JP6834501B2 - バルブ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、開度調整可能な真空バルブのバルブ制御装置に関する。
CVD装置等の真空処理装置では、通常、処理プロセスの段階(例えば、プロセス中やプロセス前後)に応じてチャンバ内圧力が異なる。そのため、このような真空処理装置においては、真空チャンバと真空ポンプとの間に開度調整可能な真空バルブを設けて、圧力の調整を行っている。そのようなバルブの例としては、特許文献1に記載のようなものが知られている。
このような真空バルブでは、バルブ開度を変えて真空バルブのコンダクタンスを変更することで、真空チャンバに対する実効排気速度を変えている。このように実効排気速度を調整することで、圧力制御を行っている。
特許第4630994号明細書
しかしながら、単にバルブ開度と真空バルブのコンダクタンスとの関係を用いて圧力制御する構成では、高精度な圧力制御は難しかった。
本発明の好ましい実施形態によるバルブ制御装置は、真空バルブを介して真空ポンプが接続されたチャンバの圧力計測値および圧力目標値に基づいて、前記真空バルブの開度を制御するバルブ制御装置であって、前記真空バルブの複数の開度および前記真空バルブを流れる複数のガス流量に関して、前記真空バルブおよび前記真空ポンプから成る排気系の実効排気速度と前記開度および前記ガス流量との相関が設定されている相関マップを記憶している記憶部と、前記圧力計測値、前記圧力目標値および前記相関マップに基づいて、前記真空バルブの開度を制御する制御部と、を備える
さらに好ましい実施形態では、前記相関マップおよび前記圧力計測値に基づいて前記チャンバに導入されるガスのガス流入量を推定する推定部を備え、前記制御部は、前記圧力計測値、前記圧力目標値、前記推定部で推定されたガス流入量および前記相関マップに基づいて前記真空バルブの開度を制御する。
さらに好ましい実施形態では、前記相関マップの校正を指示する校正指令が入力される校正指令入力部と、前記圧力計測値に基づく前記排気系の実効排気速度である実効排気速度算出値を算出し、前記実効排気速度算出値に基づいて前記相関マップを校正する校正部と、を備え、前記制御部は、前記校正指令入力部に前記校正指令が入力されると、前記真空バルブを異なる複数の開度に順に変更させ、各開度における前記圧力計測値に基づく前記相関マップの修正を前記校正部に行わせる。
さらに好ましい実施形態では、前記真空ポンプはロータを回転駆動させてガスを排気するターボ分子ポンプであり、前記ターボ分子ポンプから前記ロータの回転速度が入力される入力部を備え、前記推定部は、前記排気系の実効排気速度を前記ロータの回転速度に応じて補正するための動的補正項、前記相関マップおよび前記圧力計測値に基づいて前記ガス流入量を推定する
本発明によれば、バルブ開度制御による圧力制御をより高精度に行うことができる。
図1は、バルブ制御装置を説明するブロック図である。 図2は、真空バルブ1の一例を示す平面図である。 図3は、図2のA−A断面を示す図である。 図4は、排気速度Spと吸気口圧力Pとの定性的な関係を示す図である。 図5は、デフォルトSマップの一例を示す図である。 図6は、チューニング動作を説明するフローチャートである。 図7は、図6の処理に続くチューニング動作の一例を説明するフローチャートである。 図8は、校正Sマップの一例を示す図である。 図9は、Sマップを用いたバルブ制御の一例を説明する図である。 図10は、開度調整の過渡状況を説明する図である。 図11は、低真空から高真空に調圧する場合のアンダーシュートを説明する図である。 図12は、第2の実施の形態における真空システムの概略構成を示すブロック図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明に係るバルブ制御装置の第1の実施の形態を説明するブロック図である。図1において、真空チャンバ3、真空バルブ1および真空ポンプ4は、真空システムを構成している。本実施の形態では、真空ポンプ4にはターボ分子ポンプを用いられ、背圧側にバックポンプ(不図示)が接続される。
真空バルブ1はバルブコントローラ2によって駆動制御される。真空バルブ1に設けられたバルブプレート(弁体)12は、モータ13によって開閉駆動される。モータ13にはバルブプレート12の開度を検出するためのエンコーダ130が設けられている。エンコーダ130の検出信号(以下では開度計測値θrと記す)は、バルブコントローラ2に入力される。
真空チャンバ3には、流量コントローラ32を介してプロセスガス等のガスが導入される。流量コントローラ32からはガス流入量Qin[Pa・m/s]のデータが出力され、真空システム側の上位のコントローラ(不図示)に入力される。真空チャンバ3の圧力は、真空計31によって計測される。その圧力計測値Pr[Pa]はバルブコントローラ2に入力される。
真空バルブ1を制御するバルブコントローラ2は、開度制御部21、モータドライバ部22、記憶部23、入力操作部24、校正部25および表示部26を備えている。開度制御部21は、圧力目標値Ps,開度計測値θrおよび圧力計測値Prに基づいて開度指令値θaを設定する。なお、圧力目標値Psは、上位のコントローラから入力される。モータドライバ部22は、開度指令値θaに基づいてモータ13を駆動制御する。記憶部23には、バルブ制御に関するソフトウェアやデータが記憶される。入力操作部24を操作することにより、バルブコントローラ2に対して各種指令を入力することができる。表示部26には、真空バルブ1の運転状態等が表示される。詳細は後述するが、校正部25は実効排気速度に関する相関関係に関する校正処理を行う。
図2は真空バルブ1の一例を示す図であり、真空バルブ1の平面図である。ハウジング11内に設けられたバルブプレート12は、モータ13により揺動駆動される。ハウジング11の表側および裏側にはフランジ110a,110b(図3参照)が設けられている。バルブプレート12は、バルブ開口部111の全体に対向する全遮蔽位置C2と、バルブ開口部111に全く対向しない全開放位置C1との間の任意の位置にスライド移動させることができる。
バルブプレート12によるバルブ開口部111の遮蔽状態は、開度と呼ばれるパラメータで表される。開度とは、比=(バルブプレートの揺動角):(全遮蔽状態からバルブ開口部111が全て解放されるまでの揺動角)をパーセントで表したものである。図2の全遮蔽位置C2は開度=0%であり、全開放位置C1は開度=100%である。すなわち、バルブプレート12の開度を調整することにより、真空バルブ1のコンダクタンスを制御する。以下では、開度を、符号θを用いて表すことにする。
図3は、図2のA−A断面を示す図である。ハウジング11には図示上下に移動可能なシールリング14が設けられている。なお、シールリング14の駆動機構は図示を省略した。図3は、シールリング14が最も上方位置に移動された状態を示しており、破線で示すようなガス流路が形成されている。真空バルブ1を閉状態とする場合には、シールリング14を下方に移動させてガス流路を完全に遮蔽する。
ところで、真空バルブ1の開度を制御して真空チャンバ3の圧力を調整するためには、ガス流量と、開度θと、真空チャンバ3に対する排気系の排気速度(以下では、実効排気速度と呼ぶ)との関係を正確に把握しておく必要がある。一般に、実効排気速度Sは次式(1)で表される。式(1)において、Spは真空ポンプ4の排気速度であり、Cは真空バルブ1のコンダクタンスである。従来は、真空バルブ1のコンダクタンスCと開度θとの関係をC(θ)のように求めておき、それを式(1)に用いることで、開度θにおける実効排気速度Sを求めていた。その場合、真空ポンプ4の排気速度Spは一定値(定格値)であるとして、実効排気速度Sを求めるのが一般的である。
1/S=1/Sp+1/C ・・・(1)
与えられ圧力目標値Psに対して、式「S=Q/Ps」から必要とされる実効排気速度Seが算出される。そして、この実効排気速度Sを式(1)に代入して真空バルブ1のコンダクタンスCを算出し、予め求めてあるコンダクタンスCと開度θとの関係から要求される開度θを求める。
しかしながら、真空ポンプ4の排気速度Spは、一般に吸気口圧力によって変化する。例えば、ターボ分子ポンプの場合、図4に示すように吸気口圧力が所定値P0以下では一定値(定格排気速度)となっているが、排気するガスの流量増加により吸気口圧力が所定値P0を越えると排気速度が徐々に低下する。
そこで、本実施の形態では、ガス流量に依存する排気速度Spの変化を考慮し、排気系(真空バルブ1+真空ポンプ4)の実効排気速度が、真空バルブ1の開度θとガス流入量Qinに依存するとして考える。すなわち、実効排気速度は相関関係S(Qin,θ)で表される。以下では、相関関係S(Qin,θ)で表される実効排気速度を符号Seで表すことにする。
なお、相関関係S(Qin,θ)は、真空チャンバ内の圧力が一定である静的な状態における関係を表している。そのような静的な状態においては、真空チャンバ3に流入するガス流入量Qinと排気系を流れるガス流量(すなわち、排気系の排気流量)Qとは一致することになる。すなわち、本実施の形態における相関関係は排気系の実効排気速度に対応するものであり、S(Qin,θ)ではなく、ガス流量Qを用いたS(Q,θ)により相関関係を表す。
上述した相関関係S(Q,θ)は図1の記憶部23に記憶され、その相関関係S(Q,θ)に基づいて真空バルブ1は制御される。上述のように、相関関係S(Q,θ)は実効排気速度に相当しており、以下ではS(Q,θ)を実効排気速度と呼ぶ場合もある。このような相関関係S(Q,θ)を用いて開度調整を行うことで、高精度な圧力調整を行うことが可能となる。
また、真空ポンプ4として用いられるターボ分子ポンプの排気速度は、バックポンプの排気性能にも依存する。さらに、排気系の排気性能は、排気系が装着される真空チャンバ3の構成(容積等)にも影響される。そこで、本実施の形態では、真空ポンプ4および真空バルブ1の性能だけでなく、真空チャンバ3やバックポンプの影響も考慮したより正確な相関関係S(Q,θ)を取得するためのチューニング機構を備えるようにした。
図5は相関関係S(Q,θ)の一例を示したものである。図5では、複数のガス流量Q0,Q1,・・・,Q9と複数の開度θ0,θ1,・・・,θ9の組み合わせに対する相関関係S(Q,θ)をSij(ただし、i,j=0,1,2,・・・,9である)のように表している。なお、θ0=0(%)、θ9=100(%)である。排気するガスの種類としては、一般的に窒素ガスやArガスが用いられる。
例えば、S32はガス流量がQ3で開度がθ2の場合の相関関係S(Q3,θ2)を表しており、ガス流量Q3および開度θ2における排気系の実効排気速度である。実効排気速度S32は、真空バルブ1の開度をθ2に設定したときのコンダクタンスC(θ2)と、ガス流量Q3における真空ポンプ4の排気速度Sp(Q3)を式(1)に代入することで算出される。また、予め設定された真空チャンバとバックポンプを使用し、開度θ2およびガス流量Q3に設定して実験的に得られた実効排気速度をS32としても良い。
図1の記憶部23には、図5に示すようなSijの2次元マップが相関関係S(Q,θ)の初期値として記憶されている。以下では、この初期値として記憶されている相関関係S(Q,θ)の2次元マップを、デフォルトSマップと呼ぶことにする。
上述のように、図5に示すデフォルトSマップにおける実効排気速度Sijは、ユーザの使用条件(真空チャンバ3やバックポンプ等の条件)が考慮されていない。このデフォルトSマップや、後述するチューニング後の校正Sマップは、真空バルブ1の調圧アルゴリズムに使用される調圧式(2)において用いられる。調圧式(2)において、左辺は真空チャンバ3に流入するガス流入量Qinを表しており、相関関係S(Q,θ)にはデフォルトSマップまたは校正Sマップの実効排気速度Sijが用いられる。V[m]は真空チャンバ3の容積、P[Pa]は真空チャンバ3内の圧力である。調圧式(2)は記憶部23に記憶されている。
Qin=V×(dP/dt)+S(Q,θ)×P ・・・(2)
(チューニングの説明)
次に、真空チャンバ3やバックポンプの影響も考慮したより正確な相関関係S(Q,θ)を取得するための、チューニング動作について説明する。本実施の形態では、以下に説明するチューニング動作を行うことにより、実際の真空システムに搭載された状態における排気系(真空バルブ1および真空ポンプ4)の相関関係S(Q,θ)に関する2次元マップ(以下では、校正Sマップと呼ぶ)を取得するようにしている。そして、上述したデフォルトSマップに代えて校正Sマップを使用して調圧動作を行うことにより、より高精度な調圧が可能になる。
図6,7は、チューニング動作の一例を説明するフローチャートである。この処理は、図1のバルブコントローラ2の開度制御部21において実行される。開度制御部21は、圧力計測値Pr、圧力目標値Ps、開度計測値θrおよび調圧式(2)に基づいて真空バルブ1の開度を制御する。調圧式(2)の相関関係S(Q,θ)にはデフォルトSマップや校正Sマップが使用される。オペレータは、入力操作部24を操作して設定画面を表示部26に表示させ、その設定画面からチューニング動作を選択する。設定画面でチューニング動作が選択されると、図6,7のチューニング処理がスタートする。
ステップS10では、流量選択画面が表示部26に表示される。例えば、図5に示すデフォルトSマップでは、ガス流量QはQ0〜Q9までの10種類が設定されている。この場合、これら10種類のガス流量からいずれか一つを選択させる流量選択画面を表示する。オペレータは、流量選択画面の指示に従ってガス流量を選択し、その後、選択完了操作を行う。
ステップS20では、選択完了操作の入力があったか否かを判定し、入力があるとステップS30へ進む。ステップS30では、選択されたガス流量でのガス流入開始を指示する画面を表示部26に表示する。オペレータは、画面表示に従って真空チャンバ3へガスを流入させ、チューニング動作の開始を指示する操作を入力操作部24により行う。
ステップS40では、オペレータによるチューニング動作の開始を指示する操作があったか否かを判定する。入力操作部24により開始指示操作が入力されるとステップS50へ進む。ステップS50では、所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、ガス流入後の真空チャンバ3内の圧力が安定するまでの待機時間であり、予め設定されている。なお、予め設定されている所定時間が経過するまで待機する代わりに、真空チャンバ3内の圧力変化が所定閾値以下となるまで待機するようにしても良い。
ステップS60では、図5の開度θ0〜θ9を開度θjと表した場合のパラメータjを、初期値のj=0に設定する。ステップS60の処理が終了すると、図7のステップS70へ進む。
ステップS70では、真空バルブ1の開度をθjに設定する。ここで、ステップS60からステップS70へ進んだ場合には、ステップS60でj=0と設定されているので、開度θをθ0(=0)に設定する。ステップS80では、真空チャンバ3内の圧力が安定するまで所定時間待機する。ステップS90では、図1の真空計31で計測された真空チャンバ3の圧力計測値Prを取得する。ステップS100では、現在のjに1を加算し、それを新たなjとする。ステップS110ではj>9か否かを判定し、j>9の場合にはステップS120へ進み、jが9以下の場合にはステップS70に戻る。すなわち、j=0〜9まではステップS70からステップS110までの処理が繰り返される。その結果、各開度θ0〜θ9における圧力計測値Prがそれぞれ取得される。
ステップS120では、次式(3)を用いて各開度θ0〜θ9における実効排気速度Sij(Qi,θj)を算出する。式(3)において、Qiは選択したガス流量であり、Pr(j)は開度θjにおいて取得された圧力計測値である。この式(3)は、上述した式(2)において「dP/dt=0」とした場合に得られる式であり、圧力が一定となっている静的な場合に適用することができる。
Sij(Qi,θj)=Qi/Pr(j) ・・・(3)
ステップS130では、ステップS120で算出された実効排気速度Sij(Qi,θj)が妥当であるか否かの判定を行う。判定方法の一例としては、デフォルトSマップの対応する実効排気速度Sijと算出された実効排気速度Sij(Qi,θj)との差分が、予め設定した閾値以下であるならば妥当と判定する。実効排気速度Sij(Qi,θj)とデフォルトSマップの実効排気速度Sijとの差の要因の一つとしては、真空チャンバ3の容積やバックポンプの性能が、デフォルトSマップにおいて前提とされているチャンバ容積やバックポンプの性能と異なることがあげられる。このようなことから、実効排気速度Sij(Qi,θj)とデフォルトSマップの実効排気速度Seとが大きく異なることはない。
そこで、両者が大きく乖離している場合には、得られた実効排気速度Sij(Qi,θj)は適切でないと判断する。妥当性の判定基準である閾値は、予め記憶部23に記憶されている。ステップS130において妥当でないと判定されると、ステップS135へ進んで表示部26に警告表示を表示する。一方、妥当と判定された場合には、ステップS130からステップS140へ進む。
ステップS130で妥当であると判定されると、図4に示すデフォルトSマップの、流量Q0〜Q9の一つに対する一行(横一列)の実効排気速度Sij(Qi,θj)(以下では、校正実効排気速度St(i,j)と呼ぶことにする)が得られたことになる。すなわち、実測値に基づく10個の校正実効排気速度St(i,j)が得られた。ここで、i(=0〜9)はガス流量がQiであることを表し、j(=0〜9)は開度がθjであることを表す。
ステップS140では、ガス流量Qiの行以外の所定領域の校正実効排気速度を、上述のように得られた校正実効排気速度St(i,j)を用いて算出する。所定領域の校正実効排気速度の計算の詳細については後述する。そして、ステップS150では、図5のデフォルトSマップの一部をステップS120およびステップS140で取得された校正実効排気速度で置き換えたマップ(図8参照)を、校正SマップとしてデフォルトSマップとは別に記憶部23に記憶する。
(校正Sマップの説明)
図8は、図5のデフォルトSマップに対応する校正Sマップの一例を示す図である。ガス流量Q6に関して校正実効排気速度St60〜St69が取得されており、図8におけるガス流量Q6の行の横一列は、デフォルトの実効排気速度S60〜S69に換えて、実測値に基づく校正実効排気速度St60〜St69が表示されている。なお、図8の校正Sマップでは、校正実効排気速度St(i,j)をStijのように表示した。
また、図8の太線で囲まれた領域R1の校正実効排気速度St59,St76〜St79,St84〜St89およびSt93〜St99は、実測値に基づく校正実効排気速度St60〜St69を用いて算出した実効排気速度である。そして、ガス流量がQ6である行、および領域R1を除くその他の実効排気速度については、デフォルトSマップの実効排気速度を使用する。
次に、計算で求める校正実効排気速度St59,St76〜St79,St84〜St89およびSt93〜St99について説明する。上述したように、図5に示すデフォルトSマップでは、実効排気速度として、真空ポンプ4の排気速度が定格排気速度であると仮定した場合の実効排気速度が用いられている。または、予め設定された所定の真空チャンバおよびバックポンプを使用して実測または算出された実効排気速度が用いられている。
しかしながら、予め設定された真空チャンバおよびバックポンプの性能を使用した場合には次のような問題がある。すなわち、吸気口圧力が高い領域における真空ポンプ4の性能低下(図4参照)は考慮されていても、ユーザの装置構成と異なる真空チャンバおよびバックポンプを前提としているので、それらの影響により実効排気速度にずれが生じる。さらに、真空ポンプ4の排気速度が定格排気速度であると仮定した場合には、前提となる装置構成が異なるだけでなく、吸気口圧力が高い領域における真空ポンプ4の性能低下が全く考慮されてない。
そこで、図8に示す校正Sマップでは、ガス流量Q6に関しては、開度θ0〜θ9に対する校正実効排気速度St60〜St69を実測値に基づいて算出する。これらの校正実効排気速度St60〜St69には、吸気口圧力が高い領域における真空ポンプ4の性能低下の影響と、実際に使用する真空チャンバ3およびバックポンプの影響とが含まれている。なお、これらの影響の度合いを比較した場合、主として真空ポンプ4の性能低下が影響する。
図5,8に示す2次元マップにおいて、開度θが小さい領域では、真空バルブ1のコンダクタンスCが真空ポンプ4の排気速度Spよりも小さくなり、式(1)で算出される実効排気速度Seは、コンダクタンスCが支配的となる。そのため、実効排気速度の変化はほぼ開度θの変化に依存している。一方、開度θが大きな領域では、真空バルブ1のコンダクタンスCが真空ポンプ4の排気速度Spよりも大きくなり、実効排気速度の変化は排気速度Spの変化に支配されることになる。そのため、ガス流量が大きくなる領域では、排気速度Spの低下の影響が顕著になる。そこで、本実施の形態では、排気速度Spの低下の影響が特に顕著な領域R1において、校正実効排気速度St60〜St69を利用した校正処理を行うようにした。
具体的には、次のように行う。例えば、図5の実効排気速度S78を図8の校正実効排気速度St78に校正する場合には、先ず、同じ開度θ8における校正実効排気速度St68と実効排気速度S68との比(St68/S68)を計算する。そして、校正実効排気速度St78と実効排気速度S78も同じ比になるものと考える。すなわち、次式(4)により校正実効排気速度St78を算出する。
St78=(St68/S68)×S78 ・・・(4)
同一開度θ8の校正実効排気速度St88,St98についても、実効排気速度S88,S98に係数(St68/S68)を乗算することにより得られる。同様に、開度θ6に関する校正実効排気速度St76,St86,St96については、実効排気速度S76,S86,S96に係数(St66/S66)を乗算すれば良い。
以上のような手順で図8の校正Sマップが得られたならば、上述したように校正Sマップを記憶部23に記憶する。そして、調圧制御においては校正Sマップに基づいてバルブ開度が制御される。なお、この校正Sマップは、図1に示す真空システムにおいてガス流量Q6で使用する場合の校正Sマップであるので、他のガス流量でプロセスを行う場合には、そのガス流量においてチューニング動作を再度行う必要がある。例えば、ガス流量Q4で他のプロセスを行う場合、ガス流量Q4でチューニング動作を行い、実効排気速度S40〜S49に代わる校正実効排気速度St40〜St49を求める。そして、記憶部23に記憶されている校正Sマップのガス流量Q4の行の実効排気速度S40〜S49を校正実効排気速度St40〜St49で書き換える。
このように、デフォルトSマップに対してチューニング処理を行うことで、真空システム毎に最適な校正Sマップが設定される。その結果、より高精度なバルブ制御を行うことが可能となる。
図9は、相関関係S(Q,θ)を使用したバルブ制御(調圧制御)を説明する図である。相関関係S(Q,θ)としては、上述したデフォルトSマップまたは校正Sマップが用いられる。図9(a)は開度θの時間変化を示し、図9(b)は圧力計測値Prの変化を示す。図9では、開度θ10で圧力P10の状態から、圧力目標値Ps(>P10)の状態に制御する場合を示している。開度θsは、圧力計測値Prが圧力目標値Psで安定したときの開度である。例えば、ガス流入量Qinに対して目標とする排気速度SはS=Qin/Psとなり、ガス流量がQinで排気系の実効排気速度がこの排気速度Sと等くなる箇所をSマップで探し、その実効排気速度における開度θが目標とする開度θsである。
曲線L11およびL12は、圧力の差分ΔP=Ps−Prをフィードバックして開度θを徐々に目標開度θsに近づけた場合を示す。一方、曲線L21,L22で示す制御では、開度θを、いったん目標開度θsよりも小さな値まで絞った後に、目標開度θs近づけるような開度制御を行っている。そのような制御を行うことで、圧力目標値Psまでの時間をより短縮することができる。
ただし、曲線L21,L22のような制御を行うためには、曲線L11,L12の場合に比べてより高精度な相関関係S(Q,θ)が必要となる。相関関係S(Q,θ)の精度が低いと、予測した実効排気速度と実際の実効排気速度とのズレが大きくなる。例えば、曲線L31,L32のような開度変化および圧力変化となってしまい、圧力目標値Psに安定するまでの時間が延びてしまうことになる。
なお、一定の圧力P10から圧力目標値Psに安定するまでの過渡的な状態においては、式(2)における(dP/dt)が、(dP/dt)≠0となるので、図8におけるガス流量Q6(真空チャンバ3へのガス流入量)以外のガス流量における実効排気速度が必要となる。そのため、高精度な圧力調整を行う場合には、図5,8に示すような2次元的なマップで表される相関関係S(Q,θ)が必要となる。
なお、上述した実施の形態では、オペレータが図1に示すバルブコントローラ2の入力操作部24を操作してチューニング動作を行う構成としたが、真空システム側からリモート操作してチューニング動作を行わせるようにしても良い。その場合、バルブコントローラ2に設けられたリモート端子(不図示)を介してチューニング指令が入力される。
(C1)以上説明したように、バルブコントローラ2の記憶部23には、真空バルブ1の複数の開度θjおよび真空バルブ1を流れる複数のガス流量Qiに関して、真空バルブ1および真空ポンプ4から成る排気系の実効排気速度Sijと開度θjおよびガス流量Qiとの相関が設定されている相関マップ、すなわちデフォルトSマップまたは校正マップが記憶されている。そして、真空バルブ1の開度を制御する開度制御部21は、圧力計測値Pr、圧力目標値Psおよび相関マップに基づいて、真空バルブ1の開度を制御する。
このような相関マップを使用することにより、実効排気速度に対して真空ポンプ4の実際の排気速度特性や真空チャンバ等の影響が反映され、開度を制御することによる圧力調整をより高精度に行うことが可能となる。
(C2)圧力調整においては、記憶部23に記憶された相関関係S(Q,θ)および圧力計測値Prに基づいて真空チャンバ3に導入されるガス流入量Qinを開度制御部21で推定し、圧力計測値Pr、圧力目標値Ps、推定されたガス流入量QinおよびデフォルトSマップに基づいて真空バルブ1の開度θを制御する。このように、ガス流入量Qinに関する情報が得られない場合においても、相関関係S(Q,θ)に基づいてガス流入量Qinを推定して開度調整を行うので、高精度な圧力調整が可能となる。
もちろん、真空チャンバ3へのガス流入量Qinに関するガス流入量情報が外部からバルブコントローラ2に入力される構成の場合には、ガス流入量の推定値のかわりにガス流入量情報を用いて開度制御を行うことができる。
(C3)さらに、入力操作部24にデフォルトSマップの校正を指示する校正指令が入力された場合に、真空バルブ1を異なる複数の開度θ0〜θ9に順に変更させ、各開度における圧力計測値Prに基づくデフォルトSマップの修正を、校正部25に行わせるようにしても良い。校正部25は、圧力計測値Prに基づく校正実効排気速度St(i,j)を算出し、デフォルトSマップの実効排気速度Sijを校正実効排気速度St(i,j)で置き換えることにより、デフォルトSマップを校正Sマップに校正する。
このように、真空システムに搭載した状態における圧力計測値Prに基づいて、デフォルトSマップが校正Sマップに校正されるので、個々の真空システムに応じた校正Sマップを取得することができ、真空バルブ1による圧力調整をより高精度に行うことができる。また、入力操作部24に校正指令を入力するだけで、複数の開度θ0〜θ9に対応した実効排気速度が校正されるので、デフォルトSマップの校正処理作業を簡単に行うことができる。
なお、開度制御部21による開度変更の際の真空チャンバ3へのガスの流量を、所定のガス流量Q6に設定させる指令を、表示部26に表示させるようにしても良い。それにより、所望の流量に対応する実効排気速度の校正を、簡単に行うことができる。
また、所定流量Q6および複数の開度θ0〜θ9における実効排気速度算出値に基づいて、領域R1における流量Q6以外の校正実効排気速度を算出するのが好ましい。それにより、圧力調整時における種々の状況に対応することができ、圧力調整をより高精度に行うことができる。
−第2の実施の形態−
上述した第1の実施の形態では、真空ポンプ4の実際の排気速度特性や真空チャンバ等の影響を考慮して校正Sマップを設定し、その校正Sマップを用いた調圧式を調圧アルゴリズムに使用するようにした。それにより、従来よりも高精度なバルブ制御を行えるようになる。
ところで、圧力が高い低真空状態から圧力の低い高真空状態に調圧する場合、図10(b)の曲線L42の領域R10に示すように、目標の圧力Pa2に到達する過程において、圧力Pが圧力Pa2を大きくアンダーシュートすることがある。これには種々の原因があるが、例えば、以下のような原因が考えられる。
なお、図10は開度調整の過渡状況を説明する図であり、図10(a)は開度変化を示し、図10(b)は圧力変化を示す。図10(a)の曲線L41のように開度を調整すると、図10(b)の曲線L42のように真空チャンバ3の圧力Pが変化する。
図11は、低真空から高真空に調圧する場合のアンダーシュートを説明する図である。図11(a)は、ガス流入量Qinおよび開度θ1とされ、真空チャンバ3の圧力が低真空の場合を示す。図11(b)は、ガス流入量Qinおよび開度θ2とされ、真空チャンバ3の圧力が高真空の場合を示す。また、バルブプレート12よりも上側のチャンバ容積をVa、バルブプレート12と真空ポンプ4との間の容積をVbとする。
真空チャンバ3の圧力を低真空から高真空に調圧する場合、一般的にバルブ開度を変更すると共にガス流入量も変更する。しかし、ここでは説明を簡単にするために、ガス流入量Qinを一定に維持した状態でバルブ開度を大きくして低真空→高真空とする場合について説明する。また、真空ポンプ4と真空バルブ1とを合わせた排気系の実効排気速度Seを、Sp×θ/100と簡略化して考える。真空ポンプ4の排気速度をSpとし、真空バルブ1の開度をθとする。
真空バルブ1の開度θは、図11(a)に示す低真空状態では小さな値θ1に設定され、図11(b)の高真空状態ではより大きな開度θ2に設定される。上述したように、排気系の実効排気速度SeはSe=Sp×θ/100で与えられると仮定したので、容積Vaにおける圧力をPa1とすると、ガス流入量Qinは次式(5)のように表される。
Qin=Pa1×Sp×θ1/100 ・・・(5)
圧力一定な平衡状態においてはガス流入量Qinと真空ポンプ4の排気流量Qpとは等しいので、真空チャンバ3の圧力Pa1と容積Vbにおける圧力Pb1とは、次式(6)を満たす。
Sp×Pb1=Pa1×Sp×θ1/100
Pb1=Pa1×θ1/100 ・・・(6)
一方、図11(b)に示す状態では、ガス流入量Qinは次式(7)のように表され、容積Vbにおける圧力Pb2は次式(8)のように表される。
Qin=Pa2×Sp×θ2/100 ・・・(7)
Pb2=Pa2×θ2/100 ・・・(8)
ところで、バルブプレート12の開度θがθ1からθ2へと急激に変化した場合、変化直後における容積Vbの領域の圧力は圧力Pa1と同程度となる。図11(a)の状態では、容積Vaにおけるガス量はVa・Pa1で、容積Vbにおけるガス量はVb・Pb1となり、合計はVa・Pa1+Vb・Pb1となる。一方、開度θがθ1から図11(b)のθ2へと瞬時に変化して、容積Vaおよび容積Vbにおける圧力が瞬時に同一となり、かつ、容積(Va+Vb)に対してガスの流入および流出が未だ生じていないと仮定した場合には、容積(Va+Vb)の圧力PabはPab=(Va×Pa1+Vb×Pb1)/(Va+Vb)となる。
例えば、図11(a)においてVa=100(l)、Vb=10(l)とし、Pb1=Pa1/100であったとした場合、図11(b)の容積(Va+Vb)の圧力Pabは、次式(9)のようになる。
Pab=(100+0.1)Pa1/(100+10)
=0.91Pa1 ・・・(9)
この場合、開度θ2における排気系の実効排気速度SeはSe=Sp×θ2/100なので、式(5)から得られる関係「Pa1×Sp=Qin×(100/θ1)」を用いると、実効排気速度Seに対応する実効排気流量Qeは次式(10)のようになる。例えば、θ1=10(%)、θ2=50%の場合には、実効排気流量Qeはガス流入量Qinの約4.6倍となる。
Qe=Se×Pab
=Sp×Pab×(θ2/100)
=0.91Sp×Pa1×(θ2/100)
=0.91Qin×(100/θ1)×(θ2/100)
=0.91Qin×(θ2/θ1) ・・・(10)
また、真空ポンプ4の吸気口圧力はPabなので、真空ポンプ4の排気流量Qpは次式(11)のようになる。ここでも、式(5)から得られる関係「Pa1×Sp=Qin×(100/θ1)」を用いて、最後の式変形を行った。θ1=10(%)の場合には、排気流量Qpはガス流入量Qinの9.1倍となり、排気系の実効排気流量Qeよりも大きくなっている。
Qp=Sp・Pab
=0.91Sp×Pa1
=0.91Qin×(100/θ1) ・・・(11)
このように、容積(Va+Vb)の圧力Pabが瞬時に(Va・Pa1+Vb・Pb1)/(Va+Vb)に変化した場合には、開度変更直後の排気系の実効排気流量Qeがガス流入量Qinのほぼ(θ2/θ1)倍まで大きくなる。その結果、図10(b)の領域R10に示すようなアンダーシュートが発生することになる。
上述した調圧式(2)に用いられている相関関係S(Q,θ)には、静的な状況における実効排気速度Seと開度θとの相関関係を表すデフォルトSマップや校正Sマップが用いられている。調圧式(2)の右辺第1項は、真空チャンバ3の圧力の変化に依存する項であり、上述した過渡状況においてはマイナス方向に増大する。しかしながら、排気流量に相当する右辺第2項「S(Q,θ)×P」は、静的な相関関係S(Q,θ)を用いているので、上述した実効排気流量Qeのように増加せず、左辺のQinが実際のガス流入量から乖離してしまう。その結果、調圧式(2)を調圧アルゴリズムに用いた場合、上述のような過渡状況における動的な変化に対しては正確に対応できずに、アンダーシュートが発生してしまうことになる。
Qin=V×(dP/dt)+S(Q,θ)×P ・・・(2)
そこで、第2の実施の形態では、次式(12)に示すように、静的なS(Q,θ)×Pを補正するための動的補正項D(ω)を追加した調圧式を、真空バルブ1の調圧アルゴリズムに使用するようにした。本実施の形態では、動的補正項D(Δω)は、真空ポンプ4のロータ回転速度ωの変化Δωに依存する量とした。
Qin=V×(dP/dt)+S(Q,θ)×P+D(Δω) ・・・(12)
式(12)の右辺第1項は、真空チャンバ3の圧力の変化に依存する項であり、上述した過渡状況においてはマイナス方向に増大する。一方、動的補正項D(Δω)は過渡状況における実効排気流量Qeの増加を表しており、右辺第1項のマイナス方向の増加を打ち消す働きをする。それにより、左辺のガス流入量Qinが実際の値と一致するようになる。その結果、調圧式(12)を調圧アルゴリズムに使用することにより、過渡状況における圧力が図10(b)の曲線L52のように変化するように、図10(a)の曲線L51のような開度調整を行うことが可能となる。
(動的補正項D(Δω)について)
上述した過渡状況において、真空ポンプ4の吸気口圧が急上昇すると、真空ポンプ4のロータ回転速度が定格の回転速度から若干低下することが分かった。過渡状況におけるロータ回転速度ωの低下はそのときのガス負荷量に依存し、ガス負荷量が大きいほど回転速度低下が大きくなる。すなわち、調圧時のアンダーシュートの程度は、回転速度低下の大きさによって推定することができる。
そこで、ロータ回転速度ωの低下Δωを検出し、その検出結果に基づいて動的補正項D(Δω)を与えるようにした。動的補正項D(Δω)の設定方法の一例としては、実際に調圧試験を行い、そのときの圧力変化と回転速度変化Δωとを計測する。そして、計測された圧力変化から「V×(dP/dt)」の変化量を算出する。このようなデータのセットを複数取得し、それらに基づいて、「V×(dP/dt)」の変化量を打ち消す項としての動的補正項D(Δω)を設定する。
動的補正項D(Δω)は、Δω=0の場合にD(Δω)=0となるように設定される。すなわち、Δω=0の場合には、調圧式(12)は第1の実施の形態の調圧式(2)と同じになる。
図12は、第2の実施の形態における真空システムの概略構成を示すブロック図である。真空ポンプ4にはターボ分子ポンプが用いられ、真空ポンプ4は、ロータ40を有するポンプユニット4Aと、ポンプユニット4Aを駆動制御するコントロールユニット4Bとを備えている。
ポンプユニット4Aには、ロータ40の回転を検出する回転検出センサ41が設けられている。回転検出センサ41で検出された回転情報は、コントロールユニット4Bの回転速度検出回路42に入力される。回転速度検出回路42は、入力された回転情報に基づいてロータ40のロータ回転速度ωを算出する。図12に示すバルブコントローラ2は、回転速度検出回路42で算出されたロータ回転速度ωが入力される入力部27を備えており、その他の構成は図1に示すバルブコントローラと同様である。
なお、図1では図示を省略したが、回転検出センサ41および回転速度検出回路42は図1に示す真空ポンプ4にも設けられており、検出されたロータ回転速度ωに基づいてロータ回転制御が行われている。
バルブコントローラ2の記憶部23には、相関関係S(Q,θ)に関するデフォルトSマップや校正Sマップが記憶されると共に、第1の実施の形態の調圧式(2)に代えて調圧式(12)および動的補正項D(Δω)が記憶されている。開度制御部21は、ロータ回転速度ω、圧力計測値Pr、圧力目標値Ps、相関関係S(Q,θ)および調圧式(12)に基づいて、上述した調圧制御を行う。すなわち、定格回転速度ω0とロータ回転速度ωとの差分Δωを調圧式(12)の動的補正項D(Δω)の代入することにより、開度θの変化により圧力が変化する過渡状況においては、図10(a)の曲線L52で示すような開度制御が行われ、曲線L42に示すようなアンダーシュートの発生を防止することができる。
(C4)このように、第2の実施の形態では、バルブコントローラ2の入力部27に真空ポンプ4からロータ回転速度ωが入力され、開度制御部21は、過渡状況において排気系の実効排気速度Seが実際の実効排気速度から乖離してしまうのを補正するための動的補正項D(Δω)と、相関関係S(Q,θ)と圧力計測値Prとに基づいて真空チャンバ3に導入されるガス流入量Qinを推定し、圧力計測値Pr、圧力目標値Ps、推定されたガス流入量Qinおよび相関関係S(Q,θ)に基づいて真空バルブ1の開度を制御する。その結果、ガス流入量Qinの推定が適切に行われ、図10(b)の曲線L42で示すような圧力のアンダーシュートを防止することができる。
(変形例)
上述した第2の実施の形態では、動的補正項D(Δω)を用いた調圧式の補正は、第1の実施の形態で説明した相関関係S(Q,θ)を用いた調圧式に適用したが、動的補正項D(Δω)による補正は、次式(13)のように、式(1)による従来の実効排気速度S(θ)を用いる調圧式にも適用することができる。
Qin=V×(dP/dt)+S(θ)×P+D(Δω) ・・・(13)
ただし、S(θ)=Sp×C(θ)/{Sp+C(θ)}である。
(5)すなわち、排気系の実効排気速度の変化が真空バルブ1のコンダクタンスCの変化だけに依存するとした場合でも、記憶部23に真空バルブ1のコンダクタンスCと開度θとの相関C(θ)が記憶され、動的補正項を導入した調圧式(13)によりガス流入量Qinをより精度良く推定し、圧力計測値Pr、圧力目標値Ps、推定されたガス流入量Qinおよび相関C(θ)に基づいて真空バルブ1の開度を制御することで、過渡状況においてアンダーシュートの生じない、より適切な開度制御を行うことができる。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
1…真空バルブ、2…バルブコントローラ、3…真空チャンバ、4…真空ポンプ、4A…ポンプユニット、4B…コントロールユニット、12…バルブプレート、21…開度制御部、22…モータドライバ部、23…記憶部、24…入力操作部、25…校正部、26…表示部、31…真空計、32…流量コントローラ、40…ロータ、41…回転検出センサ、42…回転速度検出回路

Claims (4)

  1. 真空バルブを介して真空ポンプが接続されたチャンバの圧力計測値および圧力目標値に基づいて、前記真空バルブの開度を制御するバルブ制御装置において、
    前記真空バルブの複数の開度および前記真空バルブを流れる複数のガス流量に関して、前記真空バルブおよび前記真空ポンプから成る排気系の実効排気速度と前記開度および前記ガス流量との相関が設定されている相関マップを記憶している記憶部と、
    前記圧力計測値、前記圧力目標値および前記相関マップに基づいて、前記真空バルブの開度を制御する制御部と、を備えるバルブ制御装置。
  2. 請求項1に記載のバルブ制御装置において、
    前記相関マップおよび前記圧力計測値に基づいて前記チャンバに導入されるガスのガス流入量を推定する推定部を備え、
    前記制御部は、前記圧力計測値、前記圧力目標値、前記推定部で推定されたガス流入量および前記相関マップに基づいて前記真空バルブの開度を制御する、バルブ制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のバルブ制御装置において、
    前記相関マップの校正を指示する校正指令が入力される校正指令入力部と、
    前記圧力計測値に基づく前記排気系の実効排気速度である実効排気速度算出値を算出し、前記実効排気速度算出値に基づいて前記相関マップを校正する校正部と、を備え、
    前記制御部は、前記校正指令入力部に前記校正指令が入力されると、前記真空バルブを異なる複数の開度に順に変更させ、各開度における前記圧力計測値に基づく前記相関マップの修正を前記校正部に行わせる、バルブ制御装置。
  4. 請求項2に記載のバルブ制御装置において、
    前記真空ポンプはロータを回転駆動させてガスを排気するターボ分子ポンプであり、
    前記ターボ分子ポンプから前記ロータの回転速度が入力される入力部を備え、
    前記推定部は、前記排気系の実効排気速度を前記ロータの回転速度に応じて補正するための動的補正項、前記相関マップおよび前記圧力計測値に基づいて前記ガス流入量を推定する、バルブ制御装置。
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