JP6833569B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高生産性が要求されるようになってきている。例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせたプロセススピードの変更や定着器の加熱設定温度の変更を行わずに印刷が継続可能な、メディア等速性が求められている。メディア等速に対応していくために、トナーには低温から高温まで幅広い定着温度範囲で適正に定着を完了することが求められるようになってきている。
幅広い定着可能温度で定着を完了させるために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーも種々提案されている(特許文献1)。低温定着性は改善されるが、高温高湿環境下に長期間放置されると帯電量が低下し、トナー飛散が起こることがある。また、高温環境下にさらされることで、結晶性ポリエステルの再結晶化が進行し、トナー物性が変化し、低温定着性が悪化することもある。
また、低分子量の有機化合物を可塑剤として添加し低温定着性を向上させたトナーも種々提案されている(特許文献2)。しかし、樹脂のミクロブラウン運動に伴い低分子量の有機化合物がブリードし、定着性が損なわれることがある。また、長期使用によってブリードした化合物が、磁性キャリアや帯電部材を汚染し、帯電量の低下や、画像保存性を悪化させることがあった。
低分子量の有機化合物として、低分子芳香族化合物を添加したトナーも提案されている(特許文献3)。低温定着性は改良されているが、長期使用における帯電安定性の向上は認められない。以上のように、低温定着性に優れ、長期使用による帯電安定性を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
特開2011−123352号公報 特開2006−330392号公報 特開2006−330278号公報
本発明は、以上のような課題を鑑みたものであり、低温定着性に優れ、長期使用による帯電安定性を有するトナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、結着樹脂、低分子芳香族炭化水素、着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂が、下記式(1)で示されるユニットで構成されるポリエステルであり、前記低分子芳香族炭化水素が、3つ以上4以下のベンゼン環を有し、分子量が192以上256以下であり、前記着色剤は、ベンゼン環を有することを特徴とするトナーとすることで、低温定着性に優れ、長期使用による帯電安定性を有するトナーとなることを見出し本発明に至った。
Figure 0006833569
低温定着性に優れ、長期使用によっても帯電的に安定なトナーであり、高品質の画像をエルことができる。
トナーの表面処理装置の説明図である。
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のトナーは、トナー粒子が結着樹脂、低分子芳香族炭化水素、着色剤を有し、前記結着樹脂が下記式(1)で示されるユニットで構成されるポリエステルであり、前記低分子芳香族炭化水素が3つ以上4以下のベンゼン環を有し、分子量が192以上256以下であり、前記着色剤はベンゼン環を有するとしたとき、低温定着性に優れ、長期使用によっても帯電的に安定なトナーを得ることがきることを見出した。
Figure 0006833569
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
本発明の低分子芳香族炭化水素は、上記式(1)で示される結着樹脂と、ベンゼン環を有する着色剤とともにトナーとすることが重要である。本発明の低分子芳香族炭化水素は、前記結着樹脂と前記着色剤と併用することにより、低温定着性と長期使用における帯電安静性が向上することが確認された。このことから、本発明の低分子芳香族炭化水素は、前記結着樹脂と前記着色剤と併用することで、前記結着樹脂の内部に前記低分子芳香族炭化水素が封じ込められ、ブリードアウトを抑制できたためだと考えている。つまり、前記結着樹脂と前記着色剤が、前記低分子芳香族炭化水素を前記結着樹脂の内部に安定化させる役割を果たしていると考えられる。前記低分子芳香族炭化水素は、分子量が小さいため、結着樹脂の分子鎖間に入り込み分子鎖間の距離を広げることで、結着樹脂に可塑効果を付与することができる。また、前記結着樹脂および前記着色剤は、ベンゼン環を有しているため、前記低分子芳香族炭化水素とπ電子の相互作用が生じる。前記着色剤は、結着樹脂に微分散した状態で安定化しており、前記着色剤が前記芳香族炭化水素のブリードアウトを抑制するアンカー効果を発現したものと考えられる。さらに、前記低分子芳香族炭化水素と前記結着樹脂が相互作用することで、よりアンカー効果が安定化されると考えられる。そのため、前記芳香族炭化水素は、前記結着樹脂の内部で安定化することができ、ブリードアウトを抑制できたと考えられる。
本発明においてその目的を達成するために好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
本発明における低分子芳香族炭化水素は、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピーク(融点)が観測され、吸熱ピークが60℃以上90℃以下の範囲にあることが低温定着性の良化の観点から望ましい。前記低分子芳香族炭化水素は、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用しても使用しても良い。前記低分子芳香族炭化水素の含有量は、前記結着樹脂100.0質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが帯電安定性の観点から望ましい。
本発明で用いられる低分子芳香族炭化水素の中で、代表的なのものを以下に挙げる。
Figure 0006833569
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また、本発明のトナーに使用される結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂の飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。本発明に使用される結着樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成されるものが使用でき、両成分にはそれぞれベンゼン環が含有していることが必要となる。以下に使用可能な両成分を例示する。
アルコール成分としては、下記式(2−1)で表されるビスフェノール誘導体、下記式(2−2)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 0006833569
[式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2から10である。より好ましくはx+yの平均値は2から5である。]
Figure 0006833569
一方、結着樹脂を構成する2価のカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
さらに、アルコール成分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
上記結着樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。これら触媒の中でも特に、チタン系の触媒を用いて重縮合した非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。チタン系の触媒を用いて重縮合した結着樹脂は、均質なポリエステル樹脂になりやすいため、トナー粒子間でのばらつきも少なくなる。
上記結着樹脂は、帯電の安定性と言う観点から、酸価は1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。30mgKOH/g以下であることにより、トナーの帯電性が安定化しやすいため、特に高温高湿度環境下での現像効率が向上しやすい。
本発明のトナーに用いられる炭化水素系ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスである。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。
特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの耐ブロッキング性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じてポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合した重合体をトナー粒子中に含有させることもできる。前記重合体を含有することで、トナー中のワックスをより均一に微分散させることが可能となる。
上記ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合した重合体は、トナー製造時の混練工程や表面平滑工程において溶融した結着樹脂とワックスに対し界面活性剤的な働きをする。従って、該樹脂組成物は、トナー粒子中のワックスの一次平均分散粒径のコントロールや、必要に応じ熱風により表面処理を行う際のワックスのトナー表面への移行速度のコントロールができるため好ましい。
上記ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合した重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素系モノマーの重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
また、本発明における重合体は、スチレンアクリル系ポリマーに、飽和脂環式化合物由来のユニットを有することが好ましい。特に、嵩高いシクロアルキル(メタ)アクリレートのようなユニットを有することがより好ましい。嵩高いシクロアルキル(メタ)アクリレートユニットの高い疎水性によって、トナー粒子表面の疎水性が高まり、吸着する水分量を抑えられ、高温高湿環境下に放置しても、帯電低下なども問題を回避することができる。
スチレンアクリル系ポリマーは、下記式(3)で表されるモノマーユニットを有する態様で表わすことができる。
Figure 0006833569
[前記式(3)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は飽和脂環式基を表す。]
上記式(3)中のR2は、飽和脂環式炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数3以上18以下の飽和脂環式炭化水素基、さらに好ましくは炭素数4以上12以下の飽和脂環式炭化水素基である。飽和脂環式炭化水素基には、シクロアルキル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基などが包含される。
このような飽和脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンタニル基などを挙げることができる。
また、飽和脂環式基は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などを有することもできる。該アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
これらの飽和脂環式基のうち、シクロアルキル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基が好ましく、炭素数3以上18以下のシクロアルキル基、置換又は非置換のジシクロペンタニル基、置換又は非置換のトリシクロペンタニル基がより好ましく、炭素数4以上12以下のシクロアルキル基がさらに好ましく、炭素数6以上10以下のシクロアルキル基が特に好ましい。
なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
本発明において、式(3)で表されるモノマーユニットの含有割合は、該スチレンアクリル系ポリマーを構成する全モノマーユニットを基準として、1mol%以上40mol%以下であることが好ましく、3mol%以上20mol%以下であることがより好ましい。
また、本発明の分散剤のシクロアルキル(メタ)アクリレート由来のユニットは、疎水性の観点から、シクロヘキシルメタクリレートであることが好ましい。シクロヘキシルメタクリレートを用いることで、ワックス分散剤の疎水性が向上し、分散剤の水分吸着量を低減することできる。その結果、高温高湿環境下での水分吸着量も低減でき、帯電特性が向上していると考えられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉体が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉体であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉体を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。また、長期にわたり安定した画像が得られるという点でも好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
次に、本発明における粉砕法でのトナーを製造する手順について説明する。
原料混合工程で、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、着色剤、炭化水素ワックス及びワックス分散剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(三井鉱山社製)。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(三井鉱山社製)。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、冷却された混練物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)又はメカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、さらに熱を加えて処理するようなトナー粒子の表面改質処理を行うこともできる。本発明の熱処理工程は、熱処理工程でのトナー粒子の合一、形状の均一性の観点から、熱風を利用したものであることがより好ましい。例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風により表面処理を行い、必要に応じて分級をすることによりトナーを得ることができる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。このときの円形度としては、0.955以上0.980以下であることが好ましい。熱風は熱風供給手段出口11から供給される。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<GPCによる樹脂の数平均分子量の測定方法>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<低分子芳香族炭化水素>
本実施例にて使用した低分子芳香族炭化水素の構造と融点を以下の表1に示した。
Figure 0006833569
<重合体1の製造例>
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、ポリプロピレン(融点75℃)10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン73.0質量部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0質量部、ブチルアクリレート12.0質量部、及びキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合する。さらにこの温度で30分間保持し、脱溶剤を行い、重合体1を得た。得られた重合体1の重量平均分子量Mwは、1.5×104であった。
<非晶性ポリエステル樹脂A1の製造例>
窒素導入管、冷却管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコを窒素で置換した後、表2に示した原料モノマー及びオクチル酸錫(II)を投入し、180℃で昇温後、10時間反応させた。さらに15mmHgで5時間反応させた後、第二の反応工程として、表2に従い無水トリメリット酸を加え、180℃で3時間反応させて、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。樹脂物性を表2に示した。
<非晶性ポリエステル樹脂A2、A3及び、B1乃至B3の製造例>
非晶性ポリエステル樹脂A1製造例において、表2に示した原材料を用い、第二の反応工程において、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表2に示す所望の温度に到達したのを確認して、反応を停止した以外は樹脂A1の製造例とほぼ同様にして、樹脂A2、A3及び、B1乃至B3を合成した。樹脂物性を表2に示した。
Figure 0006833569
<トナー1の製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂A1 70.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30.0質量部
・化合物1 3.0質量部
・重合体1 10.0質量部
・ワックス(HNP51;日本精蝋社製) 5.0質量部
・カーボンブラック(Nipex35;デグサ社製) 9.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3質量部
(ボントロンE88 オリエント化学工業社製)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度140℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。また、分級工程にてトナー粒子1と分別された微粒子側粉体については、別途回収し分析に供した。
得られたトナー粒子1を用い、図1で示す表面処理装置によって処理を行い熱処理されたトナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度=170℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度=−5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
100質量部の熱処理トナー粒子に、疎水性シリカ(BET:200m2/g)1.0質量部、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)を1.0質量部、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.4μmであり、平均円形度は0.965であった。トナー1の物性を表3に示した。
<トナー2乃至22の製造例>
トナー1の製造例において、表3に記載の材料を、表3に従い配合して製造した以外は、トナー1の製造例とほぼ同様にして、表3に示す物性のトナー2乃至22を得た。
Figure 0006833569
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1の製造例>
磁性キャリア1を91.0質量部に対し、トナー1を9.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2乃至22の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表4のようにトナーの組合せを変更した以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2乃至22を得た。
〔実施例1〕
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800の改造機を用い、シアンステーションに二成分系現像剤を入れ、静電潜像担持体または又は紙上のトナーの載り量が所望になるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワーを調整し、後述の評価を行った。改造点としては、定着温度、及びプロセススピードを自由に設定できるように変更したことである。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表4に示す。
<評価1:耐ブロッキング性(残存率)>
100mLのプラスティック容器ポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(設定;45℃、80%RH)に8時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。
凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで篩った際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
(評価基準)
A:残存率が3.0%未満(非常に優れている)
B:残存率が3.0%以上10.0%未満(良好である)
C:残存率が10.0%以上15.0%未満(従来技術レベル:本発明において許容レベル)
D:残存率が15.0%以上(従来より劣る:本発明では許容できないレベル)
<評価2:帯電性(帯電維持率)>
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量及びトナー載り量を算出した。具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量及びトナー載り量は、ファラデー・ケージ(Faraday−Cage)によって測定した。
ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様になる。この誘起された電荷量をエレクトロメーター(ケスレー6517A ケスレー社製)で測定し、内筒中のトナー質量M(kg)で電荷量Q(mC)を割ったもの(Q/M)をトナーの摩擦帯電量とした。
また、吸引した面積Sを測定することで、トナー質量Mを吸引した面積S(cm2)で除して、単位面積あたりのトナー載り量とした。
トナーは静電潜像担持体上に形成されたトナー層が中間転写体に転写される前に静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナー像を直接、エアー吸引して測定した。
トナーの載り量(mg/cm2)=M/S
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
上記画像形成装置において、高温高湿環境下(30.0℃、72%RH)で静電潜像担持体上のトナーの載り量が0.30mg/cm2となるように調整し、上記金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、及び捕集されたトナー質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)とした(初期評価)。
上記の評価(初期評価)を行った後に、現像器を機外に取り外し、高温高湿環境下(30.0℃、72%RH)に1週間放置し、再度現像器を機内に装着し、初期評価と同じ直流電圧VDCで静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/Mを測定した(放置後評価)。
上記の初期評価における静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを100%とし、1週間放置後(放置後評価)の静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/Mの維持率(放置後評価/初期評価×100)を算出して以下の基準で判断した。
(評価基準)
A:維持率が80%以上(優れている)
B:維持率が70%以上80%未満(少し優れている)
C:維持率が60%以上70%未満(従来技術レベル:本発明において許容レベル)
D:維持率が60%未満(従来より劣る;本発明では許容できないレベル)
<評価3:低温定着性(定着可能下限温度)>
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800改造機のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行い、評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンター用普通紙 GF−C157(A4、157g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
実際には、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4縦評価紙先端から3cm、評価紙の中心の位置に2cm×10cmの未定着画像を形成した。未定着画像は低湿低温環境下(15℃/10%Rh)に24時間調湿した。
続いて、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800から定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を準備した。定着性評価は、低温低湿環境下(15℃/10%Rh)で実施し、プロセススピードを400mm/secとなるように調整した前記定着試験用治具を用いた。実際の評価では、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100℃乃至200℃の範囲で5℃おきに調整しながら未定着画像を通紙し、その間、下ベルト温度は100℃に固定した状態で評価を行った。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を低温定着温度とし、下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準:低温定着性)
A:130℃未満 (優れている)
B:130℃以上150℃未満(少し優れている)
C:150℃以上160℃未満(従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:160℃以上 (従来より劣る;本発明では許容できないレベル)
〔実施例2乃至19、比較例1乃至3〕
表4に示す現像剤2乃至19、及び比較例1乃至3を用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表4に示した。
Figure 0006833569

Claims (5)

  1. 結着樹脂、低分子芳香族炭化水素、着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結着樹脂が、下記式(1)で示されるユニットで構成されるポリエステルであり、
    前記低分子芳香族炭化水素が、3つ以上4以下のベンゼン環を有し、分子量が192以上256以下であり、
    前記着色剤は、ベンゼン環を有することを特徴とするトナー。
    Figure 0006833569
  2. 前記低分子芳香族炭化水素の融点が60℃以上90℃以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記着色剤が、3つ以上のベンゼン環を有する請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂が、ビスフェノールA骨格を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合した重合体を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
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