JP2019056147A - 耐摩耗鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉱山用などの大型産業機械の構成部材として使用される耐摩耗鋼板であっても、低温靭性およびHAZ靭性が優れる耐摩耗鋼板を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.15〜0.28%、Nb:0.005〜0.035%を含有し、炭素当量Ceqが0.40〜0.75であり、CNB=[C%]/[Nb%]が6〜32であり、さらに、鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含む耐摩耗鋼板である。複合介在物の断面におけるMnSの面積率が10〜50%であり、複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上であるとともに、粒径0.5〜5.0umの前記複合介在物の個数密度が10〜40個/mm2である。【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗鋼板およびその製造方法に関し、具体的には、例えば鉱山の掘削に使用される大型ショベルや鉱物を運搬する大型ダンプなどの耐摩耗性を要求される産業機械の構成部材として用いるのに好適な、低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板およびその製造方法に関する。
部材の耐摩耗性はその表面硬度に強く支配されることから、耐摩耗性を要求される機械の構成部材には、高い硬度の表面を有する耐摩耗鋼板が適用される。例えば、これまでにも、HB450以上の表面硬度を有する耐摩耗鋼板が広く利用されてきた。
近年では、鉱山などで使用される産業機械の大型化が進んでおり、それに使用される耐摩耗鋼板は高硬度化および厚手化している。そのため、耐摩耗鋼板には、表面硬度や耐遅れ破壊性に加えて、低温靭性およびHAZ靭性の特性も要求されるようになってきた。
耐遅れ破壊性を向上する技術として、例えば特許文献1には、耐遅れ破壊感受性を増大させる元素であるMnを0.30〜0.60%(本明細書において化学組成または濃度に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する)に低減するとともにMn低減による硬度低下をCr、Mo等を添加することにより補う発明が開示されている。
また、特許文献2には、Mn含有量を0.50〜0.80%に低減するとともにTiを0.005〜0.025%添加することにより耐遅れ破壊性を向上させ、Mn低減による硬度低下をNb添加により補う発明が開示されている。
しかし、特許文献1,2により開示された発明は、熱間圧延後に直接焼入れを行うため、耐摩耗鋼板の靱性が劣化する。
靭性の確保について、特許文献3には、鋼組成および製造条件それぞれを特定することにより、得られる鋼板の靱性を高める発明が開示され、特許文献4には、耐遅れ破壊性と靭性に優れる耐摩耗鋼板およびその製造方法が開示されている。
特開平5−51691号公報 特開昭63−317623号公報 特開平1−172514号公報 特開平11−71631号公報
しかし、特許文献3,4により開示された発明では、低温での靭性は評価されておらず、また鋼板の厚手化に伴うHAZ靭性の確保についても一切検討されていない。
本発明は、鉱山用などの大型産業機械の構成部材として使用される耐摩耗鋼板に関し、表面硬度および耐遅れ破壊性に優れ、さらに低温靭性およびHAZ靭性にも優れる耐摩耗鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記技術的課題を解決するために、C、Nb、Ceqおよび後述するCNBバランスを検討し、さらに鋼中に含まれる介在物の個数密度と形態を制御することにより、表面硬度および耐遅れ破壊性に優れ、かつ低温靭性およびHAZ靭性にも優れる耐摩耗鋼板が得られることを見出した。
耐摩耗鋼板は、硬さを得るために焼入れを行うが、焼入れ硬さはC含有量で略決定される。そのため、耐摩耗鋼板においては所用の硬さを得るためにCを含有する。
Nbは未再結晶域を広げ、その領域で圧延を行うことにより高密度の転位を導入し、変態核生成サイトを増加させることにより組織微細化を図れるため、表面硬さと低温靭性を向上することができる。また、Nbは炭窒化物を形成し、それによって鋳片加熱および溶接時にピンニング効果によってオーステナイト粒の粗大化を抑制することにより良好な低温靭性およびHAZ靭性が得られる。
一方、炭窒化物を形成するCおよびNbは、上述した焼入れ硬さおよび未再結晶領域の拡大に寄与しないため、必要な固溶C量や固溶Nb量の確保が重要となる。それらの確保とピンニング効果を得るのに必要な炭窒化物量を検討することにより、最適なCNBバランスを見出した。
さらに、鋼中に含まれる介在物の個数密度と形態を制御することにより、粒内変態促進による組織微細化によって厚手の耐摩耗鋼板の溶接におけるHAZ靭性も向上し、粒内の組織を微細化することにより応力集中部が分散され、耐遅れ破壊性も確保されることを見出した。
すなわち、溶接時に旧オーステナイト粒内にて粒内フェライトを効果的に成長させるためには、粒内フェライトの生成核となる介在物の制御が必須である。特に、板厚が厚い厚鋼板では、表面および内部での冷却速度の差異により、板厚方向での介在物の組成および個数の制御が困難であるため、粒内フェライトの生成核となる介在物を制御する必要がある。そこで、粒内フェライトの成長のメカニズムを検討した結果、下記(i)〜(iii)が判明した。
(i)製鋼段階でTi系酸化物の周辺にMnSが析出することによりTi系酸化物とMnSとを含有する複合介在物を生成させれば、MnSと母材のマトリクス界面にMnが欠乏した領域が形成される。このMn欠乏領域(以下、「初期Mn欠乏領域」という。)では、フェライト成長開始温度が大きく上昇する。そのため、母材を溶接した場合、その冷却過程において、このMn欠乏領域から粒内フェライトが優先的に成長する。
(ii)母材の溶接を行うと、Ti系酸化物の近傍に存在する母材のマトリクス中のMnが拡散してTi系酸化物の内部に存在する原子空孔に吸収される。この結果、溶接により熱履歴を受けた母材のHAZとTi系酸化物の界面にMnが欠乏した領域が形成される。このMn欠乏領域(以下、「溶接Mn欠乏領域」という。)も粒内フェライトの優先成長の起点となる。
(iii)上記(i)および(ii)の両作用によりHAZのフェライト量を確保できるため、必要なHAZの低温靭性を得ることができる。
本発明者らは、以上のメカニズムに基づき、介在物に複合するMnS量および個数密度を制御することにより、効果的に粒内フェライトを析出させることができることを知見した。さらに、本発明者らは、結晶粒微細化効果を得るためには、鋼中の介在物が以下に列記の要件[1]〜[3]を満たす必要があることを知見した。
[1]鋼中にTi酸化物の周囲にMnSを有する複合介在物であり、複合介在物の断面におけるMnSの面積率が10〜50%である。
[2]複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上である。
[3]粒径0.5〜5.0μmの複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである。
本発明は、これらの知見に基づくものであり、下記のとおりである。
(1)化学組成が、C:0.15〜0.28%、Si:0.10〜0.8%、Mn:0.8〜1.5%、P:0.015%以下、S:0.001〜0.004%、Nb:0.005〜0.035%、Al:0.003%以下、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0025%、N:0.0020〜0.0050%、O:0.0005〜0.0050%をそれぞれ含み、さらに、Cu:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜1.30%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびV:0.02〜0.10%のうち1種以上を含有し、残部がFeおよび不純物であり、
以下の式(1)により定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.75であり、
式(2)により定義されるCNBが6〜32であり、さらに
鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含み、前記複合介在物の断面における前記MnSの面積率が10〜50%であり、前記複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上であるとともに、粒径0.5〜5.0umの前記複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである、低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板。
Ceq=[C%]+[Si%]/24+[Mn%]/6+[Ni%]/40+[Cr%]/5+[Mo%]/4+[V%]/14・・・(1)
CNB=[C%]/[Nb%] ・・・(2)
ただし、式(1)および式(2)における[ ]付元素は、各元素の含有量を示す。
(2)さらに、Ca:0.008%以下(好ましくは0.001〜0.008%)、Mg:0.005%以下(好ましくは0.001〜0.005%)、およびREM:0.010%以下(好ましくは0.001〜0.010%)のうちの1種以上を含有する、1項に記載の低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板。
(3)RH真空脱ガス処理前において、溶鋼中の酸素ポテンシャルを10〜30ppmとし、RH真空脱ガス処理において化学組成を調整して溶鋼を製造し、溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片を製造し、鋳片を1000〜1200℃に加熱および均熱してから熱間圧延を行って室温まで冷却し、次いで加熱してAc点以上から焼入れる、1または2項に記載の低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板の製造方法。
(4)さらに、Ac点以下の温度で焼戻す、3項に記載の低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板の製造方法。
本発明に係る耐摩耗鋼板およびその製造方法により、鉱山用などの大型産業機械の構成部材として使用される耐摩耗鋼板であっても、低温靭性およびHAZ靭性が優れる耐摩耗鋼板の提供が可能になる。
これにより、耐摩耗鋼板の高硬度化および厚手化を図ることができ、耐摩耗鋼板の交換サイクルを長期化できる。このため、上記大型産業機械の補修コスト等を大幅に削減できるため、本発明の産業上の効果は極めて大きい。
図1は、実施例におけるHAZ靭性を評価するための試験片の採取要領を示す説明図である。
1 耐摩耗鋼板
2 裏板
3 溶接ビード
4 2mmVノッチシャルピー試験片
以下、本発明を詳細に説明する。
1.化学組成
まず、本発明に係る低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板の化学組成を上述したように、限定する理由を説明する。はじめに、必須元素を説明する。
(1−1)C:0.15〜0.28%
Cは、耐摩耗鋼板の表面硬度の向上に最も有効である。C含有量が0.15%未満であると、要求される表面硬度の確保が難しく、また硬度低下を補うために別の合金元素を含有する必要が生じ、製造コストが増加する。したがって、C含有量は、0.15%以上であり、好ましくは0.16%以上であり、さらに好ましくは0.17%以上である。
一方、C含有量が多くなり過ぎると、低温靭性およびHAZ靭性が劣化するとともに遅れ破壊の感受性が高まる。したがって、C含有量は、0.28%以下であり、好ましくは0.27%以下であり、さらに好ましくは0.26%以下である。
(1−2)Si:0.10〜0.8%
Siは、溶鋼の予備脱酸に有効な元素であり、また耐摩耗鋼板の表面硬度の向上にも寄与する。Si含有量が0.10%未満ではこれらの効果が不十分である。したがって、Si含有量は、0.10%以上であり、好ましくは0.14%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。
一方、Si含有量が0.8%を超えると、耐摩耗鋼板の靱性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は、0.8%以下であり、好ましくは0.79%以下であり、さらに好ましくは0.63%以下である。耐摩耗鋼板の靭性を安定的に確保するためには、Si含有量は0.7%以下であることが好ましい。
(1−3)Mn:0.8〜1.5%
Mnは、焼入れ性の向上を通じて耐摩耗鋼板の表面硬度を向上させるとともに、HAZ靭性の向上に好適な介在物の形態を得るために必要である。これらの効果を得るために、Mn含有量は、0.8%以上であり、好ましくは0.82%以上であり、さらに好ましくは0.84%以上である。
一方、Mn含有量が1.5%を超えると、耐摩耗鋼板の焼入れ性が過剰となり、靭性が劣化する。したがって、Mn含有量は、1.5%以下であり、好ましくは1.48%以下であり、さらに好ましくは1.47%以下である。
(1−4)P:0.015%以下
Pは、結晶粒界に偏析して耐摩耗鋼板の靱性を劣化させるため、P含有量はできるだけ低いことが望ましい。P含有量が0.015%を超えると耐摩耗鋼板の靭性の劣化が著しいため、P含有量は、0.015%以下であり、好ましくは0.012%以下であり、さらに好ましくは0.008%以下である。
(1−5)S:0.001〜0.004%
Sは、酸化物の表面にMnSを析出させ、MnSと母材のマトリクス界面にMn欠乏領域を形成する。このため、母材を溶接した場合、このMn欠乏領域から粒内フェライトが優先的に成長するので、HAZの低温靭性を確保することができる。そのため、S含有量は0.001%以上である。
しかし、S含有量が0.004%を超えると、耐摩耗鋼板の延性や靭性を劣化させる原因になる。したがって、S含有量は、0.004%以下であり、好ましくは0.003%以下であり、さらに好ましくは0.002%以下である。
(1−6)Nb:0.005〜0.035%
Nbは、未再結晶域を拡大し、その領域で圧延を行うことにより高密度の転位を導入し、変態核生成サイトを増加させる。これにより、組織微細化を図ることができ、耐摩耗鋼板の表面硬さと低温靭性を向上することができる。したがって、Nb含有量は、0.005%以上であり、好ましくは0.008%以上であり、さらに好ましくは0.010%以上である。
一方、Nb含有量が0.035%を超えと、上記効果が飽和してコストが嵩むだけでなく、耐摩耗鋼板の耐遅れ破壊性が劣化する。したがって、Nb含有量は、0.035%以下であり、好ましくは0.028%以下であり、さらに好ましくは0.020%以下である。
(1−7)Al:0.003%以下
Alは、溶鋼の清浄度を得るために含有する。Alは、他の元素よりも優先的に酸化物を形成するため、低温靭性およびHAZ靭性の向上に寄与するTi系酸化物が得られなくなる。したがって、Al含有量は、0.003%以下であり、好ましくは0.002%以下であり、さらに好ましくは0.001%以下である。
(1−8)Ti:0.005〜0.03%
Tiは、窒化物を生成して結晶粒の粗大化を抑制するとともに、粒内変態核となる複合介在物の生成に必要である。Ti含有量が0.005%未満ではこの作用が奏されない。したがって、Ti含有量は、0.005%以上であり、好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.011%である。
一方、Ti含有量が0.03%を超えると、Ti炭化物が過剰に析出し、耐摩耗鋼板の母材靱性および溶接部靱性に悪影響を及ぼす。したがって、Ti含有量は、0.03%以下であり、好ましくは0.025%以下であり、さらに好ましくは0.020%以下である。
(1−9)B:0.0005〜0.0025%
Bは、焼入れ性を著しく向上させる元素であり、耐摩耗鋼板の硬さを確保するために必要である。したがって、B含有量は、0.0005%以上であり、好ましくは0.0007%以上であり、さらに好ましくは0.0008%以上である。
一方、B含有量が0.0025%を超えると、耐摩耗鋼板の靭性が著しく劣化する。したがって、B含有量は、0.0025%以下であり、好ましくは0.0024%以下であり、さらに好ましくは0.0015%以下である。
(1−10)N:0.0020〜0.0050%
Nは、窒化物を形成することにより加熱時の組織粗大化を抑制し、耐摩耗鋼板の靭性の向上に寄与する。したがって、N含有量は、0.0020%以上であり、好ましくは0.0021%以上であり、さらに好ましくは0.0025%以上である。
一方、N含有量が0.0050%を超えると、窒化物が粗大化することにより耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、N含有量は、0.0050%以下であり、好ましくは0.0049%以下であり、さらに好ましくは0.0040%以下である。
(1−11)O:0.0005〜0.0050%
O(酸素)は、粒内変態核となる複合酸化物の生成に必須である。したがって、O含有量は、0.0005%以上であり、好ましくは0.0007%以上であり、さらに好ましくは0.0008%以上である。
一方、Oは、多量に含有すると清浄度の劣化が著しくなるため、耐摩耗鋼板の母材、溶接金属部およびHAZのいずれにおいても実用的な靱性を確保できない。したがって、O含有量は、0.0050%以下であり、好ましくは0.0049%以下であり、さらに好ましくは0.0035%以下である。
(1−12)Cu:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜1.30%、Ni:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%およびV:0.02〜0.10%のうち1種以上
本発明に係る耐摩耗鋼板は、さらに要求される表面硬度や靭性の程度に応じて、Cu、Cr、Ni、Mo、Vの1種以上を含有する。これらの元素を説明する。
(1−12−1)Cu:0.05〜0.5%
Cuは、0.05%以上含有することにより耐摩耗鋼板の焼入れ性を高め、硬度を向上させることができる。したがって、Cu含有量は、0.05%以上であり、好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。
一方、Cu含有量が0.5%を超えると耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、Cu含有量は、0.5%以下であり、好ましくは0.49%以下であり、さらに好ましくは0.30%以下である。
(1−12−2)Cr:0.05〜1.30%
Crは、耐摩耗鋼板の焼入れ性を高めて硬度を向上させることができる。したがって、Cr含有量は、0.05%以上であり、好ましくは0.22%以上であり、さらに好ましくは0.24%以上である。
一方、Cr含有量が1.30%を越えると、耐摩耗鋼板の靭性が著しく劣化する。したがって、Cr含有量は、1.30%以下であり、好ましくは1.28%以下であり、さらに好ましくは1.02%以下である。
(1−12−3)Ni:0.1〜1.0%
Niは、耐摩耗鋼板の焼入れ性および靭性をいずれも向上させる。したがって、Ni含有量は、0.1%以上であり、好ましくは0.14%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。
一方、Ni含有量が1.0%を超えると、コストの増加を招く。したがって、Ni含有量は、1.0%以下であり、好ましくは0.97%以下であり、さらに好ましくは0.64%以下である。
(1−12−4)Mo:0.05〜1.0%
Moは、耐摩耗鋼板の焼入れ性を高め、硬さの向上に寄与する。したがって、Mo含有量は、0.05%以上であり、好ましくは0.12%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上である。
一方、Mo含有量が1.0%を超えると、耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、Mo含有量は、1.0%以下であり、好ましくは0.99%以下であり、さらに好ましくは0.57%以下である。
(1−12−5)V:0.02〜0.10%
Vは、耐摩耗鋼板の焼入れ性を高め、硬さの向上に寄与する。したがって、V含有量は、0.02%以上であり、好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.04%以上である。
一方、V含有量が0.10%を越えると、耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、V含有量は、0.10%以下であり、好ましくは0.09%以下である。
(1−13)Ca:0.008%以下、Mg:0.005%以下、およびREM:0.01%以下のうちの1種以上
次に、任意元素を説明する。本発明に係る耐摩耗鋼板は、上記の必須元素に加えて、鋼板の清浄度を向上するため、必要に応じてCa、Mg、REMの1種以上を任意元素として含有してもよい。
(1−13−1)Ca:0.008%以下
Caは、酸素を低減することに加えて硫化物系非金属介在物の形態を制御することにより耐摩耗鋼板の靭性を改善する。しかし、Ca含有量が0.008%を超えると、粗大な酸化物が形成されるとともにTi系複合介在物が減少するため、靭性が劣化する。したがって、Ca含有量は、0.008%以下である。
上記効果を確実に得るためには、Ca含有量は、好ましくは0.001%以上であり、さらに好ましくは0.002%以上である。
(1−13−2)Mg:0.005%以下
Mgは、酸素を低減することにより耐摩耗鋼板の靭性を改善する。しかし、Mg含有量が0.005%を超えると、粗大な酸化物を形成し、耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、Mg含有量は、0.005%以下である。
上記効果を確実に得るためには、Mg含有量は、好ましくは0.002%以上であり、さらに好ましくは0.003%以上である。
(1−13−3)REM:0.010%以下
REMは、酸素を低減し、耐摩耗鋼板の靭性を改善する。しかし、REM含有量が0.010%を超えると耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、REM含有量は、0.010%以下であり、好ましくは0.003%以下である。
上記効果を確実に得るためには、REM含有量は、0.001%以上であり、好ましくは0.002%以上である。
(1−14)残部
上記以外の残部は、Feおよび不純物である。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものが例示される。
(1−15)式(1)により定義される炭素当量Ceq:0.40〜0.75
本発明に係る耐摩耗鋼板が所用の表面硬度を有するために、下記式(1)のように日本溶接協会規格(WES)で定義される焼入れ硬さの指標である炭素当量Ceqを0.40〜0.75%とする。式(1)における[ ]付元素は、各元素の含有量を示す。
Ceq=[C%]+[Si%]/24+[Mn%]/6+[Ni%]/40+[Cr%]/5+[Mo%]/4+[V%]/14・・・(1)
式(1)により定義される炭素当量Ceqは、耐摩耗鋼板の焼入れ性を示す指標である。耐摩耗鋼板の表面硬度を確保するためには、耐摩耗鋼板が含有するC,Si,Mn,Ni,Cr,Mo,V含有量を、式(1)で定義される炭素当量Ceqが0.40以上になるように、調整する必要がある。炭素当量Ceqが0.40%未満であると、焼入れ硬さが不足するために十分な表面硬度を得られず、耐摩耗性を確保できない。したがって、炭素当量Ceqは、0.40%以上であり、好ましくは0.41%以上であり、さらに好ましくは0.44%以上である。
一方、炭素当量Ceqが大きくなるほど表面硬度が高くなるが、炭素当量Ceqが0.75%を超えると、耐摩耗鋼板の靭性が劣化する。したがって、炭素当量Ceqは、0.75%以下であり、好ましくは0.71%以下であり、さらに好ましくは0.65%以下である。
(1−16)式(2)により定義されるCNB:6〜32
本発明に係る耐摩耗鋼板において所用の低温靭性およびHAZ靭性を確保するため、式(2)により定義されるCNBを6〜32とする。ただし、式(2)における[ ]付元素は、各元素の含有量を示す。
CNB=[C%]/[Nb%] ・・・(2)
固溶Nbは未再結晶域を広げ、その領域で圧延を行うことにより高密度の転位を導入し、変態核生成サイトを増加させる。これにより、組織微細化を図れるため、耐摩耗鋼板の表面硬さと低温靭性を向上することができる。
さらに、鋳片加熱時および溶接時には、Nb炭窒化物によってピンニング効果を発揮することによりオーステナイト粒の粗大化を抑制し、HAZ靭性の向上にも寄与する。このようなNbの効果を得るためには、CNBを6以上にする必要がある。CNBが6未満であると、Nbに対してCが不足することによりNb炭窒化物を形成しない固溶C量が不足することにより焼き入れ性が不足し、十分な表面硬度が得られず、耐摩耗性も確保できない。したがって、CNBは、6以上であり、好ましくは6.1以上であり、好ましくは7.4以上である。
一方、CNBが32を超えると、固溶Nbが不足し、未再結晶域を広げる効果が不足し、組織微細化による低温靭性の確保が困難となる。したがって、CNBは、32以下であり、好ましくは31.7以下であり、さらに好ましくは31.4である。
2.複合介在物
本発明は、HAZ組織微細化に寄与する複合介在物として、鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含む。そして、複合介在物の断面におけるMnSの面積率、界面におけるMnSの割合、その介在物の粒径および個数密度について下記の範囲に限定する。
(2−1)複合介在物の断面におけるMnSの面積率:10〜50%
本発明では、任意の切断面に現出した複合介在物を分析し、その複合介在物の断面積におけるMnSの面積率を測定することにより、複合介在物中のMnS量を規定する。
複合介在物の断面におけるMnSの面積率が10%未満であると、複合介在物中のMnS量が少なく、MnSとマトリクスとの界面に初期Mn欠乏層が十分に形成されない。その結果、溶接した際に粒内フェライトの生成が困難になる。
一方、複合介在物の断面におけるMnSの割合が50%超であると、複合介在物がMnS主体となる。この場合、Ti系酸化物中の原子空孔に吸収されるMnは少なく、溶接Mn欠乏層が形成されず、粒内フェライトの生成が困難になる。
したがって、複合介在物の断面におけるMnSの面積率は10〜50%である。
(2−2)複合介在物の周長に占めるMnSの割合:10%以上
複合介在物中のMnSは、Ti系酸化物の周囲に形成される。複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%未満であると、MnSとマトリクスとの界面に形成される初期Mn欠乏領域が小さい。このため、溶接しても粒内フェライトの形成量が十分でないので、良好な低温HAZ靭性を得ることができない。したがって、複合介在物のマトリクスとの周長に占めるMnSの割合は10%以上である。
MnSのこの割合が大きいほど初期Mn欠乏層は大きくなり、粒内フェライトが生成し易くなる。このため、この割合の上限は定めないが、通常80%以下となる。
(2−3)複合介在物の個数密度(粒径0.5〜5.0μmの複合介在物の個数密度):10〜40個/mm
複合介在物の個数密度とは、規定する粒径を有する複合介在物の単位面積当たりの個数を意味する。複合介在物の粒径が0.5μm未満では、複合介在物の周囲から吸収できるMn量が少なく、その結果、粒内フェライトの生成量が低下する。一方、複合介在物の粒径が5.0μmより大きいと、複合介在物が破壊の起点になる。このため、本発明においては、対象とする複合介在物の粒径を0.5〜5.0μmとする。
そして、粒径0.5〜5.0μmの複合介在物の個数密度はMn吸収量に関わる。安定した粒内フェライトを生成させるためには、各複合介在物が旧オーステナイト内に少なくとも1つ程度含まれる必要がある。そのため、複合介在物の個数密度は、10個/mm以上とする。
一方、複合介在物が過剰に多い場合は、延性破壊の吸収エネルギーが低下する。このため、複合介在物の個数密度は40個/mm以下とする。
3.製造方法
次に、本発明に係る耐摩耗鋼板は、上記のような化学組成を有していても、上記のような複合介在物を有することにより所用のHAZ靭性を確保するために、製造方法が適切でなければならない。
(3−1)工程I
本発明に係る耐摩耗鋼板の素材である鋳片の製造では、鋼中介在物の制御のために、RH(Ruhrstahl-Hausen)真空脱ガス処理前にArガスを上部より溶鋼内に吹き込み、溶鋼表面のスラグと溶鋼とを反応させる。これにより、スラグ内のトータルFe量を調整し、溶鋼内の酸素ポテンシャルを10〜30ppmに制御する。
ここで、Arガスの流量を100〜200L/minの間で調整し、吹き込み時間を5〜15minの間で調整する。その後、RH真空脱ガス処理により各元素を添加して成分調整を行い、連続鋳造により300mm程度の厚さの鋳片を鋳造する。
(3−2)工程II〜IV
次に、鋳片に、以下の工程II〜工程IVを順次に行う。
工程II:1000〜1200℃の温度域へ加熱および均熱化
工程III:所望の板厚まで熱間圧延
工程IV:室温まで冷却後、Ac点以上まで加熱して焼入れ
工程IIにおける加熱温度が1000℃未満であると、固溶Nbが不足し、未再結晶域を広げる効果が不足する。このため、高密度の転位を導入できず、変態核生成サイトが不足する。これにより、組織微細化を図ることができず、耐摩耗鋼板の表面硬さと低温靭性を確保できない。一方、加熱温度が1200℃を超えると、スケール付着量が多くなり、熱間圧延時に疵を生成する可能性がある。このため、工程IIにおける鋳片の加熱温度は1000〜1200℃とする。
工程IIIにおける熱間圧延は、特に限定を要する事項はなく、慣用の熱間圧延条件により、所望の板厚へ適宜熱間圧延を行えばよい。
工程IVでは、熱間圧延後の鋼板を室温相当まで冷却した後、オーステナイト化するためにAc点以上に加熱し、その温度域から焼入れを行って所望の硬さを得る。
(3−3)工程V
さらに必要に応じて工程(IV)の後に工程(V)を行ってAc点以下で焼戻すことにより、耐摩耗鋼板の靭性をさらに向上させることができる。
このようにして、本発明に係る低温靭性およびHAZ靭性に優れる耐摩耗鋼板を製造することができる。
さらに、本発明に係る耐摩耗鋼板およびその製造方法を、実施例を参照しながら具体的に説明する。これは本発明の例示であり、これにより本発明が限定されるものでない。
本発明では、転炉で溶製し、表1,2に示す化学組成(残部はFeおよび不純物)を有する300mm厚の鋳片を連続鋳造法により作製した。
Figure 2019056147
Figure 2019056147
ここで、複合介在物の制御の観点より、転炉においてRH真空脱ガス処理前の溶鋼中の酸素ポテンシャルを表3,4の量に調整した後、Ti等を添加して成分調整した。その後、連続鋳造過程で、溶鋼の温度を過度に高くせず、溶鋼の化学組成から決まる凝固温度に対し、その差が50℃以内になるように管理し、さらに凝固直前の電磁攪拌および凝固時の圧下を行って、300mm厚さの鋳片とした。
この鋳片を、表3,4に示す製造条件で、加熱および均熱し、40mmの板厚まで熱間圧延し、室温まで冷却した後、加熱して焼入れを行い、一部の試料ではさらに焼戻しを行うことにより、鋼板を得た。
Figure 2019056147
Figure 2019056147
Ti系複合介在物の断面におけるMnS面積率およびMnS周長割合の算出は、鋼板の板厚1/4t部より採取した複合介在物分析用の試験片を用いた。複合介在物は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用い、複合介在物を面分析したマッピング画像から、MnS面積率および複合介在物の界面におけるMnS周長割合を測定した。MnS面積率および複合介在物の界面におけるMnS周長割合は、各試料につき20個ずつEPMAによる分析を行い、平均値を算出することにより求めた。
さらに、Ti系複合介在物の個数密度は、SEM-EDXを組み合わせた自動介在物分析装置から得た複合介在物の形状測定データから、粒径が0.5〜5.0μmの範囲である複合介在物の個数を算出することにより、個数密度を算出した。算出した結果を表3,4に示す。
これらの試料について、表面を約0.7mm切削して脱炭層を除去した後にブリネル表面硬度試験を行った。低温靭性は1/4tの位置(板厚方向1/4の位置)においてシャルピー衝撃試験(L方向)を行い、−40℃における吸収エネルギーを評価した。耐遅れ破壊性は、丸棒引張試験片を1%NHSCN水溶液中に無負荷で24h浸漬を行って水素チャージした後、試験片にZnメッキを行って低歪速度引張試験(SSRT)をクロスヘッド速度1×10−3mm/minにて行って評価した。
図1は、実施例におけるHAZ靭性を評価するための試験片の採取要領を示す説明図である。符号1は耐摩耗鋼板を示し、符号2は裏板を示し、符号3は溶接ビードを示し、符号4は2mmVノッチシャルピー試験片を示す。
HAZ靭性は、図1に示すように、耐摩耗鋼板1をレ型開先で突き合わせた後、ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ:商品名YM−26(日鐵住金溶接工業株式会社製)を用いて、シールドガスにCOガスまたはArとCOの混合ガスを使用し、溶接入熱15.0〜20.0kJ/cmにて溶接ビード3の高さが12〜20mmとなるように多層盛り溶接を行い、その後、溶接長手方向と垂直に切断し、その切断断面で開先がストレート側の溶融線について鋼板方向に最も深くなっている点からZ方向をノッチとして、耐摩耗鋼板1の裏面1mmから2mmVノッチシャルピー試験片4を採取し、−40℃でシャルピー衝撃試験を行って吸収エネルギーを評価した。
特性の評価基準は以下の通りとした。
・ブリネル表面硬さ:400以上を合格とした。
・−40℃吸収エネルギー:27J以上を合格とした。
・低歪引張応力:1000MPa以上で破断しなかったものを合格とした。
・HAZ部−40℃吸収エネルギー:27J以上を合格とした。
得られた試験結果を表3,4に示す。
表1,3における記号A01〜A35は、本発明の規定を全て満足する本発明例であり、表2,4における記号B01〜B31は、本発明の規定を満足しない比較例である。
記号A01〜A35は、ブリネル表面硬さ:400以上、−40℃吸収エネルギー:27J以上、低歪引張応力:1000MPa以上で破断無し、HAZ部−40℃吸収エネルギー:27J以上の機械特性を有する耐摩耗鋼板であり、高い耐摩耗性と良好な低温靭性およびHAZ靭性を有している。このため、例えば鉱山の掘削に使用される大型ショベルや鉱物を運搬する大型ダンプなどの産業機械の構成部材として用いるのに好適である。
これに対し、記号B01は、C含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、表面硬さが不足した。
記号B02は、C含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B03は、Si含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、耐遅れ破壊性が不足した。
記号B04は、Si含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B05は、Mn含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B06は、Mn含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B07は、Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、表面硬さが不足した。
記号B08は、Nb含有量が本発明の範囲の上限を下回るため、耐遅れ破壊性が不足した。
記号B09は、Al含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B10は、Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B11は、Ti含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B12は、B含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、表面硬さが不足した。
記号B13は、B含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B14は、N含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B15は、N含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B16は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルが本発明の範囲の下限を下回るとともにO含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B17は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルが本発明の範囲の上限を上回るとともにO含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B18は、炭素当量Ceqが本発明の範囲の下限を下回るため、表面硬さが不足した。
記号B19は、炭素当量Ceqが本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B20は、CNBが本発明の範囲の下限を下回るため、表面硬さが不足した。
記号B21は、CNBが本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B22は、Cuが本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B23は、Cr含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B24は、Mo含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B25は、V含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B26は、Ca含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B27は、Mg含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、HAZ靭性が不足した。
記号B28は、REM含有量が本発明の範囲の上限を上回るため、鋼板の靭性が不足した。
記号B29は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルが本発明の範囲の下限を下回り、複合介在物の個数密度が少なくなったため、HAZ靭性がした。
記号B30は、RH真空脱ガス処理前における溶鋼中の酸素ポテンシャルが本発明の範囲の上限を上回り、複合介在物の個数密度が多くなったため、HAZ靭性がした。
さらに、記号B31は、S含有量が本発明の範囲の下限を下回るため、MnS面積率およびMnS周長割合が不十分となり、HAZ靭性が不足した。

Claims (4)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C :0.15〜0.28%、
    Si:0.10〜0.8%、
    Mn:0.8〜1.5%、
    P :0.015%以下、
    S :0.001〜0.004%、
    Nb:0.005〜0.035%、
    Al:0.003%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    B :0.0005〜0.0025%、
    N :0.0020〜0.0050%、
    O :0.0005〜0.0050%をそれぞれ含み、さらに、
    Cu:0.05〜0.5%、
    Cr:0.05〜1.30%、
    Ni:0.1〜1.0%、
    Mo:0.05〜1.0%および
    V:0.02〜0.10%のうち1種以上を含有し、
    残部がFeおよび不純物であり、
    以下の式(1)により定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.75であり、
    式(2)により定義されるCNBが6〜32であり、さらに
    鋼中にTi酸化物の周囲にMnSが存在する複合介在物を含み、
    前記複合介在物の断面における前記MnSの面積率が10〜50%であり、
    前記複合介在物の周長に占めるMnSの割合が10%以上であるとともに、
    粒径0.5〜5.0umの前記複合介在物の個数密度が10〜40個/mmである、耐摩耗鋼板。
    Ceq=[C%]+[Si%]/24+[Mn%]/6+[Ni%]/40+[Cr%]/5+[Mo%]/4+[V%]/14・・・(1)
    CNB=[C%]/[Nb%] ・・・(2)
    ただし、式(1)および式(2)における[ ]付元素は、各元素の含有量を示す。
  2. さらに、質量%で、
    Ca:0.008%以下、
    Mg:0.005%以下、および
    REM:0.010%以下
    のうちの1種以上を含有する、請求項1に記載の耐摩耗鋼板。
  3. RH真空脱ガス処理前において、溶鋼中の酸素ポテンシャルを10〜30ppmとし、
    RH真空脱ガス処理において化学組成を調整して溶鋼を製造し、
    溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片を製造し、
    鋳片を1000〜1200℃に加熱および均熱してから熱間圧延を行って室温まで冷却し、
    次いで加熱してAc点以上から焼入れる、請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
  4. さらに、Ac点以下の温度で焼戻す、請求項3に記載の耐摩耗鋼板の製造方法。
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