JP6825957B2 - 研磨用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨用組成物に関する。より詳しくは、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物に関する。
LED用等の基材として、サファイア(α−Al)等の化合物単結晶ウェハの製造・加工技術が注目を集めている。しかし、サファイア(α−Al)等は硬脆材料であり、化学的、機械的に安定であるため、難加工性を有する。
かような硬脆材料を高い研磨レートで研磨するために、砥粒濃度を上げる、粒子径の異なる2種類以上の砥粒を特定の割合で混合する(例えば、特許文献1)、あるいは、研磨機の研磨圧/回転速度を高める、などの技術が提案されている。
特表2012−141111号公報
しかし、特許文献1の技術では、研磨機での研磨が安定せず、研磨機の研磨抵抗が増加するという問題があることが分かった。研磨が安定せず研磨抵抗が増加すると、電流値が上がってしまい、つまり、多くの電流を流して研磨機を運転させても研磨レートが上がらず(すなわち、単位電流値当たりの研磨レートを向上させることができず)、場合によっては、研磨機が振動してしまうという現象が生じたりした。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた。その結果、分散媒と、砥粒とを含む、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物であって、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満であり、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量がいずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上である、研磨用組成物によって、上記課題が解決されることを見出した。
本発明によれば、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物を提供することができる。
本発明の研磨用組成物に含まれる、特定の粒度を有する砥粒と、研磨パッドとが、研磨対象物に接触して研磨をしている様子を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
本発明は、分散媒と、砥粒とを含む、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物であって、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満であり、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量がいずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上である、研磨用組成物である。かかる構成を有することによって、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物を提供することができる。すなわち、研磨中の研磨機の抵抗を低く維持しながら、研磨機の振動を抑え、高い研磨レートを達成することができる。
(研磨対象物)
本発明において、研磨対象物は、硬脆材料である。硬脆材料とは、脆性材料の中でも硬度の高いもの(例えば、1500Hv以上程度)を示し、例えばガラス、セラミックス、石材および各種半導体材料が挙げられる。好適には、サファイア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウム、およびリン化インジウムが挙げられる。中でも、a面、m面等の無極性面またはR面等の半極性面を有するサファイアであることが好ましく、無極性面を有するサファイアがより好ましく、a面を有するサファイアがさらに好ましい。なお硬度の上限も特に制限されないが、例えば3000Hv以下が考えられる。
硬脆材料の研磨は、砥粒と、硬脆材料との間で固相反応が生じ、固相反応した部分が砥粒により剥ぎ取られることによって進行すると考えられる。本発明の実施形態において、硬脆材料がサファイアであって、砥粒がシリカであるとき、3Al+2SiO→3Al・2SiOとの反応が生じていると考えられる。ここで、本発明者らは、サファイアの中でもc面よりa面のものが研磨され難いとの知見を得ている。本発明によれば、研磨中における、砥粒と、硬脆材料表面との接触を効率よいものとすることができ、サファイアのa面であっても、固相反応による研磨を促進することができる。
(砥粒)
本発明の実施形態の研磨用組成物は、硬脆材料を研磨するために用いられる、砥粒を含む。そして、(1)粒子径30nm未満の砥粒(本明細書では、「超微粒子」とも称する)の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満であり、(2)粒子径30nm以上60nm未満の砥粒(本明細書では、「小粒子」とも称する)、(3)粒子径60nm以上100nm未満の砥粒(本明細書では、「中粒子」とも称する)、および(4)粒子径100nm以上140nm未満(本明細書では、「大粒子」とも称する)の砥粒の含有量がいずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上である。かような実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物を提供することができる。
(1)超微粒子
本発明の実施形態によれば、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満である。本発明においては、研磨レートを向上させるため、砥粒と研磨対象物との接触面積を多くさせる。小さな粒子径を有する砥粒を使用することで、研磨対象物との接触面積を多くさせることはできるが、粒子径30nm未満のような極端に小さい砥粒(超微粒子)はなるべく使用せず、使用するとしても砥粒全体の4.0体積%未満とする。これによって、単位電流値当たりの研磨レートを向上させ、かつ、研磨機の振動を抑制することができる。粒子径30nm未満の砥粒の含有量は、好ましくは3.0体積%以下であり、より好ましくは2.0体積%以下であり、さらに好ましくは1.8体積%以下であり、よりさらに好ましくは1.4体積%未満であり、よりさらに好ましくは1.3体積%以下であり、よりさらに好ましくは1.2体積%以下であり、よりさらに好ましくは1.0体積%以下である。特に、1.4体積%未満、1.3体積%以下、1.2体積%以下、あるいは、1.0体積%以下であることによって、本発明の実施例でも示したが、本発明の課題を解決する上で特に好ましい。下限にも特に制限はなく、0体積%であってもよいし、0体積%超であってもよいし、0.1体積%以上であってもよいし、0.2体積%超であってもよいし、0.5体積%以上であってもよい。本発明の実施形態によれば、超微粒子が一定量含まれることで(つまり、0体積%超であることによって)、研磨レートを向上させる技術的効果がある。
(2)小粒子
本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量が、前記砥粒全体の2.0体積%以上である。粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量が、前記砥粒全体の2.0体積%以上であることによって、砥粒の比表面積が増加し、砥粒と研磨対象物との接触面積が増加するので、研磨レートを向上させる技術的効果がある。すなわち、砥粒と研磨対象物とを高頻度で接触させることができるため、研磨レートを向上させる技術的効果がある。かような効果は、研磨パッドとして不織布を使用したときに特に発揮されうる。ここで、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量が砥粒全体の2.0体積%未満であると、砥粒が研磨パッド全体に均一に行き渡らず、研磨が安定せず、研磨抵抗が高くなり、研磨機の振動が顕著となる虞がある。
本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量は、前記砥粒全体の3.0体積%以上である。かかる実施形態であることによって、研磨レートを向上させ、また、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させうる。本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量は、前記砥粒全体の6.0体積%超である。かかる実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させながら、研磨レートをより向上させることができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量は、前記砥粒全体の10体積%以上である。かかる実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させながら、研磨レートをより向上させることができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量は、前記砥粒全体の、20体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよいし、36体積%以上であってもよい。本発明の実施形態によれば、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒含有量は、前記砥粒全体の、好ましくは90.0体積%以下であり、より好ましくは85.0体積%以下であり、さらに好ましくは80.0体積%以下であり、よりさらに好ましくは70体積%以下であり、よりさらに好ましくは60体積%以下であり、よりさらに好ましくは50体積%以下であり、よりさらに好ましくは42体積%以下である。かような上限であることによって、本発明の所期の効果をより効率的に奏することができる。
(3)中粒子
本発明の実施形態によれば、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の2.0体積%以上である。上記のように、小粒子の含有量を一定値以上とすることによって、砥粒と研磨対象物との接触面積を増加させ、研磨レートを向上させる。かような小粒子とともに、粒子径60nm以上100nm未満である中粒子を一定値以上含有させることによって、研磨時の抵抗を下げることができて研磨機の振動を抑制する。そして、この中粒子は、砥粒と研磨対象物との接触面積を増加させる役割もあるし、後述する、研磨対象物と砥粒との接触部分(研磨界面)におけるコロの役割も果たしうる。本発明において、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の2.0体積%未満であると、研磨レートが下がったり、研磨をスムーズに行うことができず、研磨機が激しく振動したりしてしまう虞がある。本発明の実施形態によれば、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の2.6体積%以上である。かかる実施形態であることによって、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の10体積%以上、20体積%以上、30体積%以上、あるいは、40体積%以上であってもよい。また、本発明の実施形態によれば、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の90.0体積%以下である。かかる実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させながら、研磨機の振動を抑えることができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒含有量が前記砥粒全体の89.0体積%以下である。かかる実施形態であることによって、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。
(4)大粒子
本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の2.0体積%以上である。粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の2.0体積%未満であると、砥粒と研磨対象物との直接接触する比率が高くなってしまい、研磨時の抵抗が安定せずに研磨負荷が上がってしまうと考えられ、それが研磨機の振動に繋がる。一方、大粒子の含有量を一定値以上とすることによって、以下の効果がある、すなわち、図1に示されるように、本発明の実施形態においては、砥粒20が供給されながら、研磨対象物10と、研磨パッド30とが接触しながら回転摺動されることによって研磨対象物は研磨されていく。本発明においては、一定値以上含まれる大粒子の砥粒が、研磨対象物10と砥粒20との接触部分(研磨界面)で、コロの役割を果たすことによって、研磨抵抗を低減させながら、研磨レートを高くすることができるものと考えられる。
本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の3.0体積%以上である。かかる実施形態であることによって、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の5.0体積%以上である。かかる実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させながら、研磨機の振動を抑えることができる。本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の10体積%以上であることが好ましい。かかる実施形態であることによって、研磨レートと、単位電流値当たりの研磨レートをより向上させることができる。また、本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の好ましくは80.0体積%以下であり、より好ましくは70.0体積%以下であり、さらに好ましくは60.0体積%以下である。かような上限であることによって、砥粒全体の比表面積を向上させることができ、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。本発明の実施形態によれば、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が前記砥粒全体の、30体積%以下、20体積%以下、あるいは15体積%以下であってもよい。
本発明の実施形態において、粒子径140nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の、好ましくは80.0体積%以上であり、より好ましくは90.0体積%以上であり、さらに好ましくは94.0体積%以上である。粒子径140nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の一定量以上であることによって、砥粒全体の比表面積を向上させることができ、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。なお、本発明の実施形態において、研磨用組成物は、粒子径140nm以上の砥粒を含んでもよいが、粒子径の上限は200nm以下であることが好ましい。
砥粒の粒子径は、砥粒の走査型電子顕微鏡画像から、画像解析ソフトウエア等を使用して測定される。より具体的には、実施例に記載の測定方法による。
砥粒の種類としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物が挙げられる。本発明の所期の効果を効率的に奏するためにはシリカであることが好ましい。なお、砥粒は、単独でもよいしまたは2種以上組み合わせても用いることができる。砥粒は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。また、好適な例であるシリカの種類は特に限定されるものではないが、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ等があげられる。これらの中でも、フュームドシリカ、コロイダルシリカが好ましい。よって、本発明の実施形態において、前記砥粒が、コロイダルシリカである。かかる実施形態によって、研磨対象物との固相反応を効率的に発揮することができる。
コロイダルシリカの製造方法としては、ケイ酸ソーダ法、ゾルゲル法が挙げられ、いずれの製造方法で製造されたコロイダルシリカであってもよい。また、コロイダルシリカの市販品の例としては、例えば、日産化学工業株式会社製、日揮触媒化成株式会社製、日本化学工業株式会社製、扶桑化学工業株式会社製、株式会社ADEKA製、Akzo Nobel社製、AZ Electronic Materials社製、Nalco社製、WRGrace社製等のコロイダルシリカが挙げられる。
上記のように、硬脆材料は化学的、機械的に安定であるため、難加工性を有する。かような硬脆材料を研磨するにあたり、特許文献1のような技術を適用することも検討されてきたが、研磨機での研磨が安定せず、研磨機の研磨抵抗が増加するという問題があることを知見した。一方、難加工性を有する硬脆材料を研磨するにあたり、別の手法として、例えばアスペクト比が1.10以上のような、高いアスペクト比を有する砥粒の分散液を使用することも考えられうる。しかし、かような手法でのみ、上記の問題を解決しようとすると、高いアスペクト比を有する砥粒(異形粒子)が研磨パッド上で容易に転動することができず、研磨機に必要以上に負荷をかけてしまい、やはり、研磨機の研磨抵抗が増加するという問題が生じることを知見した。そうであれば、アスペクト比が1.10未満の砥粒分散液を用いることによって、研磨時にかかる抵抗を減らせばよいようにも思えるが、今度は、研磨対象物に対して十分な研磨を行うことができずに研磨レートが低下してしまうことが分かった。
本発明においては、異形粒子を用いなくても、超微粒子の砥粒の含有量を所定量以下とし、小粒子、中粒子、大粒子の砥粒を所定量以上含ませるという、従来にない、細かい制御を行うことによって、単位電流値当たりの研磨レートを向上させ、かつ、研磨機の振動を抑制する、との相反する課題を解決することができた。なお、コロイダルシリカ粒子のアスペクト比(ここでは平均アスペクト比とする)は、例えば、電子顕微鏡を用いた画像解析により求めることができ、具体的には、実施例に記載の測定方法による。
本発明の実施形態によれば、研磨用組成物における、砥粒全体のアスペクト比は、1.10以下であることが好ましく、1.09以下であることが好ましい。また、下限は1.00であるが、1.01以上であっても、1.02以上であっても、1.03以上であってもよい。本発明の実施形態によれば、球形に近い砥粒を用いても、研磨レートを高く維持し、本発明の効果を奏することができる。
上記のように、本発明によれば、アスペクト比が1.10超のような、高いアスペクト比を有する砥粒の分散液は使用せずとも、本発明の所期の効果を奏することができるが、使用することを完全に制限するわけではない。特に、本発明では、超微粒子の砥粒の含有量を所定量以下とし、小粒子、中粒子、大粒子の砥粒を所定量以上含ませるという、従来にない、細かい制御を行っているため、高いアスペクト比を有する砥粒の分散液を併用することもできる。ただ、本発明の所期の効果を効率的に奏するためには、前記研磨用組成物中の砥粒全体の、好ましくは50体積%未満、より好ましくは25体積%未満、さらに好ましくは10体積%未満となるようにするとよい。かような高いアスペクト比を有する砥粒の分散液を過剰に入れると、研磨用組成物における砥粒全体のアスペクト比が高くならない場合があっても、多くの異形粒子の存在が電流値を高くしうる。
(分散媒)
各成分を分散または溶解するための分散媒または溶媒として水を含む。他の成分の作用を阻害することを抑制するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
(pHおよびpH調整剤)
本発明の実施形態によれば、研磨用組成物のpHにも特に制限はないが、下限としては、7.5以上であることが好ましく、7.8以上であることがより好ましく、8.0以上であることがさらに好ましい。一方で、上限としては、13.0以下であることが好ましく、12.0以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましい。よって、本発明の実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、8.0〜11.0である。かかる実施形態であることによって、研磨時の砥粒分散効果、及び、高pHによる砥粒の溶解を防止する等の技術的効果を有する。
pH調整剤としては、公知の酸、塩基、またはそれらの塩を使用することができる。pH調整剤として使用できる酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、およびリン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、グルコン酸、イタコン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、およびフェノキシ酢酸等の有機酸が挙げられる。pH調整剤として無機酸を使用した場合、特に硫酸、硝酸、リン酸などが研磨速度向上の観点から特に好ましく、pH調整剤として有機酸を使用した場合、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、およびイタコン酸などが好ましい。
pH調整剤として使用できる塩基としては、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン、水酸化第四アンモニウムなどの有機塩基、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム、およびアンモニア等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性から水酸化カリウムまたはアンモニアが好ましい。pH調整剤の添加量は、特に制限されず、研磨用組成物が所望のpHとなるように適宜調整すればよい。
(他の成分)
本実施形態の研磨用組成物には、その性能を向上させるために、必要に応じて、錯化剤、エッチング剤、酸化剤等の研磨速度をさらに高める作用を有する添加剤を必要に応じて含有してもよい。また、研磨対象物の表面や砥粒の表面に作用する水溶性重合体(共重合体やその塩、誘導体でもよい)を含有してもよい。さらに、研磨用組成物は、砥粒の分散性を向上させる分散剤や凝集体の再分散を容易にする分散助剤のような添加剤を必要に応じてさらに含有してもよい。また、研磨用組成物は、防腐剤、防黴剤、防錆剤のような公知の添加剤を必要に応じてさらに含有してもよい。
<研磨用組成物の製造方法>
本発明の研磨用組成物の製造方法は、分散媒と、砥粒と混合することを有する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物の製造方法であって、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満であり、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が、いずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上である、製造方法である。本実施形態の研磨用組成物の製造方法は、所定の粒子径を有する砥粒が所定量となるように分散媒に混合できる方法であれば特に限定されるものではない。まず、所定の粒子径を有する砥粒が所定量となるようにする方法としては、例えば、砥粒を任意の方法で合成し、目的の粒子径に成長させて、合成した原料砥粒2種以上を任意の割合で混合する方法が挙げられる。また、粒子径およびその含有率が既知である砥粒の分散液を複数準備し、目的の粒子径の砥粒が、目的の含有率となるように任意の割合で混合することによって準備すればよい。このように準備した所定の粒子径および含有量の砥粒を、必要に応じて他の成分とともに、分散媒中で攪拌混合することで研磨用組成物は製造されうる。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10〜40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。研磨用組成物に関するその他の説明については、上記で説明した内容が同様に妥当する。
本発明の実施形態によれば、アスペクト比1.10以上の砥粒の分散液を混合することを有して研磨用組成物を製造する場合、当該砥粒の含有比率が、研磨用組成物中の砥粒全体の25体積%未満となるようにするとよい。かかる実施形態であることによって、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制することができる。
本発明の実施形態によれば、研磨用組成物は一剤型であってもよいし、二剤型以上の多剤型であってもよい。
本発明の実施形態によれば、研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することにより調製されてもよい。研磨用組成物が二剤型である場合には、両方の組成物の混合と希釈の順序は任意である。例えば、一方の組成物を水で希釈した後、他方の組成物と混合してもよいし、両方の組成物の混合と水での希釈を同時に行ってもよいし、あるいは、両方の組成物を混合した後に水で希釈してもよい。ただし、希釈して用いる場合であっても、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%未満であり、粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が、いずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上となるように希釈する。
<研磨方法、基板の製造方法>
本発明によれば、上記の研磨組成物を用いて、硬脆材料を研磨することを有する、研磨方法も提供される。また、本発明によれば、かかる研磨方法を用いることを有する、硬脆材料基板の製造方法も提供される。
研磨装置として、片面研磨装置や両面研磨装置が一般的に使用されている。本発明の実施形態によれば、片面研磨装置は、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨用組成物を供給しながら、研磨パッドを貼付した定盤を研磨対象物の片面に押しつけ、定盤を回転させることにより研磨対象物の片面を研磨する。本発明の実施形態によれば、両面研磨装置は、キャリアを用いて研磨対象物を保持し、上方より研磨用組成物を供給しながら、研磨パッドが貼付された定盤を研磨対象物の両面に押しつけ、それらを相反する方向に回転させることにより研磨対象物の両面を研磨する。このとき、研磨パッドおよび研磨用組成物と研磨対象物との間の摩擦による物理的作用と、研磨用組成物が研磨対象物にもたらす化学的作用によって研磨対象物は研磨される。ここで、定盤の直径としては、200〜1600mm程度が好ましく、250〜1400mm程度がより好ましく、300〜1200mm程度がさらに好ましい。
本発明の実施形態によれば、研磨条件には研磨荷重が含まれる。一般に研磨荷重が大きいほど砥粒と研磨対象物との間の摩擦力が高くなる。その結果、機械的加工特性が向上し、研磨速度が上昇する。研磨対象物に適用される研磨荷重は特に限定されないが、50〜1,000g/cmであることが好ましく、より好ましくは100〜800g/cm、さらに好ましくは150〜600g/cmであり、よりさらに好ましくは200〜400g/cmである。全ての研磨対象物に対する総研磨荷重は、例えば研磨定盤径が300〜500mm程度、特には380mm程度の研磨機の場合、20〜90kg程度、30〜80kg程度、40〜70kg程度、50〜60kg程度であるとよい。
実施例を例にして説明すると、実施例で使用した基板直径は2インチであるため一つの基板の面積は、約20cmである。実施例では同時に9枚の基板が研磨されたので基板の総面積は約182cmとなる。実施例における荷重は300g/cmであるため、研磨中の全ての研磨対象物に対する総研磨荷重は、54.6kgとなる。本発明の研磨用組成物によれば、例えば、40kgという大きな荷重がかかり研磨機の負担が大きい状況でも、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制することができる。 研磨荷重が上記の範囲内にある場合、十分に高い研磨速度が発揮されることに加え、研磨対象物の破損や表面欠陥の発生を低減することができる。また、研磨定盤およびヘッドの回転速度にも特に制限はなく、例えば、それぞれ独立して、40〜130rpmが好ましく、60〜110rpmがより好ましい。回転速度は遠心力に影響するため、回転数が高いほどより研磨機液が遠心力で飛ばされて、パッド上に滞留できる研磨用組成物量が減少するため、流量が減少する傾向となり研磨機が振動し易くなる。これに対し、本発明の研磨用組成物によれば、上記のような回転数であっても、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制することができる。
また、本発明の実施形態によれば、研磨条件には線速度が含まれうる。一般に研磨パッドの回転数、キャリアの回転数、研磨対象物の大きさ、研磨対象物の数等が線速度に影響する。線速度が大きい場合は、研磨対象物に砥粒が接触する頻度が高いため、研磨対象物と砥粒との間に働く摩擦力が大きくなり、研磨対象物に対する機械的研磨作用が大きくなる。また、摩擦によって発生する熱が、研磨用組成物による化学的研磨作用を高めることがある。線速度は特に限定されないが、10〜300m/分であることが好ましく、より好ましくは、30〜200m/分であり、さらに好ましくは50〜180m/分であり、よりさらに好ましくは80〜170m/分であり、よりさらに好ましくは100〜160m/分であり、よりさらに好ましくは110〜150m/分であり、よりさらに好ましくは120〜140m/分であり、よりさらに好ましくは130〜135m/分である。線速度が上記の範囲内にある場合、十分に高い研磨速度が達成されることに加え、研磨対象物に対し適度な摩擦力を付与することができる。一方で、研磨パッドと研磨対象物との間に直接発生する摩擦は、研磨に寄与しないため、極力小さいことが好ましい。また、本発明によれば、例えば、50m/分以上の高い線速度であっても、研磨機の振動を抑制し、また、単位電流値当たりの研磨レートを向上させることができるとの技術的効果を有する。また、基板面積あたりの研磨用組成物の流量(流量÷基板面積)としても制限はないが、好ましくは0.1〜5.0ml/cmであり、より好ましくは0.2〜3.0ml/cmであり、さらに好ましくは0.3〜2.5ml/cmであり、よりさらに好ましくは0.4〜2.0ml/cmであり、よりさらに好ましくは0.5〜1.5ml/cmであり、よりさらに好ましくは0.6〜1.0ml/cmである。基板面積あたりの研磨用組成物の流量が小さくなるにつれて研磨時の負荷は高くなるが、例えば、2.5ml/cm以下という研磨機が振動し易い条件であっても、本発明の研磨用組成物であれば、本発明の所期の目的を達成することができる。
研磨パッドは、材質、厚み、あるいは硬度などの物性によって限定されるものではない。例えば、種々の硬度や厚みを有するポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ、砥粒を含むもの、砥粒を含まないものなど、任意の研磨パッドを用いることができる。本発明の所期の効果を効率的に発揮させる観点では、ポリウレタンタイプ、不織布タイプが好ましい。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件下で行われた。
<研磨用組成物の製造>
(実施例1)
表1に示す粒子径を有する砥粒1(材質:コロイダルシリカ)と、pH調整剤(硝酸)とを、砥粒1の濃度が22質量%となるように、かつ、表1に示されるpHとなるように純水中で混合することによって研磨用組成物を調製した(混合温度:約25℃、混合時間:約5分)。
なお、表1に示す粒子径を有する砥粒1は、粒子径およびその含有率が既知である市販のコロイダルシリカの水分散液を複数準備し、目的の粒子径の砥粒が、目的の含有率となるように任意の割合で混合することによって準備した。他の砥粒2〜9、比較砥粒1〜6も同様にして準備した。比較砥粒7については、特開2016−155900号公報の発明例4、発明例5と同じものを準備した。
研磨用組成物(25℃)のpHは、pHメータ(株式会社堀場製作所製 型番:LAQUA F−71)により確認した。
なお、異形粒子を使用していない、実施例、比較例においては、砥粒のアスペクト比は、実施例1で1.08、実施例2で1.06、実施例3で1.06、実施例4で1.04、実施例7で1.04、比較例1で1.03、比較例2で1.04、比較例4で1.07、比較例5で1.07であり、比較例6で1.06であり、比較例7で1.07であった。
また、異形粒子を部分的に使用した実施例においては、使用した異形粒子を含む分散液の平均アスペクト比は1.12であり、下記の表に記載の体積%分を混合した。より具体的には、比較例3と同じ型のコロイダルシリカの水分散液を、当該コロイダルシリカの含有比率が、研磨用組成物中において、下記の表に記載の体積%となるようにした。
実施例5、6、8および9の全体の砥粒のアスペクト比は、それぞれ、実施例5で1.09、実施例6で1.10、実施例8で1.09、実施例9で1.10であった。なお、アスペクト比は、FE−SEMによって測定された粒子像をランダムで1000個以上抜き取り、アスペクト比を測定した値の個数平均値を算出した。
(実施例2〜9、比較例1〜6)
表1に示される砥粒2〜9、比較砥粒1〜6を使用して、表1に示されるpHとなるように調製した以外は、実施例1と同様の方法によって研磨用組成物を調製した。なお、実施例2〜9、比較例1〜6で用いたpH調整剤もそれぞれ硝酸である。
(粒子径)
コロイダルシリカの粒子径はSEM画像を、統計学上信頼性のある所定個数(例えば一視野当たり100個×10面以上の合計1000個以上)の粒子を観察し、マウンテック社製解析ソフトMac−Viewを使用して粒子画像を抽出し粒子径を算出した。ここでいう粒子径は円相当粒子径の一般的な算出方法であるHeywood径を採用した。
<評価>
上記で準備した各研磨用組成物を使って、下記に示す条件で、片面研磨を行った。なお、研磨用組成物(以下、「スラリー」とも称する)は循環して使用した(リサイクル使用)。
(研磨条件)
研磨機:エンギス社製 EJ−380(定盤直径:380mm)、
研磨対象物:a面サファイア、
基板サイズ:φ2インチ、
枚数:9枚、
荷重:300g/cm
スラリー量:1000cc
スラリー流量:150cc/分、
線速度:131m/分、
定盤回転数:110rpm、
ヘッド回転数:60rpm、
研磨時間:1時間、
パッド:不織布パッド、ニッタハース社製 SUBA800。
(研磨レート)
研磨レートは、上記で準備した各研磨用組成物を使って研磨を行い、研磨前後の重量の差からサファイアの比重を考慮し計算によって求めた。結果を下記表1に示す。なお、「−」は、研磨機の振動が激しすぎて、研磨開始後、まもなく研磨機が止まり研磨レートを測定できなかったことを意味する。
(電流値)
電流値とは、1時間の研磨で使用された電流値の平均である。なお、当該電流値は、空運転時に発生した電流値を差し引くことによる補正を行った。平均値は毎秒電流値を取得し、電流値の積算値を取得した回数で除算した。なお「−」は上記と同様、電流値を測定できなかったことを意味する。
(振動)
振動測定は、研磨機の筐体の上に円筒形状のメスシリンダー(容積:50ml)を置き、水(25ml)を張り、水面の振幅の値の大きさにより確認した。振幅の値は、目視で測定した。1メモリは1mlである。
○:振動幅の最大−最小が2メモリ以下、
△:振動幅の最大−最小が2メモリ超3メモリ以下、
×:研磨機が激しく振動してしまい研磨できない。
(研磨レート/電流値)
研磨レート/電流値は、研磨レートの値から、電流値の値を除した値である。
<考察>
実施例の研磨用組成物によれば、単位電流値当たりの研磨レートを向上させて、かつ、研磨機の振動を抑制することができている。
これに対し、比較例の研磨用組成物では、単位電流値当たりの研磨レートが低かったり、研磨機の振動を抑制できたりせず、本発明の課題を解決することができていない。
詳しく見ると、
比較例1は、研磨対象物を効率よく研磨すると考えられる粒子径30nm以上60nm未満の砥粒が少ないため、砥粒と、研磨対象物との接触面積が小さく、研磨レートを向上させることができず、単位電流値当たりの研磨レートが低くなっている。
比較例2は、特許文献1の発明に近い構成であり、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%以上であるため、砥粒と、研磨対象物との接触面積が多過ぎ、研磨レートが過度に上がったことによって、研磨機が激しく振動し、研磨機が止まってしまった。
比較例3は、研磨対象物を効率よく研磨すると考えられる粒子径30nm以上60nm未満の砥粒の含有量が2体積%未満であるため、砥粒と、研磨対象物との接触面積が小さく、研磨レートを向上させることができないとも考えられる。一方、比較例3の砥粒は異型粒子によって構成されているため、研磨レートは上がりやすい。他方で、電流値も上がってしまったため、単位電流値当たりの研磨レートの結果が悪く、また、研磨機も振動してしまったと考えられる。
比較例4は、粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が2体積%未満であるため、大粒子が少ないため、砥粒の動きが悪く研磨レートが低くなったと考えられる。
比較例5は、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4体積%以上あるため、砥粒と、研磨対象物との接触面積が多過ぎ、研磨レートが過度に上がったことによって、研磨機が激しく振動し、研磨機が止まってしまった。
比較例6は、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒の含有量が2体積%未満であった。そのため、研磨をスムーズに行うことができず、研磨機が激しく振動し、研磨機が止まってしまった。
比較例7については、粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の4.0体積%以上であるため、電流値が上がり、単位電流値当たりの研磨レートの結果が悪く、また、研磨機も振動することが合理的に予測できるため、研磨自体は行わなかった。ただし、比較例7の砥粒であれば、精度の高い平滑面や鏡面仕上げによる高い質感が要求される電子デバイスなどに使用される酸化物結晶等を含むセラミックの研磨において、スクラッチ等の欠陥の発生を抑制して高い研磨速度を実現できる研磨用組成物を安価に提供するには、好適なものであることは言える。
以上のように、超微粒子の砥粒の含有量を所定量以下とし、小粒子、中粒子、大粒子の砥粒を所定量以上含ませることによって、本発明の所期の効果を達成することができることが示唆される。
10…研磨対象物、
20…砥粒(大粒子、中粒子、小粒子)
30…研磨パッド。

Claims (11)

  1. 分散媒と、砥粒とを含む、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物であって、
    粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の1.0体積%以下であり、
    粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量がいずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上であ粒子径140nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の94.0体積%以上である、研磨用組成物。
  2. 前記硬脆材料が、サファイア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、ガラス、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、ヒ化インジウムまたはリン化インジウムである、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記硬脆材料が、サファイヤである、請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記砥粒が、コロイダルシリカである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. pHが、8.0〜11.0である、請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 粒子径30nm以上60nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の3.0体積%以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  7. 粒子径60nm以上100nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の90.0体積%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  8. 分散媒と、砥粒と混合することを有する、硬脆材料を研磨するための研磨用組成物の製造方法であって、
    粒子径30nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の1.0体積%以下であり、
    粒子径30nm以上60nm未満の砥粒、粒子径60nm以上100nm未満の砥粒、および粒子径100nm以上140nm未満の砥粒の含有量が、いずれも前記砥粒全体の2.0体積%以上であ粒子径140nm未満の砥粒の含有量が、前記砥粒全体の94.0体積%以上である、製造方法。
  9. 平均アスペクト比1.10以上の砥粒の分散液を混合する場合、当該砥粒の含有比率が、前記研磨用組成物中の砥粒全体の25体積%未満となるようにする、請求項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の研磨組成物を用いて、硬脆材料を研磨することを有する、研磨方法。
  11. 請求項10に記載の研磨方法を用いることを有する、硬脆材料基板の製造方法。
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