〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について、図1および図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態では、本発明の電子装置の一例としての、増幅器、位相器、または減衰器等の高周波機能部品が薄膜導電層によって覆われて電磁シールドされた電子装置について説明する。本明細書において、電磁シールドされた、とは、高周波放射源が発するマイクロ波帯またはミリ波帯等の電磁波が電磁的に遮蔽されたことを意味し、電磁シールドとは、電磁波を電磁的に遮蔽する部材のことを意味する。
尚、本実施の形態では、電子装置の一例としての、増幅器、位相器、または減衰器等の高周波機能部品が薄膜導電層によって電磁的に遮蔽された電子装置について説明するが、本発明の電子装置においては、必ずしもこれに限らない。例えば、マイクロフォン、温湿度センサ等の各種センサ、光学素子、および電源IC等、多様な種類の電子部品が電磁シールドされた電子装置およびその製造方法に適用することができる。また、電磁的に遮蔽する部材は、薄膜導電層ではなく金属ケースとすることもできる。さらに、電磁的に遮蔽する部材は、その一部が随意的に開放されていてもよく、例えば開口部が設けられていてもよい。
<本発明の一態様における電子装置の構成>
図1の(a)(b)に基づいて、本発明の一態様における電子装置1Aの構成について説明する。図1の(a)は、本実施の形態1における電子装置1Aの概略的な構成を示す平面図である。図1の(b)は、図1の(a)に示した平面図のA−A線矢視断面図である。
図1の(a)(b)に示すように、本実施の形態の電子装置1Aは、電磁シールドとしての導電部材10によって覆われて電磁遮蔽された高周波機能部品21(第1の電子部品)と、導電部材10に覆われていない電子部品22(第2の電子部品)と、前記高周波機能部品21および電子部品22を埋設して固定するように形成された樹脂成形体23とを備えている。上記導電部材10は、内部絶縁層30・31(絶縁部材)を介して高周波機能部品21を覆っており、高周波機能部品21および電子部品22は、樹脂成形体23の表面上に形成された配線回路24によって電気的に接続されている。電子部品22および配線回路24は、樹脂成形体23上に形成された露出絶縁層32によって覆われている。
(導電部材)
導電部材10は、高周波機能部品21と共に樹脂成形体23に埋設された埋設導電層11(第1の導電部材)と、樹脂成形体23に埋設されていない露出導電層12(第2の導電部材)と、樹脂成形体23に埋設されて設けられ、埋設導電層11および露出導電層12を互いに電気的に短絡させる短絡導電部材13(第3の導電部材)と、を備えている。
埋設導電層11および露出導電層12は、厚さ1〜10μm程度のAg薄膜である。埋設導電層11および露出導電層12は、導電性を有していればよく、膜厚および材質を適宜選択して、所望の電磁遮蔽特性を有するものとすることができる。露出導電層12については、その膜厚が薄ければ薄いほど、樹脂成形体23から突出する部分の高さを抑制して電子装置1Aを薄型化することができる点で好ましい。また、埋設導電層11および露出導電層12の厚さを1〜10μmとすることにより、これらの形成に使用する材料を必要最小限のものとすることができ、金属ケース等を用いる場合に比べて部材費を削減することができる。そのため、製造コストを低減することができる。
短絡導電部材13は、銅(Cu)またはステンレス製の厚さ0.1mmの薄板である。短絡導電部材13についても、導電性を有していればよく、その膜厚および材質は特に限定されるものではないが、ある程度の厚みを有する方が、後述する製造時に変形する(シワになる)ことを抑止することができるため好ましい。
図1の(a)に示すように、短絡導電部材13は、樹脂成形体23の表面を平面視した場合に高周波機能部品21を囲むようにして、3個設けられている。短絡導電部材13の形状および個数は、高周波機能部品21と電子部品22との間に、配線回路24を形成することができる隙間を有していれば、特に限定されるものではない。短絡導電部材13が高周波機能部品21を隙間無く囲んでいるほど、導電部材10の電磁遮蔽特性が良好なものとなる。これは、高周波機能部品21の周囲の空間における導電部材10により覆われていない面積が少なくなるためである。
なお、短絡導電部材13は、埋設導電層11および露出導電層12を短絡させて導電部材10の電磁遮蔽特性をより一層向上させるものであるため、電子装置1Aとして必須の構成ではない。
(高周波機能部品)
高周波機能部品21は、増幅器、位相器、または減衰器等の電子部品であり、本実施の形態の電子装置1Aでは、2個設けられている。上記導電部材10によって電磁遮蔽される高周波機能部品21の数は、特に限定されるものではない。
高周波機能部品21は、その表面に接続電極(図示せず)が設けられており、該接続電極に配線回路24が接続している。高周波機能部品21は、上記接続電極が樹脂成形体23の表面と同一または略同一平面上にあるように、樹脂成形体23に埋設されている。ただし、これに限定されず、高周波機能部品21は、少なくとも一部が樹脂成形体23に埋設されていればよい。
(電子部品)
電子部品22は、コンデンサ、抵抗、IC等の電子部品であり、本実施の形態の電子装置1Aでは、3個設けられている。この電子部品22の数は、特に限定されるものではない。
電子部品22は、その表面に接続電極(図示せず)が設けられており、該接続電極に配線回路24が接続している。電子部品22は、上記接続電極が樹脂成形体23の表面と同一または略同一平面上にあるように、樹脂成形体23に埋設されている。ただし、これに限定されず、電子部品22は、少なくとも一部が樹脂成形体23に埋設されていればよい。
(樹脂成形体)
樹脂成形体23は、ポリカーボネイト(PC)またはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の樹脂からなる直方体形状の筐体としてなっている。樹脂成形体23の材質は、他の種類の樹脂であってもよい。また、樹脂成形体23の形状は、特に限定されるものではない。
(内部絶縁層)
内部絶縁層30は、高周波機能部品21と埋設導電層11との間に設けられており、高周波機能部品21および埋設導電層11と共に樹脂成形体23に埋設されている。内部絶縁層30は、厚さ5〜10μm程度のエポキシ樹脂である。ただし、内部絶縁層30は、絶縁性を有していればよく、膜厚および材質は適宜選択することができる。例えば、内部絶縁層30は、ガラスまたはセラミックスからなっていてもよい。
また、内部絶縁層30は、その表面が、上記導電部材10によって囲まれた空間内において、樹脂成形体23の表面と同一面上にあり、この表面に配線回路24が形成されるようになっている。そのため、ある程度の強度および平面性を有することが求められ、かつ製造コストを抑えるという観点からは、内部絶縁層30は絶縁性の樹脂からなっていることが好ましい。
もう一方の内部絶縁層31は、高周波機能部品21と露出導電層12との間に設けられており、樹脂成形体23に埋設されていない。内部絶縁層31は、厚さ5〜10μm程度のエポキシ樹脂である。内部絶縁層31についても内部絶縁層30と同様に、絶縁性を有していればよく、膜厚および材質は適宜選択することができる。例えば、内部絶縁層31は、ガラスまたはセラミックスからなっていてもよいが、絶縁性の樹脂からなっていることが好ましい。
(配線回路)
配線回路24は、内部絶縁層30の表面および樹脂成形体23の表面上において、高周波機能部品21および電子部品22と電気的に接続され、かつ電子装置1Aの外部と電気的に接続されるように形成された導電回路である。
ここで、本実施の形態の電子装置1Aにおいて、高周波機能部品21および電子部品22は、いずれも接続電極が内部絶縁層30および樹脂成形体23の表面と同一または略同一平面上にあるように樹脂成形体23に埋設されている。そのため、配線回路24は、インクジェットプリンタを用いて銀(Ag)インクを噴霧して配線したものとすることができ、配線回路24を容易に形成することができる。なお、配線回路24は、Ag以外の材質からなっていてもよいし、他の方法で形成されてもよく、配線の太さ等は特に限定されるものではない。
なお、「同一または略同一平面上にある」とは、高周波機能部品21または電子部品22の接続電極と、内部絶縁層30および樹脂成形体23の表面からなる平面との間の段差が、インクジェットプリンタ等の装置によるプリント印刷によって配線回路24を形成することが可能である程度に小さい(平坦である)ことを意味する。
配線回路24は、短絡導電部材13に接触しないようにして形成されている。また、配線回路24と露出導電層12との間は、内部絶縁層31によって絶縁されている。
(露出絶縁層)
露出絶縁層32は、電子部品22および配線回路24を覆って形成された、厚さ5〜10μm程度のエポキシ樹脂であり、これらを保護する保護膜(レジスト)としての役割を有している。露出絶縁層32は、絶縁性を有していればよく、膜厚および材質は適宜選択することができる。
<本発明の一態様における電子装置の製造方法>
図2の(a)(b)(c)(d)(e)(f)(g)に基づいて、本実施の形態の電子装置1Aの製造方法について説明すれば、以下のとおりである。図2の(a)(b)(c)(e)(f)(g)は、本実施の形態の電子装置1Aの製造方法の一例を説明する図であり、それぞれ電子装置1Aの平面図と、該平面図のB−B線矢視断面図とからなっている。図2の(d)は本実施の形態の電子装置1Aの製造方法の一例を説明する側面断面図である。
(貼付仮固定工程)
図2の(a)に示すように、本実施の形態の電子装置1Aの製造方法は、先ず、高周波機能部品21、電子部品22、および短絡導電部材13(導電薄板)を、仮固定フィルム40(仮固定部材)に接着剤(図示せず)により貼り付けて仮固定する(貼付仮固定工程)。このとき、高周波機能部品21および電子部品22は、それぞれの接続電極(図示せず)が仮固定フィルム40に接するようにして固定する。
上記仮固定フィルム40の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。仮固定フィルム40は、後述する理由により、紫外線を透過し、かつ柔軟性を有している材料からなっていることが好ましい。
また、仮固定フィルム40は、キャリアテープやガラスエポキシ基板等であってもよい。各種電子部品を仮固定することが可能であり、電子装置1Aを製造した後に剥がすことが可能であれば、仮固定フィルム40の材質は特に限定されるものではない。
上記仮固定は、例えば、仮固定フィルム40の片方の面に塗布した、例えば紫外線硬化型の接着剤(図示せず)を用いて行うことができる。具体的には、例えば、50μmのPET製の仮固定フィルム40に、上記接着剤としての(有)グルーラボ製GL−3005Hを2〜3μmの厚さで塗布する。この塗布は、インクジェット印刷法を用いて行ってもよい。その後、高周波機能部品21、電子部品22、および短絡導電部材13を、それぞれ位置を決定して設置する。そして、例えば3000mJ/cm2の強度の紫外線を照射することにより、上記接着剤を硬化して、高周波機能部品21、電子部品22、および短絡導電部材13を仮固定フィルム40に仮固定する。
上記短絡導電部材13は、厚さが0.1mm以上の金属材であることが好ましい。短絡導電部材13が薄すぎる場合には、工業的に短絡導電部材13を搬送して仮固定フィルム40に貼り付けるに際して、短絡導電部材13にシワが入ることがあり、この場合、電子装置1Aに商品として不具合が生じる。そこで、短絡導電部材13は、厚さが0.1mm以上の金属材である場合、ある程度の剛性を有するものとすることができ、上記不具合が生じ難いものとすることができる。
(第1の電磁遮蔽工程)
図2の(b)(c)に示すように、上記貼付仮固定工程の後、仮固定フィルム40上に仮固定された高周波機能部品21の表面上に、厚さ5〜10μm程度の内部絶縁層30(第1の絶縁部材)を形成し、さらに、該内部絶縁層30を介して、高周波機能部品21上に、厚さ1〜10μm程度のAgからなる埋設導電層11(第1の導電部材)を積層する(第1の電磁遮蔽工程)。
詳細には、内部絶縁層30が形成される領域は、仮固定フィルム40上において、短絡導電部材13によって囲まれた領域であり、かつ短絡導電部材13上を含まない領域である。内部絶縁層30は、短絡導電部材13の表面を一部覆って形成されていてもよいが、埋設導電層11と短絡導電部材13の表面とが互いに接するようになっている。
内部絶縁層30および埋設導電層11を形成する方法は、例えばインクジェット印刷法であるが、特に限定されるものではない。インクジェット印刷法を用いた場合には、内部絶縁層30および埋設導電層11を、高周波機能部品21の表面上を含む所望の領域に選択的に積層することを容易に行えるため、材料コストおよび製造コストを低減することができる。これに対して、スクリーン印刷法等では、高周波機能部品21の段差があるため、不適当であり得る。
このように、高周波機能部品21が埋設導電層11および短絡導電部材13によって部分的に囲まれて、部分的に電磁遮蔽される。
(樹脂成形工程)
図2の(d)に示すように、上記第1の電磁遮蔽工程の後、内部絶縁層30および埋設導電層11により被覆された高周波機能部品21と、電子部品22と、短絡導電部材13とが仮固定された仮固定フィルム40を金型の上型41に、仮固定フィルム40側を固定面として設置する。そして、金型の上型41と下型42との間の金型キャビティ43内に樹脂材を射出して、仮固定された電子部品が樹脂成形体23に埋設されるように樹脂の射出成形を行う(樹脂成形工程)。
射出成形を行う条件は、樹脂成形体23を構成する樹脂に応じて適宜選択されればよく、例えば、ポリカーボネート(PC)を用いる場合には、射出樹脂温度270℃、射出圧力100MPaで射出成形を行う。または、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を用いる場合には、射出樹脂温度180℃、射出圧力20kgf/cm2で射出成形を行う。
樹脂成形体23を構成する樹脂は、多様な樹脂材料を採用することができる。また、射出成形を行う条件は、特に限定されるものではない。
(取り出し工程)
次に、図示しないが、上記樹脂成形工程の後、金型キャビティ43から、高周波機能部品21と、電子部品22と、短絡導電部材13とが埋設された樹脂成形体23を取り出して、仮固定フィルム40を分離する(取り出し工程)。ここで、内部絶縁層30および埋設導電層11は、高周波機能部品21と共に樹脂成形体23に埋設されている。
仮固定フィルム40がPETフィルムである場合、上記樹脂成形工程時の熱変化によって仮固定フィルム40が大きく変形して樹脂成形体23から剥離した状態になっており、仮固定フィルム40を樹脂成形体23から容易に分離することができる。
(回路形成工程)
図2の(e)に示すように、上記取り出し工程の後、樹脂成形体23および内部絶縁層30によって形成される表面上にて、該表面に露出した高周波機能部品21および電子部品22の接続電極を配線回路24によって接続する(回路形成工程)。この配線回路24の形成は、インクジェット印刷法等によって導電材料(例えば、銀インク等)を噴霧する方法、エアロゾルを用いる方法、またはディスペンサを用いる方法等を用いて行うことができる。
配線回路24は、適宜選択した方法を用いて、容易かつ回路設計の自由度を高く形成することができ、各電子部品は、はんだ付け等することなく簡便に電気的に接続することができる。さらに言えば、工業的には、各電子部品の位置が決定してから、各電子部品を結線することができるため、例えばプリント基板に電子部品を位置合わせする場合よりも、正確かつ容易に各電子部品を電気的に接続することができる。
ここで、配線回路24は、樹脂成形体23および内部絶縁層30によって形成される表面上にて、短絡導電部材13と接触しないように、すなわち短絡導電部材13を逃げて形成されている。これは、樹脂成形体23および内部絶縁層30によって形成される表面上には短絡導電部材13も露出しているが、この短絡導電部材13に配線回路24が触れると不具合が生じるためである。
(第2の電磁遮蔽工程)
図2の(f)(g)に示すように、上記回路形成工程の後、樹脂成形体23および内部絶縁層30によって形成される表面上にて、高周波機能部品21、電子部品22、および配線回路24上に、厚さ5〜10μmの絶縁性の保護膜(内部絶縁層31・露出絶縁層32)を形成する。このとき、該絶縁性の保護膜は短絡導電部材13上には形成しない。その後、内部絶縁層31(第2の絶縁部材)を介して高周波機能部品21を覆うように、厚さ1〜10μm程度のAgからなる露出導電層12(第2の導電部材)を積層する(第2の電磁遮蔽工程)。これにより、本実施の形態における電子装置1Aを得ることができる。
上記絶縁性の保護膜は、工業的には、インクジェット印刷法等により一体に形成されるものであるが、内部絶縁層31と露出絶縁層32とに分けることができる。内部絶縁層31が形成される領域は、短絡導電部材13によって囲まれた領域であり、かつ短絡導電部材13上を含まない領域である。内部絶縁層31は、短絡導電部材13の表面を一部覆って形成されていてもよいが、露出導電層12と短絡導電部材13の表面とが互いに接するようになっている。露出絶縁層32は、短絡導電部材13によって囲まれていない領域に、電子部品22および配線回路24を保護するように形成される。
内部絶縁層31および露出絶縁層32を形成する方法は、例えばインクジェット印刷法であるが、特に限定されるものではない。インクジェット印刷法を用いた場合には、内部絶縁層31および露出絶縁層32を、短絡導電部材13を避けて選択的に形成することを容易に行える。
露出導電層12を形成する方法は、例えばインクジェット印刷法であるが、特に限定されるものではない。
<本発明の一態様における電子装置の優れている点>
以上のように構成された本実施の形態における電子装置1Aによれば、少なくとも1つの高周波機能部品21と、高周波機能部品21を電磁遮蔽する導電部材10とを備え、高周波機能部品21の少なくとも一部、および、導電部材10の少なくとも一部は、樹脂成形体23に埋設して固定されている。
従来の電磁シールドを備える電子装置では、プリント基板の上に電子部品を実装して、その電子部品を金属ケース等によって覆っており、プリント基板の上に電子部品および金属ケースが突出していた。さらに、金属ケースのような部品は、工業的な搬送および位置合わせのために、ある程度の大きさが必要であり、電子装置を小型化および薄型化することには限界があった。
これに対して、本実施の形態の電子装置1Aでは、金属ケース等を使用する必要がなく、そして、高周波機能部品21の少なくとも一部が樹脂成形体23に埋設している。そのため、樹脂成形体23から突出する部分を低いものとすることができ、電子装置1Aは、高さ方向の寸法を低減して、小型化および薄型化することができる。
さらに、電子装置1Aは、上述のような製造工程にて作製することができ、上記製造工程は、工業的に複雑な工程を含んでいない。そのため、製造コストを抑制することができる。
そして、上記回路形成工程のように、配線回路24の配線において、短絡導電部材13に接触しないようにするということを除いて、配線回路24の設計は、自由に行うことができ、制限が少ない。そのため、配線回路設計の自由度が高いものとすることができる。
また、本実施の形態における電子装置1Aによれば、電磁遮蔽されていない電子部品22も、少なくとも一部が樹脂成形体23に埋設されている。そのため、様々な種類の電子部品22を備えていたとしても、電子装置1Aは、高さ方向の寸法を低減して、薄型化することができる。
また、本実施の形態における電子装置1Aによれば、導電部材10は、埋設導電層11と、露出導電層12と、短絡導電部材13とからなっており、埋設導電層11と露出導電層12とは、短絡導電部材13を通じて互いに電気的に接続されている。
そのため、高周波機能部品21は、ほぼ隙間なく導電部材10によって囲まれており、高度に電磁遮蔽されたものとなっている。
また、上述のような本実施の形態における電子装置1Aの製造方法によれば、仮固定フィルム40に位置決めをして高周波機能部品21および電子部品22を貼り付け、該高周波機能部品21上に内部絶縁層30および埋設導電層11を積層する。その後、高周波機能部品21および電子部品22を樹脂成形体23に埋設して、配線回路24を形成し、内部絶縁層31および露出絶縁層32と、露出導電層12とを積層する。このような積み上げ型の連続工程によって、電子装置1Aを製造することができる。
そのため、製造工程内に、はんだ付け、基板の折り曲げ、部品もしくは加工品の搬送、および部品の組み立てといった工程が含まれない、簡潔なものとすることができる。したがって、本実施の形態の電子装置1Aにより、製造コストを抑制して電子装置1Aを製造することができる。
さらには、本実施の形態の電子装置1Aは、はんだ付け、導電性ケースの設置、またはプリント基板の折り曲げ等の加工に必要なスペースが不要であり、回路設計の自由度を向上させることができる。
〔実施の形態2〕
図3に基づいて、本発明の他の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1では、本発明の電子装置の一例として、増幅器、位相器、または減衰器等の高周波機能部品21を厚さ1〜10μm程度の露出導電層12で覆って電磁シールドした電子装置1Aについて説明した。これに対して、本実施の形態では、本発明の電子装置の他の一例として、マイクロフォン、温湿度センサ等の各種センサ、または光学素子等の高周波機能部品51を内部に空間を設けて金属ケース52で覆って電磁シールドした電子装置1Bについて説明する。
つまり、電磁遮蔽される高周波機能部品が、マイクロフォン、温湿度センサ等の各種センサ、または光学素子等の高周波機能部品51を含む場合には、高周波機能部品51と高周波機能部品51を覆う電磁シールドとの間に空間を形成する必要があり、そのような場合に本実施の形態の電子装置1Bとすることができる。
図3の(a)(b)に基づいて、本実施の形態の電子装置1Bの構成について説明する。図3の(a)は、本実施の形態2における電子装置1Bの概略的な構成を示す平面図である。図3の(b)は、図3の(a)に示した平面図のC−C線矢視断面図である。
図3の(a)(b)に示すように、本実施の形態の電子装置1Bは、高周波機能部品21および高周波機能部品51が、埋設導電層11および内部絶縁層30と共に樹脂成形体23に埋設されて固定されており、内部に空間を設けて金属ケース52によって覆われている。
埋設導電層11と金属ケース52とは、それらの間に設けられた短絡導電部材13によって互いに電気的に短絡されている。これらの埋設導電層11、金属ケース52、および短絡導電部材13によって高周波機能部品51は電磁遮蔽されている。
また、高周波機能部品21、高周波機能部品51、および電子部品22は、配線回路24によって電気的に接続されている。
高周波機能部品51は、マイクロフォン、温湿度センサ等の各種センサ、または光学素子等の電子部品であり、本実施の形態の電子装置1Bでは、1個設けられている。高周波機能部品51の数は、特に限定されるものではない。
金属ケース52は、高周波機能部品51上に空間を形成するために、金属をケース状に加工したものである。金属ケース52と、樹脂成形体23に埋設された短絡導電部材13とは、導電性接着剤(図示せず)によって、または溶接すること等によって固定されている。該固定されて、金属ケース52は、樹脂成形体23に埋設された埋設導電層11と電気的に短絡し、高周波機能部品51を覆う電磁シールドが構成される。
尚、金属ケース52は、樹脂製ケースの表面に、金属コーティングする等によって導電層を形成したものであっても構わない。或いは、金属ケース52は高周波機能部品51上のみに設けられ、他の部分(高周波機能部品21)は露出導電層12によって覆われている構成となっていてもよい。この場合、金属ケース52と露出導電層12とが互いに電気的に短絡するように接続されて固定されていればよい。
また、金属ケース52は、高周波機能部品51の上方に、開口部53が設けられている。そして、高周波機能部品51上には、内部絶縁層31は形成されていない。これは、マイクロフォンまたはセンサ等の高周波機能部品51では、外気と接触する必要があるためである。
このような電子装置1Bは、前記第2の電磁遮蔽工程において、内部絶縁層31を高周波機能部品51上を除いて形成し、金属ケース52を短絡導電部材13の表面に接するように被せて電気的に接続するように固定して製造することができる。
尚、本実施の形態の電子装置1Bでは、高周波機能部品51に、開口部53が設けられた金属ケース52を被せて電磁遮蔽しているが、高周波機能部品51上に空間を形成する必要がない場合、金属ケース52ではなく露出導電層12を高周波機能部品51上を除いて形成するようになっていてもよい。これにより、高周波機能部品51上に開口を形成して電磁遮蔽することができる。
このように、本実施の形態の電子装置1Bによれば、上部に空間または開口の少なくとも一方を必要とする高周波機能部品51を電磁遮蔽することができる。
〔実施の形態3〕
図4および図5に基づいて、本発明の他の実施の形態について説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1および実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記実施の形態1および実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2では、本発明の電子装置の一例として、樹脂成形体23に埋設された高周波機能部品51を内部に空間を設けて金属ケース52で覆って電磁シールドした電子装置1Bについて説明した。これに対して、本実施の形態では、本発明の電子装置の他の一例として、高周波機能部品51を内部に収容する導電部材としての金属製の金属筐体62を備えており、高周波機能部品51および金属筐体62の少なくとも一部が樹脂成形体23に埋設された構成の電子装置1Cについて説明する。
図4の(a)(b)(c)に基づいて、本実施の形態の電子装置1Cの構成について説明する。図4の(a)は、本実施の形態3における電子装置1Cの概略的な構成を示す平面図である。図4の(b)は、図4の(a)に示した平面図のD−D線矢視断面図である。図4の(c)は、上記電子装置1Cの底面図である。
前記実施の形態2と同様に、電磁遮蔽される高周波機能部品が、マイクロフォン、温湿度センサ等の各種センサ、または光学素子等の高周波機能部品51を含む場合において、金属材料で構成された金属筐体62に、高周波機能部品51を高周波機能部品51上に空間を設けて収容して電磁遮蔽する構成とすることもできる。以下の説明において、この金属筐体62内に電子部品が収容されてなる電子モジュールの構成およびその製造方法は、特許文献2の記載を適宜参照することができる。
(電子装置1Cの構成)
図4の(a)(b)(c)に示すように、本実施の形態の電子装置1Cは、高周波機能部品21および高周波機能部品51が、第1の箱体62aと第2の箱体62bとからなる金属筐体62(導電部材)の内部に収容され、第1の箱体62aが、内部に収容した高周波機能部品21および高周波機能部品51と共に樹脂成形体23に埋設されている。樹脂成形体23には、電子部品22も埋設されている。
第1の箱体62aおよび第2の箱体62bは、いずれも板金加工によって得られたもので、いずれも開口部を有する箱形状の部材である。これら第1の箱体62aおよび第2の箱体62bが、互いの開口部が向き合うように固定されることによって、金属筐体62が構成されている。該固定は、導電性接着剤(図示せず)によって、または溶接すること等によって行われている。これにより第1の箱体62aと第2の箱体62bとは互いに電気的に短絡して、金属筐体62は、高周波機能部品21および高周波機能部品51を覆う電磁シールドとしてなっている。
第1の箱体62aに用いる材料(金属板)の一例として、厚さ0.15mmのニッケル−鉄合金(42アロイ)板を挙げることができる。また、第2の箱体62bに用いる材料(金属板)の一例として、厚さ0.12mmのニッケル−鉄合金(42アロイ)板を挙げることができる。
尚、第1の箱体62aおよび第2の箱体62bは、樹脂製の箱体の表面に、金属コーティングする等によって導電層を形成したものであっても構わない。また、第2の箱体62bは、高周波機能部品51上のみに設けられ、他の部分(高周波機能部品21)は露出導電層12によって覆われている構成となっていてもよい。この場合、第2の箱体62bと露出導電層12とが互いに電気的に短絡するように接続されて固定されていればよい。
第1の箱体62aの外側(ここでは底面側の外側)には、絶縁層63が設けられている。絶縁層63の一例として、エポキシ系接着剤からなる層を挙げることができる。
第1の箱体62aの内部には、高周波機能部品21および高周波機能部品51が、第1の箱体62a内に充填かつ硬化された絶縁性を有するポッティング部64(絶縁部材)によって固定されている。ポッティング部64を形成するポッティング剤の一例として、エポキシ系の封止剤を挙げることができる。ここで、高周波機能部品51は、その高さが第1の箱体62aの深さよりも高いものとなっており、高周波機能部品51の上部はポッティング部64から露出している。
そして、第1の箱体62aの底板には、貫通孔65が設けられている。この貫通孔65は、高周波機能部品21および高周波機能部品51に接続された金ワイヤ等の導線(図示せず)を絶縁層63の表面まで引き出すために設けられたものである。すなわち、この貫通孔65に上記導線が挿通されており、上記導線の一端側は高周波機能部品21または高周波機能部品51に電気的に接続されており、他端側は絶縁層63の表面まで引き出されて配線回路24に電気的に接続されている。これにより、高周波機能部品21および高周波機能部品51は、電子部品22と電気的に接続されている。なお、図4の(c)においては、8箇所に貫通孔65が設けられているが、貫通孔65の数は、実装される電子部品の種類や個数によって適宜設定されることは言うまでもない。
第2の箱体62bは、樹脂成形体23に埋設されておらず、高周波機能部品51の上方に開口部66が設けられている。そして、高周波機能部品51の上部は、ポッティング部64から露出している。このように、電子装置1Cは、高周波機能部品51の上方に空間を有すると共に、高周波機能部品51が外気と接触するようになっている。
(電子装置1Cの製造方法)
図5の(a)(b)(c)(d)(e)(f)に基づいて、本実施の形態の電子装置1Cの製造方法について説明すれば、以下のとおりである。図5の(a)(b)(d)は、本実施の形態の電子装置1Cの製造方法の一例を説明する側面断面図である。図5の(c)(f)は、本実施の形態の電子装置1Cの製造方法の一例を説明する図であり、それぞれ電子装置1Cの平面図と、該平面図のE−E線矢視断面図とからなっている。図5の(e)は、本実施の形態の電子装置1Cの製造方法の一例を説明する図であり、電子装置1Cの底面図と、該底面図のE−E線矢視断面図とからなっている。
図5の(a)に示すように、絶縁層63および貫通孔65を有する第1の箱体62aを用意する。
次に、図5の(b)に示すように、第1の箱体62aの内部に、高周波機能部品21および高周波機能部品51を配置して、それらに接続する導線(図示せず)を貫通孔65から引き出した後、液状のポッティング剤(エポキシ系の封止剤)を充填させる。この液状のポッティング剤が硬化することによって、上述したポッティング部64が形成される。これにより、高周波機能部品21および高周波機能部品51は、第1の箱体62a内において固定される(第1の電磁遮蔽工程)。
このとき、ポッティング部64は、第1の箱体62aが後に第2の箱体62bと接続固定される部分には覆い被さらないようにする。また、高周波機能部品51は、その高さが、第1の箱体62aの凹部の深さよりも高くなっているため、高周波機能部品51の上部がポッティング部64から突出する。
次に、図5の(c)に示すように、高周波機能部品21および高周波機能部品51が固定された第1の箱体62aと、電子部品22とを仮固定フィルム40に接着剤(図示せず)により貼り付けて仮固定する(貼付仮固定工程)。このとき、第1の箱体62aは、絶縁層63および貫通孔65が形成されている面を仮固定フィルム40に接するようにして仮固定する。また、電子部品22は、それぞれの接続電極(図示せず)が仮固定フィルム40に接するようにして固定する。
その後、図5の(d)に示すように、仮固定フィルム40を下成形型72に設置する。そして、上成形型71と下成形型72との間で、前記実施の形態1と同様に、樹脂成形工程を行い、そして取り出し工程を行う。このとき、上成形型71は、ポッティング部64から突出した高周波機能部品51の上部に対応する位置に凹部71aが設けられている。
次に、図5の(e)に示すように、樹脂成形体23および絶縁層63によって形成される表面上にて、樹脂成形体23の表面に露出した電子部品22の接続電極と、第1の箱体62aの貫通孔65から引き出された各導線とを、配線回路24によって接続する(回路形成工程)。
最後に、図5の(f)に示すように、第2の箱体62bを、第1の箱体62aと、導電性接着剤、または溶接等により電気的に接続固定し、金属筐体62とする。金属筐体62によって、高周波機能部品21および高周波機能部品51が覆われて、電磁シールド構造を完成させ、本実施の形態における電子装置1Cを得ることができる。
このように、配線回路24の形成、および第2の箱体62bと第1の箱体62aとの組み付けを樹脂成形工程後に行うことにより、樹脂の射出成型時に金属筐体62が変形してしまう、または、配線の電気的接続が切断されてしまう、といった品質上の問題の発生を防止することができる。
〔まとめ〕
以上のように、本発明の一態様における電子装置は、少なくとも1つの電子部品と、少なくとも1つの前記電子部品を電磁遮蔽する導電部材と、少なくとも1つの前記電子部品の少なくとも一部、および、該電子部品を電磁遮蔽する導電部材の少なくとも一部を埋設して固定する樹脂成形体とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、少なくとも1つの電子部品が導電部材によって電磁遮蔽されていると共に、電子部品の少なくとも一部と、導電部材の少なくとも一部とが樹脂成形体に埋設して固定されている。つまり、樹脂成形体上に突出する部分の高さを抑えることができる。そのため、電子装置の高さ方向の寸法を低減して、薄型化することができる。
また、このような構造は、例えば、電子部品の片側に導電部材を設けて電磁遮蔽した後に、樹脂の射出成形を行い、電子部品のもう一方の側に導電部材をさらに設けて作製することができる。そして、この樹脂の射出成形後、電子部品のもう一方の側に導電部材をさらに設けるまでの間に、配線回路を形成することができる。そのため、製造工程を単純なものとすることができ、かつ配線回路設計の自由度が高いものとすることができる。
したがって、電磁シールドを備える電子装置において、製造コストが抑制され、薄型化でき、かつ配線回路設計の自由度が高い電子装置およびその製造方法を提供することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記電磁遮蔽された電子部品である第1の電子部品と、電磁遮蔽されていない第2の電子部品と、を備え、前記第2の電子部品は、前記樹脂成形体に少なくとも一部が埋設されていることが好ましい。
上記の構成によれば、電磁遮蔽されていない第2の電子部品を備えていると共に、該第2の電子部品についても少なくとも一部が樹脂成形体に埋設されている。そのため、第2の電子部品を備えている電子装置においても、高さ方向の寸法を低減して、薄型化することができる。
また、第1の電子部品と第2の電子部品とを配線回路にて電気的に接続することができ、様々な種類および数の電子部品を搭載した電子装置とすることができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第1の電子部品は、前記導電部材にて囲まれて形成される空間内に設けられた絶縁部材によって固定されており、前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記第1の電子部品の少なくとも一部および前記導電部材の少なくとも一部と共に、前記樹脂成形体に埋設されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の電子部品と導電部材とが絶縁部材によって絶縁されていると共に、該絶縁部材も少なくとも一部が樹脂成形体に埋設されている。そのため、絶縁部材を備えていても、電子装置の高さ方向の寸法を低減して、薄型化することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記導電部材は、前記樹脂成形体に埋設された第1の導電部材と、前記樹脂成形体に埋設されていない第2の導電部材と、前記第1の導電部材および第2の導電部材の間に設けられた少なくとも1つの第3の導電部材とからなっており、前記第1の導電部材と第2の導電部材とは、前記第3の導電部材を通じて互いに電気的に接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の電子部品は、第1の導電部材と第2の導電部材と第3の導電部材とによって囲まれている。このため、第1の電子部品を、第3の導電部材が設けられていない場合よりも、高度に電磁遮蔽することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第1の導電部材および第2の導電部材が、厚さ1μm〜10μmの薄膜であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の導電部材および第2の導電部材は、例えばインクジェット印刷法のような薄膜を形成する方法によって形成することができる。また、使用する材料を必要最小限のものとすることができ、金属ケース等を用いる場合に比べて部材費を削減することができる。そのため、製造コストを低減することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第3の導電部材が、厚さ0.1mm以上の金属材であることが好ましい。
上記の構成によれば、第3の導電部材をある程度の剛性を有するものとできる。そのため、工業的な搬送時に、第3の導電部材がシワになる等変形して、製品として不具合が生じることを防止することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とは、前記樹脂成形体の表面および前記樹脂成形体に埋設された絶縁部材の表面上にて、前記第3の導電部材に接触しないように配線接続されており、前記配線接続された配線と、前記第2の導電部材との間が、前記樹脂成形体に埋設されていない絶縁部材または空気によって絶縁されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが配線接続された電子装置を提供することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが、前記樹脂成形体の表面と同一または略同一平面上に位置していることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極との配線接続を、インクジェットプリンタ等の装置を用いて、容易に行うことができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第2の導電部材は、少なくとも1つの前記第1の電子部品の直上に開口部が形成されているとすることができる。
上記の構成によれば、第1の電子部品として、外気と接触する必要のある種類の電子部品を用いた電子装置を提供することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記導電部材は、金属材料で構成された筐体であり、前記筐体は、互いの開口部が向き合うように固定された、前記樹脂成形体に埋設された第1の箱体と、前記樹脂成形体の表面から突出した第2の箱体とから構成されると共に、第1の箱体の外側には絶縁層が設けられており、かつ第1の箱体には、前記第1の電子部品に接続された導線を前記絶縁層の表面まで引き出すための貫通孔が設けられており、前記絶縁層の表面および前記貫通孔の出口は、前記樹脂成形体の裏面と同一面上に位置しているとすることができる。
上記の構成によれば、第1の電子部品を収容した第1の箱体は、樹脂成形体に埋設されており、樹脂成形体の表面には第2の箱体が突出する。そのため、このような筐体を用いた構成においても、電子装置の高さ方向の寸法を低減して、薄型化することができる。
また、第1の箱体内に第1の電子部品を収容したものを別工程にて作成しておき、それを適時使用して、樹脂成形して電子装置を製造することができる。そのため、第1の箱体内に第1の電子部品を収容したものは別の目的のために製造されていてもよく、製造工程の自由度が向上し、製造コストを低減することができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記第2の電子部品は、前記樹脂成形体の裏面に電極を露出して埋設されており、前記第1の電子部品に接続された導線と、第2の電子部品の電極とが、前記樹脂成形体の裏面上にて配線接続されているとすることができる。
上記の構成によれば、金属材料で構成された筐体が導電部材となっている電子装置において、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極とが配線接続された電子装置とすることができる。
本発明の電子装置は、さらに、前記配線接続は、導電材料がプリント印刷されてなっていることが好ましい。
上記の構成によれば、必要最小限の材料によって容易に配線を行うことができる。また、配線を覆う保護膜を形成する場合に、その保護膜の厚みを薄いものとすることができる。そのため、部材費を抑制して、製造コストを低減することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、仮固定部材に少なくとも1つの電子部品を貼り付けて仮固定する貼付仮固定工程と、少なくとも1つの前記電子部品に対して第1の絶縁部材および第1の導電部材により被覆して電磁遮蔽する第1の電磁遮蔽工程と、前記第1の電磁遮蔽工程後の仮固定部材を、前記電子部品、前記第1の絶縁部材、および前記第1の導電部材が仮固定された状態で成形型内に配置し、前記電子部品、前記第1の絶縁部材、および前記第1の導電部材に関して、それぞれの少なくとも一部を埋設するように樹脂成形する樹脂成形工程と、前記樹脂成形工程において生成された樹脂成形体から前記仮固定部材を分離する取り出し工程と、前記取り出し工程の後に、前記電子部品を、前記第1の導電部材が形成されている側とは反対側において第2の導電部材により被覆して電磁遮蔽する第2の電磁遮蔽工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、仮固定部材に位置決めをして電子部品を貼り付け、そして電子部品の片側に第1の絶縁部材および第1の導電部材を被覆して電磁遮蔽した後、樹脂成形して、電子部品と第1の絶縁部材と第1の導電部材とが樹脂成形体に埋設されたものを得ることができる。その後、電子部品上に第2の導電部材を被覆して、電子部品を電磁遮蔽することができる。これらの工程は、工業的に単純な工程にて容易に行うことができる。
これにより、電子部品と第1の絶縁部材と第1の導電部材とは樹脂成形体に埋設されており、樹脂成形体上には第2の導電部材が突出した構成とすることができる。また、取り出し工程後、第2の電磁遮蔽工程までの間に、配線回路を形成することができる。
したがって、高さ方向の寸法を低減して、薄型化した電子装置を製造することができると共に、製造コストが抑制され、配線回路設計の自由度が高い電子装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記貼付仮固定工程にて、前記仮固定部材に導電性を有する導電薄板を貼り付けており、前記取り出し工程の後かつ第2の電磁遮蔽工程の前に、前記樹脂成形体および前記第1の絶縁部材によって形成される表面上にて、前記電子部品の電極と接続する配線回路を、前記導電薄板に配線が接触しないようにして形成する回路形成工程をさらに含み、前記第2の電磁遮蔽工程は、前記配線回路および電子部品上に、前記導電薄板の部分を除いて第2の絶縁部材を積層して、続いて、前記電子部品が埋設されている領域に、前記導電薄板上を含んで第2の導電部材を積層してなっていることが好ましい。
上記の構成によれば、導電薄板を樹脂成形体に埋設した構成において、配線回路を適切に形成することができる。また、電子部品に第2の絶縁部材および第2の導電部材を積層して、電子部品は、第1の導電部材と第2の導電部材と導電薄板とによって囲まれて、高度に電磁遮蔽されたものとすることができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記第1の絶縁部材、第1の導電部材、第2の絶縁部材、第2の導電部材、および配線回路を、それぞれインクジェットによる印刷法を用いて形成することが好ましい。
上記の構成によれば、インクジェット装置のヘッドを適時切り替えることによって、同じインクジェット装置を用いて、第1の絶縁部材、第1の導電部材、第2の絶縁部材、第2の導電部材、および配線回路をそれぞれ形成することができ、製造コストを低減することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記第1の電磁遮蔽工程は、導電性を有し、外側に絶縁層が形成された、前記第1の導電部材としての第1の箱体に、前記電子部品を少なくとも1つ収容する部品収容工程と、前記電子部品に接続された導線を、前記第1の箱体に設けられた貫通孔を挿通させて絶縁層の表面に引き出す導線引出工程と、前記導線引出工程後の第1の箱体内に第1の絶縁部材を充填して、前記電子部品を固定する部品固定工程とからなっており、前記貼付仮固定工程は、前記仮固定部材に、前記第1の箱体における前記絶縁層および貫通孔が形成された側を貼り付けてなっているとすることができる。
上記の構成によれば、第1の箱体内に電子部品を収容したものを用いて、電子装置を製造することができる。このような第1の箱体内に電子部品を収容したものは別の目的のために製造されたものであってもよく、そのゆえ、製造工程の自由度が向上し、製造コストを低減することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記第2の電磁遮蔽工程は、導電性を有し、一部に開口部が形成された第2の箱体を、前記開口部が前記電子部品の直上に位置するように、かつ第1の箱体と互いの開口部が向き合うようにして固定して前記電子部品を包含する筐体を形成してなっているとすることができる。
上記の構成によれば、電子部品として、外気と接触する必要のある種類の電子部品を用いた電子装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記部品収容工程は、前記第1の箱体に、前記第1の箱体の深さよりも背の高い、前記電子部品としての背高部品を少なくとも1つ収容してなっており、前記樹脂成形工程は、前記背高部品が当接する部分に窪みが設けられた上成形型と、下成形型との間で、前記背高部品、前記第1の絶縁部材、および前記第1の導電部材に関して、それぞれの少なくとも一部を埋設するように樹脂成形してなっているとすることができる。
上記の構成によれば、背高部品を用いた場合であっても、第1の箱体内に背高部品を収容したものを用いて、電子装置を製造することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記取り出し工程の後かつ第2の電磁遮蔽工程の前に、前記樹脂成形体および前記絶縁層によって形成される表面上にて、前記電子部品に接続された導線と接続する配線回路を形成する回路形成工程をさらに含んでいてもよい。
上記の構成によれば、第1の箱体内に電子部品を収容したものを用いて、電子部品が配線接続された電子装置を製造することができる。
本発明の電子装置の製造方法は、さらに、前記回路形成工程を、導電インクを噴霧して配線を印刷し、配線回路を形成することにより行うことが好ましい。
上記の構成によれば、インクジェットプリンタ等の装置を用いて、容易に配線接続を行うことができる。
〔附記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。