JP6827720B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタやファクシミリ、複写機等のように、記録材上に画像形成可能な電子写真方式等の画像形成装置に関する。
上記のような画像形成装置には、画像形成部により記録材(以下、用紙あるいは紙と記す)の上に形成されたトナー像(未定着画像)のトナー(現像剤)を熱によって融解して当該用紙上に融着させる定着装置(像加熱装置、画像加熱装置)が搭載されている。
定着装置としては、高速昇温させるために、加熱媒体である定着ローラを薄肉小径化したもの、樹脂フィルムの回転体に対して内側から加熱体を圧接したもの、薄肉金属の回転体を誘導加熱により加熱するもの等が知られている。これらはいずれも加熱媒体である回転体(以下、定着部材と記す)の熱容量を小さくし、加熱効率の良い熱源で加熱しようとしたものである。
一方で、封筒など二枚以上の用紙が重なって通紙される場合に、表裏の搬送速度の違いにより封筒皺が発生してしまう場合がある。特許文献1では、封筒皺に対応するために加圧力を可変する定着装置が提案されている。
特開2014−025965号公報
一般的な封筒は、二枚の用紙の一部を糊づけするなどして封筒形状になっている。たとえば、長形3号と呼ばれる封筒は、短辺の中央部分で貼り合わせて糊づけされているもの(中貼り)や、短辺の端部で貼り合わせて糊づけされているもの(スミ貼り)のものがある。貼りあわせ部分は、糊しろが必要であるため、部分的に三枚の用紙が重なるようになっている。
このような貼りあわせ部分では、重なりが多いため、定着部材の熱量が不足して十分に未定着トナーを定着できない場合があることがわかった。また、定着不良を回避するために定着部材温度を高くすると、封筒の貼りあわせ位置が異なる封筒が通紙された場合に、必要以上に光沢が高くなり、画像の品質が損なわれるという問題がある。
また、特許文献1のように圧力を下げた場合に、定着部材と加圧ローラとニップが狭くなりやすく、貼り合わせ部での定着不良が発生する可能性が高くなることが分かった。
本発明は上記の課題に鑑みて提案されたものである。本発明の目的は、封筒の貼りあわせ部分での定着不良を防ぎ、光沢が高くなりすぎることのない画像形成装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録材のトナー像担持面に当接して記録材を加熱する第1回転体と前記第1回転体と協働して前記記録材を挟持搬送するニップ部を形成する第2回転体と前記第1回転体を加熱する加熱部とを有する定着部、前記第1回転体の長手方向中央部の温度を検知する第1温度センサと、前記第1回転体の長手方向一端部の温度を検知する第2温度センサと、記録材に関する記録材情報の入力部と、貼り合わせ部を有する封筒であって前記第1温度センサと前記第2温度センサが通紙領域内となる所定幅以上の封筒に形成された画像を加熱する場合には、前記第1温度センサと前記第2温度センサから選択されたいずれか1つの温度センサの検知温度が目標温度なるように前記加熱部への通電を制御し、貼り合わせ部を有さず、前記第1温度センサと前記第2温度センサが通紙領域内となる所定幅以上の紙に形成された画像を加熱する場合には、前記第1温度センサの検知温度が目標温度となるように前記加熱部への通電を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、封筒の貼りあわせ部分での定着不良を防ぎ、光沢が高くなりすぎることのない画像形成装置を提供することができる。
実施例1における装置の制御系統のブロック図 画像形成装置の一例の構成説明図 実施例1における定着装置の要部の横断面模式図 同装置の要部の分解斜視模式図 誘導加熱装置の回路図 実施例1における制御のフローチャート 実施例1の定着装置における定着ローラの温度分布と温度推移とを説明する模式図(その1) 実施例1の定着装置における定着ローラの温度分布と温度推移とを説明する模式図(その2) 比較例1の定着装置における定着ローラの温度分布と温度推移とを説明する模式図 実施例2における制御のフローチャート 実施例2の動作を説明する模式図 実施例2の定着装置における定着ローラの温度分布と温度推移とを説明する模式図 実施例3における制御のフローチャート 実施例3の定着装置における定着ローラの温度分布と温度推移とを説明する模式図 実施例4の定着装置の斜視図 (a)は同装置の要部の横断左側面模式図、(b)は(a)の部分的な拡大図、(c)は圧力付与部材(加圧パッド)の横断面図 (a)と(b)は同装置の左側面図と一部切り欠きの左側面図 定着ベルトの層構成模式図 偏心カムの形状説明図 各圧モードのベルトユニット位置の説明図 通常圧モードにおける説明図 封筒圧モードにおける説明図 実施例4における制御のフローチャート(その1) 実施例4における制御のフローチャート(その2) 通常圧モード、封筒圧モードにおけるニップ幅を説明する図
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、複数の温度検出素子(温度検知素子)の検出温度差に応じて記録材の生産性が設定される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部をその代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、像加熱装置(画像加熱装置:定着部)は、未定着のトナー像が形成された記録材を加熱処理して記録材にトナー像を定着させる定着装置のみならず、半定着又は定着済みトナー像を加熱処理して画像に所望の表面性を付与する表面処理装置を含む。誘導加熱される回転体及び圧接させる回転体は、ローラのみならずベルト、フィルムを含む。
像加熱装置を搭載する画像形成装置は、モノクロ/フルカラー、枚葉型/記録材搬送型/中間転写型、トナー像形成方式、転写方式の区別無く本発明を実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写/定着に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途の画像形成装置で実施できる。
<画像形成装置>
図2は本実施形態における画像形成装置の構成説明図である。この画像形成装置30は、タンデム型−中間転写方式の電子写真フルカラープリンタであり、PCなどの外部機器319から制御部100に入力する画像形成ジョブ(プリントジョブ)に基づいて画像形成動作する。317はプリンタ操作部であり、制御部100に対して各種の情報を入力することができる。また、操作部317が有する表示部には制御部100から各種の情報の表示がなされる。
プリンタ本体30Aの内部には、4つの画像形成部1a,1b,1c,1dが配設されている。各画像形成部は、それぞれ、感光ドラムa,b,c,dと、感光ドラムに作用する帯電器、現像器、ドラムクリーナ等(何れも不図示)のプロセス手段を有する。これらの画像形成部1a,1b,1c,1dの上側には中間転写ベルトユニット2が、下側にはレーザスキャナユニット4が配設されている。
画像形成部1aでは、感光ドラムaにイエロートナー像が形成されて一次転写部Ta1で中間転写ベルト3に転写される。画像形成部1bでは、感光ドラムbにマゼンタトナー像が形成されて一次転写部Tb1で中間転写ベルト3に転写される。画像形成部1c、1dでは、それぞれ感光ドラムc、dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されてそれぞれ一次転写部Tc1とTd1で中間転写ベルト3に転写される。これにより、中間転写ベルト3に四色重畳のトナー像が形成される。これら画像形成部の電子写真プロセス機構や作像動作は公知であるからその説明は割愛する。
一方、複数段の記録材カセット5(A,B,C)の何れかの給送ローラ6が駆動されて記録材(シート:以下、用紙あるいは紙と記す)Pが一枚宛給送される。その用紙Pが搬送路7を通ってレジストローラ対8により所定の制御タイミングで中間転写ベルト3と二次転写ローラ9との圧接部である二次転写部T2に導入される。これにより、用紙Pに対して中間転写ベルト3上の四色重畳のトナー像が一括して二次転写される。
その用紙Pが搬送路10を通って像加熱装置である定着装置(定着部)Fに導入されて加熱・加圧されることで未定着のトナー像が溶融軟化して固着像として定着(熱定着)される。定着装置Fを出た用紙Pは排出ローラ11により上部トレイ12上に排出される。ここで、本実施例のプリンタ30においては大小各種幅サイズの用紙の搬送は用紙幅中心の所謂中央基準にてなされる。
<像加熱装置>
図3は定着装置Fの要部の横断面模式図、図4は同装置Fの要部の分解斜視模式図、図5は誘導加熱装置の回路図である。この定着装置Fは用紙上(記録材上)のトナー像をその間のニップ部Nで加熱する第1回転体としての定着ローラ(加熱回転体)20と第2回転体としての加圧ローラ(加圧回転体)22を有する。定着ローラ20は用紙Pのトナー像担持面に当接して用紙を加熱する定着部材であり、この定着ローラ20に対して加圧部材である加圧ローラ22が水平方向に圧接して定着ローラ20と協働して用紙を挟持搬送するニップ部Nを形成している。
定着ローラ20は、磁性体の芯金パイプ20aの外周にシリコーンゴムの弾性層20bを配置し、弾性層20bの外周面をフッ素樹脂の離型層20cで被覆している。加圧ローラ22は、定着ローラ20に対向させて配置されて、両側の軸端に配置された不図示のコイルばねによって定着ローラ20へ向かって付勢されている。
加圧ローラ22は、磁性体の芯金パイプ22aの外周にシリコーンゴムの弾性層22bを配置し、弾性層22bの外周面をフッ素樹脂の離型層22cで被覆している。定着ローラ20と加圧ローラ22は、長手方向の一端部に配置された不図示のギア列で連結され、ギア列に接続された駆動モータM1(図1)に駆動されて一体に回転する。
定着ローラ20は、その外側に配設された励磁コイル71、磁性体コア72、磁気回路部材82を主体とした誘導加熱装置70によって加熱される。誘導加熱装置70は、磁束を発生して定着ローラ20を加熱する。誘導発熱体としての定着ローラ20は、鉄等の強磁性の金属(透磁率の高い金属)を使うことで、誘導加熱装置70から発生する磁束を金属内部により多く拘束させる。磁束密度を高くすることにより、金属表面に渦電流を発生し、効率的に定着ローラ20を発熱させることができる。
励磁コイル71と磁性体コア72は誘導加熱装置70のハウジング76の内部に配設されている。励磁コイル71は図3において紙面と垂直方向に長円状に形成されている。励磁コイル71の中心に一部分を侵入させて、図3の紙面と垂直方向に複数に分割された磁性体コア72が配置されている。73は磁性体コア移動機構であり、分割されている個々の磁性体コアを定着ローラ20に接近する方向と定着ローラ20から離れる方向に選択的に移動させる機構である。この機構は本発明の要点外であるからここでの詳細な説明は割愛する。
磁気回路部材82は、磁性体コア72と定着ローラ20の芯金パイプ20aとを周回するように、励磁コイル71が発生する磁束の磁気回路を形成する。磁性体コア72及び磁気回路部材82は、励磁コイル71より発生した交流磁束の磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。磁性体コア72は、交流磁束を効率よく定着ローラ20を構成している誘導発熱体に導く役目をするため、材質として、フェライト等の高透磁率残留磁束密度の低いものを用いている。
図4に示すように、励磁コイル71は、長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラ20の外周面に沿うように配置されている。励磁コイル71は、φ0.1〜0.3mmの絶縁被覆電線の細線を略80〜160本程度束ねたリッツ線を芯線として用いている。芯線は、磁性体コア72を周回するように8〜12回巻回して励磁コイル71を構成している。
複数に分割されている磁性体コア72は、用紙搬送方向(記録材搬送方向)Zと直交する方向に配列状態で配置されている。磁性体コア72は、定着ローラ20の軸垂直断面において、励磁コイル71の巻き中心部と外周面を円弧状に連絡するように構成されている。
定着装置Fは、定着ローラ20を加熱するため、励磁コイル71による磁束で定着ローラ20に設けた誘導発熱体に渦電流を発生させてジュール熱により発熱させる誘導加熱方式を採用している。誘導加熱方式は、熱発生位置をニップ部Nのごく近くに置くことができるので、ハロゲンランプヒータを用いた熱ローラ方式に比して、電源投入時に、定着ローラ20の表面の温度が定着に適当な温度になるまでに要する時間が短くて済む。また、熱発生位置からニップ部Nへの熱伝達経路が短く単純であるため、加熱の熱効率が高い。
励磁コイル71に高周波電流が印加されると、定着ローラ20が発熱する。励磁コイル71は、供給される交流電流によって交番磁束を発生し、交番磁束は磁性体コア72に導かれて、誘導発熱体である定着ローラ20に渦電流を発生させる。その渦電流は誘導発熱体の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。即ち、励磁コイル71に交流電流を供給することで定着ローラ20が電磁誘導発熱状態になる。
図5に示すように、励磁回路310は、定着装置Fの励磁コイル71へ高周波電流の交番電流を供給する。励磁コイル71は、商用交流電源500から電力供給されるIH電源装置300の励磁回路310におけるスイッチ素子303、304の接続点とコンデンサ305、306の接続点との間に接続されている。励磁コイル71は、磁束を発生して定着ローラ20を誘導加熱する。
IH電源装置300は、ダイオードブリッジ301と、フィルタコンデンサ302とで整流平滑回路を構成して直流電圧を発生させる。電力制御部313は、駆動部312を介して、スイッチ素子303、304を交互に作動させて、励磁コイル71に交流電圧を印加する。コンデンサ305、306は、励磁コイル71とともに共振回路を形成する共振コンデンサである。駆動部312は、2つのスイッチ素子303、304をそれぞれ駆動する。電力検知部311は、IH電源装置300の入力電力を検出する。
上記のように、定着ローラ20と加圧ローラ22が回転駆動され、定着ローラ20が誘導加熱装置70により加熱される。そして、以下に説明するように、定着ローラ20が所定の温度に温調制御されて未定着のトナー像tを担持した用紙Pがニップ部Nに導入される。用紙Pはニップ部Nで挟持搬送されることで定着ローラ20にて加熱され、またニップ圧を受けて、未定着トナー像tが用紙Pに熱圧定着(熱定着)される。ニップ部Nを通った用紙Pは定着ローラ20から分離して定着廃装置Fから排出搬送されていく。
図4に示すように、温度検出素子314、315、316は、定着ローラ20に対向する位置にそれぞれ配置され、定着ローラ20の長手中央部と、一端側(以下、奥側と記す)と、他端側(以下、手前側と記す)の各位置の温度を検出する。温度検出素子はサーミスタ等の温度センサである。即ち、定着ローラ20の幅方向に関して互いに離間した複数箇所の温度を検知する複数の温度検出素子314、315、316を有する。
中央温度検出素子314は、定着ローラ20の長手中央部の温度を検出し、定着ローラ20の温度が所定の温度に立ち上げられて一定になるように電力制御部313を制御する。奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316は、定着ローラ20の両端部に対向する位置に配置され、定着ローラ20長手両端部の温度を検出する。奥側温度検出素子315と手前側温度検出素子316は用紙として使用されている封筒の通紙幅より狭い位置に配置されている。
本実施例では、奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316は中央温度検出素子314との距離は等間隔に、定着ローラ20の長手中央位置から115mmの位置にそれぞれ配置されている。即ち、奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316は、角2サイズ(240mm幅)の封筒の通紙幅よりも内側に配置されている。
電力制御部313は、画像形成装置30の制御部100からの動作命令と、温度検知部314の温度検出結果などの定着装置Fの状態から、駆動部312が出力する電力条件を決定する。駆動部312は、電力制御部313で決定された電力条件に従って、2つのスイッチ素子303、304を駆動する。
<実施例1>
本実施例は、封筒の貼りあわせ位置が異なる封筒を用いた場合でも、各温度検出素子314、315、316の温度で最適な制御温度を決定する。これにより、定着不良や光沢が高くなりすぎて画像品質が損なわれないように構成された定着装置を実現するものである。
図1は実施例1における装置の制御ブロック図である。制御部100は、CPU201、ROM202・RAM203を有している。制御部100は、中央温度検出素子314、奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316の検知温度差に基づいて、IH電源装置300を制御し、定着ローラ20の表面温度が所定の温度に一定になるように制御する。
操作部317やPCなどの外部機器319を入力部として使用する(画像加熱処理を施す)用紙種(記録材種)の情報(サイズ、坪量、種類など)を制御部100に設定可能である。また、制御部100は、画像形成制御部318や駆動モータ(装置駆動源)M1を制御する。
図6は実施例1の定着装置Fの起動制御のフローチャートである。制御部100は、プリントジョブ開始したあと、使用する用紙に関する用紙情報(記録材情報)の入力部としての操作部317やPCなどの外部機器319から装置で使用する用紙として封筒(封筒ジョブ)が指定されているかどうかを確認する(S1000)。即ち、制御部100は操作部317や外部機器319から取得した使用する用紙の用紙情報に基づいて用紙が複数枚なって重ね構成されているものであるかどうかを判断する。
封筒を使用するプリントジョブではない場合(封筒以外の用紙を使用するプリントジョブである場合)は、中央温度検出素子314により定着ローラ20の長手中央部の温度を検出する。その検出温度情報に基づいて定着ローラ20の温度が所定の温度に一定になるように電力制御部313を制御する(S1001)。本実施例では中央温度検出素子314が180℃を維持できるように電力制御部313を制御する。
封筒を使用するプリントジョブ(封筒ジョブ)の場合は、中央、手前、奥の温度検出素子314、315、316のうち、中央値となる温度検出素子の検出温度が一定になるように電力制御部313を制御する(S1002)。本実施例では、中央値となる温度検出素子が190℃になるように電力制御部313を制御する。通紙が終了した場合は、ジョブを終了し、引き続きジョブが行われる場合は、再度S1000に戻り、ジョブが封筒ジョブかどうかを判断する(S1003)。
本実施例では、S1002で一定温度に制御する温度検出素子は中央値となる温度検出素子を選択した。ここで、中央値とは、昇順に並べたときに中央に位置する値である。従って、中央値となる温度検出素子は、昇順に並べたときに中央値の温度を示す温度検出素子である。空回転時や出荷時のデータにより、それぞれの温度検出素子314、315、316のばらつきがわかっている場合は、ばらつきをそれぞれオフセットした値から、中央値となる温度検出素子を選択してもよい。ここで、空回転時とは、用紙Pがニップ部Nを通過していない状態の定着ローラ20と加圧ローラの回転状態時である。
本実施例の動作について説明する。15℃環境において、坪量100[g/m2]の角形二号サイズの封筒1(中貼)を、一分間に10枚の生産性で500枚通紙した。
封筒1:角2 中貼 クラフトCoC 100 〒枠ナシ 株式会社山櫻社製
このときの、各温度検出素子314、315、316の検知温度推移の模式図を図7の(b)に、定着ローラ長手の温度分布および各温度検出素子314、315、316、封筒の貼りあわせ位置の関係の模式図を図7の(a)に示す。
図7の(b)から封筒の貼りあわせ位置の部分で、温度低下が大きくなっているのがわかる。これは、貼りあわせ位置の部分は坪量100[g/m2]の用紙が3枚重なっているのに対し、貼りあわせ位置以外の部分では、用紙2枚しか重なっていないため、定着ローラ20の表面から奪われる熱量が異なるため、このような温度差が発生する。
このときの定着ローラ長手の温度分布から中央温度検出素子314の部分で温度低下していることがわかる。本実施例では、中央温度検出素子314が180℃、手前側と奥側温度検出素子316、315がともに190℃であるので、複数の温度検出素子314、315、316の中で中央値になる手前側もしくは奥側温度検出素子316または315で温度制御を行う。この結果、封筒通紙全域において、本実施例の構成での定着可能温度175℃を下回ることなく、良好な定着性能が得られた。
次に、封筒の貼りあわせ位置が中貼りではなく、スミ貼りの封筒2(スミ貼)を、同様に一分間に10枚の生産性で500枚通紙した。
封筒2:角2 スミ貼 クラフトCoC 100 〒枠ナシ 株式会社山櫻社製
このときの、各温度検知素子314、315、316の検知温度推移の模式図を図8の(b)に、定着ローラ長手の温度分布および各温度検出素子314、315、316、封筒の貼りあわせ位置の関係の模式図を図8の(a)に示す。
図8の(a)および(b)から封筒の貼りあわせ位置の奥側温度検出素子315の部分で、温度低下が大きくなっているのがわかる。本実施例では、奥側温度検出素子315が180℃、手前側と中央の温度検出素子316、314がともに190℃である。そこで、この複数の温度検出素子314、315、316の中で中央値になる手前側もしくは中央の温度検出素子316または314が190℃になるように温度制御を行う。
封筒貼りあわせ位置がスミ貼りの場合も、中貼り同様、封筒通紙全域において、本実施例の構成での定着可能温度175℃を下回ることなく、良好な定着性能が得られた。
つぎに、比較例1として、従来のように常に中央温度検出素子314を180℃一定で制御して、同様の通紙を行った。封筒貼りあわせ位置が中貼りの場合は、図7の(a)、(b)と同じ温度分布や温度推移となり、良好な定着性能が得られた。封筒貼りあわせ位置がスミ貼りの場合は、図9の(a)、(b)のようになり、封筒貼りあわせ位置での温度低下により、定着可能温度175℃を下回り、定着不良が発生した。
定着可能温度を下回らないように比較例2として、中央温度検出素子314を190℃一定で制御して同様の通紙した場合は、スミ貼りでは図8の(a)、(b)と同じ温度分布や温度推移となり、良好な定着性能が得られた。逆に中貼りの場合では、貼りあわせ位置以外が200℃になってしまい、光沢が高くなりすぎて高品位な画像が得られなかった。
上記のように制御部100は入力部317や319から取得した用紙情報に基づいて用紙が複数枚重なって構成されていると判断された場合、次のように制御する。即ち、複数の温度検出素子314、315、316に関して当該用紙の通過幅に対応する複数の温度検出素子の複数の温度情報に基づいて定着ローラ20の温度制御を行う。
以上説明したように、本実施例の構成では、封筒の貼りあわせ位置が異なる封筒を用いた場合でも、各温度検出素子314、315、316の温度の中央値となる温度検出素子を選択して、制御する。これにより、定着不良や光沢が高くなりすぎて画像品質が損なわれない定着装置を実現することができる。
中央値で制御するほうが、用紙の長手位置ズレによるばらつきによる影響が少なくなる。たとえば温度検知素子315が封筒端部からの距離が近い場合、非通紙部領域からの熱移動により温度が高くなる。この部分で温度制御してしまうと貼りあわせ位置が中央にある場合、中央温度検知素子314の温度が低くなってしまう場合がある。

<実施例2>
本実施例2は、実施例1の定着装置Fにおいて、用紙が通過する位置に対応するところに3つ以上の温度検出素子がある場合、実施1と同様の制御を行い、2つ以下の場合は中央温度検出素子314のみで制御する点が異なる。
本実施例2における制御は、図6のフローチャートが図10のフローチャートに置き換わる点、奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316の定着ローラ長手配置が異なる点以外の装置構成及び画像形成等の制御は実施例1と同一である。
実施例1では、奥側温度検出素子315、手前側温度検出素子316は中央温度検出素子314との距離は等間隔に、定着ローラ長手中央位置から115mmの位置にそれぞれ配置されていた。これに対して、本実施例2では、定着ローラ長手中央位置から50mmの位置にそれぞれ配置されている。
以下、図10のフローチャートについて説明するが、実施例1と同様の動作を行う部分は、同じ符号を付け説明を省略する。本実施2ではS1000で封筒ジョブと判断された場合、封筒の通紙幅範囲に温度検出素子が3つ以上あるかを判断する(S2000)。3つ以上の温度検出素子が通紙幅内にある場合は、S1002と同様に複数の温度検出素子の中央値で温度制御を行う。
封筒の通紙幅範囲に温度検出素子が2つ以下の場合は、温度低下しすぎないように封筒の搬送間隔を広げて(通紙間隔UPモード)、中央温度検出素子314で制御を行う(S2001、S1001)。S2001では1分間あたりの出力枚数が50%になるように制御を行う。
上記の制御をまとめると次のとおりである。制御部100は、入力部317または319から取得した用紙情報に基づいて使用される用紙が複数枚重なって構成されていると判断された場合は次の制御をする。即ち、複数の温度検出素子314、315、316に関して当該用紙の通過幅に対応する複数の温度検出素子のうち、あらかじめ決められた一つの温度検出素子314の温度情報に基づいて定着ローラ20の温度制御を行う。
動作を確認するために、実施例1と同様に、封筒3(長形3号サイズ、中貼り)、封筒4(長形3号サイズ、スミ貼り)、封筒5(長形4号サイズ、中貼り)、封筒6(長形4号サイズ、スミ貼り)を1分間に14枚で500枚通紙を行った。
封筒3:長3 中貼 本ケントCoC 100 〒枠ナシ
封筒4:長3 スミ貼 本ケントCoC 100 〒枠ナシ
封筒5:長4 中貼 本ケントCoC 80 〒枠ナシ
封筒6:長4 スミ貼 BSケントCoC 80 〒枠ナシ
図11に本実施例2の温度検出素子の定着ローラ長手配置と各封筒の関係を示す。封筒3、封筒4を通紙した場合、長形3号サイズ(120mm幅)なので、奥側および手前側温度検出素子315、316は封筒通紙幅内にいるため、実施例1と同様の動作を行い、良好な定着性が得られる。
封筒5、封筒6を通紙した場合、長形4号サイズ(90mm幅)のため、中央から50mm位置にある奥側および手前側温度検出素子315、316は封筒通紙域内にある。この結果、S2001の制御により、1分間の出力枚数を14枚から7枚に低下させて出力する通紙間隔UPモードで出力された。
封筒5の場合は、封筒貼りあわせ位置が中央のものを中央温度検出素子314で制御しているため、実施例1と同様に定着不良および光沢性が高くなりすぎるような問題は発生しなかった。
封筒貼りあわせ位置がスミ貼り(封筒6)の場合は、図12の(a)、(b)のような温度分布、温度推移になった。中央温度検出素子314で制御しているため、中央温度は180℃に維持されているが、封筒貼りあわせ位置部分B位置の温度が低くなってしまっている。
しかし、S2001の制御のように紙間が広くなっているため、貼りあわせ位置の部分で温度低下はするものの、封筒がニップ部Nを通過していない状態の定着ローラ20と加圧ローラ22の空回転時にローラ長手方向への熱移動が発生する。これにより、定着可能温度175℃を下回り、定着不良が発生するようなことはなかった。
以上、説明したように、本実施例2の構成では、用紙が通過する位置に対応するところに3つ以上の温度検出素子がある場合のみ、実施例1と同様に制御する。さらには用紙が通過する位置に対応するところに2つ以下の温度検出素子しかない場合は、用紙間隔を広げることで、定着不良および光沢性が高くなりすぎないように構成することができる。
<実施例3>
本実施例3は、実施例2において、用紙が通過する位置に対応するところに2つの温度検出素子がある場合は、検知温度の高いほうの温度検出素子で制御する点が異なる。本実施例3における制御は、図10のフローチャートが図13のフローチャートに置き換わる点、奥側温度検出素子315の定着ローラ長手配置が異なる点以外の装置構成及び画像形成等の制御は実施例2と同一である。
本実施例では、奥側温度検出素子315は長手中央位置から40mm位置、手前側温度検出素子316は長手中央位置から50mmの位置に配置されている。
以下、図13のフローチャートについて説明するが、実施例1、同2と同様の動作を行う部分は、同じ符号を付け説明を省略する。
本実施例3ではS2001で封筒の通紙幅範囲に温度検出素子が2つ以下のときに、さらに通紙幅範囲の温度検出素子が2つであるかどうかを判断する(S3000)。通紙幅範囲の温度検出素子が1つの場合は、温度検出素子が温度低下しすぎないように用紙間隔を広げて中央温度検出素子314で制御を行う(S2001、S1001)。通紙幅範囲の温度検出素子が2つの場合は、高いほうの温度検出素子で定着表面温度が190℃になるように温度制御を行う(S3001)。
実施例2と同様に封筒6を通紙した場合、図14の(a)、(b)のような温度分布、温度推移になった。奥側温度検出素子315の部分で温度が低くなってしまっているが、検出温度の高い中央温度検出素子314を190℃で制御しているため、定着可能温度175℃を下回り、定着不良が発生するようなことはない。
本実施例3のように通紙幅範囲に温度検出素子が2つの場合は、高いほうの温度検出素子で温度制御することで、実施例2のように1分間あたりの出力枚数を低下させることなく、定着不良および光沢性が高くなりすぎないように構成することができる。
上記の制御をまとめると次のとおりである。制御部100は、入力部317または319から取得した用紙情報に基づいて使用される用紙が複数枚重なって構成されていると判断された場合は次の制御をする。
複数の温度検出素子314〜316に関して当該用紙の通過幅に対応する箇所に一定数以上の温度検出素子が存在しない場合は、通紙域幅に対応する温度検出素子の温度情報に基づいて、どの温度検出素子を用いて定着ローラ20の温度制御を行うかを決定する。つまり、複数の温度センサのうち記録材通過域幅に対応する温度センサの温度情報に基づいて、記録材通過域幅の幅内のどの温度センサで定着ローラ20の温度制御を行うかを決定する。
<実施例4>
本実施例4は、実施例1において、封筒皺に対応するために加圧力を可変する定着装置に適用したものである。本実施例4における装置構成に加圧力可変機構が追加される以外、制御及び画像形成等の制御は実施例1と同一である。以下、加圧力可変機構とその効果について説明するが、実施例1の定着装置と同様の動作を行う部分は、同じ符号を付け説明を省略する。
ここで、以下の説明において、定着装置Fに関して、正面とは装置Fを用紙入口側から見た面、左右とは装置を主面から見て左または右である。上流側と下流側とは用紙搬送方向Zに関して上流側と下流側である。
図15は本実施例4の定着装置Fの斜視図である。図16の(a)は同装置の要部の横断左側面模式図、(b)は(a)の部分的な拡大図、(c)は圧力付与部材(加圧パッド)の横断面図である。図17の(a)と(b)は同装置Fの左側面図と一部切り欠きの左側面図である。
加熱アセンブリ501は、円筒状で可撓性を有する定着ベルト(エンドレスのベルト)506を有する。ベルト506は励磁コイル71から発生される磁界(磁場、磁束)が存在する領域を通過したときに電磁誘導で発熱する磁性部材(金属層、導電部材)を有する。また、ベルト506の内部に挿入された金属製のステー507を有する。ステー507の下面には長手に沿って圧力付与部材としての加圧パッド(ニップパッド)508が取り付けられている。
パッド508はベルト506と加圧ローラ22との間に所定の押圧力を作用させてニップ部(定着部、定着ニップ部部)Nを形成する部材であり、耐熱性樹脂製である。パッド508のベルト506の内面に対する対向部が、図16の(b)・(c)のように、上流側突起部508a、主圧部508b、下流側突起部508cから構成されている。
即ち、パッド508は、ニップ部Nの上流部に上流側突起部508aなる凸部、ニップ部Nの下流部に下流側突起部508cなる凸部を有し、その両凸部508a・508bの間に主圧部508bを有する構成になっている。主圧部508bは、必ずしも平坦である必要はなく、上流側突起部508aの先端と下流側突起部508cの先端を平面で結んだ部分よりも、ベルト506内面に対して遠くなっていればよい。
より詳しくは、パッド508はベルト506を挟んで加圧ローラ22に向けて相対的に圧力を付与してニップ部Nを形成するように構成された圧力付与部材である。そして、パッド508は、横断面において、ベルト506の内面に対する対向部にニップ部Nの中心近傍における主圧部508bを有する。また、その主圧部508bを中にして用紙搬送方向Xの上流側と下流側とに主圧部508bからベルト506に向けて突出している凸部508a・508cを有している。
また、パッド508は圧をかけた時の撓みを補正するためにクラウンが付けてあり、本実施例で用いたクラウン量はパッド508の長手中央と端部(中央から200mmの位置)で1.6mmである。
ステー507はニップ部Nに圧力を加えるために剛性が必要であるため、本実施例では鉄製である。また、ステー507の上面側(励磁コイル71側)には、ベルト506を効率的に加熱するために誘導磁場をベルト506に集中させるための磁性体コア(内側の磁性コア)509がステー507の長手にわたって配設されている。
ステー507の左右の両端部がそれぞれベルト506の左右の両端部から外方に突出している。その両端部に対してそれぞれ左右対称形状のフランジ部材(定着フランジ)510L・510Rが嵌着されている。フランジ部材510L・510Rはベルト506の長手方向(幅方向:左右方向)への移動および周方向の形状を規制する規制部材である。ベルト506は上記のステー507・パッド508・コア509の組立て物に対してルーズに外嵌されている。ベルト506の長手方向への移動はフランジ部材510L・510Rの内向き面により規制される。
ベルト506は、後述するように、基層506a(図18)が電磁誘導発熱する金属で構成されている。そのため、回転状態のベルト506の長手方向への寄りを規制するための手段としては、ベルト506の端部を単純に受け止めるだけのフランジ部を有するフランジ部材510L・510Rを設ければ十分である。これにより、定着装置Fの構成を簡略化できるという利点がある。
パッド508の長手中央部にはベルト506の温度を検知する中央温度検出素子314としてのサーミスタ等の温度センサが弾性を有する支持部材511を介して配設されている。温度検出素子はベルト506の内面に対して部材511により弾性的に当接している。これにより、回転されるベルト506の温度検出素子当接面が波打つなどの位置変動が生じたとしても中央温度検出素子314がこれに追従してベルト506の内面との良好な接触状態が維持される。
加熱アセンブリ501はフランジ部材510L・510Rをそれぞれ装置筐体505の側板505L・505Rに配設されている縦方向のガイドスリット部505aに係合させて配設されている。したがって、加熱アセンブリ501は全体に側板505L・505R間においてスリット部505aに沿って上下方向に移動可能な自由度を有する。
図18はベルト506の層構成を示す模型図である。本実施例では、ベルト506は内径が30mmで電気鋳造法によって製造したニッケル基層(磁性部材、金属層)506aを有している。この基層506aの厚みは40μmである。基層506aの外周には弾性層6bとして耐熱性シリコーンゴム層が設けられている。層506bの厚さは100〜1000μmの範囲内で設定するのが好ましい。
本実施例では、ベルト506の熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して、層506bの厚みは300μmとされている。シリコーンゴムは、JIS−A20度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。更に層506bの外周には、表面離型層506cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
基層506aの内面側には、ベルト内面と中央温度検出素子314との摺動摩擦を低下させるために、フッ素樹脂やポリイミドなどの樹脂層(滑性層)506dを10〜50μmの厚みで設けても良い。本実施例では、層506dとしてポリイミドの層を20μmの厚みで設けた。
ベルト506は全体的に低熱容量で可撓性(弾性)を有し、自由状態においては円筒形状を保持している。金属層506aにはニッケルのほかに鉄合金や銅、銀などの金属を選択可能である。また、樹脂基層にそれら金属を積層させるなどの構成でも良い。金属層506aの厚みは、後述する励磁コイル71に流す高周波電流の周波数と金属層506aの透磁率・導電率に応じて調整して良く、5〜200μm程度の間で設定すると良い。
加圧ローラ22は芯金22aの両端部がそれぞれ装置筐体505の側板505L・505Rに対して軸受512を介して回転可能に支持されて配設されており、駆動モータM1により回転駆動される。
[加圧機構504と変更機構]
加圧機構504は、本実施例においては、加熱アセンブリ501のパッド508を、ベルト506を介して加圧ローラ22に所定の押圧力(圧力)で加圧してベルト506と加圧ローラ22との間に所定のニップ部Nを形成する加圧手段である。本実施例においてはこの加圧機構504の圧力(加圧状態)を変更機構により変更可能に構成してある。
そして、制御部100は、入力部317または319から取得した用紙情報に基づいて変更機構を制御して加圧機構504の加圧状態を第1の加圧モードと第1の加圧モードよりも加圧力を減少させた第2の加圧モードとの切り替えを実行する。
以下、具体的な機構構成を説明する。側板505L・505Rの外側の上部には、それぞれ、左右対称に加圧部材としての左右一対の前後方向(用紙搬送方向)に長い加圧レバー518L・518Rが配設されている。
レバー518Lはフランジ部材510Lの被加圧部510aの上側に位置しており、後端部はフランジ部材510Lよりも後方において側板505Lに対して支持軸518aを中心に上下方向に回動可能に枢着されている。即ち、レバー518Lは支持軸518aを支点としてフランジ部材510Lの被加圧部510aを圧接する方向、もしくは被加圧部510aから離間する方向に動作できるようになっている。
レバー518Lの前端部はフランジ部材510Lよりも前側に位置している。レバー518Lは側板505Lとの間に配設された付勢部材としてのばね付きビス519Lのばね519aのばね力で軸518aを中心に下方へ常時回動付勢されている。
レバー518Rはフランジ部材510Rの被加圧部510aの上側に位置しており、後端部はフランジ部材510Rよりも後方において側板505Rに対して支持軸518aを中心に上下方向に回動可能に枢着されている。即ち、レバー518Rは支持軸518aを支点としてフランジ部材510Rの被加圧部510aを圧接する方向、もしくは被加圧部510aから離間する方向に動作できるようになっている。
レバー518Rの前端部はフランジ部材510Rよりも前側に位置している。レバー518Rは側板505Rとの間に配設された付勢部材としてのばね付きビス519Rのばね519aのばね力で軸518aを中心に下方へ常時回動付勢されている。
そして、レバー518L・518Rの自由状態時においては、各レバー518L・518Rの下面がそれぞれフランジ部材510L・510Rの被加圧部510aの上面に対してばね付きビスのばね519aで規定されたばね力で十分に押し当っている。本実施例では、この圧力は例えば550Nに設定されている。これにより、加熱アセンブリ501において、フランジ部材510RL・510Rと共にステー507およびパッド508が押し下げられて、パッド508がベルト506を挟んで弾性層502bの弾性に抗して加圧ローラ22に対して圧接する。
この圧接によりベルト506と加圧ローラ22との間に用紙搬送方向Xに関して所定幅のニップ部Nが形成される。パッド508はニップ部Nの圧プロフィルの形成を補助する。この時の構成を以下、加圧構成と呼ぶ。
側板505L・505R間には軸受(不図示)を介してカム軸521が回転可能に配設されている。その軸521の左右の両端部にはそれぞれ側板505L・505Rの外側において左右対称で同形状の偏心カム(圧解除部材)522L・522Rが同じ位相で固定して配設されている。カム522Lは加圧レバー518Lの前端部の下側に位置している。カム522Rはレバー518Rの前端部の下側に位置している。
また、軸521の左側の端部にはギア(圧解除ギア)523が固定して配設されている。このギア523に対して制御部100で制御される加圧ローラ脱着モータ(例えばステッピングモータ)M2の駆動力が伝達手段(不図示)を介して伝達されて、軸521すなわちカム522L・522Rの回転が制御なされる。
即ち、制御部100は所定の信号に応じてモータM2を回転させてギア523を所定の方向へ所定量回転させる。このギア523の回転に応じて軸521が回転し、これに伴いカム522L・522Rが回転する。
カム522L・522Rの回転制御により、レバー518L・518Rがばね付きビス519L・519Rのばね519aのばね力に抗して持ち上げ回動されることで、パッド508の加圧ローラ22に対する圧力が変更される。
上記の軸受(不図示)、軸521、カム522L・522R、ギア523、モータM2が、加圧機構504によるニップ部Nの圧力を変更する変更機構である。加圧機構504の圧力変更の詳細については後述する。
[圧力変更動作]
カム522L・522Rは、図19のように、2つのピーク形状を有している。カム522L・522Rが回転したときのベルト506の位置を、図20を用いて説明する。
図20の(a)は通常圧モード時である。このモード時においてはカム522L・522Rの平面部が上向きの回転角度姿勢となっていて、カム522L・522Rはレバー518L・518Rに非接触である。そのためばね付きビス519L・519Rのばね519aのばね力がレバー518L・518Rに対して十分に作用して、ニップ部Nの圧力が所定の第1の圧力(通常圧)の状態である(加圧構成)。
本実施例において通常圧モード(第1の加圧モード)の場合、加熱アセンブリ(ベルトユニット)501にかかる力(ニップの総圧力)は500Nである。通常圧としては100N〜900Nが挙げられる。好ましくは40N〜600Nである。
カム522L・522Rが図20の(a)の通常圧モード時において時計方向に回転して、レバー518L・518Rをばね付きビス519Rのばね519aのばね力に抗して1つ目のピーク(ピーク1)の位置まで押し上げる((a)→(b))。そうすると、フランジ部材510L・510Rへの圧力は半減し、ベルト506の位置はΔY1だけ上に上がる((a)→(b))。これにより、ニップ部Nの圧力が通常圧モード時の第1の圧力よりも低い(弱い、軽圧)所定の封筒圧モード(第2の加圧モード)となる(圧力減少構成)。
本実施例においてはこの封筒圧モードの場合、加熱アセンブリ(ベルトユニット)501にかかる力(ニップの総圧力)は30Nになるように設定されている。軽圧としては10N〜90Nが挙げられる。好ましくは4N〜60Nである。
カム522L・522Rが更に回転して、最も高い2つ目のピーク(ピーク2)の位置までレバー518L・518Rを押し上げると、ベルト506はさらにΔY2だけ上に上がる。そうすると、ばね付きビス519Rのばね519aのばね力のフランジ部材510L・510Rに対する圧力を無効にし、ベルト506と加圧ローラ22が圧解除モード(圧力解除状態:圧力解除構成)になる((b)→(c))。
制御部100は、画像形成装置のスタンバイ時や非画像形成時においては加熱アセンブリ501を図20の(c)の圧解除モードに制御する。定着装置Fに通紙される用紙が封筒以外である場合には図20の(a)の通常圧モードに制御する。また、封筒である場合には図20の(b)の封筒圧モード(圧力減少構成)に制御する。
[加圧モードについて]
本実施例における定着装置Fの通常圧モードと封筒圧モードのニップ部Nにおける加圧形態を図21、図22を用いて説明する。図21の(a)と図22の(a)は、各モードにおいて封筒以外の用紙(普通紙)Pがニップ部Nを通過するときの断面図、図21の(b)、図22の(b)は各モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときの断面図を示している。また、図21の(c)、図22の(c)は各モードにおいて封筒を通紙した場合の封筒表紙にかかる速度分布を示している。
通常圧モードでは図21の(a)のように圧力付与部材である加圧パッド508の上流側突起部508a、主圧部508b、下流側突起部508cが共にベルト506に圧接する状態になる。封筒以外の用紙Pが通紙された場合、パッド508の上下流の突起部508a、8cにより、ニップ部Nが上凸形状になっているため、ニップ部Nから排紙される用紙が下方向になっている。これにより、坪量が少なく剛性の低い用紙が通紙された場合においても、定着ベルト506への分離性が十分に確保される。
一方、図21の(b)のように通常圧モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときは、封筒の裏表で拘束されていない部分は、加圧パッド508の上下流の突起部508a、508bにより、ニップ部Nが上凸形状になっている。そのために、ニップ部Nを通過する封筒の変形により封筒の上面と下面において搬送量差が発生する。
図21の(c)に封筒が長型3号の場合の表の搬送量(実線矢印)、裏の搬送量(点線矢印)の送り量を示す。封筒は表裏二枚の重なった紙がベルト幅方向の少なくとも一辺は表裏が拘束されている。長型3号の場合、xで示す位置が拘束箇所になる。拘束されている部分では、表裏が連続となるため、裏表の搬送量の中間的な搬送量でニップ部Nを通過する。この封筒の拘束部分と非拘束部分でのベルト幅方向での送り量の差により、白抜き矢印のような回転モーメントが発生しストレスが蓄積に紙の剛性が耐えきれなくなったところから封筒皺wが発生する。
本実施例では、通常圧モードにおいてニップ部Nを上凸形状にすることが目的であるので、加圧パッド508の主圧部508bのすべてにベルト506が接している必要はなく、主圧部508bの一部がベルト506に接していればよい。
封筒圧モードでは図22の(a)のように加圧パッド508の上流側突起部508a、下流側突起部508cが共にベルト506に圧接しているが、主圧部508bはベルト506から離間する状態になる。封筒以外の用紙Pが通紙された場合は、加圧パッド508の上下流の突起部508a、508cとベルト506の剛性により、ニップ部が上凸形状にならずストレート形状になっている。ニップ部Nから排紙される用紙がストレートに排出される。
この場合、封筒のように二枚重ねになっており剛性が高い用紙Pは問題ないが、坪量が少なく剛性の低い普通紙Pが通紙された場合は、ベルト506の曲率が十分に確保できず分離性が不十分になる場合がある。
一方、図22の(b)のように封筒圧モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときは、封筒の裏表で拘束されていない部分は、ニップ部Nが上凸形状にならずストレート形状になっている。そのため、ニップ部Nを通過する封筒の変形を抑え、封筒の表裏二枚の紙の送り量差を抑制できる(図22の(c))。これにより封筒の拘束部分と非拘束部分でのベルト幅方向での速度のずれの発生を抑制し、封筒皺の発生を防ぐことができる。
本実施例では、封筒圧モードにおいては図22の(b)のように加圧パッド508の上流側突起部508a、下流側突起部508cのみでベルト506を支持する構成になっており、主圧部508bがベルト506に接しない構成について説明した。
封筒圧モードにおいては、例外的に主圧部508bの一部が接する場合もある。たとえば、上下流突起部が機械公差範囲で高さが十分ではない場合や、耐久摩耗により上下流突起部が低くなってしまった場合などがある。また、封筒圧モードにおいて剛性が高い封筒がニップ部Nを通過した場合に、ベルト506が変形し、加圧パッド508の主圧部3bにベルト506が接触するようなこともあり得る。
しかし、そもそも封筒皺が発生しにくい封筒のため、なんら問題はない。剛性が高い封筒としては、たとえば、山櫻社製、長3 スミ貼 ARウルトラホワイト 130 〒枠ナシ、120mm×235mm、坪量130g/m2などが挙げられる。
本実施例の制御を図23に示したフローチャートを使って説明する。まず画像形成装置は画像形成ジョブ(JOB)を受け付ける。その後、通紙される用紙が封筒である封筒ジョブであるかどうかを制御部100が判断する(S5000)。制御部100は通紙する用紙が封筒でなければ、定着装置Fの圧力を通常圧モードにし(S5001)、画像形成動作と定着動作(S5003)を行う。S5000において、通紙する用紙が封筒であれば、封筒圧モードにして(S5002)、画像形成動作&定着動作(S5003)を行う。
通常圧モードと封筒圧モードにおける定着動作を図24に示したフローチャートを使って説明する。まず、制御部100は、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧に調整する(S5100)。次に、制御部100は、加圧ローラ22を駆動モータMにより駆動させ、加圧ローラ22およびベルト506を回転駆動し、コイル15に電圧を印加し、ベルト506を加熱する(S5101)。ベルト506が所定の温調温度に到達するまで、加熱と回転を継続する(S5102)。
図23のフローで決定されたモードが封筒圧モードの場合は定着装置Fの圧力を封筒圧に切り替える(S5103、S5104)。制御部100は画像形成部の画像形成動作により未定着トナーを載せた用紙Pをニップ部Nに導入して未定着トナーを用紙Pに定着させる(S5105)。
そして、制御部100はプリントジョブ終了するまでS5103〜S5105の動作を行い(S5106)、プリントジョブが終了したら駆動モータMの回転および励磁コイル71への電力供給を停止させる(S5107)。プリントジョブ終了後の設定により、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧もしくは圧解除に変更する(S5108)。
封筒圧モード時と通常圧モード時のニップNの用紙搬送方向Xに関するニップ幅を模式的に図25に示す。
通常圧モードでは、ニップパッド508がクラウン形状を有しているため、ステー507および加圧ローラ22のたわみを補正して、長手全域に対してほぼ均一な接触ニップ幅で構成することができている。これにより封筒以外の記録材に対して長手で均一な用紙分離性能を確保することができる。
封筒圧モードでは、長手中央部分では接触ニップ幅が広く太くなっているが、長手端部に向かってニップ幅が狭くなっている。ニップパッド508がクラウン形状を有しているため、加圧力を弱くすると、長手端部の圧力が減少して端部のニップ幅が狭くなってしまっている。封筒では、用紙二枚が重なっているため、剛度が高くなっているので、長手端部のニップ幅が狭い構成でも十分な分離性を確保できる。
以上のような定着ベルト506を用いて、封筒皺に対応するために圧を可変する構成においても実施例1と同様の効果が得られる。定着ベルト506のように長手方向の熱輸送量が少なく、さらに封筒圧モードのようにニップ幅が狭い構成では、とくに封筒貼りあわせ部分での熱量不足が発生しやすい。
封筒圧モードではニップ幅が狭いので、熱量を補うために、図6のフローチャートにおいて、S1001では中央温度検出素子314を190℃温調、S1002では奥側温度検出素子315を200℃温調とした。実施例1と同様に封筒1、封筒2を通紙したところ、同様の効果が得られた。
以上のように、低熱容量の定着ベルト構成で加圧力を可変とする構成においても定着不良および光沢性が高くなりすぎないように構成することができる。
<その他の事項>
(1)以上説明したように、用紙が封筒のような貼りあわせがある場合について述べてきたが、長手方向(幅方向)に熱容量の差がある用紙に対しても適用可能であり、同様の効果が得られることは明らかである。たとえば、長手の一部にラベルが貼られたラベル紙などにも適用可能である。
(2)実施例の定着装置Fにおいては、加圧パッドを、ベルトを介して加圧ローラに対して加圧しているが、逆に、加圧ローラを、ベルトを介して加圧パッドに対して加圧する機構構成にすることもできる。また、加圧パッドと加圧ローラとをベルトを介して互いに加圧する機構構成にすることもできる。即ち、加圧パッドと加圧ローラとをベルトを介して相対的に加圧する機構構成にすることができる。
(3)定着部である定着装置Fは用紙に形成された未定着のトナー像を固着像として加熱定着する装置としての使用に限られない。用紙に一旦定着された或いは仮定着されたトナー像を再度加熱加圧して画像の光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する装置としても有効である(このような装置についても定着装置と呼ぶ)。
(4)画像形成装置は実施例のようなフルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。
30・・画像形成装置、F・・定着部(定着装置)、20・・第1回転体(定着ローラ)、22・・第2回転体(加圧ローラ)、N・・ニップ部、314、315、316・・複数の温度センサ、317、319・・記録材情報の入力部、100・・制御部、P・・記録材、t・・トナー像

Claims (4)

  1. 記録材のトナー像担持面に当接して記録材を加熱する第1回転体と前記第1回転体と協働して前記記録材を挟持搬送するニップ部を形成する第2回転体と前記第1回転体を加熱する加熱部とを有する定着部
    前記第1回転体の長手方向中央部の温度を検知する第1温度センサと、
    前記第1回転体の長手方向一端部の温度を検知する第2温度センサと、
    録材に関する記録材情報の入力部と
    貼り合わせ部を有する封筒であって前記第1温度センサと前記第2温度センサが通紙領域内となる所定幅以上の封筒に形成された画像を加熱する場合には、前記第1温度センサと前記第2温度センサから選択されたいずれか1つの温度センサの検知温度が目標温度なるように、前記加熱部への通電を制御し、貼り合わせ部を有さず、前記第1温度センサと前記第2温度センサが通紙領域内となる所定幅以上の紙に形成された画像を加熱する場合には、前記第1温度センサの検知温度が目標温度となるように前記加熱部への通電を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第1回転体の長手方向他端部の温度を検出する第3温度センサを更に有し、
    前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサと前記第3温度センサが通紙領域内となる所定幅以上の封筒に形成された画像を加熱する場合、前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記第3温度センサから選択されたいずれか1つの温度センサの検知温度が目標温度になるように、前記加熱部への通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、所定幅未満の封筒に形成された画像を加熱する場合、前記第1温度センサの検知温度が目標温度となるように前記加熱部への通電を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記加熱部は、磁束を生ずるコイルを有し、
    前記第1回転体は磁束により誘導発熱する導電層を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
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