JP6828201B2 - ハニカム構造型触媒、排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法 - Google Patents

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本発明は、ハニカム構造型触媒排ガス浄化装置及び排ガス浄化方法に関し、さらに詳しくは、窒素酸化物(NOx)、燃料由来の未燃焼の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の浄化性能が高く、耐熱性が向上すると共に、ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)として使用する際には外皮部分の通気性を確保できるハニカム構造型触媒、排ガス浄化装置及びこれを用いた排ガス浄化方法に関する。
自動車の排ガスには、窒素酸化物(NOx)、燃料由来の未燃焼の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)など様々な有害成分が含まれ、その浄化にあたっては従来から様々な手法が提案され実施されてきた。
排ガスの発生源には、ガソリンを燃料とした自動車の他、軽油を燃料として使用したディーゼルエンジンを搭載したディーゼル自動車がある。ディーゼル自動車から排出される排ガスについては、前記のNOx、HC、COの他に、微粒子成分としてのPM(Particulate Matter)も知られており、そのようなPMの浄化に使用する装置としてDPF(Diesel Particulate Filter)が広く使われてきた。
DPFはウォールフローハニカムフィルターとも呼ばれる排ガス浄化用フィルター装置の総称であるが、その構造は入口端部から出口端部に向けて隔壁に仕切られた複数のセルからなり、このセルは入口端部と出口端部で交互に目封止されたハニカム構造である。セルを構成する隔壁は通気性を有し、この通気性を利用して排ガス中からPMを濾し取ることによってPMを除去している。
DPFによって排ガス中から濾し取られたPMは、DPFに堆積し続けると目詰まりを起こしてしまうことから、排ガスの熱や、エンジンの燃焼室や排ガス中への燃料噴射によってPMを燃焼させてDPFを再生している。このような再生を促進する目的で、DPFのセルの隔壁に触媒成分を被覆することがあり、触媒成分を被覆したDPFをCSF(Catalyzed Soot Filter)ということがある。本出願人も、これらの触媒を組み込んだシステムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
従来、ディーゼル自動車で排ガス中のPMの浄化が求められてきたが、それはガソリンに比べて燃焼し難い軽油を使用するためであり、燃焼し易く、発生するPMの量も少ないガソリン燃料を用いる自動車については、環境問題として今まで特に注目されていなかった。
しかし、環境問題への関心が高まる中、排ガス中の有害成分への規制も厳しさを増し、ガソリン自動車から排出されるPMについても、その排出量を規制する動きが有る。特に近年は燃費についても市場の関心が高く、ガソリンエンジンにおいては緻密な制御のもと燃焼室内にガソリンを直接噴霧供給する直噴型エンジンが主流になりつつある。しかし、このような直噴型ガソリンエンジン(GDI:Gasoline Direct Injection)においては、噴霧されたガソリンの一部が微粒子の状態を保ったまま燃焼室内が燃焼状態となることから、粒子状の燃料に由来した不完全燃焼によって、従来のインテークマニホールドから燃料と空気の混合ガスを供給するガソリン自動車に比べて多くのPMが発生することがあり、排出規制の必要性もより現実味を増す様になってきた。
このようなガソリン自動車から排出されるPMの除去にも、ディーゼル自動車用のDPFと同様にウォールフローハニカムフィルターを使用することが考えられるが、ガソリン自動車の特性からディーゼル自動車用のDPFをそのまま転用することは難しかった。
その第1の理由として、ガソリン自動車とディーゼル自動車で大きく違う排ガスの流速が挙げられる。ディーゼルエンジンは、高圧力で圧縮された空気に対し燃料を噴射し、その圧力の作用により燃料を着火し爆発させることで運動エネルギーを取り出している。高圧縮で効率の良いエンジンではあるが、高圧縮な状態を作ることからエンジンの回転数がガソリン自動車に比べて低く、そのため排気ガスの流速も遅い。この様に流速の遅い排ガス用に設計されたDPFでは、ハニカム構造体の外部側面(以下、「外皮部分」ということがある)にまで通気性を求める必要が無く、従来DPFではハニカム構造体の強度を向上するために、外皮部分は緻密な高強度セラミックス材料で構成されていた。また、ディーゼル自動車では一般にエンジンの回転数が低いことから、ガソリン自動車に比べて走行中の排ガスの温度も低く、外皮部分への特別な工夫は必要なかった。
しかし、ガソリンエンジンからの排ガスにおいては、ディーゼルエンジンの場合とは状況が異なる。ガソリンエンジンは、点火プラグによって混合気に着火するため、一般的なディーゼルエンジンに比べて圧縮比が小さい。そのため、エンジンを高回転で稼働させ、高出力を得ることができる。更に、近年の燃費向上に関する市場からの要求により、車両の軽量化を目的に高出力エンジンについても小型化する傾向がある。小型のエンジンで高出力を得るためにはエンジンを高回転で稼働させたり、過給器により多量の空気をシリンダー内に供給したりする必要があるが、高回転や過給状態で稼働させたエンジンから排出される排ガスの流速は更に速くなる。このような流速の早い排ガスに従来のようなDPFを使用したのでは背圧が上がり、エンジン出力の向上への障害になってしまう。
また、DPFのようにハニカム構造体の外皮部分に別材料の壁をつくると、走行中の温度がディーゼルエンジンよりも高温となるガソリンエンジン用触媒では、熱膨張率の差等によりクラックが生じるなどの問題も懸念される。このため、一体成型のものが好ましい場合がある。
従って、ガソリンエンジンの排ガス中からPMを除去するフィルターでは、DPFのように強度を求めて通気性の無い緻密な外皮部分を設けずに、外皮部分にも通気性を持たせたハニカムフィルターが検討されている。このようなガソリンエンジン用のPMフィルターをGPF(Gasoline Particulate Filter)ということがある(例えば、特許文献3参照)。
GPFであれば、いたずらに背圧の上昇を招かずに排ガス中のPMを除去することが可能である一方、触媒としての製造上、新たな課題が生じていた。
ガソリンエンジンの排ガスの浄化には白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を含有した三元触媒(TWC:Three Way Catalyst)という、NOx、HC、COを同時に浄化する成分で触媒化したハニカム構造体が使用されている。従来のTWCは、DPFのようにセルの両端面で互いに目封止をしたハニカム構造体ではなく、セルの両端面が解放されたハニカムのセルの隔壁に触媒成分を被覆したフロースルーハニカムと言われるハニカム構造体が使用されている。
このようなフロースルーハニカムであれば、背圧の上昇も少なく、ガソリンエンジンのように高流速の排ガス処理に適している。また、圧力損失の増加を少なくするために、セルの片側端面のみを目封止をしたハニカム構造体を用いるようにした排気ガス浄化装置も提案されている(特許文献9参照)。
フロースルーハニカムに限らず、DPFをTWCのような触媒組成物で触媒化するにあたっては、一般にウォッシュコート法と言われる製法が適用される(例えば、特許文献2参照)。
ウォッシュコートには多様な手法が提案・実施されているが、その基本原理は「ハニカムセル内部にスラリー化した触媒成分を供給する工程」、「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」からなる。「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」において、フロースルーハニカムであれば特段の支障なく余剰なスラリーの除去が可能である。また、従来のDPFにおいても緻密な外皮部分を有することから、この場合も余剰スラリーは支障なく除去可能である。
しかしながら、GPFでは背圧の上昇抑制という課題があることから、その外皮部分はセルの隔壁と同様に通気性のある多孔質から構成され、30%以上の気孔率、さらには50%以上の気孔率を有するハニカム構造体を用いて、排ガスは外皮部分からも通気可能とする必要がある。
GPFに使用される比較的小型のハニカム構造体は、通常、隔壁と外皮とが一体的に形成されたものである。このようなハニカム構造体は、押出成形により、隔壁と外皮部分とを同時に成形し、得られた成形体を焼成して作製され、外皮と隔壁とが同一の気孔率を有する。
また、ハニカムセルの端部が目封止されているので、ウォッシュコート時における「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」において目封止部分が障害になり、空気圧で払い出されるスラリーが外皮部分内部に浸入してしまうという問題が有った。
また、GPFのような多孔質からなるハニカムの外皮部分内部に触媒スラリーが浸入すると、スラリー中の成分とハニカムの材質の間で熱膨張率の差が生じ、触媒製造工程の焼成時や、この焼成からの冷却時、また自動車としての走行時の熱履歴によってクラックが生じる事もあった。
前記のとおり、GPF用のウォールフローハニカムは、圧力損失を少なくするために空隙率が大きく、外皮部分もセルの壁と同様に通気性の多孔質であることから、触媒スラリー成分の浸入による亀裂(クラック)の発生は深刻であった。更に、触媒スラリーは活性種である貴金属と共にアルミナ等の無機酸化物微細粒子を多量に含むことから、外皮部分に含浸した無機酸化物粒子の影響により、クラックの発生は更に助長される。
また、ハニカム外皮部分に存在するマイクロクラックを触媒成分によって埋めてしまうことで熱膨張率の差によってできる応力を緩衝する余裕がなくなり、クラックが発生する(例えば、特許文献8)。ハニカム構造体の外皮部分の中に触媒成分が浸入すると、熱伝導率の差で外周部と内部の温度差ができたときに、温度分布にムラができる等の理由でクラックが生じることも考えられる。
このように、GPFに好適な、外皮部分内部へのスラリーの浸入を防止しうる手段が望まれていた。しかも、その手段としては、触媒適用後の製品に対しても圧損などの悪影響を与えないという課題を同時に達成でき、安定的に安価に適用でき、大量生産が可能なことも望まれている。
従来、ハニカム構造体の強度を向上させる技術として、外皮部分に補強材料を付着させる技術が知られている。例えば、特許文献4、特許文献7には、ハニカム構造体の外周部を、高温で消失あるいは飛散する材料により補強したハニカム構造体が開示されている。
しかし、このような従来技術においては、GPF製造の際、ハニカム構造体の外皮部分から触媒スラリーの浸み出し防止や、アイソスタティック強度の向上ばかりが検討され、様々な熱履歴によるクラックの発生に
ついては考慮されていない。
また、特許文献5には、触媒担持前のセラミックハニカム構造体の外皮部分外側全面に、触媒とほぼ同等の熱膨脹率を有する材料を付着させたハニカム構造体が開示されている。更に、特許文献6には、セル構造体の外周部を被覆するように配設された、多孔質体からなる外壁の所定厚さの最外周部分に、燃焼により焼失する非水溶性の有機物質、又は無機物質が含浸された含浸部分が形成されたハニカム触媒担体が開示されている。
しかし、このような従来技術においては、ハニカム触媒における触媒スラリーの浸み出し防止や、アイソスタティック強度の向上のほかに、様々な熱履歴によるクラックの発生防止も考慮されているが、排ガス浄化性能の向上については何も検討されていない。
再公表2013−172128号公報 特表2003−506211号公報 特表2015−528868号公報 特開2000−809号公報 特開2001−871号公報 特開2004−113887号公報 特開2016−55282号公報 特開平7−10650号公報 特開2011−169156号公報
本発明の目的は、このような事情に鑑み、窒素酸化物(NOx)、燃料由来の未燃焼の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の浄化性能が高く、耐熱性が向上すると共に、ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)として使用する際には外皮部分の通気性を確保できるハニカム構造型触媒、および排ガス浄化装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、複数のセルを形成する隔壁と多孔質の外皮部分とを有するハニカム構造体の外皮部分内部には触媒成分を含浸させず、セルを形成する隔壁と外皮部分の外側表面には触媒成分を被覆させることでクラックなどの発生が抑制されたハニカム構造型触媒となり、これをGPFとして組み込み排気ガス浄化装置として使用すれば、外皮部分の通気性を確保しつつ、優れた排ガスの浄化性能を発揮させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、複数のセルを形成する多孔質体の隔壁と、この隔壁と同質材料で形成されている多孔質体の外皮部分を有するハニカム構造体の隔壁内部に無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸して存在するハニカム構造型触媒であって、前記外皮部分の内部には無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸しておらず、前記外皮部分の外表面の少なくとも一部には、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されていることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ハニカム構造体は、気孔率が、50〜80%であることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記ハニカム構造体は、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10〜25μmであることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記ハニカム構造体は、形状が円筒形または楕円筒形であって、全長が50〜300mmであることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記外皮部分の外表面における無機酸化物粒子を含む触媒組成物の被覆長さが、少なくとも一方のハニカム構造体の端面から軸線方向に5mm以上、かつ全長の2/3以下であることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記セルは、入口端面側の開口端部及び出口端面側の開口端部に目封止部を有し、該目封止部が互い違いに配置されていることを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記触媒組成物は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することを特徴とするハニカム構造型触媒が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明のハニカム構造型触媒を排気管内部に装着し、排気管内側とハニカム構造型触媒の外皮部分の間には通気性耐熱緩衝部材が介在していることを特徴とする排ガス浄化装置が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、通気性耐熱緩衝部材が、円筒形または楕円筒形のハニカム構造型触媒の外皮部分を周状に覆うものであって、通気性耐熱緩衝部材の長さがハニカム構造型触媒の軸線方向の長さより短いことを特徴とする排ガス浄化装置が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第8又は第9の発明の排ガス浄化装置を用いて排ガスを浄化することを特徴とする排ガス浄化方法が提供される。
本発明のハニカム構造型触媒は、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が外皮部分内部の細孔内に含まれず、通気性を有する多孔質の外皮部分の表面には触媒組成物が被覆されていることで、外皮部分内部の細孔を閉塞することなく、優れた排ガス浄化性能を発揮することができる。また、気孔率が50%以上であるような高気孔率のハニカム構造体を用いることで、得られた触媒は、圧力損失の上昇を招く事がなく、様々な熱履歴によるクラックの発生も抑制される。
特にGPFのように高温下での使用が想定されるハニカム構造型触媒では、多孔質なハニカム構造体の外皮部分内部に触媒スラリーが浸入していないので、スラリー中の成分とハニカム構造体の材質の間で熱膨張率の差が生じず、触媒製造工程の焼成時や、この焼成からの冷却時、また自動車走行時の熱履歴によって主に外皮からのクラックが生じない。
本発明のハニカム構造型触媒の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明のハニカム構造型触媒の縦断面を示す模式図である。 図2のA部を拡大し、隔壁と外皮部分表面における触媒組成物の存在状態を模式的に示した説明図である。 本発明のハニカム構造型触媒の前記とは異なる実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明のハニカム構造型触媒を使用した排ガス浄化装置の断面を示す模式図である。 図5のB部を拡大し、排ガスの流れと浄化の様子を模式的に示した説明図である。 本発明のハニカム構造型触媒を使用した前記とは異なる排ガス浄化装置の断面を示す模式図である。 図7のB部を拡大し、排ガスの流れと浄化の様子を模式的に示した説明図である。 本発明のハニカム構造型触媒を使用した前記とは異なる排ガス浄化装置の断面を示す模式図である。 図9のB部を拡大し、排ガスの流れと浄化の様子を模式的に示した説明図である。 本発明とは異なるハニカム構造型触媒を使用した排ガス浄化装置の断面を示す模式図である。 図11のB部を拡大し、排ガスの流れと浄化の様子を模式的に示した説明図である。 本発明のハニカム構造型触媒の製造において、ハニカム構造体に前処理を施す手段の一例を示す模式図である。 本発明のハニカム構造型触媒の製造において、ハニカム構造体に触媒を被覆・含浸する工程の一例を示す模式図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づき説明するが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等を加え得るものである。
1.[ハニカム構造型触媒]
本発明のハニカム構造型触媒は、複数のセルを形成する多孔質体の隔壁と、この隔壁と同質材料で形成されている多孔質体の外皮部分を有するハニカム構造体の隔壁内部に無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸して存在するハニカム構造型触媒であって、前記外皮部分の内部には無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸しておらず、外皮部分の外表面の少なくとも一部には、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されていることを特徴とする。
本発明に係るハニカム構造型触媒は、その外観を図1、縦断面を図2のように模式的に示すことができる。
ハニカム構造型触媒1は、流体の入口側となる入口端面11から流体の出口側となる出口端面12まで延びる複数のセル5を区画形成する多孔質の隔壁4と、隔壁4と一体的に形成された多孔質の外皮部分6とを有する。
ここで、「一体的に形成された」とは、ハニカム構造体そのものの製造工程において、隔壁4と外皮部分6とが同時に押出成形されるもので、得られた成形体の隔壁4と外皮部分6とが押出直後から一体的になるものである。本発明では、一体的に成形されたものが好ましいが、一体的でない場合も外皮部分6は隔壁4と同様に多孔質体であり、隔壁4同様に通気性を有すれば好ましく使用できる。一体的に形成された成形体を焼成して得られたハニカム構造体においては、その全体の気孔率、即ち、隔壁4の気孔率と外皮部分6の気孔率とが同一となる。
本発明のハニカム構造型触媒1は、外皮部分6の外側表面(外表面)(「外皮部分表面」ということがある)に触媒組成物8が被覆されており、外皮部分6の内部には触媒組成物は含浸していない。このように外皮部分の内部に触媒組成物が含浸していないことで、様々な熱履歴によるクラックの発生を防ぐ事ができる上に、外皮部分6における排ガスの通気性が確保される。また、このハニカム構造型触媒1は、ハニカム構造体2の外皮部分表面にも触媒組成物が被覆されており、外皮部分表面は外皮部分6通過した排ガスとの接触が容易なため、ハニカム構造型触媒1における排ガスの浄化性能が向上する。
このように本発明では、ハニカム構造型触媒1において、外皮部分側表面に触媒組成物が被覆されており、外皮部分6の内部には触媒組成物は含浸していない。このような触媒は、ハニカム構造体を予め樹脂組成物で前処理することにより得られるもので、詳細は後述する。
なお、図1、図2では、ハニカム構造型触媒1をGPF等のPM捕集フィルターに用いる場合を例示しており、所定のセル5aの出口端面12側の開口端部及び残余のセル5bの入口端面11側の開口端部を目封止する目封止部9を形成している。
このように、ハニカム構造体2の各セル5の一方の開口端部に目封止部9を設けることにより、ハニカム構造型触媒1は、高いPM捕集効率を持ったウォールフロー型フィルターとなる。このウォールフロー型フィルターにおいては、入口端面11からセル5内に流入した排ガスが、隔壁4を透過した後、出口端面12からセル5の外に流出する。そして、排ガスが隔壁4を透過する際に、隔壁4が濾過層として機能し、排ガス中に含まれるPMが捕集される。
尚、目封止部9は、出口端面12を見たとき、目封止部9によって開口端部が目封止されたセル5aと、目封止されていないセル5bとにより、互い違いの市松模様を呈する配置となるように形成されることが好ましい(入口端面11を見たときは、これと反対の位置関係になる)。しかし、本発明の実施形態は、このようなウォールフロー型フィルターに限られるものでは無い。
本発明のハニカム構造型触媒では、外皮部分の外表面の少なくとも一部に、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されている。すなわち、触媒組成物は、外皮部分の外表面の全面に被覆されていてもよく、一部分にのみ被覆されていてもよい。触媒組成物は、外皮部分の外表面の全面に被覆されていれば、排ガス浄化性能が高まるが、前記触媒組成物は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することから触媒コストは大きくなる。
ハニカム構造体の一方又は両方の端面の外皮部分表面にのみ、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されている触媒は、あとで詳述するウォッシュコートで得ることができ、ゾーンコート触媒と称される。その場合の触媒被覆長さは、少なくとも一方のハニカム構造体の端面から軸線方向に5mm以上、かつトータルで全長の2/3以下であることが好ましい。ゾーンコート触媒は、触媒コストの上昇を抑えながら、排ガス浄化性能を従来よりも高めることができる。
2.[ハニカム構造体]
本発明に係るハニカム構造型触媒には、複数のセルを形成する隔壁と外部側面(外皮部分)からなるハニカム構造体が使用される。このハニカム構造体は、隔壁によって、一方の端面から他方の端面へ向かって伸びる多数の通孔(セル)が形成されており、これらが集まってハニカム形状を形成している。
ハニカム構造体は、その構造の特徴から、フロースルー型(フロースルーハニカム)とウォールフロー型(ウォールフローハニカム)に大別されている。フロースルー型は、一方の開放端面から他方の開口端面に向けて開口する多数の通孔端部が封止されておらず、酸化触媒、還元触媒、三元触媒に広く用いられている。これに対し、ウォールフロー型は、通孔の一端が、互い違いに封止されているもので、排気ガス中の煤やSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)等、固形成分を濾し取ることができるため、DPFとして用いられている。
本発明は、そのどちらも使用できるが、GPFとしては隔壁と同様に多孔質な外皮部分を有するウォールフローハニカムが好適である。また、ウォールフローハニカムを使用する場合、通孔の全てが封止されてフィルター化されているハニカムであることが好ましい。このように全ての通孔がフィルター化されていると、排気ガス全てがフィルターを介して通過するので、排気ガスの浄化を促進することができる。
また、ハニカム構造体を構成する隔壁から排気ガスを外部に逃がす必要から、隔壁は、多孔質体により形成される。材質は多孔質体として通常用いられている無機酸化物からなるものでよく、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、シリカ−アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート等のセラミック材料が好ましい。これらの中でも、コージェライトが特に好ましい。ハニカム構造体の材料がコージェライトであると、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を得ることができるためである。
また、隔壁と外皮部分とは、同質材料により形成されることが好ましい。同質材料とは、サーマルショックによるクラック発生が防げる程度の熱膨張率や気孔率の差の範囲である材料のことを示す。さらに、同一材料による一体成型で製造されることが好ましい。効率的な製造が可能であり、材料の違いによる問題を回避できるためである。また、高温となるガソリンエンジン用触媒では、熱膨張率の差によりクラックが生じるなどの問題も懸念される。このため、隔壁と外皮部分とは、熱膨張率の同じものであるか、一体成型のものが好ましい。
また、目封止部の材質は、ハニカム構造体の材質と同様な材質が好ましいが、異なる材質であってもよい。
隔壁および外皮部分には多数の細孔が存在している。このような細孔の特性は、細孔容積、細孔径としてもあらわされ、ガス吸着法、アルキメデス法、水銀圧入法など様々な手法によって測定できるが、本発明においては特にことわりの無い限り、水銀圧入法により圧入圧力400MPaで測定し得られた値のことをいう。
また、セル壁である隔壁の厚みは、1〜18mil(0.025〜0.47mm)が好ましく、6〜12mil(0.16〜0.32mm)がより好ましい。隔壁が薄すぎると構造的に脆くなり、厚すぎるとセルの幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまうおそれがある。また、隔壁が厚すぎると圧損が高くなり、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くおそれがある。
ハニカム構造体の外皮部分の厚さは、300〜1000μmであることが好ましく、500〜800μmであることが特に好ましい。外皮部分の厚さが300μm未満であると、十分な強度が得られないことがある。また、外皮部分の厚さが1000μmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。
隔壁によって形成されるセルは、通常、直径あるいは一辺が凡そ0.8〜2.5mmであり、その密度は、単位断面積あたりの孔の数で表され、これはセル密度とも言われる。ハニカム構造体のセル密度は、特に制限されないが、100〜1200セル/inch(15.5〜186セル/cm)が好ましく、150〜600セル/inch(23〜93セル/cm)がより好ましく、200〜400セル/inch(31〜62セル/cm)である事が特に好ましい。セル密度が1200セル/inch(186セル/cm)を超えると、触媒成分や、排気ガス中の固形分で目詰まりが発生しやすく、圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。
100セル/inch(15.5セル/cm)未満では幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまい排気ガス浄化触媒用として適さなくなるおそれがある。また、GPFとして用いた場合に、フィルターとしての有効面積が不足して、PM堆積後の圧力損失が高くなり、エンジンの出力低下を招くことがある。
本発明のハニカム構造体が適用されるガソリン車用のTWCでは、ハニカム構造体は、少なくとも外皮部分が多孔質体により形成されていることが必要である。GPFとして使用する際には、外皮部分に通気性を持たせることが必要なためである。
本発明におけるハニカム構造体は、セルの隔壁、外皮部分の細孔容積が0.3〜1.6ml/gである場合に有効であり、0.8〜1.6ml/gであることが好ましく、1.0〜1.6ml/gであるとより好ましい。また、隔壁及び外皮部分の平均細孔径は10〜25μmである場合に有効であり、15〜25μmであることが好ましく、20〜25μmであるとより好ましい。ハニカム構造体の平均細孔径が10μm未満では、圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。また、ハニカム構造体の平均細孔径が25μmを超えると、十分な強度が得られないことがある。なお、ハニカム構造体の平均細孔径は、水銀ポロシメーターにより測定される。
また、このような細孔の特性は、気孔率(細孔容積率)として表すこともできる。本発明におけるハニカム構造体の気孔率とは、セルの隔壁と外皮部分の厚みと長さ、セルの密度から求められる幾何学的な体積における細孔容積の占める割合を意味するものであり、本発明においては50〜80%であり、60〜80%が好ましく、60〜70%がより好ましい。
細孔容積、平均細孔径、気孔率が小さすぎるとハニカム担体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。また、細孔容積、平均細孔径、気孔率が大きすぎると十分な強度が得られないことがある。
ハニカム構造体の形状は、特に限定されるものではなく、一般的に知られている円柱形、円柱状に類する楕円柱状のほか、多角柱なども含まれる。全長は、特に制限されないが、50〜300mmであるものが使用される。好ましいのは、円柱形あるいは楕円柱状で10〜250mmのものである。
これは、本発明のハニカム構造型触媒を製造する前処理として、ハニカム構造体の外皮部分に複数のローラーを用いて、樹脂組成物を外皮部分に塗布して製造する事が有るためであり、断面形状が円状のものであると均一に被膜を形成しやすいが、楕円状のものでも皮膜形成が可能である。
また、セルのハニカム構造体の長さ方向に対する垂直な断面における形状(以下、「セル形状」という。)には、四角形、六角形、八角形等の多角形なものがあり、特に限定されない。
3.[ハニカム構造体の製造方法]
本発明に係るハニカム構造体は、公知の方法により製造されるハニカム構造体が使用でき、市場からも入手可能であるが、その公知の製造方法の一例を以下に説明する。
まずセラミック原料を含有する成形原料を作製する。セラミック原料は、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、焼成されることによりコージェライトとなるコージェライト化原料、ムライト、アルミナ、シリカアルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート及びアルミニウムチタネートからなる群から選択される。これらの中でも、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたコージェライト化原料、すなわち、シリカ:42〜56質量%、アルミナ:30〜45質量%、マグネシア:12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料が好ましい。
成形原料は、前記のようなセラミック原料に、分散媒、有機バインダー、無機バインダー、造孔材、界面活性剤等を混合して調製される。各原料の組成比は、作製しようとするハニカム構造体の構造、材質等に合わせた組成比とされる。
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する好適な方法としては、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
その後、格子状のスリットが形成された口金を用いて、坏土から、隔壁と外皮部分が一体となったハニカム成形体を押出成形し、このハニカム成形体を乾燥する。好適な乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、誘電乾燥、マイクロ波乾燥、熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。
続いて、乾燥後のハニカム成形体(ハニカム乾燥体)を焼成する。本焼成の前に、ハニカム成形体中に含まれているバインダー等を除去するため、仮焼(脱脂)を行うことが好ましい。仮焼の条件は、ハニカム成形体中に含まれている有機物(有機バインダー、界面活性剤、造孔材等)を除去できる条件であればよい。一般に、有機バインダーの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるため、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、3〜100時間程度加熱することが好ましい。
ハニカム成形体を焼成(本焼成)する条件(温度、時間、雰囲気等)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。例えば、コージェライト化原料を使用している場合には、焼成温度は、1410〜1440℃が好ましい。また、焼成時間は、最高温度での保持時間として、4〜8時間程度とすることが好ましい。仮焼、本焼成を行う好適な装置としては、電気炉、ガス炉等を挙げることができる。
ハニカム構造体に目封止部を形成するには、所定のセルの一方の端面(入口端面)側の開口端部及び残余のセルの他方の端面(出口端面)側の開口端部を目封止するように形成する。この目封止部の形成方法としては、まず、前記で作製したハニカム構造体の端面にシートを貼り付ける。次いで、このシートの、目封止部を形成しようとするセルに対応した位置に穴を開ける。次に、このシートを貼り付けたままの状態で、目封止部の形成材料をスラリー化した目封止用スラリーに、ハニカム構造体の端面を浸漬し、シートに開けた孔を通じて、目封止しようとするセルの開口端部内に目封止用スラリーを充填する。こうして充填した目封止用スラリーを乾燥した後、焼成して硬化させると目封止部が形成される。目封止部の形成材料には、ハニカム構造体の形成材料と同じ材料を用いることが好ましい。尚、目封止部の形成は、ハニカム成形体の乾燥後、仮焼後あるいは焼成(本焼成)後の何れの段階で行ってもよい。
4.[ハニカム構造体の前処理]
本発明に用いるハニカム構造体は、ウォッシュコート法により触媒化する際、外皮部分の内部に触媒組成物を含浸させないように前処理を行う。前処理方法は、特に限定されないが、樹脂組成物をハニカム構造体外皮部分の内部に含浸させることが好ましい。
まず、ハニカム構造体の外皮部分に塗布する樹脂組成物溶液を調製する。樹脂組成物としてはPVAが、また溶媒としては水が好ましい。
このような樹脂組成物溶液を、ハニカム構造体の外部部分の外側表面から内部に含浸させて乾燥または硬化させることで、次工程の触媒被覆工程において外皮部分の内部に触媒組成物スラリーの浸入を防ぐ事ができる。樹脂組成物溶液の塗布に当たっては、当該スラリーが、外皮部分全域の細孔内に浸入して外皮部分に完全に含浸するように塗布量が調整される。このような樹脂組成物溶液の塗布量の調整には、図13に一例を示す様なローラーを用いた塗布方法を用いることが好ましい。
図13に示される塗布装置は、樹脂組成物溶液を含浸可能な塗布ローラーと、ハニカム構造体をローラー上で回転させる駆動ローラーを必須構成要素とする。ここで、塗布ローラーと駆動ローラーは、一つのローラーでその両方の機能を有するものであっても良く、2以上のローラーを使用して一方を塗布ローラー、他方を駆動ローラーとしても良い。図13では塗布と駆動の両方の機能を有するローラー15を2つ用いている。塗布ローラーには適宜樹脂組成物溶液が供給される。図13ではローラーの下部を樹脂組成物溶液に浸漬し、ハニカム構造体へと供給している状態を概念的に表している。
樹脂組成物溶液の塗布量の調整は、ローラーをハニカム構造体の外皮部分に押し付ける圧力や、ローラーの回転数、ローラーの気孔率、ローラーの気孔の大きさ、ローラーを外皮部分に接触させる時間等によって適宜制御を行うことができる。この際、樹脂組成物溶液の塗布量が多すぎると、セル隔壁の内部深く軸線方向に樹脂組成物溶液が含浸してしまい、多くの隔壁内部に触媒組成物が含浸することが出来なくなり、隔壁の細孔を利用した微粒子成分の浄化が難しくなる。図13では、適切な樹脂組成物溶液の塗布量を実現するため、ローラーに含浸した余分な樹脂組成物溶液を絞り取る絞りローラー16を備えている。
図13の樹脂組成物溶液の塗布装置では、二本の塗布・駆動ローラー15とハニカム構造体を、互いの円周側面同士が接触するように載置しており、回転させながら樹脂組成物溶液をハニカム構造体表面に塗布する。塗布・駆動ローラー15の下方を樹脂組成物溶液に接触させ、塗布・駆動ローラー15の回転によって常に樹脂組成物溶液が供給されるようにしてあり、供給された樹脂組成物溶液がハニカム構造体の外皮部分に対する適切な塗布量になるように、絞りローラー16を接触させ、余分な樹脂組成物溶液を絞りとっている。
このような塗布・駆動ローラーの材質は限定されないが、最外面がスポンジ状材料で形成されているものが好ましい。スポンジ状材料としては、ウレタンフォーム、ポリビニルアルコール系、セルロース系、ゴム系、シリコン系または不織布などを好適に用いることができる。塗布ローラーの長さは、ハニカム構造体の大きさと同等かやや長めとすることが好ましい。
樹脂組成物溶液が塗布されたハニカム構造体は、次に乾燥(硬化)工程へと移動させる。乾燥(硬化)工程は、特に限定されるものではなく、大気圧もしくは減圧下、0〜200℃の温度で行うことができるが、室温で行うことが好ましい。必要により空気を表面に吹き付けたり、減圧したりしても良い。加熱温度は、樹脂の種類によっても異なるが、50〜200℃が好ましく、100〜180℃がより好ましい。
5.[ハニカム構造型触媒の製造]
この様にハニカム構造体は、樹脂組成物によって外皮部分内部に触媒成分が含浸しない処理を施された後、触媒が担持される。
ハニカム構造型触媒の製造は、貴金属等の触媒を含む触媒スラリーを、従来公知のウォッシュコート法を用いて、隔壁の表面や細孔に付着させた後、400〜600℃で焼成処理を施して、触媒スラリーに含まれる触媒を隔壁に焼き付けることで行われる。
本発明では、ハニカム構造体を触媒スラリーに浸漬させることで、セルを構成する隔壁と共に外皮部分外側への触媒の被覆が可能である。以下、GPF用ハニカム構造型触媒の製法例について図14を用いて説明する。
ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)においては、微粒子成分と共にNOx、CO、炭化水素を浄化する三元触媒(TWC)を触媒成分として使用する。三元触媒(TWC)は、プラチナ、パラジウム、ロジウム等の貴金属を主とする活性成分を無機酸化物粒子に担持させた排気ガス浄化触媒であって、排気ガス中に含まれる炭化水素は水と二酸化炭素に酸化され、一酸化炭素は二酸化炭素に酸化され、窒素酸化物は窒素に還元されて一度に浄化される。そして、フィルター化されているハニカム構造体によって微粒子成分も併せて浄化される。
このような機能を有する触媒成分をスラリー化した触媒組成物溶液をその液面の高さを一定にして、ハニカム構造体を液浴に接近させ、一端を溶液に浸漬する。これは図14では工程a),b)にあたる。
本発明のハニカム構造型触媒の製造に使用される触媒組成物のスラリーは、無機粒子の種類や粒度などで限定されるものでは無いが、少なくとも一部が隔壁4の細孔内部に浸入出来ることが好ましい。
このような触媒組成物のスラリーは、その粒度分布における小粒径側からの累積分布が90%となるときの粒子径D90が5μm以下となるように、ボールミルなどで微粒子化されていることが好ましく、より好ましくはD90が3μm以下である。このようなD90が5μm以下であることで、隔壁の細孔内部へ、適切な量の触媒成分が浸入可能になる。特にGPF用途としてウォールフローハニカムを使用する場合、排ガス中の有害成分と共に煤等の微粒子成分の浄化能力も充分に発揮されると共に、いたずらに圧力損失を招く事も無い。
ウォッシュコート法では、前述の基本原理である2つの工程要素のうち、一つが「ハニカム構造体のセル内部に触媒組成物のスラリーを導入する工程(以下、「導入工程」ということがある)」、において、外皮部分の外側に被覆したい触媒組成物の長さに相当する深さまで、触媒組成物スラリー中にハニカムを浸漬し、必要に応じて反対側から触媒組成物スラリーを吸引する。図14では工程b)にあたる。ここでハニカム構造体はバルーン状の柔軟な把持部材をもって固定されることが好ましい。
ハニカム構造体は、続く工程c)においてハニカム構造体の端面からエアブローを施し、セル内の余剰なスラリーを排出する。この際、外皮部分の外側に被覆された触媒組成物スラリーにもエアブローの気流が当たることがあるが、外皮部分の外側に被覆された触媒組成物スラリーが完全に除去されてしまうような著しく高い圧力でエアブローを施すことは避けるようにする。このようなエアブローの圧力や気流の速度は、触媒組成物スラリーの粘性やウォッシュコート装置の構造によって適宜設定される。
ハニカム構造体は、続く工程d)において外皮部分外側に触媒組成物スラリーの被覆を残したまま反転され、再び所定深さまで触媒組成物スラリー中に浸漬される。
再び触媒組成物スラリーに浸漬されたハニカム構造体は、続く工程e)において必要に応じて反対側から触媒組成物スラリーを吸引し、工程f)におけるエアブローによって余剰の触媒組成物スラリーが排出される。
両端面から触媒組成物スラリーが供給されたハニカム構造体は、その外皮部分の表面に両端面が触媒組成物スラリーに浸漬した深さに相当した触媒組成物により被覆される。
この場合、外皮部分の外側全域に触媒組成物を被覆するには、工程b)の一度目の触媒組成物スラリーへの浸漬深さと、工程e)の2度目の触媒組成物スラリーへの浸漬深さの合計が外皮部分の長さに相当する様に調整すれば良く、ゾーンコートの様に外皮部分の一部に触媒組成物を被覆する場合には、工程b)、工程e)における浸漬深さを適宜調整すれば良い。またゾーンコートを一方の端面側からのみ所定長さに施す場合には、触媒組成物スラリーの供給にあたってのハニカム構造体の浸漬を一方の端面側にのみ施せば良い。
なお、上記の触媒組成物の被覆工程では、触媒組成物スラリーの供給はハニカム構造体の下方からに限るものでは無く、上方から行っても良い事は言うまでもない。
触媒組成物スラリーが被覆されたハニカム構造体は、その後100℃〜200℃の乾燥工程、400℃〜600℃の焼成の工程を経て、本発明のハニカム構造型触媒となる。そしてこの焼成工程において、外皮部分に含浸処理された前記の樹脂組成物は焼失し、外皮部分の内部には触媒成分が含まれず、外皮部分の外側には触媒成分が被覆されたハニカム構造型触媒が得られる。
前記のように、ハニカム構造体そのものは1000℃を超える極めて高い温度で焼成されていることから、触媒組成物が外皮部分に含浸しない限り、本発明のハニカム構造型触媒を製造する時の焼成温度や、自動車に搭載時の熱履歴においても極めて安定である。
次に、本発明のハニカム構造型触媒の詳細を実施形態として具体的に示す。
<実施形態1>
本発明のハニカム構造型触媒は、図3に示すように、ハニカム構造体の隔壁4に触媒組成物8が含浸されており、外皮部分の外表面にも触媒組成物8が被覆されているが、外皮部分の内部の細孔7には触媒組成物8が含浸していない。
図3は図2におけるA部分の拡大図であり、図1〜図3の例では外皮部分表面の全域に触媒組成物8が被覆されている。ハニカム構造体は、通孔の入口と出口で交互に封止され通孔の全てがフィルター化されていることが好ましく、以下、他の実施形態においても同様である。
図2における触媒組成物8の被覆状態を模式的に表すと、図3の様に外皮部分の細孔7を介して排ガスが通気可能な状態になっている。このように通気可能な状態にする手法は特別なものではなく、通常行われている所定の粒径になるよう粉砕された触媒を含む触媒組成物を用いて、所定の粘度となるように調製した触媒スラリーを外皮部分に適切に被覆すればよい。
外皮部分における触媒組成物層の間隙は、図3においては黒丸●で表した隣り合う触媒組成物8の隙間として表すようにした。触媒組成物8は、貴金属触媒を担持するアルミナやセリアなどの無機酸化物粒子が、通気可能な隙間をもって担持されていることを表している。
すなわち、前記したとおり、触媒組成物8は、無機酸化物粒子を含むスラリーを用いて被覆され、材料としては、その粒度分布における小粒径側からの累積分布が90%となるときの粒子径D90が5μm以下となるように、ボールミルなどで微粒子化されていることが好ましく、より好ましくはD90が3μm以下である。
ハニカム構造体は、樹脂組成物による前処理により、外皮部分内部の細孔が樹脂組成物で満たされ、外皮外表面への触媒組成物の被覆では外皮内部には触媒組成物が含浸せず、外皮外表面に触媒組成物が被覆される。被覆された触媒組成物は、次工程以降の触媒の乾燥・焼成工程で触媒組成物が固定され、樹脂組成物は焼失することで、触媒組成物は外皮内部に浸入せず外皮表面に固定される。
一方、隔壁4の内部には触媒組成物が含浸している。図3に表されるように、触媒組成物8は、隔壁4でも細孔内部の一部分に充填され、特に通常ハニカム構造型触媒の製造に用いられるウォッシュコート法であれば、粉砕された触媒粒子の大きさ(D90)、含有量(スラリー濃度)、液への浸漬時間などとの関係で、ハニカム構造体に形成された細孔に完全に触媒組成物が充填して閉塞される事は無いので、排ガスが通過可能な細孔は維持されている。あえて隔壁の細孔に多量の触媒組成物を充填して、縮孔するのであれば、ハニカム構造体を触媒スラリーに長時間浸漬したうえで、真空環境で脱気処理をするなどの操作を必要とする。
なお、本発明では外皮部分内部には触媒組成物が含浸していない。しかし、隔壁4の内部だけでなく、図3の外部表面と対向する部分、すなわち外皮部分6の内側(セル側)、隔壁の上面や下面に触媒組成物が担持されていても良い。外皮部分6の内側(セル側)、隔壁の上面や下面にも触媒組成物が担持されていると、排ガス浄化性能は一層高いものとなる。
この実施形態1の触媒は、触媒組成物が外皮部分の外表面の全域に被覆されるが、被覆される触媒が高価な貴金属を含むため、全長200mm以下のハニカム構造体を用いた場合に貴金属の使用効率が高くなり好適である。
<実施形態2>
図1、図2に表したハニカム構造型触媒は、外皮部分6の全域に触媒組成物8が被覆されているが、本発明では、外皮部分表面を部分的に触媒組成物で被覆したものであっても良い。このような部分的な被覆をゾーンコートといい、得られた触媒をゾーンコート触媒という。
図4はこのようなゾーンコートの一形態を表しており、この実施形態では外皮部分表面の上下両方の端面側にのみ比較的短い幅で触媒組成物を被覆している。なお、このようなゾーンコートにおいても、外皮部分6における触媒組成物の被覆、すなわちゾーンコート部分は、外皮部分の表面側にのみ触媒組成物が被覆され、外皮部分内部には触媒組成物が含浸していない。これは図1、図2に示した実施形態と同様であり、ゾーンコート部における外皮部分表面の触媒組成物と隔壁部分における触媒組成物の状態は図3と同様である。
なお、このようなゾーンコートは、図4に示されている両端面に触媒組成物を被覆した形態の他、一方の端面側にのみゾーンコートが施された形態であっても良く、そのゾーンコートの長さも、触媒の設計において液への浸漬深さを調整するなどにより適宜選択的に設定できる。外皮部分表面における無機酸化物粒子を含む触媒組成物の被覆長さが、少なくとも一方のハニカム構造体の端面から軸線方向に5mm以上、かつトータルで全長の2/3以下であることが好ましい。より好ましいのは、触媒組成物の被覆長さが、少なくとも一方のハニカム構造体の端面から軸線方向に10mm以上、かつトータルで全長の1/2以下である。
この実施形態2の触媒は、外皮部分の外表面の前面に被覆される触媒が高価な貴金属を含んでいても、被覆部分は狭いので、全長200mmを超える比較的大きなハニカム構造体を用いた場合にコスト節減効果が大きく好適である。
6.[排ガス浄化装置]
本発明の排ガス浄化装置は、前記のハニカム構造型触媒を排気管内部に装着し、排気管内側とハニカム構造型触媒の外皮部分の間には、通気性耐熱緩衝部材が介在していることを特徴とする。
従来、車両に搭載する排気ガス浄化用装置(コンバータ)には、ハニカム触媒と該ハニカム触媒の外方を覆う金属製のシェル(缶体)と、両者の間に配置した緩衝シール材とよりなるものが用いられている。前記ハニカム触媒には、白金等の貴金属系触媒がハニカム状に成形したコージェライト担体に担持されている。
また、前記緩衝シール材には、例えば、金属ネットにより外周部分を補強した無機シートが用いられている。無機シートとは、バーミキュライトとセラミックファイバーとの混合物をシート状に成形したようなものである(例えば、特公平2−55389)。ここで、バーミキュライトとは、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを主成分とする雲母に似た鉱物であり、セラミックファイバーとは、アルミナ(Al)とシリカ(SiO)を主成分とした人造鉱物繊維の総称である。
この緩衝シール材は、自動車の走行中等においてハニカム触媒が外周の金属製のシェルと当接した際の損傷を防ぎ、また、シェルとハニカム触媒との間から排気ガスがリークすることを防ぐために用いられるが、近年は金属ネットによる補強を行う事なく、無機シートのみを用いた緩衝シール材も増えている。
図11は、外皮部分外側に触媒組成物を被覆していないハニカム構造型触媒を排気管内に配置した実施形態であり、図12は図11の外皮近傍B部の拡大図である。
このような形態であると、ハニカム構造体の周囲に通気性材料が介在するので、サーマルショックによる亀裂の発生抑制や背圧の上昇に対しては効果を有する。しかし、セル内で隔壁4に含浸された触媒と接触した排ガスが、隔壁4の外側の外皮部分6から外部へそのまま流出してしまうので、排ガス浄化性能はさほど向上しない。
本発明では、排ガス浄化性能を向上させるために、図5に表されるように、ハニカム構造体外皮部分の外表面の少なくとも一部に無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されているハニカム構造型触媒を排気管20内に配置している。ハニカム構造型触媒は、図6に表されるように、自動車の排気管(缶体)内部へ外皮部分6と排気管20内壁との間に通気性のある緩衝部材14を介して配置される。
本発明に使用される緩衝部材は、排気管(缶体)内部に通気性を付与できる金属線や無機酸化物繊維を用いたものであればよい。無機酸化物繊維は、緩衝材として必要な機械的強度、耐熱性、耐腐食性を有する物であれば、その種類によって特に制限されない。アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミノシリケート繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、ガラス繊維、ロックウール、及びこれらの混合繊維、さらには混合繊維からなる群より選択される繊維を熱処理し、加熱収縮させた繊維などが挙げられる。金属線も、緩衝材として必要な機械的強度、耐熱性、耐腐食性を有する物であれば、その種類によって特に制限されず、例えば、ステンレスなどNi,Cr等を含むFe系の金属製線条体が使用できる。本発明では、これらの中でも1000℃の排ガスと接触しても強度が低下しない材料が好ましい。
また、本発明では、緩衝部材の形態も特に制限されず、緩衝機能が確保できる太さ、長さの金属線や無機繊維を用い、一種または2種以上を組み合わせて、通気性が得られるような充填密度であるようにする。例えば、ステンレスなどの金属線を筒状に集積したり、繊維状の無機酸化物を筒状や綿状に集積したりしても良い。前記従来のような無機シートであっても通気性を有するものであれば使用できる。
<実施形態3>
本発明の排ガス浄化装置は、図5に示すように、図1〜図3に表された前記ハニカム構造型触媒が外皮部分6の表面全域に緩衝部材14を介して排気管(缶体)20内部に配置している。
本発明に使用される緩衝部材は、通気性を有するものとし、前記のように、ステンレスなどの金属線を筒状に集積したもの、繊維状の無機酸化物を筒状や綿状に集積したものであっても良い。これらは、2種以上の材料を用いて、排気管(缶体)側と触媒側の密度を変えても良い。例えば、排気管(缶体)側の材料密度を高めとし、触媒側の材料密度を低めとすれば、触媒への排ガス通気性を高めることができる。
繊維状の無機酸化物は、例えば、セラミックファイバーなど耐熱性繊維であれば、長繊維でも短繊維でもよい。これらは、接着剤や充填剤などを含んでいてもよい。ただし、その量は緩衝部材全体に対して10重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。添加剤の量が多すぎると空隙が減少して通気性が低下する。
図6は図5の外皮部分近傍B部の拡大図であり、緩衝部材14の形状を連続する円を等間隔に、らせん状に表記しているが、これは模式図であって、様々な形態をとることができる。触媒組成物は、ハニカム構造体の外皮部分の外表面に一様に存在することから、ハニカム構造体の外周を略均等に緩衝部材が取り巻いている形態とするのが好ましい。
厚さは装置やハニカム構造体の大きさにもよるが、3mm〜20mmのものが好ましい。薄すぎるとクッション性が低下し、厚すぎると重量が増えるだけでなく通気性にむらが生じる場合がある。5mm〜15mmの厚さであるものがより好ましい。
装置への取り付け手段は、特に限定されず、取り付け部を形成して金具などで固定しても良く、ハニカム構造体端面で缶体の内部の少なくとも一部を外皮と缶の間で通気性を有する程度に縮径するなどして固定しても良い。
なお、図6には図3のような外皮部分6、隔壁4の細孔は図示していないが、図3に模式的に表したのと同様に細孔が形成されており、以下の実施形態のみならず、本発明の実施にあたって同様である。
<実施形態4>
前記実施形態3では図5に示したように、緩衝部材14が触媒組成物の大半と接触するように使用した。これに対して、本発明の実施形態4は、図7に示すように、緩衝部材14としてハニカム構造体との接触部分が制限され、一部の触媒組成物には緩衝部材が接触していない。
本発明においては、通気性耐熱緩衝部材が、円筒形または楕円筒形のハニカム構造型触媒の外皮部分を周状に覆うものであって、通気性耐熱緩衝部材の長さがハニカム構造型触媒の軸線方向の長さより短いことが好ましい。
図8は図7の外皮部分近傍B部の拡大図である。緩衝部材には、前記と同様、片面に接着剤が塗布された接着シートを用意し、その接着剤上にセラミックファイバーなど耐熱性繊維を層状に敷き詰めたものが挙げられる。厚さは装置やハニカム構造体の大きさにもよるが、3mm〜20mmのものが好ましい。薄すぎるとクッション性が低下し、厚すぎると重量が増えるので好ましくない。5mm〜15mmの厚さであるものがより好ましい。
緩衝部材を装置に取り付ける際、長さが短くなった接触シートの位置を適宜決めることができる。図7,8ではハニカム構造体の中間部分に配置しており、手前側の端部と先方の端部には緩衝部材が配置されていない。通気性耐熱緩衝部材、例えば、ウールの長さを短めにすれば、端面円周近傍のセルをウールで塞いでしまうことを防ぐ効果がある。緩衝部材の厚みが大きい場合は、バンドなどで固定することもできる。
排ガスが緩衝部材14の内部を通過するのは、図5と同様であるが、排ガスの通気性があるとはいえ、緩衝部材14は抵抗体であることから、外皮部分表面と排気管(缶体)20内側の間に浸入した排ガスは、その一部が外皮部分6を通過してセルの中に導かれる。その際、排ガスは外部部分表面の触媒に接触することで浄化される。
セル5の内部に入った排ガスは、GPFにおいては目封止部が障害となって再び外皮部分を通過して排気管側に排出される。その際にも排ガスは外皮部分表面の触媒に接触することで浄化される。
なお、図示していないが、直接セル内部に導かれた排ガスは、図5の例と同様、外皮部分を通過し、外皮部分表面の触媒組成物に接触し浄化されて排気管側に排出される。
本発明では、このウールが抵抗体になって、排ガスは外皮端面側の触媒層と接触した後、再びセル内に流入することから排ガスの浄化能力が向上するようになる。
<実施形態5>
前記実施形態3では図5に示したように、緩衝部材14が触媒組成物の大半と接触するように使用した。これに対して、本発明の実施形態5は、図9に示すように、緩衝部材14としてハニカム構造体との接触部分が制限され、触媒組成物に緩衝部材が接触していない。
図9は図4に表されたハニカム構造型触媒(ゾーンコート触媒)を、図7と同様に短い緩衝部材を介して排気管内に配置した実施形態であり、図10は図9の外皮部分近傍B部の拡大図である。このようなゾーンコート触媒では、外皮部分外側からセル内に導かれて浄化される排ガスと、セル内から外皮部分を介して排気管側へ排出されて浄化される排ガスについては図4と同様であるが、緩衝部材14と接触している外皮部分には触媒組成物が被覆されていない点が異なっている。
緩衝部材としては、前記のように、片面に接着剤が塗布された接着シートを用意し、その上にセラミックファイバーなど耐熱性繊維などを層状に敷き詰めたものが挙げられる。厚さは装置やハニカム構造体の大きさにもよるが、3mm〜20mmのものが好ましい。薄すぎるとクッション性が低下し、厚すぎると重量が増えるだけでなく通気性にむらが生じる場合がある。5mm〜15mmの厚さであるものがより好ましい。
装置に取り付けるに当たり、緩衝部材の厚みが大きい場合は、バンドなどで固定することもできる。
緩衝部材は、排ガスの流れにとっては抵抗体であることは前述のとおりであるが、このような抵抗体が存在することは、言い換えれば排ガスの流れが悪くなっている部分であるともいえる。そのため、ハニカム構造型触媒全体からみると排ガスの浄化への貢献が小さいことがある。自動車排ガス触媒では白金、パラジウムやロジウムなど高価な活性成分を使用することが一般的であることから、浄化性能への貢献が比較的小さい部位については、この実施形態のように触媒成分の被覆を行わないことで、触媒の価格を低く抑えることができる。
7.[排ガス浄化方法]
本発明の排ガス浄化装置は、前記のとおり、ハニカム構造型触媒を排気管内部に装着し、排気管内側とハニカム構造型触媒の外皮部分の間に通気性耐熱緩衝部材が介在していることから、排ガスを排ガス浄化装置のハニカム構造型触媒だけでなく、通気性耐熱緩衝部材にも導入する。
すなわち、本発明は、前記のハニカム構造型触媒を排気管内部に装着し、排気管内側とハニカム構造型触媒の外皮部分の間に通気性耐熱緩衝部材が介在している排ガス浄化装置を用いて、排ガスを通気性耐熱緩衝部材にも導入する排ガス浄化方法に適用することができ、これにより排ガスの浄化性能を高めることができる。
本発明の排ガス浄化装置(実施形態3)は、図5に示すとおりである。図1〜図3に表されたハニカム構造型触媒が、外皮部分6の表面全域を緩衝部材14で覆われて排気管(缶体)20内部に配置されている。エンジンから排出された微粒子成分を含む排ガスは、図5中の実線の矢印のように装置の触媒セルだけでなく、その外側の通気性耐熱緩衝部材にも導入され、触媒によって浄化され破線の矢印のように排ガスが流出していく。
ここで、触媒セルに導入される排ガスと、その外側の通気性耐熱緩衝部材に導入される排ガスとの分配比率であるが、装置の縦断面をみたときハニカム構造体のセル面積と、通気性耐熱緩衝部材の面積によってほぼ推定することができる。そして、通気性耐熱緩衝部材の面積は、前記した接着シートを利用した場合、そのシート(マット)の厚みが厚いほど排ガスの流量が大きくなる。
本発明の実施形態3では、ハニカム構造体の外皮部分の外表面に触媒が付着していないため、ハニカム構造体のセルサイズ(口径)に対して、通気性耐熱緩衝部材の厚みとの比率を小さめの1:1〜3として、緩衝部材側への排ガスの導入量を少なくすることができる。これにより、従来よりも圧力損失を小さくしながら、排ガスの浄化性能を高めることができる。
図6は図5の外皮部分近傍B部の拡大図であり、通気性を有するようにステンレスなどの金属線を筒状に集積したものや、繊維状の無機酸化物を綿状に集積したもので構成された緩衝部材14が装入されていることから、緩衝部材の内部に入った排ガスが金属線や無機酸化物の集積体と複雑に衝突を繰り返し、特に粒子状物質を付着するなどして浄化されながら排出されていく。排ガスは外皮部分表面に被覆された触媒の他、セル内部に導入された排ガスが外皮部分を通過し、緩衝部材による抵抗を受けることで外皮部分表面の触媒成分に接触することでも浄化されていく。
したがって、外皮部分の外表面に付着している触媒が多ければ、通気性耐熱緩衝部材として厚いものを取り付け、ここに排ガスを導入すれば、排ガスの浄化性能を高めることができるようになる。本発明でハニカム構造体の外皮部分の外表面に触媒が付着していれば、ハニカム構造体のセルサイズ(口径)に対して、通気性耐熱緩衝部材の厚みとの比率を大きめに、1:3〜5として、緩衝部材側への排ガスの導入量を多めにすることができる。これにより、従来よりも圧力損失を小さくしながら、排ガスの浄化性能を高めることができる。
なお、図6には図3のような外皮部分6、隔壁4の細孔は図示していないが、図3に模式的に表したのと同様に細孔が形成されており、以下の実施形態のみならず、本発明の実施にあたって同様である。
前記の実施形態4では、図7に示すように、図5よりも短い緩衝部材14を使用している。図8は図7の外皮部分近傍B部の拡大図であり、排ガスが緩衝部材14の内部を通過するのは図5と同様であるが、排ガスにとっては通気性があるとはいえ緩衝部材14は抵抗体であることから、外皮部分表面と排気管内側の間に浸入した排ガスは、その一部が外皮部分6を通過してセルの中に導かれる。その際、排ガスは外部部分表面の触媒に接触することで浄化される。
セル5の内部に浸入した排ガスは、GPFにおいては目封止部が障害となって再び外皮部分を通過して排気管側に排出される。その際にも排ガスは外部部分表面の触媒に接触することで浄化される。
なお、図示していないが、直接セル内部に導かれた排ガスは図5の例同様、外皮部分を通過し、外皮部分表面の触媒組成物に接触し浄化されて排気管側に排出される。
本発明においては、通気性耐熱緩衝部材が、円筒形または楕円筒形のハニカム構造型触媒の外皮部分を周状に覆うものであって、通気性耐熱緩衝部材の長さがハニカム構造型触媒の軸線方向の長さより短いことが好ましい。通気性耐熱緩衝部材、例えば、ウールの長さを短めにすることで、端面円周近傍のセルをウールで塞いでしまうことを防ぐ効果がある。
本発明では、このウールが抵抗体になって、排ガスは外皮端面側の触媒層と接触した後、再びセル内に流入することから排ガスの浄化能力が向上するようになる。
さらに、前記の実施形態5では、図9に示すように、図4に表されたハニカム構造型触媒(ゾーンコート触媒)を、図7と同様に短い緩衝部材を介して排気管内に配置した装置としている。図10は図9の外皮部分近傍B部の拡大図であり、このようなゾーンコート触媒では、外皮部分外側からセル内に導かれて浄化される排ガス、セル内から外皮部分を介して排気管側へ排出されて浄化される排ガスについては図4と同様であるが、緩衝部材14と接触している外皮部分には触媒組成物が被覆されていない点が異なっている。
緩衝部材は、排ガスの流れにとっては抵抗体であることは前述のとおりであるが、このような抵抗体が存在することは、言い換えれば排ガスの流れが悪くなっている部分であるともいえる。そのため、ハニカム構造型触媒全体からみると排ガスの浄化への貢献が小さいことがある。本発明の実施形態5では、ハニカム構造体の外皮部分の外表面に触媒が付着しているものの、その量は少ないので、ハニカム構造体のセルサイズ(口径)に対して、通気性耐熱緩衝部材の厚みとの比率を、1:2〜5に調整して、緩衝部材側への排ガスの導入量を少なめにすることができる。これにより、従来よりも圧力損失を小さくしながら、排ガスの浄化性能を高めることができる。
自動車排ガス触媒では、白金やパラジウム、ロジウムなど高価な活性成分を使用することが一般的であることから、浄化性能への貢献が比較的小さい部位についてはこの実施形態のように触媒成分の被覆を行わないことで、触媒の価格を低く抑えることができる。
本発明は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルター等、特に、ガソリンエンジンの排ガス中の粒子状物質を補足する為の触媒化フィルター(GPF)に好適に使用することができる。
1:ハニカム構造型触媒
2:ハニカム構造体
4:隔壁
5:セル
6:外皮部分
7:細孔
8:触媒組成物
9:目封止部
11:入口端面
12:出口端面
14:緩衝部材
15:塗布・駆動ローラー
16:絞りローラー
20:排気管(缶体)

Claims (10)

  1. 複数のセルを形成する多孔質体の隔壁と、この隔壁と同質材料で形成されている多孔質体の外皮部分を有するハニカム構造体の隔壁内部に無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸して存在するハニカム構造型触媒であって、
    前記外皮部分の内部には無機酸化物粒子を含む触媒組成物が含浸しておらず、前記外皮部分の外表面の少なくとも一部には、無機酸化物粒子を含む触媒組成物が被覆されていることを特徴とするハニカム構造型触媒。
  2. 前記ハニカム構造体は、気孔率が、50〜80%であることを特徴とする請求項1記載のハニカム構造型触媒。
  3. 前記ハニカム構造体は、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10〜25μmであることを特徴とする請求項1又は2記載のハニカム構造型触媒。
  4. 前記ハニカム構造体は、形状が円筒形または楕円筒形であって、全長が50〜300mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造型触媒。
  5. 前記外皮部分の外表面における無機酸化物粒子を含む触媒組成物の被覆長さが、少なくとも一方のハニカム構造体の端面から軸線方向に5mm以上、かつ全長の2/3以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造型触媒。
  6. 前記セルは、入口端面側の開口端部及び出口端面側の開口端部に目封止部を有し、該目封止部が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造型触媒。
  7. 前記触媒組成物は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造型触媒。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造型触媒を排気管内部に装着し、排気管内側とハニカム構造型触媒の外皮部分の間には通気性耐熱緩衝部材が介在していることを特徴とする排ガス浄化装置。
  9. 通気性耐熱緩衝部材が、円筒形または楕円筒形のハニカム構造型触媒の外皮部分を周状に覆うものであって、通気性耐熱緩衝部材の長さがハニカム構造型触媒の軸線方向の長さより短いことを特徴とする請求項8に記載の排ガス浄化装置。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の排ガス浄化装置を用いて排ガスを浄化することを特徴とする排ガス浄化方法。
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