JP6828557B2 - 低合金油井用継目無鋼管 - Google Patents
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Description
本実施形態による低合金油井用継目無鋼管は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度を高める。C含有量が0.20%未満では、この効果が十分に得られない。一方、C含有量が0.50%を超えると、鋼の焼割れ感受性が高くなる。したがって、C含有量は、0.20〜0.50%である。C含有量の下限は、好ましくは0.22%である。C含有量の上限は、好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.30%である。
シリコン(Si)は、鋼を脱酸する。Si含有量が0.05%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Si含有量が0.50%を超えると、鋼の靱性が低下する。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%である。Si含有量の下限は、好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.20%である。Si含有量の上限は、好ましくは0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
マンガン(Mn)は、鋼の焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する。Mn含有量が0.05%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Mn含有量が1.0%を超えると、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Mn含有量は0.05〜1.0%である。Mn含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらに好ましくは0.2%である。Mn含有量の上限は、好ましくは0.8%であり、さらに好ましくは0.6%である。
燐(P)は不純物である。Pは粒界に偏析して、鋼の靱性を低下させる。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。P含有量は、好ましくは0.020%以下である。
硫黄(S)は不純物である。Sは、Mn等と結合して軟質な硫化物系介在物や酸硫化物系介在物を形成し、鋼の靱性を低下させる。一方、生産性やコストの観点からは、脱硫工程を減らすことが好ましい。本実施形態では、S含有量を0.0025〜0.0060%とする。S含有量の下限は、好ましくは0.0030%である。S含有量の上限は、好ましくは0.0055%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Al含有量が0.005%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.10%を超えると、介在物が粗大化して鋼の靱性が低下する。したがって、Al含有量は0.005〜0.10%である。Al含有量の下限は、好ましくは0.01%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.06%である。本明細書におけるAl含有量は、酸可溶Al(いわゆるSol.Al)の含有量を意味する。
クロム(Cr)は、鋼の焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する。Cr含有量が0.1%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Cr含有量が1.2%を超えると、鋼の靱性が低下する。したがって、Cr含有量は0.1〜1.2%である。Cr含有量の下限は、好ましくは0.2%であり、さらに好ましくは0.4%である。Cr含有量の上限は、好ましくは1.0%であり、さらに好ましくは0.8%である。
モリブデン(Mo)は、変態強化と固溶強化とによって鋼の強度を向上させる。Mo含有量が0.25%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Mo含有量が1.0%を超えると、鋼の靱性が低下する。したがって、Mo含有量は0.25〜1.0%である。Mo含有量の下限は、好ましくは0.27%であり、さらに好ましくは0.3%である。Mo含有量の上限は、好ましくは0.8%であり、さらに好ましくは0.6%である。
チタン(Ti)は、ビレットの割れを抑制する。Ti含有量が0.002%未満では、この効果が十分に得られない。一方、Ti含有量が0.05%を超えると、炭化物(TiC)を生成して鋼の靱性を低下させる。したがって、Ti含有量は0.002〜0.05%である。Ti含有量の下限は、好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。Ti含有量の上限は、好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.02%である。
窒素(N)は不純物である。Nは窒化物系介在物を形成し、鋼の靱性を低下させる。したがって、N含有量は0.01%以下である。N含有量はなるべく少ない方が好ましい。N含有量の上限は、好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.006%である。コストの観点から、N含有量の下限は、好ましくは0.001%である。
酸素(O)は不純物である。Oは酸化物を形成して鋼の靱性を低下させる。したがって、O含有量は0.0030%以下である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。O含有量は、好ましくは0.0025%以下であり、さらに好ましくは0.0020%以下である。
カルシウム(Ca)は、鋳造時のノズルの閉塞を抑制する。Caはまた、介在物を球状化することで、靱性の向上にも寄与する。Ca含有量が0.0010%未満では、これらの効果が十分に得られない。一方、Ca含有量が0.0030%を超えると、粗大な酸化物系介在物が生成され、鋼の靱性が低下する。したがって、Ca含有量は0.0010〜0.0030%である。Ca含有量の下限は、好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.0020%である。Ca含有量の上限は、好ましくは0.0028%である。
希土類元素(REM)は、FeOを還元して、アルミナクラスターの生成を抑制する。REMはまた、非延伸性の酸化物及び/又は酸硫化物を形成し、有害Sをトラップして無害化する。REM含有量が0.0010%未満では、これらの効果が十分に得られない。一方、REM含有量が0.0040%を超えると、粗大な酸化物系介在物が生成され、鋼の靱性が低下する。また、溶鋼の流動性が低下し、鋳造時にノズルが閉塞しやすくなる。したがって、REM含有量は0.0010〜0.0040%である。REM含有量の下限は、好ましくは0.0012%であり、さらに好ましくは0.0015%である。REM含有量の上限は、好ましくは0.0035%であり、さらに好ましくは0.0030%である。
Nb:0〜0.10%
バナジウム(V)及びニオブ(Nb)は、炭化物を形成し、鋼の強度を高める。これらの元素が少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、これらの元素の含有量が過剰になると、靱性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.30%であり、Nb含有量は0〜0.10%である。V含有量の下限は、好ましくは0.01%である。V含有量の上限は、好ましくは0.20%であり、さらに好ましくは0.15%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.002%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.05%である。
Ni:0〜1.0%
B:0〜0.0040%以下
銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及びボロン(B)は、鋼の焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する。これらの元素が少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、これらの元素の含有量が過剰になると、靱性が低下する。したがって、Cu及びNiの各々の含有量は0〜1.0%であり、B含有量は0〜0.0040%である。Cu及びNiの各々の含有量の下限は、好ましくは0.01%である。Cu及びNiの各々の含有量の上限は、好ましくは0.5%であり、さらに好ましくは0.2%である。B含有量の下限は、好ましくは0.0001%である。B含有量の上限は、好ましくは0.0020%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
(Ca/O+Ca/S+0.285×REM/O+0.285×REM/S)×(Al/Ca)>20 式(1)
式(1)のCa、O、S、REM、Alには、各元素の含有量が質量%で代入される。
本実施形態による低合金油井用継目無鋼管は、硫化物系介在物及び酸硫化物系介在物の平均粒径が2.0μm以下、アスペクト比が2.0以下である。
以下、本実施形態による低合金油井用継目無鋼管の製造方法の一例を説明する。この製造方法はあくまでも一例であり、本実施形態による低合金油井用継目無鋼管の製造方法は、これに限定されない。
連続鋳造時、鋳型への流入量と鋳型からの流出量の差が所定の範囲内となるように、スライディングノズルの開口面積を自動制御した。スライディングノズルの開口面積の経時変化を調べ、開口面積がゼロになったときにノズル閉塞が発生したと判断した。結果を表2の「ノズル閉塞有無」の欄に示す。同欄の「○」はノズル閉塞が発生しなかったことを示し、「×」はノズル閉塞が発生したことを示す。
焼入れ後、焼戻し前の各継目無鋼管に対して、実施形態で説明したBechet−Beaujard法を適用して旧オーステナイト粒を現出させ、ASTM E112−13に準じて粒度番号を測定した。測定結果を表2の「旧γ粒度」の欄に示す。
焼戻し後の継目無鋼管を切断し、介在物を観察した。実施例で説明した方法によって、硫化物系介在物及び酸硫化物系介在物の平均粒径及びアスペクト比を測定した。介在物の観察にはショットキー電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM、日本電子株式会社製「JSM−7800F」)を用い、データ収集及び解析にはAMETEK社製「GENESIS Particle Analysis,Version 5.10」を用いた。代表的介在物の種類、硫化物系介在物及び酸硫化物系介在物の平均粒径及びアスペクト比を、表2の該当する欄にそれぞれ示す。
焼戻し後の継目無鋼管から、試験片の長手方向が継目無鋼管の圧延方向と平行になるように、ASTM E8に準拠した弧状引張試験(平行部幅38.1mm、G.L.50.8mm)を採取した。この試験片を用いて、常温(25℃)、大気中で引張試験を実施した。引張試験で得られた0.6%伸び時の応力を、継目無鋼管の降伏強度とし、一様伸び中の最大応力を継目無鋼管の引張強度とした。測定した降伏強度及び引張強度を表2の「YS」及び「TS」の欄にそれぞれ示す。
焼戻し後の継目無鋼管から、試験片の長さ方向が継目無鋼管の圧延方向と垂直になるようにASTM E23に準拠したフルサイズ試験片(寸法:幅10mm×高さ10mm×長さ55mm)を採取した。この試験片を用いて、0℃において3本/セットでシャルピー衝撃試験を実施して吸収エネルギーを測定した。結果を表2に示す。3本の試験片の平均吸収エネルギー(以下、単に「平均吸収エネルギー」と呼ぶ。)が55J以上であれば、靱性に優れると評価した。
表2に示すとおり、鋼A1〜A10、鋼B1〜B10、及び鋼C1〜C4から製造された継目無鋼管はいずれも、硫化物系介在物及び酸硫化物系介在物の平均粒径が2.0μm以下であり、アスペクト比が2.0以下であった。これらの継目無鋼管の平均吸収エネルギーは、いずれも55J以上であり、低硫鋼(鋼D1)の平均吸収エネルギーと同程度の値の値が得られた。
Claims (3)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.20〜0.50%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.05〜1.0%、
P :0.030%以下、
S :0.0038〜0.0060%、
Al:0.005〜0.10%、
Cr:0.1〜1.2%、
Mo:0.25〜1.0%、
Ti:0.002〜0.05%、
N :0.01%以下、
O :0.0030%以下、
Ca:0.0010〜0.0030%、
REM:0.0010〜0.0040%、
V :0〜0.30%、
Nb:0〜0.10%、
Cu:0〜1.0%、
Ni:0〜1.0%、
B :0〜0.0040%、
残部:Fe及び不純物であり、
硫化物系介在物及び酸硫化物系介在物の平均粒径が2.0μm以下、アスペクト比が2.0以下である、低合金油井用継目無鋼管。 - 請求項1に記載の低合金油井用継目無鋼管であって、
前記化学組成が、質量%で、
V :0.01〜0.30%、及び
Nb:0.002〜0.10%、
からなる群から選択される1種又は2種を含有する、低合金油井用継目無鋼管。 - 請求項1又は2に記載の低合金油井用継目無鋼管であって、
前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.01〜1.0%、
Ni:0.01〜1.0%、及び
B :0.0001〜0.0040%、
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、低合金油井用継目無鋼管。
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