JP7289813B2 - セラミックス多孔体及びその製造方法、並びに集塵用フィルタ - Google Patents

セラミックス多孔体及びその製造方法、並びに集塵用フィルタ Download PDF

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本発明は、セラミックス多孔体及びその製造方法、並びに集塵用フィルタに関する。
ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンなどの内燃機関や、各種の燃焼装置などから排出される排ガスには、ススなどの粒子状物質(以下、「パティキュレートマター」又は「PM」ともいう)が多量に含まれている。このPMがそのまま大気中に放出されると、環境汚染を引き起こすため、排ガスの排気系には、PMを捕集するための集塵用フィルタ(以下、「パティキュレートフィルタ」ともいう)が搭載されている。集塵用フィルタとしては、例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンから排出される排ガスの浄化に用いられるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)などが挙げられる。このようなDPF及びGPFには、第1端面から第2端面まで貫通して排ガスの流路を形成する複数のセルが隔壁によって区画形成されたハニカム構造を有するセラミックス多孔体が用いられている。そして、この用途に用いられるセラミックス多孔体には、PMの捕集率を高める細孔構造を有することが要求される。
また、上述した集塵用フィルタに用いられるセラミックス多孔体は、その使用に伴ってススなどの粒子状物質が表面又は内部に堆積する。その結果、セラミックス多孔体の圧力損失が大きくなり、集塵用フィルタとしての捕集能力が十分に得られなくなる。そこで、集塵用フィルタとしての捕集能力を再生させることを目的として、セラミックス多孔体の表面又は内部に堆積した粒子状物質を定期的に燃焼させて除去する再生処理が行われている。この再生処理を安定して行う観点から、セラミックス多孔体には、再生処理に対する耐久性を有することも要求される。
また、上述した排ガスには、NOx、CO及びHCなどの有害物質も含まれている。排ガス中の有害物質の量を低減し、排ガスを浄化する際には、触媒反応が広く用いられている。このような触媒反応を利用した排ガスの浄化において、SCR触媒などの排ガス浄化触媒を担持するための担体としても、上記のハニカム構造を有するセラミックス多孔体が使用されている。そして、この用途に用いられるセラミックス多孔体には、排ガス浄化性能を高める観点から、排ガス浄化触媒を多く担持できる細孔構造を有することが要求される。
上記のような用途で使用される従来のセラミックス多孔体としては、例えば、特許文献1には、メジアン細孔径(d50)が10μm以上、(メジアン細孔径(d50)-メジアン細孔径(d10))/メジアン細孔径(d50)の値が0.8未満であり、全気孔率の5%未満が1.0μm未満の細孔径を有する細孔からなるセラミックス多孔体が提案されている。
また、特許文献2には、単位体積当たりの、細孔径15μm以下の細孔容積及び細孔径40μm以上の細孔容積がそれぞれ0.7cc/cc以下であるセラミックス多孔体が提案されている。
特許第5897242号公報 特許第4954705号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のセラミックス多孔体は、細孔構造に着目しているものの、それらの細孔構造が最適であるとはいえない。そのため、このセラミックス多孔体を集塵用フィルタとして用いた場合、排ガス浄化性能が十分でないという問題があった。なお、本明細書において「排ガス浄化性能」とは、PMの捕集性能、及びNOxなどの有害物質の浄化性能の両方を意味する。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐久性に優れると共に、集塵用フィルタとして用いた場合に排ガス浄化性能を高めることが可能なセラミックス多孔体及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐久性に優れると共に、排ガス浄化性能が高い集塵用フィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、セラミックス多孔体の細孔径10~15μmの細孔容積率が、耐久性及び排ガス浄化性能と密接に関係していることに着目し、セラミックス多孔体の細孔径10~15μmの細孔容積率を特定の範囲に制御することで、耐久性及び排ガス浄化性能を向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、骨材及び結合材を含む骨格部と、前記骨格部の間に形成され且つ流体が流通可能な細孔部とを備え、気孔率が55%~68%であり、前記細孔部は、細孔径10~15μmの細孔の細孔容積率が4~17%、細孔径40μm超過の細孔の細孔容積率が17%以下であり、前記骨材が、炭化珪素、酸化チタン又はそれらの混合物である、セラミックス多孔体である。
また、本発明は、前記セラミックス多孔体の製造方法であって、
骨材、結合材、焼成助剤、造孔剤及びバインダを含む坏土を成形して成形体を得る工程と、前記成形体を焼成する工程とを含み、
前記骨材は、体積基準による累積粒度分布において、50%粒径D50が15~30μmであり、且つ(90%粒径D90-10%粒径D10)/50%粒径D50が1.0以下であり、
前記焼成助剤の配合量が、前記骨材及び前記結合材の合計100質量部に対して1.0~4.0質量部である、セラミックス多孔体の製造方法である。
さらに、本発明は、前記セラミックス多孔体を有する集塵用フィルタである。
本発明によれば、耐久性に優れると共に、集塵用フィルタとして用いた場合に排ガス浄化性能を高めることが可能なセラミックス多孔体及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、耐久性に優れると共に排ガス浄化性能が高い集塵用フィルタを提供することができる。
実施の形態1のセラミックス多孔体のSEM写真である。 実施の形態2のセラミックス多孔体を模式的に示す斜視図である。 実施の形態2のセラミックス多孔体のセルが延びる方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。 実施の形態2のセラミックス多孔体を適用したハニカム触媒体における、セルが延びる方向に直交する断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。
以下、本発明のセラミックス多孔体及びその製造方法、並びに集塵用フィルタの好適な実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、改良などを行うことができる。各実施の形態に開示されている複数の構成要素は、適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態のセラミックス多孔体のSEM写真である。
図1に示されるように、本実施の形態のセラミックス多孔体は、骨材及び結合材を含む骨格部と、骨格部の間に形成され且つ流体が流通可能な細孔部とを備える。
ここで、細孔部の細孔径及び細孔容積率は、セラミックス多孔体の耐久性や排ガス浄化性能などの様々な特性と関係しており、細孔径が小さな細孔の細孔容積率を高くすると、耐久性が向上する一方、NOxなどの有害物質の浄化性能が低下するという傾向がある。特に、従来は、細孔径15μm以下の小さな細孔は、排ガスが流れにくく、有害物質の浄化性能の向上にほとんど寄与しないため、細孔径15μm以下の小さな細孔の細孔容積率が低いことが望ましいと考えられていた。
しかしながら、本発明者らの研究の結果、細孔径10~15μmの細孔は、有害物質の浄化性能に対する影響が大きく、その細孔容積率を制御することが有害物質の浄化性能の向上に有効であることがわかった。
そこで、本実施の形態のセラミックス多孔体では、細孔径10~15μmの細孔の細孔容積率を4~17%に制御している。この細孔容積率を上記の範囲とすることにより、有害物質の浄化性能及び耐久性の両方を向上させることができる。また、この細孔容積率は、上記の効果を安定して得る観点から、好ましくは5~13%である。
ここで、本明細書において「細孔径」とは、JIS R1655:2003に準拠し、水銀圧入法によって求めた細孔分布における細孔径を意味する。
また、細孔径10μm未満の細孔は、有害物質の浄化性能の向上にほとんど寄与しないため、少ない方が望ましい。したがって、細孔径10μm未満の細孔の細孔容積率は、好ましくは9.5%以下、より好ましくは7%以下である。この細孔容積率を上記の範囲とすることにより、有害物質の浄化性能を向上させることができる。
また、細孔径40μm超過の細孔は、耐久性やPMの捕集性能が低下する恐れがあるため、少ない方が好ましい。したがって、細孔径40μm超過の細孔の細孔容積率は、好ましくは17%以下、より好ましくは14%以下である。この細孔容積率を上記の範囲とすることにより、耐久性及びPMの捕集性能の両方を向上させることができる。
骨格部に用いられる骨材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。その中でも骨材は、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ムライト、酸化チタン又はこれを含む複合酸化物(例えば、チタン酸アルミニウム)であることが好ましい。このような材料を骨材として用いることにより、強度及び耐熱衝撃性に優れたセラミックス多孔体を得ることができる。
骨材の平均粒径は、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。このような範囲の平均粒径を有する骨材を用いることにより、粗大な骨格部が形成され難くなり、骨格部の間に連通性が良好な細孔部が形成され易くなる。また、骨材の平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは10μm、より好ましくは15μmである。
ここで、本明細書において「平均粒径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた累積粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径を意味する。
骨格部に用いられる結合材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。その中でも結合材は、金属珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム及びこれを含む複合酸化物(例えば、コージェライト)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような結合材を、骨材に対する比率を適切に選択して用いることにより、熱伝導性に優れたセラミックス多孔体を得ることができる。
なお、炭化珪素は、骨材としても用いられるが、一緒に使用される骨材の種類や焼成温度によっては結合材としても機能する。例えば、骨材である炭化珪素と共に、Si及びCを含む有機物を原料として用いた場合、当該有機物が約1800℃で反応焼結することで生成した炭化珪素が結合材として機能する。
骨格部は、焼成助剤に由来する酸化物をさらに含むことができる。ここで、焼成助剤に由来する酸化物の種類は、使用する焼成助剤の種類及び焼成温度から特定することができる。
焼成助剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。焼成助剤は、アルカリ土類金属元素を含む化合物を一般に含有する。アルカリ土類金属元素を含む化合物の例としては、カルシウム、マグネシウム又はストロンチウムのフッ化物、炭化物、塩化物、珪化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、焼成助剤は、焼成助剤の融点を制御する観点から、アルカリ土類金属元素以外の元素を含む化合物をさらに含有してもよい。
焼成助剤は、ストロンチウムを含む化合物と、アルミニウムを含む化合物とを含む混合物であることが好ましい。ここで、各化合物は、2種以上の金属元素を含有していてもよい。例えば、焼成助剤は、酸化ストロンチウム及び酸化アルミニウムを含む混合物、又は焼成時に当該混合物を与える原料である。焼成時に酸化ストロンチウムを与える原料としては炭酸ストロンチウムが挙げられる。焼成時に酸化アルミニウムを与える原料としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。
セラミックス多孔体の気孔率は、特に限定されないが、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上である。このような範囲の気孔率とすることにより、排ガスの流れ易さを確保し、排ガス浄化性能を向上させることができる。一方、気孔率の上限は、特に限定されないが、好ましくは68%、より好ましくは65%である。気孔率の上限を上記の値とすることにより、耐久性を確保することができる。
ここで、本明細書において「気孔率」とは、JIS R1655:2003に準拠し、水銀圧入法によって測定される気孔率を意味する。
上記の特徴を有するセラミックス多孔体は、骨材、結合材、焼成助剤、造孔剤及びバインダを含む坏土を成形して成形体を得る工程と、成形体を焼成する工程とを含む方法によって製造することができる。
この方法において、骨材は、体積基準による累積粒度分布において、50%粒径D50が15~30μm、好ましくは16~28μm、より好ましくは18~26μmである。また、骨材は、体積基準による累積粒度分布において、(90%粒径D90-10%粒径D10)/50%粒径D50が1.0以下、好ましくは0.8以下である。このような粒度分布を有する骨材を原料として用いることにより、有害物質の浄化性能の向上にほとんど寄与しない細孔径が10μm未満の細孔、及び耐久性やPMの捕集性能を低下させる恐れがある40μm超過の細孔を低減することができるため、所望の細孔構造を有するセラミックス多孔体を得ることができる。
ここで、本明細書において、50%粒径D50とは、レーザー回折・散乱法によって求めた累積粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径を意味する。同様に、90%粒径D90及び10%粒径D10は、レーザー回折・散乱法によって求めた累積粒度分布(体積基準)における積算値90%及び10%での粒径をそれぞれ意味する。
骨材の90%粒径D90は、特に限定されないが、好ましくは10~45μm、より好ましくは20~40μmである。また、骨材の10%粒径D10は、特に限定されないが、好ましくは5~20μm、より好ましくは10~18μmである。このような粒度分布を有する骨材を原料として用いることにより、上記の効果を安定して得ることができる。
骨材及び結合材の配合量は、種類に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、骨材と結合材との質量割合が好ましくは70:30~85:15である。このような範囲とすることにより、所望の細孔構造を有するセラミックス多孔体が得られ易い。
焼結助剤は、骨材と結合材との濡れ性を高める作用を有する。そのため、焼結助剤の含有量が多いと、焼成時に骨材と結合材との接触面積が増大するため、耐久性(強度)が向上する一方、所望の細孔構造が得られ難くなる。
したがって、焼結助剤の配合割合は、耐久性を高めつつ所望の細孔構造を得る観点から、骨材及び結合材の合計100質量部に対して1.0~4.0質量部、好ましくは1.8~3.2質量部とする。
造孔剤は、セラミックス多孔体の気孔率や細孔径を調整するために配合される。造孔剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。造孔剤の例としては、グラファイト、小麦粉、架橋澱粉、発泡樹脂、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
造孔剤の50%粒径D50は、特に限定されないが、好ましくは25~45μm、より好ましくは30~40μmである。また、造孔剤の(90%粒径D90-10%粒径D10)/50%粒径D50は、特に限定されないが、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下である。このような粒度分布を有する造孔剤を原料として用いることにより、所望の細孔径及び気孔率を有するセラミックス多孔体が得られ易くなる。
造孔剤の90%粒径D90は、特に限定されないが、好ましくは10~60μm、より好ましくは20~50μmである。また、造孔剤の10%粒径D10は、特に限定されないが、好ましくは5~23μm、より好ましくは10~22μmである。このような粒度分布を有する造孔剤を原料として用いることにより、上記の効果を安定して得ることができる。
坏土中の造孔剤の配合割合は、種類に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、骨材及び結合材の合計100質量部に対して、好ましくは5~35質量部、より好ましくは10~30質量部、さらに好ましくは15~25質量部である。
バインダとしては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。バインダの例としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの有機バインダ、モンモリロナイト、セピオライトなどの無機バインダが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
坏土中のバインダの配合量は、種類に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、骨材及び結合材の合計100質量部に対して、好ましくは3~17質量部、より好ましくは5~15質量部、さらに好ましくは7~13質量部である。
坏土は、上記の原料を混合及び混錬することによって得ることができる。原料の混合及び混錬方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法によって行うことができる。例えば、原料の混合及び混錬は、ニーダー、真空土練機などを用いて行うことができる。
坏土の成形方法も同様に、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法、例えば押出成形によって行うことができる。
成形体は、成形体中に含まれる有機バインダを除去(脱脂)するために、焼成の前に仮焼してもよい。仮焼は、金属珪素が溶融する温度よりも低い温度で行うことが好ましい。具体的には、150~700℃程度の所定の温度で一旦保持してもよく、また、所定温度域で昇温速度を50℃/時間以下に遅くして仮焼してもよい。
所定の温度で一旦保持する手法については、使用した有機バインダの種類及び量に応じて、一温度水準のみの保持でも複数温度水準での保持でもよく、更に複数温度水準で保持する場合には、互いに保持時間を同じにしても異ならせてもよい。また、昇温速度を遅くする手法についても同様に、ある一温度区域間のみ遅くしても複数区間で遅くしてもよく、更に複数区間の場合には、互いに速度を同じとしても異ならせてもよい。
仮焼の雰囲気については、酸化雰囲気でもよいが、成形体中に有機バインダが多く含まれる場合には、仮焼中に有機バインダが酸素で激しく燃焼して成形体温度が急激に高くなることがあるため、N2、Arなどの不活性雰囲気で行うことによって、成形体の異常昇温を抑制してもよい。この異常昇温の抑制は、熱膨張係数の大きい(熱衝撃に弱い)原料を用いた場合に重要な制御である。また、骨材が炭化珪素粒子である場合の他、高温での酸化が懸念されるものである場合にも、少なくとも酸化が始まる温度以上では、前記のような不活性雰囲気で仮焼を行うことによって、成形体の酸化を抑制することが好ましい。
仮焼及びそれに続く焼成は、同一若しくは別個の炉にて、別工程として行ってもよく、又は同一炉での連続工程としてもよい。仮焼及び焼成を異なる雰囲気にて実施する場合には前者も好ましい手法であるが、総焼成時間、炉の運転コストなどの見地からは後者の手法も好ましい。
焼成雰囲気については、骨材の種類に応じて決定すればよい。例えば、高温での酸化が懸念される骨材を用いた場合には、少なくとも酸化が始まる温度以上の温度域においては、N2、Arなどの非酸化雰囲気とすることが好ましい。
上記のようにして製造される本実施の形態のセラミックス多孔体は、細孔径10~15μmの細孔容積率が適切な範囲に制御されているため、耐久性及び排ガス浄化性能を高めることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態のセラミックス多孔体は、第1端面から第2端面まで貫通して流体の流路を形成する複数のセルが隔壁によって区画形成されたハニカム構造を有する。このようなハニカム構造を有するセラミックス多孔体では、隔壁がセラミックス多孔体に相当する。また、ハニカム構造を有するセラミックス多孔体において、「流体の流通方向と平行な方向」とは、セルが延びる方向に直交する方向のことを意味し、「流体の流通方向」とは、隔壁の厚み方向のことを意味する。
本実施の形態のセラミックス多孔体は、所定のハニカム構造を有することを除けば実施の形態1のセラミックス多孔体と同一である。よって、ここでは、実施の形態1と共通する構成については説明を省略し、実施の形態1と異なる箇所のみについて説明する。
図2は、本実施の形態のセラミックス多孔体を模式的に示す斜視図である。また、図3は、本実施の形態のセラミックス多孔体のセルが延びる方向に平行な断面を模式的に示す断面図である。
図2及び3に示されるように、本実施の形態のセラミックス多孔体(以下、「ハニカム構造体100」という)は、複数個の柱状のハニカムセグメント17と、これら複数個のハニカムセグメント17の側面間に配置された接合層15とを備えている。このようなセグメント構造とすることにより、ハニカム構造体100を集塵用フィルタとして使用する際にハニカム構造体100が受ける応力を緩和させることができる。
柱状のハニカムセグメント17は、第1端面11から第2端面12まで貫通して流体の流路を形成する複数のセル2を区画形成する隔壁1を備えている。
隔壁1の厚さとしては、特に限定されないが、好ましくは100~500μm、より好ましくは150~450μm、さらに好ましくは125~400μmである。隔壁1の厚さを100μm以上とすることにより、隔壁1の強度が十分に確保され、ハニカム構造体100を缶体に収納する時にハニカム構造体100が破損し難くなる。また、隔壁1の厚さを500μm以下とすることにより、圧力損失が増大することを抑制することができる。
ハニカムセグメント17におけるセル密度としては、特に限定されないが、好ましくは15~100セル/cm2、より好ましくは30~65セル/cm2、さらに好ましくは30~50セル/cm2である。セル密度を15セル/cm2以上とすることにより、隔壁1の強度が十分に確保され、ハニカム構造体100を缶体に収納する時にハニカム構造体100が破損し難くなる。セル密度を100セル/cm2以下とすることにより、圧力損失が増大することを抑制することができる。
セル2の形状としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の形状とすることができる。ここで、本明細書において「セル2の形状」とは、セル2が延びる方向に直交する方向の断面におけるセル2の形状を意味する。セル2の形状の例としては、円形、四角形、六角形、八角形などが挙げられる。特に、四角形のなかでは、正方形又は長方形が好ましい。
ハニカム構造体100の形状としては、特に限定されず、端面(第1端面11及び第2端面12)が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(例えば、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形など)の柱状などにすることができる。
ハニカム構造体100の第1端面11から第2端面12までの長さ、及びセル2が延びる方向に直交する断面の大きさは、ハニカム構造体100の使用状況及び使用用途などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
ハニカム構造体100は、図2及び図3に示されるように、第1端面11における所定のセル2(流出セル2b)の開口部及び第2端面12における残余のセル2(流入セル2a)の開口部に配設された目封止部8を備えていてもよい。ハニカム構造体100をDPFなどに使用する場合には、このような構造であることが好ましい。すなわち、目封止部8を備えることにより、ハニカム構造体100に流入した排ガスは、隔壁1でろ過されるため、排ガス中の粒子状物質を良好に捕集することができる。なお、ハニカム構造体100において流入セル2aと流出セル2bとは、交互に並んでいる。これにより、ハニカム構造体100の第1端面11及び第2端面12のそれぞれに、目封止部8と、セル2の開口部とから形成される市松模様が現れる。
目封止部8の材質とハニカムセグメント17の材質とは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
ハニカム構造体100は、その外周面に外周コート層20を有していてもよい。この外周コート層20は、ハニカムセグメント17と同じ材質とすることができる。外周コート層20を形成することにより、ハニカム構造体100の搬送中などに外力を受けたとしても欠けなどの欠陥を生じ難くなる。
ハニカム構造体100は、隔壁1に触媒を担持することにより、排ガスに含まれる一酸化炭素等の被浄化成分を浄化するハニカム触媒体として用いることができる。例えば、図4に示されるように、セル2を区画形成する隔壁1の気孔を埋めるように触媒22を付着させることができる。なお、図4は、本実施の形態のセラミックス多孔体を適用したハニカム触媒体における、セルが延びる方向に直交する断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。また、図4では、触媒22はドット状に分布しているが、触媒22の分布状態は特に限定されない。
触媒22としては、当該技術分野において公知のものを用いることができる。触媒22の例としては、ガソリンエンジン排ガス浄化三元触媒、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン排ガス浄化用の酸化触媒、NOx選択還元用のSCR触媒などが挙げられる。具体的には、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銀などの貴金属、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化鉄などの酸化物、銅イオン交換ゼオライトを含む単体又は化合物などを用いることができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような特徴を有するハニカム構造体100の製造方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法に準じて行うことができる。具体的には、次のようにして行うことができる。
まず、ハニカム構造を有する柱状成形体(ハニカムセグメント17の形状に対応する成形体)に坏土を押出成形すること以外は実施の形態1と同様にしてハニカムセグメント17を作製する。押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことができる。このようにして得られた柱状成形体は、焼成前に乾燥させてもよい。乾燥方法としては、特に限定されず、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などを用いることができる。これらの中でも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独又は組み合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、特に限定されないが、乾燥温度30~150℃、乾燥時間1分~2時間とすることが好ましい。本明細書において「乾燥温度」とは、乾燥を行う雰囲気の温度のことを意味する。
次に、上記で得られた柱状成形体又はその乾燥体を目封止する。セル2の開口部を目封止する方法としては、セル2の開口部に目封止材を充填する方法を用いればよい。目封止材を充填する方法としては、従来公知の目封止部8を備えたハニカム構造体100の製造方法に準じて行うことができる。目封止に用いられる目封止部形成原料は、従来公知のハニカム構造体100の製造方法において用いられる目封止部形成原料を用いることができる。
次に、目封止が行われた柱状成形体又はその乾燥体を仮焼して有機バインダを除去(脱脂)した後、本焼成を行うことによってハニカムセグメント17を得る。得られたハニカムセグメント17は、さらに酸素含有雰囲気で熱処理を実施することによって、表面に酸化皮膜を形成してもよい。
次に、上記で得られたハニカムセグメント17の側面に接合材を塗布し、ハニカムセグメント17の互いの側面同士が対向するように隣接して配置する。そして、隣接するハニカムセグメント17同士を圧着した後、加熱乾燥させることでハニカム構造体100となる。このとき、接合材は、加熱乾燥によって接合層15となる。
接合材としては、特に限定されないが、例えば、セラミックス粉末、分散媒(例えば、水など)、及び必要に応じて、バインダ、解膠剤、発泡樹脂等の添加剤を混合することによって調製したものを用いることができる。セラミックスとしては、特に限定されないが、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、及びチタニアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するセラミックスであることが好ましく、ハニカムセグメント17と同材質であることがより好ましい。バインダとしては、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)などを用いることができる。
次に、上記のようにして得られたハニカム構造体100は、必要に応じて、外周部を研削加工して所望の形状(例えば円柱状)とし、外周面に外周コーティング材を塗工した後、加熱乾燥させて外周壁を形成してもよい。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す粒度分布を有する炭化珪素(骨材)、金属珪素(結合材)、表1に示す粒度分布を有する架橋澱粉(造孔剤)、炭酸ストロンチウム(焼成助剤)、水酸化アルミニウム(焼成助剤)、バインダ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」と略す)及びモンモリロナイト)を表1に示す割合で配合し、水を加えて混合した後、ニーダーで混練し、次に真空土練機で土練して坏土を得た。得られた坏土を、押出成形機にて、端面の一辺の長さ36mm、隔壁の厚さ300μm、セル密度46セル/cm2の四角柱状のハニカム形状に成形した。次に、得られた成形体をマイクロ波乾燥させた後、120℃で熱風乾燥させて乾燥体を得た。次に、得られたハニカム乾燥体について、所定のセルの一方の端部と、残余のセルの他方の端部とに目封止部を形成した。なお、所定のセルと残余のセルとは、交互に(互い違いに)並ぶようにして、両端面に、セルの開口部と目封止部とにより市松模様が形成されるようにした。目封止用の充填材には、ハニカム成形体と同様の材料を用いた。次に、得られた目封止ハニカム乾燥体を大気中、450℃で5時間脱脂した後、脱脂した乾燥体を、Ar雰囲気中、1430℃で2時間焼成してハニカムセグメントを得た。
次に、ハニカムセグメントの側面に接合材を塗布し、別のハニカムセグメントの側面と接合した。この工程を繰り返して、縦4個×横4個のハニカムセグメントを接合した合計16個のハニカムセグメント積層体を作製した。次に、外部から圧力を加えることにより、ハニカムセグメント同士を圧着させた後、140℃で2時間乾燥させて接合体を得た。次に、得られた接合体のセルが延びる方向に直交する断面が円形となるように、接合体の外周を切削加工した。次に、その加工面に接合材と同じ組成の外周コーティング材を塗布した後、700℃で2時間乾燥させて外周コート層を形成し、ハニカム構造体を得た。
(実施例2~6及び比較例1~3)
使用する原料及び配合割合を表1に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様の条件でハニカム構造体を得た。なお、実施例5では、バインダとしてHPMC及びセピオライトを使用した。
Figure 0007289813000001
上記の実施例及び比較例で得られたハニカム構造体について以下の評価を行った。
(細孔容積率及び気孔率)
水銀ポロシメータ(マイクロメリティクス社製オートポアIV9500)を用いて、各細孔径を有する細孔の細孔容積を測定した。例えば、10~15μmの細孔径を有する細孔の細孔容積(mL/g)は、細孔径が15μmの積算細孔容積の値から、細孔径が10μmの積算細孔容積の値を減算することによって求めた。また、10~15μmの細孔径を有する細孔の細孔容積率は、全細孔容積に対する、10~15μmの細孔径を有する細孔の細孔容積の百分率として算出した。なお、全細孔容積(mL/g)とは、ハニカム構造体1gあたりの全細孔の容積を意味する。また、他の細孔径を有する細孔の細孔容積及び細孔容積率も上記と同様にして求めた。
気孔率は、全細孔容積(mL/g)及びハニカム構造体の真密度(g/mL)を用いて、下記式によって算出した。
気孔率=全細孔容積/(全細孔容積+1/ハニカム構造体の真密度)×100
(NOx浄化率)
ハニカム構造体の隔壁に、NOx選択還元用のSCR触媒(銅イオン交換ゼオライト触媒)100g/Lを担持させた。具体的には、前記SCR触媒のスラリーを収容した容器に、ハニカム構造体を一方の端面から浸漬させ、他方の端面からスラリーを吸引することによって隔壁にSCR触媒を担持させた。このハニカム構造体に、NOxを含む試験用ガスを流し、このハニカム構造体から排出されたガスのNOx量をガス分析計で分析することによってNOx浄化率を求めた。
このとき、ハニカム構造体に流入させる試験用ガスの温度は200℃とした。なお、試験用ガスは、ヒーターにより温度調整した。ヒーターは、赤外線イメージ炉(Infrared image furnace)を用いた。試験用ガスは、窒素に、二酸化炭素5体積%、酸素14体積%、一酸化窒素350ppm(体積基準)、アンモニア350ppm(体積基準)及び水10体積%を混合させたガスを用いた。この試験用ガスに関しては、水と、その他のガスを混合した混合ガスとを別々に準備しておき、試験を行う時に配管中でこれらを混合させて用いた。ガス分析計は、「HORIBA社製、MEXA9100EGR」を用いた。また、試験用ガスがセラミックス多孔体に流入するときの空間速度は、100,000(時間-1)とした。「NOx浄化率」は、試験用ガスのNOx量から、セラミックス多孔体から排出されたガスのNOx量を差し引いた値を、試験用ガスのNOx量で除算し、100倍した値(単位:%)である。
なお、この評価において、NOx浄化率が70%を超えたものを◎、NOx浄化率が60%超過70%以下であったものを〇、NOx浄化率が50%超過60%以下であったものを△、NOx浄化率が50%以下であったものを×と表す。また、NOx浄化率は、50%超過(評価結果が、△、〇及び◎)であれば実用上問題がないため、合格とする。
(PM捕集率)
NOx浄化率の評価と同じ方法でSCR触媒を担持させたハニカム構造体を、排気量2.0リットルのディーゼルエンジンが搭載された乗用自動車の排ガスの排気管に取り付けた。この乗用自動車を用いて、EUDC(Extra Urban Driving Cycle)モードで3回走行した後、8時間以上ソーク(Soak:エンジン停止)してから、NEDC(New European Driving Cycle)モードで走行した。このNEDCモードで走行した際の、SCR触媒を担持させたハニカム構造体の排ガス出口(流出側)における粒子状物質(PM)の個数累計と、排ガス中の全PM個数とを基に、下記式によってPM捕集率を算出した。
PM捕集率[%]=(排ガス中の全PM個数-ハニカム構造体の排ガス出口(流出側)におけるPMの個数累計)/排ガス中の全PM個数×100
PM個数の測定は、欧州経済委員会における自動車基準調和世界フォーラムの排出ガスエネルギー専門家会議による粒子測定プログラム(略称「PMP」)によって提案された手法に従って行った。
なお、この評価において、PM捕集率が95%を超えたものを◎、PM捕集率が90%超過95%以下であったものを〇、PM捕集率が80%超過90%以下であったものを△、PM捕集率が80%以下であったものを×と表す。また、PM捕集率は、80%超過(評価結果が、△、〇及び◎)であれば、欧州EURO6規制値6.0×1011個/kmを満足することができ、実用上問題がないため、合格とする。
(アイソスタティック強度)
アイソスタティック強度の測定は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格(JASO規格)のM505-87で規定されているアイソスタティック破壊強度試験に基づいて行った。アイソスタティック破壊強度試験は、ゴムの筒状容器に、ハニカム構造体を入れてアルミ製板で蓋をし、水中で等方加圧圧縮を行う試験である。すなわち、アイソスタティック破壊強度試験は、缶体に、ハニカム構造体が外周面把持される場合の圧縮負荷加重を模擬した試験である。このアイソスタティック破壊強度試験によって測定されるアイソスタティック強度は、ハニカム構造体が破壊したときの加圧圧力値(MPa)で示される。
なお、この評価において、アイソスタティック強度が2.0MPaを超えたものを◎、アイソスタティック強度が1.5MPa超過2.0MPa以下であったものを〇、アイソスタティック強度が1.0MPa超過1.5MPa以下であったものを△、アイソスタティック強度が1.0MPa以下であったものを×と表す。また、アイソスタティック強度は、1.0MPa超過(評価結果が、△、〇及び◎)であれば実用上問題がないため、合格とする。
(クラック臨界温度)
ハニカム構造体にバーナーで加熱した空気を流すことで中心部分と外側部分との間に温度差をつくり、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を評価する急速加熱試験(バーナースポーリング試験)によってクラック臨界温度(ハニカム構造体にクラックが発生しない最高温度)を求めた。試験温度(加熱した空気の温度)は、900℃、1000℃、1100℃として順次行った。そして、試験後のハニカム構造体のクラックの発生状況を観察した。評価基準は、試験温度1100℃でもクラックが発生しない場合を◎とし、試験温度1000℃ではクラックが発生しないが、試験温度1100℃ではクラックが発生した場合を〇とし、試験温度900℃ではクラックが発生しないが、試験温度1000℃ではクラックが発生した場合を△とし、試験温度900℃でクラックが発生した場合を×とした。また、クラック臨界温度は、900℃以上(評価結果が、△、〇及び◎)であれば実用上問題がないため、合格とする。
上記の各評価結果を表2に示す。
Figure 0007289813000002
表2に示されるように、細孔径10~15μmの細孔の細孔容積率が4~17%の範囲内にある実施例1~6のハニカム構造体は、全ての評価項目の合格基準を達成することができた。これに対して細孔径10~15μmの細孔の細孔容積率が4~17%の範囲外にある比較例1~3のハニカム構造体は、いずれかの評価項目の合格基準を達成することができなかった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、耐久性に優れると共に、集塵用フィルタとして用いた場合に排ガス浄化性能を高めることが可能なセラミックス多孔体及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、耐久性に優れると共に排ガス浄化性能が高い集塵用フィルタを提供することができる。
1 隔壁
2 セル
2a 流入セル
2b 流出セル
8 目封止部
11 第1端面
12 第2端面
15 接合層
17 ハニカムセグメント
20 外周コート層
22 触媒
100 ハニカム構造体

Claims (9)

  1. 骨材及び結合材を含む骨格部と、前記骨格部の間に形成され且つ流体が流通可能な細孔部とを備え、
    気孔率が55~68%であり、
    前記細孔部は、細孔径10~15μmの細孔の細孔容積率が4~17%、細孔径40μm超過の細孔の細孔容積率が17%以下であり、
    前記骨材が、炭化珪素、酸化チタン又はそれらの混合物である、セラミックス多孔体。
  2. 前記細孔部は、細孔径10μm未満の細孔の細孔容積率が9.5%以下である、請求項1に記載のセラミックス多孔体。
  3. 前記結合材が、金属珪素、酸化アルミニウム及びコージェライトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のセラミックス多孔体。
  4. 前記細孔部内に触媒が担持されている、請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス多孔体。
  5. 第1端面から第2端面まで貫通して前記流体の流路を形成する複数のセルが隔壁によって区画形成されたハニカム構造を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス多孔体。
  6. 前記ハニカム構造は、前記第1端面における所定の前記セルの開口部、及び前記第2端面における残余の前記セルの開口部に設けられた目封止部を含む、請求項に記載のセラミックス多孔体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のセラミックス多孔体の製造方法であって、
    骨材、結合材、焼成助剤、造孔剤及びバインダを含む坏土を成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼成する工程と
    を含み、
    前記骨材は、体積基準による累積粒度分布において、50%粒径D50が15~30μmであり、且つ(90%粒径D90-10%粒径D10)/50%粒径D50が1.0以下であり、
    前記焼成助剤の配合量が、前記骨材及び前記結合材の合計100質量部に対して1.0~4.0質量部である、セラミックス多孔体の製造方法。
  8. 前記造孔剤は、体積基準による累積粒度分布において、50%粒径D50が25~45μmであり、且つ(90%粒径D90-10%粒径D10)/50%粒径D50が1.2以下である、請求項に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックス多孔体を有する集塵用フィルタ。
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