以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、貨幣を計数する機能と、貨幣を入金および出金する機能とを備えた貨幣入出金機が、貨幣処理装置の一例として示されている。
図1は、貨幣入出金機1の構成を示す斜視図である。図2は、貨幣入出金機1の構成を示す概略図である。
貨幣入出金機1は、銀行等の金融機関における窓口カウンタの内側で窓口業務を行う2人のテラー(操作者)の間に設置される。貨幣入出金機1は、各テラーによって操作される上位端末2に通信ケーブル3を介して接続されている。
貨幣入出金機1は、外郭を構成する外装体10内に、紙幣入出金ユニット11と硬貨入出金ユニット12とを備える。紙幣入出金ユニット11は、外装体10内の下側に設けられ、紙幣の入金処理、出金処理等を行う。硬貨入出金ユニット12は、外装体10内の上側に設けられ、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。
図1を参照し、外装体10は、左右方向の横幅よりも前後方向の奥行が長く、上下方向の高さが左右方向の横幅よりも高いほぼ直方体形状を有する。外装体10は、本体10aと、本体10aの前上部に設けられた外装カバー10bと、本体10aの前面に設けられた扉体10cとを備える。たとえば、外装カバー10bは樹脂材料で形成され、本体10aおよび扉体10cは金属材料で形成される。
外装カバー10bには、上面に硬貨入出金口13が形成され、前面に紙幣出金口14が形成され、上面から前面にかけて湾曲する湾曲面に紙幣入金口15が形成される。これら硬貨入出金口13、紙幣出金口14および紙幣入金口15は、それぞれ、シャッター13a、14a、15aにより開閉される。
外装カバー10bの後部には操作表示部16が設けられる。操作表示部16は、前方斜め上方を向くように外装カバー10bに固定される。操作表示部16は、ディスプレイとタッチセンサとからなるタッチパネルで構成される。操作表示部16は、ディスプレイに各種の画像(画面)を表示するとともに、ディスプレイに対するユーザのタッチ操作をタッチセンサにより検出する。
外装カバー10bの上面における硬貨入出金口13の両側の領域には、4つの占有ボタン17が設けられる。4つの占有ボタン17は、前側の左右にそれぞれ設けられた左紙幣占有ボタン17aおよび右紙幣占有ボタン17bと、後側の左右にそれぞれ設けられた左硬貨占有ボタン17cおよび右硬貨占有ボタン17dとを含む。左紙幣占有ボタン17aおよび右紙幣占有ボタン17bは、それぞれ、左側および右側のテラーが貨幣入出金機1の紙幣に係る取引処理の占有を指示するために用いられる。同様に、左硬貨占有ボタン17cおよび右硬貨占有ボタン17dは、それぞれ、左側および右側のテラーが貨幣入出金機1の硬貨に係る取引処理の占有を指示するために用いられる。
図2を参照し、紙幣入出金ユニット11は、入金部110と、出金部120と、リジェクト部130と、搬送部140と、識別部150と、紙幣揃え部160と、2つのカセット170と、カセット171と、カセット170用の2つの一時保留部180と、3つのスタッカ190と、スタッカ190用の3つの一時保留部200と、を備える。
入金部110、出金部120およびリジェクト部130は、外装体10内の上部の正面近傍に設けられる。入金部110は紙幣入金口15に繋がり、紙幣入金口15を通じて入金部110にバラ状態の紙幣が投入される。出金部120およびリジェクト部130は紙幣出金口14に繋がり、紙幣出金口14を通じて出金部120およびリジェクト部130からバラ状態の紙幣が取り出される。
入金部110は、入金繰出機構111を備える。入金繰出機構111は、入金部110に投入された紙幣を一枚ずつ搬送部140へ繰り出す。出金部120は、主に、スタッカ190から繰り出された紙幣を受け取る。リジェクト部130は、主に、識別部150により属性(真偽、金種、表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
搬送部140は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、メイン搬送路141と、入金搬送路142と、出金搬送路143と、リジェクト搬送路144と、2つのカセット搬送路145と、3つのスタッカ搬送路146とを含む。メイン搬送路141は、外装体10内を前後方向に延びるようにループ状に形成され、図2において、時計回り方向(実線矢印)と反時計回り方向(破線矢印)に紙幣を搬送することが可能である。
入金搬送路142は、入金部110とメイン搬送路141との間に設けられる。出金搬送路143は、出金部120とメイン搬送路141との間に設けられる。リジェクト搬送路144は、リジェクト部130とメイン搬送路141との間に設けられる。カセット搬送路145は、カセット170および一時保留部180とメイン搬送路141との間に設けられる。スタッカ搬送路146は、スタッカ190および一時保留部200とメイン搬送路141との間に設けられる。
識別部150は、メイン搬送路141の上側のループの後部に設けられる。識別部150は、搬送部140を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。識別される属性には、紙幣の真偽、金種、紙幣の表裏の向きなどが含まれる。また、識別部150は紙幣を計数し、計数結果を後述する制御部に出力する。
紙幣揃え部160は、搬送部140を流れる紙幣の表裏の向きを揃えるために設けられる。紙幣揃え部160は、識別部150の前方、即ち、識別部150よりも出金時の紙幣の流れの下流側に配置される。紙幣揃え部160は、メイン搬送路141の一部を構成する反転部161および非反転部162を含む。反転部161は、スイッチバック方式により紙幣を表裏反転させる反転機構を含む。反転部161を通過した紙幣は、紙幣の短手方向、即ち天地方向に沿って表裏反転し、表裏および天地の向きが入れ替わる。非反転部162は、反転部161とほぼ同じ経路長を有し、紙幣を現状の向きのまま通過させる。たとえば、識別部150での識別の結果、表向きと識別された紙幣が非反転部162を通過し、裏向きと識別された紙幣が反転部161を通過することにより、紙幣の向きが表向きに揃えられる。
2つのカセット170と3つのスタッカ190は、外装体10内において、搬送部140の下方に、前後に並ぶように設けられる。2つのカセット170が3つのスタッカ190の前方に設けられる。カセット170およびスタッカ190は、前方に引き出し可能な支持ユニット(図示せず)に支持され、扉体10cを開放することにより、外装体10内に対して出し入れすることができる。
カセット170は、主に、スタッカ190から回収された紙幣やスタッカ190へ補充される紙幣を収納するために利用される。また、カセット170は、スタッカ190内の紙幣の自動精査を行う自動精査処理の際、紙幣を一時的に収納するために利用される。一方のカセット170を、2千円券、旧券、損券等の収納に利用することもできる。カセット170内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、カセット170内に昇降ステージ170aが設けられる。
これらカセット170の右側には、さらに、硬貨回収用のカセット171が配置される。このカセット171も、上述の支持ユニットに支持され、前方に引き出し可能である。硬貨回収の際に、硬貨入出金ユニット12からカセット171に硬貨が投入
される。
カセット170用の一時保留部180は、対応するカセット170の上方に配置される。一時保留部180は、カセット170に収納される紙幣を一時的に保留(収納)する。一時保留部180の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、カセット170内の紙幣を、一時保留部180を通じてカセット搬送路145に繰り出すことができる。
スタッカ190は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、3つのスタッカ190のそれぞれに対し、一万円、千円および5千円の金種が割り当てられ得る。スタッカ190内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、スタッカ190内に昇降ステージ190aが設けられる。
スタッカ190用の一時保留部200は、対応するスタッカ190の上方に配置される。一時保留部200は、スタッカ190に収納される紙幣を一時的に保留(収納)する。一時保留部200の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、スタッカ190内の紙幣を、一時保留部200を通じてスタッカ搬送路146に繰り出すことができる。
紙幣の入金処理の際には、紙幣入金口15を通じて入金部110に投入された紙幣が、搬送部140により搬送されるとともに識別部150で識別され、正常と識別された紙幣が、金種毎に、対応する一時保留部200に一時的に保留される。そして、確定操作がなされると一時保留部200内の紙幣が対応するスタッカ190内に収納される。なお、正常でないと識別された紙幣は、リジェクト部130に戻される。
また、紙幣の出金処理の際には、出金操作により指定された金額の紙幣が、スタッカ190内から繰り出されて搬送部140により搬送され、その途中に紙幣揃え部160で表裏の向きが揃えられて出金部120に払い出される。出金部120の紙幣は、紙幣出金口14を通じて取り出される。
硬貨入出金ユニット12は、図示しない硬貨搬送部、硬貨識別部、複数の金種別硬貨収納投出部などを備える。硬貨の入金処理の際には、硬貨入出金口13から投入された硬貨が、硬貨搬送部により搬送されるとともに硬貨識別部で識別され、正常と識別された硬貨が、金種毎に、対応する金種別硬貨収納投出部に収納される。また、硬貨の出金処理の際には、出金操作により指定された金額の硬貨が金種別硬貨収納投出部から投出され、硬貨搬送部により搬送されて硬貨入出金口13に払い出される。
図3は、貨幣入出金機1の主たる構成を示すブロック図である。
貨幣入出金機1は、上述した紙幣入出金ユニット11、硬貨入出金ユニット12、操作表示部16の他、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、音声出力部24と、ボタン入力部25と、を備える。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部22に記憶された動作プログラムに従って、操作表示部16、紙幣入出金ユニット11の各構成部(入金繰出機構111、搬送部140、識別部150、紙幣揃え部160、カセット170、一時保留部180、スタッカ190、一時保留部200等)および硬貨入出金ユニット12等の各構成部を制御する。
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部21の動作プログラムを記憶し、また、制御部21の制御処理の際にワーク領域として利用される。また、記憶部22は、過去一定期間の取引情報(入出金情報、各金種の在高情報、等)を記憶し、さらに、貨幣の装填処理および回収処理の際にテラーが指定した装填枚数または回収枚数、および実際に装填または回収された貨幣の枚数等の情報を記憶する。
通信部23は、上位端末2との間で通信を行う。音声出力部24は、スピーカを備え、制御部21からの制御に従って、所定の音声を出力する。ボタン入力部25は、図1に示す4つの占有ボタン17およびこれら占有ボタン17に対する操作を検出する検出器を含む。
さて、貨幣入出金機1の左右両側にいるテラーは、貨幣入出金機1を使用して入金処理、出金処理、計数処理などの取引処理を行うことができる。計数処理には、貨幣(紙幣、硬貨)の枚数を単純に計測する単純計数処理と、貨幣の枚数を計測するとともに同じ金種の貨幣を所定枚数単位にまとめる整理計数処理とが含まれる。各テラーは、自身の側に設けられた占有ボタン17、即ち、左側のテラーであれば左紙幣占有ボタン17aまたは左硬貨占有ボタン17cを押し、右側のテラーであれば右紙幣占有ボタン17bまたは右硬貨占有ボタン17dを押して、貨幣入出金機1の処理を占有する操作(占有操作)を行った後に、操作表示部16上で所定の操作を行って自身の取引処理を実行する。
なお、取引処理が入金処理または出金処理である場合には、占有操作がなされる前あるいはなされた後に、上位端末2において金額等の入力を含む入金操作または出金操作が行われる。入金操作または出金操作に基づいて、上位端末2から貨幣入出金機1へ入金コマンドまたは出金コマンドが送信される。制御部21は、受信したコマンドに基づいて、入金処理または出金処理を実行する。
また、取引処理が計数処理である場合には、占有操作がなされた後に、操作表示部16上で単純計数処理または整理計数処理の何れを行うかの選択が行われる。この選択は、上位端末2でも行うことができ、この場合は、単純計数コマンドまたは整理計数コマンドが、上位端末2から貨幣入出金機1へ送信される。制御部21は、テラーにより選択された計数処理を実行する。
なお、2つの上位端末2は、それぞれ、貨幣入出金機1を挟む左右の操作者の配備位置と対応付けられている。即ち、貨幣入出金機1には、貨幣入出金機1の右側の配備位置に対して一方の上位端末2を対応付け、貨幣入出金機1の左側の配備位置に対して他方の上位端末2を対応付ける設定がなされている。各テラーは、自身の配備位置に対応付けられた上位端末2から上記コマンドを送信するための入力を行う。上記コマンドの送信において、各上位端末2は、自身の識別情報を付してコマンドを送信する。コマンドを受信した貨幣入出金機1は、識別情報をもとに、受信したコマンドが何れの配備位置の処理に供されるものであるかを識別する。
ところで、貨幣入出金機1では、所定金種の貨幣の収納量が最大収納量に到達すると、当該金種について入金処理が行えなくなり、また、所定金種の貨幣の収納量がゼロになると、当該金種について出金が行えなくなってしまう。このような状態が、接客時に生じると、窓口において長期間、顧客を待たせることとなってしまう。
このような事態を回避するため、貨幣入出金機1の左右に配備されたテラーは、接客のない空き時間等を利用して、各金種の収納量を確認し、適宜、貨幣入出金機1に対して貨幣を装填または回収する処理を行う。即ち、各テラーは、上記の取引処理の他、接客のない空き時間等を利用して、各金種の収納量を確認し、適宜、貨幣入出金機1に対して貨幣を装填または回収する処理を行う。
紙幣を装填する場合、テラーは、まず、操作表示部16に対して紙幣装填のための入力を行う。このとき、テラーは、操作表示部16に表示された画面において、装填対象金種の紙幣を、カセット170および紙幣入金口15の何れに収納するかを選択する。ここで、紙幣入金口15が選択されると、紙幣入金口15が開放される。これに応じて、テラーは、装填対象金種の紙幣を紙幣入金口15に投入する。他方、装填対象金種の紙幣をカセット170に収納することを選択した場合、テラーは、図1の扉体10cを開けて、2つのカセット170と3つのスタッカ190とを支持する支持ユニットを前方に引き出し、2つのカセット170の一方に、装填対象の金種の紙幣をセットする。その後、テラーは、この支持ユニットを押し込んで貨幣入出金機1に収納する。こうして装填対象金種の紙幣を所定の位置にセットした後、テラーは、操作表示部16に対して、装填開始の指示を入力する。これにより、装填された紙幣が、紙幣入金口15またはカセット170から繰り出され、識別部150を通って対象金種のスタッカ190に収納される。このとき、装填された紙幣の枚数が、識別部150でカウントされ、制御部21に送信される。
紙幣を回収する場合、テラーは、まず、操作表示部16に対して、紙幣回収のための操作入力を行う。このとき、テラーは、操作表示部16に表示された画面において、回収対象金種の紙幣を、カセット170および紙幣出金口14の何れから取り出すかを選択する。さらに、テラーは、回収開始の指示を操作表示部17に入力する。これにより、テラーにより指定された枚数の紙幣が、回収対象金種のスタッカ190から繰り出され、識別部150を通ってカセット170または紙幣出金口14に収納される。このとき、収納された紙幣の枚数が、識別部150でカウントされ、制御部21に送信される。その後、テラーは、回収位置から紙幣を回収する。回収位置が紙幣出金口14である場合、紙幣出金口14が開放される。これに応じて、テラーは、紙幣を回収する。回収位置がカセット170である場合、テラーは、図1の扉体10cを開けて、カセット170とスタッカ190を支持する支持ユニットを前方に引き出し、カセット170に収納された紙幣を回収する。回収が終わると、テラーは、カセット170とスタッカ190を押し込んで貨幣入出金機1に収納する。
硬貨の装填および回収も、紙幣の装填および回収と同様の手順で行われる。ただし、硬貨を装填する場合、テラーは、硬貨入出金口13のみを利用して硬貨を投入可能である。これに対し、硬貨の回収は、硬貨入出金口13とカセット171の何れかを一方を選択して行い得る。回収位置としてカセット171を選択した場合、テラーは、扉体10cを開放して支持ユニットを前方に引き出し、硬貨回収用のカセット171から回収対象金種の硬貨を回収する。
次に、貨幣入出金機1における制御動作について、図4〜図8(b)を参照して説明する。
図4は、貨幣入出金機1における取引処理時の制御を示すフローチャートである。図5(a)〜(c)は、それぞれ、取引処理の実行時に用いられる待機画面S1、計数モード選択画面S2および処理開始画面S3を示す図である。
貨幣入出金機1が起動された後、制御部21は、図5(a)に示す待機画面S1を操作表示部16に表示させる(S101)。待機画面S1は、金種毎に在高を示す在高画像P1を含んでいる。そして、制御部21は、テラーから占有操作を受け付けたか、即ち、図1に示す占有ボタン17が操作されたか否かを判定する(S102)。占有操作を受け付けた場合(S102:YES)、制御部21は、受け付けた占有操作に基づいて、取引処理を占有するテラーを決定し(S103)、取引処理を開始するための処理を実行する。
具体的には、制御部21は、取引処理において操作されるべき画面を、操作表示部16に表示させて、テラーからの指示入力を受け付ける。
占有対象のテラーに対応付けられた上位端末2から入金処理または出金処理のコマンドを受信していない場合、制御部21は、図5(b)に示す計数モード選択画面S2を操作表示部16に表示させる。計数モード選択画面S2は、何れのテラーが取引処理を占有する状態にあるかを示す表示D1と、単純計数処理を選択するための選択ボタンB1と、整理計数処理を選択するための選択ボタンB2と、取引処理を取り消すためのクリアボタンB3とを含んでいる。
また、占有対象のテラーに対応付けられた上位端末2から入金処理または出金処理のコマンドを受信している場合、制御部21は、図5(c)に示す処理開始画面S3を操作表示部16に表示させる。処理開始画面S3は、図5(a)と同様の在高画像P1と、図5(b)と同様の表示D1およびクリアボタンB3の他に、取引処理を開始させるためのスタートボタンB4を含んでいる。
なお、図5(b)に示した計数モード選択画面S2中の選択ボタンB1、B2の何れか一方がタッチされた場合も、図5(c)に示す処理開始画面S3が表示される。また、図5(b)に示した計数モード選択画面S2が表示されている状態において、占有対象のテラーに対応付けられた上位端末2から入金処理または出金処理のコマンド、あるいは、単純計数処理または整理計数処理のコマンドが送信された場合も、図5(c)に示す処理開始画面S3が表示される。
図4に戻り、制御部21は、テラーから開始指示が入力されたか否か、即ち、図5(c)の処理開始画面S3においてスタートボタンB4がタッチされたか否かを判定する(S104)。さらに、制御部21は、テラーから取り消し指示が入力されたか否か、即ち、図5(b)の計数モード選択画面S2または図5(c)の処理開始画面S3においてクリアボタンB3がタッチされたか否かを判定する(S105)。
テラーから開始指示が入力された場合(S104:YES)、制御部21は、テラーによって指示された取引処理(単純計数処理、整理計数処理、入金処理、出金処理)を実行する(S106)。また、テラーから取り消し指示が入力された場合(S105:YES)、制御部21は、取引処理の実行を中止する。取引処理が完了し、あるいは、取引処理の実行を中止した場合、制御部21は、制御処理をステップS101に戻して、再度、待機画面S1を操作表示部16に表示させる。
次に、貨幣入出金機1に対し貨幣を装填および回収する際の制御について説明する。
上記のように、テラーは、少ない空き時間を利用して貨幣の装填または回収を行う。このため、装填および回収のための操作はなるべく簡便であることが好ましい。そこで、本実施形態では、貨幣の装填および回収をより簡便な操作によって効率的に行い得る制御がなされる。
図6は、装填回収処理時の制御を示すフローチャートである。図7(a)、(b)は、それぞれ、貨幣の装填回収処理において用いられる待機画面S1および装填回収画面S10を示す図である。待機画面S1は、図4のステップS101において表示されるものである。
図6を参照して、制御部21は、待機画面S1において金種の選択操作がなされたか否かを判定する(S201)。具体的には、制御部21は、待機画面S1に表示された在高画像P1中の所定の金種領域がタッチされたか否かを判定する。
図7(a)に示すように、在高画像P1は、金種毎に複数の金種領域P10に区分されている。各金種領域P10には、金種と保有枚数が数字で示されている。丸囲みの数字は、硬貨の金種を示しており、四角囲みの数字は紙幣の金種を示している。たとえば、500が丸で囲まれた表示は、金種が500円硬貨であることを示している。金種の表示の下側の数字は、その金種の収納枚数を示している。
各金種領域P10は、同じ形状および大きさの長方形である。この長方形は、擬似的に、各金種の収納領域を示している。長方形の上辺は最大収納枚数(ここでは、硬貨は160枚、紙幣は1500枚)を示し、長方形の下辺は収納枚数がゼロであることを示している。各金種領域P10には、視覚的に貨幣の収納枚数が分かるように、収納枚数に応じたスケールが所定の色で表示されている。図7(a)では、便宜上、スケールがグレイの色で表示されている。
図6に戻り、制御部21は、待機画面S1中に含まれた何れか1つの金種の金種領域P10がタッチされると(S201:YES)、操作表示部16に表示される画面を待機画面S1から装填回収画面S10に切り替える(S202)。
図7(b)に示すように、装填回収画面S10は、金種画像P11と、参照領域R11と、設定領域R12と、スタートボタンB11と、クリアボタンB12と、カセット選択ボタンB13と、開口選択ボタンB14と、を含んでいる。なお、図7(b)には、図7(a)の待機画面S1において、500円の金種の金種領域P10がタッチされた場合の装填回収画面S10が表示されている。
金種画像P11は、図7(a)の待機画面S1においてテラーがタッチした金種領域P10に対応する金種を表示する。スタートボタンB11は、貨幣の装填または回収の処理を開始させるためのボタンである。クリアボタンB12は、貨幣の装填または回収の処理を取り消すためのボタンである。カセット選択ボタンB13は、カセット170、171を利用して貨幣の回収または装填を行うことを指定するためのボタンである。開口選択ボタンB14は、開口部(硬貨入出金口13、紙幣入金口15、紙幣出金口14)を利用して貨幣の回収または装填を行うことを指定するためのボタンである。
なお、上記のように、硬貨の装填は、硬貨入出金口13のみを利用して可能であるため、設定領域R12を介してユーザにより指定された処理内容が硬貨の装填である場合、カセット選択ボタンB13が無効化され、開口選択ボタンB14のみが選択可能となる。
参照領域R11には、装填または回収において指標として参照され得る参照画像が表示される。参照領域R11には、参照画像として、金種画像P11で示された金種(待機画面S1においてテラーが選択した金種)の当日の在高の推移を示す画像、金種画像P11で示された金種の過去一定期間の1日の平均的な在高の推移を示す画像、および、金種画像P11で示された金種の当日と同じ日の過去の平均的な在高の推移を示す画像が切り替え可能に表示される。参照画像の内容については、追って、図8(a)および図9(a)、(b)を参照して説明する。
設定領域R12には、装填または回収する貨幣の枚数を設定するための画像やキー等が表示される。設定領域R12の内容については、追って、図8(b)および図10(a)、(b)を参照して説明する。
図6に戻り、装填回収画面S10を表示した後(S202)、制御部21は、装填回収画面S10に対する入力を受け付けながら、開始指示(S203)または取り消し指示(S204)が入力されたか否かを判定する。装填回収画面S10において、スタートボタンB11がタッチされると、制御部21は、S203の判定をYESとする。また、装填回収画面S10において、クリアボタンB12がタッチされると、制御部21は、S204の判定をYESとする。
開始指示が入力されると(S203:YES)、制御部21は、装填回収画面S10で指定された装填処理または回収処理を実行する(S205)。このとき、カセット選択ボタンB13がタッチされていれば、制御部21は、カセット170またはカセット171を用いて貨幣の装填または回収を行い、開口選択ボタンB14がタッチされていれば、開口部(硬貨入出金口13、紙幣入金口15、紙幣出金口14)を用いて貨幣の装填または回収を行う。
こうして、指定された枚数の貨幣について装填処理または回収処理が終了すると(S206:YES)、制御部21は、処理を終了する。これに応じて、画面が、待機画面S1に戻される。また、開始指示が入力される前に、取り消し指示が入力されると(S204:YES)、制御部21は、装填または回収の処理を実行することなく、処理を終了する。この場合も、処理の終了に応じて、画面が、待機画面S1に戻される。
図8(a)は、装填回収画面S10中の参照領域R11の構成を示す図である。
参照領域R11には、参照画像P12と、項目表示領域D11、D12、D13と、項目切替キーK11、K12と、が表示される。
上記のように、参照画像P12は、装填または回収において指標として参照される画像である。本実施形態では、項目切替キーK11、K12がタッチされることにより、3種類の参照画像P12が切替表示される。図8(a)に示された参照画像P12は、インデックス1の参照画像である。この参照画像P12は、図7(a)の待機画面S1において選択された金種の過去一定期間(たとえば1年)の1日の平均的な在高の推移を示している。
参照画像P12は、上下に3つの表示領域D14、D15、D16に区分される。表示領域D14には、参照画像P12の種類(インデックス1〜3)が表示される。表示領域D15は長方形の領域であり、長方形の上辺と下辺は、それぞれ、当該金種の最大収納枚数L11とエンプティレベル(収納枚数=0)L12を示している。表示領域D15には、当該金種の最大収納枚数L11(ここでは、160枚)の半分の中間収納枚数L10(ここでは、80枚)に対する1時間毎の収納枚数の変動が棒グラフで表示される。表示領域D15の右端には、最大収納枚数L11とエンプティレベルL12が数字(160、0)で示されている。表示領域D16には、午前0時から24時間の時間軸が表示される。
項目表示領域D11〜D13には、それぞれ、参照画像P12の種類(インデックス1〜3)を示す文字が標記される。表示中の参照画像P12の種類に対応する項目表示領域が、所定の色でハイライト表示される。図8(a)の例では、インデックス1の参照画像P12が表示されているため、インデックス1に対応する項目表示領域D11がハイライト表示されている。テラーは、項目表示領域D11〜D13の何れがハイライト表示されているかによって、表示中の参照画像P12の種類を識別できる。
項目切替キーK11、K12は、表示される参照画像P12の種類を切り替えるためのキーである。項目切替キーK11がタッチされる毎に、表示される参照画像P12の種類がインデックス1→インデックス2→インデックス3の順番で切り替えられ、項目切替キーK12がタッチされる毎に、表示される参照画像P12の種類がインデックス3→インデックス2→インデックス1の順番で切り替えられる。テラーは、項目切替キーK11、K12を操作することにより、所望の種類(インデックス項目)の参照画像P12を参照できる。
図9(a)、(b)は、それぞれ、インデックス項目が切り替えられた場合の参照領域R11の表示内容を示す図である。
図9(a)は、インデックス2の参照画像P12の表示例である。インデックス2では、図7(a)の待機画面S1で選択された金種について、当日と同じ日の過去の平均的な在高の推移を示す参照画像P12が表示される。たとえば、現在の日時が2017年1月17日の午後2時30分である場合、過去一定期間(たとえば10年間)の1月17日の当該金種の収納枚数が、午前0時から1時間ごとに平均化され、各時間の平均値が、中間収納枚数L10に対する変化を示す棒グラフとして表示される。すなわち、13時の位置の棒グラフは、1月17日、13時の時点の当該金種の収納枚数が、過去10年間分集計されて平均化されることにより構成される。その他の時刻の棒グラフも同様である。この参照画像P12を参照することにより、テラーは、現在の日と同じ日における過去の平均的な収納枚数の推移を把握できる。
図9(b)は、インデックス3の参照画像P12の表示例である。インデックス3では、図7(a)の待機画面S1で選択された金種について、当日の在高の推移を示す参照画像P12が表示される。たとえば、現在の日時が2017年1月17日の午後2時30分である場合、2017年1月17日の午前0時から1時間ごとの当該金種の収納枚数が、中間収納枚数L10に対する変化を示す棒グラフとして表示される。この参照画像P12を参照することにより、テラーは、その日の収納枚数の推移を把握できる。
次に、図7(b)に示した装填回収画面S10中の設定領域R12の構成について説明する。
図8(b)は、設定領域R12の構成を詳細に示す図である。
設定領域R12には、スケール画像P13と、モード表示画像P14、P15と、枚数表示領域D17と、設定キーK13、K14と、選択キーK15と、が表示される。
スケール画像P13は、長方形の枠内に、スケールP131と、バーP132とを含んでいる。長方形の枠の上辺は、当該金種の最大収納枚数L11に対応し、長方形の枠の下辺はエンプティレベル(ゼロ)L12に対応する。スケール131は、当該金種の収納枚数を示している。また、バーP132は、当該金種について貨幣入出金機1内に保有されるべき基準量L13を示している。
設定キーK13、K14は、基準量L13を増減させるためのキーである。設定キーK13にタッチされている間、基準量L13が増加し、設定キーK14がタッチされている間、基準量L13が減少する。基準量L13の増減に応じて、バーP132が上下に移動する。なお、設定キーK13、K14がタッチされる毎に、基準量L13が、所定量ずつ増減する構成であってもよい。
枚数表示領域D17には、基準量L13と、現在の収納枚数との差分(絶対値)が表示される。現在の収納枚数が基準量L13よりも少ない場合、枚数表示領域D17に表示される枚数は、貨幣入出金機1に装填されるべき貨幣の枚数となる。他方、現在の収納枚数が基準量L13よりも多い場合、枚数表示領域D17に表示される枚数は、貨幣入出金機1から回収されるべき貨幣の枚数となる。図8(b)の例では、現在の収納枚数が基準量L13よりも少ない。このため、この例では、装填されるべき貨幣(ここでは、500円硬貨)が40枚であることが、枚数表示領域D17に表示されている。
モード表示画像P14、P15は、現在の設定モードが、手動と自動の何れによって基準量L13を設定するモードにあるかを表示する。モード表示画像P14、P15のうち、現在の設定モードに対応する画像の文字が、太字や色によって強調表示される。図8(b)の例では、現在の設定モードが、手動で基準量L13を設定するスタンダードモードに設定されている。このため、左側のモード表示画像P14の文字が強調表示されている。選択キーK15がタッチされると、設定モードが、自動で基準量L13が設定されるオートモードに切り替えられる。
スタンダードモードでは、当該金種の最大収納枚数L11の半分の中間収納枚数L10が、基準量L13に初期設定される。これに対し、テラーは、図8(a)または図9(a)、(b)の参照画像P12を参照して、適宜、設定キーK13、K14を操作し、基準量L13を所望の枚数に変更する。
図10(a)は、スタンダードモードにおいて、テラーにより基準量L13が変更された場合の設定領域R12の表示内容を示す図である。
この例では、テラーにより設定キーK13がタッチされて、基準量L13が初期値から増加されている。これに伴い、バーP132が上昇し、枚数表示領域D17に表示される貨幣の枚数が増加している。テラーは、こうして基準量L13を調整した後、図7(b)の装填回収画面S10中のスタートボタンB11にタッチして、貨幣の装填または回収の処理を実行させる。
たとえば、図10(a)の例では、現在の収納枚数が基準量L13よりも少ないため、貨幣入出金機1に貨幣(ここでは、500円硬貨)を装填するための処理が実行される。この場合の装填枚数は、枚数表示領域D17に表示された60枚である。テラーは、硬貨入出金口13に60枚の500円硬貨を投入した後、装填回収画面S10中のスタートボタンB11にタッチする。これにより、60枚の500円硬貨が、貨幣入出金機1に装填される。
現在の収納枚数が基準量L13よりも多い場合は、スタートボタンB11に対するタッチに応じて、当該金種の貨幣を、対応するスタッカ190から回収するための処理が実行される。この場合の回収枚数は、枚数表示領域D17に表示された枚数である。テラーは、回収処理が終了した後、カセット170、171または硬貨入出金口13、紙幣出金口14にアクセスして、貨幣を回収する。
制御部21は、上記のように、現在の収納枚数が基準量L13よりも多いか少ないかに応じて、装填処理と回収処理を切り替える。また、制御部21は、装填または回収される貨幣の枚数を、テラーが設定キーK13、K14を操作して設定した枚数、すなわち、枚数表示領域D17に表示された現在の収納枚数と基準量L13との差分の枚数に設定する。こうして、制御部21は、図6のステップS205の処理を実行する。
図10(b)は、基準量L13の設定モードがスタンダードモード(手動)からオートモード(自動)に切り替えられた場合の設定領域R12の表示内容を示す図である。上記のように、オートモードへの切替は、図8(b)の選択キーK15がタッチされることにより行われる。
オートモードでは、当該金種について貨幣入出金機1内に保有されるべき基準量L13が、過去の取引情報に基づいて自動で設定される。即ち、制御部21は、記憶部22に記憶された過去一定期間の取引情報(入出金情報、各金種の在高情報、等)に基づいて、基準量L13を設定する。たとえば、制御部21は、現在の日時における過去10年間の当該金種の収納枚数の平均値に所定の調整値を加減算して、基準量L13を求める。ここで、調整値は、たとえば、その日の収納枚数の推移や最近の取引傾向をパラメータとして、所定の演算式により算出される。ただし、基準量L13の算出方法は、これに限られるものではない。当該金種の過去の収納枚数の他、過去の入出金情報が加味されて、基準量L13が設定されてもよい。
図10(b)の例では、オートモードにより自動で設定された基準量L13が、中間収納枚数L10よりも小さくなっている。図10(b)中の点線のレベルが、中間収納枚数L10を示している。テラーは、オートモードにより自動で設定された基準量L13を修正することなく承認する場合、図10(b)の状態のまま、図7(b)のスタートボタンB11にタッチする。これにより、制御部21は、オートモードにより自動で設定した基準量L13に基づいて、上記スタンダードモードの場合と同様に、貨幣の装填または回収の処理を実行する。
なお、テラーは、オートモードにおいても、設定キーK13、K14を操作して、基準量L13を適宜修正可能である。また、オートモードでは、モード表示画像P15の右側の選択キーK15が削除され、モード表示画像P14の左側に選択キーK16が配置される。テラーは、選択キーK16にタッチすることにより、設定モードをスタンダードモードに切り替えることができる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
テラーは、待機状態において、待機画面S1に在高とともに表示された金種のうち所望の金種を選択するだけで、その金種について装填または回収の処理へと移行できる。よって、貨幣の回収または補充を極めて簡便な操作により進めることができる。
また、図7(b)に示した装填回収画面S10は、図8(b)および図10(a)を参照して説明したとおり、装填または回収する貨幣の枚数を、設定領域R12に対する操作によって手動で設定可能に構成されている。このため、テラーは、所望の装填/回収枚数を任意に設定できる。
また、図7(b)に示した装填回収画面S10は、図8(b)を参照して説明したとおり、図7(a)の待機画面S1で選択された金種について貨幣入出金機1内に保有されるべき基準量L13に基づいて、装填または回収されるべき貨幣の枚数が設定領域R12の枚数表示領域D17に表示されるよう構成されている。このため、テラーは、基準量L13との関係において、装填または回収されるべき貨幣の枚数を把握できる。よって、テラーは、装填または回収されるべき貨幣の枚数をより適切かつ円滑に決定できる。
また、図10(b)を参照して説明したとおり、制御部21は、オートモードにおいて、過去の取引情報に基づいて基準量L13を設定するよう構成されている。このため、オートモードでは、過去の取引状態に則して装填または回収されるべき貨幣の枚数が枚数表示領域D17に表示される。よって、テラーは、その表示に基づいて、容易に、装填または回収すべき貨幣の枚数を決定できる。
また、図8(b)および図10(a)を参照して説明したとおり、装填回収画面S10は、設定キーK13、K14を操作することにより基準量L13を手動で設定可能に構成されている。このため、テラーは、現況に則した基準量L13を任意に設定できる。よって、基準量L13に基づいて枚数表示領域D17に表示される装填/回収枚数が現況に則したものとなり、テラーは、装填または回収されるべき貨幣の枚数を現況に則して適切に決定できる。
また、制御部21は、図7(b)、図8(a)、図9(a)、(b)に示すように、装填または回収において指標として参照され得る参照画像P12を1画面中に併せて表示可能に、装填回収画面S10を構成する。このため、テラーは、参照画像P12を参照することにより、より円滑に、装填または回収すべき貨幣の枚数を決定できる。
ここで、参照画像P12は、図7(a)の待機画面S1において選択された金種の過去一定期間の1日の平均的な在高の推移を示す画像(インデックス1)、選択された金種の当日と同じ日の過去の平均的な在高の推移を示す画像(インデックス2)、および、選択された金種の当日の在高の推移を示す画像(インデックス3)に切り替え可能となっている。このような参照画像P12を参照することにより、テラーは、現時点以降に必要な在高の傾向を予測できる。よって、テラーは、参照画面にP12基づいて、円滑かつ適切に、装填または回収すべき貨幣の枚数を決定できる。
<変更例1>
上記実施形態では、図8(b)等を参照して説明したとおり、基準量L13を調節することによって、装填または回収されるべき貨幣の枚数が設定されたが、装填または回収されるべき貨幣の枚数が、基準量L13を調節することなく、直接、テラーによって入力されてもよい。
図11(a)は、この場合の装填回収画面S10中の設定領域R12の構成例を示す図である。
この構成例では、設定領域R12に、選択ボタンB15、B16と、3つのコラムC11〜C13と、調整つまみE11が含まれている。テラーは、当該金種の貨幣を貨幣入出金機1から回収する場合は選択ボタンB15にタッチし、また、当該金種の貨幣を貨幣入出金機1に装填する場合は選択ボタンB16にタッチする。コラムC11には、当該金種の現時点の収納枚数が表示され、コラムC12には、貨幣入出金機1に装填または回収しようとする貨幣の枚数が表示される。コラムC13には、コラムC12の枚数の貨幣を、選択ボタンB15、B16のタッチに応じて回収または装填した後の貨幣の枚数が表示される。
テラーは、調整つまみE11にタッチした状態で、タッチ位置を左右に移動させることにより、調整つまみE11を左右に移動させることができる。調整つまみE11が左端の位置ある場合、コラムC12の枚数は0であり、調整つまみE11を右方向に移動させるに伴って、コラムC12の枚数が増加する。調整つまみE11を右端まで移動させると、コラムC12には、当該金種の最大収納枚数が表示される。このように、テラーは、調整つまみE11を操作することにより、装填または回収しようとする貨幣の枚数を設定できる。
変更例1の構成によっても、テラーは、上記実施形態と同様、装填または回収する貨幣の枚数を手動で任意に設定できる。
しかしながら、変更例1の構成によれば、上記実施形態と異なり、当該金種について貨幣入出金機1内に保有されるべき基準量L13が表示されないため、テラーは、基準量L13との関係において、装填または回収されるべき貨幣の枚数を把握することができない。したがって、基準量L13との関係において装填または回収されるべき貨幣の枚数をより適切かつ円滑に決定できるようにするためには、上記実施形態のように、基準量L13との関係において装填または回収されるべき貨幣の枚数を表示する構成であることが好ましい。
<変更例2>
上記実施形態では、画面が図7(b)に示す装填回収画面S10に遷移した後、装填/回収対象の金種を変更する場合、テラーは、クリアボタンB12を操作して、画面を待機画面S1に戻す必要があった。これに対し、変更例2では、装填回収画面S10においてスワイプ操作が行われると、装填回収画面S10を維持したまま、他の金種の内容に装填回収画面S10の内容が変更される。ここで、スワイプ操作とは、タッチ位置を左方向または右方向に移動させた後、タッチを解除する操作のことである。
図11(b)は、変更例2に係る、装填回収画面S10の切替操作を示す図である。
図11(b)に示すように、500円硬貨の金種に対応する装填回収画面S10が表示されている状態において、テラーが、左方向のスワイプ操作を行うと、制御部21は、100円硬貨の金種に対応する装填回収画面S10を操作表示部16に表示させる。
その後、テラーが、さらに、左方向のスワイプ操作を行うと、制御部21は、50円硬貨の金種に対応する装填回収画面S10を操作表示部16に表示させる。こうして、テラーは、装填回収画面S10においてスワイプ操作を行うことにより、画面を待機画面S1に戻すことなく、装填/回収対象の金種を切り替えることができる。
なお、左方向のスワイプ操作が行われる毎に、金種が、500円硬貨→100円硬貨→50円硬貨→10円硬貨→5円硬貨→1円硬貨と切り替えられ、その後、さらに左方向のスワイプ操作が行われると、金種が、10000円札→5000円札→2000円札→1000円札と切り替えられる。右方向のスワイプ操作が繰り返されると、上記と逆の方向に金種が切り替えられる。
本変更例によれば、画面を装填回収画面S10から待機画面S1に戻さなくても、装填回収画面S10においてスワイプ操作を行うだけで、装填/回収対象の金種を変更しつつ変更後の金種の装填回収画面S10を表示させることができる。よって、装填/回収時の操作性をさらに高めることができる。
なお、装填回収画面S10において金種を切り替えるための操作は、必ずしも、スワイプ操作でなくてもよく、たとえば、タッチ位置を左方向または右方向に移動させた後、移動後の位置において一定時間、タッチが継続する操作(スライド操作)が、金種の切替操作として設定されてもよい。
また、装填回収画面S10の右端と左端に、それぞれ、画面を右方向と左方向に送るための送りキーを配置し、これら送りキーがタッチされることにより、右方向のスワイプ操作および左方向のスワイプ操作と同様の金種の切替が行われてもよい。
<変更例3>
変更例3では、装填/回収の処理が終了した後、実際に装填/回収がなされた貨幣の枚数と、装填/回収の開始前にテラーが設定した装填/回収の貨幣の枚数とが一致するかが貨幣入出金機1において確認され、不一致の場合に、エラー画面が表示される。
図12は、変更例3に係る、装填回収処理を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、図6のフローチャートに比べて、ステップS211〜S213が追加されている。即ち、制御部21は、装填/回収の処理が終了すると(S206:YES)、実際に貨幣入出金機1に装填/回収された貨幣の枚数と、装填/回収の開始前にステップS202においてテラーが設定した装填/回収の貨幣の枚数とが一致するか否かを判定する(S211)。両者が一致する場合(S211:YES)、制御部21は、処理を終了する。また、両者が一致しない場合(S211:NO)、制御部21は、不一致を報知するためのエラー画面を、操作表示部16に表示させる(S212)。このエラー画面には、不一致の枚数は要求される対応等の情報が含まれる。テラーが、このエラー画面に従って適切な対応をとると、制御部21は、エラー時の対応が終了したとして(S213:YES)、処理を終了する。
変更例3によれば、装填/回収の処理における不適切な操作または行動を抑制できる。なお、図6のフローチャートの処理によっても、実際に貨幣入出金機1に装填/回収された貨幣の枚数と、装填/回収の開始前にステップS202においてテラーが設定した装填/回収の貨幣の枚数とを逐次ログとして記憶部22に記憶させておけば、後日、ログを検証することで、装填/回収の処理における不適切な操作または行動を、その日時とともに把握でき、随時、適切な措置を講じることができる。
<変更例4>
図13(a)、(b)に示すように、変更例4では、装填回収画面S10の設定領域R12にパターン選択ボタンB17が含まれている。パターン選択ボタンB17は、貨幣入出金機1の状態がオートモードかスタンダードモードかに関わらず、基準量L13を、予め記憶された枚数に設定するためのボタンである。パターン選択ボタンB17にタッチすると、基準量L13が、予め記憶された枚数に設定され、これに応じて、バーP132の位置が変化する。記憶されるパターンは1つに限られず、複数のパターンが記憶されることとしてもよい。なお、この場合、パターン選択ボタンB17がタッチされる毎に、パターン1→パターン2→パターン3→パターン解除の順番で切替えられる。図13(a)は、パターン解除時の設定領域R12の表示状態を示し、図13(b)は、パターン1が選択された場合の設定領域R12の表示状態を示している。
変更例4の構成によれば、テラーは、設定キーK13、K14に対するタッチを繰り返して基準量L13を細かく調整しなくとも、パターン選択ボタンB17にタッチして、予め記憶された基準量L13を選択することにより、所望の基準量L13に設定できる。よって、基準量L13の設定操作をより簡便なものにすることができる。
<その他の変更例>
上記実施形態では、参照領域R11においてインデックス1、2、3に対応する3種の参照画像P12が切り替え可能であったが、インデックス1、2、3のうちの2つに対応する参照画像P12が切り替え可能であってもよく、インデックス1、2、3のうちの何れか1つの参照画像P12のみが表示されてもよい。また、参照領域R11に、インデックス1、2、3に対応する3種の参照画像P12とともに、あるいは、これらの参照画像P12に代えて、他の参照画像が表示されてもよい。
また、上記実施形態では、インデックス1、2、3の切替えは項目切替キーK11、K12により行ったが、項目表示領域D11〜D13をタッチすることにより切替え可能としてもよい。
また、上記実施形態では、インデックス1では過去一定期間(たとえば1年)の1日の平均的な在高の推移を、インデックス2では当日と同じ日の過去の平均的な在高の推移を、インデックス3では当日の在高の推移を表示することとしたが、これに限られない。たとえば、インデックス1では過去1月の1日の平均的な在高の推移を、インデックス2では過去1年の1日の平均的な在高の推移を、インデックス3では過去3年の1日の平均的な在高の推移を表示することとしてもよい。
また、上記実施形態では、項目切替キーK11、K12は、インデックス1、2、3の切替えに使用したが、各インデックスにおけるページ送りとして使用することとしてもよい。この場合、たとえば、項目切替キーK12を操作することにより、参照画像P12の表示を、一定期間毎に遡って表示し、項目切替キーK11を操作することにより、項目切替キーK12の操作によって遡った参照画像P12の表示を、上記一定期間毎に進めて表示することができる。
また、上記実施形態では、枚数表示領域D17には、基準量L13と、現在の収納枚数との差分(絶対値)が表示されることとしたが、基準量L13の枚数を表示することとしてもよい。即ち、現在の収納量が60枚である場合に、D17の枚数を140に設定すれば、制御部21は、その差分である80枚を、装填すべき枚数として決定し、あるいは、現在の収納量が60枚である場合に、D17の枚数を40に設定すれば、制御部21は、その差分である20枚を、回収すべき枚数として決定する。これにより、テラーは直感的に、貨幣入出金機1に保有させておきたい枚数となるように装填回収処理を行うことができる。
また、上記実施形態では、スタンダードモードが選択された場合に、基準量L13の初期値として最大収納枚数L11の半分の中間収納枚数L10が設定されたが、スタンダードモードが選択された場合の基準量L13の初期値は、他の値であってもよい。たとえば、スタンダードモードが選択された場合の基準量L13の初期値が、予め、テラーや貨幣入出金機1の管理者等によって、金種毎に設定可能であってもよい。
また、上記実施形態では、硬貨については、何れの金種も最大収納枚数が160枚とされ、紙幣については、何れの金種も最大収納枚数が1500枚とされたが、貨幣入出金機1における各金種の最大収納枚数は、これに限られるものではない。たとえば、硬貨の金種毎に最大収納枚数が相違していてもよく、また、紙幣の金種毎に最大収納枚数が相違していてもよい。
また、上記実施形態では、図8(b)の設定キーK13、K14によって基準量L13が増減されたが、基準量L13の設定方法はこれに限られるものではない。たとえば、バーP132にタッチしながらタッチ位置を上下させることによって、基準量L13が増減される構成であってもよい。
また、オートモードにおいて、基準量L13を修正した場合に、修正後の基準量L13を示すバーP132とともに、オートモードにより自動で設定された元の基準量L13を示すバーをスケール画像P13に表示することとしてもよい。これによりテラーが基準量L13を増減しても、自動で設定された元の基準量からどの程度増減しているのかが容易に把握できるため、テラーは、その表示に基づいて、容易に、装填または回収すべき貨幣の枚数を決定できる。
また、図8(b)の設定領域R12に、装填と回収の何れが実行されるかを示す表示や、基準量L13の値を数字で示す表示等がさらに含まれてもよい。
また、上記実施形態では、図1に示すように、上位端末2が通信ケーブル3により貨幣入出金機1に接続されたが、無線通信によって、上位端末2と貨幣入出金機1との間でデータ通信が行われてもよい。
また、上記実施形態および変更例1、2において示された画面の構成はあくまでも一例であって、適宜、レイアウト等が変更され得る。また、画面に対する操作は、必ずしも指で行われなくともよく、ペン等の器具で行われてもよい。また、操作表示部16は、必ずしもタッチパネルでなくともよく、表示部と入力部が別々に配置された構成であってもよい。
また、待機状態における金種の選択は、必ずしも待機画面S1に対する操作により行われなくてもよく、たとえば、操作表示部16とは別に機械式の選択ボタンを金種毎に設け、待機状態において何れかの金種の選択ボタンが押下されることにより、当該金種に対応する装填回収画面が操作表示部16に表示される構成であってもよい。
なお、上記実施形態および変更例1〜3では、紙幣入出金ユニット11および硬貨入出金ユニット12を備える貨幣入出金機1が、本発明の貨幣処理装置の一例として挙げられた。しかしながら、本発明は、紙幣入出金ユニット11のみを備える紙幣入出金機や硬貨入出金ユニット12のみを備える硬貨入出金機など、その他の貨幣処理装置に適用することも可能である。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。