JP6831629B2 - 熱処理小麦粉の製造方法、小麦粉組成物の製造方法、並びにパン又は焼菓子の製造方法 - Google Patents

熱処理小麦粉の製造方法、小麦粉組成物の製造方法、並びにパン又は焼菓子の製造方法 Download PDF

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本発明は、フランス産小麦粉を利用した、熱処理小麦粉の製造方法、小麦粉組成物の製造方法、並びにパン又は焼菓子の製造方法に関する。
一般に小麦粉の製造では、挽砕(ロール)、篩(シフター)、純化(ピュリファイアー)等の工程を段階的に繰り返して、小麦から表皮と胚芽とを取り除き、胚乳部分だけを製粉している。ただし、表皮部分を完全に取り除くことは難しく、例えば表皮に由来する灰分が少ないほど小麦粉の色調が鮮やかであるが、その分、歩留りが悪くなってしまう。逆に表皮に由来する灰分が多いと小麦粉の色調が悪くなってしまう。小麦粉製品の分類上、前者を特等粉や1等粉など上位の品質に分類し、後者を3等粉や末粉など下位の品質に分類することなども行われている。
一方、小麦粉の製造の残渣として得られる小麦ふすま(表皮部分)や小麦胚芽(胚芽部分)は、胚乳部分に比べて食物繊維、ミネラル、ビタミン等を豊富に含んでいる。このため、パンや焼菓子に配合してそれらの栄養価を高めることも行われているが、その添加により食感や風味が悪くなったり、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えるという問題があった。
このような課題に関連して、例えば下記特許文献1には、灰分含有量が0.5〜3質量%の小麦粉を、品温82〜97℃で5〜60秒間湿熱処理することを特徴とする製パン用小麦粉の製造方法が開示されている。そして、小麦粉は、通常外皮部分の混入が多くなるにつれ灰分含有量が高くなり、夾雑蛋白質や酵素の含有量が高くなって製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えるが、所定条件で湿熱処理することによりその問題を解決できることが記載されている。
また、例えば下記特許文献2には、小麦粉と、フランス産小麦のふすま成分を少なくとも含有するフランス産小麦由来の粉砕物とを含有することを特徴とするパン又は焼菓子用小麦粉組成物が開示されている。そして、フランス産小麦のふすま成分は、他の産地の小麦のふすま成分に比べて、えぐ味や臭みが少なく、風味の良いパンや焼菓子が得られることが記載されている。
特開2007−125006号公報 特開2015−43727号公報
しかしながら、本発明者らの研究によれば、灰分含有量が高い小麦粉を配合するときの二次加工適性や風味等の問題は、上記のような従来技術をもってしても、依然として十分に解決されたとは言い難かった。
本発明の目的は、小麦の表皮部分に含まれる栄養成分を豊富に含む、灰分含有量が高い小麦粉を配合する場合であっても、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えずに、食味や風味の良いパンや焼菓子を製造することができる小麦粉又は小麦粉組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1は、灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉を乾熱加熱処理することを特徴とする熱処理小麦粉の製造方法を提供するものである。
本発明の熱処理小麦粉の製造方法においては、前記乾熱加熱処理を、品温100〜150℃で10〜60分間行うことが好ましい。
また、本発明の第2は、灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉を乾熱加熱処理して熱処理小麦粉を得て、該熱処理小麦粉を小麦粉組成物中に0.5〜6質量%含有させることを特徴とする小麦粉組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の小麦粉組成物の製造方法においては、前記乾熱加熱処理を、品温100〜150℃で10〜60分間行うことが好ましい。
一方、本発明の第3は、上記方法で得られた熱処理小麦粉を用いて、パン又は菓子を製造することを特徴とするパン又は焼菓子の製造方法を提供するものである。
また、本発明の第4は、上記方法で得られた小麦粉組成物を用いて、パン又は菓子を製造することを特徴とするパン又は焼菓子の製造方法を提供するものである。
本発明による熱処理小麦粉又は小麦粉組成物によれば、小麦の表皮部分に含まれる栄養成分を豊富に含む、灰分含有量が高い小麦粉を配合する場合であっても、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えずに、食味や風味の良いパンや焼菓子を製造することができる。
本発明の熱処理小麦粉の製造方法においては、灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉を乾熱加熱処理する。
フランス産小麦としては、フランスで栽培され収穫された小麦であればよいが、なかでも、シャンパーニュ地域、バス=ノルマンディー地域、ブルゴーニュ地域、ブルターニュ地域、サントル地域、フランシュ=コンテ地域、オート=ノルマンディー地域、イル=ド=フランス地域、ロレーヌ地域、ミディ=ピレネー地域、ノール=パ・ド・カレー地域、ペイ・ド・ラ・ロワール地域、ピカルディ地域、ポワトゥー=シャラント地域などで栽培されたものが好ましい。特に好ましくは、シャンパーニュ地域で栽培されたものである。
フランス産小麦の品種としては、アルドリック(Aldric)種、アリクサン(Alixan)種、アパシェ(Apache)種、アルルカン(Arlequin)種、オーブッサン(Aubusson)種、バーミュード(Bermude)種、カプホーン(Caphorn)種、セザンヌ(Cezanne)種、オスマン(Haussmann)種、メンデル(Mendel)種、ニルヴァーナ(Nirvana)種、プレミオ(Premio)種、セレクト(Selekt)種、スワッソン(Soissons)種、ガリビア(Galibier)種、アレッツォ(Arezzo)種、ファル(Phare)種、アントニウス(Antonius)種、ボローニャ(Bologna)種、ルナル(Runal)種、グラスゴウ(Glasgow)種、ヴァルード(Valodor)種、ピレネオ(Pireneo)種、セギュール(Segor)種、バグ(Bagou)種、及び、コウスティ(Crousty)種等が挙げられる。特に好ましくは、アパシェ(Apache)種である。また、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる、灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉は、上記フランス産小麦を用いて常法に従い小麦粉を製造することにより得ることができる。あるいはその製造の過程から採取することができる。すなわち、挽砕(ロール)、篩(シフター)、純化(ピュリファイアー)等の工程を段階的に繰り返して小麦粉を製造する際には、その工程の途中段階から最終段階にかけて灰分が異なる複数の小麦粉の画分が得られるので、その画分のうち上記灰分値を満たすものを採取すればよい。あるいは灰分が異なる複数の小麦粉の画分の2種以上を混合することによっても得ることができる。灰分は1.0〜3.5質量%であることがより好ましい。また、粗蛋白量が12.0〜21.0質量%であることが好ましく、15.0〜20.0質量%であることがより好ましい。また、食物繊維量は28.0質量%以下であることが望ましい(なお、通常ふすまの食物繊維量は40.0質量%を超える。)。食物繊維の定量法としては、プロスキー法(No.985.29, Total Dietary Fiber in Foods, "Official Method of Analysis", AOAC, 15th ed., 1990, P.1105-1106)、酵素HPLC法(AOAC2001.03)、などが知られ、上記食物繊維量の範囲を満たすかどうかは、それらの方法を用いて判断できる。
本発明において加熱処理は乾熱加熱処理である必要がある。その方法としては、例えば、パドルドラーヤー装置を用いて、品温100〜150℃で10〜60分間行うことなどが挙げられる。このような条件で小麦粉に加熱処理を施すことにより、酵素活性が適度に失活し、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えることがない。なお、特開2007−125006号公報に記載されているように、品温82〜97℃で5〜60秒間湿熱処理することなどによっても、同様の加熱処理を施すことができるが、後述の実施例で示されるように食味や風味の改善効果に乏しいので、好ましくない。
熱処理小麦粉の性状としては、特に制限はないが、水分含量が2.0〜10.0%であることが好ましく、3.0〜8.0%であることがより好ましい。また、他の粉体や材料との混合の容易さなどの観点からは、全体の85質量%以上が粒径300〜500μmの間で選択された篩をパスすることが好ましく、全体の85質量%以上が粒径350〜450μmの間で選択された篩をパスすることがより好ましい。
一方、本発明の小麦粉組成物の製造方法においては、灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉を乾熱加熱処理して熱処理小麦粉を得て、その熱処理小麦粉を小麦粉組成物中に0.5〜6質量%含有させる。
熱処理小麦粉は上述した方法により得ることができるが、小麦粉組成物中のそれ以外の小麦粉としては、その産地、品種等に特に制限はなく、強力粉、中力粉、薄力粉などのいずれであってもよい。また、2種以上をブレンドして用いてもよい。適用するパンや焼菓子等の製品の品質や製造の作業性等を考慮すると、小麦の産地としては、上述したフランス産のほか、日本産、アメリカ産、カナダ産、オーストラリア産などが好ましく用いられる。日本産の小麦としては、きたほなみ、春よ恋、ゆめちから、キタノカオリ、はるゆたか、はるきらり、さとのそら、農林61号、あやひかり、つるぴかり、イワイノダイチ等が挙げられる。アメリカ産の小麦としては、DNS(ダークノーザンスプリング)、WW(ウェスタンホワイト)等が挙げられる。カナダ産の小麦としては、1CW(カナダウェスタンレッドスプリングNo.1)等が挙げられる。オーストラリア産の小麦としては、ASW(オーストラリアスタンダードホワイト)等が挙げられる。例えば、パンの場合は、DNS(ダークノーザンスプリング)、1CW(カナダウェスタンレッドスプリングNo.1)が好ましい。また、焼菓子の場合は、きたほなみ、さとのそら、WW(ウェスタンホワイト)が好ましい。
小麦粉組成物中の熱処理小麦粉の含有量は0.5〜6.0質量%とされ、1.0〜3.0質量%であることがより好ましい。小麦粉組成物中の熱処理小麦粉の含有量が上記範囲未満であると、食味や風味を改善する効果に乏しくなる。また、上記範囲を超えると、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与える場合がある。
また、小麦粉組成物中には、上記熱処理小麦粉以外の小麦粉を30〜99.5質量%含有していることが好ましく、50〜97質量%含有していることがより好ましく、70〜94質量%含有していることが更により好ましい。また、上記熱処理小麦粉とそれ以外の小麦粉の合計で90〜100質量%を構成していることが特に好ましい。これによれば、上記熱処理小麦粉以外の小麦粉によって、適用されるパンや焼菓子等の製品の基本的な品質を良好にしたうえ、更に上記熱処理小麦粉によって、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与えずに、小麦の表皮部分に含まれる栄養成分を豊富に含む、食味や風味の良いパンや焼菓子を製造することができる。
一方また、小麦粉組成物中にはパンや焼菓子等の製品の製造に用いられる他の原料、例えば、糖類、食塩、乳製品、イースト、イーストフード、油脂、酵素等を混合してもよく、ミックス粉の形態に調製してもよい。これによれば、パンや焼菓子等の製品の製造の際、より簡便に適用することができる。
小麦粉組成物の性状としては、特に制限はないが、水分含量が12.0〜15.0%であることが好ましく、13.0〜14.5%であることがより好ましい。また、他の粉体や材料との混合の容易さなどの観点からは、全体の85質量%以上が粒径300〜500μmの間で選択された篩をパスすることが好ましく、全体の85質量%以上が粒径350〜450μmの間で選択された篩をパスすることがより好ましい。
本発明による熱処理小麦粉又は小麦粉組成物は、例えば、フランスパン、食パン、ロールパン、菓子パン、ハンバーガーバンズ、デニッシュペストリー、ドーナツ、速製パン(マフィン、アメリカンビスケット等)などのパン類に好ましく適用される。また、ビスケット、クッキー、サブレ、シュークリーム、パウンドケーキ、パイ等の焼菓子類に好ましく適用される。
本発明による熱処理小麦粉又は小麦粉組成物を用いてパンや焼菓子等の製品を製造するには、その熱処理小麦粉又は小麦粉組成物を、パンや焼菓子等の製品の原料として含有せしめて、その他は、その製品に適した製造方法に供して製造すればよい。製品中の上記熱処理小麦粉の含有量は、固形分換算で0.45〜5.9質量%であることが好ましく、0.9〜3.0質量%であることがより好ましい。製品中の熱処理小麦粉の含有量が上記範囲未満であると、食味や風味を改善する効果に乏しくなる。また、上記範囲を超えると、製パン適性などの二次加工適性に悪影響を与える場合がある。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の試験例においてフランス産小麦又は小麦粉としてはアパシェ(Apache)種を用い、カナダ産小麦又は小麦粉としては1CW(カナダウェスタンレッドスプリングNo.1)を用い、日本国内産小麦又は小麦粉としてはきたほなみを用い、アメリカ産小麦又は小麦粉としてはWW(ウェスタンホワイト)を用いた。
<試験例1>(灰分毎の比較)
下記表1に示すとおりの所定灰分に調製したフランス産小麦粉を、パドルドラーヤー装置を用いて品温100〜150℃の乾熱条件下に45分間加熱処理して、調製例1〜4の乾熱加熱品を得た。
上記フランス産小麦粉の乾熱加熱品を、下記表2に示す配合でフランスパン用準強力粉と混合し、製造例1〜4の小麦粉組成物を得た。
上記製造例1〜4の小麦粉組成物を用いて、下記表3に示す配合でバケット型フランスパンを製造した。
具体的には、製造例1〜4の小麦粉組成物もしくはフランスパン用準強力粉の100質量部と、モルトシロップ0.3質量部、インスタントドライイースト0.4質量部、食塩2質量部、水72質量部とを混合し、捏ね上げ温度約24℃で捏ね上げてパン生地を調製した。得られたパン生地を、28℃、湿度80%の発酵室に入れ90分間発酵させ、パンチ後、更に90分間発酵室に入れて発酵させた。次いで、パン生地を280gに分割し、25分間のベンチタイム後、パン生地をバケット型に成形し、28℃、湿度80%の発酵室に入れ60分間ホイロを行った。クープを入れ220℃で28分間焼成して、実施例1〜3、比較例1、2のバケット型フランスパンを製造した。
得られたパンに関し、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味について、官能評価を行った。評価基準としては、パネラーによる相対評価基準で下記のとおり10段階の点数にして、パネラー6名による多数意見を採用して、点数付けした。
・作業性:/1点;生地の伸展性と弾力性のバランスが悪い。ミキシング耐性が無い。/〜/10点;生地の伸展性と弾力性のバランスが良い。ミキシング耐性が高い。/
・外観:/1点;ボリュームが小さく、クープが割れない。/〜/10点;ボリュームが大きく、クープがバランスよく割れる。/
・食味:/1点;味が薄く、穀物臭が強い。/〜/10点;味が濃く、穀物臭が弱く、好ましい味。/
・風味:/1点;香ばしい香りが弱い。/〜/10点;香ばしい香りが強い。/
結果を表4に示す。
その結果、実施例1〜3の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の乾熱加熱品(灰分:1.0、2.5、又は3.9質量%)を所定量配合することで、フランスパン用準強力粉のみの比較例1や、フランスパン用準強力粉に、灰分含有量0.45質量%のフランス産小麦粉の乾熱加熱品を同量配合した比較例2に比べ、食味として味が濃く、穀物臭が弱く、好ましい味であり、風味として香ばしい香りが強いものが得られることが明らかとなった。
<試験例2>(フスマとの比較)
灰分3.2質量%に調製したフランス産小麦粉を、パドルドラーヤー装置を用いて品温100〜150℃の乾熱条件下に45分間加熱処理して、調製例5の乾熱加熱品を得た。
フランス産小麦から調製した小麦ふすま(灰分:5.2質量%)を、パドルドラーヤー装置を用いて品温100〜150℃の乾熱条件下に45分間加熱処理して、調製例6の乾熱加熱品を得た。
上記調製例5のフランス産小麦粉の乾熱加熱品、もしくは上記調製例6のフランス産小麦のふすま乾熱加熱品を用いて、下記表5に示す配合でバケット型フランスパンを製造した。パンの製造は、試験例1と同様にして行った。
得られたパンに関し、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味について、官能評価を行った。官能評価は、試験例1と同様にして行った。結果を試験例1における比較例1の結果とともに表6に示す。
その結果、比較例3の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、フランス産小麦のふすま乾熱加熱品を所定量配合することで、フランスパン用準強力粉のみに比べ(試験例の比較例1の結果参照)、風味の点で香ばしい香りが強くなったものの、生地調製時の作業性の点で、生地の伸展性と弾力性のバランスが悪く、ミキシング耐性が低くなってしまった。また、パンの外観の点で、ボリュームが小さく、クープが割れないものが得られた。これに対し、実施例4の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の乾熱加熱品(灰分:3.2質量%)を所定量配合することで、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味のいずれにおいても優れた品質のものが得られることが明らかとなった。
<試験例3>(加熱時間の比較)
試験例2に用いた調製例5の乾熱加熱品の調製において、その加熱時間を10分間、30分間、50分間とした以外は、試験例2に用いた調製例5の乾熱加熱品と同様にして、調製例7〜9の乾熱加熱品を得た。
上記フランス産小麦粉の乾熱加熱品、もしくは未加熱品を用いて、下記表7に示す配合でバケット型フランスパンを製造した。パンの製造は、試験例1と同様にして行った。
得られたパンに関し、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味について、官能評価を行った。官能評価は、試験例1と同様にして行った。結果を試験例1における比較例1の結果とともに表8に示す。
その結果、比較例4の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の未加熱品(灰分:3.2質量%)を所定量配合することで、フランスパン用準強力粉のみに比べ(試験例の比較例1の結果参照)、食味の点で味がやや濃くなったものの、生地調製時の作業性の点で、生地の伸展性と弾力性のバランスが悪く、ミキシング耐性が低くなってしまった。また、パンの外観の点で、ボリュームが小さく、クープが割れないものが得られた。これに対し、実施例5〜7の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の乾熱加熱品(灰分:3.2質量%)を所定量配合することで、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味のいずれにおいても優れた品質のものが得られることが明らかとなった。また、その加熱処理時間として、10〜50分間の範囲で問題がないことが明らかとなった。
<試験例4>(湿熱加熱との比較)
試験例2に用いた調製例5の乾熱加熱品の調製において、加熱処理を乾熱加熱に代えてボックス式蒸し器を用いて品温82℃の湿熱条件下に20秒間加熱処理して、調製例10の湿熱加熱品を得た。
上記フランス産小麦粉の湿熱加熱品、もしくは試験例2に用いた調製例5の乾熱加熱品を用いて、下記表9に示す配合でバケット型フランスパンを製造した。パンの製造は、試験例1と同様にして行った。
得られたパンに関し、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味について、官能評価を行った。官能評価は、試験例1と同様にして行った。結果を試験例1における比較例1の結果とともに表10に示す。
その結果、実施例8の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の乾熱加熱品(灰分:3.2質量%)を所定量配合することで、フランスパン用準強力粉のみに比べ(試験例の比較例1の結果参照)、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味のいずれにおいても優れた品質のものが得られることが明らかとなった。これに対し、比較例5の結果にみられるように、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の湿熱加熱品(灰分3.2質量%)では、パンの品質を向上する効果に乏しく、特にパンの食味、風味を向上する効果に乏しかった。
<試験例5>(原産国毎の比較)
下記表11に示すとおりの所定灰分に調製したカナダ産、日本国内産、又はアメリカ産小麦粉を、パドルドラーヤー装置を用いて品温100〜150℃の乾熱条件下に45分間加熱処理して、調製例11〜14の乾熱加熱品を得た。
上記フランス産小麦粉の乾熱加熱品を用いて、下記表12に示す配合でバケット型フランスパンを製造した。パンの製造は、試験例1と同様にして行った。
得られたパンに関し、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味について、官能評価を行った。官能評価は、試験例1と同様にして行った。結果を表13に示す。
その結果、実施例9の結果にみられるように、フランスパン用準強力粉に、所定灰分範囲に調製したフランス産小麦粉の乾熱加熱品(灰分:1.5質量%)を所定量配合することで、フランスパン用準強力粉のみに比べ(試験例の比較例1の結果参照)、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味のいずれにおいても優れた品質のものが得られることが明らかとなった。これに対し、比較例6〜8の結果にみられるように、フランス産以外の産地の小麦粉の乾熱加熱品では、生地調製時の作業性、パンの外観、食味、風味等の品質を向上する効果に乏しく、特にパンの食味、風味を向上する効果に乏しかった。

Claims (4)

  1. 灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉(全粒粉を除く)を、品温100〜150℃で10〜60分間、乾熱加熱処理することを特徴とする熱処理小麦粉の製造方法。
  2. 灰分が1.0〜4.0質量%のフランス産小麦粉(全粒粉を除く)を、品温100〜150℃で10〜60分間、乾熱加熱処理して熱処理小麦粉を得て、該熱処理小麦粉を小麦粉組成物中に0.5〜6質量%含有させることを特徴とする小麦粉組成物の製造方法。
  3. 請求項1記載の方法で得られた熱処理小麦粉を用いて、パン又は菓子を製造することを特徴とするパン又は焼菓子の製造方法。
  4. 請求項記載の方法で得られた小麦粉組成物を用いて、パン又は菓子を製造することを特徴とするパン又は焼菓子の製造方法。

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