JP6833569B2 - トナー - Google Patents
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Description
幅広い定着可能温度で定着を完了させるために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーも種々提案されている(特許文献1)。低温定着性は改善されるが、高温高湿環境下に長期間放置されると帯電量が低下し、トナー飛散が起こることがある。また、高温環境下にさらされることで、結晶性ポリエステルの再結晶化が進行し、トナー物性が変化し、低温定着性が悪化することもある。
また、低分子量の有機化合物を可塑剤として添加し低温定着性を向上させたトナーも種々提案されている(特許文献2)。しかし、樹脂のミクロブラウン運動に伴い低分子量の有機化合物がブリードし、定着性が損なわれることがある。また、長期使用によってブリードした化合物が、磁性キャリアや帯電部材を汚染し、帯電量の低下や、画像保存性を悪化させることがあった。
低分子量の有機化合物として、低分子芳香族化合物を添加したトナーも提案されている(特許文献3)。低温定着性は改良されているが、長期使用における帯電安定性の向上は認められない。以上のように、低温定着性に優れ、長期使用による帯電安定性を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
次に、本発明における粉砕法でのトナーを製造する手順について説明する。
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
本実施例にて使用した低分子芳香族炭化水素の構造と融点を以下の表1に示した。
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、ポリプロピレン(融点75℃)10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン73.0質量部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0質量部、ブチルアクリレート12.0質量部、及びキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合する。さらにこの温度で30分間保持し、脱溶剤を行い、重合体1を得た。得られた重合体1の重量平均分子量Mwは、1.5×104であった。
窒素導入管、冷却管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコを窒素で置換した後、表2に示した原料モノマー及びオクチル酸錫(II)を投入し、180℃で昇温後、10時間反応させた。さらに15mmHgで5時間反応させた後、第二の反応工程として、表2に従い無水トリメリット酸を加え、180℃で3時間反応させて、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。樹脂物性を表2に示した。
非晶性ポリエステル樹脂A1製造例において、表2に示した原材料を用い、第二の反応工程において、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表2に示す所望の温度に到達したのを確認して、反応を停止した以外は樹脂A1の製造例とほぼ同様にして、樹脂A2、A3及び、B1乃至B3を合成した。樹脂物性を表2に示した。
・非晶性ポリエステル樹脂A1 70.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30.0質量部
・化合物1 3.0質量部
・重合体1 10.0質量部
・ワックス(HNP51;日本精蝋社製) 5.0質量部
・カーボンブラック(Nipex35;デグサ社製) 9.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3質量部
(ボントロンE88 オリエント化学工業社製)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度140℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。また、分級工程にてトナー粒子1と分別された微粒子側粉体については、別途回収し分析に供した。
トナー1の製造例において、表3に記載の材料を、表3に従い配合して製造した以外は、トナー1の製造例とほぼ同様にして、表3に示す物性のトナー2乃至22を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を91.0質量部に対し、トナー1を9.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、表4のようにトナーの組合せを変更した以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2乃至22を得た。
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
100mLのプラスティック容器ポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(設定;45℃、80%RH)に8時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。
A:残存率が3.0%未満(非常に優れている)
B:残存率が3.0%以上10.0%未満(良好である)
C:残存率が10.0%以上15.0%未満(従来技術レベル:本発明において許容レベル)
D:残存率が15.0%以上(従来より劣る:本発明では許容できないレベル)
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量及びトナー載り量を算出した。具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量及びトナー載り量は、ファラデー・ケージ(Faraday−Cage)によって測定した。
トナーの載り量(mg/cm2)=M/S
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
A:維持率が80%以上(優れている)
B:維持率が70%以上80%未満(少し優れている)
C:維持率が60%以上70%未満(従来技術レベル:本発明において許容レベル)
D:維持率が60%未満(従来より劣る;本発明では許容できないレベル)
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800改造機のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行い、評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンター用普通紙 GF−C157(A4、157g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
A:130℃未満 (優れている)
B:130℃以上150℃未満(少し優れている)
C:150℃以上160℃未満(従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:160℃以上 (従来より劣る;本発明では許容できないレベル)
表4に示す現像剤2乃至19、及び比較例1乃至3を用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示した。
Claims (5)
- 前記低分子芳香族炭化水素の融点が60℃以上90℃以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記着色剤が、3つ以上のベンゼン環を有する請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記結着樹脂が、ビスフェノールA骨格を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記トナー粒子が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合した重合体を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
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