以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置が設置されたトイレルームを例示する斜視図である。
図1に示すように、実施形態に係るトイレ装置1は、便器2とキャビネット18とを有する。また、この例ではトイレ装置1は、衛生洗浄装置3をさらに有する。トイレ装置1は、例えば、使用者の排尿情報を測定する生体情報測定装置である。
便器2は、例えば床置き式の洋風大便器(洋式腰掛便器)である。便器2は、使用者の排泄物を受けるボウル22を有する。
衛生洗浄装置3は、便器2の上に設けられ、便器2に対して着脱可能に設置されている。衛生洗浄装置3は、ケーシング400と、便座200と、便蓋201と、有する。便座200及び便蓋201は、ケーシング400に対して開閉自在に軸支されている。ケーシング400は、便座200に座った使用者の局部(例えば「おしり(肛門)」)に向けてノズルから洗浄水を吐出し、使用者の局部を洗浄する機能などを内蔵している。なお、衛生洗浄装置3の具体例については、図9に関して後述する。
キャビネット18は、例えば便器2の後方などに、便器2と並べて設けられる。キャビネット18の内部には、少なくとも一部が電力によって動作する装置(電動装置500)が設けられる。この例では、電動装置500は、排尿情報測定装置5を含む。排尿情報測定装置5は、使用者がボウル22内に排出した尿の量や、尿流率(単位時間当たりの排泄尿量)などの排尿情報を測定する機能を有する。例えば、排尿情報測定装置5は、ボウル22内の水位を測定することによって排尿情報を測定する。但し、電動装置500は、排尿情報を測定する装置でなくてもよい。また、排尿情報の測定は、水位の測定に限られず、重量や体重差の測定などであってもよいし、尿中の特定成分濃度の測定などを含んでもよい。なお、排尿情報測定装置5の具体例については、図10に関して後述する。
また、図1に示すように、トイレルームTRの壁面には、バーコード読取装置10と、操作部11と、が設置されている。操作部11は、生体情報測定用のリモコン12と、便器2用のリモコン13と、衛生洗浄装置3用のリモコン14と、を含む。
リモコン12には、排尿情報の測定開始を指示する測定開始スイッチや、排尿が終了したことを指示する測定終了スイッチ等が設けられている。リモコン13には、便器洗浄(ボウル22の内容物の排出及びボウル22内の洗浄)を指示する便器洗浄スイッチ13aなどが設けられている。リモコン14には、局部洗浄を指示する「おしり」スイッチ14aや、局部洗浄の終了を指示する「止」スイッチ14bなどが設けられている。
なお、この例では、リモコンには、電波通信が用いられており、各リモコンは、使用者が押したスイッチに応じた電波信号を発信する。通信に用いられる電波の周波数帯は、例えば、0.3GHz〜3GHz程度である。ただし、実施形態は、電波通信に限られず、赤外線通信や有線による通信を用いてもよい。
また、トイレルームTRの壁面には、呼び出しスイッチ15、手すり17、紙巻器19などが設けられる。
なお、本願明細書においては、平面視で、トイレルームTRに設置されたキャビネット18からトイレルームTRの内部へ向かう方向を「前方」とし、その逆方向を「後方」とする。また、「前方」を向いたときの右側を「右側方」とし、「前方」を向いたときの左側を「左側方」とする。図1に示す例では、「前方」は、便座200に座った使用者から見た前方に相当し、「後方」は、便座200に座った使用者から見た後方に相当する。また、便座200に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座200に座った使用者からみて下方を「下方」とする。
図2は、実施形態に係るトイレ装置の一部を分解して例示する斜視図である。
トイレ装置1は、便器部60と、基板部50と、をさらに有する。
図2に示すように、便器部60は、便器2の後部に設けられており、便器洗浄手段61を有する。便器洗浄手段61は、例えば便器洗浄バルブを有し、便器洗浄バルブが開くことによりボウル22内に洗浄水を供給して便器洗浄を実施する。
基板部50(アドオン基板部)は、キャビネット18の内部に着脱可能に設けられる。衛生洗浄装置3、便器部60、排尿情報測定装置5は、それぞれ、ケーブルC1、C2、C3により、基板部50と接続される。基板部50は、例えばIC素子等を含む回路を有する。基板部50は、衛生洗浄装置3、便器部60及び排尿情報測定装置5のそれぞれの動作状態に関する信号を処理する。これにより、衛生洗浄装置3、便器部60及び排尿情報測定装置5の動作を連携させることができる。なお、基板部50の具体例については、図8に関して後述する。
また、図2に示すように、キャビネット18は、天板71、側板72(右側板72a及び左側板72b)、前板73を有する。天板71は、キャビネット18の上面を覆う。天板71は、キャビネット18のフレーム80(図3参照)に対して着脱可能である。右側板72aはキャビネット18の右側面を、左側板72bはキャビネット18の左側面を覆う。前板73は、キャビネット18の前面を覆う。
図3は、実施形態に係るトイレ装置のキャビネット内の一部を例示する斜視図である。図3は、天板71、側板72及び前板73が取り外された状態を示す。キャビネット18は、天板71、側板72及び前板73などが固定されるフレーム80を有する。
フレーム80は、上下方向に延在する柱部81〜84を有する。柱部81及び柱部82は、左右方向に並ぶ。柱部83、柱部84は、それぞれ、柱部81、柱部82の後方に位置する。
さらに、フレーム80は、梁部85、86及び桟部87を有する。梁部85は、柱部81及び柱部82の上端に設けられ、柱部81と柱部82とを接続し、左右方向に延在する。梁部86は、柱部83及び柱部84の上端に設けられ、柱部83と柱部84とを接続し、左右方向に延在する。桟部87は、梁部85の下方に設けられ、柱部81と柱部82とを接続し、左右方向に延在する。柱部81〜84、梁部85、86及び桟部87のそれぞれは、断面略L字状である。排尿情報測定装置5は、フレーム80に対して適宜固定される。
桟部87には、基板部50が収納されるケース部50cが設けられている。基板部50は、キャビネット18内の前方に設けられている。また、例えば、図2に示すように、キャビネット18の前板73にはカバー板73cが設けられる。カバー板73cは、前板73の一部に設けられた開口を覆い、キャビネット18に対して着脱可能である。カバー板73cを取り外すことにより、前方から基板部50にアプローチすることができる。このように、基板部50をキャビネット18内の前方に設けることにより、メンテナンス性を向上させることができる。ただし、実施形態において、基板部50は、キャビネット18内の後方に設けられてもよい。
図3に示すように、トイレ装置1は、コネクタ5cと、膜部(カバーフィルム)90とを有する。コネクタ5cは、キャビネット18の内部の上方、より具体的には排尿情報測定装置5の上方に設けられる。外部の機器と接続されたケーブルは、例えば、キャビネット18の後方からキャビネット18内まで延びており、コネクタ5cと接続される。これにより、排尿情報測定装置5は、外部と電気的に接続される。排尿情報測定装置5と接続される外部の機器は、例えば、バーコード読取装置10である。また、有線接続を用いて、リモコン12と排尿情報測定装置5とを接続してもよい。バーコード読取装置10は使用者の個人認証のために供されるものであり、排尿情報測定装置5で得られた情報と、図示しない医療機関の情報管理システムとの連携を自動で実施して、医療機関の業務効率化や治療精度の向上などを実施することが可能である。
既に述べた通り、フレーム80の上に設けられる天板71は、フレーム80に対して着脱可能である。そして、コネクタ5cは、キャビネット18の内部の上方に位置する。これにより、天板71を取り外せば、管理者はコネクタ5cにアプローチすることができる。したがってメンテナンス性を向上させることができる。
なお、実施形態においては、天板71の一部が着脱可能な構造が用いられてもよい。例えば、天板71に開口が設けられ、その開口を覆う蓋が設けられる。蓋を取り外すことで、管理者はコネクタ5cにアプローチすることができる。
一方、このようなトイレ装置のキャビネットに、水が掛けられる場合が想定される。例えば、掃除の際に外部からキャビネットに水が掛けられたり、キャビネット上に花瓶等が置かれ、水が溢されたりすることが考えられる。外部から侵入した水がコネクタにまで至ると、トイレ装置に不具合が生じるおそれがある。
これに対して、実施形態においては、コネクタ5cを上方から覆う膜部90が設けられる。これにより、キャビネット18が被水し、着脱可能な天板71の隙間から水がキャビネット内に侵入したとしても、コネクタ5cが被水することを抑制できる。
膜部90の材料は、水を透過しないことが望ましく、例えばPE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などの樹脂を用いることができる。また、膜部90は、弾性又は可撓性を有することが望ましい。これにより、膜部90を排尿情報測定装置5に被せる際の施工性が向上する。また、膜部90は、透明であることが望ましい。これにより、管理者は、膜部90を取り外さずにコネクタ5cやケーブルの状態を確認できる。なお、透明とは、完全な無色透明に限らず、例えば可視光に対する透過率が、可視光に対する吸収率又は反射率よりも高い状態である。透明という範囲は、半透明を含んでもよい。
図4は、実施形態に係るトイレ装置の膜部を例示する斜視図である。
図4に示すように、膜部90は、中央部91と、側方部92(右側方部92a及び左側方部92b)と、を有する。中央部91は、コネクタ5c及び排尿情報測定装置5を上方から覆う部分である。右側方部92aは、中央部91の右側から下方へ延びる部分であり、左側方部92bは、中央部91の左側から下方へ延びる部分である。すなわち、この例では、膜部90は、排尿情報測定装置5の少なくとも一部の左側方及び右側方も覆う。これにより、排尿情報測定装置5の被水をより抑制することができる。
図5は、実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する断面図である。
図5は、図3に示すA−A線における断面図に相当する。図5に示すように、膜部90(中央部91)は、後方に向かう下り傾斜を有する。具体的には、膜部90の前端は、梁部85の上に配置され、膜部90の後端は、梁部86の下に配置される。これにより、キャビネット18の上部から水が浸入した場合、水は、膜部90の上を後方に向かって流れる。この例では、基板部50がキャビネット18内の前側に設けられている。このため、水が後方へ流れることにより、基板部50の被水を抑制することができる。
なお、基板部50がキャビネット18内の後側に設けられた場合は、膜部90は、前方に向かう下り傾斜を有するように配置される。すなわち、基板部50がキャビネット18内の前側及び後側のいずれか一方に設けられた場合、膜部90は、前側及び後側のいずれか他方に向かって下り傾斜するように配置される。これにより、キャビネット18内に侵入した水は、基板部50とは逆側に流れるため、基板部50の被水を抑制することができる。
図6は、実施形態に係るトイレ装置の一部を例示する断面図である。
図6は、図3に示すB−B線における断面図に相当する。図6に示すように、膜部90の側方部92は、キャビネット18の側板72に沿うように下方へ延びる。すなわち、例えば、右側方部92aの先端は、柱部81及び右側板72aの少なくともいずれかに内側から接触する。また、左側方部92bの先端は、柱部82及び左側板72bの少なくともいずれかに内側から接触する。
これにより、キャビネット18の上部から侵入し膜部90の上を流れた水は、膜部90の側方部92に導かれ、柱部81、82又は側板72に到達し、柱部81、82又は側板72を伝って下方へ流れる。したがって、水がキャビネット18内の中央に向かって流れることを抑制できる。これにより、排尿情報測定装置5や基板部50の被水を抑制することができる。
前述したように、膜部90は、例えば弾性(又は可撓性)を有する。図6に示した状態では、膜部90には、側方部92が左右に広がろうとする弾性力が生じている。この弾性力により、側方部92は、柱部等に接触した状態を維持することができる。弾性力を利用することで、固定部材などを別途設けずに、簡易に膜部90を所定位置に配置することができる。
この例では、右側方部92aの先端は、柱部81と桟部87とが交わる部分に配置されているが、図6に二点鎖線で示す92eように、膜部90を桟部87よりも下方まで延ばしてもよい。これにより、桟部87に対して設けられた基板部50の被水をより抑制することができる。例えば、膜部90は、柱部81と桟部87との間の隙間を通るように配置される。
図7(a)は、天板71の斜視図である。図7(b)は、天板71の近傍を示すキャビネット18の断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すように、天板71の後部の下面には、フレーム80の梁部86に沿って延在するパッキン71pが設けられる。パッキン71pは、天板71と梁部86との間を塞ぐ。これにより、天板71と梁部86との間からキャビネット18内に水が浸入することを抑制できる。パッキン71pの材料には、例えば、ゴムや樹脂を用いることができる。
なお、キャビネット18の側板72とフレーム80との間にもパッキンを設けてもよい。例えば、右側板72aと柱部81との間、右側板72aと柱部83との間、左側板72bと柱部82との間、および、左側板72bと柱部84との間にパッキンが設けられる。
また、天板71は、上板部71aと屈曲部71bとを有する。上板部71aは、水平方向に広がる平板状である。屈曲部71bは、天板71の前端に設けられ上板部71aから下方へ向かって屈曲した部分であり、左右に延在する。
図7(b)に示すように、天板71がフレームに取り付けられた状態において、屈曲部71bは、梁部85及び前板73の上端部よりも前方に位置する。これにより、天板71の上に水が掛けられたり溢されたりしても、天板71と梁部85との間の隙間からキャビネット18内に水が浸入することを抑制できる。
次に、図8〜図10を参照して、基板部50、衛生洗浄装置3、排尿情報測定装置5などの一例について説明する。
図8は、実施形態に係るトイレ装置を例示するブロック図である。
衛生洗浄装置3は、洗浄手段制御部405と、衛生洗浄手段406と、を有する。衛生洗浄手段406は、例えば、使用者の局部に向けて洗浄水を吐出するノズルや、ノズルを動作させるモータ、洗浄水の流路や流量を調整する電磁弁などを有する。洗浄手段制御部405は、例えばIC素子を含んだ回路であり、衛生洗浄手段406の動作を制御する。
排尿情報測定装置5は、測定手段制御部54と、排尿情報測定手段55と、を有する。排尿情報測定手段55は、例えば、ボウル22内の水位を測定するセンサや水位を設定するポンプなどを有する。測定手段制御部54は、例えばIC素子を含んだ回路であり、排尿情報測定手段55の動作を制御する。
基板部50は、電波受信部51と、情報連携部52(ロジック基板)と、便器洗浄制御部53(便器洗浄基板)と、を有する。情報連携部52及び便器洗浄制御部53は、それぞれ、例えばIC素子を含む回路である。電波受信部51は、例えばアンテナ基板であり、図1に関して前述したリモコン12〜14から電波信号を受信する。電波受信部51は、受信した電波信号に基づき、リモコンからの指示に関する信号を情報連携部52に送信する。
情報連携部52は、洗浄手段制御部405、便器洗浄制御部53及び測定手段制御部54に、リモコンからの指示に関する信号を適宜送信する。
洗浄手段制御部405は、情報連携部52から取得した信号に基づいて、衛生洗浄手段406の動作を制御する。また、測定手段制御部54は、情報連携部52から取得した信号に基づいて、排尿情報測定手段55の動作を制御する。また、便器洗浄制御部53は、情報連携部52から取得した信号に基づいて、便器洗浄手段61の動作を制御して便器洗浄を実施する。
また、情報連携部52は、洗浄手段制御部405から衛生洗浄装置3の動作状態に関する信号を取得し、便器洗浄制御部53から便器洗浄手段61の動作状態に関する信号を取得する。
なお、衛生洗浄装置3の動作状態に関する信号とは、衛生洗浄装置3が局部洗浄を行っているかどうかを示す情報(例えば、ノズルへの洗浄水の供給を制御する電磁弁の開閉状態を示す情報等)を含む。便器洗浄手段61の動作状態に関する信号とは、便器洗浄手段61が便器洗浄を行っているかどうかを示す情報(例えば、ボウル22への洗浄水の供給を制御する便器洗浄バルブの開閉状態を示す情報等)を含む。
排尿情報を測定する際に、衛生洗浄装置3や便器洗浄手段61が動作すると、測定精度が低下する恐れがある。例えば、排尿情報測定装置5がボウル22内の水位の変化によって尿量を測定する場合、衛生洗浄装置3や便器洗浄手段61によってボウル22内に洗浄水が供給されると、ボウル22内の水位は洗浄水によっても変化してしまう。
これに対して、実施形態に係る排尿情報測定装置5の測定手段制御部54は、衛生洗浄装置3の動作状態に関する情報及び便器洗浄手段61の動作状態に関する情報を、情報連携部52から取得する。測定手段制御部54は、情報連携部52から取得した情報(動作情報)に基づいて、排尿情報の測定を制御する。これにより、排尿情報測定装置5は、衛生洗浄装置3及び便器洗浄手段61の動作を考慮し、その動作と連携して動作することができる。例えば、測定手段制御部54は、局部洗浄が行われているとき及び便器洗浄が行われているときには、排尿情報の測定を行わないと判断する。これにより、測定精度の低下を防ぐことができる。
また、例えば、測定手段制御部54は、局部洗浄が開始されたとき及び便器洗浄が開始されたときに、排尿情報の測定を中止する。このように実施形態に係るトイレ装置1においては、通常のトイレとしての機能(便器洗浄や局部洗浄)を優先させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。例えば、排尿情報を測定する際に、使用者がリモコン12の測定終了スイッチを押し忘れたとしても、便器洗浄スイッチ13aを操作すれば、排尿情報の測定を終了させることができる。また、排尿情報の測定を中止することで、図10に関して後述する水位測定管36に、便器洗浄時の水が流れ込むことを抑制できるため、水位センサ38等の精密器具が故障することを予防できる。なお、この場合に測定手段制御部54は、排尿情報測定装置5の動作状態を情報連携部52へ送信しなくてもよい。例えば、図3等に関して説明したコネクタ5cを用いて、リモコン12と排尿情報測定装置5(測定手段制御部54)とを有線で接続してもよい。この場合、測定手段制御部54は、情報連携部52を介さずにリモコン12から信号を取得し、この信号に基づいて、排尿情報測定手段55の動作を制御する。有線と無線を両立して情報伝達を実施することが推奨される。生体情報測定結果と衛生洗浄装置の操作信号では、要求される信頼性に差があるものであり、それを鑑みた接続方法を採用すればよい。
この例では、電波受信部51、情報連携部52及び便器洗浄制御部53は、それぞれ異なる基板上に別体として設けられた回路であり、基板部50として1つのユニットとされている。また、基板部50は、衛生洗浄装置3及び排尿情報測定装置5とは別体であり着脱可能である。但し、電波受信部51、情報連携部52及び便器洗浄制御部53の少なくとも一部を1つの基板上に統合してもよいし、さらに複数の基板上に分割してもよい。また、電波受信部51、情報連携部52及び便器洗浄制御部53を1つのユニットとせずに、別々に設けてもよい。例えば、便器部60が便器洗浄制御部53を含んでもよい。
図9は、衛生洗浄装置を例示するブロック図である。なお、図9は、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
例えば、衛生洗浄装置3には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ(人体検知手段)404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコン14などの操作部を操作すると、ノズル(洗浄ノズル)473を便器2のボウル22内に進出させることができる。なお、図1では、ノズル473がボウル22内に進出した状態を表している。
ノズル473の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口474(図1参照)が設けられている。そして、ノズル473は、その吐水口474から水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。
より具体的に説明すると、衛生洗浄装置3は、図9に表したように、水道や貯水タンクなどの給水源8から供給された水をノズル473の吐水口474に導く流路20を有する。流路20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、洗浄手段制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。
電磁弁431の下流には、温水ヒータ441が設けられている。温水ヒータ441は、供給された水を加熱し、所定の温水にする。
温水ヒータ441の下流には、機能水(殺菌水)を生成可能な機能水生成手段が設けられる。この例では、機能水生成手段として、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、水道水を電気分解して、次亜塩素酸を含む液に変化させる。
電解槽ユニット450の下流には、水勢(流量)の調整を行う流量切替弁471と、ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や切替を行う流路切替弁472と、が設けられている。ノズル洗浄室478は、ノズルの後方に配置される部材であり、その内部に設けられた吐水部から洗浄水(機能水や水)を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄する。なお、流量切替弁471および流路切替弁472は、1つのユニットとして設けられていてもよい。流量切替弁471および流路切替弁472の下流には、ノズル473が設けられている。
ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器2のボウル22内に進出したり後退することができる。つまり、ノズルモータ476は、洗浄手段制御部405からの指令に基づいてノズル473を進退させることができる。
そして、洗浄手段制御部405は、電源回路401から電力を供給され、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ(人体検知手段)402や、便座200の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ(人体検知手段)403や、便座200への使用者の着座を検知する着座検知センサ404や、操作部11などからの指示に基づいて、電磁弁431や、温水ヒータ441や、電解槽ユニット450や、流量切替弁471や流路切替弁472や、ノズルモータ476の動作を制御することができる。
着座検知センサ404は、便座200に着座した使用者を検知することができる。人体検知センサ403は、便器2の前方にいる使用者を検知することができる。着座検知センサ404及び人体検知センサ403には、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。入室検知センサ402は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者等を検知することができる。入室検知センサ402には、例えば、焦電センサやマイクロ波センサなどを用いることができる。
情報連携部52が取得する、衛生洗浄装置3の動作状態に関する信号は、例えば、電磁弁431の開閉状態を示す情報を含む。衛生洗浄装置3の動作状態に関する信号は、温水ヒータ441、電解槽ユニット450、流量切替弁471、流路切替弁472、ノズルモータ476の動作状態や、人体検知手段の検知結果を示す情報を含んでもよい。
図10は、排尿情報測定装置及び便器を例示するブロック図である。なお、図10は、水路系と電気系との要部構成を併せて表している。
トイレ装置1は、ボウル22と排尿情報測定装置5とを連通する連通管9を有する。
ボウル22内には、建物の排水配管23内部で発生した悪臭や衛生害虫などが、トイレルームTR内に侵入することを防止するための、溜水21が形成されている。ボウル22内における使用者が排泄した排泄物混じりの溜水21は、便器洗浄により、排水配管23へ排出されるようになっている。
また、便器2は、トラップ部25を有している。トラップ部25は、ボウル22及び建物の排水配管23と連通している。また、便器2には、リム吐水孔24及びジェット吐水孔26が設けられている。ボウル22内部を洗浄する際には、まず、リモコン13に設けられた便器洗浄スイッチ13aを押す。すると、便器洗浄制御部53は、リモコン13からの指示に応じて、水道管からの水をリム吐水孔24及びジェット吐水孔26を通じて便器2内へ吐出させる。ジェット吐水孔26から水が吐水されると、トラップ部25に水が満たされる。トラップ部25に水が満たされると、トラップ部25において、サイフォン現象が発生する。このサイフォン現象によって、排水配管23側に負圧が発生する。その結果、ボウル22内の溜水21は、排水配管23へ排出される。
排尿情報測定装置5は、補水タンク28と、第1フロートスイッチ29と、第2フロートスイッチ31と、補水ポンプ30と、排水トラップ32と、気圧センサ34と、水位測定管36と、水位センサ38と、検量ポンプ40と、開閉弁42と、手動ボール弁44と、を有している。なお、開閉弁42は、第1開閉弁42a、第2開閉弁42b、第3開閉弁42c、第4開閉弁42d、及び、第5開閉弁42eを有し、それぞれ電力によって動作する電磁弁である。第2開閉弁42b、第3開閉弁42c、第4開閉弁42d、及び、第5開閉弁42eは、連通管9内に設置されており、連通管9内の流路を開閉する。第1開閉弁42aを開状態にすると、水道管から補水タンク28へ水を補給することができる。手動ボール弁44、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを開状態にすると、ボウル22内の溜水21の水位と水位測定管36内の水の水位とが、同じになる。水位センサ38は、水位測定管36内の水の圧力(水頭圧)を計測し、その圧力を、圧力の大きさに応じた電圧値に変換して、測定手段制御部54に出力する。
補水タンク28は、排水トラップ32の上方に設置されている。補水タンク28内に一定量の水が供給されると、排水トラップ32が有するオーバーフロー管32aへ水が排出される。オーバーフロー管32aへ排出された水は、オーバーフロー管32a内を通って、排水トラップ32内に供給される。排水トラップ32は、便器2のトラップ部25より下流側に設けられた建物の排水配管23と連通している。排水トラップ32内に一定量の水が供給されると、排水配管23内へ水が排出される。
第1フロートスイッチ29は、補水タンク28内、且つ、補水タンク28の上端に設置されている。第2フロートスイッチ31は、補水タンク28内、且つ、第1フロートスイッチ29より下方に設置されている。第1フロートスイッチ29が水を検出すると、測定手段制御部54は、第1開閉弁42aを閉状態にする。第2フロートスイッチ31が水を検出しなくなると、測定手段制御部54は、第1開閉弁42aを開状態にする。
トイレ装置1の施工者は、手動ボール弁44を閉状態に操作することによって、便器2と排尿情報測定装置5との接続を解除することができる。
次に、トイレ装置1による排尿情報の測定方法について説明する。
なお、手動ボール弁44は、常に開状態であるものとする。
衛生洗浄装置に設けられた人体検知手段がトイレルームTRに入室した入室者を検知していない状態(待機状態)において、水位測定管36内の水の水位は、ボウル22内の溜水21の水位である測定開始水位Aより、高い。例えば、待機状態において、水位測定管36内は、略満水状態である。なお、測定開始水位Aは、破封水位Lより高く、溢流水位Hより低い。
測定手段制御部54は、後に詳述する測定開始信号を受信する前に、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを開状態にする。例えば、測定手段制御部54は、人体検知手段がトイレルームTRに入室した入室者を検知すると、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを開状態にする。
第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cが開状態になると、水位測定管36内の水の水位は、ボウル22内の溜水21の水位と同じになる。第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cが開状態となってから、例えば1秒後、測定手段制御部54は、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを閉状態にする。
入室者が、例えば、入室者自身が持っているバーコードタグをバーコード読取装置10に翳すことで、バーコード読取装置10は、排尿情報の測定開始信号を送信する。なお、例えば、バーコードタグには、入室者自身のパーソナルデータが読み取れるバーコードが記載させている。測定手段制御部54は、人体検知手段が入室者を検知してから、例えば10分間に、測定開始信号を受信すると、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを、再び開状態にする。人体検知手段が入室者を検知してから、例えば10分間、測定手段制御部54が測定開始信号を受信しなかった場合、排尿情報測定装置5は待機状態に戻る。
測定開始信号の受信の後、排尿情報測定装置5が測定可能状態となると、リモコン12に設けられている液晶画面に、「排尿してください」と表示される。このとき、入室者、即ち被験者は、液晶画面に表示された「排尿してください」との文字を視認することによって、排尿動作を開始する。
被験者の排尿動作が終了すると、ボウル22内の溜水21の水位は、測定開始水位Aから排尿後水位Cまで上昇する。即ち、ボウル22内の溜水21の水位、及び、水位測定管36内の水の水位は、排尿後水位Cとなる。被験者は、リモコン12に設けられた測定終了スイッチを押すことで、測定手段制御部54に測定の終了を指示することができる。あるいは、被験者は、バーコードをバーコード読取装置10に翳すことで、測定手段制御部54に測定の終了を指示することができる。あるいは、使用者が便器洗浄スイッチ13aを押すことで、測定手段制御部54に測定の終了を指示することができる。
測定手段制御部54が測定終了信号を受信すると、測定手段制御部54の指示によって、水位センサ38は、水位測定管36内の水の水圧によって測定された電圧値を測定手段制御部54へ出力する。測定手段制御部54は、入力された電圧値を、予め算出していたボウル22の水位に対する水量の関係式に当てはめることで、ボウル22内の上昇水量、即ち被験者の尿量を算出する。
測定手段制御部54は、被験者の尿量だけでなく、例えば、排尿時間(秒)、最大尿流率(mL/秒)、平均尿流率(mL/秒)、最大尿流率到達時間(秒)、ためらい時間(秒)、などの排尿情報を算出する。排尿時間とは、ボウル22内への尿の排出が開始してから、ボウル22内への尿の排出が終了するまでの時間である。最大尿流率とは、単位時間当たりの尿量、即ち排尿速度である尿流率が最大であったときの値である。平均尿流率とは、尿流率の平均値である。最大尿流率到達時間とは、排尿が開始されてから、尿流率の値が最大尿流率の値になるまでの時間である。ためらい時間とは、液晶画面に「排尿してください」と表示されてから、排尿が開始されるまでの時間である。
測定手段制御部54による排尿情報の算出が終了すると、測定手段制御部54は、第2開閉弁42b及び第3開閉弁42cを閉状態にする。そして、便器洗浄制御部53は、水道管からの水をリム吐水孔24及びジェット吐水孔26を通じて便器2内へ吐出させる。その結果、上述したサイフォン現象によって、ボウル22内部が洗浄される。
ボウル22内の排出動作が終了すると、便器2の図示しない給水手段は、リム吐水孔24からの給水によって、破封水位Lと測定開始水位Aとの間の水位まで粗調整のための給水を実施する。次いで、測定手段制御部54は、第1開閉弁42a、第2開閉弁42b、及び、第5開閉弁42eを開状態にする。また、測定手段制御部54は、補水ポンプ30を駆動させる。補水ポンプ30の駆動によって送水される補水タンク28内の水によって、ボウル22内の溜水21の水位を測定開始水位Aにする。次に、第3開閉弁42cを開状態にし、第2開閉弁42bを閉状態にする。補水ポンプ30の駆動によって送水される補水タンク28内の水によって、水位測定管36内を洗浄する。また、補水ポンプ30の駆動によって送水される補水タンク28内の水によって、水位測定管36内を略満水状態にする。水位測定管36内が略満水状態となったとき、測定手段制御部54は、補水ポンプ30の駆動を停止させる。また、測定手段制御部54は、第1開閉弁42a、第3開閉弁42c、及び、第5開閉弁42eを閉状態にする。その後、排尿情報測定装置5は待機状態に戻る。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。