JP6829337B2 - 水性顔料分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、水性顔料分散液、特に、乳化重合トナー用の水性顔料分散液に関する。さらに詳しくは、乳化重合トナー製造時の顔料の歩留まりや粒径制御に優れる、乳化重合トナーを製造する際の材料等として有用な水性顔料分散液に関する。
電子写真法コピー機やプリンタ用のトナーとして、従来、バインダー樹脂及び顔料を混合し、必要に応じて荷電制御剤、磁性体、ワックス成分、及びその他の材料をさらに混合し、溶融混練した後に粉砕及び分級して得られる粉砕トナーが用いられてきた。そして、近年、トナー粒子の微細化や粒径制御により高画質化を図るため、重合トナーが提案されている。重合トナーは、乳化重合トナーと懸濁重合トナーに大別される。このうち、乳化重合トナーは、乳化重合により得られるバインダー樹脂の乳化物(エマルジョン)に顔料の水分散体(水性顔料分散液)及びその他の成分を加えた後、所望の粒径に凝集定着させることで調製される(特許文献1〜3)。
特開平11−143125号公報 特開2001−5218号公報 特開2001−324834号公報
特許文献1〜3で提案された方法では、顔料の水分散体中に顔料を分散させる分散剤として、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの界面活性剤が用いられている。しかし、このような顔料の水分散体を用いて乳化重合トナーを調製すると、トナー粒子を凝集定着させる過程で顔料が凝集しにくく、顔料の歩留まりが低下しやすいといった課題があった。また、生成するトナー粒子の粒径制御が困難であるといった課題もあった。
ところで、トナーは、通常、エロー色、マゼンタ色、シアン色、及びブラック色の4色が基本色として用いられている。そのうち、エロー色を呈する顔料としては、ピグメントエロー74などのアゾ顔料が一般的に用いられている。しかし、環境への影響を考慮し、非アゾ顔料をエロー色顔料(黄色顔料)として用いることが必要とされる傾向にある。なかでも、耐候性、発色性、及び色相の面から、イソインドリン系顔料であるピグメントエロー185を用いることが検討されている。しかし、ピグメントエロー185は親水性が高いとともに、耐アルカリ性に乏しいため、高濃度の水性顔料分散液を調製することが困難である。さらに、ピグメントエロー185は分散安定性が低いといった課題もある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料が微分散されているとともに、粘度や顔料の粒子径が変動しにくく、保存安定性に優れており、粒子径が適切に制御された乳化重合トナーを顔料の歩留まりを向上させつつ調製することが可能な水性顔料分散液を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す水性顔料分散液が提供される。
[1]顔料、前記顔料を分散させる分散剤、及び水を含む水性媒体を含有する水性顔料分散液であって、前記分散剤が、下記(i)又は(iii)の分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマー(A)に由来する構成単位(A)と、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)と、を含むポリマーであり、前記ポリマー中、前記モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量が、前記ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、4,000〜15,000であり、前記ポリマーが、ランダムコポリマーであり、前記ポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で含有されており、pHが3.0〜8.4であり、乳化重合トナー用の顔料分散液である水性顔料分散液。
(i)オキシエチレン単位の平均繰り返し数nが4〜20であるポリエチレングリコール鎖
(iii)オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが20〜50であるとともに、オキシエチレン単位の含有量が70〜92質量%である、下記一般式(1)で表される分子鎖
R−(OEt)−(OPr)−A ・・・(1)
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、AはOH又はNHを示し、Etはエチレン基を示し、Prはプロピレン基を示し、x+y=nである)
[2]顔料、前記顔料を分散させる分散剤、及び水を含む水性媒体を含有する水性顔料分散液であって、前記分散剤が、下記(iii)の分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマー(A)に由来する構成単位(A)と、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)と、を含むポリマーであり、前記ポリマー中、前記モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量が、前記ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、4,000〜15,000であり、前記ポリマーが、ランダムコポリマーであり、前記ポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で含有されており、pHが3.0〜8.4である水性顔料分散液。
(iii)オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが20〜50であるとともに、オキシエチレン単位の含有量が70〜92質量%である、下記一般式(1)で表される分子鎖
R−(OEt) −(OPr) −A ・・・(1)
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、AはOH又はNH を示し、Etはエチレン基を示し、Prはプロピレン基を示し、x+y=nである)
]前記モノマー(B)が、(メタ)アクリル酸、又はビニルピリジン、ビニルイミダゾール、及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群より選択される少なくとも一種であり、前記ポリマー中、前記構成単位(B)の含有量が、前記ポリマーの全質量を基準として、3〜15質量%である前記[1]又は2]に記載の水性顔料分散液。
]前記顔料が、ピグメントエロー185を含む黄色系顔料であり、前記モノマー(B)が、アミノ基を有するモノマーである前記[1]〜[]のいずれかに記載の水性顔料分散液。
]光散乱法により測定される前記顔料の数平均粒子径が、80〜300nmである前記[1]〜[]のいずれかに記載の水性顔料分散液。
]前記顔料の含有量が10〜40質量%であり、前記分散剤の含有量が、前記顔料の含有量を基準として、5〜60質量%である前記[1]〜[]のいずれかに記載の水性顔料分散液。
]前記顔料が、ピグメントエロー185であり、前記顔料の含有量が、20〜40質量%である前記[1]〜[]のいずれかに記載の水性顔料分散液。
本発明によれば、顔料が微分散されているとともに、粘度や顔料の粒子径が変動しにくく、保存安定性に優れており、粒子径が適切に制御された乳化重合トナーを顔料の歩留まりを向上させつつ調製することが可能な水性顔料分散液を提供することができる。
<水性顔料分散液>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の水性顔料分散液は、乳化重合トナーを製造する際の原材料の一つとして有用な水性顔料分散液である。乳化重合トナーは、乳化重合を利用する従来公知のトナーの製造方法によって製造することができる。具体的には、ノニオン性活性剤を用いて調製したエマルジョンを、そのノニオン性界面活性剤の曇点以上に昇温し、ノニオン性活性剤を水不溶化してエマルジョン粒子を凝集させ、トナー粒子を得る方法などがある。その他、塩を添加してトナー粒子を析出させる方法;酸や塩基を添加してトナー粒子を析出させる方法;貧溶剤を添加してトナー粒子を析出させる方法;などがある。なかでも、本発明の水性顔料分散液は、曇点を利用する方法や塩を添加する方法によって乳化重合トナーを製造する際の原材料の一つとして好適である。すなわち、本発明の水性顔料分散液に用いる、顔料を分散させるための分散剤は、顔料を高濃度に安定して微分散させることができるとともに、乳化重合トナーの製造方法に適するように設計されている。
すなわち、本発明の顔料分散剤は、顔料、顔料を分散させる分散剤、及び水を含む水性媒体を含有する水性顔料分散液である。分散剤は、モノマー(A)に由来する構成単位(A)と、モノマー(B)に由来する構成単位(B)と、を含むポリマーである。モノマー(A)は、下記(i)〜(iii)のいずれかの分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマーである。また、モノマー(B)は、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマーである。
(i)オキシエチレン単位の平均繰り返し数nが4〜20であるポリエチレングリコール鎖
(ii)オキシエチレン単位の平均繰り返し数nが4〜20であるポリエチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜18)エーテル鎖
(iii)オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが20〜50であるとともに、オキシエチレン単位の含有量が70〜92質量%である、下記一般式(1)で表される分子鎖
R−(OEt)−(OPr)−A ・・・(1)
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、AはOH又はNHを示し、Etはエチレン基を示し、Prはプロピレン基を示し、x+y=nである)
分散剤として用いるポリマー中、モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量は、ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量は、4,000〜15,000である。また、ポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で水性顔料分散液に含有されている。そして、水性顔料分散液の25℃におけるpHは、3.0〜8.4である。以下、本発明の水性顔料分散液の詳細について説明する。
(モノマー(A))
顔料を分散させるための分散剤は、モノマー(A)に由来する構成単位(A)を含むポリマーである。モノマー(A)は、前述の(i)〜(iii)のいずれかの分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマーである。そして、ポリマー中、モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量が、ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%である。このようなポリマーを、顔料を分散させるための分散剤として用いた本発明の水性顔料分散液は、乳化重合トナーを製造する際に原材料として用いる水性顔料分散液として好適である。なかでも、本発明の水性顔料分散液は、曇点を利用する前述の方法によって乳化重合トナーを製造する際に原材料として用いる顔料分散液として特に好適である。
分散剤として用いるポリマーは、オキシエチレン単位やオキシプロピレン単位などのオキシアルキレン単位(アルキレングリコール鎖)を含むために親水性が高く、水に溶解させることができる。また、アルキレングリコール鎖は、通常、オキシエチレン単位の量(平均繰り返し数n)と分子量に応じて定まる特定の温度で水素結合がはずれ、水に不溶となる。そして、水素結合が外れて水に不溶となる上記の特定の温度が曇点であり、分散剤として用いるポリマーは曇点を有する。曇点は、好ましくは50〜90℃である。すなわち、本発明の水性顔料分散液に分散剤として用いるポリマーは、所定の曇点を有するように、アルキレングリコール鎖の種類、分子量、組成、及びオキシエチレン単位の含有量などが制御されている。
(i)及び(ii)のグリコール鎖などの分子鎖の具体例としては、平均分子量が約160〜1,000である、ポリエチレングリコール鎖、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル鎖、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル鎖、ポリエチレングリコールモノオクタデシルエーテル鎖、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテルなどを挙げることができる。
前記一般式(1)で表される(iii)の分子鎖は、その平均分子量が、好ましくは約1,000〜2,000であり、オキシエチレン単位:オキシプロピレン単位(モル比)が、好ましくは1:1〜11:1である。また、前記一般式(1)中の「OEt」(オキシエチレン単位)と「OPr」(オキシプロピレン単位)の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。なお、一般式(1)中、Rで表される炭素数1〜18のアルキル基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ドデシル基、及びオクタデシル基などを挙げることができる。
ポリマー中、モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量は、ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、好ましくは50〜70質量%である。オキシエチレン単位の含有量が少なすぎると、ポリマーが水不溶性となって分散剤として機能しなくなる。一方、オキシエチレン単位の含有量が多すぎると、ポリマーの水溶解性が高くなりすぎてしまって曇点が現れず、乳化重合トナーの製造に用いることが困難になる。
(i)〜(iii)の分子鎖のなかでも、(iii)の分子鎖が、分子量が大きく、立体障害によって顔料の凝集を抑制する効果がより高いため、水性顔料分散液の保存安定性がさらに向上するために好ましい。これらの分子鎖中のオキシエチレン単位の含有量や、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数nなどは、例えば、H−NMRのプロトン比から算出することもできる。
モノマー(A)は、(i)〜(iii)のいずれかの分子鎖の片末端に、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基(重合性基)が結合したモノマーである。分子鎖の片末端に結合した重合性基が、ビニル基やアリル基であると、重合が不十分になって残存しやすくなる。重合性基としては、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルアミノ基が好ましい。
分子鎖と、(メタ)アクリロイルオキシ基や(メタ)アクリロイルアミノ基とは、直接結合していてもよいが、他の有機基を介在した状態で結合していてもよい。例えば、分子鎖末端の水酸基(OH基)又はアミノ基(NH基)に(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて、ウレタン結合や尿素結合を介在させてもよい。また、分子鎖末端のアミノ基(NH基)にメタクリル酸グリシジルを開環反応させて、水酸基とアミノ基を形成してもよい。
(モノマー(B))
分散剤として用いるポリマーは、モノマー(B)に由来する構成単位(B)を含む。モノマー(B)は、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマーである。モノマー(B)を用いることで、分散剤として用いるポリマーの分子骨格中に、酸基であるカルボキシ基、又は塩基性基であるアミノ基を導入することができる。
カルボキシ基又はアミノ基が導入されたポリマーは、これらの基が顔料と水素結合又はイオン結合するので、顔料の表面に吸着しやすい。このため、カルボキシ基又はアミノ基が導入されたポリマーを分散剤として用いることで、水性顔料分散液の微分散性及び保存安定性を向上させることができる。カルボキシ基とアミノ基は、顔料の表面の性質(酸性、塩基性)によって使い分けることが好ましい。その表面が酸性である顔料を分散させる場合には、アミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)を含む塩基性のポリマーを分散剤として用いることが好ましい。一方、その表面が塩基性である顔料を分散させる場合には、カルボキシ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)を含む酸性のポリマーを分散剤として用いることが好ましい。
ポリマーに導入したカルボキシ基やアミノ基は、中和してイオン化しないことが好ましい。すなわち、分散剤として用いるポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で水性顔料分散液中に含有されている。カルボキシ基やアミノ基が中和されて水解離性となっていると、分散剤として機能させるポリマーが水に溶解してしまい、曇点以上に昇温してもトナー粒子が析出しにくくなる。なお、カルボキシ基とアミノ基の両方をポリマーに導入してしまうと、いずれかがイオン化してしまうので好ましくない。また、カルボキシ基に代えて、スルホン酸基やリン酸基などの酸性基をポリマーに導入すると、これらの酸性基は中和しなくても親水性が高く、ポリマーが水に溶解してしまう場合がある。このため、モノマー(B)の酸性基はカルボキシ基が好ましい。
モノマー(B)のうち、カルボキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、トリメリツト酸などの多塩基酸を反応させて得られる酸基含有メタクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有メタクリレートに多塩基酸を反応させて得られる酸基含有メタクリレート;などを挙げることができる。なかでも、エステル結合を有さず、水性の顔料分散液中で加水分解しにくいことから、(メタ)アクリル酸が好ましい。
モノマー(B)のうち、アミノ基を有するモノマーとしては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルにアンモニアやジメチルアミンなどを反応させて得られるアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネートに1級又は2級のアミノ基と3級のアミノ基を有する化合物を反応させて得られるモノマーなどを挙げることができる。水性顔料分散液のpHは、3.0〜8.4(酸性から弱アルカリ性の範囲内)である。アミノ基の塩基性が強すぎると、得られる水性顔料分散液のpHが上記の範囲から外れやすくなる。このため、モノマー(B)としては、弱塩基性のアミノ基を有する、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
ポリマー中、ポリマー(B)に由来する構成単位(B)の含有量は、ポリマーの全質量を基準として、3〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。ポリマー中の構成単位(B)の含有量が3質量%未満であると、顔料の表面に対するポリマーの吸着力が低下しやすく、顔料の分散安定性がやや損なわれる場合がある。一方、ポリマー中の構成単位(B)の含有量が15質量%超であると、ポリマーの親水性が高まりやすく、曇点以上に昇温しても析出しにくくなることがある。また、ポリマー中の構成単位(B)の含有量が多すぎると、水性顔料分散液のpHが過剰に高くなりやすい。
(モノマー(C))
分散剤として用いるポリマーは、必要に応じて、モノマー(A)及びモノマー(B)以外のモノマーであるモノマー(C)に由来する構成単位(C)をさらに含んでいてもよい。モノマー(C)は、酸性基、塩基性基、及びイソシアネート基やエポキシ基などの反応性基を示さないモノマーであることが好ましい。モノマー(C)としては、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、塩化ビニルなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。
(ポリマーの構造及び物性)
ポリマーは、(1)ランダムコポリマーと(2)ブロックコポリマーのいずれであってもよい。但し、それぞれのモノマーに由来する構成単位を主体とするポリマーブロックが連結し、水への溶解性部分と、顔料への吸着部分とに機能を分担したポリマー構造を有することが好ましい。すなわち、分散剤として用いるポリマーは、構成単位(A)を含むポリマーブロックAと、構成単位(B)を含むポリマーブロックBとを有するブロックコポリマーであることが好ましい。さらに、ポリマーは、(2−1)A−Bブロックコポリマー;(2−2)A−B−Aブロックコポリマー;又は(2−3)ポリマーブロックBを主鎖としてポリマーブロックAがグラフトしたグラフトコポリマー;であることが好ましい。上記(2−1)〜(2−3)のいずれかの構造を有するポリマーは、ブロックごとに機能が分離している。このため、例えば、ポリマーブロックBが顔料の表面に強く吸着し、ポリマーブロックAが水性媒体に溶解することで、立体障害によって顔料粒子の凝集をより抑制しながら、分散安定性をさらに向上させることができる。
ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、4,000〜15,000であり、好ましくは4,500〜14,000、さらに好ましくは5,000〜13,000である。ポリマーのMnが4,000未満であると、水性顔料分散液の分散安定性を向上させる効果がやや低下することがある。一方、ポリマーのMnが15,000超であると、水性顔料分散液の粘度が過度に高まることがある。
ポリマーの分子量は、ある程度揃っていることが好ましい。具体的には、ポリマーのPDI(分子量分布=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.5以下であることが好ましい。
(ポリマーの製造方法)
分散剤として用いるポリマーは、ラジカル重合方法やイオン重合方法などの従来公知の重合方法によって製造することができる。なかでも、ラジカル重合方法によって製造することが、工程が簡易であるために好ましい。ランダム共重合の場合、モノマーとラジカル発生剤を加熱撹拌し、好ましくは溶媒中で重合する。A−BブロックコポリマーやA−B−Aブロックコポリマーは、構造を厳密に制御可能であることから、リビングラジカル重合方法によって製造することが好ましい。リビングラジカル重合方法としては、例えば、ニトロキサイドを使用する方法、原子移動ラジカル重合方法、可逆的付加開裂型連鎖移動重合方法、有機テルルなどを開始基として使用するTERP法などを挙げることができる。なかでも、ヨウ化物を開始化合物として用いるとともに、有機化合物を触媒として用いる可逆的移動触媒重合方法が、有機金属や特殊な化合物を必要としない方法であるために好ましい。
可逆的移動触媒重合方法では、ビニル基、アクリル基、メタクリル基などのラジカル重合性基を用いることができる。なかでも、メタクリル基を用いることで、比較的温和な条件下で構造を制御することができるために好ましい。すなわち、その片末端にメタクリロイルオキシ基又はメタクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマー(A)を用いることが好ましい。
ポリマーブロックBを主鎖としてポリマーブロックAがグラフトしたグラフトコポリマーは、例えば、その末端にラジカル重合性基を有するポリマーブロックA(マクロモノマー)を予め用意しておき、このマクロモノマーとモノマー(B)を共重合させて製造することができる。マクロモノマーは、例えば、水酸基やカルボキシ基を有する連鎖移動剤を使用して末端にこれらの官能基を導入した後、その官能基に(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アクリロイロキシエチルイソシアネートなどを反応させて製造することができる。また、ブロモメチルアクリル酸エチルなどの連鎖移動剤を用いることもできる。
ポリマーを溶液状態で取り出すことができる溶液重合によってポリマーを製造することが好ましい。溶液重合の際に用いる溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒を用いて溶液重合すると、重合完了後に後処理しなくても、そのまま水性顔料分散液を製造するための材料として用いることができる。水溶性有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒;N−メチルピロリドン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドなどの硫黄系溶媒;テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの尿素系溶媒;などを用いることができる。なかでも、顔料に対する濡れ性を高めて分散を進行させることができるために、グリコール系溶媒が好ましい。溶液重合後、溶媒を除去する又は貧溶剤に析出させるなどしてポリマーを単離して用いることもできる。
(顔料)
顔料としては、従来公知の黄色、赤色、青色、緑色、紫、黒色などの顔料を用いることができる。顔料としては、ピグメントエロー14、17、74、83、93、139、150、155、180、185;ピグメントレッド5、48:2、48:3、57:1、113、122、146、147、150、184、202、238、245、254、255、269、282;ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60;ピグメントバイオレット19;ピグメントブラック7などを挙げることができる。これらの顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、これらの顔料を顔料処理剤や顔料誘導体で処理した表面処理顔料などを用いることもできる。上記の顔料のなかでも、色相、彩度、及び価格などの観点から、ピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19、ピグメントエロー74、185、ピグメントブルー15:3、及びピグメントブラック7が好ましい。
ピグメントエロー74が黄色顔料として汎用されている。一方、耐光性や環境への影響などを考慮すると、ピグメントエロー74の代替品として、下記式(1)で表されるピグメントエロー185を用いることが好ましい。なお、ピグメントエロー185は、アルカリ条件下で溶解してオレンジ色に変色するなど、耐アルカリ性が低い顔料である。さらに、ピグメントエロー185は表面が親水性であるため、従来、分散剤を用いた疎水性相互作用によって水性媒体中に分散させることが困難な顔料の一種であった。しかし、前述の所定のポリマーを分散剤として用いることで、ピグメントエロー185を高濃度に用いた場合であっても良好な状態に微分散させることができるとともに、保存安定性にも優れた水性顔料分散液とすることができる。
Figure 0006829337
ピグメントエロー185を顔料として用いる場合、アミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)を含むポリマーを分散剤として用いることが、顔料の分散性及び分散液の保存安定性を高めることができるために好ましい。ピグメントエロー185は、その分子構造中のバルビツール酸に類似する骨格が塩基によって分解して中和塩を形成することで溶解するため、耐アルカリ性が低いと考えられる。これに対して、アミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)を含むポリマーを分散剤として用いると、ポリマー中のアミノ基がピグメントエロー185とイオン中和塩構造を形成し、ピグメントエロー185の骨格が導入されたポリマーがピグメントエロー185に吸着して分散性が向上すると考えられる。
水性顔料分散液中の顔料の含有量は、10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがさらに好ましい。顔料の含有量が40質量%超であると、水性顔料分散液の粘度が上昇して流動性が低下しやすくなる。このため、水性顔料分散液の製造がやや困難となるとともに、乳化重合トナーを製造する際に取り扱いにくくなる場合がある。一方、顔料の含有量が10質量%未満であると、経済性の面でやや不利である。なお、上記の特定のポリマーを分散剤として用いることで、これまで分散させることが困難であったピグメントエロー185であっても、より高濃度に分散させることができる。このため、顔料がピグメントエロー185である場合、水性顔料分散液中の顔料の含有量は、20〜40質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。
水性顔料分散液中の分散剤の含有量は、顔料の含有量を基準として、5〜60質量%とすることが好ましく、10〜50質量%とすることがさらに好ましい。顔料の含有量を基準とする分散剤の含有量が5質量%未満であると、水性顔料分散液を製造する過程で顔料を微細化することが困難になる場合がある。一方、顔料の含有量を基準とする分散剤の含有量が60質量%超であると、水性顔料分散液の粘度が過度に上昇しやすく、顔料の分散がやや困難となるとともに、経済性の面でやや不利である。
(水性顔料分散液の特性)
水性顔料分散液の25℃におけるpHは、3.0〜8.4である。このpH範囲とすると、乳化重合トナーを製造する際にトナー粒子を容易に析出させることができる。なお、ピグメントエロー185などのアルカリ性条件下で溶解又は分解しやすい顔料を用いる場合には、水性顔料分散液は酸性から中性の範囲内であることが好ましい。より具体的には、水性顔料分散液のpHは4.0〜7.8であることが好ましく、5.0〜7.5であることがさらに好ましい。一般的に、上記のpH範囲内では顔料粒子のイオン反発が生じにくいことから、分散性が低下する場合がある。これに対して、本発明の水性顔料分散液の場合、前述の特定のポリマーを分散剤として用いているため、上記のpH範囲内であっても顔料の分散性に優れている。
水性顔料分散液に分散状態で含まれる顔料の数平均粒子径は、80〜300nmであることが好ましく、100〜200nmであることがさらに好ましい。顔料の数平均粒子径が300nm超であると、トナーの着色力、彩度、透明性などが低下しやすくなることがある。一方、顔料の数平均粒子径が80nm未満の水性顔料分散液を製造するには長時間を要するため、経済性の面でやや不利である。また、乳化重合トナーを製造する際の凝集定着工程において粒径制御が困難になることがある。本明細書における顔料の数平均粒子径は、動的光散乱式の粒度分布測定装置などを使用した光散乱法により測定される数平均粒子径である。
(水性顔料分散液の製造方法)
本発明の水性顔料分散液は、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、分散剤(ポリマー)、顔料、及び水性媒体を混合し、必要に応じて各種添加剤をさらに添加する。必要に応じて撹拌機である程度均一化させた後、分散機を使用し、顔料の粒子径が所望とする範囲内になるまで分散処理する。これにより、目的とする水性顔料分散液を得ることができる。分散機としては、例えば、ニーダー、アトライター、ボールミル、ガラスやジルコンなどを用いたサンドミルや横型メディア分散機、コロイドミル、高圧ホモジナイザーなどの従来公知の分散機を使用することができる。
水性顔料分散液には、顔料の濡れ性、乾燥性、吐出性、流動性、及び粘性などを考慮し、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの水溶性溶剤;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子物質;ノニオン性界面活性剤やその他公知の消泡剤;防腐剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
水性顔料分散液中の上記の各種添加剤の含有量は、顔料の含有量を基準として、通常200質量%以下、好ましくは100質量%以下である。各種添加剤の含有量が200質量%超であると、顔料の表面に吸着した分散剤(ポリマー)が脱離しやすくなることがあり、顔料の分散安定性が低下しやすくなる場合がある。
製造した水性顔料分散液は、そのまま用いることもできるし、遠心分離機、超遠心分離機、又はろ過機などを用いて僅かに存在する異物や粗大粒子を除去してから用いることもできる。異物や粗大粒子を除去することで、水性顔料分散液の信頼性を高めることができるために好ましい。なお、水性顔料分散液の粘度は、用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の水性顔料分散液は、例えば、乳化重合により製造されたバインダー樹脂の乳化物(エマルジョン)と混合し、必要に応じて荷電制御剤、磁性体、ワックス成分などのその他の材料と混合した後、温度を制御する、pHを調整する、又は塩を添加するなどの所定の操作を実施する。これにより、所望の粒径に凝集定着させてトナー粒子を生成することができる。その後、洗浄、ろ過、及び乾燥などすることによって、乳化重合トナーを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<分散剤(ポリマー)の製造>
(製造例1:ランダム分散剤−1)
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管、及び滴下装置を備えたセパラブルフラスコに、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアミン(EOPO−1)100部を入れて撹拌した。この「EOPO−1」は、オキシエチレン単位:オキシプロピレン単位=32:9(NMRから換算したモル比)であり、n=41であり、オキシエチレン単位の含有量(EO含有量)は71.8%であり、アミン価は27.6mgKOH/gであり、アミン価から算出した平均分子量は2,031であった。なお、EOPO−1のEO含有量は、EOPO−1の構造式(CH(OCHCH32−(OCHCHCH−NH、分子量=15+44×32+58×9+16=1,961)に占める、オキシエチレン単位の分子量(=1,408)の割合(質量比率(%))として算出した。以下、同様にして分子量からEO含有量を算出した。
次いで、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)(商品名「カレンズMOI」、昭和電工社製)7.64部及びテトラヒドロフラン(THF)7.64部の混合液を1時間かけてフラスコ内に滴下した。赤外分光光度計(IR)を使用してイソシアネートが消失したことを確認した後、以下に示す滴定法によってアミン価を測定した。その結果、アミン価はほぼ0mgKOH/gであり、アミノ基はほとんど残っていなかった。以上より、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノメチルエーテルの片末端にメタクリロイルアミノ基を含む基が結合したマクロモノマーが生成したことを確認した。
[滴定法(アミン価の測定)]
精秤した試料0.5部を、トルエン/エタノール混合溶媒(トルエン:エタノール=3:2)20部で希釈して均一化した。ブロモフェノールブルーを指示薬とし、0.1mol/L塩酸エタノール溶液を滴定溶液として滴定し、アミン価(mgKOH/g)を測定及び算出した。
次いで、THF146.7部、4−ビニルピリジン(4VP)8.61部、メタクリル酸ブチル(BMA)17.6部、及びチオグリセロール1.5部を添加して均一化した後、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)(商品名「V−65」、富士フィルム和光純薬社製)0.1部をさらに添加し、65℃で8時間重合してポリマーを形成し、ポリマー溶液を得た。ポリマー溶液の一部をサンプリングし、臭化リチウムの0.1mmol/Lジメチルホルムアミド溶液を展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算のポリマーの数平均分子量(Mn)は、11,300であった。また、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=PDI)は2.05であった。なお、用いたマクロモノマーはGPCで検出されなかった。
水146.7部を添加して均一化した後、減圧してTHFを留去し、さらに水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液の一部をイオン交換水で10倍に希釈して測定したpH(25℃)は、8.3であった。また、ポリマーのアミン価は33.7mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は53.0%であった。得られたポリマーを「ランダム分散剤−1」とした。
(製造例2〜4:ランダム分散剤−2〜4)
表1に示す種類及び量の各成分を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、ランダム分散剤−2〜4をそれぞれ含有するポリマー溶液を調製した。表1中、「EOPO−2」は、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアミンであり、オキシエチレン単位:オキシプロピレン単位=19:3(NMRから換算したモル比)であり、オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが22であり、オキシエチレン単位の含有量(EO含有量)は80.3%であり、アミン価は55.3mgKOH/gであり、アミン価から算出した平均分子量は1,014であった。
Figure 0006829337
(製造例5:ランダム分散剤−5)
製造例1で用いたものと同様のフラスコにEOPO−1 100部を入れて撹拌した。次いで、メタクリル酸無水物7.59部及びTHF7.59部の混合液を1時間かけてフラスコ内に滴下した後、50℃で2時間撹拌して反応させた。IRを使用して酸無水物が消失したことを確認した後、以下に示す滴定法によって酸価を測定した。その結果、系内の酸価は23.9mgKOH/gであり、THF分を抜いて換算した酸価は25.6mgKOH/gであった。以上より、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノメチルエーテルの片末端にメタクリロイルアミノ基を含む基が結合したマクロモノマーが生成したことを確認した。
[滴定法(酸価の測定)]
精秤した試料0.5部を、トルエン/エタノール混合溶媒(トルエン:エタノール=3:2)20部で希釈して均一化した。フェノールフタレインを指示薬とし、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を滴定溶液として滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定及び算出した。
THF151.69部、アクリル酸(AA)4.23部、MMA17.6部、及びチオグリセロール1.5部を添加して均一化した後、V−65 0.1部をさらに添加し、65℃で8時間重合してポリマーを形成し、ポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは13,000であり、PDIは1.98であった。なお、用いたマクロモノマーはGPCで検出されなかった。水を添加して均一化した後、減圧してTHFを留去し、さらに水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液の一部をイオン交換水で10倍に希釈して測定したpH(25℃)は、3.6であった。また、ポリマーの酸価は45.3mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は56.8%であった。得られたポリマーを「ランダム分散剤−5」とした。
(製造例6:ブロック分散剤−1)
製造例1で用いたものと同様のフラスコにトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPME)185.1部、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)(n=4、EO含有量67.1%)532.0部、BMA71.7部、ヨウ素9.1部、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)(商品名「V−70」、富士フィルム和光純薬社製)33.3部、及びN−アイオドコハク酸イミド0.5部を入れた。内容物を撹拌して均一化した後、45℃に昇温して5時間重合し、ポリマーブロックAを形成した。ポリマーブロックAのMnは8,200であり、PDIは1.15であった。なお、用いたPEGMAはGPCで検出されなかった。また、重合率は約100%であった。
次いで、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)70.7部を添加し、45℃で8時間重合してポリマーブロックBを形成し、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは9,300であり、PDIは1.23であった。また、重合率は約100%であった。水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液のpH(25℃)は8.3であった。ポリマーのアミン価は37.5mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は52.9%であった。得られたポリマー(A−Bブロックコポリマー)を「ブロック分散剤−1」とした。
(製造例7:ブロック分散剤−2)
製造例1で用いたものと同様のフラスコに、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)120.0部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート(PEGMEA400)(n=9、EO含有量82.1質量%)80部、アクリル酸ブチル(BA)25.6部、及びN−tert−ブチル−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−O−(1−フェニルエチル)ヒドロキシルアミン(シグマアルドリッチ社製)1.6部を入れた。窒素ガスを流しながら、1時間かけて130℃に加温した。そして、反応系を130℃に保持して5時間重合し、ポリマーブロックAを形成した。ポリマーブロックAのMnは8,600であり、PDIは1.23であり、重合率は約100%であった。
次いで、2−ビニルピリジン12.6部を添加し、3時間重合してポリマーブロックBを形成し、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは11,200であり、PDIは1.21であった。また、重合率は約100%であった。水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液のpH(25℃)は7.6であった。ポリマーのアミン価は56.9mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は55.5質量%であった。得られたポリマー(A−Bブロックコポリマー)を「ブロック分散剤−2」とした。
(製造例8:ブロック分散剤−3)
製造例1で用いたものと同様のフラスコにジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)243.8部、エチレングリコールジ(2−(2−アイオドイソブチリルオキシ))3.632部、DMAEMA31.4部、BzMA8.8部、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)(商品名「V−601」、富士フィルム和光純薬社製)1.84部、及びジフェニルメタン0.16部を入れた。85℃に昇温して8時間重合し、ポリマーブロックBを形成した。ポリマーブロックBのMnは3,400であり、PDIは1.13であった。次いで、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(PEGMEMA400)(n=9、EO含有量79.8%)198.4部を添加し、8時間重合してポリマーブロックBの両末端にポリマーブロックAをそれぞれ形成し、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは10,200であり、PDIは1.46であった。また、重合率は約100%であった。水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液のpH(25℃)は8.4であった。ポリマーのアミン価は45.0mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は65.4%であった。得られたポリマー(A−B−Aブロックコポリマー)を「ブロック分散剤−3」とした。
(製造例9:グラフト分散剤−1)
製造例1で用いたものと同様のフラスコにBDG187.5部、ブロモメチルアクリル酸エチル(EBMA)7.5部、PEGMEMA400 108部、MMA12部、及びV−65 0.75部を入れ、70℃で10時間重合し、グラフト鎖となるポリマーブロックAを形成した。ポリマーブロックAのMnは3,200であり、PDIは1.51であった。次いで、VIm15部、BzMA15部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチルO」、日油社製)3.0部を添加し、90℃で10時間重合して、ポリマーブロックBにポリマーブロックAがグラフトしたポリマー(B−g−Aポリマー)を含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは5,200であり、PDIは1.86であった。水を添加してポリマー溶液の固形分含有量を40.0%に調整した。ポリマー溶液のpH(25℃)は8.0であった。ポリマーのアミン価は56.0mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は54.7%であった。得られたポリマー(B−g−Aポリマー)を「グラフト分散剤−1」とした。
(製造例10:グラフト分散剤−2)
VImに代えて4VPを用いたこと以外は、前述の製造例9と同様にして、ポリマーブロックBにポリマーブロックAがグラフトしたポリマー(B−g−Aポリマー)を含むポリマー溶液を得た。ポリマーブロックAのMnは3,000であり、PDIは1.52であった。また、ポリマーのMnは6,100であり、PDIは1.73であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は4.9であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーのアミン価は35.6mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は56.0%であった。得られたポリマー(B−g−Aポリマー)を「グラフト分散剤−2」とした。
(製造例11:グラフト分散剤−3)
VImに代えてメタクリル酸(MA)を用いたこと、及びBzMAに代えてアクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)を用いたこと以外は、前述の製造例8と同様にして、ポリマーブロックBにポリマーブロックAがグラフトしたポリマー(B−g−Aポリマー)を含むポリマー溶液を得た。ポリマーブロックAのMnは3,200であり、PDIは1.49であった。また、ポリマーのMnは5,700であり、PDIは1.93であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は4.6であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーの酸価は62.1mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は56.0%であった。得られたポリマー(B−g−Aポリマー)を「グラフト分散剤−3」とした。
(比較製造例1:ランダム比較分散剤−1)
4VPを用いず、その分、BMAの量を増量したこと以外は、前述の製造例1と同様にして、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは12,300であり、PDIは2.01であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は7.8であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーのアミン価は0mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は53.0%であった。得られたポリマーを「ランダム比較分散剤−1」とした。
(比較製造例2:ランダム比較分散剤−2)
EOPO−1の量を70部としたこと、MOIの量を5.34部としたこと、及びBMAの量を49.9部としたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは14,300であり、PDIは2.30であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は8.4であり、固形分含有量は40.2%であった。また、ポリマーのアミン価は33.7mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は37.8%であった。得られたポリマーを「ランダム比較分散剤−2」とした。
(比較製造例3:ブロック比較分散剤)
PEGMAに代えて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタクリレート(PEGMEMA1000)(n=23、EO含有量91.0%)を用いたこと以外は、前述の製造例6と同様にして、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。ポリマーブロックAのMnは7,300であり、PDIは1.14であった。また、ポリマーのMnは8,300であり、PDIは1.34であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は8.3であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーのアミン価は37.6mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は71.0%であった。得られたポリマー(A−Bブロックコポリマー)を「ブロック比較分散剤」とした。
(比較製造例4:グラフト比較分散剤−1)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO)の量を0.5部としたこと以外は、前述の製造例9と同様にして、ポリマーブロックBにポリマーブロックAがグラフトしたポリマー(B−g−Aポリマー)を含むポリマー溶液を得た。ポリマーのMnは16,300であり、PDIは2.39であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は4.6であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーの酸価は61.8mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は56.0%であった。得られたポリマー(B−g−Aポリマー)を「グラフト比較分散剤−1」とした。
(比較製造例5:グラフト比較分散剤−2)
重合終了後に、メタクリル酸と当モルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してメタクリル酸に由来するカルボキシ基を中和してナトリウム塩としたこと以外は、前述の製造例9と同様にして、ポリマーブロックBにポリマーブロックAがグラフトしたポリマー(B−g−Aポリマー)を含むポリマー溶液を得た。中和前のポリマーのMnは4,400であり、PDIは1.78であった。ポリマー溶液のpH(25℃)は9.8であり、固形分含有量は40.0%であった。また、ポリマーの酸価は62.1mgKOH/gであり、ポリマー中のEO含有量は56.0%であった。得られたポリマー(B−g−Aポリマー)を「グラフト比較分散剤−2」とした。
<水性顔料分散液の製造(1)>
(実施例1〜4)
表2に示す各成分を0.1mmジルコニアビーズが充填された横型ビーズミルに投入して分散させた。次いで、1μmのメンブランフィルター及び0.5μmのメンブランフィルターで順次ろ過し、各色の水性顔料分散液を得た。得られた水性顔料分散液の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。粘度は、BL型粘度計を使用し、回転数60rpmの条件で測定した。顔料の数平均粒子径は、動的光散乱式の粒度分布測定装置(商品名「NICOMP380ZLS−S」、ピーエスエスジャパン社製)を使用して測定した。また、得られた水性顔料分散液を50℃で1週間保存後の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006829337
(実施例5、6、参考例7〜10)
表3に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1〜4と同様にして水性顔料分散液を得た。得られた水性顔料分散液の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。また、得られた水性顔料分散液を50℃で1週間保存後の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006829337
(比較例1〜4)
表4に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1〜4と同様にして水性顔料分散液を得た。得られた水性顔料分散液の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。また、得られた水性顔料分散液を50℃で1週間保存後の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。結果を表4に示す。なお、比較例3の比較水性シアン分散液−3はゲル状となり、粘度及び顔料の数平均粒子径を測定することができなかった。
Figure 0006829337
<乳化重合トナー用のバインダーエマルジョンの製造>
(製造例12)
製造例1で用いたものと同様のフラスコに水100部を入れ、窒素ガスを30分間吹き込んだ。別容器にスチレン76部、アクリル酸ブチル20部、アクリル酸4部、及びポリエチレングリコールグリコールアルケニルエーテル(商品名「ラテムルPD−420」、花王社製、HLB12.6)3部を入れて混合し、均一なモノマー混合溶液を得た。得られたモノマー混合溶液を滴下ロートに入れた。フラスコ内を60℃に加温し、過硫酸カリウム0.8部を添加した後、3時間かけてモノマー混合溶液を滴下した。滴下終了後、60℃で10時間熟成させて、ガラス転移温度が約54℃のトナーバインダー樹脂を含有するエマルジョン(バインダーエマルジョン)を得た。得られたバインダーエマルジョンの固形分は50.6%であり、pHは5.6であった。また、バインダーエマルジョン中の粒子の数平均粒子径は200nmであった。
<乳化重合トナーの製造(1)>
(応用実験例1)
バインダーエマルジョン100部と、水性シアン分散液−1 5.5部(顔料分換算)を混合して混合液を得た。得られた混合液を80℃に加温して2時間保持した後、90℃で3時間加熱して凝集粒子を熟成させた。冷却後に凝集物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後に乾燥して、乳化重合トナーであるシアントナー−1を得た。
(応用実験例2〜4、応用実験例−比較1、比較2)
水性シアン分散液−1に代えて、表5に示す水性顔料分散液をそれぞれ用いたこと以外は、前述の応用実験例1と同様にして、乳化重合トナーであるエロートナー−1、マゼンタトナー−1、ブラックトナー−1、シアントナー−2、及びシアントナー−3を得た。
<乳化重合トナーの評価(1)>
(顔料の歩留まり性)
乳化重合トナーを製造する過程で生じたろ液の着色程度を観察し、以下に示す評価基準にしたがって顔料の歩留まり性(顔料の使用率)を評価した。結果を表5に示す。
○:透明
△:薄く着色
×:用いた水性顔料分散液と同等に着色
(微細粒子及び粗大粒子の割合)
粒度分布測定機(商品名「コールターカウンター・マルチサイザーII」、ベックマン・コールター社製)を使用して乳化重合トナーの体積平均粒子径(DV50(μm))を測定した。結果を表5に示す。また、微細粒子(3μm以下)の割合及び粗大粒子(15μm以上)の割合を算出し、以下に示す評価基準にしたがって微細粒子及び粗大粒子の割合を評価した。結果を表5に示す。
○:1%以下
△:1%超3%以下
×:3%超
Figure 0006829337
なお、実施例5、6、参考例7〜9で得たシアン色の水性顔料分散液を用いて乳化重合トナーをそれぞれ製造し、上記と同様の評価を行った。その結果、微細粒子や粗大粒子の割合が少ない乳化重合トナーを良好な顔料の歩留まり性で製造することができた。
<水性顔料分散液の製造(2)>
(実施例11、12、15、参考例13、14、16)
表6に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1〜4と同様にして水性顔料分散液(水性エロー分散液−2〜7)を得た。顔料としては、ピグメントエロー185(PY−185)(商品名「パリオトールエローD−1155」、BASF社製)を用いた。得られた水性顔料分散液の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。また、得られた水性顔料分散液を50℃で1週間保存後の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0006829337
(比較例5〜8)
表7に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1〜4と同様にして水性顔料分散液(比較水性エロー分散液−1〜4)を得た。顔料としては、ピグメントエロー185(PY−185)(商品名「パリオトールエローD−1155」、BASF社製)を用いた。得られた水性顔料分散液の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。また、得られた水性顔料分散液を50℃で1週間保存後の25℃におけるpH、粘度(mPa・s)、及び顔料の数平均粒子径(nm)を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0006829337
<乳化重合トナーの製造(2)>
[応用実験例5〜9、応用実験例−比較3、比較4]
水性シアン分散液−1に代えて、表8に示す水性エロー分散液をそれぞれ用いたこと以外は、前述の応用実験例1と同様にして乳化重合トナーを得た。
<乳化重合トナーの評価(2)>
前述の「乳化重合トナーの評価(1)」と同様にして、顔料の歩留まり性(顔料の使用率)と、微細粒子及び粗大粒子の割合を評価した。結果を表8に示す。
Figure 0006829337
なお、曇点を利用した上記の製造方法ではなく、塩を加えて析出させる方法によっても乳化重合トナーを製造し、上記と同様の評価を行った。その結果、本実施形態の水性顔料分散液を用いた場合には、微細粒子や粗大粒子の割合が少ない乳化重合トナーを良好な顔料の歩留まり性で製造することができた。
本発明の水性顔料分散液を乳化重合トナーの製造に用いると、顔料をトナーに効率的に導入することができるので、顔料の歩留まり性を向上させることができる。また、微細粒子や粗大粒子の含有量が少ないトナーを得ることができるので、トナー製造の歩留まりを向上させることが可能であり、コスト低減などの効果を得ることができるとともに、環境負荷やエネルギーの低減に寄与することができる。本発明の顔料分散液は、例えば、複写機用のトナーなどを製造するための材料として有用である。

Claims (7)

  1. 顔料、前記顔料を分散させる分散剤、及び水を含む水性媒体を含有する水性顔料分散液であって、
    前記分散剤が、下記(i)又は(iii)の分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマー(A)に由来する構成単位(A)と、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)と、を含むポリマーであり、
    前記ポリマー中、前記モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量が、前記ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、
    前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、4,000〜15,000であり、
    前記ポリマーが、ランダムコポリマーであり、
    前記ポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で含有されており、
    pHが3.0〜8.4であり、
    乳化重合トナー用の顔料分散液である水性顔料分散液。
    (i)オキシエチレン単位の平均繰り返し数nが4〜20であるポリエチレングリコール鎖
    (iii)オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが20〜50であるとともに、オキシエチレン単位の含有量が70〜92質量%である、下記一般式(1)で表される分子鎖
    R−(OEt)−(OPr)−A ・・・(1)
    (前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、AはOH又はNHを示し、Etはエチレン基を示し、Prはプロピレン基を示し、x+y=nである)
  2. 顔料、前記顔料を分散させる分散剤、及び水を含む水性媒体を含有する水性顔料分散液であって、
    前記分散剤が、下記(iii)の分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルアミノ基を含む基が結合したモノマー(A)に由来する構成単位(A)と、カルボキシ基又はアミノ基を有するモノマー(B)に由来する構成単位(B)と、を含むポリマーであり、
    前記ポリマー中、前記モノマー(A)に由来するオキシエチレン単位の含有量が、前記ポリマー全質量を基準として、50〜90質量%であり、
    前記ポリマーの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が、4,000〜15,000であり、
    前記ポリマーが、ランダムコポリマーであり、
    前記ポリマーは、実質的にイオン化されていない状態で含有されており、
    pHが3.0〜8.4である水性顔料分散液。
    (iii)オキシエチレンオキシプロピレン単位の平均繰り返し数nが20〜50であるとともに、オキシエチレン単位の含有量が70〜92質量%である、下記一般式(1)で表される分子鎖
    R−(OEt) −(OPr) −A ・・・(1)
    (前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜18のアルキル基を示し、AはOH又はNH を示し、Etはエチレン基を示し、Prはプロピレン基を示し、x+y=nである)
  3. 前記モノマー(B)が、(メタ)アクリル酸、又はビニルピリジン、ビニルイミダゾール、及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記ポリマー中、前記構成単位(B)の含有量が、前記ポリマーの全質量を基準として、3〜15質量%である請求項1又は2に記載の水性顔料分散液。
  4. 前記顔料が、ピグメントエロー185を含む黄色系顔料であり、
    前記モノマー(B)が、アミノ基を有するモノマーである請求項1〜のいずれか一項に記載の水性顔料分散液。
  5. 光散乱法により測定される前記顔料の数平均粒子径が、80〜300nmである請求項1〜のいずれか一項に記載の水性顔料分散液。
  6. 前記顔料の含有量が10〜40質量%であり、
    前記分散剤の含有量が、前記顔料の含有量を基準として、5〜60質量%である請求項1〜のいずれか一項に記載の水性顔料分散液。
  7. 前記顔料が、ピグメントエロー185であり、
    前記顔料の含有量が、20〜40質量%である請求項1〜のいずれか一項に記載の水性顔料分散液。
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