JP6828467B2 - 活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物及びベンゾインチオエーテル化合物 - Google Patents

活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物及びベンゾインチオエーテル化合物 Download PDF

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本発明は、ベンゾインチオエーテル化合物からなる活性エネルギー線重合開始剤及びこれを含有する活性エネルギー線硬化性組成物、更にこれを硬化されてなる硬化物に関するものである。また、新規なベンゾインチオエーテル化合物に関するものである。
なお、本明細書において「活性エネルギー線重合」を便宜的に「光重合」と表記することがある。
従来より、光重合を行う際には、Irgacure184等のラジカルを発生する光重合開始剤が一般的に用いられ、光重合性化合物と光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより、光重合性化合物が硬化されて硬化物が形成される。
しかしながら、ラジカル重合を利用する活性エネルギー線硬化性組成物は、空気中の酸素により酸素阻害が生じ重合が停止してしまうといった問題や、硬化による硬化収縮が生じてしまうといった問題などがあった。
この問題を解決する方法として、例えば、硬化収縮の改善を目的として、チオール化合物を添加し、チオール−エン反応を利用することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
更に、光照射でラジカルを発生する硫黄原子含有の光重合開始剤を用いることで、光重合収率を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。なお、同文献に記載のチオール化合物は芳香族チオールに限定されている。
また、保存安定性及び表面硬化性に優れる光重合開始剤として、単官能チオールを用いて合成されたベンゾインチオエーテル化合物が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
更に、紫外線に対する高い感度を持つ光重合開始剤として、特定構造の硫黄含有化合物が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
特表2009−503143号公報 特開昭63−99201号公報 特公昭55−39161号公報 特開2013−199433号公報
しかしながら、特許文献1開示の技術では、アクリレートなどの重合性化合物とチオール化合物を混合した場合、室温でも徐々に重合が進行してゲル化してしまうことがある。したがって、長期において高い保存安定性を維持することが困難であり、使用する直前で両化合物を混合する必要があることから、保存安定性の点でまだ充分なものとは言えず更なる改良が求められるものである。また、硬化物の表面硬度と屈曲耐久性についても更なる改良が求められている。
また、特許文献2開示の技術では、光重合収率の向上は認められるものの、硬化物の表面硬度と屈曲耐久性については考慮されておらず、近年、要求されている性能の高度化を考慮すると、まだまだ満足のいくものではなく、更なる改良が求められている。
また、特許文献3開示の技術では、硬化物の屈曲耐久性や硬化収縮については考慮されておらず、また、硬化速度についてもまだまだ満足のいくものではなく、更なる改良が求められている。
更に、特許文献4開示の技術は、水系材料への利用に関するものであるため、水以外の溶剤の溶解性については考慮されておらず、硬化速度についても更なる改良が求められるものであった。
そこで、本発明は、長期の保存安定性を有する活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができ、また、硬化時に酸素による重合阻害を受けにくく、更に、表面硬度と屈曲耐久性といった相反する両物性にも優れ、硬化収縮も小さい硬化物を得ることのできる活性エネルギー線重合開始剤、かかる活性エネルギー線重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性組成物、それが硬化されてなる硬化物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、活性エネルギー線重合開始剤として利用することができる新規なベンゾインチオエーテル化合物を提供することをも目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定構造のベンゾインチオエーテル化合物を活性エネルギー線重合開始剤に用いることにより、活性エネルギー線硬化性組成物の保存安定性にも非常に優れ、従来の活性エネルギー線重合開始剤と比較して表面硬度と屈曲耐久性といった相反する両物性にも優れ、更に硬化収縮も小さい硬化物を得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物からなることを特徴とする活性エネルギー線重合開始剤に関するものである。
(ここで、Xは、水素原子を除いた有機基であり、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、nは2〜6の整数である。)
また、本発明は、前記活性エネルギー線重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性組成物、更にそれが硬化されてなる硬化物も提供するものである。
また、本発明においては、上記一般式(1)で示される新規なベンゾインチオエーテル化合物も提供するものである。
本発明の活性エネルギー線重合開始剤によれば、長期の保存安定性を有する活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができ、更に、硬化時に酸素による重合阻害を受けにくく、表面硬度と屈曲耐久性といった相反する両物性にも優れ、硬化収縮も小さい硬化物を得ることができる。
また、本発明の新規なベンゾインチオエーテル化合物は、例えば、活性エネルギー線重合開始剤として有用である。
なお、本発明においては、活性エネルギー線を照射することにより、上記特定構造のベンゾインチオエーテル化合物から2官能以上のチオールが発生し、かかる2官能以上のチオールにより、より効果的に酸素阻害を受けにくくなって、重合反応が効率良く進行し、低照射量での硬化が可能となるものと推察される。
合成例1により得られた、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチルのH−NMRスペクトルである。 合成例2により得られた、[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチルのH−NMRスペクトルである。 合成例3により得られた、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチルのH−NMRスペクトルである。 合成例4により得られた、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチルのH−NMRスペクトルである。 合成例5により得られた、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−エチルヘキシルのH−NMRスペクトルである。 合成例6により得られた、2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンのH−NMRスペクトルである。 合成例7により得られた、2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンのH−NMRスペクトルである。 合成例8により得られた、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピルのH−NMRスペクトルである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系モノマーとは、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくとも一方を有するモノマーであり、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明は、上記一般式(1)で示される新規なベンゾインチオエーテル化合物を提供するものである。まず、上記一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物(以下、単に「ベンゾインチオエーテル化合物(1)」と略すことがある。)について説明する。
上記一般式(1)において、式中のXは、水素原子を除いた有機基であり、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。nは2〜6の整数である。
有機基としては、従来公知の有機基を使用することができ、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。
また、有機基は、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
直鎖構造や分岐構造の炭素数としては、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10である。直鎖構造や分岐構造として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
環状構造の炭素数としては、好ましくは3〜20、特に好ましくは3〜15である。環状構造として、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む有機基として、例えば、アシル基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルホニル基、オキシアシル基、カルバモイル基、ヒドラジノアシル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドラジノ基、オキシ基、スルフィド基、チオ基、アゾ基、イミノ基、トリアジン環等を有する有機基が挙げられる。更に具体的には、例えば、水素原子を除いた有機基としては、後記の式(3)、(4)および(5)に示すものが挙げられる。
R1およびR2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2が結合して、単環または縮合環を形成した構造である。
炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルケニル基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アラルキル基の炭素数としては、好ましくは7〜18、特に好ましくは7〜15である。具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、ヘテロアリールアルキル基の炭素数としては、好ましくは4〜18、特に好ましくは4〜15である。ヘテロアリールアルキル基におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。かかるヘテロアリールアルキル基としては、具体的には、例えば、トリアジニルメチル基、トリアジニルエチル基、2−ピリジルメチル基、2−ピリジルエチル基、3−ピリジルメチル基、3−ピリジルエチル基、4−ピリジルメチル基、4−ピリジルエチル基等が挙げられる。
炭素数3〜20のシクロアルキル基は、好ましくは3〜18、特に好ましくは3〜15である。具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基等が挙げられる。
また、上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、ヘテロアリールアルキル基、およびシクロアルキル基は置換基を有するものであってもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、フェニル基等が挙げられ、好ましくはシアノ基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、フェニル基である。かかるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルコキシ基の炭素数としては、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ基、イソプロポキ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
R1およびR2におけるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルコキシ基の炭素数としては、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ基、イソプロポキ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
R1およびR2におけるアシル基は、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造であって、飽和または不飽和の基を有する。アシル基の炭素数としては、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の炭素数としては、好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは6〜15である。具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
2つ以上のR1およびR2が結合して、単環または縮合環を形成した構造としては、例えば、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
なお、上記一般式(1)に示す芳香環上にR1またはR2が複数存在する場合には、それぞれのR1またはR2は同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のlおよびmは、上記一般式(1)に示す芳香環上の置換基R1およびR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数であり、好ましくは0〜4である。
上記一般式(1)において、XあるいはXに結合した置換基の価数(他の基と結合可能な数)により、そのnが決定される。例えば、XあるいはXに結合した置換基の価数が4価の炭素の場合はn=4、ベンゼン系芳香環の場合にはn=1〜6、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン等のトリアジン環の場合はn=3、有機基であるアルキレンの場合はn=2、有機基である下記式(a)の化合物の場合はn=6、のようにnが決定される。XあるいはXに結合した置換基と結合する部分は、XあるいはXに結合した置換基に複数が結合される場合には、構造が共通するようにしてもよい。
かくして、一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物が用いられ、具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
即ち、一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物としては、例えば、2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エチルスルファニル]−1,2−ジフェニルエタノン、2−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)ブチルスルファニル]−1,2−ジフェニルエタノン、2−[6−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)ヘキシルスルファニル]−1,2−ジフェニルエタノン、2−[8−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)オクチルスルファニル]−1,2−ジフェニルエタノン、2−{3−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(2−メトキシフェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)エタノン、2−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−{3−[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2−フェニルエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1−フェニルエタノン、2−[3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)オクチルスルファニル]−1,2−ジ−p−トリルエタノン、2−{3−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エタノン、1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−{3−[1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}エタノン、2−{3−[2−オキソ−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エタノン、2−{3−[1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]オクチルスルファニル}−1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)エタノン、1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−[3−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソ−エチルスルファニル)オクチルスルファニル]エタノン、2−[3−(1,2−ジナフタレン−1−イル−2−オキソエチルスルファニル)オクチルスルファニル]−1,2−ジナフタレン−1−イル−エタノン等が挙げられる。
本発明において、一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物は、例えば、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン誘導体とチオール化合物をトリエチルアミン存在下に有機溶媒中で反応させることによって製造することができる。
次に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明のベンゾインチオエーテル化合物(1)からなる活性エネルギー線重合開始剤[A]と、硬化対象である活性エネルギー線重合性化合物[B]を含有してなるものである。
活性エネルギー線重合性化合物[B]としては、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物であればよく、具体的には、エチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物[b1]及びエチレン性不飽和基を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物[b2]の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート、スチレン系化合物、ビニル化合物、アリル化合物、アクリロニトリル等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化された油、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を1つ有するエチレン性不飽和化合物(以下、「単官能モノマー」と略記することがある。)[b1]としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリルレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテルアクリレート等が挙げられる。
更に、その他に、アクリル酸のマイケル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも併用可能であり、アクリル酸のマイケル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、特定の置換基をもつカルボン酸であり、例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、その他オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
また、エチレン性不飽和基を2つ以上有するエチレン性不飽和化合物(以下、「多官能モノマー」と略記することがある。)[b2]としては、2官能モノマー、3官能以上のモノマーが挙げられる。
2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線重合性化合物[B]としては、上記の中から1種を用いてもよいし2種以上併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物において、活性エネルギー線重合開始剤[A]と活性エネルギー線重合性化合物[B]の含有量としては、活性エネルギー線重合性化合物[B]100重量部に対して、活性エネルギー線重合開始剤[A]が0.1〜100重量部であることが好ましく、特には1〜50重量部、更には4〜20重量部であることが好ましい。活性エネルギー線重合開始剤[A]の含有量が多すぎると、光分解物の影響で硬化物の物性が低下する傾向があり、少なすぎると硬化反応が進行し難くなる傾向がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を配合することができる。かかる増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、増感剤の含有量は、使用する活性エネルギー線重合開始剤[A]、及び必要とされる感度等により適宜決定すればよいが、活性エネルギー線重合開始剤[A]100重量部に対して1〜300重量部であることが好ましく、更には5〜200重量部であることが好ましい。増感剤が少なすぎると、感度が十分に高められない傾向があり、増感剤が多すぎると、感度を高めるのに過剰となり、硬化物の物性が低下する傾向にある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて希釈剤、可撓性付与剤、シラン系カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、補強剤、充填剤、無機ナノフィラー、難燃剤、連鎖移動剤、着色剤、顔料、染料等の各種添加剤を配合することができる。
上記希釈剤としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシド、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの反応性希釈剤や、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メタノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの非反応性希釈剤などが挙げられる。
上記可撓性付与剤としては、例えば、ジオクチルフタレートやジイソプロピルフタレートなどのフタル酸エステルやポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、イミダゾール系シランカップリング剤、アミン系シランカプリング剤、メルカプト系シランカップリング剤などが挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、アルコール消泡剤、金属石鹸消泡剤、リン酸エステル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤、フッ素系消泡剤、鉱物油消泡剤、アクリル系消泡剤などが挙げられる。
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
上記補強剤、及び充填剤としては、例えば、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のケイ素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物などの粉末状材料や、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維等の繊維質材料などが挙げられる。
上記難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、トリブロモフェノール、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化合物、トリフェニルホスフェート、ポリリン酸塩等のリン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系化合物などが挙げられる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、多官能メルカプタン系化合物が挙げられ、具体的には、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
上記着色剤、顔料、及び染料としては、例えば、二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線重合開始剤[A]は、それ単独で用いることもできるし、従来公知の一般的に用いられる光重合開始剤、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等の光重合開始剤と併用することもできる。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
本発明において、活性エネルギー線重合開始剤[A]及び活性エネルギー線重合性化合物[B]を混合する方法としては、例えば、所定量の活性エネルギー線重合開始剤[A]と活性エネルギー線重合性化合物[B]を含む活性エネルギー線硬化性組成物を、ロール混練機、ニーダー、または押出機等を用いて混練することが好ましい。
かくして本発明において、一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物からなる活性エネルギー線重合開始剤[A]と活性エネルギー線重合性化合物[B]を含有してなる活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができ、上記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化することにより硬化物を得ることができる。
かかる活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば、基板またはフィルム等の支持体上に塗工し、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。基板またはフィルム等の支持体上に塗工するにあたっては、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等を用いたり、ディッピング方式による塗工を行なうことができる。
かかる活性エネルギー線の照射には、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
かかる紫外線照射を行う時の光源としては、例えば、高圧水銀灯、無電極ランプ、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト、LED等が用いられる。
かかる紫外線照射は、2〜20000mJ/cm2、好ましくは10〜10000mJ/cm2の条件で行われる。
かくして活性エネルギー線硬化性組成物が硬化されてなる硬化物が得られ、その厚さは、通常0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは1〜30μmである。かかる厚さが厚すぎても薄すぎても硬化性が低下する傾向がある。
一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物からなる本発明の活性エネルギー線重合開始剤[A]は、硬化時に酸素による重合阻害を受けにくく、硬化収縮が小さく、得られる硬化物の表面硬度と屈曲耐久性に優れる。したがって、その活性エネルギー線重合開始剤[A]を含有する活性エネルギー線硬化性組成物は保存安定性に優れるものであり、例えば、塗料または印刷インキ、インクジェットインキ、粘着剤、接着剤、保護コーティング剤、アンカーコーティング剤、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、版材、フォトレジスト、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。
特に、インクジェットインキや粘着剤、接着剤、フォトレジスト、光学部材、電子部品などに用いる際は、薄膜で使用することが多く、酸素の影響を受け易いので、酸素による重合阻害を受けにくく保存安定性に優れている本発明の化合物は有用である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
また、本発明は、下記一般式(2)、(6)または(7)で示される新規なチオベンゾエート化合物をも提供するものである。
下記一般式(2)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、Yは下記式(3)、(4)あるいは(5)である。)
(ここで、Zは炭素原子、酸素原子、または硫黄原子である)
下記一般式(6)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数である。)
下記一般式(7)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、Yはメチル基あるいは下記式(8)である。)
上記一般式(2)、(6)および(7)において、炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルケニル基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アラルキル基の炭素数としては、好ましくは7〜18、特に好ましくは7〜15である。具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、ヘテロアリールアルキル基の炭素数としては、好ましくは4〜18、特に好ましくは4〜15である。ヘテロアリールアルキル基におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。かかるヘテロアリールアルキル基としては、具体的には、例えば、トリアジニルメチル基、トリアジニルエチル基、2−ピリジルメチル基、2−ピリジルエチル基、3−ピリジルメチル基、3−ピリジルエチル基、4−ピリジルメチル基、4−ピリジルエチル基等が挙げられる。
炭素数3〜20のシクロアルキル基は、好ましくは3〜18、特に好ましくは3〜15である。具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基等が挙げられる。
また、上記アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、ヘテロアリールアルキル基、およびシクロアルキル基は置換基を有するものであってもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、フェニル基等が挙げられ、好ましくはシアノ基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、フェニル基である。かかるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルコキシ基の炭素数としては、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ基、イソプロポキ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
R1およびR2におけるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状であってもよく、アルコキシ基の炭素数としては、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜15である。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ基、イソプロポキ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の炭素数としては、好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは6〜15である。具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。
2つ以上のR1およびR2が結合して、単環または縮合環を形成した構造としては、例えば、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基、アルケニル基、およびアリール基は置換基を有するものであってもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルコキシ基である。
なお、上記一般式(2)、(6)および(7)に示す芳香環上にR1またはR2が複数存在する場合には、それぞれのR1またはR2は同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のlおよびmは、上記一般式(2)、(6)、(7)に示す芳香環上の置換基R1およびR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数であり、好ましくは0〜4である。
一般式(2)で示されるベンゾインチオエーテル化合物の具体例としては、例えば、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチル、[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2−フェニルエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2−フェニルエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジp−トリルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチル、[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]酢酸4−{2−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[2−オキソ−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]酢酸4−{2−[2−オキソ−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、[1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル、(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソ−エチルスルファニル)酢酸4−[2−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソ−エチルスルファニル)アセトキシ]ブチル、(1,2−ジナフタレン−1−イル−2−オキソ−エチルスルファニル)酢酸4−[2−(1,2−ジナフタレン−1−イル−2−オキソ−エチルスルファニル)アセトキシ]ブチル、2−[5−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)ペンチルスルファニル]−1,2−ジフェニルエタノン、2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン、2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エチルスルファニル]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン、2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン等が挙げられる。
一般式(6)で示されるベンゾインチオエーテル化合物の具体例としては、例えば、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2−フェニルエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス(2−{3−[1−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2−フェニルエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル、3−[2−オキソ−1,2−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[2−オキソ−1,2−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−[1,2−ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−[1,2−ビス−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−[1,2−ビス−(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[1,2−ビス−(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−[2−オキソ−1,2−ビス−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]プロピオン酸2−[2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス(2−{3−[2−オキソ−1,2−ビス−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−[1,2−ビス−(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2−[3,5−ビス−(2−{3− [1,2−ビス−(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシ}エチル)−2,4,6−トリオキソ−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル、3−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2−(3,5−ビス−{2−[3−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,6−トリオキソ−[1,3,5]トリアジナン−1−イル]エチル等が挙げられる。
一般式(7)で示されるベンゾインチオエーテル化合物の具体例としては、例えば、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチル、3−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(2−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(4−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2−ジ−p−トリルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチル、3−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[2−オキソ−1,2−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(4−ベンジルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[1,2−ビス(4−シクロプロピルフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−[2−オキソ−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]プロピオン酸2,2−ビス{3−[2−オキソ−1,2−ビス(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エチルスルファニル]プロピオニルオキシメチル}ブチル、3−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(1,2−ビス−ビフェニル−4−イル−2−オキソエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチル、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル等が挙げられる。
本発明の一般式(2)、(6)または(7)で示されるベンゾインチオエーテル化合物については、公知の合成条件に準じて製造することができる。
本発明の一般式(2)、(6)または(7)で示されるベンゾインチオエーテル化合物は、活性エネルギー線重合開始剤として非常に有用であり、硬化時に酸素による重合阻害を受けにくいから、かかるベンゾインチオエーテル化合物を活性エネルギー線重合性化合物に配合してなる活性エネルギー線硬化性組成物は、保存安定性に優れる。また、かかる活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、表面硬度と屈曲耐久性に優れ、硬化収縮も小さいことから、本発明の一般式(2)、(6)または(7)で示されるベンゾインチオエーテル化合物は活性エネルギー線重合開始剤として大いに期待される。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<実施例1>
〔合成例1:(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチル[A−1]の合成〕
100mL四つ口フラスコに、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコラート)2.5g(0.011mol)、トリエチルアミン8.5g(0.084mol)、アセトニトリル10mLを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン7.3g(0.032mol)、アセトニトリル20mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で24時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、橙色の粘調液体の(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチルを取得した。取得した(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチルの量は3.0gであり、収率は46%であった。
なお、合成例1により得られた、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)酢酸4−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)アセトキシ]ブチル[A−1]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図1に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.97ppm(m,4H,Ar−H)
7.2−7.5ppm(m,16H,Ar−H)
5.96ppm(s,2H,−S−CH−Ar)
4.10ppm(t,4H,−O−CH2−)
3.0−3.2ppm(m,4H,−O−CO−CH−)
1.6−1.7ppm(m,4H,−O−CH2−C
さらに、調製用ガラス瓶に、合成例1の化合物[A−1]4部、トリメチロールプロパントリアクリレート[B−1]100部を同時に仕込み、混合することで活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、以下の評価を行った。
〔保存安定性〕
得られた活性エネルギー線硬化性組成物を20℃で放置し、ゲル化の発生具合を目視で観察し、下記の基準にて評価した。
〇・・・1か月以上ゲル化しなかった。
×・・・1か月未満にゲル化してしまった。
〔表面硬度〕
得られた活性エネルギー線硬化性組成物を東洋紡製の易接着PET「コスモシャインA4300」上に20μmの厚さとなるように塗工した後、高圧水銀ランプの取り付けられた紫外線照射装置にてピーク照度:200mW/cm2で5J/cm2(365nm)の紫外線照射を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の表面硬度を、JIS K5600−5−4に準拠して測定した。
〔屈曲耐久性〕
上記方法により得られた硬化物の屈曲耐久性を、JIS K5600−5−1に準拠して測定した。
〔硬化収縮率〕
得られた活性エネルギー線硬化性組成物(硬化前)と紫外線照射後の硬化物(硬化後)を用いて、乾式密度測定装置(アキュピック1330(島津製作所))を用いて密度(温度23℃)を測定し、[{(硬化後の密度)−(硬化前の密度)}/(硬化後の密度)]×100より、硬化収縮率(%)を算出した。
〔酸素阻害〕
得られた活性エネルギー線硬化性組成物を酢酸エチル100部で希釈した後、かかる組成物を1μmの厚さとなるように塗工した。その後、80℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプの取り付けられた紫外線照射装置にてピーク照度:200mW/cmで5J/cm(365nm)の紫外線照射を行い、硬化物を得た。上記の表面硬度測定及び屈曲耐久性測定における紫外線照射時に、薄膜(1μm)と厚膜(20μm)の硬化に要する照射量を比較し、下記のように評価した。
A・・・薄膜の照射量が厚膜の照射量と同じであった。
B・・・薄膜の照射量が厚膜の照射量の1倍より多く2倍未満であった。
C・・・薄膜の照射量が厚膜の照射量の2倍以上であった。
<実施例2>
実施例1において、化合物[A−1]の配合量を10部に変更した以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を2J/cm2とした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<実施例3>
〔合成例2:[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)2−オキソエチルスルファニル]酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチル[A−2]の合成〕
100mL三つ口フラスコに、m−アニスアルデヒド14g(0.10mol)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート2.6g(0.020mol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン3.1g(0.020mol)を仕込み、マイクロウェーブ照射(昇温10℃/min、80℃で1時間保持)で加熱した。そこに、反応終了後、トルエンと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、得られた黄色固体をヘキサンで洗浄し、吸引濾過後、白色固体の2−ヒドロキシ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノンを取得した。取得した2−ヒドロキシ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノンの量は8.6gであり、収率は61%であった。
続いて、50mL三つ口フラスコに2−ヒドロキシ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノン8.0g(0.029mol)、ピリジン8.9g(0.113mol)を仕込み、氷浴で撹拌した。その後、塩化チオニル11g(0.092mol)を氷浴下で滴下し、室温で2時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色の粘性液体の2−クロロ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノンを取得した。取得した2−クロロ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノンの量は3.8gであり、収率は44%であった。
更に、100mL四つ口フラスコに1,4−ブタンジオールビス(チオグリコラート)0.62g(0.0026mol)、トリエチルアミン2.1g(0.021mol)、アセトニトリル20mLを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、2−クロロ−1,2−ビス(3−メトキシフェニル)エタノン1.8g(0.0062mol)、アセトニトリル15mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で23時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色の粘調液体の[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチルを取得した。取得した[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチルの量は1.3gであり、収率は67%、全収率は18%であった。
なお、合成例2により得られた、[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル)酢酸4−{2−[1,2−ビス(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]アセトキシ}ブチルの1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図2に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.4−7.6ppm(m,4H,Ar−H)
7.1−7.4ppm(m,4H,Ar−H)
7.0−7.1ppm(m,6H,Ar−H)
5.9−6.8ppm(m,2H,Ar−H)
5.90ppm(s,2H,−S−CH−Ar)
4.10ppm(m,4H,−O−CH2−)
3.7−3.8ppm(m,12H,−O−CH
3.0−3.2ppm(m,4H,−O−CO−CH−)
1.6−1.7ppm(m,4H,−O−CH2−C
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例2で得られた化合物[A−2]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例4>
実施例2において、化合物[A−1]の代わりに、合成例2で得られた化合物[A−2]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
<実施例5>
〔合成例3:3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル[A−3]の合成〕
200mL四つ口フラスコに、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート4.0g(0.0076mol)、トリエチルアミン9.2g(0.091mol)、アセトニトリル30mLを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン7.9g(0.034mol)、アセトニトリル35mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で3日間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色の固体の3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチルを取得した。取得した3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチルの量は5.0gであり、収率は59%であった。
なお、合成例3により得られた、3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−(2,4,6−トリオキソ−3,5−ビス{2−[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]エチル}−[1,3,5]トリアジナン−1−イル)エチル[A−3]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図3に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,6H,Ar−H)
7.2−7.5ppm(m,24H,Ar−H)
5.65ppm(s,3H,−S−CH−Ar)
4.25ppm(t,6H,−CO−O−CH2−)
4.08ppm(t,6H,−N−CH2−)
2.6−2.8ppm(m,6H,−O−CO−CH−)
2.1−2.6ppm(m,6H,−S−CH2−)
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例3で得られた化合物[A−3]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を6J/cmとした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<実施例6>
実施例2において、化合物[A−1]の代わりに、合成例3で得られた化合物[A−3]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を3J/cmとした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<実施例7>
〔合成例4:3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチル[A−4]の合成〕
100mL四つ口フラスコに、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)2.5g(0.0063mol)、トリエチルアミン7.6g(0.075mol)、アセトニトリル20mLを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン6.5g(0.028mol)、アセトニトリル30mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で24時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、薄黄色の粘調液体の3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチルを取得した。取得した3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチルの量は4.4gであり、収率は72%であった。
なお、合成例4により得られた、3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2,2−ビス[3−(2−オキソ−1,2ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]ブチル[A−4]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図4に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,6H,Ar−H)
7.2−7.5ppm(m,24H,Ar−H)
5.65ppm(s,3H,−S−CH−Ar)
2.6−2.7ppm(m,6H,−S−CH2−)
2.4−2.6ppm(m,6H,−O−CO−CH2−)
1.36ppm(q,2H,−CO−O−CH−)
0.79ppm(m,6H,−CH
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例4で得られた化合物[A−4]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を5J/cmとした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<実施例8>
実施例2において、化合物[A−1]の代わりに、合成例4で得られた化合物[A−4]を用いた以外は同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を2J/cmとした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<比較例1>
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「Irgacure184」)を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、厚さ20μmでの紫外線照射量を1J/cm2、厚さ1μmでの紫外線照射量を7J/cm2とした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<比較例2>
実施例2において、化合物[A−1]の代わりに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、「Irgacure184」)を10部用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、厚さ20μmでの紫外線照射量を1J/cm2、厚さ1μmでの紫外線照射量を2J/cm2とした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<比較例3>
〔合成例5:3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル[A−5]の合成〕
100mL三つ口フラスコに、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル2.0g(0.0092mol)、トリエチルアミン4.6g(0.046mol)、アセトニトリル20mLを仕込み、室温下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン3.2g(0.014mol)、アセトニトリル15mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で3日間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色の液体の3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−エチルヘキシルを取得した。取得した3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−エチルヘキシルの量は3.0gであり、収率は79%であった。
なお、合成例5により得られた、3−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸2−エチルヘキシル[A−5]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図5に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,2H,Ar−H)
7.2−7.5ppm(m,8H,Ar−H)
5.65ppm(s,1H,−S−CH−Ar)
3.9−4.0ppm(q,2H,−CO−O−CH−)
2.7−2.8ppm(m,2H,−S−CH2−)
2.5−2.6ppm(m,2H,−O−CO−CH2−)
1.5−1.6ppm(m,1H,−CH−)
1.2−1.4ppm(m,8H,−CH−)
0.8−0.9ppm(m,6H,−CH
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例5で得られた化合物[A−5]を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を11J/cm2とした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<比較例4>
実施例2において、化合物[A−1]の代わりに、合成例5で得られた化合物[A−5]を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を4J/cm2とした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
<比較例5> 実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、1,4−ブタンジオールビス(チオグリコラート)を4部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「Irgacure184」)を1部用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。 得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
なお、紫外線照射量を10J/cmとした以外は同様に硬化物を調製し評価を行った。
上記の実施例1〜8及び比較例1〜5の評価結果を表1に示す。
<実施例9>
〔合成例6:2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン[A−6]の合成〕
200mL四つ口フラスコに、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル2.0g(0.015mol)、トリエチルアミン11.7g(0.12mol)、アセトニトリル20mLを仕込み、氷浴下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン10g(0.043mol)、アセトニトリル20mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で17時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色の粘性液体の2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンを取得した。取得した2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンの量は1.6gであり、収率は21%であった。
なお、合成例6により得られた、2−{2−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)エトキシ]エチルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン[A−6]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図6に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,4H,Ar−H)
7.2−7.5ppm(m,16H,Ar−H)
5.80ppm(s,2H,−S−CH−Ar)
3.5−3.6ppm(m,4H,−O−CH2−)
2.63ppm(t,4H,−S−CH2−)
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例6で得られた化合物[A−6]を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた組成物は、1か月以上安定に保存ができた。
<実施例10>
〔合成例7:2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン[A−7]の合成〕
100mL四つ口フラスコに、4,4‘−チオビスベンゼンチオール1.0g(0.0040mol)、トリエチルアミン3.2g(0.032mol)、アセトニトリル15mLを仕込み、氷浴下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン2.8g(0.012mol)、アセトニトリル15mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で23時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、黄色の固体の2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンを取得した。取得した2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノンの量は0.50gであり、収率は20%であった。
なお、合成例7により得られた、2−{4−[4−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニルスルファニル}−1,2−ジフェニルエタノン[A−7]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図7に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,4H,Ar−H)
7.0−7.5ppm(m,24H,Ar−H)
5.83ppm(s,3H,−S−CH−Ar)
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例7で得られた化合物[A−7]を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた組成物は、1か月以上安定に保存ができた。
<実施例11>
〔合成例8:(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル[A−8]の合成〕
100mL四つ口フラスコに、ヘキサキス(3−メルカプトプロピオン酸)次ペンタエリトリトール1.0g(0.0013mol)、トリエチルアミン3.1g(0.031mol)、アセトニトリル10mLを仕込み、氷浴下で撹拌した。そこに、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン2.7g(0.012mol)、アセトニトリル15mLの混合溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で3日間反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水を添加し、抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、薄黄色の固体の(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピルを取得した。取得した(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピルの量は0.70gであり、収率は28%であった。
なお、合成例8により得られた、(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオン酸3−{3−[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシ]−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピオニルオキシ}−2,2−ビス[2−(2−オキソ−1,2−ジフェニルエチルスルファニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル[A−8]の1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)は図8に示される通りであり、その帰属は以下の通りである。
7.9−8.0ppm(m,12H,Ar−H)
7.1−7.5ppm(m,48H,Ar−H)
5.66ppm(s,6H,−S−CH−Ar)
3.99ppm(s,12H,−CO−O−CH2−)
3.24ppm(s,4H,−O−C 2 −C−CH−O−CO−)
2.6−2.7ppm(m,12H,−S−CH−)
2.4−2.5ppm(m,12H,−O−CO−CH−)
実施例1において、化合物[A−1]の代わりに、合成例8で得られた化合物[A−8]を用いた以外は同様の方法で活性エネルギー線硬化性組成物を得た。得られた組成物は、1か月以上安定に保存ができた。
比較例1および2の組成物では紫外線照射時の酸素阻害により照射量が相対的に多くなったが、実施例1〜8の組成物では酸素阻害の影響をほとんど受けなかった。また、比較例1の組成物に比べ、実施例1、3〜5、および7の組成物は硬化収縮が抑えられることがわかった。さらに、比較例1および2の硬化物に比べ、実施例2〜4、6、および8の硬化物は表面硬度と屈曲耐久性に優れていた。また、比較例3、および4の組成物に比べ、実施例1〜8の組成物は低照射量で高硬度な硬化物を得ることがわかった。
さらに、合成例1〜8に記載の化合物は、比較例5の化合物に比べ非常に優れた保存安定性を有する活性エネルギー線重合開始剤として有用であることがわかる。
本発明によれば、長期の保存安定性を有する活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができ、さらに、表面硬度と屈曲耐久性に優れた硬化物を得ることができるため、本発明のベンゾインチオエーテル化合物は、例えば、塗料または印刷インキ、インクジェットインキ、粘着剤、接着剤、保護コーティング剤、アンカーコーティング剤、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、版材、フォトレジスト、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。
特に、インクジェットインキや粘着剤、接着剤、フォトレジスト、光学部材、電子部品などに用いる際は、薄膜で使用することが多く、酸素の影響を受け易いので、酸素による重合阻害を受けにくく保存安定性に優れている本発明の化合物は有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で示されるベンゾインチオエーテル化合物からなることを特徴とする活性エネルギー線重合開始剤。
    (ここで、Xは、水素原子を除いた有機基であり、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、nは2〜6の整数である。)
  2. 請求項1記載の活性エネルギー線重合開始剤[A]及び活性エネルギー線重合性化合物[B]を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物が硬化されてなることを特徴とする硬化物。
  4. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
    (ここで、Xは、水素原子を除いた有機基であり、直鎖構造、分岐構造、環状構造、あるいはこれら構造を組み合わせた複合構造でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、nは2〜6の整数である。)
  5. 下記一般式(2)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
    (ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、Yは下記式(3)、(4)あるいは(5)である。)
    (ここで、Zは炭素原子、酸素原子、または硫黄原子である。)
  6. 下記一般式(6)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
    (ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数である。)
  7. 下記一般式(7)で示されることを特徴とするベンゾインチオエーテル化合物。
    (ここで、R1およびR2はそれぞれ独立してハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数7〜20のアラルキル基または炭素数4〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のシクロルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、スルフィド基、ニトロ基、シアノ基、炭素数6〜20のアリール基、または、2つ以上のR1およびR2がそれぞれ結合して、単環または縮合環を形成した構造である。lおよびmはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、Yはメチル基あるいは下記式(8)である。)
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