JP6826455B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は顕微鏡の画像を形成する技術に係る。
試料表面の微細な形状確認などの目的で顕微鏡を用いた観察が行われている。特に材料開発においては、試料の組成や表面の相の分布が材料の特性を表すため、観察結果に基づき、組成分布や相の結晶の種類および方位などの情報を抽出することが重要である。このような観察を行う装置として、たとえば電子線を照射して発生した二次電子等の二次荷電粒子の信号を取得する走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)がある。特許文献1では、SEMで撮影された表面形状と光学顕微鏡で撮影された色情報を重ねて表示する技術が記載されている。また、特許文献2では、試料表面に対して対称な4方向に配置された検出器によって、試料表面から検出方向に放射する放射線の信号を立体的に測定し、前記各検出器の出力信号から、試料表面の凸部の正確な位置等の情報を抽出する技術が記載されている。
特開2012−018813号公報 米国特許第4941980号明細書
材料開発などの目的で複数の画像から各種の情報を抽出することは非常に有効であると考えられる。特許文献1はこの1つの例であり、SEM画像と光顕微鏡画像という2つの画像から表面形状の情報を明るさ、色の情報をカラーとして、二種類の情報を分離できる状態で一枚の画像としている。しかしながら、本手法はそれぞれの信号が持つ情報が混在し、分離できない信号を使用する場合には適用できない。
また、特許文献2においては、検出信号の放射方向の違いを取得することで形状の情報を取得することに成功している。しかしながら、本手法は信号が持つ情報が形状の情報に対して大きく異なることが利用できた特別な例である。SEM画像はその信号を角度やエネルギーで弁別をすると、その信号に応じた特徴を示した画像となるが、情報は完全に分離できず混在した状態である。このため、組成や相分布などの材料開発に必要な情報は分離できない。すなわち、SEM画像を形成する信号は多くの情報を有し分析用途に適用可能と考えられるが、信号に含まれる情報の分離の状態が不確かであるため、各情報を定量的に評価したり分析を行うことは極めて困難である。
上記の課題を解決するため、本発明においては、複数種類の信号から形成された複数枚の顕微鏡画像を用いて複数の情報を分離して抽出し、更に抽出した情報をユーザの希望に応じてエンハンス、或いはマスクした画像を出力する画像形成装置を提供する。この画像形成装置は、複数の観察画像が入力される観察画像入力部と、強調する情報を入力する強調情報入力部と、前記複数の観察画像を変換用関数に基づき変換画像に変換し、前記複数の観察画像における各画素の階調値をパラメータとした複数の変換関数と前記変換関数における各画素の階調値をパラメータとした複数の強調関数が定義された記憶部と、前記入力された複数の観察画像と、前記強調する情報の入力情報と、変換関数と、強調関数とに基づき、前記強調する情報が強調された画像を演算する画像演算部と、前記強調された画像を出力する強調画像出力部を備えることが特徴である画像形成装置である。
本発明によれば、画像中の情報を高速に抽出し、意味のある定量データとしてユーザに提供できる。
本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略構成を説明する図である。 本発明の実施例1に係る画像形成処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施例1に係る画像形成画面である。 本発明の実施例1に係る複数の画像データを元に、情報をエンハンス/マスクする方法の概念図である。 本発明の実施例3に係る画像形成装置の概略構成を説明する図である。 本発明の実施例3に係る顕微鏡操作画面である。 本発明の実施例4に係る自動的に複数の画像を取得する自動処理を実行するのに先立ち作成するレシピである。 本発明の実施例4に係る自動画像形成処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施例4に係る自動画像形成処理設定画面である。 本発明の実施例5に係る顕微鏡501の具体的な構成である。 本発明の実施例5に係る校正用試料片1009の概略図である。 本発明の実施例5に係る顕微鏡501の校正フローチャートである。 本発明の実施例5に係る顕微鏡501の校正画面である。
以下、本発明の数々の実施例について、図面に基づき詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
該画像形成装置はシステム制御部101と画像表示装置を備えた入出力部102から構成され、システム制御部101にはデータ入力部103、記憶装置104、演算部105が配置されている。データ入力部103は、顕微鏡などのリアルタイム或いはオフラインで画像を出力できる機器、或いは外部記憶媒体などの一時的に画像を記憶し出力可能な機器などを接続することで、画像やその画像を取得した条件、或いはそれらが統合された画像データを該画像形成装置に入力する。なお、本実施例においてはデータ入力部103で画像を保有する外部機器と接続し、画像データを画像形成装置に入力する例を示すが、顕微鏡がシステム制御部101と直接接続され、画像形成装置の一部に備えられていてもよい。
複数の画像データが同時或いは順次にデータ入力部103に入力され、入力された画像データは記憶装置104に記憶されると共に、必要に応じて入出力部102に備えられた画像表示装置に表示される。本実施例においては、この複数の画像データは、同種類の信号であるが試料から放出したエネルギーや角度に応じて弁別された信号から形成された複数種類の画像である場合を示す。該画像形成装置はこれらの複数の画像データを演算部104により演算処理して情報エンハンス画像を形成し、入出力部102に備えられた画像表示装置に表示する、或いは、形成された情報エンハンス画像を記憶装置104に記憶する。この画像形成手順に関して、図2、図3を使用して説明する。
図2は本発明の実施例1に係る画像形成処理の手順を示すフローチャートである。オペレーターは、画像表示装置を備えた入出力部102を介してフローを開始する(図2中ステップS201)。画像表示装置には図3に示す画像形成画面が現れる。以下、特に断らない場合は図3を参照する。オペレーターは、入力画像設定部301を通じて入力画像設定を行う(ステップS202)。本実施例においては、設定ファイル読み出しと手動入力のいずれかのチェックボックスをチェックして選択する。
図3では設定ファイル読み出しを選択した例を示した。プルダウンから設定ファイルを選択すると、その選択に応じて記憶装置104に保存されていたファイルが読み出され、そのファイルの内容が入力画像設定部301に入力画像条件302として表示される。手動入力をチェックした場合は、入力画像条件302内の各項目に手動で入力する。入力画像条件は画像番号、ファイルパス、データ種類などで構成されている。
本実施例において、「ファイルパス」は図1におけるデータ入力部103を通じて画像形成装置に入力され、記憶装置104に保存されたデータのファイルのパスを含むファイル名である。なお、本実施例においては、既に保存された画像をオフラインで読み出す例を示したが、これらの画像のうちのいくつかをリアルタイムに取得される顕微鏡画像とする場合には、たとえば、Realtime01などのように設定する。この01は信号チャンネルを表し、画像形成装置が持つ複数のチャンネルのそれぞれに対応して名称が付けられている。「データ種類」は各画像を形成する信号の種類を表している。本実施例においては#1〜#4はSEMによって取得された画像であり、データ種類に記入された「SEM」の後ろに付いた01などの数字は、SEM画像を形成する信号が弁別取得され、その弁別したエネルギーや角度などの種類を分類する番号を表している。この分類は、たとえば、SEM01は方位角0度〜30度、仰角5度〜10度、エネルギー2keV〜2.1keVの信号、などのような分類である。
このように信号弁別および分類をしたSEM画像は、その信号弁別の範囲により、結晶構造、結晶方位、材料組成、表面形状、表面電位、スピン、などの情報を異なる比率で含有していることが特徴である。
入力画像条件302内の選択欄にチェックを入れ、表示ボタン303を押下すると、確認用の窓が開き、チェックで選択した画像とその条件が表示され、入力画像の確認を行うことができる(図示せず)。なお、図3にはデータとして#1〜#4の4種類が表示されているが、右側のスクロールバーを動かせば、より多くのデータが入力されていることを確認できる。
以上のように入力画像の入力を完了し、設定ボタン304を押下すると、入力された入力画像条件302の内容に対応して演算部105により画像形成が開始され、同時に情報エンハンス画像表示部305に情報エンハンス画像が表示される(ステップS203)。このとき、情報エンハンス画像は、エンハンス情報設定部306の設定に応じた画像演算が施されている。オペレーターは、情報エンハンス画像を確認しながら、エンハンス情報設定部306に示される各情報を、エンハンス、或いは、マスクするようにスライドバーを動かし、各情報エンハンス量を決定する(ステップS204)。
本実施例においては、エンハンス、或いはマスクする情報として、結晶構造、結晶方位、材料組成、Z位置選択、形状エンハンス、帯電エンハンス、分子配向、スピン、粒界エンハンスが選択できる例を示した。たとえば、結晶構造の情報エンハンスを行うと、情報エンハンス画像中の各結晶粒が持つ結晶性(立方晶、単斜晶、非晶質など)に応じたコントラストが強調される。また、たとえばZ位置選択では、試料の等高線が強調された画像となる。等高線の高さを選択するスライドバー等が新たな窓などに表示されてもよい。他の情報の例に関しても同様であり、それぞれ選択した情報がエンハンスされた状態を作ることができる。このエンハンス、或いはマスクするための方法は後述する。
本実施例においては、これらの各情報をどの程度エンハンス、或いは、マスクするかについて示すエンハンス条件を保存しておき、それを呼び出すことが可能である。本実施例においては、エンハンス情報設定部306の上部にあるプルダウンからエンハンス条件「A材料開発セット」を選択し、呼び出しボタンを押下することで、エンハンス条件に保存された情報が各スライドバーに反映された例を示す。
このように、たとえばある材料を開発する場合など、目的が決まっている場合には、その目的に合わせて事前に最適な条件を決定しておくことで、オペレーターの所望のエンハンス条件を自動的に設定することも可能である。また、エンハンス情報設定部306の下部保存メニューを利用して新たに設定したエンハンス条件を保存することが可能である。
なお、本実施例においては、情報エンハンス画像内の明るさの凡例を結晶の種類として示す例としたが、相マップを示す凡例や、より一般的に凡例を示さないグレースケールやカラー情報を示してもよい。以上の手段で、オペレーターが所望の情報エンハンス条件での画像が形成できた。次に、オペレーターは、形成した所望の情報エンハンス条件での画像から情報を数値として抽出するため、通常画像処理および分析部307を使用して、通常画像処理および分析を行う(ステップS205)。
本実施例における通常画像処理とは、たとえば平滑化、二値化、フィルタ処理、シェーディング除去などの画像演算等を行う一般的な画像処理プログラムにより行われる処理全般を指す。同様に、分析とは、プロファイルやヒストグラムの解析、最大輝度など特定の値の抽出、粒径解析などの一般的に良く知られている画像解析全般を指す。本実施例においては、情報エンハンス画像からヒストグラムを抽出し、解析した結果を示した。
通常画像処理および分析が終了すると、オペレーターは、結果保存ボタン308を押下する。これにより、ステップS204で決定した情報エンハンス条件、ステップS205で分析した結果を備えた形で情報エンハンス画像を記憶装置104に保存し、画像形成フローを完了する(ステップS206)。以上により、オペレーターは入力した複数の画像データを元に演算し、所望の情報をエンハンスすることによりデータを抽出することができた。なお、図示していないが、カーソルを情報エンハンス画像に合わせることでその画素の持つ情報をポップアップ表示することが可能である。また、三次元表示のオプションにより、画像の階調に応じた三次元画像として確認することも可能である。また、入力画像条件302の入力内容などに応じた結果の確からしさが表示される機能も有する。
次に、入力画像条件302に示された複数の画像データを元に、エンハンス情報設定部306に示される各情報を、エンハンス、或いは、マスクする方法について説明する。図4はその方法の概念図である。情報エンハンス前の画像データ401a〜dは、図3の入力画像条件302内に示される複数の画像データ#1〜4にそれぞれ対応する。本実施例においては画像データ数が4種類である場合について示すが、データの数がこれよりも多い場合であっても本発明の効果は失われない。
既に説明したように、エンハンス前の画像データは、同種類であるが試料から放出したエネルギーや角度に応じて弁別された信号で形成された画像であり、本実施例においてはその信号の種類をデータ種類として表現した。画像データ401a〜dは信号弁別および分類をしたSEM画像であり、その信号弁別の範囲により、結晶構造、結晶方位、材料組成、表面形状、表面電位、スピン、などの情報を異なる比率で含有する。このように混在した情報を持つ不確かな信号から各情報を定量的に評価することは困難である。そこで、本実施例では、画像データを、データ内に含む情報をパラメータとした各情報の線形結合であると仮定し、(1)式のように表現する。
Figure 0006826455
Iは画像データ、sはデータ種類、xおよびyは画像内の座標、iは情報を表し、cはそのデータ種類における情報の比率である。モノクロ画像である場合はIはスカラー、カラー画像の場合には、3次元ベクトルとして考慮する。より多次元な画像データの場合も、次数に応じて次元を増加させればよい。
本実施例において(1)式およびその係数cは経験則に基づき決定され、画像演算パラメータリストとして記憶装置104に保管され、入力画像条件302におけるデータ種類に応じてその値を選択する構成となっている。(1)式においては、cの値が1に近いほどその情報を多く含むことを意味する。入力画像条件302に含まれる画像データの種類の数だけ(1)式がある。全データ種類の情報sを表す項のみ抜き出して和をとることで再構成すると、(2)式のように情報sを多く持つ情報画像Iが形成される。
Figure 0006826455
このとき、画像の輝度が演算によって画像フォーマットで決まる上限を超えることがある。そこで、情報が消失しないように、たとえば8bitであれば0から255の間に入るように輝度を再設定する。
また、各画像データの画像取得条件に応じて、(2)式の演算に先立ち、画像データの輝度を調整した方がよい場合がある。たとえば、画像データ401a〜dの各画像が見易くなるようにそれぞれ異なる条件で輝度調整がされ、画像間で絶対的な信号量比較ができない場合などである。輝度調整の条件が画像データに付与されて保存されている場合には絶対的な信号量で比較可能な状態に変換する。調整条件が保存されていない場合は情報エンハンスした後の画像の確からしさが劣化する。
上述のように、本実施例においては、この劣化の指標を表示する機能が与えられており、減点方式で劣化指標を示す。また、この劣化指標は、画像データの数が少ないほど減点される。更に、画像データを形成する信号の弁別の分解能が粗いほど減点される。このように、演算部105は画像データ401a〜dに対して(2)式に従う演算処理を施し、情報画像402a〜dを形成する。
この情報画像402a〜dは記憶装置104に記憶してもよいし、情報エンハンス画像403を形成するための一時記憶としてもよい。次に、この情報画像402a〜dを使用して、以下に示す(3)式に基づいて情報エンハンス画像403を形成する。
Figure 0006826455
(3)式は、情報エンハンス画像403、すなわちIoutが比率a(i)で情報画像402a〜dを線形結合した画像であることを示す。ここで、比率a(i)は図3におけるエンハンス情報設定部306のスライドバーの位置s(i)に応じ、a(i)の総和が1となるように決定する。各スライドバーの左端を最小(0)、右端を最大(100)と定義し、位置に応じてその値s(i)が線形に変化するとき、比率a(i)の値は(4)式で表される。
Figure 0006826455
(2)−(4)式は(1)式と同様に画像演算パラメータリストに記録される。
以上より、混在した情報を持つ不確かな信号から各情報を定量的に評価するために、複数の画像データを元に、エンハンス情報設定部306に示される各情報を、エンハンス、或いは、マスクすることができた。
なお、本実施例においては、複数の画像データとして信号弁別および分類をしたSEM画像を使用し、混在した情報を持つ不確かな信号から各情報を定量的に評価する方法について示した。なお、複数の画像データとして、SEM−EDXによる組成像や、光学顕微鏡による色情報、或いは、原子間力顕微鏡(AFM)を始めとする走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いた表面形状画像などのように、分析に用いられる信号の情報が明確に分離されている顕微鏡画像が含まれる場合においても本発明の効果は失われない。また、本実施例においては、情報エンハンス画像は1枚のみ表示する例を示したが、異なるエンハンス条件における情報エンハンス画像を複数枚形成し、それらを比較するなどの画像処理を施せば画像の解釈により有用となる。
(実施例2)
実施例1においては、画像データ内に含む情報をパラメータとして画像データを表現する(1)式、また、(1)式より情報を抽出して再構成する(2)式、および、目的に応じて最適な情報エンハンスを加える(3)式は経験的な係数に基づく線形結合で表現した。しかしながら、(1)式および(2)式は線形結合ではない別の関数をあてはめる方がより正確な情報となる場合がある。(3)式においても、材料開発の種類に応じた経験則で係数が決定されていることから、線形結合以外の関数の可能性や、より適した条件が存在する可能性は無視できない。
更に、各データ種類における情報の比率を示すパラメータcは経験的に求められた値であり、正確に情報を分離する手段はないため、改善の余地がある。そこで、本実施例においては、(1)−(3)式およびパラメータcに対して深層学習を適用し、最適な式およびパラメータを探索して更新した例を示す。装置構成および画像形成方法は実施例1と同様であり、その説明を割愛する。
(1)−(4)式およびそのパラメータcは画像演算パラメータリストとして図1中の記憶装置104に保管されている。また、本実施例においては、取得された画像データ、情報画像、情報エンハンス画像は記憶装置104内のデータベースに保管されている。ここで、情報画像、情報エンハンス画像の画像データには評価指数をそれぞれ添付しており、評価指数が高くなるように(1)−(3)式およびパラメータcが更新される深層学習が行われる。これにより、より正確な情報を抽出し、最適な画像演算を行うことが可能となった。また、画像演算パラメータリストが更新された場合には、以前の形成画像が更新され、更新前後の画像の比較を行うことが可能となった。
なお、本実施例においては、最適解の探索手法として深層学習を用いた例を示したが、機械学習やそのほかの人工知能による探索手法を用いた場合でも本発明の効果は失われない。
(実施例3)
実施例1〜2においてはデータ入力部103で画像を保有する外部機器と接続し、画像データを画像形成装置に入力する例を示した。本実施例では、画像形成装置内に顕微鏡を備えることで効率的に画像形成を行った例を示す。
図5は本発明の実施例3に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。システム制御部101、入出力部102、データ入力部103、記憶装置104、演算部105に関しては図1と同様であるため説明を割愛する。本実施例においては顕微鏡501がシステム制御部101およびデータ入力部103と接続されている。システム制御部101は顕微鏡501の観察条件設定や試料を搬送するためのステージ502の制御などを行うための制御信号を顕微鏡501に送信し、顕微鏡501はシステム制御部101によって画一的に操作される。この操作は入出力部102を通じてオペレーターが実施可能である。
また、システム制御部101からの制御信号により顕微鏡501にて取得された画像データは入出力部102を通じて該画像形成装置に取り込まれる。画像形成のフローに関しては実施例1と同様である。本実施例においては、顕微鏡501で取得される画像データをリアルタイムに処理する。このため、図1における入力画像条件302のファイルパスをRealtime01、Realtime 02のようにチャンネル数表示で設定する。
本実施例では顕微鏡としてSEMを適用した。画像形成に先立ち顕微鏡の観察条件を決定し、その後で上述のとおりリアルタイムで観察される顕微鏡画像を画像データとして画像形成処理を行う。顕微鏡501の観察条件決定方法に関して図6を使用して説明する。オペレーターが入出力部102に備えられた画像表示装置を介して顕微鏡操作を開始すると、画像表示装置には図6に示す顕微鏡操作画面が現れる。オペレーターは、はじめに光学条件を決定する。
光学条件とは、たとえば顕微鏡を構成する各レンズの強さや加速電圧などである。本実施例においては既存の光学条件が記憶装置104に保存されており、オペレーターが読み出し画面601を通じて所望の条件を読み出すと、システム制御部101が顕微鏡501にその制御信号を送信して、選択した光学条件が自動的に設定される。続いてオペレーターは、顕微鏡の性能を十分に出すため、光軸調整画面602を用いて光軸調整を行う。
光軸調整画面602内の各ボタンを押下すると、各光軸調整用窓が表示された上でワブラー法などが適用され、画像確認画面604に表示された画像を見ながら最適となるように調整を行うことができる。詳細に関しては一般的な内容であるため割愛する。一通りの光軸調整を完了すると、オペレーターは必要に応じて画像確認画面604の右側にある観察ボタン、停止ボタンを押して表示の有無を切り替えつつ画像を確認しながら各種条件を変更する。条件変更は条件設定画面603を用いて行う。
条件とは、たとえば、SEM画像取得のためのスキャンスピード、撮像倍率、取得画像のコントラストなどの撮像条件、加速電圧、試料に対するフォーカスの調整、非点の調整などの光学条件、試料搬送用のステージ502の座標条件などである。なお、本実施例においては、ステージ502は顕微鏡501であるSEMの光軸に対して垂直な方向であるXおよびY座標のほかに回転方向であるRot座標、傾斜方向であるTilt座標が設定可能である。なお、本実施例において、停止ボタンを押すと顕微鏡501においては電子線が試料に照射されないようにシステム制御部101が制御を行う。
なお、図6中の記載は省略したが、画像確認画面604に表示された画像、或いは各信号に対応するチャンネルごとの画像を保存することが可能となっている。ここで、本実施例において画像確認画面604には、試料から放出したエネルギーや角度に応じて弁別された信号、或いはその信号の加算によって作られた画像が表示される。オペレーターは表示選択画面605を用いて表示する信号の種類、すなわち検出器のチャンネル番号を選択する。
上述のとおり、この画像の取得目的は画像形成に先立つ顕微鏡調整と観察条件の決定であり、画像は一時的に確認するために取得される。情報の抽出と所望の画像形成はこの条件決定の後に実施される。図6においては、表示選択画面605のALLにチェックを入れることで全ての信号を加算し、情報弁別を行わない通常のSEMと同等となる設定を選択した例を示した。最後に顕微鏡条件決定ボタン606を押下することで顕微鏡条件が決定される。なお、決定した顕微鏡条件が読み出し画面601において読み出した条件から変更され、更新が必要な場合には、条件保存画面607にて顕微鏡条件を保存することができる。
以上の手順により、リアルタイムで観察される顕微鏡画像を画像データとして情報をエンハンスした画像形成する準備が整った。この後の情報をエンハンスした画像形成の方法に関しては実施例1、2と同様であるためここでは説明を割愛する。なお、上述のとおり各チャンネルの画像を保存することが可能であり、保存した画像を後から入力画像として画像形成を行ってもよい。この手法を用いることで、後から情報エンハンス設定を変えられるだけでなく、情報画像抽出のための画像演算パラメータリストが更新された場合に再度画像を取得する必要なく、より正確な情報を抽出した画像に更新することが可能となった。
(実施例4)
実施例1〜3においては、予め保存された入力画像を元に情報をエンハンスした画像を形成する例、或いは、リアルタイムに入力画像を取得しながら情報をエンハンスした画像を形成する例を示した。本実施例においては、予め設定したレシピに従い、自動的に複数の画像を取得した例を示す。この手法は、たとえば、1つ、或いは複数の試料を複数の視野で、同一の条件や複数の異なる条件で一気に観察を行い、分布マップを作成したい場合や、データベースを作成したい場合などに有効である。本実施例においては、リアルタイムに顕微鏡501で画像を取得しつつ情報をエンハンスした画像を形成する例を示す。自動処理以外の部分に関しては実施例3と同様であるため、その説明を割愛する。
オペレーターは、自動的に複数の画像を取得する自動処理を実行するのに先立ち、図7に示すレシピを作成する。レシピ内に記入する項目は、入力画像、ステージ座標、顕微鏡条件、画像形成条件、後処理条件である。このうち、入力画像、顕微鏡条件、画像形成条件に関しては、実施例1−3にて説明した内容と一致するように、ファイル名を記入し、ステージ座標、後処理条件に関しては直接内容を記載する方式とした。これ以外の内容で記載する場合でも本発明の効果は失われない。
図7において、入力画像とは、図3における入力画像設定部301にて設定ファイル読み出しを行った場合を想定した。実施例3のように顕微鏡画像をリアルタイムで取得しながら画像形成を行うため、本設定ファイルにRealtime01・・・のように設定することで、全ての入力画像を実画像とした。
また、顕微鏡条件とは、実施例3にて示した顕微鏡条件と同一のものであり、図6において予め保存し読み出し画面601から読み出すことができる顕微鏡条件、或いは、実施例3で説明した方法で決定し、条件保存画面607により保存した顕微鏡条件のことである。
同様に、画像形成条件には、図2、図3の手順で予めエンハンス情報設定部305にて決定したエンハンス情報に相当するファイル名を記載する。ステージ座標には観察が必要となる座標を、後処理条件には必要となる通常画像処理(実施例1にて説明済)の種類を記載する。図7においては、一連の処理を条件に応じて12回行うところまで記載した。この回数は必要に応じて設定する。以上より、自動処理を行うためのレシピが設定できた。
図8は本発明の実施例4に係る自動画像形成処理の手順を示すフローチャートである。オペレーターは、画像表示装置を備えた入出力部102を介して自動画像形成フローを開始する(図8中ステップS801)。画像表示装置には図9に示す自動画像形成処理設定画面が現れる。以下、特に断らない場合は図9を参照する。オペレーターは、設定したレシピに従い自動処理を開始すべく、上述の手順で作成したレシピファイルをレシピ設定画面901にて読み出して設定する(ステップS802)。
オペレーターが確認ボタン902を押すと、レシピに記載した内容がシステム制御部101が記憶装置104や顕微鏡501、ステージ502との連携においてエラーがないかを確認する(レシピ確認ステップS803)。本ステップにおいて、エラー内容がオペレーターに簡単に分かるように、エラーの有無に応じてメッセージ窓903に状態が表示される。図9においてはメッセージ窓903に一度「レシピ00」にて顕微鏡条件にエラーが発生し、レシピ作成に戻って修正を加え、「レシピ01」でエラーが解消した例を示した。
このように、エラーがあればレシピ作成に戻る。エラーが解消されると、オペレーターは開始ボタン904を押下し、自動処理に進行する(ステップS804)。この後、設定したレシピに応じて自動的に処理が進行し、レシピに記載された処理が全て完了すると、メッセージ窓903に完了の表示が現れる。オペレーターは結果に問題がないことを確認する(ステップS805)。問題があれば再度レシピ設定に戻り、問題なければ完了ボタン905を押下して自動画像形成を完了する(ステップS806)。
なお、本実施例にて説明した画像形成処理の方が実施例3において説明した顕微鏡による撮像よりも時間がかかる場合は、総合でかかる時間を短くするため、顕微鏡による撮影と、画像形成処理およびその後処理である通常画像処理や分析を順次行わずに顕微鏡撮像を先行させてもよい。また、本実施例においては、実施例3の実験構成を基準に説明し、リアルタイム画像取得から情報エンハンス画像形成する方法に関して説明したが、実施例1或いは2の構成において、予め取得した画像データをオフラインで自動的に順次処理することももちろん可能である。
以上より、予め設定したレシピに従い、自動的に複数の画像を取得することが可能となった。
(実施例5)
実施例3においては、画像形成装置内に顕微鏡501を備えることで効率的に画像形成を行った例を示した。ここで、本発明においては、同種類の信号であるが試料から放出したエネルギーや角度に応じて弁別された信号を画像化した複数種類の画像である、複数の画像データを入力画像とすることが重要である。そこで、本実施例においては、その顕微鏡(SEM)において、試料から放出したエネルギーや角度に応じて信号を弁別するための具体的な構成について例を示す。
図10(A)、図10(B)は顕微鏡501の装置構成例である。図10(A)、図10(B)ともに、試料から放出したエネルギーや角度に応じて信号を弁別するための構成である。まず、図10(A)について説明する。電子源1001から電子線1002が引出される下流方向には、検出器アレイ1003が配置されている。図示していないが、電子光学系には、各種レンズや走査偏向用偏向器、光軸調整用アライナ、収差補正器等の各種光学素子が付加されている。
ステージ502は上に試料1004を載置して移動する構成となっている。また、詳細は後述するが、顕微鏡501を用いて検出する信号電子のエネルギーおよび角度の弁別が、想定どおりになっていることを確認し校正するための校正用試料片1009がステージ502上に搭載されている。図示していないが、電子源1001、検出器アレイ1003、各種光学系素子、ステージ502の各部にはシステム制御部101が接続し、画一的に制御される構成となっている。
また、図示していないが、制御系、回路系以外の構成要素は真空容器内に配置しており、真空排気して動作させていることは言うまでもない。また、真空外から試料をステージ上に配置する試料搬送系が具備されていることも言うまでもない。システム制御部101が各種電子光学系を制御することで電子線1002が試料1004に照射されて相互作用し、信号電子1005が発生する。検出器アレイ1003を信号電子発生位置から見て球面状に配置し、検出器アレイ1003に到達する信号電子の発生角度に応じて信号弁別が可能な構成とした。
図10(A)の構成においては、試料1004に電子線1002を照射するために光軸上には検出器アレイ1002を配置できず空けておく必要があるため、光軸上に向かう信号電子を取得することができない。図10Bはこの課題を解決するため、ビームセパレータ1006を適用した構成である。
図10(B)においては、電子源1001から電子線1002が引出される下流方向にビームセパレータ1006が配置されている。電子光学系に各種光学素子が付加されている点、ステージ502の構成、各部にシステム制御部101が接続し画一的に制御される点、各構成要素は真空容器内に配置しており真空排気して動作させている点、また、真空外から試料をステージ上に配置する試料搬送系が具備されている点は全て図10(A)と同様である。校正用試料片1009がステージ502に搭載されている点も同様である。
ここで、電子線1002が試料1004に照射され、相互作用によって発生した信号電子1005がビームセパレータ1006に到着すると、信号電子1005は電子線1002が電子源1001から進行してきた方向とは異なる方向に偏向される。図10(B)においては、電子線1002は電子源1001から試料1004に向かって直進し、信号電子1005は紙面右側に向かって進行する例を示したが、ビームセパレータの構成により両者の方向は変更可能である。本実施例においてはビームセパレータとして、磁場の偏向作用を用いる磁場セクターを利用し、図示していないが、電子線1002を直進させるため、シケイン軌道を通過させる分割型磁極の構成とした。
電子線1002を直進させるためには、電場偏向と磁場偏向を組み合わせることにより、電子線1002への偏向を打ち消し、信号電子1005のみ偏向する構成としてもよい。図10(B)の構成において、信号電子1005はビームセパレータ1006により偏向されて検出器アレイ1007に到達する。以上より、図10(B)の構成により、信号電子の発生角度に応じて検出器アレイを構成する各検出器で弁別検出できた。
図10(A)および図10(B)においては、信号電子の発生角度に応じた信号弁別を行う装置構成を示した。本発明においては、信号電子の発生角度に加え、エネルギーでの弁別を行う。図10(C)は図10(B)の構成を用いて、エネルギーと角度の両方を弁別検出した例である。繰り返しになるが、基本構成は図10(B)と同様である。ビームセパレータ1006は電場、或いは磁場の電子線偏向作用により、信号電子の進行方向を変更するものである。
ここで、信号電子に与える偏向作用は電子線のエネルギーが高いほど小さく、色分散が発生する。この色分散を利用すると、エネルギーが高い信号電子1008aはその偏向量は小さく、検出器アレイ1007紙面における上方に到達する。中間エネルギーの信号電子1008bはその偏向量が平均的であるため検出器アレイ1007の中間部に到達する。エネルギーの低い信号電子1008cは大きく偏向されて検出器アレイ1007紙面における下方に到達する。信号電子の角度弁別における検出器アレイ1007上の到達位置の差より色分散の作用を十分大きく制御することで、角度とエネルギーの両方を弁別して検出することが可能となった。
なお、本実施例以外の方法でも、検出器の前に負電圧を印加したメッシュを配置するエネルギーフィルタ法や、電場或いは磁場のセクター出口にスリットを配置するエネルギーフィルタ法などの形態をとることが可能である。
続いて、顕微鏡501を用いて検出する信号電子のエネルギーおよび角度の弁別が想定どおりになっていることを確認し、校正する方法を説明する。上述のとおり、ステージ502上には本校正の際に用いるための校正用試料片1009が搭載されている。図11は校正用試料片1009の概略図であり、A〜Fの6種類の試料の例を示した。
図11(A)〜図11(F)において、それぞれ上段の図が上面図、下段の図が上面図の点線部における断面図である。これらを順に説明する。図11(A)はその表面に傾斜角を持つ表面傾斜構造1101a〜cを持つ試料である。表面傾斜構造1101a〜cは、それぞれ光軸に対してθ〜θの傾斜を持っているため、電子線1002が試料上に到達した場合、この傾斜角に応じた出射角で信号電子1005が放出される。各角度の信号がどの検出器に到達したかを測定することで角度を校正可能である点が特徴である。
図11(B)は、複数の溝構造1102a〜cを持つ。この例においては、深さdで一定とし、幅をw〜wで変化させた。これにより、電子線1002が溝底に到達した場合、放出された信号電子1005の一部が溝の壁で遮られ、検出される信号電子の角度が溝と幅の比率に応じて制限される。従って、各角度の信号がどの検出器に到達したかを測定することで角度を校正可能である点が特徴である。
図11(C)は、基板上にそれぞれ異なる材料領域1103a〜cが形成されている。信号電子の放出量は材料依存性があるため照射する場所に応じた信号電子の量が変化する。すなわち、照射電流を測定した上で、各材料から放出した信号電子電流を測定してその比率を求めることで、信号電子のイールドが校正できることが特徴である。
図11(D)は、同一の深さの2つ一組の不貫通開口1104a〜cが形成されている。この不貫通開口は、片方がほぼ垂直な開口であり、もう一方は傾斜した開口である。両者の開口は開口の底において位置が一致しており、図11(D)に示した例では、傾斜開口の傾斜角がθ〜θで変化している。これにより、垂直な方の開口から開口の底部に電子線1002が照射されて信号電子1005が発生した際に、θ〜θ付近の角度に相当する信号のみが検出される。すなわち、ある特定の角度に放出された信号電子を取得する検出器を判定し、校正できることが特徴である。
図11(E)は、基板上部に電極1105a〜cが配置され、部分的に電圧を印加できるため、信号電子の詳細なエネルギー変化を測定できる。すなわち、各検出器で取得される信号電子電流を測定することでエネルギー分布を校正できることが特徴である。
図11(F)は、階段状の下層1106aの上に平坦な上層1106bを積層した構造である。下層1106aは上層1106bと異なる材料でできており、下層1106aの材料の方が上層1106bよりも重い元素である。この試料に電子線1002が照射されると、その加速電圧に従って電子が侵入する深さが変化する。下層1106bは場所に応じてその高さが変化するため、発生した信号電子の量を計測すれば、下層の情報を含む信号の有無が確認でき、進入長の校正が可能である点が特徴である。
以上のように、図11(A)〜図11(F)の試料を図10に記載の装置で観察し、信号電子が到達した検出器位置を調べることで、信号電子の角度、エネルギー、イールド、進入長などの各情報が校正が可能となった。検出器アレイの各検出器が取得する信号電子の角度やエネルギー、或いは進入長やイールドなどの校正リストは記憶装置104に記憶されている。校正リストの初期値はシミュレーションによって求められた数値であり、校正によって値を更新する。
なお、図11に示した校正用試料片の形状はその代表的な一例であり、これとは異なる構造を持つ試料片を用いた場合にも本発明の効果は失われない。次に、この校正用試料片を使用して顕微鏡501を校正する手順を図12および13を用いて説明する。図12は本発明の実施例5に係る顕微鏡501の校正の手順を示すフローチャートである。オペレーターは、画像表示装置を備えた入出力部102を介して校正フローを開始する(図12中ステップS1201)。画像表示装置には図13に示す顕微鏡校正画面が現れる。以下、特に断らない場合は図13を参照する。
オペレーターは顕微鏡501の校正に使用する校正用試料片を校正試料選択部1301から選択する(ステップS1202)。本実施例においては、図11で示した試料A〜Fの6種類の中から複数を選択できる構成としたが、自動的に必要な試料を選択する構成であってもよい。オペレーターは校正の種類に応じて全て選択してもよいし、必要な校正に対応する試料だけを選んでもよい。図13においては、全ての校正用試料を用いるためにALLにチェックを入れた例を示した。
オペレーターが校正開始ボタンを押下するとメッセージ表示部1302に校正が開始した旨のメッセージが表示され、システム制御部101が各種制御素子に信号を送ることで校正のための測定シーケンスが開始となる(ステップS1203)。各校正用試料を顕微鏡501が観察するようにステージ502が移動し、予め決まっている観察条件にて各試料片の各位置で観察が行われ、検出器アレイ1003ないし1007の各検出器で検出された信号電子量が記憶装置104に一時的に記録される(ステップS1204)。
なお、信号イールドの測定を同時に行うため、照射される電子線電流も同時に測定される。メッセージ表示部には各試料の計測を行っていることや完了していることなどが順次表示される。全ての測定が完了すると、記憶装置104に記憶されている校正リストが読み出され、演算部105が検出器信号測定ステップで測定された各検出器の値と比較して校正を行い、校正リストの一時ファイルが作成される(ステップS1205)。校正後の結果の誤差を結果表示部1303に表示し、結果に問題がなければオペレーターは結果更新ボタン1304を押下して一時ファイルの値を校正リストに反映して更新し、記憶装置104に保存する(ステップS1206)。
以上より、顕微鏡501の具体的な構成として図10の構成をとることで、試料から放出したエネルギーや角度に応じて信号を弁別することが可能となった。本構成を用いて取得した顕微鏡画像を画像データとして、この後の情報をエンハンスした画像形成の方法に関しては実施例1、2と同様であるためここでは説明を割愛する。
本発明は、試料の持つ情報を抽出するための画像形成装置として有用である。
101…システム制御部、102…入出力部、103…データ入力部、104…記憶装置、105…演算部、
S201…開始ステップ、S202…入力画像設定ステップ、S203…画像形成開始ステップ、S204…情報エンハンス設定ステップ、S205…通常画像処理および分析ステップ、S206…完了ステップ、
301…入力画像設定部、302…入力画像条件、303…表示ボタン、304…設定ボタン、305…情報エンハンス画像表示部、306…エンハンス情報設定部、307…通常画像処理・分析部、308…結果保存ボタン、
401a…画像データ、401b…画像データ、401c…画像データ、401d…画像データ、402a…情報画像、402b…情報画像、402c…情報画像、402d…情報画像、403…情報エンハンス画像、
501…顕微鏡、502…ステージ、
601…読み出し画面、602…光軸調整画面、603…条件設定画面、604…画像確認画面、605…表示選択画面、606…顕微鏡条件決定ボタン、607…条件保存画面、
S801…自動画像形成フロー開始ステップ、S802…レシピ設定ステップ、S803…レシピ確認ステップ、S804…自動処理開始ステップ、S805…結果確認ステップ、S806…自動画像形成完了ステップ、
901…レシピ設定画面、902…確認ボタン、903…メッセージ窓、904…開始ボタン、905…完了ボタン、
1001…電子源、1002…電子線、1003…検出器アレイ、1004…試料、1005…信号電子、1006…ビームセパレータ、1007…検出器アレイ、1008a…エネルギーの高い信号電子、1008b…中間エネルギーの信号電子、1008c…エネルギーの低い信号電子、1009…校正用試料片、
1101a…表面傾斜構造、1101b…表面傾斜構造、1101c…表面傾斜構造、1102a…溝構造、1102b…溝構造、1102c…溝構造、1103a…材料領域、1103b…材料領域、1103c…材料領域、1104a…不貫通開口、1104b…不貫通開口、1104c…不貫通開口、1105a…電極、1105b…電極、1105c…電極、1106a…下層、1106b…上層、
S1201…校正開始ステップ、S1202…校正試料選択ステップ、S1203…測定シーケンス開始ステップ、S1204…検出器信号測定ステップ、S1205…校正ステップ、S1206…完了ステップ、
1301…校正試料選択部、1302…メッセージ表示部、1303…結果表示部。

Claims (5)

  1. 同一の発生条件に基づき試料から放出された二次粒子前記二次粒子のエネルギー或いは前記二次粒子の角度の弁別条件に応じて弁別して得られた信号に基づいて形成された複数の観察画像が入力される観察画像入力部と、
    前記複数の観察画像から抽出される複数の情報のそれぞれの強調量を設定する情報強調量をそれぞれ入力する強調情報入力部と、
    前記複数の観察画像のそれぞれの画素について、前記画素の階調値と当該画素におけるそれぞれの前記情報の比率とをパラメータとして、当該画素の当該階調値を前記比率を反映させた階調値へ変換する変換関数と、前記変換関数によるそれぞれの前記画素の変換後の前記階調値をパラメータとした複数の強調関数とが定義された記憶部と、
    入力された前記複数の観察画像と、それぞれの前記情報についての前記情報強調量と、前記変換関数と、前記強調関数とに基づき、強調画像を形成する画像演算部と、
    前記強調画像を出力する強調画像出力部と、
    を備え、
    前記複数の強調関数は、前記試料の結晶構造、結晶方位、材料組成、Z位置選択、形状エンハンス、帯電エンハンス、分子配向、スピン、粒界エンハンスを含む前記複数の情報のうち2つ以上を強調表示させる関数である、画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記複数の観察画像を取得するための画像取得設備を備え、
    前記画像取得設備は光学系を有し、
    前記画像取得設備はその内部に試料を搬送するためのステージを有し、
    前記画像形成装置は、少なくとも前記光学系の光学条件と前記ステージの座標のいずれかを含む画像取得条件を設定して前記画像取得設備を制御し、
    前記画像取得条件と前記複数の観察画像は前記画像取得条件と合わせて前記記憶部に記憶される、画像形成装置。
  3. 請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記画像取得設備は、アレイ状に配列された2つ以上の検出器を有する顕微鏡である、画像形成装置。
  4. 請求項2に記載の画像形成装置であって、
    前記画像取得設備は前記ステージ上に校正用試料を備え、
    前記校正用試料は、
    3種類以上の傾斜角を持つ表面傾斜領域、または、
    その深さと幅の比率が3種類以上ある溝領域、または、
    3種類以上の単一の材料で構成された材料領域、または、
    同一深さの2つ一組の不貫通開口が複数含まれ、前記不貫通開口は略垂直開口と傾斜開口の組み合わせであり、前記不貫通開口はその最深部で開口位置が一致し、前記傾斜開口の傾斜角が少なくとも3種類ある開口領域、または、
    部分的に電圧を印加できる電圧領域、または、
    下層と上層が積層され、前記下層は重元素を含む材料から構成され、前記上層は軽元素を含む材料から構成され、前記下層の上端は階段状であり、前記上層の表面は平坦である積層領域、
    の少なくともいずれか1つを含む、画像形成装置。
  5. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記強調画像の形成に用いられる前記複数の観察画像、前記弁別条件、およびそれぞれの前記情報に関する前記情報強調量のいずれかが予め定められた条件設定ファイルに基づき、
    前記強調画像出力部に出力するために前記画像演算部が演算した内容を変更させながら画像を形成する、画像形成装置。
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