」と配管Pの用途を選別し、閾値範囲内に実測値が収まらない場合「ガス管」と配管Pの用途を選別してもよい。
なお上記では、補正部101bにて、計数値の予測値に基づいて補正値を演算し、補正値の閾値範囲内に実測値が収まるかどうか比較するものとしたが、補正部101bが、実測値に対して所定係数や比で乗算等を行って補正値を演算し、その補正値の閾値範囲内に計数値の予測値が収まるか比較し配管Pの用途を選別するものとしてもよい。
上述の判定方法はあくまでも例示であり、他の判定方法を用いてもよい。例えば、比較情報作成部101aが、放射線検出部12で検出される計数値の実測値(検出結果)に基づいて配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算(逆算)する。そして、補正部101bにて、パラメータの予測値に基づき補正値を演算し、判定部101cが補正値と入力部104を通じて直接的または間接的に入力された当該パラメータの入力値との比較に基づき、配管Pの用途を選別してもよい。
パラメータについては、配管や水、ガスの直径、厚みや吸収係数に限らず、外装材としての保温材や外装板の直径、厚みや吸収係数を用いることもできる。配管Pの内容物を水又はガスと仮定し、ブラックボックスとして逆算したいずれかのパラメータの補正値と、そのパラメータの入力値とを比較することで、配管Pの内容物が仮定したものか否か選別することができる。なお、この際に、上記と同様に補正部101bは、パラメータ、補正値のいずれか一方にて上限値及び下限値を演算し、他方がこの閾値範囲内に収まるかどうか比較するとよい。
例えば、配管Pの内容物をガスと仮定した場合のパラメータの予測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、判定部101cは、この閾値範囲内に入力値が収まる場合「ガス管」と配管の用途を選別する。また、配管Pの内容物を水と仮定した場合のパラメータの予測値に対して所定係数の乗算等を行って閾値を演算し、判定部101bは、この閾値範囲内に入力値が収まる場合「水道管」と配管の用途を選別する。そして、「ガス管」、「水道管」の両方の閾値範囲内に入力値が収まらない場合には、「雑配管」と配管の用途を選別するとよい。
表示制御部101dは、判定部101cから出力された指令に応じ、2つの点灯部24a、24bやタッチパネル24c(図1参照)の表示を切り替えるようを制御する。例えば、配管Pの用途の選別結果がガス管である場合に赤色の点灯部24aを点灯、水道管である場合に緑色の点灯部24bを点灯したり、タッチパネル24cに「ガス管」、「水道管」、「雑配管」と文字表示したりするよう制御する。また、表示制御部101dは、入力部104で入力した情報等、各種情報がタッチパネル24cの表示領域に表示されるよう制御する。
送信制御部101eは、各種情報を無線通信部103から逐次送信するよう制御する。この送信する情報としては、GPS受信部107による位置情報、判定部101cにおける配管Pの用途の選別結果がある。従って、判定部101cにおいて配管Pの用途の選別結果と、その選別を行った時点でのGPS受信部107による位置情報とが同じタイミングで送信される。なお、送信する情報としては、測定部102で測定した放射線の計数値等の情報を送信するようにしてもよい。
続いて、上記配管選別装置10を用いた配管測位システムについて説明する。図19は、第1の実施の形態に係る配管測位システムの構成図である。図19に示すように、配管測位システム1は、少なくとも1台の上述した配管選別装置10と、配管選別装置10に対して基地局3を介して無線通信するセンタ4と、を備えている。基地局3とセンタ4とは、インターネット、無線又は有線のLAN(Local Area Network)等の通信網5を介して通信が行われる。基地局3は、その通信エリアに位置する配管選別装置10と無線通信を行う。なお、配管選別装置10と基地局3とは、図示しない中継器を介して無線通信を行うようにしてもよい。
次いで、センタ4について説明する。図20は、センタの構成を示すブロック図である。図20に示すように、センタ4は、制御部401、無線通信部403、入力部404、表示部405、記憶部406及び、電源部408を備えている。
制御部401は、中央処理装置(CPU)等からなり、センタ4全体を制御する。制御部401は、記憶部406に記憶されているプログラムに従い、無線通信部403を介して受信した各種情報に対する演算処理や、各種の制御処理を行う。
無線通信部403は、通信インターフェースであり、配管選別装置10に対して基地局3(図19参照)を通じ無線通信により各種情報、データ、指令の送受信を行う。従って、無線通信部403は、無線送信部及び無線受信部としての機能を有している。無線通信部403は、例えば、配管選別装置10のGPS受信部107による位置情報、判定部101bにおける配管Pの用途の選別結果情報、測定部102の測定結果情報等を受信したり(図15参照)、この情報に基づき制御部401にて演算した後述する情報を配管選別装置10に送信したりする。
入力部404は、例えば、キーボード、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイク等を含み、オペレータ等からの操作によるデータを取得して制御部401に出力する。また、入力部404は、通信インターフェースとしてパソコン等の外部装置から有線又は無線通信によってデータを取得するようにしたり、データを内蔵するメモリーカード等の記憶媒体を接続可能なスロット等のインターフェースとしたりてもよい。
表示部405は、ディスプレイ等によって構成され、センタ4を操作、管理するオペレータに対し、制御部401での演算処理結果や、無線通信部403で受信した配管選別装置10の各種情報を表示する。
記憶部406は、配管選別装置10の記憶部106と同様の構成となるが、念のために以下に説明する。記憶部406は、RAMやROM、不揮発性メモリ等を備えている。ROMでは、制御部401が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等が記憶される。RAMは、制御部401の作業領域として用いられたり、無線通信部403により受信された情報等が制御部401を介して記憶される。RAMでは、ROMから読み出されたプログラムやデータ、入力部404から入力されたデータ、制御部401が各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶される。不揮発性メモリでは、制御部401の演算によって生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータが記憶される。
電源部408は、例えば、商用電源等が採用され、上述の各部に対して電力を供給する。
図21は、センタにおける制御部の機能ブロック図である。図21に示すように、本実施の形態に係る制御部401は、地図作成部401a及び受信制御部401bとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部406に記憶されたプログラムが制御部401によって実行されることによって実現される。なお、図21に示す制御部401の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、それ以外の構成については省略している。
地図作成部401aは、配管Pが埋設された地域の実際の地図データに対し、配管選別装置10から送信されて無線通信部403が受信した各種情報を対応付けて地図情報となる画像データを作成する。この地図情報の作成の一例を述べると、実際の地図データに対し、送信されたGPS受信部107(図15参照)の位置情報(経度緯度)から、配管Pを選別した地点を求めて関連付け、この地点に対し、配管Pの用途の選別結果も関連付ける。そして、実際の地図データ上に配管Pを選別した地点が、例えばマークやアイコン等で表示される画像データを作成する。このとき、マーク等を配管Pの用途の選別結果毎に区別できるように色分けしたり、異なる形状としたり、「ガス管」「水道管」とする文字を付記したりする。更に、関連付けた地点に対し、放射線の計数値も選択的に関連付けて表示させるようにしてもよい。地図作成部401aで作成される画像データは、記憶部406で記憶され、表示部405のディスプレイに表示可能とされる。
また、無線通信部403から画像データを無線送信することによって、その画像データを配管選別装置10の無線通信部103が受信し、タッチパネル24cで表示するようにしてもよい。画像データにあっては、携帯電話やスマートフォン等の端末機器において無線受信できるようにし、その表示領域に表示させてもよい。これにより、配管工事の現場において、作業者が工事個所やその周辺に埋設された配管Pの用途を知ることができる。更に、画像データの表示は、GPS受信部107が受信して演算したリアルタイムの位置を中心とした地図となる画像データを自動的に表示するよう制御してもよい。
なお、地図作成部401aでは、上述した各種情報によってデータベースを作成して記憶部406で記憶しておいてもよい。この場合、任意のタイミングにて、入力部404等からの出力に基づく指令に応じてデータベースから必要な情報を読み出し、この読み出した情報から実際の地図データに上述した表示を重ね合わせる画像データを作成してもよい。また、データベースにおいて、配管Pを選別した日時も併せて関連付け、選別の履歴管理をできるようにしておいてもよい。
受信制御部401bは、配管選別装置10から送信された各種情報を逐次受信するよう制御する。
次いで、本実施の形態に係る配管選別方法について説明する。図22は、配管選別方法の一例を示すフローチャートである。図22に示すように、本実施の形態に係る配管選別方法は、入力ステップ(ステップ(以下、「ST」という)01)、事前検出ステップST02、装着ステップST03、検出ステップST04、比較情報作成ステップST05、補正ステップST06、判定ステップST07、表示ステップST08、送信ステップST09の順に実施する。なお、これらステップは、あくまでも一例に過ぎず、この構成に限定されるものではない。
先ず、地中に埋設された配管Pの配管情報を直接的または間接的に入力する入力ステップST01を実施する。入力ステップST01では、作業者がタッチパネル24c(図1参照)を操作することによって上述した配管情報を入力する。入力方法としては、タッチパネル24cに限定されず、上述した入力部104(図15参照)を用いた各種方法を採用することができる。入力した配管情報は、記憶部106に記憶され、判定ステップST07での処理に利用される。
入力ステップST01を実施した後、地中の配管Pの近傍にて放射線を検出する事前検出ステップST02を実施する。事前検出ステップST02では、先ず、配管Pとは別の場所において、両方の取っ手204を把持し、コイルばね206の弾性力に抗して各取っ手204が離れるように操作する。この操作によって回転軸部200を中心として線源保持体14及び検出部保持体15を相対回転し、後述の装着ステップST03にて、接触体214、215が配管Pを挟み込む線源部11及び放射線検出部12の離間距離まで離した状態とする。この状態で、ハンドル240を操作して線源保持体14及び検出部保持体15の相対回転を規制し、線源部11及び放射線検出部12の相対位置を位置決めして維持する。ここにおいて、ハンドル240及びその操作により上記位置決めを実現する各構成によって位置決め機構が構成される。
このように線源部11及び放射線検出部12が離間した配管選別装置10を地中の配管Pの近傍に配置する。つまり、線源部11及び放射線検出部12を配管Pに未装着の状態で、配管P近傍の地中に配置する。その後、配管選別装置10の電源を投入し、線源部11及び放射線検出部12の離間距離に応じた時定数を経過した後、線源部11から放射されて配管Pを透過せずに放射線検出部12に入射した放射線の計数値を放射線検出部12で検出する。かかる検出における放射線の計数値の検出結果を事前検出結果とする。上記のように配管選別装置10を地中の配管Pの近傍に配置して放射線の検出を行うことで、事前検出ステップST02と検出ステップST04とでのバックグランド線量率や温度条件を近付けることができる。
事前検出ステップST02を実施した後、図2に示すように、配管Pを挟んで線源部11及び放射線検出部12を装着する装着ステップST03を実施する。装着ステップST03では、先ず、事前検出ステップST02での線源保持体14及び検出部保持体15における相対回転規制を解除する。次いで、両方の取っ手204を把持し、コイルばね206の弾性力に抗して各取っ手204が離れるように操作する。この操作によって回転軸部200を中心として線源保持体14及び検出部保持体15が相対回転し、線源部11及び放射線検出部12を大きく離間する。次いで、それらの間に配管Pを挿入し、コイルばね206の弾性力によって線源部11及び放射線検出部12を配管Pに近付けて接触体214、215における一対の傾斜面を配管Pに線接触させる。この線接触と上述した角度補正部230による角度補正とによって、線源部11からの放射線の放射方向が配管Pの延出方向に直交し且つ配管Pの中心を通る線上に配置され、放射線検出部12の入射部も同じ線上にあるよう配置される。この状態にて、コイルばね206の弾性力によって接触体214、215が配管Pを挟み込み、線源部11及び放射線検出部12が位置決めされる。これにより、線源部11及び放射線検出部12が位置決めされて装着ステップST03が完了する。
図示においては、配管Pの上方から配管選別装置10を装着した場合を説明したが、配管Pの側方から配管選別装置10を装着して線源部11からの放射線の放射方向が上下方向になるようにしてもよい。この場合、配管Pの底側だけに位置する液体や収容物を検出し易くなる。また、配管選別装置10を異なる2方向から装着して配管Pの用途を選別してもよく、この際、最初に装着した1方向で配管Pの用途が不確定と判定、表示された場合のみ、異なる方向で配管選別装置10を装着して配管Pの選別を行ってもよい。
ここで、配管Pにあっては、配管Pを腐食等から保護するために外装材が設けられる場合がある。配管Pに外装材が設けられる場合には、外装材を取り外すことなく、外装材の外側から上述のように装着ステップST03を実施する。
装着ステップST03を実施した後、検出ステップST04を実施する。検出ステップST04では、配管選別装置10の電源を投入し、配管Pの径寸法に応じた時定数を経過した後、線源部11から放射されて配管Pを透過した放射線を放射線検出部12で検出する。放射線検出部12で検出した放射線は、配管Pを透過することで減衰し、配管Pの内容物によって減衰量が変化する。つまり、配管P内がガスよりも水の方が放射線の減衰量が増加し、検出される放射線の計数値が減少することとなる。検出ステップST04の検出結果は、記憶部106に記憶され、判定ステップST07での処理に利用される。
検出ステップST04を実施した後、入力ステップST01で入力された配管情報に基づいて計数値の予測値を演算する、または検出ステップST04の検出結果に基づいて配管情報のいずれかのパラメータの予測値を演算する比較情報作成ステップST05を実施する。比較情報作成ステップST05では、比較情報作成部101a(図16参照)の処理として、上述した処理を実施する。
比較情報作成ステップST05を実施した後、事前検出ステップST02の事前検出結果に基づき、比較情報作成ステップST05で演算した計数値の予測値、またはパラメータの予測値を補正してそれぞれの補正値を演算する補正ステップST06を実施する。補正ステップST06では、補正部101b(図16参照)の処理として、上述した処理を実施する。
補正ステップST06を実施した後、比較情報作成ステップST05で演算した計数値の予測値と検出ステップST04の検出結果との比較、または比較情報作成ステップST05のパラメータの予測値と入力ステップST01の当該パラメータの入力値との比較とに基づき、配管Pの用途を選別する判定ステップST07を実施する。判定ステップST07では、判定部101c(図16参照)の処理として、上述した処理を実施する。これにより配管Pの用途を選別し、選別結果に応じた表示を行わせる指令を表示制御部101d(図16参照)に出力すると共に、配管Pの用途の選別結果をセンタ4に送信する指令を送信制御部101e(図16参照)に出力する。
判定ステップST07を実施した後、配管Pの用途を表示する表示ステップST08を実施する。表示ステップST08では、判定部101cからの指令に応じ表示制御部101d(図16参照)にて、上述のように2つの点灯部24a、24bやタッチパネル24c(図1参照)を制御し、それらの表示を切り替える。これにより、選別する配管Pの用途が「ガス管」、「水道管」、「雑配管」であると作業者に報知することができる。
判定ステップST07を実施した後、表示ステップST08の実施前又は実施後、送信ステップST09を実施する。送信ステップST09では、GPS受信部107がGPS信号を受信して位置情報を取得する。そして、送信制御部101eにて、GPS受信部107による位置情報と、判定ステップST07における配管Pの用途の選別結果とをセンタ4に送信するよう制御する。
このように送信ステップST09を実施することで、配管Pの用途を選別すると同時に、その選別結果と選別を行った場所の位置情報とがセンタ4に送信される。そして、センタ4では、地図作成部401a(図21参照)にて、上述のように実際の地図データ上に、配管Pを選別した地点と、その地点における配管Pの用途の選別結果とがマッピングされた地図情報が作成される。これらの処理は、配管選別装置10を取り扱う作業者の意識に拘らずに自動的に実施することができる。従って、複数台の配管選別装置10を用いて、数か月間や数年間等、長期に亘って配管Pの選別を行うと、多数箇所での選別結果が網目状に表示される地図情報を作成することができる。これにより、配管工事の計画時や配管工事にて掘削する前に、その地点で埋設された配管Pの予測性を高めることができ、工事期間の短縮化や作業準備の容易化を図ることができる。
このような実施の形態によれば、配管Pを透過した放射線の検出結果と入力部104からの配管情報とに基づいて配管Pの用途を選別することができる。これにより、配管Pの用途を特定するために作業者の経験や勘に頼る必要がなくなるので、選別作業の短時間化を図ることができ、且つ、誤った選別を防止して選別の正確性を高めることができる。
ここで、従来の配管工事について述べると、ガス管や水道管等の配管に破損等が生じると、生活に支障をきたすこととなるため、未然に補修や取り替え等の工事を行っている。但し、配管にあっては埋設場所が不明で、掘削したときに工事予定の配管以外の配管が混在している場合があり、特に年代が古い配管は、その用途つまりガス管であるか水道管であるかを外観から選別することが困難となる。このため、埋設された配管の用途に応じた複数の配管業者が共同で配管の選別を実施している。言い換えると、例えば、ガス管の修理を行う場合、ガス管業者のために他業種業者が立ち合いのもと配管を選別しており、全ての配管業者において非効率的な対応となっていた。
この点、上記配管選別装置10を用いて配管Pの用途の選別を行えるようにすることで、外観での選別が困難であっても、短時間で簡単且つ正確に配管Pの用途を選別することができる。これにより、ガス管業者のために他業種業者が立ち合う等、複数の配管業者が共同で選別する必要をなくすことができ、配管業者の対応の効率化を図ることができる。
また、事前検出ステップST02にて、配管Pに放射線を透過させずに放射線の計数値を検出するので、装置情報等から求めた理論値との対比によって、バックグランド線量率や温度等の外的要因をデータ(事前検出結果)として取得することができる。そして、かかるデータに基づき配管Pの用途選別のための閾値範囲として補正値を求めるので、配管Pの選別におけるバックグラウンド変動や温度変化による影響を低減することができる。この結果、補正値と実際に配管Pを透過して検出した放射線の計数値との対比による配管Pの選別精度を高めることができる。
本発明は上記実施の形態に限定されず種々変更して実施することが可能である。また、上記実施の形態で説明した数値、寸法、材質、方向については特に制限はない。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
例えば、補正ステップST06にて、比を演算するための理論値は、装置情報や各種データから演算した値に限られず、理想的な環境や基準となる環境での計数値やパラメータの実測値に変更してもよい。この場合、かかる実測値を記憶部106に記憶させることで、理論値を演算するための入力作業や各種処理を省略することができる。
また、事前検出ステップST02にて、線源部11及び放射線検出部12の離間距離は、検出する配管Pを挟み込む際の距離と同一とすることに限定されるものでない。配管Pを挟み込む際の距離と異なっていても、事前検出結果によって補正値を演算でき、配管Pの用途選別の精度向上に寄与するものであればよい。但し、配管Pを挟み込む際の距離と同一又は近似した方が、配管Pを透過する放射線を検出する際の条件に近付くため、補正値の適正化、選別精度の向上の観点から好ましくなる。
また、上記実施の形態では、補正部101bにて放射線検出部12での事前検出結果に基づいて計数値の予測値等を補正して補正値を演算したが、これに限られるものでない。例えば、補正部101bは、事前検出結果に基づき、線源部11から放射されて配管Pを透過した放射線の計数値となる検出結果を補正してもよい。この場合、判定部101cでは、計数値の予測値等と放射線検出部12の検出結果を補正した値とを比較して配管Pの用途を選別する。
また、表示部105を構成する点灯部24a、24bやタッチパネル24c等の構成は省略してもよい。この場合、配管Pの用途の選別結果や各種演算結果を、端末装置等の外部装置に送信して出力するようにしてもよい。但し、上記各実施の形態のように、点灯部24a、24b等を備えた構成とした方が、作業者に配管Pの用途の選別結果等を報知させ易くなる点で有利となる。
また、表示部105は、判定部101bの選別結果等を音声で出力するスピーカに変更したり、追加したりしてもよい。
また、入力部104にあっては、マイクや、無線によるリモートコントローラに変更したり、追加したりしてもよい。
また、上記各実施の形態では、選別する配管Pの用途をガス管及び水道管とした場合を説明したが、これに限られるものでない。他の用途を選別する他、その他の用途を更に選別できるようにする、つまり3種類以上の用途を選別できるようにしてもよい。例えば、ガス管及び水道管に加え、通信・電力供給用配管(以下、「通信管」とする)を選別できるようにする場合、通信管を選別する際に放射線検出部12で検出される計数値の比較情報となる閾値も併せて演算する。そして、その閾値の範囲内に放射線検出部12で検出される実測値が収まる場合、「通信管」とする配管Pの用途を選別結果として求め、これに応じた表示を行う。
また、配管選別装置10の制御部101における比較情報作成部101a、判定部101bの処理は、センタ4の制御部401で実施してもよい。これにより、複数の配管選別装置10の情報処理をセンタ4にて一括して実施することができる。